JP2004335148A - 偏向ヨークおよび陰極線管装置 - Google Patents

偏向ヨークおよび陰極線管装置 Download PDF

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Kazuhiro Sugimoto
一宏 杉本
Kenichirou Taniwa
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Abstract

【課題】少ない工数をもって、容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正が実施可能な偏向ヨークおよび陰極線管装置を提供する。
【解決手段】補正コイルユニット44は、ボビン441の外面に2本のコイル線が互いに間隔をあけた状態で巻回されてなる巻線部442、443を有する。
ボビン441の中空部分441eには、内面にボビン441の軸方向の端から端まで雌ネジが形成されている。そして、この中空部分441eには、上記雌ネジに対応する雄ネジが外周面に設けられた着磁コア444、445が挿入されている。
着磁コア444、445は、ボビン441の中で、異なる極性を有する端面どうしが互いに向き合う方向に挿入されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏向ヨークおよび陰極線管装置に関し、動コンバーゼンス補正技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー陰極線管装置(以下、「カラーCRT装置」という。)では、電子銃から出射されたR、G、B用の3条の電子ビームを偏向ヨークにより偏向してパネル上を走査することで画像が表示される。このようなカラーCRT装置においては、パネルに沿って設けられたシャドウマスクで3条(R、G、B)の電子ビームが一点に集中するように設計がなされているが、製造バラツキやその他種々の要因によりパネルの周辺部に行くほどビームが集中しない現象(以下、「ミスコンバーゼンス」という。)を生じることがある。このようなミスコンバーゼンスは、色ずれや色むらの原因となる。
【0003】
通常、カラーCRT装置では、インライン型電子銃が備えられていることが多いが、このようなカラーCRT装置では、水平偏向磁界のアンバランスなどに起因する弓形成分および差動成分のミスコンバーゼンスが特に問題となる。
このような弓形成分および差動成分のミスコンバーゼンスを補正(以下、それぞれ「弓形成分補正」、「差動成分補正」という。)するために、並列に接続された2つの水平偏向コイルの各々に対して、一方の水平偏向コイルに弓補正用のコイルを直列接続し、他方の水平偏向コイルに差動補正用のコイルを直列接続した偏向ヨークが開発されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−324507号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された偏向ヨークにおいては、それぞれの水平偏向コイルに対して弓形成分補正あるいは差動成分補正の内の一方の機能を有する補正コイルが接続されているのみであるので、ミスコンバーゼンスの補正作業が非常に困難である。具体的には、特許文献1の偏向ヨークでは、先ず差動成分補正用のコイルのインダクタンスを固定とみなして弓形成分補正用のコイルを調整し、次に弓形成分補正用のコイルのインダクタンスを固定とみなして差動成分補正用のコイルを調整することが開示されている。そして、上記偏向ヨークにおいては、この2つの補正操作(コイル調整)を複数回繰り返して実施することで、少しずつ2種類のミスコンバーゼンスを補正してゆく必要があり、調整作業に多くの工数を要することになる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決しようとなされたものであって、少ない工数をもって、容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正が実施可能な偏向ヨークおよび陰極線管装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、陰極線管内において、電子銃(インライン型またはデルタ型)から出射された複数条の電子ビームに対し偏向磁界を作用させる一対の偏向コイルと、偏向コイルの通電回路に対して各々の巻線部が電気的に直列に挿入されてなる一対の補正コイルとを有する偏向ヨークであって、一対の補正コイルの各々が、巻線部の巻回軸方向に対して、相対位置が調整可能な着磁コアを有していることを特徴とする。
【0008】
上記偏向ヨークでは、一対の偏向コイルの各々に直列接続された各補正コイルが弓形成分補正の機能と、差動成分補正の機能とを併せ持つ。即ち、この偏向ヨークでは、各補正コイルにおける巻線部と着磁コアとの相対位置を調整することで各偏向コイルに流れる偏向電流のバランスを変化させることができるので、偏向コイル間における偏向磁界の強度バランスの変更をもって弓形成分補正および差動成分補正の両補正が実施される。具体的には、両補正コイルにおいて、巻線部に対する着磁コアの相対位置が互いに対称関係となるように調整を実施すれば、弓形成分補正を実施することができ、このときの2つの補正コイルにおける巻回部と着磁コアとの相対距離の総和を保持した状態で、各補正コイルにおける巻線部と着磁コアとの相対位置が両コイルで逆比例するように移動させると、弓形成分補正の状態を保持したまま差動成分補正を実施することができる。
【0009】
また、上記偏向ヨークにおいては、一対の補正コイルの各々が弓形成分補正および差動成分補正の両補正機能を有するので、例えば、弓形成分補正を実施した後に差動成分補正を実施した場合でも、上記特許文献1の偏向ヨークのように再び弓形成分のミスコンバーゼンスが生じるということがない。よって、本発明の偏向ヨークでは、上記特許文献1のように弓形成分補正と差動成分補正との補正ルーチンを複数回繰り返す必要がなく、作業性の面から優れている。
【0010】
従って、本発明の偏向ヨークでは、少ない工数をもって容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正(弓形成分補正、差動成分補正)を実施することができる。
上記偏向ヨークにおける具体的な補正方法としては、各補正コイルの巻線部と着磁コアとの相対位置を変化させ、これによって当該補正コイルにおける磁界分布が変化し、そのインダクタンス値を増減することにより、一対の偏向コイルの各々に流れる電流値の大きさを増減することで、一対の偏向コイルの互いの間での偏向磁界の強度バランスを補正することができる。より具体的には、各補正コイルにおいて、電流が流れることで巻回部が発生する磁界の方向と、着磁コアのバイアス磁界の方向とが同じである場合には、相互の磁界が加算されることになり、逆の場合には、相互の磁界が打ち消しあうことになる。そして、磁界の加算が生じた場合には、インダクタンスが減少し、磁界の打ち消しが生じた場合には、インダクタンスが一定のまま維持される。
【0011】
上記偏向ヨークにおいては、2つの補正コイルにおける巻回部と着磁コアとの相対距離の総和を維持した状態で、巻回部と着磁コアとの相対位置を移動させるには、2つの補正コイルにおける各巻線部を別々のボビンを用いて形成したような構成としてもよいが、筒状をした1つのボビンを共有して2つの巻線部を形成し、ボビンの外周面に互いに間隙をあけた状態で各巻線部を形成し、且つ、各々の着磁コアをボビンの内方に配しておくことが望ましい。このように2つの補正コイルを構成すれば、1ヶ所で2つの着磁コアの相対位置の調整を実施することができ、弓形成分補正と差動成分補正との両補正の実施が容易となる。
【0012】
上記のように1つのボビンを共有した構造で一対の補正コイルを形成する場合には、一方の着磁コアの端面に係止部を設け、他方の着磁コアの端面に被係止部を設けておくことが望ましい。即ち、2つの着磁コアの端面どうしが接触状態となったとき、それぞれに設けられた係止部と被係止部とが係止状態となり、調整の際に一体に移動することになり、ミスコンバーゼンスを補正するための工数を削減するのに効果的である。
【0013】
なお、上記偏向ヨークでは、そのインダクタンス値を確保するために、2つの補正コイルにおける各巻線部をボビンに対して少なくとも1重以上巻回しておくことが望ましい。
上記偏向ヨークでは、2つの補正コイルにおける巻線部と着磁コアとの関係を種々設定することができるが、中でも一対の補正コイルにおける巻線部を互いに同一方向となるようコイル線を巻回しておき、一対の補正コイルにおける着磁コアが、互いに同じ極性を有する部分どうしが向き合う状態となるように配しておくことが望ましい。
【0014】
さらに、一対の補正コイルが共用するボビンの内方に着磁コアの他にフェライトからなる磁界増強部材を配するようにしておけば、インダクタンス値の補正範囲を大きくとることができるので望ましい。磁界増強部材の配置方法としては、2つの着磁コアの間に配置する方法、あるいは、各着磁コアの端面に接触または近接させた状態で配置する方法などを採用することができる。
【0015】
上記偏向ヨークでは、水平偏向コイルおよび垂直偏向コイルの何れのコイルに対して上記構成を採用してもよいが、特に水平偏向コイルに対して接続すれば、ミスコンバーゼンスの補正に効果的である。
また、本発明の陰極線管装置は、上記偏向ヨークを備えることを特徴とする。
この陰極線管装置では、出荷前の調整(例えば、ITC調整)の工程で、上記2つの着磁コアとそれに対応する巻線部との相対位置を調整することにより、容易にミスコンバーゼンスの調整(弓形成分補正、差動成分補正)を実施することができる。
【0016】
従って、本発明の陰極線管装置では、偏向コイルに対して少ない工数をもって容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正を実施することができるので、高い画像品質が実現される。
【0017】
【発明の実施の形態】
(全体構成)
本発明の実施の形態に係る陰極線管装置(以下、「CRT装置」という。)について、図1および図2を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るCRT装置1は、管本体10、インライン型の電子銃20、シャドウマスク30および偏向ヨーク40を主な構成要素として形成されている。この内、管本体10は、内面に蛍光体層11pが形成されたパネル部11とこれに続く漏斗状のファンネル部12、そして電子銃20が内部に収納されたネック部13とから構成されている。パネル部11における蛍光体層11pは、パネル部11の形状およびシャドウマスク30などに合わせて赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体が塗布され焼成されることで形成されている。
【0018】
電子銃20は、図1中のx方向に順に配列された3つの電子出射部20R、20G、20Bを有している。図示はしていないが、各々の電子出射部20R、20G、20Bには、電子レンズが形成されている。また、電子銃20は、駆動回路(不図示)から入力される映像信号によって、各電子出射部20R、20G、20Bからz方向にパネル部11に向け電子ビーム(EB、EB、EB)を出射する。
【0019】
シャドウマスク30は、管本体10のパネル部11に沿った状態で配された金属薄板であって、多数の孔があけられている。電子銃20から出射された3条の電子ビーム(EB、EB、EB)は、実際にはこのシャドウマスク30の面上の1点で集中される(コンバーゼンス)。
偏向ヨーク40は、管本体10におけるネック部13からファンネル部12にかけての領域の外面に沿うように配置されている。図示はしていないが、偏向ヨーク40には、主な構成要素として、管本体10を挟んでy方向に対向配置された一対の水平偏向コイルと、管本体10を挟んでx方向に対向配置された一対の垂直偏向コイルとを有する。偏向ヨーク40は、駆動回路(不図示)からの偏向信号により、電子銃20から出射された電子ビーム(EB、EB、EB)を、パネル11の所要の位置に照射するように偏向する。
【0020】
次に、図2に示すように、偏向ヨーク40は、漏斗状をしたファンネル部12の外面に沿う形状を有しており、絶縁性の枠体41を挟んだ状態で内側に配された一対の水平偏向コイル(不図示)と、外側に配された一対の垂直偏向コイル(不図示)と、垂直偏向コイルの外側を覆うように配されたフェライト枠42とを有している。図2に示すように、偏向ヨーク40の枠体41には、回路基板43が取り付けられており、回路基板43には、補正コイルユニット44が実装されている。
【0021】
補正コイルユニット44は、水平偏向コイルからなる水平偏向回路に挿入されている。これについては、後述する。
(補正コイルユニット44の構成)
図3に示すように、補正コイルユニット44は、ボビン441の外面に2本のコイル線が互いに間隔をあけた状態で巻回されてなる巻線部442、443を有する。ボビン441の外面には、巻線部442、443をそれぞれ仕切るための仕切り壁441a、441b、441c、441dがそれぞれ設けられている。この内、仕切り壁441a、441dは、回路基板43(図2参照。)に補正コイルユニット44を固定するための足部を備えた形状となっている。
【0022】
なお、巻線部442と巻線部443とは、ボビン441に対して各コイル線が同一方向に巻回され形成されている。
ボビン441は、筒状形状を有しており、中空部分441eに面する面に雌ネジが形成されている。中空部分441eにおける雌ネジは、ボビン441の軸方向の端から端まで形成されている。そして、図3では、ボビン441の外方に図示しているが、上記雌ネジに対応する雄ネジが外周面に設けられた着磁コア444、445が挿入されている。着磁コア444、445は、ボビン441の中で、異なる極性を有する端面どうしが互いに向き合う方向に挿入されている。
【0023】
なお、本発明の実施の形態では、2つの着磁コア444、445の着磁量は、略同一としたが、後述するミスコンバーゼンスの補正において必用な場合には2つの着磁コアの着磁量を変えることもできる。
2つの着磁コア444、445の内、図3の左上方向から挿入される着磁コア444は、巻線部442に対して作用するものであり、右下方向から挿入される着磁コア445は、巻線部443に対して作用するものである。また、これら着磁コア444、445の端面には、アレンキーなどを用いて回転可能なように孔が設けられている。
【0024】
図4に示すように、ボビン441内部における着磁コア442、443は、それぞれ回転させることで図の左右方向に移動させることができる。即ち、巻線部442、443とそれに対応する着磁コア444、445とは、着磁コア444、445を回転移動させることで、その相対位置が変動される。実際の着磁コア444、445の移動に際しては、ネジ441fのピッチを基にその移動量を設定することができる。例えば、ネジ441fをピッチ0.5(mm)で形成した場合には、1回転につき0.5(mm)着磁コア444、445を移動することができることになる。
【0025】
また、図4に示すように、各着磁コア444、445の端面には、三角錐状の突起444a、444b、445a、445bが設けられている。この突起444a、444b、445a、445bは、着磁コア444と着磁コア445とが当接した場合において、2つの着磁コア444、445を連動して移動させることができるように設けられている。即ち、着磁コア444と着磁コア445とが当接した場合には、突起444bと突起445aとが噛み合うことで、これら2つの着磁コア444、445を連動して移動させることができる。
【0026】
なお、本発明の実施の形態では、各着磁コア444、445の両端面に突起444a、444b、445a、445bを設けているが、これは、製造上の汎用性を考慮したものであって、少なくとも当接する可能性のある面に形成しておけばよい。具体的には、図4における突起444bと突起445aとを形成しておけば足りる。
【0027】
また、本発明の実施の形態においては、各着磁コア444、445の一端面に対して、各々1つの突起部(444a、444b、445a、445b)を形成することとしたが、着磁コア444と着磁コア445とが当接した場合に噛み合えば、突起部の形成数は、これに限定を受けるものではない。例えば、各々2つ、3つというように複数形成されていても構わないし、対する面に形成された突起数が異なっていても構わない。
(水平偏向回路の回路構成)
次に、偏向ヨーク40における水平偏向回路の回路構成について、図5を用いて説明する。図5は、水平偏向回路の内、本発明の実施の形態での特徴部分である水平偏向コイル45U、45Lと補正コイルユニット44とを抜き出して図示している。
【0028】
図5に示すように、一対の水平偏向コイル45U、45Lは、並列接続されている。そして、補正コイルユニット44における各巻線部442、443は、各々水平偏向コイル45U、45Lに対して直列に挿入されている。
上記構成の水平偏向回路には、パネル部11に対する偏向方向に応じて偏向電流I、Iが流れる。偏向電流I、Iは、時間軸を横軸にとってみたとき、鋸状の波形を有する。即ち、パネル部11の中心よりも左方向に電子ビーム(EB、EB、EB)を偏向させるには、偏向電流Iを流し、右方向に電子ビーム(EB、EB、EB)を偏向させるには、偏向電流Iを流すことになる。
【0029】
ボビン441の内方に挿入された着磁コア444、445は、ともに図の上方向に極性(N)を有する部分がくるように配置されており、図の上下方向に各々独立した状態で移動可能となっている。
(ミスコンバーゼンスの補正方法)
上記CRT装置においては、組み立て直後の状態ではその製造バラツキやミスマッチングなどにより種々のミスコンバーゼンスが生じ得る状態にある。以下では、このように生じるミスコンバーゼンスの内、水平方向への偏向時に生じる弓形成分補正と差動成分補正との両補正するための方法を、図6〜図8を用いて説明する。
【0030】
なお、以下では、説明の便宜上、ミスコンバーゼンスの補正にあたり、弓形成分補正と差動成分補正とを分けて説明する。
(1)弓形成分補正
図6(a)、(b)に示すように、弓形成分補正を実施するに当たっては、両巻線部442、443の実効中心L44に対して、2つの着磁コア444、445の軸方向中心L444、L445までの距離X1U、X2U、X1L、X2Lが等しい状態を維持したまま、両着磁コア444、445を移動させる。このとき、実効中心L44から巻線部442、443の各中心L442、L443までの距離XCU、XCLと、上記距離X1U、X2U、X1L、X2Lとの差分が巻線部442、443と着磁コア444、445との各相対距離となる。
【0031】
弓形成分補正は、図6(a)の状態から図6(b)の状態、あるいはその逆へと着磁コア444、445を移動させることで実現される。そのメカニズムは、着磁コア444、445を巻線部442、443に対して移動させることで、水平偏向電流I、Iが流れた際に巻線部442、443で発生する磁界と、着磁コア444、445のバイアス磁界との加算または打ち消しをもって、各巻線部442、443のインダクタンスの増減をはかり、これら水平偏向コイル45U、45Lに流れる電流のアンバランスを生じさせる。そして、各水平偏向コイル45U、45Lから発生される磁界強度は、そこに流れる電流値によって決まり、管本体10内での磁界の中心が垂直方向に偏位される。これによって、3条の電子ビームの内、Rの電子ビームEBとBの電子ビームEBとには、垂直方向(上記図1におけるy方向)にそれぞれ逆向きのローレンツ力が加わり、電子ビームEB、EBの補正が実施できる。
【0032】
また、左偏向時に水平偏向回路に流れる電流Iと、右偏向時に水平偏向回路に流れる電流Iとは、流れる方向が逆であるため、水平偏向コイル45Uと水平偏向コイル45Lとが発生する磁界の強度および磁界の方向が逆転する。そのため、電子ビームEB、EBには、左偏向時と右偏向時とで垂直方向において同一方向のローレンツ力が作用することになり、弓形成分補正がなされる。即ち、図8(a)に示すパターンの弓形成分のミスコンバーゼンスを、図8(c)に示す状態へと補正することができる。
【0033】
なお、ここでいう左偏向、右偏向とは、パネル部11の側から電子銃の側に向けた方向にCRT装置1を見た際の偏向方向である。
以下では、上述の弓形成分補正を実施する場合に、電子ビームEB、EBに作用するローレンツ力について、図7を用いて説明する。図7は、パネル部11の側から電子銃20の側を見たときの各電子ビームEB、EBに作用するローレンツ力を示す概念図であり、(a)が左偏向時を示し、(b)が右偏向時を示す。
(1−1)左偏向時
左偏向時においては、上記図5の水平偏向回路には、電流Iが流され、上側の水平偏向コイル45Uに直列接続された巻線部442の磁界が着磁コア444のバイアス磁界により打ち消されて、インダクタンスは一定のまま維持される。これに対して、下側の水平偏向コイル45Lに直列接続された巻線部443では、その磁界が着磁コア445のバイアス磁界と加算され、これによって、マグネット(着磁コア445)の磁気飽和が生じ、インダクタンスが極端に減少する。そして、上側の水平偏向コイル45Uに流れる電流は、下側の水平偏向コイル45Lに流れる電流よりも小さくなる。
【0034】
図7(a)に示すように、上記電流のアンバランスにより、上側の水平偏向コイル45Uが発生する磁界が下側の水平偏向コイル45Lが発生する磁界に対して相対的に小さくなり、磁界の垂直方向における中心軸が下側に偏位されることになる。これにより、電子ビームEBに作用する磁界の磁力線と、電子ビームEBに作用する磁界の磁力線とは、互いに逆向きの角度を有する。そして、電子ビームEB、EBの各々には、ローレンツ力f1、f2が作用する。よって、図8(a)に示すようなミスコンバーゼンスのパターン(弓形成分)に対して、パネル部11の左側において、Rは下向きの補正が加えられ、Bは上向きの補正が加えられる。
(1−2)右偏向時
一方、右偏向時においては、上記図5の水平偏向回路には、上記左偏向時とは逆向きの電流Iが流され、上側の水平偏向コイル45Uに直列接続された巻線部442の磁界が着磁コア444のバイアス磁界と加算され、インダクタンスが増加する。これに対して、下側の水平偏向コイル45Lに直列接続された巻線部443では、その磁界が着磁コア445のバイアス磁界により打ち消され、これによってインダクタンスは一定のまま維持される。これによって、上側の水平偏向コイル45Uに流れる電流は、下側の水平偏向コイル45Lに流れる電流よりも大きくなる。
【0035】
図7(b)に示すように、上記電流のアンバランスにより、上側の水平偏向コイル45Uが発生する磁界が下側の水平偏向コイル45Lが発生する磁界に対して相対的に大きくなり、磁界の垂直方向における中心軸が上側に偏位されることになる。これにより、電子ビームEBに作用する磁界の磁力線と、電子ビームEBに作用する磁界の磁力線とは、互いに逆向きの角度を有する(上記左偏向時とは反対の関係を有する。)。そして、電子ビームEB、EBの各々には、ローレンツ力f3、f4が作用する。よって、図8(a)に示すようなミスコンバーゼンスのパターン(弓形成分)に対して、パネル部11の左側においても、上記左偏向時と同様に、Rは下向きの補正が加えられ、Bは上向きの補正が加えられる。
【0036】
従って、図8(a)に示す弓形成分のミスコンバーゼンスは、着磁コア444、445と各々に対応する巻線部442、443との相対位置を調整することで補正され、図8(c)に示すようにR、Gについてもパネル部11の水平軸に対して平行となる。
以上のような操作をもって、本発明の実施の形態に係るCRT装置1では、弓形成分補正が実施される。
(2)差動成分補正
図6(c)、(d)に示すように、差動成分補正を実施しようとする場合には、上記弓形成分補正を実施した際の着磁コア444と着磁コア445との間隔(ボビン441の軸方向)を維持した状態で、それぞれを並行して移動させる。例えば、図6(c)に示すように、着磁コア444と着磁コア445とが当接している場合には、当接された状態を維持しながらこれらを一体に移動させる。
【0037】
この場合に、補正コイルユニット44における実効中心L44に対する巻線部442、443の軸方向の各中心までの距離XCU、XCLは同一であり、これらに対する各着磁コア444、445の相対位置が並行に移動される。つまり、実効中心L44から着磁コア444の中心L444までの距離X3Uが、着磁コア445の中心L445までの距離X3Lに差異を生じることになる。
【0038】
また、図6(d)に示すように、弓形成分補正を実施した状態で、着磁コア444の中心L444と着磁コア445の中心L445とが(X4U+X4L)離れた状態である場合には、この間隔(X4U+X4L)を維持した状態でそれぞれの着磁コア444、445を並行に移動させる。
このように、着磁コア444、445を、その間の間隔を維持した状態で移動させると、右偏向時および左偏向時の両方において、同一の傾向をもって発生する磁界のバランスを変化させることができる。これによって、図8(b)に示すように差動成分補正することができ、図8(c)に示すようなミスコンバーゼンスの無い状態へと補正できる。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態に係るCRT装置1では、偏向ヨーク40の補正コイルユニット44における巻線部442と着磁コア444、および巻線部443と着磁コア445の各々の組み合わせの補正コイル部に、各々弓補正機能と差動成分補正の機能とを併せ持たせている。
従って、CRT装置1では、弓形成分補正を実施し、その後に差動成分補正を実施した場合にも、先に補正した弓形成分補正を再度実施する必要は無い。これは、特許文献1のように、弓形成分補正の機能と差動成分補正の機能という全く異なる2つの機能をそれぞれ有する補正コイルを各々1つづつ水平偏向回路に組み込んでいる場合と異なり、本CRT装置1では、それぞれの水平偏向コイル45U、45Lに対して弓形成分補正の機能と差動成分補正の機能とを併せ持つ補正コイルを接続しているためである。よって、CRT装置1では、少ない工数をもって容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正(弓形成分補正、差動成分補正)を実施することができる。
【0040】
なお、実験データなどは添付していないが、本発明者が効果の確認を実施したところ、例えば、22インチCM管において、±0.2mmのコンバーゼンス補正量を確保することができた。
(変形例)
変形例に係る補正コイルユニット46について、図9を用いて上記補正コイルユニット44との相違点を中心に説明する。図9は、補正コイルユニット46の断面図である。
【0041】
図9に示すように、補正コイルユニット46が上記補正コイルユニット44と構造上異なる点は、ボビン441と各着磁コア446、447との間に可動スリーブ448が挿入されているところにある。可動スリーブ448の内外両表面には、ボビン441の中空部分441の内面に形成されたネジ441fおよび着磁コア446、447の外面に形成されたネジのそれぞれに対応するネジが形成されている。
【0042】
上記構造の補正コイルユニット46を備えるCRT装置では、ミスコンバーゼンスの補正を、以下の手順で実施することができる。
先ず、弓形成分のミスコンバーゼンスに対しては、可動スリーブ448をボビン441の軸方向略中央部に固定しておき、着磁コア446、447を移動させる。基本的な補正方法に関しては、上記図6(a)、(b)と同様である。
【0043】
次に、弓形成分補正が終了した補正コイルユニット46に対しては、可動スリーブ448を回転移動させる。このように可動スリーブ448を移動させることにより、補正コイルユニット46では、弓形成分補正において設定した着磁コア446と着磁コア447との位置関係を維持した状態で、容易に差動成分補正を実施することができる。つまり、本変形例の補正コイルユニット46では、上記補正コイルユニット44よりも飛躍的容易に差動成分補正を実施することができる。
(その他の事項)
上記発明の実施の形態および変形例では、巻線部442、443が1つのボビン441を用いて形成された形態のものを一例として用いたが、ボビンは必ずしも共用する必要はない。即ち、巻線部442、443毎にボビンを設けても良い。
【0044】
また、各巻線部442、443に対する着磁コアの挿入個数は、上記発明の実施の形態および変形例では各1個としたが、これに限定されるものではない。例えば、磁性の異なる着磁コアを種々用意しておき、調整時の必要に応じて個数を増減していっても良い。
また、2つの巻線部442、443の巻回方向、あるいは、着磁コア444、445、446、447の挿入方向などについても、上記発明の実施の形態および変形例に限定を受けるものではない。
【0045】
また、上記補正コイルユニット44、46におけるボビン441の内方に着磁コア444、445、446、447の他にフェライトを挿入することで、磁界強度を向上させることもできる。この際、フェライトの挿入数は、1個でもよいし、各着磁コア444、445、446、447に対応させて複数個であってもよい。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、ボビン441の内方に2つの着磁コア444、445を配し、上記変形例では、それに加えてスリーブ448を配したが、これらの他に、磁界増強部材としてのフェライトを配しておくと、磁界が増強されるので望ましい。また、フェライトを含む材料で各着磁コア444、445を作製しておいても磁界を増強させる効果が得られる。
【0047】
また、上記実施の形態におけるCRT装置1は、本発明の構成および作用の特徴を説明するための一例であり、本発明は、上記実施の形態に限定を受けるものではない。
【0048】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明の偏向ヨークは、一対の偏向コイルの各々に直列接続された各補正コイルが弓形成分補正の機能と、差動成分補正の機能とを併せ持つ。即ち、この偏向ヨークでは、各補正コイルにおける巻線部と着磁コアとの相対位置を調整することで各偏向コイルに流れる偏向電流のバランスを変化させることができるので、偏向コイル間における偏向磁界の強度バランスの変更をもって弓形成分補正および差動成分補正の両補正が実施される。具体的には、両補正コイルにおいて、巻線部に対する着磁コアの相対位置が互いに対称関係となるように調整を実施すれば、弓形成分補正を実施することができ、このときの2つの補正コイルにおける巻回部と着磁コアとの相対距離の総和を保持した状態で、各補正コイルにおける巻線部と着磁コアとの相対位置が両コイルで逆比例するように移動させると、弓形成分補正の状態を保持したまま差動成分補正を実施することができる。
【0049】
また、上記偏向ヨークにおいては、一対の補正コイルの各々が弓形成分補正および差動成分補正の両補正機能を有するので、例えば、弓形成分補正を実施した後に差動成分補正を実施した場合でも、上記特許文献1の偏向ヨークのように再び弓形成分のミスコンバーゼンスが生じるということがない。よって、本発明の偏向ヨークでは、上記特許文献1のように弓形成分補正と差動成分補正との補正ルーチンを複数回繰り返す必要がなく、作業性の面から優れている。
【0050】
従って、本発明の偏向ヨークでは、少ない工数をもって容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正(弓形成分補正、差動成分補正)を実施することができる。また、本発明の陰極線管装置は、上記偏向ヨークを備えるので、少ない工数をもって容易且つ確実にミスコンバーゼンスの補正(弓形成分補正、差動成分補正)を実施することができるので、高い画像品質が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る陰極線管装置1の外観斜視図(一部断面図)である。
【図2】図1の陰極線管装置1に装着されている偏向ヨーク40の外観斜視図である。
【図3】図2における偏向ヨーク40に備えられている補正コイルユニット44の詳細図である。
【図4】補正コイルユニット44の断面図である。
【図5】偏向ヨーク40における水平偏向回路図である。
【図6】補正コイルユニット44における補正コイル442、443とコア444、445との相対的な位置関係を示す模式図である。
【図7】補正コイルユニット44を用いて弓形成分補正を実施する際に、各電子ビームEB、EB、EBに作用するローレンツ力を示す概念図である。
【図8】スクリーン上における各ミスコンバーゼンスを示すパターン図である。
【図9】変形例に係る補正コイルユニット46の断面図である。
【符号の説明】
1. 陰極線管装置
10. 陰極線管本体
20. 電子銃
30. シャドウマスク
40. 偏向ヨーク
44、46. 補正コイルユニット
45U、45L. 水平偏向コイル
444、445、446、447. 磁性コア
448. 可動スリーブ

Claims (5)

  1. 陰極線管内において、電子銃から出射された複数条の電子ビームに対し偏向磁界を作用させる一対の偏向コイルと、偏向コイルの通電回路に対して巻線部が電気的に直列に挿入されてなる一対の補正コイルとを有する偏向ヨークであって、
    前記一対の補正コイルの各々は、前記巻線部の巻回軸方向に対して、相対位置が調整可能な着磁コアを有している
    ことを特徴とする偏向ヨーク。
  2. 前記一対の補正コイルは、筒状をした一つのボビンを共有して形成されており、各々の前記巻線部が、前記ボビンの外周面に互いに間隙をあけて形成され、且つ、各々の着磁コアが、前記ボビンの内方に配されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の偏向ヨーク。
  3. 前記ボビンの内方において、前記一対の補正コイルが備える2つの着磁コアの間には、フェライトからなる磁界増強部材が配されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の偏向ヨーク。
  4. 前記一対の偏向コイルは、前記複数条の電子ビームに対して水平偏向磁界を発生させる
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の偏向ヨーク。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の偏向ヨークを備えることを特徴とする陰極線管装置。
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