JP2004334246A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 積層型電子写真感光体に対し、帯電手段、像露光手段、反転現像を行なう現像手段並びに転写手段を有する電子写真装置、及び、帯電工程、像露光工程、反転現像を行なう現像工程並びに転写工程を有する電子写真方法においては、転写手段で逆極性帯電を行なうために線状の異常画像が発生する場合があり、よって、逆極性帯電に起因する線状の異常画像を解決し、高耐久な電子写真感光体、電子写真方法及び電子写真装置を提供すること。
【解決手段】 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体に対し、帯電を行なう帯電手段、像露光を行なう像露光像手段、反転現像を行なう現像手段、および転写手段を有する電子写真装置において、該転写手段が該電子写真感光体に接触している電子写真装置であって、感光層中に溶媒を含有する感光層を有する電子写真感光体が用いられ、該感光層中の溶媒含有率が10〜10000ppmであって、該電子写真感光体の帯電極性と逆極性の繰り返し疲労を受けた後の感度変化が30%以下であることを特徴とする電子写真装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体に関し、複写機、レーザープリンター、レーザーファクシミリ等に好適に利用される。
電子写真方法としては、カールソンプロセスやその種々の変形プロセスなどが知られており、複写機やプリンターなどに広く使用されている。このような電子写真方法に用いられる感光体の中でも、有機系の感光材料を用いたものが、安価、大量生産性、無公害性などをメリットとして、近年使用され始めている。
有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質、電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体(キャリア)は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、かつ有用である。
電荷輸送物質は多くが低分子化合物として開発されているが、低分子化合物は単独で製膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。しかるに低分子電荷輸送物質と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、カールソンプロセスにおいては繰り返し使用による膜削れを生じやすいという欠点がある。
近年、上述したような感光体が用いられる電子写真プロセスの発展にはめざましいものがあり、従来のカールソンプロセスに対して様々な改良が加えられている。例えば、複写履歴を残さないためのクリーニング方式の改良(特許文献1)、オゾン発生量を低減するための帯電方式の改良(特許文献2〜7)、画像品質向上のための転写方式の改良(特許文献8,9)などが挙げられる。
しかし、反転現像を用いる電子写真方法においては、転写で帯電と逆極性がかかるため中間層−電荷発生層界面、電荷発生層−電荷輸送層界面、感光層−保護層界面等にはキャリアがトラップされやすい。特に、帯電と逆極性のキャリアが蓄積されると容易に消去することができない。反転現像系では転写は帯電と逆極性で行なわれるため、感光体の転写帯電を受ける部位はキャリアがトラップされ、特に転写紙のエッジ部にはキャリアが集中し、紙進行方向に対して垂直方向に線となって現れる場合がある。その解決策としては、転写の後に転写とは逆極性の帯電を行ない、電解により強制的にキャリアを開放することが考えられる。また、転写手段と帯電手段の間に露光と帯電を同時に行なうことにより該感光体のトラップされたキャリアを消去する手段を有する電子写真感光体及び電子写真装置(特許文献10参照)が提案されているが、トラップされたキャリアのエネルギー準位が深いと効果が十分でなかったり、露光と帯電を同時に行ないトラップされたキャリアをキャンセルするため、静電的な疲労が感光体に加わり、感光体の耐久性をも損なうものであった。
特開昭58−102273号公報 特開昭56−104351号公報 特開昭57−178267号公報 特開昭58−40566号公報 特開昭58−139156号公報 特開昭58−150975号公報 特開昭63−149669号公報 特開平5−45916号公報 特開平7−152217号公報 特開平8−262941号公報
本発明は、積層型電子写真感光体に対し、帯電手段、像露光手段、反転現像を行なう現像手段並びに転写手段を有する電子写真装置、及び、帯電工程、像露光工程、反転現像を行なう現像工程並びに転写工程を有する電子写真方法においては、転写手段で逆極性帯電を行なうために線状の異常画像が発生する場合があり、よって、逆極性帯電に起因する線状の異常画像を解決し、高耐久な電子写真感光体、電子写真方法及び電子写真装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの点に関し検討した結果、前記の異常画像発生現象が、電子写真感光体が使用されるときの逆帯電特性に起因し、かつ、電子写真感光体の性質の相違により異なることが明らかになった。
つまり、転写で逆極性の帯電を受けることにより、感光体中へキャリアが注入される。注入された電荷は、感光層に存在する中間層−電荷発生層、電荷発生層−電荷輸送層、電荷輸送層−保護層などの様々な界面でトラップされ、特に感光層に含有する溶媒の影響を受け、次の像形成の帯電時にキャンセルされず感光層中に残留してしまう。その結果、露光後電位が低くなり、反転現像の場合、線状の異常画像(黒スジ)となってしまう。
更に、このキャリアは転写部材が接触されている場合(転写ベルト、転写ローラー、中間転写ベルト等)には特に顕著に注入され、線状の異常画像となる。
感光体の逆帯電特性を鋭意検討した結果、逆帯電をかけた後の感度変化が30%以下であれば、転写で逆極性を受けたときに、キャリアの注入を抑えることができ、線状の異常画像が発生しないことを見い出し本発明に至った。
したがって本発明によれば、(1)「導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体に対し、帯電を行なう帯電手段、像露光を行なう像露光像手段、反転現像を行なう現像手段、および転写手段を有する電子写真装置において、該転写手段が該電子写真感光体に接触している電子写真装置であって、感光層中に溶媒を含有する感光層を有する電子写真感光体が用いられ、該感光層中の溶媒含有率が10〜10000ppmであって、該電子写真感光体の帯電極性と逆極性の繰り返し疲労を受けた後の感度変化が30%以下であることを特徴とする電子写真装置」、(2)「該転写手段がベルト状形態を有する転写ベルトであることを特徴とする前記第(1)項記載の電子写真装置」が提供される。
また、本発明によれば、(3)「導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体に対し、帯電を行なう帯電手段、像露光を行なう像露光像手段、反転現像を行なう現像手段、および転写手段を有する電子写真装置に用いる電子写真感光体において、該転写手段が該電子写真感光体に接触している電子写真装置に用いる電子写真感光体であって、感光層中に溶媒を含有する感光層を有する電子写真感光体が用いられ、該感光層中の溶媒含有率が10〜10000ppmであって、該電子写真感光体の帯電極性と逆極性の繰り返し疲労を受けた後の感度変化が30%以下であり、該電子写真感光体が中間層を有することを特徴とする電子写真感光体」、(4)「該電子写真感光体が表面保護層を有することを特徴とする前記第(3)項記載の電子写真感光体」、(5)「該電子写真感光体の表面保護層が、少なくとも導電性微粒子を含有することを特徴とする前記第(4)項記載の電子写真感光体」、(6)「該電子写真感光体の表面保護層が、少なくともフッ素原子含有樹脂微粒子を含有することを特徴とする前記第(5)項記載の電子写真感光体」、(7)「該電子写真感光体がフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする前記第(3)項記載の電子写真感光体」、(8)「該電子写真感光体に含有されるフタロシアニンが、少なくともCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピークが27.2±0.2°にあるチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記第(7)項記載の電子写真感光体」が提供される。
本発明によれば、逆帯電極性に起因する線状の異常画像を解消した感光体が提供される。
本発明を構成する手段としては、電子写真感光体の界面に存在するトラップサイトを極力少なくし、トラップのエネルギー準位を浅くし及び/又はトラップの易動性を増加してやればよい。例えば、中間層−電荷発生層を有する感光体においては、中間層と電荷発生層の顔料やバインダー樹脂及び溶媒を適宜選択することにより、更にその比率を調整することで達成される。
また、電荷発生層−電荷輸送層界面を有する感光体においては、電荷発生層の顔料やバインダー樹脂及び溶媒、電荷輸送層の電荷輸送材料やバインダー樹脂及び溶媒を適宜選択することにより、更にその比率を調整することで達成される。
また、更に各層界面での粗さや塗布後の乾燥条件を調整することでも達成される。特に、含有される溶媒量をコントロールすることでトラップサイトを少なくすること、トラップのエネルギー準位を浅くし及び/又はトラップの易動性を増加させることが可能である。含有される溶媒量としては、10〜10000ppm、好ましくは100〜1000ppmがよい。10ppm以下では、膜中の残留応力が高く、膜はがれが起きやすい。10000ppm以上では、効果が充分ではない。また、含有される溶媒が非ハロゲン溶媒の場合、感光層の膜けずれ量が小さくなってよい。
本発明による逆帯電疲労特性は、逆帯電によるキャリア注入性を表わす一つの便法として採用した方法でありその評価方法を図1をもって説明する。図1は、逆帯電疲労特性を評価する測定装置の概略図である。図1において、帯電用チャージャー(1)(DC1)、イレース用LED(2)(LED1)、像露光手段(3)(EX1)、逆帯電チャージャー(4)(DC2)、クエンチング用LED(5)(LED2)が感光体の周りに設置されている。まず、DC1で、感光体を800Vに帯電し、EX1で露光し、光減衰させ、800Vから100Vに減衰するのに要する光量を感度(初期)とする。その後、逆帯電疲労をかける。逆帯電疲労特性は感光体を回転させ、DC1、LD1、DC2、LD2をそれぞれONし、感光体に帯電露光を繰り返させる。その後、DC1、LD1、DC2、LD2をOFFし、その後、直ちにDC1で感光体を800Vに帯電し、EX1で露光し、光減衰させ、800Vから100Vに減衰するのに要する光量を感度(疲労後)とする。感度(初期)と、感度(疲労後)の変化量をもって感度変化率とする。
以下本発明を詳細に説明する。
図2は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置の1例を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図2において、感光体(6)は導電性支持体上に本発明の感光層が設けられてなり、順に、帯電用部材(8)、イレーサ(9)、画像露光部(10)、現像ユニット(11)、転写ベルト(15)、分離爪(16)、クリーニングユニット(18)(これはファーブラシ(19a)とクリーニングブレード(19b)とからなる)、除電ランプ(7)が上記感光体周囲に配置されている。また必要に応じて、転写前チャージャ(12)、クリーニング前チャージャ(17)が配置され、これらのユニットには、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、ローラ、ベルトを始めとする公知の手段が用いられる。
また、画像露光部(10)、除電ランプ(7)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセン1ス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図2に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット(11)により感光体(6)上に現像されたトナーは、転写紙(14)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(6)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(19a)およびブレード(19b)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
以上に示すような画像形成手段、画像形成装置は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内臓し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ一つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一例として、図3に示すものが挙げられる。周囲に接触帯電部材(20)、画像露光手段(21)、クリーニングブラシ(22)、現像ローラー(24)、転写ローラー(25)を配置した感光体(23)は、導電性支持体上に本発明の感光層を有してなるものである。
次に、図面を用いて本発明の電子写真感光体を説明する。
図4は、本発明において使用する感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(26)上の感光層に、電荷発生層(27)と電荷輸送層(28)の積層タイプで構成されたものである。
図5は、別の構成例を示す断面図であり、感光層(30)と導電性支持体(26)の間に中間層(29)を設けたものである。この場合、感光層(30)は単層感光層でも積層感光層でも構わない。
図6は、更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(26)上に、感光層(30)および保護層(31)が形成されたものである。この場合、感光層(30)は単層感光層でも積層感光層でも構わない。
次に、電子写真感光体の構成について説明する。
導電性支持体(26)としては、体積抵抗1010Ω以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらをD.I.、I.I.、押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
本発明における感光層(30)は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、先ず積層型について述べる。
始めに電荷発生層(27)について説明する。電荷発生層(27)は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、必要に応じて後述の電荷輸送物質を添加してもよい。
電荷発生層(27)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、電荷発生層(27)として、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
次に、電荷輸送層(28)について説明する。
電荷輸送層(28)は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層(28)に用いられるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ等)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。中でも、繰り返し単位中に、ビスフェノールAおよび特にビスフェノールC並びにビスフェノールZ構造を有するポリカーボネート樹脂は有効に使用される。これらのバインダーは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、バインダー樹脂と電荷輸送物質のいずれの機能をも持つ高分子電荷輸送物質をバインダー樹脂として用いることもできる。この場合に用いられる高分子電荷輸送物質の例として、以下のものが挙げられる。
(a)主鎖及び/又は側鎖にカルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−183719号公報等に記載の化合物が例示される。
(b)主鎖及び/又は側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開平3−50555号公報等に記載の化合物が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平5−19497号公報、特開平5−70595号公報等に記載の化合物が例示される。
(d)主鎖及び/又は側鎖に第3級アミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−13061号公報、特開平1−19049号公報、特開平1−1728号公報、特開平1−105260号公報、特開平2−167335号公報、特開平5−66598号公報、特開平5−40350号公報等に記載の化合物が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報等に記載の化合物が例示される。
本発明に使用される高分子電荷輸送物質は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
電荷輸送層(28)の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。また、本発明において電荷輸送層(28)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。
レベリング剤としては、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂に対して0〜1重量%程度が適当である。
次に、感光層(30)が単層構成の場合について述べる。
キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられる。すなわち、電荷発生物質ならびに電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。
単層感光層は、電荷発生物質及び電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層(28)で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層(27)で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
単層感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
ピリリウム系染料、ビスフェノールA系ポリカーボネートから形成される共晶錯体に、電荷輸送物質を添加した感光体も、適当な溶媒から同様な塗工法で形成できる。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体(26)と感光層(30)(積層タイプの場合には、電荷発生層(27))との間に中間層(29)を設けることができる。中間層(29)は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。中間層(29)は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの中間層は、前述の感光層の場合と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
さらに、本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の中間層にはAl23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
保護層(31)は、感光体表面保護の目的で設けられる層である。保護層(31)は、高分子電荷輸送物質を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレン、シクロヘキサノン等に溶解ないし分散し、塗布・乾燥することにより形成できる。
また、保護層には先述の高分子電荷輸送物質を用いることができるし、この他に電気的に不活性なバインダー樹脂を用いることができる。これに使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂など、またこれらの内、硬化可能な材料と硬化剤との硬化物が挙げられる。中でも、繰り返し単位中に、上に示したようなポリカーボネート樹脂は有効に使用される。
保護層には、その他、耐摩耗性/表面抵抗/表面エネルギーを向上する目的で、目的に応じた有機或いは無機フィラー材料を添加することもできる。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラー材料は、保護層用塗工液に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下にあることが保護層の透過率の点から好ましい。
また、本発明において保護層(31)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤やレベリング剤としては、電荷輸送層のところに明記した材料がそのまま使用できる。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお、膜厚は0.5〜10μm程度が適当である。
本発明の電子写真感光体に添加されるシリコーンオイルは、少なくとも保護層に添加される。このことにより、最表層の表面エネルギーを低下させ耐摩耗性を向上させるものである。また、先述のように保護層およびそれより支持体に近い層に添加することも可能であり、有効である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質に含む層に添加すると良好な結果が得られる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品として容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例
に限定されるものではない。なお、実施例中使用する部は、すべて重量部を表わ
す。
実施例1
直径30mmのアルミ円筒状支持体上に、下記組成の、電荷発生層用塗工液、
電荷輸送層用塗工液を順次、塗布・乾燥して約0.3μmの電荷発生層、約20μmの電荷輸送層を作成した後、120℃で20minアニールし、本発明の電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
下記構造の電荷発生物質 2.5部
Figure 2004334246
X型H2−Pc 2.5部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 2部
シクロヘキサノン 200部
テトラヒドロフラン 200部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリアリレート樹脂(ユニチカ製 Uポリマー U−100) 10部
下記構造の電荷輸送物質 7部
Figure 2004334246
塩化メチレン 90部
<乾燥条件>
電荷発生層乾燥温度 110℃ 20min
電荷輸送層乾燥温度 100℃ 20min
実施例2
直径30mmのアルミ円筒状支持体上に、塗工後の中間層表面粗さがRz=0
.6μmになるように、下記組成の中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷
輸送層用塗工液を順次、塗布・乾燥して約3.5μmの中間層、約0.3μmの
電荷発生層、約20μmの電荷輸送層を形成して、本発明の電子写真感光体を作
製した。
(中間層用塗工液)
アルキッド樹脂溶液 375部
(大日本インキ化学工業:ベッコライト M−6401−50)
メラミン樹脂溶液 210部
(大日本インキ化学工業:スーパーベッカミン G821−60)
二酸化チタン(石原産業:タイペークCR−EL) 1250部
2−ブタノン 7800部
(電荷発生層用塗工液)
下記構造の電荷発生物質 5部
Figure 2004334246
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 2部
シクロヘキサノン 200部
テトラヒドロフラン 200部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリアリレート樹脂(ユニチカ製 Uポリマー U−100) 10部
下記構造の電荷輸送物質 7部
Figure 2004334246
塩化メチレン 90部
<乾燥条件>
中間層乾燥温度 130℃ 20min
電荷発生層乾燥温度 110℃ 20min
電荷輸送層乾燥温度 100℃ 20min
実施例3
直径30mmのアルミ円筒状支持体上に、下記組成の電荷発生層用塗工液、電
荷輸送層用塗工液、保護層用塗工液を順次、塗布・乾燥して約0.3μmの電荷
発生層、約20μmの電荷輸送層を浸漬塗工により形成し、更にその上に約3μ
mの保護層をスプレー塗工により形成して、本発明の電子写真感光体を作製した

(電荷発生層用塗工液)
下記構造の電荷発生物質 5部
Figure 2004334246
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 2部
シクロヘキサノン 200部
テトラヒドロフラン 200部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリアリレート樹脂(ユニチカ製 Uポリマー U−100) 10部
下記構造の電荷輸送物質 7部
Figure 2004334246
塩化メチレン 90部
(保護層用塗工液)
ビスフェノールC型ポリカーボネート 10部
下記構造の電荷輸送物質 5部
Figure 2004334246
塩化メチレン 500部
<乾燥条件>
電荷発生層乾燥温度 110℃ 20min
電荷輸送層乾燥温度 120℃ 20min
保護層乾燥温度 120℃ 20min
実施例4
保護層塗工液を下記に代えた他は実施例3と全く同様にして本発明の感光体を
作製した。
(保護層用塗工液)
ビスフェノールC型ポリカーボネート 10部
酸化スズ 5部
塩化メチレン 500部
実施例5
保護層塗工液を下記に代えた他は実施例3と全く同様にして本発明の感光体を
作製した。
(保護層用塗工液)
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 10部
ポリフルオロエチレン微粒子 6部
下記構造の電荷輸送物質 5部
Figure 2004334246
塩化メチレン 500部
実施例6
実施例1の電荷発生層塗工液を下記組成の電荷発生層塗工液に代えた他は実施
例1と全く同様にして感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
X型Pc顔料粉末 3部
ポリビニルブチラール 2部
テトラヒドロフラン 50部
4−メチル−2−ペンタノン 90部
実施例7
実施例1の電荷発生層塗工液を下記組成の電荷発生層塗工液に代えた他は実施
例1と全く同様にして感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
TiOPc顔料粉末(X線回折ピーク図7) 3部
ポリビニルブチラール 2部
テトラヒドロフラン 50部
4−メチル−2−ペンタノン 90部
実施例8
実施例1の電荷輸送層用塗工液の塩化メチレンをテトラヒドロフランに代えた他は実施例1と全く同様にして実施例8の感光体を作製した。
実施例9
実施例1の電荷輸送層用塗工液の塩化メチレンをジオキサンに代えた他は実施例1と全く同様にして実施例9の感光体を作製した。
比較例1
電荷輸送層塗工液を下記に代え、アニールを実施しなかった他は実施例1と全
く同様にして比較例1の感光体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
ポリアリレート樹脂 10部
下記構造の電荷輸送物質 15部
Figure 2004334246
塩化メチレン 90部
比較例2
分散時間を調整し、塗工後の中間層表面粗さがRz=3.0μmになるように
、中間層塗工液及び乾燥条件を下記に代えた他は実施例2と全く同様にして比較例2の感光体を作製した。
(中間層用塗工液)
アルキッド樹脂溶液 375部
(大日本インキ化学工業:ベッコライト M−6401−50)
メラミン樹脂溶液 210部
(大日本インキ化学工業:スーパーベッカミン G821−60)
二酸化チタン(石原産業:タイペークCR−EL) 2500部
2−ブタノン 7800部
<乾燥条件>
中間層乾燥温度 130℃ 20min
電荷発生層乾燥温度 130℃ 20min
電荷輸送層乾燥温度 100℃ 10min
比較例3
保護層用塗工液及び乾燥条件を下記に代えた他は実施例3と全く同様にして比較例3の感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 10部
下記構造の電荷輸送物質 15部
Figure 2004334246
塩化メチレン 90部
<乾燥条件>
電荷発生層乾燥温度 110℃ 20min
電荷輸送層乾燥温度 100℃ 20min
保護層乾燥温度 120℃ 20min
以上のように作製した実施例1〜9および比較例1〜3の感光体を、図1に示
す逆帯電疲労特性装置を用いて繰り返し疲労を行ない、その後感度を測定し感度
変化率を評価した。
また、実施例1〜9および比較例1〜3の感光体を、図2に示す電子写真装置
に装着した後、ハガキサイズの画像だしを100枚行ない、その後に、A4サイ
ズの画像で紙あとによる線状画像(黒スジ)の発生を評価した。
また、実施例1〜9および比較例1〜3の感光体を、図3に示す電子写真用プ
ロセスカートリッジに装着した後、反転現像のレーザープリンターに装着して1
0万枚の印刷を行ない、そのときの膜剥がれ、および画像を評価した。また、実施例1、8、9の電荷輸送層摩耗量を測定した。以上の結果をあわせて表1に示す。
○:黒スジが全く発生しない
△:黒スジがわずかに確認できる
×:黒スジがはっきりと確認できる

Figure 2004334246
本発明における逆帯電疲労特性を評価する測定装置の概略図である。 本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置の1例を説明するための概略図である。 本発明の電子写真用プロセスカートリッジの1例を示す図である。 本発明において使用する感光体の構成例を示す断面図である。 本発明において使用する感光体の別の構成例を示す断面図である。 本発明において使用する感光体の更に別の構成例を示す断面図である。 本発明の電荷発生層用塗工液に用いる顔料粉末X線回折ピークを示す図である。
符号の説明
1 帯電チャージャー
2 イレース光源
3 像露光手段
4 逆帯電チャージャー
5 クエンチング光源
6 感光体
7 除電ランプ
8 接触帯電部材
9 イレーサ
10 画像露光部
11 現像ユニット
12 転写前チャージャ
13 レジストローラ
14 転写紙
15 転写ベルト
16 分離爪
17 クリーニング前チャージャ
18 クリーニングユニット
19a ファーブラシ
19b クリーニングブレード
20 接触帯電部材
21 画像露光手段
22 クリーニングブラシ
23 感光体
24 現像ローラー
25 転写ローラー
26 導電性支持体
27 電荷発生層
28 電荷輸送層
29 中間層
30 感光層
31 保護層


Claims (6)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体に対し、帯電を行なう帯電手段、像露光を行なう像露光像手段、反転現像を行なう現像手段、および転写手段を有する電子写真装置において、該転写手段が該電子写真感光体に接触している電子写真装置であって、感光層中に溶媒を含有する感光層を有する電子写真感光体が用いられ、該感光層中の溶媒含有率が10〜10000ppmであって、該電子写真感光体の帯電極性と逆極性の繰り返し疲労を受けた後の感度変化が30%以下であることを特徴とする電子写真装置。
  2. 該転写手段がベルト状形態を有する転写ベルトであることを特徴とする請求項1記載の電子写真装置。
  3. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体に対し、帯電を行なう帯電手段、像露光を行なう像露光像手段、反転現像を行なう現像手段、および転写手段を有する電子写真装置に用いる電子写真感光体において、該転写手段が該電子写真感光体に接触している電子写真装置に用いる電子写真感光体であって、感光層中に溶媒を含有する感光層を有する電子写真感光体が用いられ、該感光層中の溶媒含有率が10〜10000ppmであって、該電子写真感光体の帯電極性と逆極性の繰り返し疲労を受けた後の感度変化が30%以下であり、該電子写真感光体が中間層を有することを特徴とする電子写真感光体。
  4. 該電子写真感光体が表面保護層を有することを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
  5. 該電子写真感光体の表面保護層が、少なくとも導電性微粒子を含有することを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
  6. 該電子写真感光体の表面保護層が、少なくともフッ素原子含有樹脂微粒子を含有することを特徴とする請求項5記載の電子写真感光体。

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