JP2004334173A - 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 トナー飛散に起因するカブリ画像を抑える。
【解決手段】 現像スリーブ41の一部が露出する開口部50で、現像スリーブ上のトナー46と磁性キャリア45とを含有する二成分現像剤47を穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、対向する感光体1上の潜像にトナーを供給して現像するものにおいて、次の関係式で表される単位時間あたりに開口部を通過する二成分現像剤中の弱帯電トナーの量を200[g・mm/min]以下とする。
単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量[g・mm/min]
=単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]×開口部長さ[mm]
×トナー濃度T.C.[wt%]×弱帯電トナー率WST[%]
【選択図】 図6

Description

本発明は、潜像担持体上に担持された潜像を、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤によって現像する現像装置、これを用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
従来、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を用いた、いわゆる二成分現像方式の画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、感光体等の潜像担持体に担持された潜像を現像する現像装置が、現像ローラ等の現像剤担持体を所定方向に表面移動させる。この表面移動に伴い、現像剤担持体は剤収容部内に収容されている二成分現像剤を担持して潜像担持体との対向位置に搬送し、ここで潜像の現像に寄与させた後、剤収容部に戻す。剤収容部内に戻された二成分現像剤は、トナー補給手段によって適量のトナーが補給された後、再び現像剤担持体に担持されて現像に寄与する。この際、新たに補給されたトナーは、剤収容部内で磁性キャリアとともに攪拌されたり、現像剤担持体上で磁性キャリア同士がその動きによって擦れ合ったりすることで摩擦帯電せしめられる。
高画質化に伴ってトナーの小径化が進められる近年では、このような二成分現像方式を実施する画像形成装置において、磁性キャリア表面からのトナー飛散によって非画像部が汚れるいわゆるカブリ画像が生じ易くなっている。一般に、トナーは粒径が小さくなるほど帯電の立ち上がりが悪くなるため、剤収容部に補給されてから潜像担持体との対向位置に搬送されるまでの間に十分に帯電することができず、帯電不足による飛散を引き起こし易くなるからである。
このような問題を解決するために、特許文献1において、q/d値(q:トナー粒子の電荷量、d:トナー粒子の粒径)の度数分布のピーク値及びボトム値を所定の数値範囲に規定して、帯電の立ち上がりを向上させたトナーが提案されている。
特開平11−237761号公報
しかしながら、このようなトナーでは、剤収容部に補給されてから潜像担持体との対向位置に搬送されるまでの間に、帯電が十分に立ち上がるとは限らない。これは、トナーの帯電の立ち上がりには、トナー自体の帯電性能もさることながら、現像装置内における二成分現像剤の攪拌能力や、トナー粒子に対する磁性キャリアの摩擦性などといったトナーの帯電に関するパラメータが大きく関与するためである。よって、上記特許文献1に記載のトナーであっても、上記攪拌能力の設定などによっては、帯電が十分に立ち上がる前に潜像担持体との対向位置まで搬送されて、トナー飛散を顕著に生ずるおそれがある。
そこで本出願人は、特願2003―030128号で、現像剤担持体の表面に担持された二成分現像剤中で次の関係式を具備するトナー粒子の個数比率が0〜10[%]になるように、現像装置内における上記トナーの帯電に関するパラメータを設定したものを提案した。
Figure 2004334173
この発明では、以下に示す理由により、トナー飛散によるカブリ画像を従来よりも抑えることができる。現像剤担持体上においては、二成分現像剤がこれを現像剤担持体表面に向けて拘束する磁力の変化に伴って磁性キャリアを穂立ちさせたり、立たせていた穂を寝かしたり(以下、穂倒れという)する。このような穂立ちや穂倒れの際に、磁性キャリア同士の衝突が起こり、磁性キャリア表面に付着しているトナーに多少なりとも衝撃が付与される。そして、その衝撃に伴ってトナーに生ずる慣性力が、トナーと磁性キャリアとの付着力を上回ると、トナーが磁性キャリア表面から離脱して飛散してしまうことになる。このように上記慣性力が上記静電的付着力を上回ってしまうものが「帯電不足トナー粒子」であることから上記関係式数1を導きだし、現像剤担持体上においてこの関係式数1を具備してしまうトナー粒子の割合が多くなると、トナー飛散量がカブリ画像を顕著に発生させるほど増加してしまう。このような考察に基づいて、実験を実施して、上記関係を具備するトナー粒子の割合と、トナー飛散量との関係を調べてみた。すると、上記関係を具備する「帯電不足トナー粒子」の個数比率を10[%]以下に留めれば、カブリ画像を生じない程度までトナー飛散量を少なくできることがわかった。
このように、上記特願では、トナー粒子の電荷量qおよびトナー粒子の粒径dでトナーの帯電量を規定し、現像剤担持体の表面に担持された二成分現像剤中の帯電量の低いトナーの割合を少なくすることで、トナー飛散を少なくするものである。しかしながら、実際の現像装置におけるトナー飛散のレベルは、現像剤担持体の表面に担持される二成分現像剤中の帯電量の低いトナーの割合のみでなく、現像剤担持体の線速、現像剤担持体に担持される現像剤量、現像装置の開口部の大きさ等の影響を受ける。具体的には、現像剤担持体の線速が速くなる程、現像剤担持体が担持する現像剤量が増える程、トナー濃度高くなる程、開口部の面積が広くなる程、トナー飛散は増える。そこで、これらの要因の影響を考慮しながら現像装置としてトナーの飛散を抑える条件を規定することが有効と考えられる。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トナー飛散に起因するカブリ画像を抑えることができる現像装置及びこれを用いる画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、磁界発生手段を内包し回転可能な非磁性のスリーブからなる現像剤担持体と、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、潜像を担持する潜像担持体との対向部において該現像剤担持体の一部が露出するような開口部とを備え、該磁界発生手段により該現像剤収容部より二成分現像剤を汲み上げて該現像剤担持体の表面に担持させて該開口部に搬送し、該磁界発生手段により該開口部において該現像剤担持体上の二成分現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体に現像バイアスを印加して該磁気ブラシより該潜像担持体上の潜像にトナーを供給して現像する現像装置において、
次の関係式で表される単位時間あたりに開口部を通過する二成分現像剤中の弱帯電トナーの量が200[g・mm/min]以下であることを特徴とするものである。
単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量[g・mm/min]=単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]×開口部長さ[mm]×トナー濃度T.C.[wt%]×弱帯電トナー率WST[%]
ここで、
単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]=汲み上げ量[g/mm]×汲み上げ幅[mm]×現像ローラ線速[mm/min]
弱帯電トナー率WST[%]は、上記トナーのq/d(電荷量/粒径)の分布において、マイナス帯電のトナーであれば−0.1[fC/μm]以上の帯電量を持つトナーの割合であり、プラス帯電のトナーであれば0.1[fC/μm]以下の帯電量を持つトナーの割合。
請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像剤担持体の線速が9000mm/min以上であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記現像剤担持体に印加する現像バイアスが交流成分を含まないことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1、2または3の現像装置において、上記現像剤担持体に内包される磁界発生手段のうち、上記開口部において該現像剤担持体上の二成分現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成する現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、該潜像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置とを備えた画像形成装置において、上記現像装置として請求項1、2、3または4の現像装置を用い、該現像装置の磁気ブラシを上記潜像担持体の移動方向と同方向で且つ該潜像担持体よりも高速に移動させて該潜像担持体表面に接触させながら現像することを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記潜像担持体の暗部電位をVD、露光後電位をVL、上記現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧をVBとすると、0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<250Vを満たし、且つ、画像飽和濃度を得ることのできる最少付着量Xとすると、該潜像担持体上の最大付着量を1.5×X以下にすることを特徴とするものである。
ここで、最少付着量Xはトナー粒径による厚さ相当のスペースにトナーが少なくとも60%存在する付着量としてX=粒径×真比重/転写率×0.6で表される。
請求項7の発明は、請求項6または7の画像形成装置において、上記トナーとして平均円形度が0.96より大きいものを用いることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像にトナーを供給して現像する現像装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジにおいて、上記現像装置として請求項1、2、3または4の現像装置を用いることを特徴とするものである。
これらの発明においては、現像剤担持体に担持される現像剤量、現像剤担持体の線速、現像剤の開口部の大きさの条件を考慮して、下式でしめす単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量を求め、これを規制することがトナー飛散を抑えるために有効と考えた。
単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量[g・mm/min]=単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]×開口部長さ[mm]×トナー濃度T.C.[wt%]×弱帯電トナー率WST[%]
ここで、単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]=汲み上げ量[g/mm]×汲み上げ幅[mm]×現像剤担持体線速[mm/min]
この式は、現像剤中の弱帯電トナーの割合である弱帯電トナー率WST[%]はだけでなく、汲み上げ量が多くなる程、現像剤担持体の線速が速くなる程、開口部の面積が広くなる程、トナー濃度高くなる程、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量が増えることを表している。そして、この単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量が多いほどトナー飛散が顕著に発生すると考えられる。そこで、本発明者らは、後述する実験を実施して、この関係式で表される単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量とトナー飛散量との関係を調べてみた。なお、この実験で、逆極性に帯電したトナーのみでなく、マイナス帯電のトナーであれば−0.1[fC/μm]以上の帯電量を持つトナー、プラス帯電のトナーであれば0.1[fC/μm]以下の帯電量を持つトナーがトナー飛散におおきく関与することが解った。そこで、弱帯電トナー率WST[%]として、トナーのq/dの分布において、マイナス帯電のトナーであれば−0.1[fC/μm]以上の帯電量を持つトナーの割合、プラス帯電のトナーであれば0.1[fC/μm]以下の帯電量を持つトナーの割合を用いた。この実験から、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量を200[g・mm/min]以下にすれば、カブリ画像を生じない程度までトナー飛散量を少なくできることが解った。これは、現像装置の単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]、開口部面積[mm]、トナー濃度T.C.[wt%]に合わせ、弱帯電トナー率WST[%]を下げ、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量を200[g・mm/min]以下になるようトナーを調整することで、現像装置としてトナー飛散を抑えることができることを示している。また、後述する実験3に示すように、他の画像形成工程における高画質化のために弱帯電トナー率WST[%]が高めになってしまうトナーを用いた場合は、画像品質に悪影響を与えない範囲で現像装置の単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]、開口部面積[mm]を小さくする。これにより、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量を抑え、200[g・mm/min]以下にすることで、弱帯電トナー率WST[%]が高めのトナーを用いても現像装置としてトナー飛散を抑えることができることを示している。すなわち、現像装置の高速化、開口部の大きさ、現像剤担持体に担持する現像剤量等の影響を含め、現像装置全体としてトナー飛散によるカブリ画像を従来よりも抑えるような条件を規定することができる。
請求項1乃至8の発明によれば、トナー飛散に起因するカブリ画像を抑えることができるという優れた効果がある。
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。
まず、画像形成装置全体の概略構成及び動作について説明する。図1は、画像形成装置の概略構成図である。潜像担持体としてのドラム状感光体1の周囲には、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6が順に配設されている。また、図示しない給紙トレイより転写紙を感光体1と転写装置5との対向部に向けて給紙する図示しない給紙搬送装置と、トナー像を転写された転写紙が感光体1から分離した後、トナーを転写紙に定着する定着装置7とを備えている。
上記感光体1は、アルミ等の素管の表面に感光性を発揮する有機感光層が形成されたもので、図示しない駆動手段によって図中矢印方向に回転駆動される。このように回転駆動される感光体1の表面は、帯電装置2で所定の帯電電位に一様帯電された後、露光装置2より画像情報に基づいて変調されたレーザー光線が感光体軸方向にスキャンされて照射される。これにより、感光体1上に静電潜像が形成される。感光体1上に形成された静電潜像は、現像装置4と対向する現像領域において、現像装置4により帯電したトナーを付着させることで現像され、トナー像となる。一方、転写紙は図示しない給紙搬送装置で給紙・搬送され、所定のタイミングで感光体1と転写装置5とが対向する転写部に送出・搬送される。そして、転写装置5により、転写紙に感光体1上のトナー像とは逆極性の電荷を付与することで、感光体1上に形成されたトナー像が転写紙に転写される。次いで、転写紙は、感光体1から分離され、定着装置7に送られ、定着装置7でトナー像が定着された転写紙が出力される。転写装置5でトナー像が転写された後の感光体1の表面は、クリーニング装置6でクリーニングされ、感光体1上に残ったトナーが除去される。クリーニング装置6を通過した感光体1の表面は、その後、帯電装置2により一様に帯電され、次の画像形成工程が繰り返される。
図2は、本実施形態の画像形成装置に用いられる現像装置4の概略構成図である。現像装置4は、感光体1との対向部に開口部50を有し、この開口部50から一部が露出し、感光体1に所定の間隙を介して対向する現像剤担持体として非磁性の回転可能な現像スリーブ41を備えている。この現像スリーブ41の内部には内部固定された磁界発生手段として複数の磁石42を配設している。また、トナー46と磁性キャリア45とを含む二成分現像剤(以下、現像剤という)47を収容する現像剤収容部44と、現像剤収容部44内の現像剤を攪拌する図示しない搬送スクリュウと、現像スリーブ41上の現像剤量を規制するドクタ49とを備えている。現像剤収容部44底部には図示しないトナー濃度センサを備えている。また、ドクタ49よりも現像スリーブ41回転方向下流側に、現像剤を覆うように可撓性部材からなる入り口シール48が設けられている。本実施例では現像スリーブ41の直径をφ18mmとし、表面はサンドブラストもしくは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行い10〜20μmRZの範囲に入るようにあらしている。磁石42は主磁極(現像磁極)と、現像剤搬送極、現像剤汲み上げ極から成っており、ドクタ49との対向部から現像スリーブ41の回転方向にN極(N1)、S極(S1)、N極(N2)、S極(S2)の4つの磁極を有するものを用いた。なお、磁石42の磁極の配置は、図2の構成に限定されるものではなく、現像スリーブ41の大きさ、現像スリーブ周囲のドクタ49等の配置に応じて他の配置に設定してもよい。これらのうち、磁極S1は、感光体1と現像スリーブ41とが対向する現像領域のスリーブ裏側に配設された主磁極となっており、5つの磁極の中で最も強い磁力を発揮し、現像スリーブ41上の現像剤47を現像領域で穂立ちさせて磁気ブラシを形成する役割を担っている。
現像装置4の現像剤収容部44に収容されるトナー46と磁性キャリア45とからなる現像剤47は、図示しない搬送スクリュウが回転駆動されることで、所定の極性に摩擦帯電されながら、現像スリーブ41近傍まで搬送される。この現像剤47は現像スリーブ41内の磁石42の磁極S2の磁力によって現像スリーブ41の表面に汲み上げられ、、矢印方向に回転駆動される現像スリーブ41の回転とともない同方向へ搬送される。そして、現像スリーブ41表面に所定の間隙を介して対向するドクタ49によってその層厚を規制され一定量の現像剤47が現像スリーブ41に担持された状態で開口部50に搬送され、感光体1と対向する。一方、ドクタ47に通過を規制された現像剤47は現像剤収容部44内に戻される。このように、現像スリーブ41表面に引き寄せられながら層厚が規制されることで、現像剤中47のトナーの摩擦帯電が促進される。本実施形態ではドクタ49と現像スリーブ41との間の最近接部に於ける間隔は0.8mmに設定されており、ドクタ49に対向した磁石8の磁極N1はドクタ49よりも現像スリーブ41の回転方向上流側に数度傾斜するよう配置している。これにより、通過を規制された現像剤47がドクタ49から現像剤収容部44内に戻るような循環流を容易に形成することが出来る。また、トナーの帯電量としては、−10〜−25[μC/g]の範囲が好適である。
感光体1と対向する現像領域では、磁石42のS1極の磁力によって現像スリーブ41上に磁気ブラシが形成され、感光体1の移動方向と同方向で且つ感光体1よりも高速に移動させて、その先端を感光体1に摺擦させながら通過させる。このとき、現像スリーブ41に図示しない電源より現像バイアスVBを印加されており、感光体1に摺擦する磁気ブラシの先端のトナーには現像ポテンシャルが作用して、磁性キャリアの表面から感光体1の潜像部に静電的に転移してトナー像を形成する。現像スリーブ41の回転に伴って上記現像領域を通過した後の磁気ブラシは、現像剤収容部44内に戻される。
また、この現像剤収容部44には、図示しないトナー補給手段が接続されており、これによって新たなトナーが適宜補給される。具体的には、現像剤収容部44の底部に設けられた図示しないトナー濃度センサは、図示しない搬送スクリュウによって搬送される現像剤収容部44内の現像剤47のトナー濃度を検知する。この検知結果に基づき、図示しないトナー補給手段を駆動制御して現像剤収容部44内にトナーを適宜補給し、現像剤収容部44内の現像剤のトナー濃度T.C.を所定の範囲内に維持する。
次に、現像剤について詳しく説明する。
上記現像剤47を構成するトナー46は、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)及び色剤を混合したものであり、その周りにシリカ、酸化チタン等の外添剤を添加することで流動性を高めている。添加剤の粒径は通常0.01〜0.15μmの範囲である。色剤としてはカーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等を挙げることができる。色剤としてはカーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等を挙げることができる。
また、トナー46に磁性体を含有させ、磁性トナーとしても使用することもできる。具体的な磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物等が挙げられる。これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、このときの磁性体の含有量は、結着樹脂100重量部に対して20〜200重量部、特に好ましくは結着樹脂100重量部に対して40〜150重量部である。
添加剤としては、従来から公知のものを使用することができる。具体的には、Si、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物等である。特に、Si、Ti、Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナなどが好適である。添加剤の添加量は、母体粒子100重量部に対して0.5〜1.8重量部であることが好ましく、特に好ましくは、0.7〜1.5重量部である。添加剤の添加量が、0.5重量部未満であると、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、地汚れやトナー飛散の原因になり易い。また1.8重量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等による感光体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤による感光体等へのフィルミングが生じ易くなる。そして、クリーニングブレードや感光体等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。さらには、細線部におけるトナーのチリが発生しやすくなり、特に、フルカラー画像における細線の出力の場合には、少なくとも2色以上のトナーを重ねる必要性から、付着量の増加によって特にその傾向が顕著になる。また、カラートナーの場合には、添加剤が多く含有されていると、透明シートに形成されたトナー画像をオーバーヘッドプロジェクターで投影した場合に投影像にかげりが生じ、鮮明な投影像が得られ難くなる。
なお、添加剤の含有量を測定する方法としては種々のものが知られているが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。添加剤の含有量既知のトナーについて、蛍光X線分析法で検量線を作成し、この検量線を用いて、添加剤の含有量を求める方法である。
さらに、添加剤は必要に応じ、疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的で、表面処理を施されていることが好ましい。かかる表面処理に用いる処理剤としては、有機系シラン化合物などが好ましい。例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類である。また、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等でもよい。表面処理方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に添加剤を漬積し乾燥させる方法、添加剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等が挙げられる。
このようなトナーとしては、体積平均粒径の範囲が3〜7[μm]であるものを用いることが望ましい。本実施形態の画像形成装置では、体積平均粒径6.8[μm]のものが用いられており、1200[dpi]以上の高解像度の画像にも十分対応する事が可能である。また、本実施形態では、帯電極性が負極性のトナー46を使用しているが、感光体1の帯電極性などに応じて帯電極性が正極性のトナーを使用してもよい。
磁性キャリア45としては、粒子径20〜200[μm]程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど、従来から公知のものを使用することができる。本実施形態の画像形成装置では、金属又は樹脂からなるコア中にフェライト等の磁性材料を含有し、且つ表層にシリコーン樹脂等による被覆が施された平均粒径55[μm]のものを用いている。表層の被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。また、ポリビニル樹脂、ポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂等でもよい。また、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂などでもよい。また、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体などでもよい。また、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などでもよい。なお、必要に応じて導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。かかる導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などを用いることができる。これらの導電粉としては、平均粒子径1[μm]以下のものが好ましい。平均粒子径が1[μm]よりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になるからである。
なお、現像剤47中の磁性キャリア45とトナー46との含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部程度が好ましい。
次に、本実施形態の画像形成装置の特徴的な構成について説明する。
上述のように、現像装置4におけるトナー飛散は現像スリーブ41の表面に担持される現像剤中の帯電量の低いトナーの割合のみでなく、現像スリーブ41の線速、現像スリーブ41に担持される現像剤量、開口部50の大きさ等の影響を受ける。そこで、これらの要因の影響を考慮して、下式でしめす単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量を求め、これで規制することがトナー飛散を抑えるために有効と考えた。
単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量[g・mm/min]=単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]×開口部長さ[mm]×トナー濃度T.C.[wt%]×弱帯電トナー率WST[%]
ここで、単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]=汲み上げ量[g/mm]×汲み上げ幅[mm]×現像剤担持体線速[mm/min]
この式は、現像剤中の弱帯電トナー率WST[%]はもとより、汲み上げ量が多くなる程、現像スリーブの線速が速くなる程、開口部の面積が広くなる程、トナー濃度高くなる程、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量が増えることを表している。そして、この単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量が多いほどトナー飛散が顕著に発生すると考えられる。図3は、現像装置4の現像剤汲み上げ幅をしめす説明図、図4は、現像装置4の開口部長さをしめす説明図である。また、弱帯電トナー率WST[%]はトナーの電荷量qと粒径dとを計測し、求めたq/dの分布において、マイナス帯電のトナーであれば−0.1[fC/μm]以上の帯電量を持つトナーの割合であり、プラス帯電のトナーであれば0.1[fC/μm]以下の帯電量を持つトナーの割合を用いた。これは、後述する実験の中で、逆極性に帯電したトナーのみでなく、マイナス帯電のトナーであれば−0.1[fC/μm]以上の帯電量を持つトナー、プラス帯電のトナーであれば0.1[fC/μm]以下の帯電量を持つトナーがトナー飛散におおきく関与することが解ったためである。なお、トナーの電荷量分布および粒径dの測定には、ホソカワミクロン社製の分析装置(商品名:「E−SPARTアナライザー」)を使用した。この分析装置は、二重ビーム周波数偏移型レーザードップラー速度計と静電界中で粒子の動きを摂動させる弾性波とを用いた方法を採用し、現像スリーブ41上のトナーにエアを吹き付けて飛ばし、電界中の動きを捉えることでトナー個々の粒径と帯電量のデータを得られるものである。図5に、E−SPARTアナライザーで上記トナーのq/dを計測したものを示す。
[実験例1]
ドクタ49により汲み上げ量を80[mg/cm]に設定し、現像スリーブ41の線速を278[mm/sec]にした。汲み上げ幅は320[mm]として、A3サイズの出力を可能にした。また、ドクタ49通過直後の現像剤を露出させないために入り口シール48が設けられており、開口部50の長さを10[mm]として開口部50の面積を減少させている。また、上述のE−SPARTアナライザーで計測した上記トナーの弱帯電トナー率WST[%]は2.3[%]にすることができた。この現像装置4で、例えばトナー濃度を5[wt%]の上記現像剤を用いると、上記単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量は50[g・mm/min]となる。トナー飛散量の測定方法は、密閉した空間内で現像装置4を単体駆動させ、現像装置4から飛び出し周囲に付着したトナーの重量を計測した。また、別の実験から1分あたりのトナー飛散量が60[mg]以下にすると機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生しないことが判明している。
図6に、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量とトナー飛散量との関係を調べた結果をしめす。実施例1として、上記現像装置4でトナー濃度を5[wt%]と7[wt%]としたものを用い、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量とトナー飛散量との関系を調べ図6中(◆)で表した。図6でしめすように、トナー濃度を5[wt%]と7[wt%]としたもの、いずれのものも、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量は200[g・mm/min]以下であり、トナー飛散量は60[mg]以下になり、許容レベルであった。また、実際に画像形成を行い、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生しないことを確認した。
また、比較例1として単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量が200[g・mm/min]以上のものを用いて、同様の測定をおこなった。図6中(×)が比較例1を表すものである。この条件では、トナー飛散量が60[mg]以上になり、許容レベルを超えた。また、実際に画像形成を行い、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生することを確認した。
次に、現像装置の変形例及びこれを用いた実験について説明する。
図7の変形例にかかる現像装置の概略構成図を示す。この現像装置4は、現像スリーブ41に内包される磁界発生手段としての磁石43に特徴を有するものである。この磁石43は、現像スリーブ41上の現像剤を現像領域で穂立ちさせて磁気ブラシを形成する主磁極の法線方向の磁束密度の減衰率を40%以上としたものである。このようにすることで、感光体1に摺擦する磁気ブラシのニップを短くすることができ、磁気ブラシ先端部でトナードリフトがおこりにくくなり、「後端部白抜け」を低減させて画像の高画質化を図ることができる。主磁極の減衰率を40%以上とするためには、主磁極を3極構造のP1a(S極)、P1b(N極)、P1c(S極)とする。そこで、磁石43はドクタ49との対向部から現像スリーブ41の回転方向にP1a(S極)、P1b(N極)、P1c(S極)、P2(N極)、P3(N極)、P4(N極)、P5(S極)、P6(N極)を有するものとなる。また、このような磁極を内包するため、現像スリーブ41が大きくなり、直径がφ30mmとなった。
[実験例2]
ドクタ49により汲み上げ量を60[mg/cm]に設定し、現像スリーブ41の線速を380[mm/sec]にした。汲み上げ幅は320[mm]として、A3サイズの出力を可能にした。また、現像スリーブ41直径が大きくなったことに伴い、開口部の長さは23[mm]となった。
また、現像剤としては、トナーの弱帯電トナー率WST[%]が実験1と同様2.3[%]のものを用いた。実施例2として、この変形例に係る現像装置4でトナー濃度を5[wt%]と7[wt%]としたものを用い、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量とトナー飛散量との関係を調べ図6中(●)で表した。図6でしめすように、トナー濃度を5[wt%]と7[wt%]いずれのものも、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量は200[g・mm/min]以下であり、トナー飛散量は60[mg]以下になり、許容レベルであった。また、実際に画像形成を行い、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生しないことを確認した。
また、比較例3としてトナー濃度を8.5[wt%]としたところ、単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量は240[g・mm/min]と増加した。これを用いて同様の測定をおこなった。図6中(×)が比較例3を表すものである。この条件では、トナー飛散量が60[mg]以上になり、許容レベルを超えた。また、実際に画像形成を行い、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生することを確認した。
ところで、上記画像形成装置において、転写性能の向上という点からみると、平均円形度が0.96より大きいトナーを用いると、トナー移動が安定し転写時に均一な画像得られるというメリットがある。しかしながら、平均円形度が0.96より大きいトナーは、上述のE−SPARTアナライザーで計測した弱帯電トナー率WST[%]が増加する傾向にあり、トナー飛散が悪化することが解った。そこで、下記実験例3に示すように、現像装置4側の開口部面積、汲み上げ量等を調整して単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量を抑え、トナー飛散を抑制することが考えられる。
[実験例3]
トナーとして、転写性能の向上という点から平均円形度>0.96のトナーを用いた。そして、上記実験例2の変形例に係る現像装置4で、ドクタ49よりも現像スリーブ41回転方向下流側に現像剤47を覆うように可撓性部材からなる入り口シール48を設け、開口部長さを17[mm]と狭める。また、ドクタ49により汲み上げ量を60[mg/cm]と、40[mg/cm]と減らしたものを用いた。現像スリーブ41の線速は380[mm/sec]のままとする。このような現像装置4で、実施例3として、汲み上げ量として40[mg/cm]、60[mg/cm]としたものを用い、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量とトナー飛散量との関係を調べ図6中(□)で表した。図6でしめすように、汲み上げ量が40[mg/cm]、60[mg/cm]いずれのものも、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量は200[g・mm/min]以下であり、トナー飛散量は60[mg]以下になり、許容レベルであった。また、実際に画像形成を行い、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生しないことを確認した。
また、比較例4として汲み上げ量を80[mg/cm2]としたものを用いたところ、単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量は260[g・mm/min]と増加した。これを用いて、同様の測定をおこなった。図6中(×)が比較例4を表すものである。この条件では、トナー飛散量が60[mg]以上になり、許容レベルを超えた。また、実際に画像形成を行い、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが発生することを確認した。
実験1、実験2、実験3の結果から、単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量を200[g・mm/min]以下にすることで、トナー飛散を有効に抑えることが裏付けられたと言える。
また、実験3より、高画質化のために弱帯電トナー率WST[%]が高めのトナーを用いても、開口部面積、汲み上げ量等を調整して単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量を抑え、現像装置としてトナー飛散を有効に抑えることができることが裏付けられたと言える。
次に、本実施形態における現像条件について説明する。
上記現像装置4では、感光体1の非画像部電位VD、潜像部電位VL、現像スリーブ41に印加される現像バイアスの電位VBの関係が、次の数2の関係を満たすようにしている。
(数2)
0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<250V
これは、感光体1の通電電荷量が少なくなり、感光体1に対する帯電・露光の繰り返しによる感光体の疲労を低減させ、感光体1の長寿命化を図るものである。本実施形態では、非画像部電位VD、潜像部電位VL、現像バイアスの電位VBをそれぞれ−350[V]、−50[V]、−250[V]、すなわち現像ポテンシャル200[V](VL−VB=200)として現像工程を行っている。しかし、この現像条件では、VDとVBとの差が小さいため地肌部にトナーが付着し易く、地汚れなどの画像欠陥が生じやすい。そこで、この現像条件を用いた場合、上述のように、単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量を200[g・mm/min]以下にすることで、トナー飛散に起因するカブリ画像を有効に抑えることができる。
さらに、飽和画像濃度を得ることができる最少トナー付着量Xが、次の数3で定義されるとき、感光体1上の最大トナー付着量が1.5×X以下であるようにする。
(数3)
X=0.6×トナー粒径×トナーの真比重/転写率
これは、感光体1上の最大トナー付着量が、感光体1上で飽和画像濃度を得ることができる最少トナー付着量Xの1.5倍以下であるため、画像濃度を飽和画像濃度よりも高く設定した場合でも、感光体上にトナーが過剰に付着しないようにするものである。
上記Xの値はトナー粒径を6.8[μm]、トナーの真比重を1.05[g/cm]、転写率を90%として、必要量を60%とすると、X=6.8×10―4[cm]×1.05[g/cm]/0.9×0.6=0.476[mg/cm]となり、1.5×X=0.714[mg/cm2]となる。
図9は、トナー粒径をパラメータとして、トナー付着量とトナー層厚(それぞれトナー個数に換算)との関係を示したグラフである。また、図10はトナー粒径をパラメータとして、感光体ドラム1上のトナー付着量が飽和画像濃度IDを得るために必要な量Xのとき、0.6mg/cm2のとき、Xの1.5倍のときの各条件下におけるトナー層厚(それぞれトナー個数に換算)を示すグラフである。図9、図10において、トナーの充填率は30%である。これらのグラフによると、感光体1上のトナー付着量を上記Xの1.5倍以下に設定することでトナー層厚が5層以下になっていることがわかる。トナー層厚が5層になるとトナーの静電的な付着力が1層と比較して約1/25となり、何とか保持できる状態であるが、トナー層厚が5層を超えると例えば6層では1/36となりトナーの静電的な付着力が低減して、特に転写時に散りの原因となる。また、トナーの最大付着量を0.6mg/cm2とすることで図10に示すように最大付着量を0.6mg/cm2のときの層厚を示したもので、これも5層以下になっているので、転写時に散りを発生させない。
また、上記の現像条件で現像バイアスVBにACを重畳すると、トナーが容易に磁気ブラシより移動しやすくなり、トナー飛散量が増える。上記実験例1における比較例1の現像剤で、現像バイアスVBにACを重畳したところ、図6中の比較例2のようになり、トナー飛散量がさらに増え、機内の汚れ、画像の地肌汚れなどが著しく発生した。これより、トナー飛散を抑えるためには、現像バイアスVBが交流成分を含まないことが好ましい。
なお、上記実施形態の画像形成装置において、感光体1と現像装置4とを一体に支持した一体構造物として構成し、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ10としてもよい。図8は、プロセスカートリッジ10の一構成例であり、感光体1、現像装置4に加え、帯電装置2と、クリーニング装置7とを一体としてプロセスカートリッジ10としている。このようなプロセスカートリッジ10とすることで、現像装置4の感光体に対向する開口部からトナーが飛散して機内が汚れることを抑制することができる。なお、プロセスカートリッジ10は、上記構成に限るものでなく、感光体1と現像装置4とを含めば、任意に他の画像形成手段を選択して加え、一体構造物とすることができる。
以上述べたように、本実施形態の画像形成装置によれば、単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量を規制することで、トナー飛散に起因するカブリ画像を抑えることができる。
また、現像スリーブ41の線速が9000mm/min以上である高速対応の装置においては、特に有効である。
また、現像スリーブ41に印加する現像バイアスとしては、交流成分を含まないことが好ましい。現像バイアスVBとして交流成分を含むと、トナーが容易に磁気ブラシより移動しやすくなり、トナー飛散量が増えためである。
また、現像スリーブ41に内包される磁石のうち、開口部50において現像スリーブ41の二成分現像剤47を穂立ちさせて磁気ブラシを形成する現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上ものとする。これにより、感光体1に摺擦する磁気ブラシのニップを短くすることができ、磁気ブラシ先端部でトナードリフトがおこりにくくなり、「後端部白抜け」を低減させて、トナー飛散の抑制とともに画像の高画質化を図ることができる。
また、現像装置4の磁気ブラシを感光体1の移動方向と同方向で且つ感光体1よりも高速に移動させてその表面に接触させながら現像する。感光体1よりも高速に移動させて現像することで、画像濃度を確保すると共に、その表面に接触させながら現像することで、非接触とした場合に較べ、トナー飛散を減らすことができる。
また、感光体1の暗部電位をVD、露光後電位をVL、感光体1に印加する現像バイアス電圧をVBとすると、0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<250Vを満たし、且つ、画像飽和濃度を得ることのできる最少付着量Xとすると、感光体上の最大付着量を1.5×X以下にする。ここで、最少付着量Xはトナー粒径による厚さ相当のスペースにトナーが少なくとも60%存在する付着量としてX=粒径×真比重/転写率×0.6で表される。このような条件にすることで、感光体1の通電電荷量が少なくなり、感光体1に対する帯電・露光の繰り返しによる感光体の疲労を低減させ、感光体1の長寿命化を図ることができる。しかし、この現像条件では、VDとVBとの差が小さいため地肌部にトナーが付着し易く、地汚れなどの画像欠陥が生じやすい。そこで、この現像条件を用いた場合、単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量を200[g・mm/min]以下にすることで、トナー飛散に起因するカブリ画像を有効に抑えることができる。また、感光体1上の最大トナー付着量が、感光体1上で飽和画像濃度を得ることができる最少トナー付着量Xの1.5倍以下であるため、画像濃度を飽和画像濃度よりも高く設定した場合でも、感光体上にトナーが過剰に付着しないようにする。感光体1上のトナー付着量を上記よりも多くすると、トナー46の感光体1への静電的な付着力が低減して、特に転写時に散りの原因となり、画像品質を劣化させてしまう。そこで、感光体1上のトナー付着量を抑え、チリのない高画質な画像を得る。
また、トナー46として平均円形度が0.96より大きいものを用いる。転写性能の向上という点からみると、平均円形度が0.96より大きいトナーを用いると、トナー移動が安定し転写時に均一な画像得られるというメリットがある。しかしながら、平均円形度が0.96より大きいトナーは、上述のE−SPARTアナライザーで計測した弱帯電トナー率WST[%]が増加する傾向にあり、トナー飛散が悪化することが解った。この場合も、現像装置4側の開口部面積、汲み上げ量等を調整して単位時間あたりに開口部を通過する逆帯電トナー量を抑えて、トナー飛散を抑制することができる。そこで、画質向上とトナー飛散の抑制とを両立させることができる。
また、感光体1と現像装置4とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジとしてもよい。このようなプロセスカートリッジ10とすることで、現像装置4の感光体に対向する開口部からトナーが飛散して機内が汚れることを抑制することができる。
実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 同画像形成装置に用いられる現像装置の概略構成図。 現像装置の現像剤汲み上げ幅をしめす説明図。 現像装置の開口部長さをしめす説明図。 E−SPARTアナライザーで計測したトナーの帯電量q/dの分布を示すグラフ。 単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量とトナー飛散量との関係を示すグラフ。 変形例にかかる現像装置の概略構成図。 プロセスカートリッジの構成例。 トナー粒径をパラメータとして、トナー付着量とトナー層厚との関係を示したグラフ。 トナー粒径をパラメータとして、感光体ドラム1上のトナー付着量が飽和画像濃度IDを得るために必要な量Xのとき、0.6mg/cm2のとき、Xの1.5倍のときの各条件下におけるトナー層厚を示すグラフ。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
10 プロセスカートリッジ
41 現像スリーブ
42 磁石
43 磁石
44 現像剤収容部
45 磁性キャリア
46 トナー
47 現像剤
48 入り口シール
50 開口部

Claims (8)

  1. 磁界発生手段を内包し回転可能な非磁性のスリーブからなる現像剤担持体と、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、潜像を担持する潜像担持体との対向部において該現像剤担持体の一部が露出するような開口部とを備え、該磁界発生手段により該現像剤収容部より二成分現像剤を汲み上げて該現像剤担持体の表面に担持させて該開口部に搬送し、該磁界発生手段により該開口部において該現像剤担持体上の二成分現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体に現像バイアスを印加して該磁気ブラシより該潜像担持体上の潜像にトナーを供給して現像する現像装置において、
    次の関係式で表される単位時間あたりに開口部を通過する二成分現像剤中の弱帯電トナーの量が200[g・mm/min]以下であることを特徴とする現像装置。
    単位時間あたりに開口部を通過する弱帯電トナーの量[g・mm/min]=単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]×開口部長さ[mm]×トナー濃度T.C.[wt%]×弱帯電トナー率WST[%]
    ここで、
    単位時間あたりの総汲み上げ量[g/min]=汲み上げ量[g/mm]×汲み上げ幅[mm]×現像ローラ線速[mm/min]
    弱帯電トナー率WST[%]は、上記トナーのq/d(電荷量/粒径)の分布において、マイナス帯電のトナーであれば−0.1[fC/μm]以上の帯電量を持つトナーの割合であり、プラス帯電のトナーであれば0.1[fC/μm]以下の帯電量を持つトナーの割合。
  2. 請求項1の現像装置において、上記現像剤担持体の線速が9000mm/min以上であることを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1または2の現像装置において、上記現像剤担持体に印加する現像バイアスが交流成分を含まないことを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1、2または3の現像装置において、上記現像剤担持体に内包される磁界発生手段のうち、上記開口部において該現像剤担持体上の二成分現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成する現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする現像装置。
  5. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像にトナーを供給して現像する現像装置と、該潜像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置とを備えた画像形成装置において、
    上記現像装置として請求項1、2、3または4の現像装置を用い、該現像装置の磁気ブラシを上記潜像担持体の移動方向と同方向で且つ該潜像担持体よりも高速に移動させて該潜像担持体表面に接触させながら現像することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5の画像形成装置において、上記潜像担持体の暗部電位をVD、露光後電位をVL、上記現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧をVBとすると、0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<250Vを満たし、且つ、画像飽和濃度を得ることのできる最少付着量Xとすると、該潜像担持体上の最大付着量を1.5×X以下にすることを特徴とする画像形成装置。
    ここで、最少付着量Xはトナー粒径による厚さ相当のスペースにトナーが少なくとも60%存在する付着量としてX=粒径×真比重/転写率×0.6で表される。
  7. 請求項6または7の画像形成装置において、上記トナーとして平均円形度が0.96より大きいものを用いることを特徴とする画像形成装置。
  8. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像にトナーを供給して現像する現像装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジにおいて、
    上記現像装置として請求項1、2、3または4の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
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