JP2004334760A - 火災リスク評価システムおよび火災リスク評価方法 - Google Patents

火災リスク評価システムおよび火災リスク評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】建築物のライフサイクルに対応した、火災リスク評価システムおよび火災リスク評価方法の実現を図る。
【解決手段】ライフサイクルリスク評価モデルにおいて、条件設定(X)は、建物、室、空間構成、防火対策、環境のそれぞれの条件を設定する。この評価モデルには、(A)火災シナリオ評価モデル、(B)火災リスク評価モデル、(C)防火対策コスト評価モデル、(D)ライフサイクルリスク評価モデルのサブモデルを設定する。このようなサブモデルを設定した本発明の火災リスク評価システムは、建築物のライフサイクルの観点から火災リスクと防火対策の投資コストとの関係を評価するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物のライフサイクルに対応した、火災リスク評価システムおよび火災リスク評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の火災リスクを定量化する場合,ある一時点で火災が発生したことを条件として,定量化を行うことが一般的となっている。例えば、特許文献1には、制御部が建物情報データファイル、火災レベル消火ルールファイル等を参照して、防火設備、人的対応等の要因を考慮した火災規模ごとの発生確率を算出することが記載されている。そして、火災規模を火災継続時間、焼損面積として把握することにより、建物の火災リスクを評価することが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−117363号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来においては、建物の竣工から建て替えまでの使用期間全体を通じたリスクは考慮されていなかった。このため,各々の建物の火災リスクに対する、防火設備,避難設備および防火管理などの、防火対策のイニシャルコストおよびランニングコストの投資効果を定量的に把握することが困難であるという問題があった。
【0005】
また、建物の火災により、建物内の高価な収容物が被害を受けたり、建物が長期間使用できなくなることで、企業の事業活動に大きな影響が発生する例がみられる。収容物の損害リスクや火災に起因した事業中断による損害リスク等の間接的な被害は、企業のリスクマネジメント上重要な要因である。それにも関わらず、従来のリスク評価技術では、建築物の構造、設備、内装等の直接的な被害が評価の指標の中心であった。
【0006】
このため、収容物の損害リスクや火災に起因した事業中断による損害リスクなどの間接的な被害を、建物のライフサイクルの観点から同一の指標で評価していないという問題があった。すなわち、建物のライフサイクルの観点に立った総合的な火災リスク評価システムが確立されていないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであって、建築物のライフサイクルに対応した、火災リスク評価システムおよび火災リスク評価方法の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の火災リスク評価システムは、建築物のリスク評価の条件設定をする手段と、火災シナリオ評価モデル、火災リスク評価モデル、防火対策コスト評価モデル、ライフサイクルリスク評価モデルの核サブモデルとを有し、
前記火災シナリオ評価モデルを用いて、前記条件設定に基づき火災発生時に起こり得る火災フェイズを設定する手段と、前記火災リスク評価モデルを用いて、前記火災シナリオ評価モデルで設定した火災フェイズに基づいて総損失コストを算出する手段と、前記防火対策コスト評価モデルを用いて、前記条件設定に基づき防火対策のイニシャルコストとランニングコストを算出する手段と、前記ライフサイクルリスク評価モデルを用いて、建築物の竣工後の経過年数をパラメータとして、ライフサイクルリスクと前記総損失コストおよび防火対策コストとの評価を行なう手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記火災シナリオ評価モデルを用いて、前記火災フェイズの発生確率と出火率から対象期間内の火災シナリオの発生頻度を定量化する手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記火災リスク評価モデルを用いて、火災に伴う総損失コストと共に火災発生頻度を算出する手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記ライフサイクルリスク評価モデルを用いて、建築物と収容物の再調達価格から、ライフサイクルリスクと前記各コストとの評価を行なう手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記対象とする建築物竣工後の経年変化による火災リスク変動要因を抽出して、モデル化する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記火災リスク変動要因は、当該建築物の使用形態の変化に伴う要因であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記火災リスク変動要因は、当該建築物に設置されている各種機器の性能劣化に伴う要因であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記総損失コストおよび防火対策コストの評価を、防火設備の設置の有無で行なうことを特徴とする。
【0016】
本発明の火災リスク評価方法は、評価対象とする建築物の建築物条件、室条件、室構成条件、防火対策条件、環境条件を予め設定する段階と、当該建築物内で出火の想定される全ての室に対して、火災シナリオを設定して室単位の出火率と起こり得る事象の発生確率を算出する段階と、前記設定した火災シナリオに対する損害面積を算出し、各室での損害面積をもとに、建築物揖害、収容物損害、休業損害のコストと発生頻度を算出する段階と、防火対策のイニシャルコストとランニングコストを算出する段階と、建築物竣工後の経過年数に対する損失コストと対策コストを算出し、損失コストの超過確率を評価する段階とからなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の火災リスク評価システムは、評価対象とする建築物の火災シナリオ設定モデルと、火災発生頻度評価モデルと、建築物損害リスク評価モデルと、収容物損害リスク評価モデルと、休業損害リスク評価モデルと、防火対策イニシャルコスト評価モデルと、防火対策ランニングコスト評価モデルと、ライフサイクルコスト評価モデルの各サブモデルとを設定する手段を有し、前記各サブモデルに基づいて、評価対象とする建築物の損害規模を算出する手段と、防火対策コストを算出する手段と、損害規模に対する防火対策の投資効果を評価する手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の火災リスク評価方法は、対象とする建築物に設置される防火対策の種類および作動確率等の条件をもとに、当該建築物内の各室において発生する火災の発生条件をシナリオとしてモデル化する段階と、火災が発生した場合の防火対策成否の組み合わせ、シナリオ毎の発生確率を算出する段階と、建築物内の各室の用途、床面積をもとに、室毎の年当たり平均出火回数を算出する段階と、前記設定したシナリオ毎の防火対策等の条件に対して、火災により発生する建築物の焼損面積、煙損面積、水損面積を算出する段階と、前記各々の損害面積を建築物再調達価格に対する損害コスト比に換算する段階と、前記設定したシナリオ毎の防火対策の条件に対し、火災による当該建築物の被害に伴い発生する建築物内部の収容物の物的な損害発生頻度と損害コストを算出する段階と、前記設定したシナリオ毎の防火対策等の条件に対し、火災による当該建築物の被害に伴い発生する事業所の事業中断期間を算出し、事業中断に伴う損害コストを算出する段階と、当該建築物の法令上必要とされる防火対策の仕様と設置数を算出する段階と、前記算出した防火対策の条件に基づき、当該建築物の建設時に設置される防火対策の初期投資コストを算出する段階と、当該建築物の使用段階で防火対策に関連して必要とされる維持管理のコストを算出する段階と、前記各損害コストと、防火対策の初期投資コストおよび維持管理コストとを、当該建築物の竣工後の経過年数をパラメータとして比較し、建築物のライフサイクルで想定される火災リスクに対する防火対策の投資効果を評価する段階と、からなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記評価対象とする建築物内のある室を火災室と想定する段階と、前記室で火災が発生した場合に起こり得るシナリオを、火災の進展状況、防火対策の作動の有無等のパラメータをもとに類型化し、シナリオの発生確率を算出する段階と、前記設定したシナリオ毎の損害規模を、損害の種類毎に算出し、損害規模はコストを指標として換算する段階と、当該建築物内のすべての室についてシナリオの発生確率の算出と損害規模のコストを指標とする換算を繰り返す段階と、前記繰り返しの結果より、当該建築物内のいずれかの室から出火した場合の損害規模の分布を算出する段階とからなることを特徴とする。
【0020】
このように、本発明においては、建築物のライフサイクルの観点から火災リスクと防火対策の投資コストとの関係を評価している。ここで、建築物のライフサイクルに対応する火災リスクとは、「建物の竣工から建て替えまでの期間内にどの程度の損失がどの程度の確率で発生するか」という観点で定義している。本発明においては、異なる防火対策の条件に対して火災リスクの評価を行なうことで、種々の防火対策によるリスク低減効果を定量化することが可能となる。
【0021】
また、本発明においては、火災による損失を、建築物の直接損害(収容物を含む)のみならず、事業中断による間接損害を含めて評価している。そして、これらの火災リスクと防火対策の投資コストとの関係を詳細に分析し定量化している。このため、建築物のライフサイクルからみた総合的な火災リスク評価を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の火災リスク評価システムは、前記のように建築物のライフサイクルの観点から火災リスクと防火対策の投資コストとの関係を評価する点に特徴を有している。具体的には、評価対象空間の空間形状、用途、規模、在館者数、防火対策、および竣工後の経過年数に基づき、建物の竣工から建て替えまでの使用期間内に予想される火災リスク(建物、収容物の直接損害、事業中断による間接損害のコストとその発生確率)と、建物の使用期間内に要する防火対策の投資コストを定量化するものである。なお、本発明の明細書においては、火災リスク評価対象として、建築物または建物の用語を使用するが、両者は同じ概念の同義語として表現される。
【0023】
本発明においては、建物の火災リスクを「建物の竣工から建て替えまでの期間内(ライフサイクル)にどの程度の損失がどの程度の確率で発生するか」という観点で定義し,火災による損失と超過確率の関係を定量化するものである。これと同時に、建物の竣工から建て替えまでに要する防火対策に係わるコストを定量化し、火災による損失分布と防火対策コストをそれぞれ分析して両者の関係を明確にしている。防火対策の種々の条件に対してこのような評価を行うことで、各種の防火対策によるリスク低減効果を定量化することが可能となる。
【0024】
火災による損失には,延焼や煙伝播、消火に伴う水漏れ等の建物の直接損失以外にも、什器や商品等の収容物の損失、事業の中断による休業損失、在館者の人命損失が存在する。本発明においては,火災による損失として、建物の直接損失だけでなく、人命損失を除いた収容物損失、休業損失も評価の対象としている。
【0025】
本発明による火災リスク評価システムは、主として、▲1▼損害規模の算出、▲2▼防火対策コストの算出、▲3▼損害規模に対する防火対策の投資効果の評価、の異なる3種類の部分の処理を行うものである。損害規模の算定の大略は以下の通りである。
【0026】
(1)建物内のある室を火災室と想定する。(2)その室で火災が発生した場合に起こり得るシナリオを、火災の進展状況、防火対策の作動の有無等のパラメータをもとに類型化し、シナリオの発生確率を算出する。(3)設定したシナリオ毎の損害規模を、損害の種類(直接損害、間接損害)毎に算出する。損害規模は、最終的はコストを指標として換算する。(4)建物内のすべての室について(1)〜(3)の処理を繰り返す。(5)上記の結果より、建物内のいずれかの室から出火した場合の損害規模の分布を算出する。
【0027】
防火対策コストは、建物竣工時点から建て替えまでの建物のライフサイクルを考慮し、▲1▼竣工時点での防火対策のイニシャルコスト(初期投資コスト)、▲2▼建物使用段階での防火対策のランニングコスト(維持管理コスト)の2つを対象とする。防火対策のランニングコストとしては、防火設備の更新費、保守点検費、防火管理者人件費、火災保険料が含まれる。
【0028】
また、火災による損害規模に対する防火対策の投資効果の評価では、算出した損害規模と、防火対策コストの比較により、建物竣工後の経過年数に対する損害規模と対策コストの変動を算出する。そして,両者の結果を比較することで、予想損害規模に対する防火対策の投資効果を評価する。
【0029】
図2は、本発明による損害規模算出の概念を示す説明図である。図2において、1は対象とする建物、2は損害範囲(Aij)の室、3は出火室(Fi)を示している。各シナリオij毎に損害規模Aij、発生確率pijを算出し、この処理をシナリオiNの損害規模AiN、発生確率piNまで全ての室について繰り返す。
【0030】
本発明による実施形態の火災リスク評価モデルは、(A)火災シナリオ評価モデル、(B)火災リスク評価モデル、(C)防火対策コスト評価モデル、(D)ライフサイクルリスク評価モデルの4つのサブモデルから構成される。図1は、このような火災リスク評価モデルの全体構成を示す説明図である。なお、これらの各評価モデルや、後述の各種算出手段は、適宜設置されるサーバに設けられている。
【0031】
図1による火災リスク評価は、次のように行なわれる。(1)評価対象とする建物の建物条件、室条件、室構成条件、防火対策条件、環境条件を予め設定する。リスク評価の条件設定項目の一覧の例を表1に示す。(2)建物内で出火の想定される全ての室に対して,火災シナリオ評価モデルにより、室単位の出火率と起こり得る事象の発生確率を算出する。(3)前項で設定した火災シナリオに対して、火災リスク評価モデルにより損害面積を算出する。次に、各室での損害面積をもとに、建物揖害、収容物損害、休業損害のコストと発生頻度を算出する。(4)防火対策コスト評価モデルにより、防火対策のイニシャルコストとランニングコストを算出する。(5)ライフサイクルリスク評価モデルにより、建物竣工後の経過年数に対する損失コストと対策コストを算出し、損失コストの超過確率を評価する。
【0032】
【表1】
Figure 2004334760
【0033】
表1には、リスク評価の条件設定項目が示されている。この条件設定項目は、大分類と中分類に区分される。また、大分類は、建物条件、室条件、空間構成条件、防火対策条件、環境条件に区分されている。大分類の建物条件には、中分類として「建物階数、延べ床面積、構造種別、階高、竣工年、建物想定使用年数、建物再調達価格、躯体・仕上げ・設備の再調達価格比、出火率算出における放火の有無、単位面積・期間当たり休業損害コスト」の項目が設定されている。
【0034】
大分類の室条件に対する中分類として、「室用途、室幅、室奥行、天井高さ、室階数、スパンドレル高さ、外部開口幅、外部開口高さ、火災室想定の有無、内装の種別、壁体の材質、感知器・排煙設備の種類、スプリンクラー設備の有無、ヘッド間隔」の項目が設定されている。また、大分類の空間構成条件に対する中分類として、「隣接する室の開口幅、開口高さ、開口扉の防火性能、開口の閉鎖機構、壁体の耐火時間」の項目が設定されている。
【0035】
大分類の防火対策条件に対する中分類として、「各種防火設備の設置状況、防災センター設置階数、防火管理者数(昼間、夜間)、近隣消防署との距離、防火設備の更新間隔、年間点検費用、基本保険料率」の項目が設定されている。また、大分類の環境条件に対する中分類として、「外気温度、室内温度」の項目が設定されている。このように、表1には、リスク評価の条件設定項目が詳細に示されているので、表1の条件設定を行なうことにより精度良く火災リスクを評価することができる。
【0036】
次に、図1のライフサイクルリスク評価モデルに関して、各サブ評価モデルについて説明する。条件設定(X)は、表1の大分類にあるように、建物、室、空間構成、防火対策、環境のそれぞれの条件を設定する。このような処理は、サーバに必要な項目を入力して表1のテーブルを作成し、ハードディスクなどの適宜の記憶手段に記憶させておくことにより行なわれる。
【0037】
(A)火災シナリオ評価モデルは、火災シナリオの設定(Aa)と、火災発生頻度の算出(Ab)によるモデル化を行なうものである。(B)火災リスク評価モデルは、フエイズ毎の焼損・煙損・水損面積の算出(Ba)を行なう。この処理は、建物損失コストと発生頻度の算出(Bb)、収容物損失コストと発生頻度の算出(Bc)、休業損失コストと発生頻度の算出(Bd)を含むものである。
【0038】
(C)防火対策コスト評価モデルは、対策イニシャルコストの算出(Ca)、対策ランニングコストの算出(Cb)を行なう。(D)ライフサイクルリスク評価モデルでは、(B)火災リスク評価モデルに基づきライフサイクル損失コストの算出(Da)を行なう。また、(C)防火対策コスト評価モデルに基づきライフサイクル防火対策コストの算出(Db)を行なう。前記のコスト(Da)、(Db)により損失コストの対策コスト超過確率を算出する(Dc)。
【0039】
次に、(A)火災シナリオ評価モデルについて、さらに説明する。火災シナリオの評価は、▲1▼各室での出火率、および、▲2▼火災発生時に起こり得る事象の発生確率を算出し、▲1▼と▲2▼の積により、各室で火災が発生した場合の対象期間内でのシナリオの発生頻度を定量化する。各室での出火率を算定する際には、過去の火災統計等に基づき、室用途毎での単位面積当たり年当たり平均出火回数を設定する。そして、例えば室用途、床面積をパラメータとして、室単位の年当たり平均出火回数を算出する。
【0040】
火災発生後に起こり得る事象の発生確率は,火災の拡大を室単位で段階的に拡大していく火災フェイズの概念に基づきモデル化し、フェイズ毎に関連する防火対策、および非常時の対応行動の作動成否を条件として与える。このようにして、フェイズ毎に事象の発生確率を実態に即して算出する。
【0041】
次に、(B)火災リスク評価モデルについて説明する。火災リスク評価モデルは、火災シナリオモデルで設定した火災フェイズに対して、建物内のある室で出火した場合の損害面積を算出する。このような処理を、出火室として想定される全ての室に対して繰り返す。このようにして、最終的には、▲1▼火災により発生する建物損害、▲2▼室内の収容物の物的損害、▲3▼火災後の事業中断による休業損害のリスクを、損失コストを共通の指標として算出する。
【0042】
次に、前記損害面積の算出について説明する。火災による損害発生の要因としては、主に、▲1▼延焼拡大に伴う焼損、▲2▼煙伝播に伴う煙損、▲3▼消火に伴う水損が挙げられる。本実施形態の火災リスク評価モデルにおいては、これら3つの要因による損害を、設定した火災フェイズ毎に各々面積に換算する。
【0043】
図3は、火災フェイズ毎の損害面積算出方法を示す説明図である。図3により本実施形態における損害面積算出の基本的な考え方を説明する。図3において、(a)欄にはフェイズ1〜6、(b)欄には各フェイズの火災の状態、(c)欄には焼損面積算出方法、(d)欄には煙損面積算出方法、(e)欄には水損面積算出方法をそれぞれ記載している。
【0044】
(c)欄の焼損面積の算出方法について説明する。フェイズ1、2では、火災室内で火災の成長に伴い、損害面積が同心円状に拡がると仮定した。フェイズ4は、火災シナリオ評価モデルから得られるフェイズの限界時間、消防隊の到着時間のいずれか短い時間内に、火災階で燃え拡がる室の範囲を壁の耐火時間をもとに算出する。フェイズ5、6では、外部開口を介した噴出火炎による非火災階への上階延焼を対象とする。フェイズ6では対策が全て奏功しないことから、火災階より上の階全てを焼損面積の算定対象とした。
【0045】
次に、(d)欄の煙損面積算出方法について説明する。フェイズ1〜3は、焼損範囲と火災室の扉の開閉条件を考慮して算出する。またフェイズ4〜6では、階段室やエレベータシャフト等の竪穴区画の隙間を介して上層階へ煙が伝播するものとした。
【0046】
次に、(e)欄の水損面積算出方法について説明する。フェイズ2では、スプリンクラー設備がある場合は、危険側の条件としてヘッド4個が同時に作動した場合を想定した。スプリンクラー設備がない場合は,屋内消火栓を用いて消火した場合を想定し,火災統計による焼損面積と水損面積の回帰式を用いた。フェイズ3〜6は,火災階での水損が下階に影響を与えるものとし、火災階の水損面積と同じ面積を2〜3階加えている。図3に示されているように、焼損面積、煙損面積、水損面積の算出の際には、火災室の床面積(A)、K階の床面積{A(K)}、火災室を起点とした耐火時間が所定時間以内の床面積A(i)などのファクターが使用されている。これらの損害面積の演算は、サーバの制御部により行なわれる。
【0047】
図3により算出した損害面積を基にして、損失コストを算出する。焼損、煙損、水損の各々の損害が、躯体、仕上げ、設備に与える影響を考慮した上で、建物の再調達価格と、躯体、仕上げ、設備の再調達価格比に基づき、損失コストに換算する。各々の損失コストの換算方法の例を式1に示す。式1は、(1)〜(3)の3式からなるものである。
【0048】
【数1】
Figure 2004334760
【0049】
式1において、Lc1:躯体損失コスト(円)、Lc2:仕上げ損失コスト(円)、a:躯体の損害割合調整率、C:建物再調達価格(円)、R1、2、:躯体、仕上げ、設備の再調達価格比、D1i、D2i、D3i:i階における焼損、煙損、水損面積(m)、A:i階における床面積、Atotal:延べ床面積(m)とする。
【0050】
式1により建物の直接損失コスト(Bb)を算出する。すなわち、シナリオ毎の焼損、煙損、水損の各損害面積の算出結果を、建物の直接損失に換算する。次に、収容物の損失コストを算出する。収容物の損失コスト(Bc)は、室用途をパラメータとして、単位面積当たりの平均収容物コストを設定する。その上で、室単位での損害面積算出結果を用いて、収容物の物的な損失コストに換算する。
【0051】
次に事業中断による休業損失コスト(Bd)を算出する。休業損失コストは、損害面積の規模に応じて想定される建物補修期間を事業中断期間と仮定し、単位面積・期間当たり平均休業コストとの積により損失コストに換算する。単位面積・期間当たり平均休業コストは建物の業態により大きく異なるが、事務所については建物賃料を基準として設定する。
【0052】
(C)防火対策コスト評価モデルについては、防火設備のイニシャルコスト(初期投資コスト)、および防火対策に係わる建物使用段階でのランニングコスト(維持管理コスト)を対象として、竣工後の経過年数に対する投資コストを評価する。ここで、イニシャルコスト評価モデル(Ca)は、建築物の用途、規模をもとに防火対策の仕様と設置数を算出する。そして、予め設定した防火設備の機器数当たり(または設置対象床面積当たり)の単価データを用いて、建築物の建設時に設置される防火対策の初期投資コストを算出する。
【0053】
ランニングコスト評価モデル(Cb)は、建築物の使用段階で防火対策に関連して必要とされる維持管理コストを算出する。評価の対象は、▲1▼防火管理者の人件費、▲2▼防火設備の更新費、▲3▼防火設備の保守定期点検費、▲4▼火災保険料である。防火設備の更新費は、設備更新間隔をもとに更新費用を積み立てる方式で、各年の更新費用を算出する。
【0054】
(D)ライフサイクルリスク評価モデルは、(B)で算出した火災に伴う損失コストと、(C)で算出した防火対策コストを評価する。すなわち、建築物の竣工後の経過年数をパラメータとして比較し、建物のライフサイクルを通じて想定される火災リスクに対する防火対策の投資効果を評価する。
【0055】
ライフサイクルに対するコスト評価では、一般的には建物や収容物の減価償却や物価変動の影響を考慮する必要があるが、本実施形態のモデルでは、建物、収容物の再調達価格を基本として評価を行なう。図4は、ライフサイクルリスクとコストの評価の概念を示す説明図である。図4は横軸に建物の竣工後の経過期間を設定し、縦軸に損失/防火対策コストを設定している。
【0056】
図4を参照して、(Ia)は防火対策コスト、(Ib)は損失コスト期待値、(Ic)は損失コスト分布、(Id)は損失コストの超過確率を示している。図4においては、竣工後の経過期間に対して、火災による損失分布と対策投資コストを比較し、火災損失コストが対策投資コストを超過する確率を算出する。このような処理を行なうことにより、損失の超過確率を指標とした対策の投資効果の定量化が可能となる。
【0057】
以上の実施形態では、ライフサイクルの観点から、建築物の火災リスクと防火対策コストを評価するモデルについて説明した。図1のサブモデル(A)〜(D)は、サーバに必要項目が入力され、記憶手段に記憶されることにより設定されている。また、前記した必要な演算やサブモデル間の処理などは、CPUなどのサーバの制御部により行われる。なお、図4のような特性図をCPUの演算結果として表示部に表示させることもできる。
【0058】
図5〜図8は、図1をさらに詳しく展開した実施形態の例を示す説明図である。この実施形態においては、(A)火災シナリオ設定モデル、(B)火災発生頻度評価モデル、(C)建物損害リスク評価モデル、(D)収容物損害リスク評価モデル、(E)休業損害リスク評価モデル、(F)防火対策イニシャルコスト評価モデル、(G)防火対策ランニングコスト評価モデル、(H)ライフサイクルコスト評価モデルの各サブモデルが設定されている。
【0059】
図5の(A)火災シナリオ設定モデルにおいては、対象とする建物に設置される防火対策の種類および作動確率、防火管理者数、消防署との距離等の条件をもとに、建物内の各室において発生する火災の発生条件をシナリオとしてモデル化している。そして、火災が発生した場合の防火対策成否の組み合わせ、シナリオ毎の生起確率を算出する。
【0060】
具体的には、環境条件Ap、建物条件Aq、室条件Ar、防火対策条件Asを設定する。また、防火対策作動信頼性データベースAtと前記各条件Ap〜Asにより、火災シナリオの設定Auを行なう。次に、火災シナリオの設定Auに基づき、フェイズ限界時間、感知器作動時間、消防隊消火開始時間、火災継続時間の各パラメータAvを設定する。また、防火対策の作動成否の組み合わせと事象の生起確率Awを設定する。
【0061】
(B)火災発生頻度評価モデルにおいては、建物内の各室の用途、床面積をもとに、室毎の年当たり平均出火回数を算出する。具体的には、建物条件Bp、室条件Bqと、室用途別出火率データベースBsにより、火災発生頻度の算出Brを行なう。これより、年当たり平均出火回数の算出Btを行なう。
【0062】
(C)建物損害リスク評価モデルは、火災シナリオモデルで設定したシナリオ毎の防火対策等の条件に対して、火災により発生する建物の焼損面積、煙損面積、水損面積を算出する。さらに、各々の損害面積を建物再調達価格に対する損害コスト比に換算する。具体的には、建物条件Cp、室条件Cqからフエイズ毎の焼損面積の算出Csを行なう。また、フェイズ毎の煙損面積の算出Cr、フェイズ毎の水損面積の算出Ctを行なう。次に、シナリオ毎の煙損面積Cu、シナリオ毎の焼損面積Cv、シナリオ毎の水損面積Cwに基づいて、建物損害コストの算出Cxを行い、年当たりの建物損害コストと発生頻度の算出Cyを行なう。
【0063】
(D)収容物損害リスク評価モデルは、火災シナリオモデルで設定したシナリオ毎の防火対策の条件に対し、火災による当該建物の被害に伴い発生する建物内部の什器、書類、商品等の収容物の物的な損害発生頻度と損害コストを算出する。具体的には、建物条件Dp、室条件Dq、収容物コストデータベースDsに基づいて、各階平均収納物コストの算出Drを行なう。次に、収容物損害コストDtの算出を行い、収容物損害コストDtに基づいて年当たりの収容物損害コストと発生頻度Duを算出する。
【0064】
(E)休業損害リスク評価モデルは、火災シナリオモデルで設定したシナリオ毎の防火対策等の条件に対して、火災による当該建物の被害に伴い発生する事業所の事業中断期間(建物補修期間)を算出する。また、事業中断に伴う損害コストを算出する。具体的には、建物条件Epから建物補修期間Eqを算出する。次に、休業損害コストErの算出を行なう。休業損害コストErに基づいて年当たりの休業損害コストと発生頻度Esを算出する。
【0065】
これらの(C)建物損害リスク評価モデルの年当たりの建物損害コストと発生頻度、(D)収容物損害リスク評価モデルの年当たりの収容物損害コストと発生頻度、および (E)休業損害リスク評価モデルの休業損害コストと発生頻度は、図8に示したライフサイクルコスト評価モデルで使用される。
【0066】
(F)防火対策イニシャルコスト評価モデルは、建築物の用途、規模、竣工年をもとに、法令上必要とされる防火対策の仕様と設置数を算出する。そして、算出した防火対策の条件に基づき、建築物の建設時に設置される防火対策の初期投資コストを算出する。具体的には、建物条件Fa、防火対策条件Fbと、防火設備イニシャルコストデータベースFdに基づいて、対策イニシャルコストの算出Fcを行なう。また、対策イニシャルコストにより防火対策イニシャルコストの算出Feを行なう。
【0067】
(G)防火対策ランニングコスト評価モデルにおいては、建築物の使用段階で防火対策に関連して必要とされる維持管理のコスト(防火管理者の人件費、防火設備の保守定期点検、設備更新費、火災保険料等)を算出する。具体的には、建物条件Gaから建物管理条件Geを設定する。建物管理条件Geと防災管理人件費データベースGhから、防火管理者人件費の算出Gpを行なう。また、建物条件Gbと保守点検用データベースGiから防火対策保守点検費の算出Grを行なう。
【0068】
建物条件Gc、防火設備条件Gf、耐用年数データベースGj、防火設備イニシャルコストデータベースGmより、防火設備更新費の算出Gsを行なう。また、建物条件Gd、室条件Gg、防火設備条件Gk、保険料率データベースGl、消火設備割引率データベースGnより、火災保険料の算出Gtを行なう。
【0069】
これらの防火管理者人件費、防火対策保守点検費、防火設備更新費、火災保険料コストに基づいて、対策ランニングコストの算出Guを行なう。また、防火対策ランニングコストの算出Gvを行なう。前記防火対策イニシャルコストと、防火対策ランニングコストは、ライフサイクルコスト評価モデルGwの処理で使用される。
【0070】
(H)ライフサイクルコスト評価モデルにおいては、上記(B)〜(D)で算出した火災に伴う損害コストと、(E)〜(F)で算出した防火対策のコストを、建築物の竣工後の経過年数をパラメータとして比較する。そして、建物のライフサイクルで想定される火災リスクに対する防火対策の投資効果を評価する。具体的には、火災リスク評価モデルよリの算出結果Czと、防火対策コスト評価モデルよリの算出結果Gwを利用する。火災リスク評価モデルよリの算出結果Czを利用して、建物使用条件Haとライフサイクル損害コストの算出Hbより、竣工後の経過年数に対する損害コストの算出Heを行なう。
【0071】
また、防火対策コスト評価モデルよリの算出結果Gwを利用して、ライフサイクル防火対策コストの算出Hcを行なう。次に、ライフサイクル防火対策コストHcと建物条件Hdから、竣工後の経過年数に対する防火対策コストの算出Hgを行なう。前記竣工後の経過年数に対する損害コストと、竣工後の経過年数に対する防火対策コストから、損害コスト、対策コストの比較評価Hfを行い、防火対策の費用対効果の算出Hhを行なう。
【0072】
このように、図5〜図8の例では、(A)火災シナリオ設定モデル、(B)火災発生頻度評価モデル、(C)建物損害リスク評価モデル、(D)収容物損害リスク評価モデル、(E)休業損害リスク評価モデル、(F)防火対策イニシャルコスト評価モデル、(G)防火対策ランニングコスト評価モデル、(H)ライフサイクルコスト評価モデルの各サブモデルが設定されている。このように、多様な形態でサブモデルを設定しているので、精度良くライフサイクルに対応した火災リスクの評価を行なうことができる。
【0073】
図9は、ライフサイクル火災リスクの評価結果例を示す特性図である。図9(a)は防火対策のグレードが高い場合、図9(b)は防火対策のグレードが低い場合を示している。(a)と(b)を比較すると、(a)は(b)よりも防火対策のイニシャルコストとランニングコストが高くなっており、損害コストの累計が(b)よりも低額となっている。すなわち、防火対策のグレードが高い場合には、火災による累計の損害コストが低くなることを裏付けている。なお、図9の特性図は、制御部で演算した結果をグラフ化して、適宜の表示部で表示させることが可能である。
【0074】
以上の実施形態においては、建築物のライフサイクルの観点から火災リスクと防火対策の投資コストを定量的に評価するモデルの概要について説明した。次に、火災シナリオのモデル化に関して説明する。火災シナリオの設定にあたっては、火災の拡大を火災フェイズとして区分し、発生事象を整理している。火災フェイズは、段階的な火災の拡大状況を、建築の空間構成、および実施すべき防火対策と対応させるために用いる概念である。各フェイズに必要な防火対策を割り当て、フェイズが限界状態に達するまでに、対策が実施できる確率を計算し、シナリオの発生確率を求める。火災フェイズは、表2のように設定した。
【0075】
【表2】
Figure 2004334760
【0076】
表2において、フェイズの名称としてフェイズ1〜フェイズ6を設定している。そして、各フェイズ毎に火災の状態、火災の進展防止のための防火対策(関連する主な設備、人的対応)を対応させている。フェイズ1は初期拡大段階、フェイズ2は出火室内拡大段階、フェイズ3は出火室内盛期火災段階、フェイズ4は出火階延焼段階、フェイズ5は非出火階延焼段階、フェイズ6は全対策が不奏功の状態である。
【0077】
火災の進展防止のための防火対策として、関連する主な設備は、フェイズ1では消火器、フェイズ2では屋内消火栓、スプリンクラー、排煙設備である。また、フェイズ3では防火戸である。次に、防火対策の人的対応は、フェイズ1では初期消火、フェイズ2では初期消火と排煙機起動、フェイズ3では防火区画の形成、フェイズ4、フェイズ5では消防隊の消火をそれぞれ行なう。
【0078】
次に、火災シナリオを用いて、シナリオ発生確率と各シナリオにおける被害の大きさを対応づけを行なう。シナリオは、自火報設備の作動有無によって大きく2つに区分し、このフェイズの進展と合わせる形で整理する。設定したシナリオを表3に示す。
【0079】
【表3】
Figure 2004334760
【0080】
表3には、シナリオ番号1−1〜7に対応させて、自火報の作動の有無、シナリオが想定している状態、損害面積算出に用いるフェイズを設定している。シナリオ番号1−1と1−2では自火報は作動せず、シナリオ番号2〜7では自火報が作動するものと設定した。
【0081】
シナリオが想定している状態として、シナリオ番号1−1ではスプリンクラーは作動せず、損害面積算出に用いるフェイズはフェイズ6である。また、シナリオ番号1−2ではスプリンクラーが作動し、損害面積算出に用いるフェイズはフェイズ4である。次に、自火報が作動した場合はシナリオ番号2〜7に、フェイズ1〜6をそれぞれ対応させている。
【0082】
シナリオ番号2(フェイズ1)でシナリオが想定している状態は、初期拡大段階で対策が奏功した状態である。以下、シナリオ番号3(フェイズ2)では、出火室内拡大段階で対策奏功、シナリオ番号4(フェイズ3)では、出火室内盛期火災段階で対策奏功、シナリオ番号5(フェイズ4)では、出火階延焼段階で対策奏功、シナリオ番号6(フェイズ5)では、非出火階へ延焼する段階で対策奏功、シナリオ番号6(フェイズ6)では、対策がすべて不奏功である。
【0083】
表3のシナリオにおいて、シナリオ発生確率を算出するために用いた主なパラメーターは次の項目である。(1)建物・防火対策条件。この項目には、建物竣工年、防火対策についての調査年、防火管理者数(昼・夜〉、防災センター設置階、防火対策設備の有無と種類、防火設備更新期間、消防署との距離、消防隊進入階が含まれている。
【0084】
(2)出火室条件。この項目には、火災階、火災室用途・大きさ(幅・奥行・高さ)、内装種別、開口の大きさ(幅・高さ)、壁体の種類、区画構成材の種類が含まれている。(3)環境条件。この項目は、周辺空気の温度・外気温度を対象とする。パラメーターには、これら(1)〜(3)の項目を網羅しているので、シナリオ発生確率の算出の際に、火災発生時に起こり得る事象を総合的に反映させることができる。
【0085】
さらに、各シナリオの発生確率は、上記各パラメータの値や、各種データベース(室用途別火災荷重、壁体の種類別熱慣性、室用途別火災成長パラメータ、設置後の経過年毎の防火設備作動確率、管理者人数別対応行動時間実施確率等)、および防火設備の更新期間をふまえて算出している。このため、高い精度でシナリオの発生確率を算出することができる。なお、シナリオ1−1〜シナリオ7までの発生確率の合計は1となる。
【0086】
次に、火災シナリオに用いる防火対策の作動確率に関して説明する。建物は、設置後の経過年数に応じて防火対策の信頼性が低下する傾向があることが知られている。そこで、表4に示すように防火対策の作動信頼性の数値を設定した。ここでは防火設備更新期間を一律20年とした例を示す。なお、実際には、経過年数に応じて一律に作動確率が低下するわけではなく、建物の維持管理状況によりばらつきが大きくなる。
【0087】
【表4】
Figure 2004334760
【0088】
表4には、防火対策の種類と経過年数に対応させて作動確率の数値を設定している。防火対策の種類として、自火報(煙感知器、熱感知器)、消火器、屋内消火栓、スプリンクラー設備、排煙設備(自然排煙、機械排煙)、防火戸(常時閉鎖、随時閉鎖、シャッター)、不燃扉、非常用電源設備を設定している。また、経過年数は、0〜6年、7〜13年、14〜19年に区分している。表4より、防火対策の手段は、建物の建築後の経過年数が14年〜19年経過後には、10〜20%程度作動確率が低下している。
【0089】
次に、室用途別の出火率の設定方法の例を説明する。当該出火率は「建物内で発生する小火(ボヤ)を含む火災の単位面積当り年間出火回数(単位:回/m・年)」と定義する。隣接建物からの類焼火災などは対象外とする。本評価モデルで用いた室用途別出火率(単位面積当り年間出火回数)の一例を表5と表6に示す。
【0090】
【表5】
Figure 2004334760
【0091】
【表6】
Figure 2004334760
【0092】
表5には、室用途別出火率(出火原因に放火を含むケース)を示している。また、表6には、室用途別出火率(出火原因に放火を含まないケース)を示している。表5、表6においては、事務室、食堂・厨房、給湯室、機械室の対象個所毎に、小規模建物の出火率と、大規模建物の出火率を設定している。なお、小規模建物は床面積が3000m以下の建物、大規模建物は床面積が3000mを超える建物を対象としている。
【0093】
平年の火災統計では火災原因に占める放火の割合が高く、室用途により放火が全火災原因に占める割合は異なる。このため、表5、表6に示した室用途のうち、事務室では火災原因に占める放火の割合をもとに放火を含むか否かで異なる値を設定した。また、出火率は建物規模によってもばらつきが大きい傾向があるため、表5、表6では建物規模により異なる値を設定した。
【0094】
次に、他の実施形態として、構築したライフサイクル火災リスク評価モデルをある仮想の事務所ビルに適用し,ケーススタディを行なう例について説明する。
【0095】
このケーススタディの概要について説明する。ケーススタディに用いた建物の平面図を図10に示している。ケーススタディに用いた建物は、10階建ての事務所ビルを想定した。1階は図10(b)に示すように飲食店舗とエントランスホール、建物管理室,機械室から構成される。2〜10階は図10(a)に示すように、主に事務室、給湯室からなるものとする。
【0096】
ケーススタディの設定条件を表7(8)〜9(10)に示す。ここでは、事務室、給湯室、飲食店舗、機械室からの出火を想定し、全ての階(計32室)を対象として損失コストとその発生確率を算出した。また、防火対策の条件の違いが評価結果に与える影響を検討するため、スプリンクラー設備が設置されている場合と、スプリンクラー設備が設置されていない場合の2ケースについて検討を行なった。
【0097】
【表7】
Figure 2004334760
【0098】
表7には、建物条件の主な設定値が示されている。建物条件の項目として、建物階数、基準階床面積、延べ床面積、構造種別、階高、建物想定使用年数、建物再調達価格、再調達価格構成比(躯体、仕上げ、設備)、出火率算出における放火の有無、単位面積当たりの収容物コスト、単位面積当たり期間当たり休業コストを設定する。これら各項目の設定値は、仮に想定して設定したものである。
【0099】
【表8】
Figure 2004334760
【0100】
表8には、出火を想定する室の主な設定値を示している。項目の欄には、火災成長率(kW/m)、火災荷重(kg/m)、天井高さ(m)、外部開口高さ(m)を設定する。また、出火を想定する対象室は、事務室、給湯室、飲食店舗、機械室としている。これら各項目の設定値も、仮に想定して設定したものである。
【0101】
【表9】
Figure 2004334760
【0102】
表9には、防火対策条件の設備の設定が示されている。項目の欄には、設置する主な消火設備、防火設備の更新間隔、防火設備の作動確率、年間点検費用、消防署からの距離、管理室要員数を設定する。また、設置する主な消火設備として、自動火災報知器、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、連結送水管、非常用照明設備、排煙設備(機械式)、蓄電池設備、非常用エレベータ(1台)が挙げられている。ここで、防火設備の作動確率については、公知資料に基づく値を適宜設定する。
【0103】
【表10】
Figure 2004334760
【0104】
表10は、防火対策コストの算出結果の例を示している。項目の欄には、防火対策イニシャルコストの建物再調達価格比と、防火対策ランニングコストの1年当たり建物再調達価格比を設定している。それぞれの項目に対応させて、設定条件としてスプリンクラーの有無により前記価格比を設定している。
【0105】
本実施形態においては、建物や収容物のコストは建築工事原価分析情報などの公知の資料に基づき設定した。休業損失は,実際には企業の業態や経営状況により設定方法が異なる。ここでは、単位面積当たりの賃料をもとに休業損失を算出することとしている。そして、損害面積をもとに修復に要する工期を求め、その日数に単位面積当たりの休業コスト単価を乗算して休業損失を算出した。
【0106】
次に、本実施形態におけるケーススタディの結果について説明する。図11は、 竣工後の経過年数に対する防火対策コスト(イニシャルコストとランニングコストを含む)と、総損失コスト期待値(建物,収容物,休業損失の合計)の推移を示す特性図である。図11(a)はスプリンクラー設備設置の場合、図11(b)はスプリンクラー設備未設置の場合である。
【0107】
防火対策コストの算出結果は前記表11に示されている。図11では、建物再調達価格に対するコスト比を指標として用いた。総損失コスト期待値と防火対策コストを比較した場合、対策コストの方が総損失コスト期待値を大きく上回っている。この傾向は、スプリンクラー設備の有無に関わらず同じである。但し、防火対策コスト(B)に対する総損失コスト期待値(A)の割合(A/B)は、年数が経るにつれて高くなっており、スプリンクラー設備が設置されていない方が、その割合は高くなっている。
【0108】
図12は、図11の特性(A)の総損失コスト期待値のうち、建物損失、収容物損失、休業損失が占める割合を示す特性図である。各損失コストの割合は,竣工後の経過年数によらずほぼ一定で,うち建物損失が約50%,収容物損失が約30%,休業損失が約20%を占めている。
【0109】
一般的な事務所の場合、建物損失コストと同程度の収容物損失、休業墳失コストが発生する可能性があることがわかる。このように、図12を参照すると、火災リスクを評価する際には、建物損失コストと同じ比率で収容物損失と休業墳失コストについても重視する必要があることを示している。
【0110】
図13は、竣工後の経過期間内での建物損失コスト、総損失コストの超過発生頻度を示す特性図である。図13(a)はスプリンクラー設備設置の場合、図13(b)はスプリンクラー設備未設置の場合である。ここで、図13と図11の損失コスト期待値とを比較する。60年間の損失期待値は、建物再調達価格の約5%程度(図11)であるのに対し、総損失コストの分布は、最大で150%程度(図13)まで拡がっている。このように、図13を参照すると、出火の発生確率は小さくても、損失が防火対策コストを上回る危険性があることがわかる。
【0111】
図14は、図11の防火対策コストと、図13の損失コスト分布をもとに,損失コストが防火対策コストを超過する火災の発生頻度を算出した結果を示す特性図である。図14(a)はスプリンクラー設備設置の場合、図14(b)はスプリンクラー設備未設置の場合である。総損失コストが防火対策コストを上回る頻度は、竣工後、年を経る毎に増加している。
【0112】
これに対して、建物損失コストが防火対策コストを上回る頻度は、35〜40年後を境として減少しており、特にスプリンクラー設備が設置されている場合その影響は大きい。これは、竣工後の経過年数に対する防火対策のランニングコストの増加が建物損失コストの増加を上回っていることを意味している。このような指標を用いることで、ランニングコストを含めた防火対策の効果を定量化することができる。なお、図11〜図14の特性図は、適宜の表示部で表示させることができる。
【0113】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、建築物のライフサイクルに対応した、火災リスク評価を行うことができる。その際に、火災リスクを定量的に表示することにより、リスク低減対策の具体的な効果が把握しやすいという利点がある。また、建物の防火設備等のハード面での防火対策に加え、防火管理等のソフト面での防火対策がリスク低減に与える効果を把握できるため、建物所有者にとって,バランスのとれた火災リスクマネジメントが可能となる。さらに、建物の火災に対する性能を総合的に評価することにより,設計段階での合理的な火災安全設計が可能となる。
【0114】
また、本発明においては、建築物の竣工後の経過期間に対して、火災による損失分布と対策投資コストを比較し、火災損失コストが対策投資コストを超過する確率を算出することができる。このような処理を行なうことにより、損失の超過確率を指標とした対策の投資効果の定量化が可能となる。
【0115】
また、本発明においては、火災による総損失コストおよび防火対策コストの評価を、防火設備の設置の有無で行なうことができる。このため、火災による総損失コストおよび防火対策コストの評価を防火設備の設置の有無で対比判断して、火災リスクを回避するための長期的なコストマネジメントを策定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】火災リスク評価モデルの全体構成を示す説明図である。
【図2】損害規模算出の概念を示す説明図である。
【図3】火災フェイズ毎の損害面積算出方法を示す説明図である。
【図4】ライフサイクルリスクとコストの評価の概念を示す説明図である。
【図5】他の実施形態を示す説明図である。
【図6】他の実施形態を示す説明図である。
【図7】他の実施形態を示す説明図である。
【図8】他の実施形態を示す説明図である。
【図9】ライフサイクル火災リスクの評価結果例を示す特性図である。
【図10】建物の平面図である。
【図11】竣工後の経過年数に対する防火対策コストと総損失コスト期待値の推移を示す特性図である。
【図12】図11の特性(A)の総損失コスト期待値のうち、建物損失、収容物損失、休業損失が占める割合を示す特性図である。
【図13】竣工後の経過期間内での建物損失コスト、総損失コストの超過発生頻度を示す特性図である。
【図14】損失コストが防火対策コストを超過する火災の発生頻度を算出した結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1・・・対象とする建物、2・・・損害範囲の室、3・・・出火室。

Claims (12)

  1. 建築物のリスク評価の条件設定をする手段と、火災シナリオ評価モデル、火災リスク評価モデル、防火対策コスト評価モデル、ライフサイクルリスク評価モデルの各サブモデルとを有し、
    前記火災シナリオ評価モデルを用いて、前記条件設定に基づき火災発生時に起こり得る火災フェイズを設定する手段と、前記火災リスク評価モデルを用いて、前記火災シナリオ評価モデルで設定した火災フェイズに基づいて総損失コストを算出する手段と、前記防火対策コスト評価モデルを用いて、前記条件設定に基づき防火対策のイニシャルコストとランニングコストを算出する手段と、前記ライフサイクルリスク評価モデルを用いて、建築物の竣工後の経過年数をパラメータとして、ライフサイクルリスクと前記総損失コストおよび防火対策コストとの評価を行なう手段とを備えたことを特徴とする、火災リスク評価システム。
  2. 前記火災シナリオ評価モデルを用いて、前記火災フェイズの発生確率と出火率から対象期間内の火災シナリオの発生頻度を定量化する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の火災リスク評価システム。
  3. 前記火災リスク評価モデルを用いて、火災に伴う総損失コストと共に火災発生頻度を算出する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の火災リスク評価システム。
  4. 前記ライフサイクルリスク評価モデルを用いて、建築物と収容物の再調達価格から、ライフサイクルリスクと前記各コストとの評価を行なう手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の火災リスク評価システム。
  5. 前記対象とする建築物竣工後の経年変化による火災リスク変動要因を抽出して、モデル化する手段を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の火災リスク評価システム。
  6. 前記火災リスク変動要因は、当該建築物の使用形態の変化に伴う要因であることを特徴とする、請求項5に記載の火災リスク評価システム。
  7. 前記火災リスク変動要因は、当該建築物に設置されている各種機器の性能劣化に伴う要因であることを特徴とする、請求項5に記載の火災リスク評価システム。
  8. 前記総損失コストおよび防火対策コストの評価を、防火設備の設置の有無で行なうことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の火災リスク評価システム。
  9. 評価対象とする建築物の建築物条件、室条件、室構成条件、防火対策条件、環境条件を予め設定する段階と、当該建築物内で出火の想定される全ての室に対して、火災シナリオを設定して室単位の出火率と起こり得る事象の発生確率を算出する段階と、前記設定した火災シナリオに対する損害面積を算出し、各室での損害面積をもとに、建築物損害、収容物損害、休業損害のコストと発生頻度を算出する段階と、防火対策のイニシャルコストとランニングコストを算出する段階と、建築物竣工後の経過年数に対する損失コストと対策コストを算出し、損失コストの超過確率を評価する段階とからなることを特徴とする、火災リスク評価方法。
  10. 評価対象とする建築物の火災シナリオ設定モデルと、火災発生頻度評価モデルと、建築物損害リスク評価モデルと、収容物損害リスク評価モデルと、休業損害リスク評価モデルと、防火対策イニシャルコスト評価モデルと、防火対策ランニングコスト評価モデルと、ライフサイクルコスト評価モデルの各サブモデルとを設定する手段を有し、前記各サブモデルに基づいて、評価対象とする建築物の損害規模を算出する手段と、防火対策コストを算出する手段と、損害規模に対する防火対策の投資効果を評価する手段とを備えたことを特徴とする、火災リスク評価システム。
  11. 対象とする建築物に設置される防火対策の種類および作動確率等の条件をもとに、当該建築物内の各室において発生する火災の発生条件をシナリオとしてモデル化する段階と、火災が発生した場合の防火対策成否の組み合わせ、シナリオ毎の発生確率を算出する段階と、建築物内の各室の用途、床面積をもとに、室毎の年当たり平均出火回数を算出する段階と、前記設定したシナリオ毎の防火対策等の条件に対して、火災により発生する建築物の焼損面積、煙損面積、水損面積を算出する段階と、前記各々の損害面積を建築物再調達価格に対する損害コスト比に換算する段階と、前記設定したシナリオ毎の防火対策の条件に対し、火災による当該建築物の被害に伴い発生する建築物内部の収容物の物的な損害発生頻度と損害コストを算出する段階と、前記設定したシナリオ毎の防火対策等の条件に対し、火災による当該建築物の被害に伴い発生する事業所の事業中断期間を算出し、事業中断に伴う損害コストを算出する段階と、当該建築物の法令上必要とされる防火対策の仕様と設置数を算出する段階と、前記算出した防火対策の条件に基づき、当該建築物の建設時に設置される防火対策の初期投資コストを算出する段階と、当該建築物の使用段階で防火対策に関連して必要とされる維持管理のコストを算出する段階と、前記各損害コストと、防火対策の初期投資コストおよび維持管理コストとを、当該建築物の竣工後の経過年数をパラメータとして比較し、建築物のライフサイクルで想定される火災リスクに対する防火対策の投資効果を評価する段階と、からなることを特徴とする、火災リスク評価方法。
  12. 前記評価対象とする建築物内のある室を火災室と想定する段階と、前記室で火災が発生した場合に起こり得るシナリオを、火災の進展状況、防火対策の作動の有無等のパラメータをもとに類型化し、シナリオの発生確率を算出する段階と、前記設定したシナリオ毎の損害規模を、損害の種類毎に算出し、損害規模はコストを指標として換算する段階と、当該建築物内のすべての室についてシナリオの発生確率の算出と損害規模のコストを指標とする換算を繰り返す段階と、前記繰り返しの結果より、当該建築物内のいずれかの室から出火した場合の損害規模の分布を算出する段階とからなることを特徴とする、請求項11に記載の火災リスク評価方法。
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