JP2004333656A - 眼鏡部材の連結回動構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロー付け等の溶接を必要とせず且つ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能な眼鏡部材の連結回動構造を提供すること。
【解決手段】2つの眼鏡部材の連結回動構造であって、貫通孔11を有する軸部材1と、軸部材1を取り巻いて回動可能に把持するための把持部21を備えた第1眼鏡部材2と、先端部に折り返し部31を備えた第2眼鏡部材3と、よりなり、第1眼鏡部材の把持部21には、軸部材1の回動軸線と垂直方向に、端部23を有する案内溝孔22が設けられ、第2眼鏡部材の折り返し部31又は第2眼鏡部材本体32が、案内溝孔22に開口した軸部材の貫通孔11に挿通され、軸部材1を折り返し部31と第2眼鏡部材本体部32とで挟持することにより固定されており、第1眼鏡部材2及び第2眼鏡部材3の所定の拡開状態で、第2眼鏡部材3が案内溝孔の端部23に当接する眼鏡部材の連結回動構造A。
【選択図】 図1
【解決手段】2つの眼鏡部材の連結回動構造であって、貫通孔11を有する軸部材1と、軸部材1を取り巻いて回動可能に把持するための把持部21を備えた第1眼鏡部材2と、先端部に折り返し部31を備えた第2眼鏡部材3と、よりなり、第1眼鏡部材の把持部21には、軸部材1の回動軸線と垂直方向に、端部23を有する案内溝孔22が設けられ、第2眼鏡部材の折り返し部31又は第2眼鏡部材本体32が、案内溝孔22に開口した軸部材の貫通孔11に挿通され、軸部材1を折り返し部31と第2眼鏡部材本体部32とで挟持することにより固定されており、第1眼鏡部材2及び第2眼鏡部材3の所定の拡開状態で、第2眼鏡部材3が案内溝孔の端部23に当接する眼鏡部材の連結回動構造A。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、眼鏡部材の連結回動構造に関し、更に詳しくは、ロー付け等の溶接を必要とせず、且つ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能で、しかも適度なアガキを長期間良好に保つことが可能な眼鏡部材の連結回動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡フレームの智とテンプルとの連結回動構造としては、かつては、智に設けた2枚駒にテンプルに設けた1枚駒を嵌め込みネジで回動可能に螺着する構造が採られることが多かった。
しかし、この構造では、テンプルの開閉の際の適度な抵抗感(いわゆるアガキ)を、智やテンプルに設けた駒の接触面同士の摩擦によって得ていたため、駒が摩耗してしまい易かった。
【0003】
また、同時に、ネジが緩んで開閉時の適度な抵抗感が失われ易く、更には、ネジが脱落して紛失してしまうことも比較的多かった。
そのため、従来から、ネジを用いない連結回動構造が、数多く提案されている。
【0004】
中でも、上記のテンプルの開閉時の適度なアガキを持続させることを目的とする場合には、略円柱状や球形状の軸構造や軸部材を、智やテンプルに円弧状に形成した把持部で把持するような構造が採用されることが多い。
つまり、智に設けた軸構造をテンプルの把持部で把持したり、又は逆に、テンプルに設けた軸構造を智の把持部で把持したり、或いは、独立の軸部材を智及びテンプルの把持部で把持して、適度な抵抗感を維持するのである。
【0005】
しかし、それらはアイデア的には特徴のあるものであっても、製造工数がかかるため必ずしも生産性の良さにはつながらない場合がある。
また、実際、眼鏡を使用して、テンプルが繰り返し開閉されると、軸部材が摩耗したり或いは構造的な欠点により、必ずしも適度なアガキを常時維持し続けられるとは言い難いものもある。
【0006】
例えば、智に設けた円環状の把持部でテンプルの先端に取り付けた軸構造(又は軸部材)を把持するタイプの連結回動構造が提案されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
こうしたタイプの連結回動構造は、確かに適度なアガキは得られるが、テンプルの開閉が繰り返され、テンプルの軸構造や軸部材が摩耗してアガキが弱まり又は失われた場合、もはや軸構造等を交換するほかない。
【0007】
特に、特許文献1又は特許文献2に記載された連結構造では、そのまま放っておくと、テンプルが智から脱落する可能性もあるため、軸構造等の交換が頻繁になる可能性がある。
また、円環状の把持部を智と一体成形で形成したり、ロー付け等で取り付けたりするのは、智や把持部の材質次第では必ずしも容易ではない場合がある。
【0008】
一方、上記と同様に適度なアガキを維持する点で目的を共通にしながらも、更に生産性やコスト等の観点から連結回動構造をより簡単な構造としたものも幾つか提案されている。
例えば、棒状の智やテンプルを特有の形状に折り曲げて把持部とし、独立の軸部材を把持する構造等である(特許文献4〜8参照)。
【0009】
特許文献4に記載された連結回動構造は、軸部材(嵌合部材)を智の湾曲部に嵌め込み、その軸部材にテンプルを嵌合させた構造としたものである。
しかし、湾曲部の構造が単純すぎるため、眼鏡の着用の際に、軸部材がテンプルを嵌合した状態のまま智の湾曲部から容易に外れたり、或いはテンプルが軸部材から容易に外れたりしかねない。
【0010】
また、特許文献5に記載された連結回動構造は、軸部材(枢軸)に貫通孔を設けて智を差し込んで固定し、テンプルの先端の折り返し部で軸部材を取り巻いて挟持するものである。
この連結回動構造では、テンプルの折り返し部との摩擦で軸部材が摩耗した場合、折り返し部を変形すればアガキが回復(調整)できるが、その調整は、いわゆる素人の眼鏡の使用者には必ずしも容易ではない。
【0011】
また、軸部材を貫通した智の先端には、折り曲げられてテンプルの拡開を制限する係合部が形成されるが、交換等のため軸部材から智を引き抜く際、係合部の折り曲げを伸ばさねばならず、軸部材の交換等が必ずしも容易ではない。
更に、折り曲げたり伸ばしたりするのでは、智の係合部の強度が弱くなる可能性が残る。
【0012】
特許文献6に記載された連結回動構造は、軸部材(枢軸片)の側面に形成された上下2本の係合溝に、智及びテンプルの先端に形成された円弧状屈曲部を取り付けるものである。
しかし、係合溝等の構造を正確に形成しないとテンプルが上下方向にガタが生じる可能性があり、また、係合溝が摩耗した場合、テンプルにガタが生じ易い。
【0013】
特許文献7に記載された連結回動構造では、軸部材(円筒状軸部部材)の側面テンプルの先端をロー付け等により取り付けているが、テンプルのオーバー回動で繰り返し力が加わるとロー付け等が外れてしまう可能性がある。
また、テンプルのオーバー回動のたびに、軸部材の回動制限部が智の円形状屈曲部の円弧を開く方向に力を加えるため、必ずしも適度なアガキが的確に維持されるとは言い難く、また、オーバー回動の際、テンプルが連結構造から外れる可能性もある。
【0014】
特許文献8に記載された連結回動構造は、球体状の軸部材(球体)にテンプルを取り付け、軸部材を智の先端の円弧状の把持部で把持するものである。
その際、この連結回動構造は、軸部材に孔を開け、テンプルを構成する棒状体を挿入してロー付けしているが、先述したように、軸部材の材質次第では容易にはロー付けできない場合もあり、テンプルの頻繁な開閉でロー付けが外れてしまう場合がある。
【0015】
また、智の把持部で球体状の軸部材が回転し、テンプルが上下方向にガタつく場合がある。
更に、テンプルがその長手方向の軸を中心に回転してしまうため、実際には、軸部材にその方向の回転を防止するための機構(例えば同文献にあるような球体上の溝など)を設けることが必要となるが、構造が複雑となり製造が面倒である。
【0016】
一方、上記の特許文献6〜特許文献8に記載された連結回動構造は、根本的な問題を内包している。
これらの構造では、軸部材を円弧状の把持部に嵌め込む際に、把持構造の上下から嵌め込むことができず、把持部の円弧の切れ目(円弧が欠けている部分)を一旦大きく押し開くようにして嵌め込まなければならない。
【0017】
具体的には、特許文献6に記載された連結回動構造では、軸部材(枢軸片)が智及びテンプルの円弧状屈曲部を押し広げるようにして取り付けられ、特許文献7及び特許文献8に記載された連結回動構造では、軸部材(円筒状軸部部材及び球体)が智の円形状の把持部を押し広げるようにして嵌め込まれる。
【0018】
その際、切れ目が小さ過ぎると軸部材を嵌め込むことができないため、把持構造の円弧の切れ目を比較的大きく形成する必要がある。
そのため、円弧状の把持構造は、実際に軸部材を把持する部分を小さくしなければならなく(円弧の長さを短くしなければならなく)、把持部が軸部材を把持する力(把持力)が弱いものとなってしまう。
【0019】
また、切れ目を大きく押し広げられた後、たとえ弾性力で把持構造の形状が元に戻るとしても、軸部材に対する把持部の把持力が多少低下する恐れがある。
つまり、こうした連結回動構造では、その構造上、軸部材に対する把持部の把持力が元来必ずしも十分なものではない上、嵌め込み時にこの把持力がより低下する可能性すらあるのである。
【0020】
【特許文献1】
特開2002−122819号公報
【特許文献2】
特開平11−337884号公報
【特許文献3】
特開2000−206467号公報
【特許文献4】
特開2001−75056号公報
【特許文献5】
特開2001−249308号公報
【特許文献6】
特開2002−341295号公報
【特許文献7】
特開平10−20260号公報
【特許文献8】
特開平8−68973号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状を背景に、上記の諸問題点を克服するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、ロー付け等の溶接を必要とせず、且つ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能な眼鏡部材の連結回動構造を提供することである。
しかも、適度なアガキを長期間良好に保つことが可能な眼鏡部材の連結回動構造を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、眼鏡部材の連結回動構造において、把持部に対して軸部材をいわば把持部の上下方向から挿入可能な構造とし、且つ把持部が軸部材の外周をほぼ全域にわたって把持する状態として軸部材を確実に把持しながら、更に、この連結回動構造にオーバー回動の力が加わった場合には把持構造による軸部材の把持力が増すような構造とすることにより、適度なアガキが長期間良好に維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0023】
即ち、本発明は、(1)、2つの眼鏡部材を回動可能に連結するための眼鏡部材の連結回動構造であって、貫通孔を有する軸部材と、該軸部材を取り巻いて該軸部材を回動可能に把持するための把持部を備えた第1眼鏡部材と、先端部に折り返し部を備えた第2眼鏡部材と、よりなり、該第1眼鏡部材の把持部には、該軸部材の回動軸線と垂直方向に、端部を有する案内溝孔が設けられ、該第2眼鏡部材の折り返し部又は該第2眼鏡部材本体が、該案内溝孔に開口した該軸部材の貫通孔に挿通され、該軸部材を該折り返し部と該第2眼鏡部材本体部とで挟持することにより固定されており、第1眼鏡部材及び第2眼鏡部材の所定の拡開状態で、該第2眼鏡部材が該案内溝孔の端部に当接する眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0024】
そして、(2)、第2眼鏡部材は、抜け止め構造又は第2眼鏡部材の長さ調節のための波打ち構造を形成されたものである眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0025】
そしてまた、(3)、第1眼鏡部材が、1本の棒状材よりなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0026】
そしてまた、(4)、第1眼鏡部材が、平板材よりなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0027】
そしてまた、(5)、軸部材が、円柱状に形成されてなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0028】
そしてまた、(6)、軸部材が、樽状又は球状に形成されてなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0029】
そしてまた、(7)、軸部材が、断面多角形状又は断面楕円状に形成されてなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0030】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜7の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の眼鏡部材の連結回動構造について説明する。
以下の実施の形態においては、智とテンプルとの連結の場合を例にとって説明するが、本発明の連結回動構造が、例えば、跳ね上げレンズとリムとの連結構造や、折り畳み眼鏡のブリッジの折り曲げ可能な連結構造等として採用可能であることは言うまでもない。
【0032】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の眼鏡部材の連結回動構造の第1の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は各部材の組み付け前、(B)は組み付け後の連結回動構造を示し、(C)はテンプルを多少折りたたんだ状態を示す。
本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aは、2つの眼鏡部材(この場合は智2とテンプル3)を相互に回動可能に連結するための構造であり、軸部材1と、第1眼鏡部材である智2と、第2眼鏡部材であるテンプル3とよりなる。
【0033】
軸部材1は、この実施の形態では、円柱状に形成されており、軸部材1の内部をほぼ直線状に貫通する貫通孔11が形成されている。
智2は、軸部材1を取り巻いて軸部材1を回動可能に把持するための把持部21を備える。
【0034】
智2は、この実施の形態では、1本の棒状材より形成される。
智2の把持部21は、その棒状材に折り曲げ加工等を施すことにより、上記円柱状の軸部材1を回動可能に取り巻いて把持できるように、円弧状に形成されている。
【0035】
また、把持部21には、その円弧状の先端部分に閉じた端部23を有する状態に案内溝孔22が設けられている。
その際、案内溝孔22は、軸部材の回動軸線〔図1(B)の1点鎖線参照〕と垂直方向に形成される。
具体的には、智2を構成する1本の棒状材を端部23の位置で折り返して端部23と案内溝孔22を形成し、更にその折り返し部分を円弧状に曲げて円弧状の把持部21を得る。
【0036】
テンプル3も、この実施の形態では1本の棒状材より屈曲形成され、先端部分が略U字状に折り返されて折り返し部31が形成されている。
このように、軸部材1、智2、及びテンプル3は、ともに非常に形成が簡単で単純な形状である。
【0037】
次に、軸部材1、智2、及びテンプル3の組み付けの手順を示す。
先ず、智2の把持部21に対して、軸部材1を回動軸線に沿って移動させながら挿入し〔図1(A)では把持部の上方から挿入し〕、軸部材1の貫通孔11の開口部12〔図1(A)参照〕が案内溝孔22を介して外方に開口した状態にする。
【0038】
次に、テンプル3の折り返し部31を、このように案内溝孔22に開口した軸部材1の貫通孔11に挿通する。
そして、折り返し部31とテンプル本体部32とで軸部材1を挟持することによりテンプル3が軸部材1に固定される〔図1(B)参照〕。
【0039】
こうして、各眼鏡部材の組み付けが完了する。
このように、本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aによれば、従来例のように連結回動構造の形成にロー付け等の溶接を一切必要とせず、しかも各眼鏡部材が上記のように非常に簡単で単純な構造でありながら、把持部21が軸部材1を確実に把持するようにすることができるのである。
【0040】
各眼鏡部材がこのように組み付けられることにより、テンプル3が図1(B)の矢印Pの方向に開閉自在となることは、改めて説明するまでもない〔図1(C)参照〕。
また、軸部材1が、智2の案内溝孔22を形成する上下2本の腕(棒状材)により確実に把持され、また、テンプル3が案内溝孔22内で接触又は非接触状態にて案内されるため、テンプル3の後端が上下方向(図中の矢印Qの方向)にぶれるのを阻止できる。
【0041】
尚、この眼鏡部材の連結回動構造Aを用いた眼鏡では、テンプル3の開閉時の抵抗感(アガキ)は、智2の把持部21と軸部材1の側面との摩擦抵抗により得られる。
従って、適度なアガキを得るために、円柱状に形成される軸部材1の径を、円弧状に形成される把持部21の内径より若干大きくする等して、軸部材1や把持部21の形状を決定することが必要である。
【0042】
軸部材1の径を把持部21の内径より若干大きく形成した場合、軸部材1を把持部21に圧入すると、把持部21が若干押し広げられ、軸部材1がその弾性により適度な把持力で軸部材1を把持するため、適度なアガキを生じさせることができる。
【0043】
ところで、その際の把持部21の押し広げは、先述した従来例の場合のような押し広げとは全く異なるものであることに注意する必要がある。
従来例(特許文献6〜8)の軸部材1は、その構造上、図1(A)で言うならば、軸部材1を智2の把持部21に水平方向〔即ち図1(B)に1点鎖線で示した軸部材1の回動軸線に垂直な方向〕から嵌め込まざるを得なかった。
そのため、智2の案内溝孔22の端部23と智2の相対部との間の僅かな間隙(即ち切れ目)を大きく押し広げて、軸部材1をそこから把持部21に押し込んだ。
【0044】
即ち、智2の端部23と相対部との間隙は、軸部材1が通る幅、つまり軸部材1の直径の分だけ、一旦必要以上に大きく押し広げられる(即ち把持部21の曲率半径が一旦大きくなるように押し広げられる)。
そのため、このように大きく押し広げることなく挿入された場合と比較した場合、従来例における把持部21の軸部材1に対する把持力は小さいものとなる可能性が残った。
【0045】
また、軸部材1を嵌め込み易くするためには、上記端部23と智2の相対部との間隙(即ち切れ目)をある程度幅広く形成せざるを得なかった。
しかし、その分、軸部材1を把持する把持部21の円弧部分の長さが短くなってしまうため、上記押し広げとは関係なく、把持部21の把持力自体がそもそも弱いものとなる。
また同時に、眼鏡の着用時に、軸部材1が把持部21から外れてしまう可能性もあった。
【0046】
それに対し、本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aでは、軸部材1を把持部21のいわば上方から挿入(圧入)するため、把持部21を必要以上に拡幅させることがない。
そのため、軸部材1の圧入により把持部21が若干押し広げられると、把持部21が有する本来の弾性で軸部材1を把持し、この把持力により摩擦抵抗が発生するため、適度なアガキが弱まることなく的確に得られるのである。
【0047】
また、本発明の連結回動構造Aは、上記の従来例とは異なり、智2の案内溝孔22の端部23と智2の相対部との間隙(切れ目)を大きく幅広く取る必要がない。
寧ろ、その逆に、図1(A)に示した如く、端部23と智2とが近接した状態に形成することができるため、智2の把持部21が軸部材1の外周(側面)のほぼ全域にわたって把持する状態に形成することができる。
そのため、智2の把持部21が軸部材1を確実に把持することが可能となり、眼鏡の着用時に軸部材1が把持部21から外れる事態を確実に防止できるのである。
【0048】
ところで、本発明は、智2及びテンプル3が所定の拡開状態にあるとき、即ち図1(B)の位置にあるとき、テンプル3(この場合は折り返し部31)が智2の案内溝孔22の端部23に当接することを特徴とする。
つまり、テンプル3が図中の矢印Pの方向に回動する際には、テンプル3と端部23との当接は解除されるが、テンプル3が拡開して図1(B)の状態となったとき初めてテンプル3と端部23とが当接する。
【0049】
また、眼鏡着用時には、テンプル3が図中の矢印Rの方向に回動(いわゆるオーバー回動)する状態となることが多い。
このように、テンプル3に矢印R方向の力が加わると、軸部材1を支点としていわゆる「てこの原理」で、テンプル3は端部23に矢印S方向に力(オーバー回動の力)を加える状態になる。
【0050】
つまり、このオーバー回動の力は、円弧状の把持部21の曲率半径を小さくするように作用する。
そのため、テンプル3が繰り返し開閉されて、軸部材1が把持部21との摩擦で多少摩耗しても、眼鏡を着用するたびに、把持部21の曲率半径が小さくなるような力が加わり、把持部21が軸部材1を締め付けるため、適度なアガキを長期間良好に維持することが可能となるのである。
【0051】
〔軸部材のバリエーション〕
さて、上記の第1の実施の形態において、軸部材1は、円柱状に形成される場合を示したが〔図1(A)参照〕、その機能を有効に発揮し得るものであれば、他の形状とすることも可能である。
図2は、種々の形状を有する軸部材を示す図である。
【0052】
図2(A)は、図1(A)に示した軸部材1であり、円柱状に形成され、貫通孔11は軸部材1の中心を通るように形成されている(即ち、軸部材1の回転軸と交わるように形成されている)。
図2(B)は樽状に形成したものであり、図2(C)は球状に形成したものである。
【0053】
因みに、このように軸部材1を樽状又は球状に形成した場合、テンプル3の後端が図1(B)に示した矢印Qの方向、即ち上下方向にぶれる可能性がある。
そのため、軸部材1をこのように形成する場合には、智2の案内溝孔22を、その幅がテンプル3の上下方向の幅と一致するように正確に形成する必要がある。
【0054】
図2(D)は、貫通孔11を偏心させて、即ち軸部材1の回動軸線と交わらないように形成したものである。
図2(E)は、貫通孔を、軸部材1の回動軸線に対して垂直方向(即ち水平方向)に開放された切り欠きのものとした場合の軸部材1である。
【0055】
この図2(E)に示した軸部材1を用いて本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aを形成した場合、図1(B)に示した構造Aと同様の外観となる。
その際、図3に示すように、テンプル3は、折り返し部31及びテンプル本体部32が智2の案内溝孔22内で軸部材1の切り欠き状の貫通孔11の背部13を挟持することにより軸部材1に固定されるのである(図3では便宜上智2を省略した)。
【0056】
図2(F)は、図2(A)に示した軸部材1の底面(上面)に、貫通孔11と平行に溝14を形成したものである。
図4は、図2(F)の軸部材を用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【0057】
図1に示した場合と同様に、智2の把持部21に対して軸部材1を上方から挿入(圧入)し、案内溝孔22に開口した軸部材1の貫通孔11にテンプル3の折り返し部31を挿通する。
それと同時に、軸部材1の溝14にテンプル本体部32を嵌め込み、折り返し部31とテンプル本体部32とで軸部材1を挟持することで、テンプル3が軸部材1に固定されるのである。
図4では、溝14を上向きにしたが、溝14が下向きになるように軸部材1を把持部21に嵌め込み、テンプル3が軸部材1の下方を通過するように形成することも可能であることは言うまでもない。
【0058】
〔テンプルのバリエーション〕
図1〜図4では、智2の把持部21に挿入(圧入)された軸部材1の貫通孔11に、テンプル3の折り返し部31を挿通する場合を示した。
しかし、軸部材1の貫通孔11に、テンプル3のテンプル本体部32を挿通することも可能である(図5参照)。
図2(B)〜(F)に示した軸部材1を用いた場合も、同様に形成することは当然可能である。
【0059】
また、図5のようにテンプル3のテンプル本体部32を挿通する場合には、テンプル3が軸部材1から抜けるのを防止する抜け止め構造33〔図6(A)参照〕を形成したり、テンプル3が軸部材1を挟持する位置を変えてテンプル3の長さを調節するための波打ち構造34〔図6(B)参照〕を形成し易くなるという利点がある。
改めて図示はしないが、図1等のように軸部材1にテンプル3の折り返し部31を挿通する場合にも、例えば、テンプル本体部32に抜け止め構造や波打ち構造を形成し得ることは言うまでもない。
【0060】
〔智のバリエーション〕
また、図1等では、智2が1本の棒状材を折り曲げて形成される場合を示したが、当然、別の方法により形成することも可能である。
図7(A)は、平板材より形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【0061】
この場合、智2〔図7(A)参照〕は、平板材の先端部を、閉じた端部23を残すようにして長手方向に平行に打ち抜いて案内溝孔22を形成し、曲げ加工を施して把持部21が形成されている。
これに、図1に示したのと同様に軸部材1及びテンプル3を組み付けることにより眼鏡部材の連結回動構造Aを形成することができる〔図7(B)参照〕。
この場合、例えば、智2の平板材の幅方向の長さと、円柱状の軸部材1の回動軸線方向の長さとが同一になるように形成すれば、軸部材1の上面15と智2の平板材の上側面とを面一とすることができ、デザイン的にシンプルになる。
【0062】
〔第2の実施の形態〕
さて、これまで示してきた眼鏡部材の連結回動構造Aでは、例えば、図1(B)に示したように、テンプル3が折り返された部分、即ち屈曲部35が、智2の端部23に当接することで、図中の矢印P方向の回動が制限された。
つまり、いわば智2の把持部21の前方に、端部23が設けられていた。
【0063】
この智2の端部23を、把持部21のいわば後方に形成することも可能である。
図8(A)は、端部を後方に形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
この眼鏡部材の連結回動構造Bでは、智2は、図1に示したものと同様の形状であるが、屈曲部25にて大きく内方に屈曲している〔図8(A)参照〕。
【0064】
この智2の把持部21に、軸部材1を挿入(圧入)し、テンプル3のテンプル本体部32を、案内溝孔22に開口した軸部材1の貫通孔11(便宜上図示しない)に挿通し、テンプル本体部32と折り返し部31とで軸部材1を挟持することにより、テンプル3が軸部材1に固定される。
このように形成されると、テンプル3は、図中の矢印P方向に回動する場合には、適度なアガキを生じながら自在に回動することができる。
【0065】
そして、テンプル3(のテンプル本体部32)が智2の端部23に当接すると、テンプル3はそれ以上の拡開を阻止される。
しかし、それに抗して、図中の矢印R方向に更に拡開すると、即ちオーバー回動すると、軸部材1を支点としていわゆる「てこの原理」で端部23に矢印S方向に力(オーバー回動の力)が加わる状態になる。
【0066】
この矢印S方向の力は、端部23を介して智2の把持部21に加わる力のモーメントとしては、図1(B)に示した端部23に加わる力(矢印S方向)と同一方向の力のモーメントを及ぼす。
そのため、この実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、このオーバー回動の力は円弧状の把持部21の曲率半径を小さくするように作用する。
【0067】
またそのため、テンプル3が繰り返し開閉されて、軸部材1が把持部21との摩擦で多少摩耗しても、眼鏡を着用するたびに、把持部21の曲率半径が小さくなるような力が加わり、把持部21が軸部材1を締め付けるため、適度なアガキを長期間良好に維持することが可能となるのである。
尚、第1の実施の形態で示した軸部材やテンプル、智のバリエーション等は、第2の実施の形態においても同様に成立することは言うまでもない。
【0068】
〔第3の実施の形態〕
上記の実施の形態では、主に軸部材1が円柱状に形成された場合について説明し、図2の軸部材1のバリエーションにおいても、樽状や球状のような回転体について示した。
こうした構造の眼鏡部材の連結回動構造では、テンプル3の開閉の際に、均一なアガキが得られる。
【0069】
しかし、テンプル3の開閉の際に、テンプル3が特徴のある段階的な動き(以下、段付き回動という)をするようにしたい場合がある。
つまり、例えば、テンプル3を、図1(B)のように所定位置に拡開した状態から矢印P方向に折りたたむ際に、最初は回動に抵抗を感じるが、ある程度折りたたむと、今度はテンプル3自体が自動的に付勢されて手で押さなくても自然に折りたたまれるような場合である。
【0070】
このような段付き回動は、軸部材1の形状を断面多角形状や断面楕円状等とすることで得ることができる。
図9は、こうした段付き回動を得るために軸部材及び智の把持部の構造を変形した第3の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
図10は、図9の変形例を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
【0071】
図9及び図10に示す眼鏡部材の連結回動構造Cでは、軸部材1は断面矩形状の柱体状に形成され、側面の角部が曲面状にカットされている。
図9(A)に示す軸部材1は、貫通孔11が対角線状に穿設されており、智2の把持部21は、軸部材1の形状に沿うように、略正方形状に折り曲げて形成されている。
【0072】
このように形成された軸部材1を智2の把持部21に挿入(圧入)し、上記と同様にテンプル3を装着すると、眼鏡部材の連結回動構造Cが完成する〔図9(B)参照〕。
この状態から、テンプル3を図中の矢印P方向に折りたたんでいくと、テンプル3の回動に伴って把持部21の中で軸部材1が回動するが、最初のうちは(即ち図中のテンプル3の折りたたみ角度θが小さいうちは)、軸部材1の回動を把持部21が邪魔するため、テンプル3の回動が抵抗を受ける。
【0073】
しかし、更にテンプル3を折りたたみ方向に強制的に回動させ続けると、折りたたみ角度θが約45°を超えた当たりで、今度は、軸部材1が把持部21から力を受けて付勢されてテンプル3がいわば自動的に折りたたまれ、自然に折りたたみ状態(図中のT参照。この際θ=約90°)に落ち着くのである。
逆に、テンプル3を折りたたみ状態Tから拡開する場合にも、同様に、最初のうちは拡開に抵抗感があるが、ある地点からテンプル3がいわば自動的に拡開されて、テンプル3が智2の端部23に当接する位置に落ち着くのである。
【0074】
図10の場合も同様に、段付き回動を実現することができる。
図10に示した変形例では、智2の把持部21に平行部26が設けられ、この平行部26で断面略矩形状の軸部材1を挟持する構造となっている。
把持部21の平行部26以外の曲線状に形成された部分は、軸部材1の把持には直接的には貢献しない。
【0075】
しかし、軸部材1が前後に移動するのを阻止するようにこの曲線部分を形成すれば、眼鏡部材の連結回動構造Cは、図9に示した構造Cや上記の第1の実施の形態(連結回動構造A)、第2の実施の形態(連結回動構造B)とまったく同様の機能を発揮できるのである。
【0076】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上記の実施の形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。
【0077】
例えば、上記の実施の形態では、第1眼鏡部材が智2であり第2眼鏡部材がテンプル3である場合を示したが、それを逆にして、テンプル3に把持部等を形成し、智2の先端部分に折り返し部等を形成することも当然可能である。
また、先述したように、本発明の眼鏡部材の連結回動構造は、上記のような智とテンプルとの連結の場合のみならず、例えば、跳ね上げレンズとリムとの連結や折り畳み眼鏡のブリッジの折り曲げ可能な連結構造等にも当然採用可能である。
【0078】
更に、眼鏡部材には、通常、種々のデザインが施されるものである。
例えば、テンプル3については、1本の棒状材よりなる場合のみを示したが、平板材等の他の形状の材料を用いることは適宜行われることである。
また、軸部材1の上面を曲面状に形成したり、上面に模様やマークを掘り込んだりすることも当然可能である。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、ロー付け等の溶接を必要とせずに眼鏡部材の連結回動構造を形成でき、かつ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能なものとすることができる。
しかも、適度なアガキを長期間良好に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の眼鏡部材の連結回動構造の第1の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は各部材の組み付け前、(B)は組み付け後の連結回動構造を示し、(C)はテンプルを多少折りたたんだ状態を示す。
【図2】図2は、種々の形状を有する軸部材を示す図である。
【図3】図3は、切り欠き状の貫通孔が形成された軸部材をテンプルが挟持した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2(F)の軸部材を用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、軸部材の貫通孔や切り欠き状の貫通孔にテンプルのテンプル本体部を挿通して構成した連結回動構造を示す斜視図である。
【図6】図6(A)は、テンプルの抜け止め構造を説明する図であり、(B)はテンプルの波打ち構造を説明する図である。
【図7】図7(A)は、平板材より形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【図8】図8(A)は、端部を後方に形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、第3の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
【図10】図10は、図9の変形例を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
【符号の説明】
A、B、C…眼鏡部材の連結回動構造
1…軸部材
11…貫通孔
12…開口部
13…背部
14…溝
15…上面
2…智
21…把持部
22…案内溝孔
23…端部
24…上側面
25…屈曲部
26…平行部
3…テンプル
31…折り返し部
32…テンプル本体部
33…抜け止め構造
34…波打ち構造
35…屈曲部
【発明の属する技術分野】
この発明は、眼鏡部材の連結回動構造に関し、更に詳しくは、ロー付け等の溶接を必要とせず、且つ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能で、しかも適度なアガキを長期間良好に保つことが可能な眼鏡部材の連結回動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡フレームの智とテンプルとの連結回動構造としては、かつては、智に設けた2枚駒にテンプルに設けた1枚駒を嵌め込みネジで回動可能に螺着する構造が採られることが多かった。
しかし、この構造では、テンプルの開閉の際の適度な抵抗感(いわゆるアガキ)を、智やテンプルに設けた駒の接触面同士の摩擦によって得ていたため、駒が摩耗してしまい易かった。
【0003】
また、同時に、ネジが緩んで開閉時の適度な抵抗感が失われ易く、更には、ネジが脱落して紛失してしまうことも比較的多かった。
そのため、従来から、ネジを用いない連結回動構造が、数多く提案されている。
【0004】
中でも、上記のテンプルの開閉時の適度なアガキを持続させることを目的とする場合には、略円柱状や球形状の軸構造や軸部材を、智やテンプルに円弧状に形成した把持部で把持するような構造が採用されることが多い。
つまり、智に設けた軸構造をテンプルの把持部で把持したり、又は逆に、テンプルに設けた軸構造を智の把持部で把持したり、或いは、独立の軸部材を智及びテンプルの把持部で把持して、適度な抵抗感を維持するのである。
【0005】
しかし、それらはアイデア的には特徴のあるものであっても、製造工数がかかるため必ずしも生産性の良さにはつながらない場合がある。
また、実際、眼鏡を使用して、テンプルが繰り返し開閉されると、軸部材が摩耗したり或いは構造的な欠点により、必ずしも適度なアガキを常時維持し続けられるとは言い難いものもある。
【0006】
例えば、智に設けた円環状の把持部でテンプルの先端に取り付けた軸構造(又は軸部材)を把持するタイプの連結回動構造が提案されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
こうしたタイプの連結回動構造は、確かに適度なアガキは得られるが、テンプルの開閉が繰り返され、テンプルの軸構造や軸部材が摩耗してアガキが弱まり又は失われた場合、もはや軸構造等を交換するほかない。
【0007】
特に、特許文献1又は特許文献2に記載された連結構造では、そのまま放っておくと、テンプルが智から脱落する可能性もあるため、軸構造等の交換が頻繁になる可能性がある。
また、円環状の把持部を智と一体成形で形成したり、ロー付け等で取り付けたりするのは、智や把持部の材質次第では必ずしも容易ではない場合がある。
【0008】
一方、上記と同様に適度なアガキを維持する点で目的を共通にしながらも、更に生産性やコスト等の観点から連結回動構造をより簡単な構造としたものも幾つか提案されている。
例えば、棒状の智やテンプルを特有の形状に折り曲げて把持部とし、独立の軸部材を把持する構造等である(特許文献4〜8参照)。
【0009】
特許文献4に記載された連結回動構造は、軸部材(嵌合部材)を智の湾曲部に嵌め込み、その軸部材にテンプルを嵌合させた構造としたものである。
しかし、湾曲部の構造が単純すぎるため、眼鏡の着用の際に、軸部材がテンプルを嵌合した状態のまま智の湾曲部から容易に外れたり、或いはテンプルが軸部材から容易に外れたりしかねない。
【0010】
また、特許文献5に記載された連結回動構造は、軸部材(枢軸)に貫通孔を設けて智を差し込んで固定し、テンプルの先端の折り返し部で軸部材を取り巻いて挟持するものである。
この連結回動構造では、テンプルの折り返し部との摩擦で軸部材が摩耗した場合、折り返し部を変形すればアガキが回復(調整)できるが、その調整は、いわゆる素人の眼鏡の使用者には必ずしも容易ではない。
【0011】
また、軸部材を貫通した智の先端には、折り曲げられてテンプルの拡開を制限する係合部が形成されるが、交換等のため軸部材から智を引き抜く際、係合部の折り曲げを伸ばさねばならず、軸部材の交換等が必ずしも容易ではない。
更に、折り曲げたり伸ばしたりするのでは、智の係合部の強度が弱くなる可能性が残る。
【0012】
特許文献6に記載された連結回動構造は、軸部材(枢軸片)の側面に形成された上下2本の係合溝に、智及びテンプルの先端に形成された円弧状屈曲部を取り付けるものである。
しかし、係合溝等の構造を正確に形成しないとテンプルが上下方向にガタが生じる可能性があり、また、係合溝が摩耗した場合、テンプルにガタが生じ易い。
【0013】
特許文献7に記載された連結回動構造では、軸部材(円筒状軸部部材)の側面テンプルの先端をロー付け等により取り付けているが、テンプルのオーバー回動で繰り返し力が加わるとロー付け等が外れてしまう可能性がある。
また、テンプルのオーバー回動のたびに、軸部材の回動制限部が智の円形状屈曲部の円弧を開く方向に力を加えるため、必ずしも適度なアガキが的確に維持されるとは言い難く、また、オーバー回動の際、テンプルが連結構造から外れる可能性もある。
【0014】
特許文献8に記載された連結回動構造は、球体状の軸部材(球体)にテンプルを取り付け、軸部材を智の先端の円弧状の把持部で把持するものである。
その際、この連結回動構造は、軸部材に孔を開け、テンプルを構成する棒状体を挿入してロー付けしているが、先述したように、軸部材の材質次第では容易にはロー付けできない場合もあり、テンプルの頻繁な開閉でロー付けが外れてしまう場合がある。
【0015】
また、智の把持部で球体状の軸部材が回転し、テンプルが上下方向にガタつく場合がある。
更に、テンプルがその長手方向の軸を中心に回転してしまうため、実際には、軸部材にその方向の回転を防止するための機構(例えば同文献にあるような球体上の溝など)を設けることが必要となるが、構造が複雑となり製造が面倒である。
【0016】
一方、上記の特許文献6〜特許文献8に記載された連結回動構造は、根本的な問題を内包している。
これらの構造では、軸部材を円弧状の把持部に嵌め込む際に、把持構造の上下から嵌め込むことができず、把持部の円弧の切れ目(円弧が欠けている部分)を一旦大きく押し開くようにして嵌め込まなければならない。
【0017】
具体的には、特許文献6に記載された連結回動構造では、軸部材(枢軸片)が智及びテンプルの円弧状屈曲部を押し広げるようにして取り付けられ、特許文献7及び特許文献8に記載された連結回動構造では、軸部材(円筒状軸部部材及び球体)が智の円形状の把持部を押し広げるようにして嵌め込まれる。
【0018】
その際、切れ目が小さ過ぎると軸部材を嵌め込むことができないため、把持構造の円弧の切れ目を比較的大きく形成する必要がある。
そのため、円弧状の把持構造は、実際に軸部材を把持する部分を小さくしなければならなく(円弧の長さを短くしなければならなく)、把持部が軸部材を把持する力(把持力)が弱いものとなってしまう。
【0019】
また、切れ目を大きく押し広げられた後、たとえ弾性力で把持構造の形状が元に戻るとしても、軸部材に対する把持部の把持力が多少低下する恐れがある。
つまり、こうした連結回動構造では、その構造上、軸部材に対する把持部の把持力が元来必ずしも十分なものではない上、嵌め込み時にこの把持力がより低下する可能性すらあるのである。
【0020】
【特許文献1】
特開2002−122819号公報
【特許文献2】
特開平11−337884号公報
【特許文献3】
特開2000−206467号公報
【特許文献4】
特開2001−75056号公報
【特許文献5】
特開2001−249308号公報
【特許文献6】
特開2002−341295号公報
【特許文献7】
特開平10−20260号公報
【特許文献8】
特開平8−68973号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状を背景に、上記の諸問題点を克服するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、ロー付け等の溶接を必要とせず、且つ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能な眼鏡部材の連結回動構造を提供することである。
しかも、適度なアガキを長期間良好に保つことが可能な眼鏡部材の連結回動構造を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、眼鏡部材の連結回動構造において、把持部に対して軸部材をいわば把持部の上下方向から挿入可能な構造とし、且つ把持部が軸部材の外周をほぼ全域にわたって把持する状態として軸部材を確実に把持しながら、更に、この連結回動構造にオーバー回動の力が加わった場合には把持構造による軸部材の把持力が増すような構造とすることにより、適度なアガキが長期間良好に維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0023】
即ち、本発明は、(1)、2つの眼鏡部材を回動可能に連結するための眼鏡部材の連結回動構造であって、貫通孔を有する軸部材と、該軸部材を取り巻いて該軸部材を回動可能に把持するための把持部を備えた第1眼鏡部材と、先端部に折り返し部を備えた第2眼鏡部材と、よりなり、該第1眼鏡部材の把持部には、該軸部材の回動軸線と垂直方向に、端部を有する案内溝孔が設けられ、該第2眼鏡部材の折り返し部又は該第2眼鏡部材本体が、該案内溝孔に開口した該軸部材の貫通孔に挿通され、該軸部材を該折り返し部と該第2眼鏡部材本体部とで挟持することにより固定されており、第1眼鏡部材及び第2眼鏡部材の所定の拡開状態で、該第2眼鏡部材が該案内溝孔の端部に当接する眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0024】
そして、(2)、第2眼鏡部材は、抜け止め構造又は第2眼鏡部材の長さ調節のための波打ち構造を形成されたものである眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0025】
そしてまた、(3)、第1眼鏡部材が、1本の棒状材よりなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0026】
そしてまた、(4)、第1眼鏡部材が、平板材よりなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0027】
そしてまた、(5)、軸部材が、円柱状に形成されてなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0028】
そしてまた、(6)、軸部材が、樽状又は球状に形成されてなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0029】
そしてまた、(7)、軸部材が、断面多角形状又は断面楕円状に形成されてなる眼鏡部材の連結回動構造に存する。
【0030】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜7の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の眼鏡部材の連結回動構造について説明する。
以下の実施の形態においては、智とテンプルとの連結の場合を例にとって説明するが、本発明の連結回動構造が、例えば、跳ね上げレンズとリムとの連結構造や、折り畳み眼鏡のブリッジの折り曲げ可能な連結構造等として採用可能であることは言うまでもない。
【0032】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の眼鏡部材の連結回動構造の第1の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は各部材の組み付け前、(B)は組み付け後の連結回動構造を示し、(C)はテンプルを多少折りたたんだ状態を示す。
本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aは、2つの眼鏡部材(この場合は智2とテンプル3)を相互に回動可能に連結するための構造であり、軸部材1と、第1眼鏡部材である智2と、第2眼鏡部材であるテンプル3とよりなる。
【0033】
軸部材1は、この実施の形態では、円柱状に形成されており、軸部材1の内部をほぼ直線状に貫通する貫通孔11が形成されている。
智2は、軸部材1を取り巻いて軸部材1を回動可能に把持するための把持部21を備える。
【0034】
智2は、この実施の形態では、1本の棒状材より形成される。
智2の把持部21は、その棒状材に折り曲げ加工等を施すことにより、上記円柱状の軸部材1を回動可能に取り巻いて把持できるように、円弧状に形成されている。
【0035】
また、把持部21には、その円弧状の先端部分に閉じた端部23を有する状態に案内溝孔22が設けられている。
その際、案内溝孔22は、軸部材の回動軸線〔図1(B)の1点鎖線参照〕と垂直方向に形成される。
具体的には、智2を構成する1本の棒状材を端部23の位置で折り返して端部23と案内溝孔22を形成し、更にその折り返し部分を円弧状に曲げて円弧状の把持部21を得る。
【0036】
テンプル3も、この実施の形態では1本の棒状材より屈曲形成され、先端部分が略U字状に折り返されて折り返し部31が形成されている。
このように、軸部材1、智2、及びテンプル3は、ともに非常に形成が簡単で単純な形状である。
【0037】
次に、軸部材1、智2、及びテンプル3の組み付けの手順を示す。
先ず、智2の把持部21に対して、軸部材1を回動軸線に沿って移動させながら挿入し〔図1(A)では把持部の上方から挿入し〕、軸部材1の貫通孔11の開口部12〔図1(A)参照〕が案内溝孔22を介して外方に開口した状態にする。
【0038】
次に、テンプル3の折り返し部31を、このように案内溝孔22に開口した軸部材1の貫通孔11に挿通する。
そして、折り返し部31とテンプル本体部32とで軸部材1を挟持することによりテンプル3が軸部材1に固定される〔図1(B)参照〕。
【0039】
こうして、各眼鏡部材の組み付けが完了する。
このように、本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aによれば、従来例のように連結回動構造の形成にロー付け等の溶接を一切必要とせず、しかも各眼鏡部材が上記のように非常に簡単で単純な構造でありながら、把持部21が軸部材1を確実に把持するようにすることができるのである。
【0040】
各眼鏡部材がこのように組み付けられることにより、テンプル3が図1(B)の矢印Pの方向に開閉自在となることは、改めて説明するまでもない〔図1(C)参照〕。
また、軸部材1が、智2の案内溝孔22を形成する上下2本の腕(棒状材)により確実に把持され、また、テンプル3が案内溝孔22内で接触又は非接触状態にて案内されるため、テンプル3の後端が上下方向(図中の矢印Qの方向)にぶれるのを阻止できる。
【0041】
尚、この眼鏡部材の連結回動構造Aを用いた眼鏡では、テンプル3の開閉時の抵抗感(アガキ)は、智2の把持部21と軸部材1の側面との摩擦抵抗により得られる。
従って、適度なアガキを得るために、円柱状に形成される軸部材1の径を、円弧状に形成される把持部21の内径より若干大きくする等して、軸部材1や把持部21の形状を決定することが必要である。
【0042】
軸部材1の径を把持部21の内径より若干大きく形成した場合、軸部材1を把持部21に圧入すると、把持部21が若干押し広げられ、軸部材1がその弾性により適度な把持力で軸部材1を把持するため、適度なアガキを生じさせることができる。
【0043】
ところで、その際の把持部21の押し広げは、先述した従来例の場合のような押し広げとは全く異なるものであることに注意する必要がある。
従来例(特許文献6〜8)の軸部材1は、その構造上、図1(A)で言うならば、軸部材1を智2の把持部21に水平方向〔即ち図1(B)に1点鎖線で示した軸部材1の回動軸線に垂直な方向〕から嵌め込まざるを得なかった。
そのため、智2の案内溝孔22の端部23と智2の相対部との間の僅かな間隙(即ち切れ目)を大きく押し広げて、軸部材1をそこから把持部21に押し込んだ。
【0044】
即ち、智2の端部23と相対部との間隙は、軸部材1が通る幅、つまり軸部材1の直径の分だけ、一旦必要以上に大きく押し広げられる(即ち把持部21の曲率半径が一旦大きくなるように押し広げられる)。
そのため、このように大きく押し広げることなく挿入された場合と比較した場合、従来例における把持部21の軸部材1に対する把持力は小さいものとなる可能性が残った。
【0045】
また、軸部材1を嵌め込み易くするためには、上記端部23と智2の相対部との間隙(即ち切れ目)をある程度幅広く形成せざるを得なかった。
しかし、その分、軸部材1を把持する把持部21の円弧部分の長さが短くなってしまうため、上記押し広げとは関係なく、把持部21の把持力自体がそもそも弱いものとなる。
また同時に、眼鏡の着用時に、軸部材1が把持部21から外れてしまう可能性もあった。
【0046】
それに対し、本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aでは、軸部材1を把持部21のいわば上方から挿入(圧入)するため、把持部21を必要以上に拡幅させることがない。
そのため、軸部材1の圧入により把持部21が若干押し広げられると、把持部21が有する本来の弾性で軸部材1を把持し、この把持力により摩擦抵抗が発生するため、適度なアガキが弱まることなく的確に得られるのである。
【0047】
また、本発明の連結回動構造Aは、上記の従来例とは異なり、智2の案内溝孔22の端部23と智2の相対部との間隙(切れ目)を大きく幅広く取る必要がない。
寧ろ、その逆に、図1(A)に示した如く、端部23と智2とが近接した状態に形成することができるため、智2の把持部21が軸部材1の外周(側面)のほぼ全域にわたって把持する状態に形成することができる。
そのため、智2の把持部21が軸部材1を確実に把持することが可能となり、眼鏡の着用時に軸部材1が把持部21から外れる事態を確実に防止できるのである。
【0048】
ところで、本発明は、智2及びテンプル3が所定の拡開状態にあるとき、即ち図1(B)の位置にあるとき、テンプル3(この場合は折り返し部31)が智2の案内溝孔22の端部23に当接することを特徴とする。
つまり、テンプル3が図中の矢印Pの方向に回動する際には、テンプル3と端部23との当接は解除されるが、テンプル3が拡開して図1(B)の状態となったとき初めてテンプル3と端部23とが当接する。
【0049】
また、眼鏡着用時には、テンプル3が図中の矢印Rの方向に回動(いわゆるオーバー回動)する状態となることが多い。
このように、テンプル3に矢印R方向の力が加わると、軸部材1を支点としていわゆる「てこの原理」で、テンプル3は端部23に矢印S方向に力(オーバー回動の力)を加える状態になる。
【0050】
つまり、このオーバー回動の力は、円弧状の把持部21の曲率半径を小さくするように作用する。
そのため、テンプル3が繰り返し開閉されて、軸部材1が把持部21との摩擦で多少摩耗しても、眼鏡を着用するたびに、把持部21の曲率半径が小さくなるような力が加わり、把持部21が軸部材1を締め付けるため、適度なアガキを長期間良好に維持することが可能となるのである。
【0051】
〔軸部材のバリエーション〕
さて、上記の第1の実施の形態において、軸部材1は、円柱状に形成される場合を示したが〔図1(A)参照〕、その機能を有効に発揮し得るものであれば、他の形状とすることも可能である。
図2は、種々の形状を有する軸部材を示す図である。
【0052】
図2(A)は、図1(A)に示した軸部材1であり、円柱状に形成され、貫通孔11は軸部材1の中心を通るように形成されている(即ち、軸部材1の回転軸と交わるように形成されている)。
図2(B)は樽状に形成したものであり、図2(C)は球状に形成したものである。
【0053】
因みに、このように軸部材1を樽状又は球状に形成した場合、テンプル3の後端が図1(B)に示した矢印Qの方向、即ち上下方向にぶれる可能性がある。
そのため、軸部材1をこのように形成する場合には、智2の案内溝孔22を、その幅がテンプル3の上下方向の幅と一致するように正確に形成する必要がある。
【0054】
図2(D)は、貫通孔11を偏心させて、即ち軸部材1の回動軸線と交わらないように形成したものである。
図2(E)は、貫通孔を、軸部材1の回動軸線に対して垂直方向(即ち水平方向)に開放された切り欠きのものとした場合の軸部材1である。
【0055】
この図2(E)に示した軸部材1を用いて本発明の眼鏡部材の連結回動構造Aを形成した場合、図1(B)に示した構造Aと同様の外観となる。
その際、図3に示すように、テンプル3は、折り返し部31及びテンプル本体部32が智2の案内溝孔22内で軸部材1の切り欠き状の貫通孔11の背部13を挟持することにより軸部材1に固定されるのである(図3では便宜上智2を省略した)。
【0056】
図2(F)は、図2(A)に示した軸部材1の底面(上面)に、貫通孔11と平行に溝14を形成したものである。
図4は、図2(F)の軸部材を用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【0057】
図1に示した場合と同様に、智2の把持部21に対して軸部材1を上方から挿入(圧入)し、案内溝孔22に開口した軸部材1の貫通孔11にテンプル3の折り返し部31を挿通する。
それと同時に、軸部材1の溝14にテンプル本体部32を嵌め込み、折り返し部31とテンプル本体部32とで軸部材1を挟持することで、テンプル3が軸部材1に固定されるのである。
図4では、溝14を上向きにしたが、溝14が下向きになるように軸部材1を把持部21に嵌め込み、テンプル3が軸部材1の下方を通過するように形成することも可能であることは言うまでもない。
【0058】
〔テンプルのバリエーション〕
図1〜図4では、智2の把持部21に挿入(圧入)された軸部材1の貫通孔11に、テンプル3の折り返し部31を挿通する場合を示した。
しかし、軸部材1の貫通孔11に、テンプル3のテンプル本体部32を挿通することも可能である(図5参照)。
図2(B)〜(F)に示した軸部材1を用いた場合も、同様に形成することは当然可能である。
【0059】
また、図5のようにテンプル3のテンプル本体部32を挿通する場合には、テンプル3が軸部材1から抜けるのを防止する抜け止め構造33〔図6(A)参照〕を形成したり、テンプル3が軸部材1を挟持する位置を変えてテンプル3の長さを調節するための波打ち構造34〔図6(B)参照〕を形成し易くなるという利点がある。
改めて図示はしないが、図1等のように軸部材1にテンプル3の折り返し部31を挿通する場合にも、例えば、テンプル本体部32に抜け止め構造や波打ち構造を形成し得ることは言うまでもない。
【0060】
〔智のバリエーション〕
また、図1等では、智2が1本の棒状材を折り曲げて形成される場合を示したが、当然、別の方法により形成することも可能である。
図7(A)は、平板材より形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【0061】
この場合、智2〔図7(A)参照〕は、平板材の先端部を、閉じた端部23を残すようにして長手方向に平行に打ち抜いて案内溝孔22を形成し、曲げ加工を施して把持部21が形成されている。
これに、図1に示したのと同様に軸部材1及びテンプル3を組み付けることにより眼鏡部材の連結回動構造Aを形成することができる〔図7(B)参照〕。
この場合、例えば、智2の平板材の幅方向の長さと、円柱状の軸部材1の回動軸線方向の長さとが同一になるように形成すれば、軸部材1の上面15と智2の平板材の上側面とを面一とすることができ、デザイン的にシンプルになる。
【0062】
〔第2の実施の形態〕
さて、これまで示してきた眼鏡部材の連結回動構造Aでは、例えば、図1(B)に示したように、テンプル3が折り返された部分、即ち屈曲部35が、智2の端部23に当接することで、図中の矢印P方向の回動が制限された。
つまり、いわば智2の把持部21の前方に、端部23が設けられていた。
【0063】
この智2の端部23を、把持部21のいわば後方に形成することも可能である。
図8(A)は、端部を後方に形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
この眼鏡部材の連結回動構造Bでは、智2は、図1に示したものと同様の形状であるが、屈曲部25にて大きく内方に屈曲している〔図8(A)参照〕。
【0064】
この智2の把持部21に、軸部材1を挿入(圧入)し、テンプル3のテンプル本体部32を、案内溝孔22に開口した軸部材1の貫通孔11(便宜上図示しない)に挿通し、テンプル本体部32と折り返し部31とで軸部材1を挟持することにより、テンプル3が軸部材1に固定される。
このように形成されると、テンプル3は、図中の矢印P方向に回動する場合には、適度なアガキを生じながら自在に回動することができる。
【0065】
そして、テンプル3(のテンプル本体部32)が智2の端部23に当接すると、テンプル3はそれ以上の拡開を阻止される。
しかし、それに抗して、図中の矢印R方向に更に拡開すると、即ちオーバー回動すると、軸部材1を支点としていわゆる「てこの原理」で端部23に矢印S方向に力(オーバー回動の力)が加わる状態になる。
【0066】
この矢印S方向の力は、端部23を介して智2の把持部21に加わる力のモーメントとしては、図1(B)に示した端部23に加わる力(矢印S方向)と同一方向の力のモーメントを及ぼす。
そのため、この実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、このオーバー回動の力は円弧状の把持部21の曲率半径を小さくするように作用する。
【0067】
またそのため、テンプル3が繰り返し開閉されて、軸部材1が把持部21との摩擦で多少摩耗しても、眼鏡を着用するたびに、把持部21の曲率半径が小さくなるような力が加わり、把持部21が軸部材1を締め付けるため、適度なアガキを長期間良好に維持することが可能となるのである。
尚、第1の実施の形態で示した軸部材やテンプル、智のバリエーション等は、第2の実施の形態においても同様に成立することは言うまでもない。
【0068】
〔第3の実施の形態〕
上記の実施の形態では、主に軸部材1が円柱状に形成された場合について説明し、図2の軸部材1のバリエーションにおいても、樽状や球状のような回転体について示した。
こうした構造の眼鏡部材の連結回動構造では、テンプル3の開閉の際に、均一なアガキが得られる。
【0069】
しかし、テンプル3の開閉の際に、テンプル3が特徴のある段階的な動き(以下、段付き回動という)をするようにしたい場合がある。
つまり、例えば、テンプル3を、図1(B)のように所定位置に拡開した状態から矢印P方向に折りたたむ際に、最初は回動に抵抗を感じるが、ある程度折りたたむと、今度はテンプル3自体が自動的に付勢されて手で押さなくても自然に折りたたまれるような場合である。
【0070】
このような段付き回動は、軸部材1の形状を断面多角形状や断面楕円状等とすることで得ることができる。
図9は、こうした段付き回動を得るために軸部材及び智の把持部の構造を変形した第3の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
図10は、図9の変形例を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
【0071】
図9及び図10に示す眼鏡部材の連結回動構造Cでは、軸部材1は断面矩形状の柱体状に形成され、側面の角部が曲面状にカットされている。
図9(A)に示す軸部材1は、貫通孔11が対角線状に穿設されており、智2の把持部21は、軸部材1の形状に沿うように、略正方形状に折り曲げて形成されている。
【0072】
このように形成された軸部材1を智2の把持部21に挿入(圧入)し、上記と同様にテンプル3を装着すると、眼鏡部材の連結回動構造Cが完成する〔図9(B)参照〕。
この状態から、テンプル3を図中の矢印P方向に折りたたんでいくと、テンプル3の回動に伴って把持部21の中で軸部材1が回動するが、最初のうちは(即ち図中のテンプル3の折りたたみ角度θが小さいうちは)、軸部材1の回動を把持部21が邪魔するため、テンプル3の回動が抵抗を受ける。
【0073】
しかし、更にテンプル3を折りたたみ方向に強制的に回動させ続けると、折りたたみ角度θが約45°を超えた当たりで、今度は、軸部材1が把持部21から力を受けて付勢されてテンプル3がいわば自動的に折りたたまれ、自然に折りたたみ状態(図中のT参照。この際θ=約90°)に落ち着くのである。
逆に、テンプル3を折りたたみ状態Tから拡開する場合にも、同様に、最初のうちは拡開に抵抗感があるが、ある地点からテンプル3がいわば自動的に拡開されて、テンプル3が智2の端部23に当接する位置に落ち着くのである。
【0074】
図10の場合も同様に、段付き回動を実現することができる。
図10に示した変形例では、智2の把持部21に平行部26が設けられ、この平行部26で断面略矩形状の軸部材1を挟持する構造となっている。
把持部21の平行部26以外の曲線状に形成された部分は、軸部材1の把持には直接的には貢献しない。
【0075】
しかし、軸部材1が前後に移動するのを阻止するようにこの曲線部分を形成すれば、眼鏡部材の連結回動構造Cは、図9に示した構造Cや上記の第1の実施の形態(連結回動構造A)、第2の実施の形態(連結回動構造B)とまったく同様の機能を発揮できるのである。
【0076】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上記の実施の形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。
【0077】
例えば、上記の実施の形態では、第1眼鏡部材が智2であり第2眼鏡部材がテンプル3である場合を示したが、それを逆にして、テンプル3に把持部等を形成し、智2の先端部分に折り返し部等を形成することも当然可能である。
また、先述したように、本発明の眼鏡部材の連結回動構造は、上記のような智とテンプルとの連結の場合のみならず、例えば、跳ね上げレンズとリムとの連結や折り畳み眼鏡のブリッジの折り曲げ可能な連結構造等にも当然採用可能である。
【0078】
更に、眼鏡部材には、通常、種々のデザインが施されるものである。
例えば、テンプル3については、1本の棒状材よりなる場合のみを示したが、平板材等の他の形状の材料を用いることは適宜行われることである。
また、軸部材1の上面を曲面状に形成したり、上面に模様やマークを掘り込んだりすることも当然可能である。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、ロー付け等の溶接を必要とせずに眼鏡部材の連結回動構造を形成でき、かつ簡単な構造でありながら把持部が軸部材を確実に把持することが可能なものとすることができる。
しかも、適度なアガキを長期間良好に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の眼鏡部材の連結回動構造の第1の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は各部材の組み付け前、(B)は組み付け後の連結回動構造を示し、(C)はテンプルを多少折りたたんだ状態を示す。
【図2】図2は、種々の形状を有する軸部材を示す図である。
【図3】図3は、切り欠き状の貫通孔が形成された軸部材をテンプルが挟持した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2(F)の軸部材を用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、軸部材の貫通孔や切り欠き状の貫通孔にテンプルのテンプル本体部を挿通して構成した連結回動構造を示す斜視図である。
【図6】図6(A)は、テンプルの抜け止め構造を説明する図であり、(B)はテンプルの波打ち構造を説明する図である。
【図7】図7(A)は、平板材より形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【図8】図8(A)は、端部を後方に形成した智を示す斜視図であり、(B)はそれを用いて形成した眼鏡部材の連結回動構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、第3の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
【図10】図10は、図9の変形例を示す斜視図であり、(A)は軸部材と智を示し、(B)はそれらを用いた眼鏡部材の連結回動構造を示す。
【符号の説明】
A、B、C…眼鏡部材の連結回動構造
1…軸部材
11…貫通孔
12…開口部
13…背部
14…溝
15…上面
2…智
21…把持部
22…案内溝孔
23…端部
24…上側面
25…屈曲部
26…平行部
3…テンプル
31…折り返し部
32…テンプル本体部
33…抜け止め構造
34…波打ち構造
35…屈曲部
Claims (7)
- 2つの眼鏡部材を回動可能に連結するための眼鏡部材の連結回動構造であって、
貫通孔を有する軸部材と、
該軸部材を取り巻いて該軸部材を回動可能に把持するための把持部を備えた第1眼鏡部材と、
先端部に折り返し部を備えた第2眼鏡部材と、よりなり、
該第1眼鏡部材の把持部には、該軸部材の回動軸線と垂直方向に、端部を有する案内溝孔が設けられ、
該第2眼鏡部材の折り返し部又は該第2眼鏡部材本体が、該案内溝孔に開口した該軸部材の貫通孔に挿通され、該軸部材を該折り返し部と該第2眼鏡部材本体部とで挟持することにより固定されており、
第1眼鏡部材及び第2眼鏡部材の所定の拡開状態で、該第2眼鏡部材が該案内溝孔の端部に当接することを特徴とする眼鏡部材の連結回動構造。 - 第2眼鏡部材は、抜け止め構造又は第2眼鏡部材の長さ調節のための波打ち構造を形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の眼鏡部材の連結回動構造。
- 第1眼鏡部材が、1本の棒状材よりなることを特徴とする請求項1記載の眼鏡部材の連結回動構造。
- 第1眼鏡部材が、平板材よりなることを特徴とする請求項1記載の眼鏡部材の連結回動構造。
- 軸部材が、円柱状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の眼鏡部材の連結回動構造。
- 軸部材が、樽状又は球状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の眼鏡部材の連結回動構造。
- 軸部材が、断面多角形状又は断面楕円状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の眼鏡部材の連結回動構造。
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2003
- 2003-05-01 JP JP2003126721A patent/JP2004333656A/ja active Pending
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