JP2004332975A - ヒートパイプおよびその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱体表面が曲面であっても容易に取り付けうるヒートパイプを提供する。
【解決手段】本発明のヒートパイプは、内部に流体を封入した管101からなる環状伝熱体と、前記環状伝熱体の一部または全部を覆う網状伝熱体104a及び104bとを含み、前記網状伝熱体104a及び104bが、前記管101の形状に沿って前記環状伝熱体に接着された部分とその他の面部分とを有するものである。網状伝熱体を用いたことで発熱体表面との接触面の柔軟性が改善され、発熱体の曲面部分に対しても容易に取り付け可能なヒートパイプとすることができる。また、管と網状伝熱体は面接触となるため、ヒートパイプの熱の輸送効率が高まる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のヒートパイプは、内部に流体を封入した管101からなる環状伝熱体と、前記環状伝熱体の一部または全部を覆う網状伝熱体104a及び104bとを含み、前記網状伝熱体104a及び104bが、前記管101の形状に沿って前記環状伝熱体に接着された部分とその他の面部分とを有するものである。網状伝熱体を用いたことで発熱体表面との接触面の柔軟性が改善され、発熱体の曲面部分に対しても容易に取り付け可能なヒートパイプとすることができる。また、管と網状伝熱体は面接触となるため、ヒートパイプの熱の輸送効率が高まる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質間の熱の輸送効率を高めるためのヒートパイプおよびその作製方法に関する。本発明のヒートパイプは、効率の良い熱輸送を必要とするあらゆる技術分野に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱輸送を効率良く行うための装置として、ヒートパイプが用いられている。ヒートパイプにおける熱輸送の方式としては様々あるが、特に代表的な技術として流体を内部に封じた「ループ型ヒートパイプ」と呼ばれるものがある。特許文献1に記載されたヒートパイプは、両端末が流通自在に連結された細管を密閉コンテナとし、その内部の作動流体により放熱部および受熱部間で熱輸送を行うというものである。
【0003】
上記ループ型ヒートパイプは、発熱体にその一部(受熱部)を接触させ、その他の部分(放熱部)で作動流体によって輸送された熱を取り出す。このような熱輸送作用は、発熱体から熱を効率良く取り出すことができる。例えば、特許文献2には、プリント回路基板上の発熱素子パッケージとコールドプレートとの間にヒートパイプを設け、その間の熱輸送を行う熱接続装置として用いる例が示されている。
【0004】
特許文献2記載の発明は、長尺蛇行細管で弾性と伸縮性に富むバネ構造体を形成し、それに受熱平板と放熱平板とを一体化させた熱接続装置であり、受熱面と放熱面の距離の弾力的伸縮幅が大きい。その結果として、被熱接続体間に対する挿入接着性が改善される旨の記載がある。
【0005】
しかしながら、前掲の文献に代表される従来のヒートパイプにおいては、発熱体とヒートパイプ(長尺細管)との間に受熱面または放熱面として機能する平板があり、この平板が熱の受け渡しを行っていた。そのため、発熱体表面が曲面である場合など、平板のままでは設置ができない場合があり、その際には、平板をあらかじめ発熱体の形状に加工しておく必要があった。すなわち、従来のヒートパイプの構造は、あらゆる発熱体の形状に対応するだけの柔軟性(フレキシビリティ)に劣るという問題があった。
【0006】
また、従来のヒートパイプにおいては、ヒートパイプを形成する管と平板との間を伝熱性の接着剤で接着するのが一般的であった。この場合、複数の管に伝熱性の接着剤を付着させ、放熱面または受熱面となる平板と圧着する。しかしながら、この従来の方法では、平板と管とが線で接触するため両者の接触面積が狭く、熱輸送効率が専ら伝熱性の接着剤の熱伝導率に依存するという問題があった。伝熱性接着剤の主成分は、高分子材料等であり、金属に比べると熱伝導性は劣ってしまう。この問題は、蛇行するヒートパイプにおいて隣接するパイプ間の熱交換にも影響を及ぼす因子となる。ループ型ヒートパイプの熱輸送を考えるとき、隣接するパイプ間の相互作用も重要な因子であり、その間において熱伝導率は高いことが望まれる。従来例では、パイプ間を埋める伝熱体が伝熱性接着剤であるため、やはり熱伝導率の点で改善の余地があった。
【0007】
さらに、上記伝熱性接着剤の主成分として高分子樹脂等の有機材料が用いられた場合は、発熱体の温度によって改質または分解等が懸念され、適用しうる用途に制限を課すことにもつながりかねない。この点からも伝熱性接着剤を用いることについては、更なる改善の余地があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−190090号公報
【特許文献2】
特開平5−66095号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発熱体表面が曲面であっても容易に取り付けうるヒートパイプを提供することにある。すなわち、少なくとも熱を受け取る部分において、柔軟性に富む部分を含むヒートパイプを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、隣接するパイプ間(管と管との間)における熱伝導率を改善し、パイプ間の相互作用を高めたヒートパイプを提供することにある。さらにその結果として、熱の輸送効率を改善したヒートパイプを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、従来使用できなかった高温発熱体にも適用しうる耐熱性の高いヒートパイプを提供することにある。すなわち、伝熱性接着剤を用いることなく高い効率で管に熱伝達できるヒートパイプを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前掲の各目的を達する本発明のヒートパイプを作製するための技術を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の概略を説明すれば、以下の通りである。即ち、本発明は、ヒートパイプの一部に網状の伝熱体を用いることにより、熱伝導性、柔軟性を改善したヒートパイプおよびその作製方法である。
【0014】
即ち、本発明の第1の発明は、
内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体と、
前記環状伝熱体の一部または全部を覆う網状伝熱体と、
を含み、
前記網状伝熱体が、前記管の形状に沿って前記環状伝熱体に接着された部分とその他の面部分とを有する、ヒートパイプである。
【0015】
環状伝熱体とは、管の両端末を連結させてループ(環)を形成し、その管の内部に流体を封入することができるようにした伝熱体である。両端末は、直接連結している必要はなく、継ぎ手部分(流体の導入部を含む。)があっても構わない。管の材料としては、熱伝導率の高い銅または銅合金が好ましいが、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金等を用いることもできる。また、流体としては、水、アンモニア、フレオン、アルコール類等を用いることができる。
【0016】
網状伝熱体とは、銅や銅合金といった熱伝導率の高い材料を網状に形成した伝熱体である。「網状」という意味には、不織布のように機械的、化学的、熱的またはそれらの組み合わせによって形成されたシート状の意味をも含むものとする。すなわち、上記熱伝導率の高い材料からなる線を用いた網状伝熱体だけでなく、それら材料の組成物の集合からなる伝熱体をも含む。
【0017】
網状伝熱体が管の形状に沿って接着された部分とは、網状伝熱体のうち管の表面形状に沿って接着された部分を指す。本発明の目的に鑑みれば、管の表面積の1/2以上を覆っていることが望ましい。その他の面部分とは、網状伝熱体のうち管と接触しない部分である。管と管との間の熱伝達を行う部分でもある。その他の面部分は、平面部分であっても曲面部分であっても構わない。
【0018】
上記第1の発明によれば、従来、平板であった部分を網状伝熱体にしたことによりその部分の柔軟性が改善され、発熱体の曲面部分に対しても容易に取り付け可能なヒートパイプとすることができる。ヒートパイプの用途は大幅に広がることとなり、汎用性も向上する。また、管と網状伝熱体は、従来の線接触と異なり、面接触となる。すなわち、接触面積の増加により熱伝導率が改善され、ヒートパイプの熱の輸送効率が高まる。管と管との間は、網状伝熱体の前記その他の面部分で連結されるため、相互作用によりさらなる熱の輸送効率の向上が期待できる。
【0019】
なお、上記第1の発明のヒートパイプは、環状伝熱体と網状伝熱体との接着に接着剤を用いない構成とすることもできる。この場合、環状伝熱体と網状伝熱体は、それらの組成物の相互作用による物理的または化学的結合状態にある。従来の有機材料を含む接着剤を使用しなければ、従来使用できなかった高温発熱体へもヒートパイプを適用することが可能となる。
【0020】
本発明の第2の発明は、
上記第1の発明において、前記環状伝熱体が、前記網状伝熱体と箔状伝熱体、前記網状伝熱体と他の網状伝熱体、または袋状に折り返した前記網状伝熱体で挟まれている、ヒートパイプである。
【0021】
箔状伝熱体とは、上記銅や銅合金といった熱伝導率の高い材料を箔のように薄く延ばした伝熱体である。上記第2の発明では、環状伝熱体が、網状伝熱体とその他の伝熱体(網状または箔状の伝熱体)とで挟まれた構造となっている。
【0022】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明と同じ効果が得られると共に、2枚のシート状の伝熱体で補強されるため、機械的信頼性が向上するという効果が得られる。環状伝熱体と網状伝熱体等が接触する面積が増すため、熱の輸送効率の向上も図れる。
【0023】
本発明の第3の発明は、
上記第1または第2の発明において、前記環状伝熱体と前記網状伝熱体とが、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属で接着されている、ヒートパイプである。
【0024】
「前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属(以下、反応性低融点金属という。)」としては、典型的には軟ろうまたは硬ろうを例示することができる。「軟ろう」とは、いわゆる「はんだ」に代表されるろう付け用合金であり、融点が450℃以下のものをいい、「硬ろう」とは、「銀ろう」に代表されるろう付け用合金であり、融点が450℃以上のものをいう(長倉三郎他編、岩波理化学辞典第5版、第355頁、1998年2月20日第5版第1刷発行、株式会社岩波書店)。軟ろう、硬ろう以外の金属であっても、上記要件を満たす金属であれば使用可能である。なお、本明細書において、「金属」には合金も含むものとする。環状伝熱体または網状伝熱体として、銅または銅合金を用いる場合、代表的には、鉛(Pb)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)等の低融点金属を用いることができる。勿論、環状伝熱体および網状伝熱体の材料によって使用可能な反応性低融点金属も変わるが、前記例示に限定する必要はなく、実施者が適宜適当な金属を選択すれば良い。
【0025】
上記第3の発明によれば、環状伝熱体と網状伝熱体とが金属により接着されているため、機械的信頼性の高いヒートパイプとすることができる。また、伝熱性の高い金属を用いれば、網状伝熱体全体の熱伝導率の向上に寄与するため、管と管との間の相互作用も改善され、ヒートパイプの熱の輸送効率の改善に効果がある。なお、使用する金属の耐熱性が許す限りにおいて、高温発熱体への適用も可能であり、従来の有機材料を含む接着剤に比して適用範囲は広いと言える。
【0026】
本発明の第4の発明は、
内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体と、
前記環状伝熱体の一部または全部に接する網状伝熱体と、
前記環状伝熱体を間に挟んで前記網状伝熱体に対向する、箔状伝熱体、前記網状伝熱体とは異なる他の網状伝熱体または前記環状伝熱体を間に挟むように折り返した前記網状伝熱体の一部分と、
を含み、
前記網状伝熱体と前記対向する箔状または網状の伝熱体またはその一部分との間に、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属が充填されている、ヒートパイプである。
【0027】
上記第4の発明によれば、環状伝熱体の周囲が、軟ろう等の反応性低融点金属で満たされるため、ヒートパイプの機械的信頼性が向上する。なお、この場合における機械的信頼性と柔軟性との間にはトレードオフの関係がある。しかし、使用する金属の延性率もしくは展性率または環状伝熱体の管径といったパラメータを最適化すれば十分に柔軟性を確保することが可能である。
【0028】
本発明の第5の発明は、
内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体を含み、単一または複数の前記環状伝熱体を網状に形成したまたは網状に組み合わせた、ヒートパイプである。
【0029】
上記第5の発明は、環状伝熱体自体が網状(平面的または曲面的なものおよび立体的なものを含む。)であるヒートパイプである。環状伝熱体を形成する管の直径が十分に小さければ、十分な長さの管を規則的または不規則的に配列させて網状とすることが可能となる。勿論、個々の環状伝熱体は、ループを形成している必要がある。
【0030】
上記第5の発明によれば、網状伝熱体を用いなくても環状伝熱体自体の柔軟性が高いため、曲面を有する発熱体への取り付けが容易である。
【0031】
本発明の第6、7の発明は、
上記第5の発明において、前記管の相互に接触している部分が、金属で接着されている、ヒートパイプである。金属としては、前記菅を構成する金属と化合し、かつ、前記菅を構成する金属の融点より低い融点を有するものを用いることができる。代表的には、前述の軟ろう、硬ろうその他の反応性低融点金属を用いることができる。
【0032】
上記第6、7の発明によれば、環状伝熱体を形成する管と管との間を金属で相互に連結することができ、ヒートパイプの機械的信頼性の向上を図ることができる。
【0033】
本発明の第8の発明は、
管からなる環状伝熱体に向かって融解した金属を吹付け、前記融解した金属を前記環状伝熱体の一部または全部に付着させる工程と、
前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含み、
前記吹付けた金属によって、前記管の形状に沿った網状接合部分と前記菅の形状によらない網状平面部分とを有する網状伝熱体を形成する、ヒートパイプの作製方法である。
【0034】
上記第8の発明は、網状伝熱体を融解した金属の吹付けて形成することを特徴とするものである。融解した金属を吹付けて物体表面に網状伝熱体を形成する技術自体は公知の技術を用いれば良い。融解した金属を吹付ける際、管の表面になるべく多く付着するように、多方向から吹付けることが望ましい。なお、吹付ける金属が環状伝熱体および網状伝熱体を溶かさないように組み合わせを選択することが望ましい。
【0035】
上記第8の発明によれば、管の表面にその形状に沿って直接網状伝熱体を形成することが可能となる。
【0036】
本発明の第9の発明は、
上記第8の発明において、前記金属を吹付ける際、前記環状伝熱体を箔状伝熱体または他の網状伝熱体の上に設置する、ヒートパイプの作製方法である。
【0037】
上記第9の発明によれば、環状伝熱体を箔状伝熱体または網状伝熱体と吹付けによって形成された網状伝熱体とで挟んだ構造のヒートパイプを作製することができ、ヒートパイプの機械的信頼性を向上させることができる。この場合も、箔状伝熱体または網状伝熱体が吹付ける金属によって溶けないような組み合わせを選択することが望ましい。
【0038】
本発明の第10の発明は、
管からなる環状伝熱体を、箔状伝熱体と網状伝熱体または網状伝熱体同士で挟んだ状態で金属に浸漬する工程と、
前記浸漬する工程の後、前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含み、
前記金属は、前記環状伝熱体を構成する金属と化合するものであって、その融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属である、ヒートパイプの作製方法である。
【0039】
上記第10の発明は、環状伝熱体を箔状伝熱体または網状伝熱体で挟み、環状伝熱体と箔状伝熱体もしくは網状伝熱体との間、箔状伝熱体と網状伝熱体との間または網状伝熱体同士の間を前述の反応性低融点金属で補強することを特徴とするものである。網状伝熱体は、平面的なものであっても良いし、環状伝熱体を形成する管の形状に沿って設けられたものであっても良い。
【0040】
上記第10の発明によれば、環状伝熱体を箔状伝熱体または網状伝熱体とで挟んだ構造の機械的強度を反応性低融点金属を用いて補強することができ、ヒートパイプの機械的信頼性を向上させることができる。
【0041】
本発明の第11の発明は、
管からなる環状伝熱体を、箔状伝熱体と網状伝熱体または網状伝熱体同士で挟んだ状態で水銀に浸漬する工程と、
前記浸漬する工程の後、前記環状伝熱体に付着または化合した前記水銀を除去する工程と、
前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含む、ヒートパイプの作製方法である。
【0042】
水銀に浸漬することにより環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体との接触部はアマルガム化する。その後、水銀の沸点以上、前記伝熱体以下の温度下に置いたり、減圧下に置いたり、またはそれらを併用すれば、付着した水銀(アマルガム化した部分に含まれるものも含む。)を選択的に除去することが可能である。
【0043】
上記第11の発明によれば、環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体との接触部をいったんアマルガム化して一体化させ、その後、水銀のみを除去することにより一体化した接合が得られ、接合部付近の熱伝導率を改善することができる。その結果、ヒートパイプの熱の輸送効率の向上を図ることができる。さらに、アマルガム化後に水銀を取り除いた金属は、ポーラス(多孔質)状となるため、環状伝熱体等の柔軟性(フレキシビリティ)も向上する。
【0044】
本発明の第12の発明は、
環状伝熱体の形状に合わせた溝の形成された型の主表面に接して網状伝熱体を設ける工程と、
前記環状伝熱体を前記溝に合わせて前記網状伝熱体に接して設ける工程と、
前記型の主表面における法線方向に圧力を加え、前記環状伝熱体を前記溝に押し込む工程と、
を含む、ヒートパイプの作製方法である。
【0045】
「型」とは、その主表面(作業に供する面)に環状伝熱体と同じ形状の溝が形成されたものであり、後の加圧成型の鋳型となるものである。型と環状伝熱体との間に設けられた網状伝熱体は、加圧時に環状伝熱体によって溝に押し込まれ、環状伝熱体を形成する管の形状に沿った形状に成型される。
【0046】
上記第12の発明によれば、環状伝熱体を覆う網状伝熱体として既存の網状伝熱体を使用することが可能であり、歩留まりの向上が期待できる。また、型の主表面に形成された溝に環状伝熱体と共に押し込むだけで良く、自己整合的に網状伝熱体を形成できるため、再現性の高い作製方法を提供できるという利点もある。
【0047】
本発明の第13の発明は、
上記第12の発明において、前記環状伝熱体に接してさらに箔状伝熱体または網状伝熱体を設けた後に、前記圧力を加える、ヒートパイプの作製方法である。
【0048】
上記第13の発明によれば、環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体とが接触している分だけ接触面積が増加し、さらに機械的強度も向上する。その結果、ヒートパイプの熱の輸送効率および機械的信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
本発明の第14の発明は、
上記第12または13の発明において、前記圧力を加える際、前記環状伝熱体を加熱する、ヒートパイプの作製方法である。
【0050】
上記第14の発明によれば、加圧時に加熱しておくことにより環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体との接触面積の向上が期待できる。
【0051】
本発明の第15の発明は、
上記第14の発明において、前記環状伝熱体と前記型の間に設ける網状伝熱体、前記環状伝熱体に対して前記網状伝熱体の反対側に設ける箔状伝熱体もしくは網状伝熱体、または、前記環状伝熱体に、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属を付着または接触させておく、ヒートパイプの作製方法である。
【0052】
上記第15の発明によれば、加熱により反応性低融点金属を融解させ、網状伝熱体の加圧成型と同時に反応性低融点金属の結合力により補強することもできる。こうすることによりヒートパイプの作製工程を短縮することが可能である。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、実施の形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付するものとし、説明の便宜上、必ずしも実寸法を反映したものとはなっていない。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。図1(A)は、ヒートパイプを上方から見た図であり、図1(B)は、図1(A)を下方から見た図、図1(C)は、図1(A)を右方から見た図である。説明は、図1(A)を中心に行うが、その構成要素間の位置関係については、図1(B)および図1(C)を併せて参照することにより容易に把握することができる。
【0055】
101は、環状伝熱体を形成する管であり、その両端末は、継ぎ手部102で連結される。103は、流体導入部であり外部と継ぎ手部102の内部をつなぐ通路となる管である。管101の折り返し回数(屈曲部分の数)に制限はないが、多い方が発熱体との接触面積も増して熱の輸送効率が高まるので好ましい。継ぎ手部102の内部は、管101の両端末間を流体が通じることができるように中空である。本実施の形態1において、環状伝熱体は、管101、継ぎ手部102および流体導入部103からなる構造体である。
【0056】
管101の内部には図示しない流体が封入されている。この流体は、いわゆる作動流体と呼ばれるものであり、熱輸送過程において重要な役割を果たす。流体は、管101の内部空間の総体積に対して6割程度を占める量があれば足りる。流体の導入に際しては、管101内部を一度真空に引き、流体導入部103に流体を接触させて常圧に戻せば良い。勿論、導入口と排出口を別個に設けておき、導入口から加圧することで内部に導入することも可能である。適当な量の流体を管101の内部に導入した後は、流体導入部103の導入口を封じ、外部と遮断すれば良い。
【0057】
管101は、銅もしくは銅合金またはステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。継ぎ手部102および流体導入部103には、管101と同じ金属材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。いずれにしても、ヒートパイプの熱の輸送効率を向上させるためには、管101として熱伝導率の高い材料を用いることが望ましい。
【0058】
104a、104bは、第1の網状伝熱体である。図面では第1の網状伝熱体の厚さを管101に対して厚めに図示しているが、実際には、0.01〜0.05mm程度にまで薄くすることが可能である。すなわち、管101の径に比して非常に薄いものを用いることが可能であり、管101の形状(表面形状)に沿って覆うように設けることができる。第1の網状伝熱体104a、104bは、環状伝熱体の一部または全部を覆って設けることが可能であり、図1(A)においては、一部を覆う形で接している。ここでは104a、104bと二箇所に分けた例を示すが、分けなくても良いし、さらに多くの箇所に分けて設けられていても構わない。また、第1の網状伝熱体104aは、環状伝熱体の二箇所の折り返し部(屈曲部)を含むように接着されているが、屈曲部を含まないように設けてもその作用効果が失われるものではない。
【0059】
105a、105bは、第2の網状伝熱体である。第2の網状伝熱体105a、105bは、上記第1の網状伝熱体104a、104bと同じ材料で形成しても良いし、異なる材料でも良い。いずれにしても熱伝導性の高い材料を用いることが望ましい。図1(A)の上面図において、第2の網状伝熱体105aは、第1の網状伝熱体104aと環状伝熱体101を挟むように配置されている。第1の網状伝熱体104a、104bと第2の網状伝熱体105a、105bとは、環状伝熱体と接触しない部分においては互いに貼り合わせた状態となっている。
【0060】
図2は、図1(A)の上面図をA−A’で切断した断面図である。図2(A)は、図1(A)をA−A’で切断したままの断面図を、図2(B)は、破線部201の拡大図を示している。
【0061】
図2(A)に示すように、管101は、第1の網状伝熱体104aと第2の網状伝熱体105aとの間に挟み込まれている。106は、管101の内部を流体が移動するための空間である。図2(A)、(B)から明らかなように、第1の網状伝熱体104aは、管101の表面形状に沿って覆うように設けられ、接触面積は、下方に配置された第2の網状伝熱体105aに比して非常に大きい。すなわち、従来の平板と管との接触面積に比して十分大きい接触面積を確保することができる。第1の網状伝熱体104aの作製方法にもよるが、少なくとも管101の全表面積の1/2以上の接触面積を確保することが望ましいと言える。接触面積が大きいということは、熱伝導率が高いというだけでなく、接着性にも優れていることを意味する。本実施の形態1で開示する一例の場合、第1の網状伝熱体104aは、第2の網状伝熱体105aとも貼り合わせてあるので、さらに接着性が高まり、機械的信頼性が向上するという利点をも有している。
【0062】
図2(A)において、前述の「網状伝熱体が管の形状に沿って接着された部分」は、202で示される部分に相当する。「その他の面部分」は、203で示される部分に相当する。なお、図2(A)では平面的に示してあるが、その他の面部分が曲面であっても何ら問題はない。その他の面部分は、管と管との横方向の熱伝達の媒体となり、管と管との相互作用を高めることによりヒートパイプの熱の輸送効率の向上に寄与する。
【0063】
ここで図1(A)を参照すると、本実施の形態1に開示する一例では、第1の網状伝熱体104a、104bの設けられた部分が熱の受け渡しを行う部分として機能する。つまり、発熱体と接触した部分が受熱部として機能し、そこの管内部を通過する流体が熱を吸収する。そこで吸収された熱は、それ以外の他の部分(特に、冷却された部分)で取り出される。このようなサイクルが管101の内部を循環する流体によってなされ、熱輸送が行われる。すなわち、熱を受け取る部分と取り出される部分との関係は相対的なものであり、ヒートパイプ全体において発熱体と接した部分が熱を受け取る部分となり、その他の部分のいずれかが熱を取り出す部分となるに過ぎない。従って、第1の網状伝熱体104a、104bのいずれか一方が熱を受け取る部分(発熱体に接触させる部分)として機能した場合、他方が熱を取り出す部分(冷却媒体と接触させる部分)として機能すれば、ヒートパイプとしての作用効果はなんら妨げられない。
【0064】
例えば、図1(A)において、第1の網状伝熱体104aを設けた部分を熱を受け取る部分とする。この場合、第1の網状伝熱体104aまたは第2の網状伝熱体105aを発熱体に取り付けることになるが、第1の網状伝熱体104a、第2の網状伝熱体105aともに柔軟性が高いため、発熱体が曲面であっても容易に取り付けることができる。すなわち、従来のように、発熱体の形状に合わせて加工する必要がなく、熱の受け渡しを行う部分が変形自在であるという特徴がある。これは熱を取り出す部分として機能する第1の網状伝熱体104bを設けた部分についても同様である。
【0065】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。熱の受け渡しを行う部分の構造について、他の一例を以下に示す。
【0066】
図3は、本発明のヒートパイプにおける一実施形態における一例を示す図である。具体的には、本実施の形態1の一例である。
【0067】
図3(A)は、図1(A)に示す上面図をA−A’で切断した断面図に相当する図面であり、管101を第1の網状伝熱体104aのみで覆った例である。この場合、機械的信頼性が多少落ちるものの柔軟性が向上する。
【0068】
図3(B)は、図1(A)に示す上面図をA−A’で切断した断面図に相当する図面であり、管101を第1の網状伝熱体104aと箔状伝熱体301で挟み込んだ例である。この場合、箔状伝熱体301の厚さが十分に薄ければ、柔軟性を損なうことなく、機械的信頼性を高めることができる。箔状伝熱体301としては、網状伝熱体104aと同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。網状伝熱体104aと同一の材料を用いた場合、網状伝熱体104aとの接着性が良い等の利点がある。
【0069】
図3(C)は、図1(A)に示す上面図をA−A’で切断した断面図に相当する図面であり、管101を第1の網状伝熱体104aで挟み込んだ例である。この場合、1枚の網状伝熱体を途中で袋状に折り返して環状伝熱体を挟めば良い。
【0070】
(実施の形態2)
上記実施の形態1で説明した第1の網状伝熱体104a、104bは、既に加工済みの網状伝熱体を用いても良いが、他の方法を採用することもできる。例えば、環状伝熱体に向かって融解した金属(第1の網状伝熱体の組成物)を吹付け、固化させることにより、いわゆる不織布に似た網状の伝熱体を形成することができる。固化させる際には、単に冷却するだけでなく、加圧、加熱その他の処理を併用しても良い。
【0071】
図4は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。まず、あらかじめ環状伝熱体を準備する。環状伝熱体は、管を所定の形状に加工し、溶接その他の接合手段により継ぎ手部および流体導入部を順次形成すれば良い。ここでは、網状伝熱体の形成方法に着目して説明する。
【0072】
工程の開始(ステップ401)にあたって、前述のようにして環状伝熱体を準備し、環状伝熱体の必要箇所をマスキングする(ステップ402)。このステップは、図1で説明したように網状伝熱体を二箇所以上に設けるような場合に必要であるが、環状伝熱体の全面に設ける場合には省略することができる。マスキング材としては、後の工程で吹付けることになる融解した金属の温度に耐え得るように、耐熱性の高い金属材料を用いると良い。環状伝熱体が準備できたら、環状伝熱体を網状伝熱体上に設ける(ステップ403)。勿論、図3(A)の構造とする場合は、ここで使用する網状伝熱体を省略することもできる。次に、環状伝熱体に向かって上記融解した金属を吹付ける(ステップ404)。このステップでは、噴射された金属粒子が環状伝熱体表面に付着または化合し、互いに絡み合って網状伝熱体を形成する。このとき、吹付けた金属によって、管の形状に沿った網状接合部分と菅の形状によらない網状平面部分とを有する網状伝熱体が形成される。こうして網状伝熱体の形成工程が終了する(ステップ405)。
【0073】
なお、上記融解した金属の吹付けによる網状伝熱体の形成方法自体は、公知の技術であり、当業者であれば適宜実施することができる。
【0074】
網状伝熱体の形成が終了したら、環状伝熱体を減圧下に置いてその管の内部を減圧とし(ステップ405)、そのまま流体導入口を流体に接触させ(ステップ406)、常圧に戻す。常圧に戻したとき、圧力差によって管内へと流体が流れ込み、流体の導入を行うことができる(ステップ407)。なお、ここで説明した方法以外にも、管の一方の端末から流体を加圧注入し、他方の端末から圧力を抜くという方法を採用しても流体の導入は可能である。
【0075】
こうして本発明のヒートパイプを作製することができる。この場合、環状伝熱体101と第1の網状伝熱体104a、104bとの間に接着剤を用いることなく接着可能になる。これにより耐熱性の高いヒートパイプを実現可能となる。
【0076】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
(実施の形態3)
網状伝熱体104a、104bを形成する他の例としては、加圧成型による方法を採用することができる。図5は、本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示す図である。図5(A)は、その作製方法の一例の概観を示す図であり、図5(B)は、加圧後の状態を断面から見た図である。なお、以下の説明は、図5(A)を例示して上下の位置関係を述べることとするが、あくまで相対的なものであって、実空間における絶対的位置関係を限定するものではない。
【0078】
図5(A)において、501は、型であり、その主表面には処理対象となる環状伝熱体502の形状に合わせた溝503が形成されている。環状伝熱体502は、第1の網状伝熱体504と第2の網状伝熱体505の間に配置される。
【0079】
図6は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、環状伝熱体とその環状伝熱体の形状に合わせた溝の形成された型をあらかじめ準備する。環状伝熱体の準備は、実施の形態2で説明したので省略する。型の準備は、公知技術を用いれば良いので説明を省略する。ここでは、網状伝熱体の形成方法に着目して説明する。
【0080】
まず、開始(ステップ601)にあたって、型501の主表面上に(主表面に接して)第1の網状伝熱体504を設ける(ステップ602)。第1の網状伝熱体504が、図1(A)の第1の網状伝熱体104a、104bに相当する。次に、型501に形成された溝503の形状に合わせて、第1の網状伝熱体504上に環状伝熱体502を設ける(ステップ603)。こうすることで環状伝熱体502は、後の加圧工程で溝503に押し込むことができる。次に、環状伝熱体502上に第2の網状伝熱体505を設ける(ステップ604)。第2の網状伝熱体505が、図1(A)の第2の網状伝熱体105a、105bに相当する。なお、第2の網状伝熱体505は、省略することも可能である。次に、網状伝熱体505の上方から(型501の主表面の法線方向に)加圧し、環状伝熱体502を溝503に押し込む(ステップ605)。このとき、第1の網状伝熱体504は、環状伝熱体502によって溝503の内側に押し込まれ、環状伝熱体502の形状に沿って密着する。
【0081】
上記ステップ605の際の様子を図5(B)に示す。506は、加圧用の型である。なお、ここでは型506を移動させて加圧する例を説明したが、型501が移動しても良い。すなわち、型501の主表面における法線方向に加圧することができれば、どのような方向から加圧するのであっても構わない。
【0082】
このとき、加圧の際に環状伝熱体502を加熱しても良い。加熱により接触面においてエネルギー的な自由度が増し、接触面積の向上が期待できるからである。また、第1の網状伝熱体504、第2の網状伝熱体505または環状伝熱体502に、前述の反応性低融点金属を付着または接触させておいても良い。加熱により反応性低融点金属が融解し、環状伝熱体502と第1の網状伝熱体504または第2の網状伝熱体505との間の接着性を向上させることができる。
【0083】
以上の工程が終了したら、実施の形態2で説明した方法と同様に、ステップ405〜408で例示される流体の封入工程を経て本発明のヒートパイプを作製することができる。この場合、少なくとも従来の有機材料を含む接着剤を用いる必要がないため、従来より耐熱性の高いヒートパイプを実現することができる。
【0084】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0085】
(実施の形態4)
図7は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。本実施の形態は、環状伝熱体と網状伝熱体との間の接着力を、反応性低融点金属を用いて補強または改善するものである。
【0086】
開始(ステップ701)にあたって、環状伝熱体の管を覆って接する網状伝熱体を形成する(ステップ702)。この形成方法は、例えば実施の形態2、3で説明した方法を実施すれば良い。また、環状伝熱体の管を覆って接するように、既成の網状伝熱体を物理的に密着させたものであっても良い。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を反応性低融点金属に浸漬する(ステップ703)。反応性低融点金属は、あらかじめ融解させておけば良い。このステップでは、反応性低融点金属が、環状伝熱体および網状伝熱体に付着または化合する。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を引き上げ、余分に付着または化合した反応性低融点金属を除去する(ステップ704)。余分に付着した反応性低融点金属は、例えば一般的にはんだ等の除去に利用される金属繊維等を用いれば簡単に除去することができる。こうして反応性低融点金属による補強処理が終了する。
【0087】
なお、以上説明したプロセスは、反応性低融点金属として水銀を用いることにより特徴のある効果を生じる。その一例について以下に説明する。
【0088】
図8は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。開始(ステップ801)にあたって、環状伝熱体の管を覆って接する網状伝熱体を形成する(ステップ802)。この形成方法も、例えば実施の形態2、3で説明した方法を実施すれば良い。また、環状伝熱体の管を覆って接するように、既成の網状伝熱体を物理的に密着させたものであっても良い。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を水銀に浸漬する(ステップ803)。水銀は、常温で液体であるから、あらかじめ加熱して液化させておく必要がなく、設備面での利点がある。このステップでは、水銀が、環状伝熱体および網状伝熱体に付着または化合する。その際、環状伝熱体と網状伝熱体との接合面はアマルガム化して一体化する。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を引き上げ、余分に付着または化合した水銀を除去する(ステップ804)。余分に付着した水銀は、例えば加熱したり、減圧下に置いたり、または両者を併用することで簡単に気化して離脱するため、ほぼすべての水銀を除去することができる。こうして水銀を利用した補強処理が終了する。
【0089】
以上のようにして補強処理を終了したら、実施の形態2で説明した方法と同様に、ステップ405〜408で例示される流体の封入工程を経て本発明のヒートパイプを作製することができる。図7を用いて説明した処理を行った場合、網状伝熱体に絡みついた反応性低融点金属が、環状伝熱体と網状伝熱体との接着力を強め、機械的信頼性を向上させる。さらに、反応性低融点金属が熱伝導の経路ともなるため、ヒートパイプにおける熱の輸送効率の向上にも寄与する。
【0090】
また、図8を用いて説明した処理を行った場合、水銀の除去過程においてアマルガム化した部分からも水銀が除去される。すなわち、環状伝熱体と網状伝熱体とが一体化した部分のアマルガムから水銀が離脱し、環状伝熱体と網状伝熱体とが完全に一体化した状態で残る。従って、機械的信頼性が大幅に向上する。また、水銀が離脱して残った部分は、ポーラス(多孔質)状になるため、柔軟性が向上するという効果も得られる。
【0091】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0092】
(実施の形態5)
図9は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。本実施の形態5においては、本発明のヒートパイプにおいて、環状伝熱体と網状伝熱体との接着に反応性低融点金属を用いる実施形態を開示する。
【0093】
図9において、901、902は、いずれも網状伝熱体であり、その間に内部に流体が封入された管903が挟まれた状態で存在する。そして、網状伝熱体901と902の間、換言すれば隣接する管901の間には、前述の反応性低融点金属903が充填され、相互に接着されている。
【0094】
このような構造のヒートパイプを作製するには、環状伝熱体903を第1の網状伝熱体901および第2の網状伝熱体902で挟み、その状態で液体状の反応性低融点金属に浸漬すれば良い。このとき、第1の網状伝熱体501を袋状に折り返して第2の網状伝熱体502を兼ねることも可能である。
【0095】
なお、互いに向かい合った網状伝熱体で挟む以外は、上記実施の形態4で説明した処理と同様の処理を行えば良い。すなわち、互いに向かい合った網状伝熱体で挟んだ状態で反応性低融点金属に浸漬すれば良い。その後は、実施の形態2で説明した方法と同様に流体の封入工程を行い、本発明のヒートパイプを作製することができる。図9の構造とした場合、若干柔軟性は落ちるが、熱伝導率の向上が期待できる。
【0096】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0097】
(実施の形態6)
図10は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。本実施の形態6においては、本発明のヒートパイプにおいて、環状伝熱体のみで網状のヒートパイプとする実施形態を開示する。
【0098】
図10(A)は、管11、継ぎ手部12および流体導入部13からなる環状伝熱体10を示している。管11は、両端末が継ぎ手部12で連結されており、内部に流体を封入してある。管11がループ(換言すれば、一筆書き)を形成するように加工され、1枚の網状の環状伝熱体としてある点に特徴がある。なお、ここでは管11を規則的に配列させた例を示したが、不規則的なものであっても良い。
【0099】
図10(B)は、図10(A)の網状の環状伝熱体10を2枚用意し、左右対称にして組み合わせた例である。ここでは伝熱体20として2枚の網状の環状伝熱体10を組み合わせて形成された伝熱体を示したが、2枚以上の複数を組み合わせても良い。この場合、複数の網状の環状伝熱体が組み合わさって1枚の伝熱体を形成する。
【0100】
なお、図10(B)では、単純に複数の網状の環状伝熱体を重ねて組み合わせる例を示しているが、複数の環状伝熱体の管を個々に絡めて(すなわち、個々の環状伝熱体を相互に絡めて一体化させた)伝熱体として組み立てることも可能である。この場合、管11と継ぎ手部12との接合をする前に、各環状伝熱体を形成する管を相互に絡め、最後に管と継ぎ手を接合すれば良い。
【0101】
図11は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。具体的には、複数の環状伝熱体で形成された伝熱体の一例である。
【0102】
図11(A)は、管21、継ぎ手部22および流体導入部23からなる環状伝熱体30(太線で示したもの)を単位として、環状伝熱体30を複数組み合わせて伝熱体を形成した一例である。隣接する環状伝熱体30の管21は相互に絡み合い、全体として網状の伝熱体を構成している。
【0103】
図11(B)は、他の一例であり、環状伝熱体31を単位として、環状伝熱体31を複数組み合わせて伝熱体を形成している。環状伝熱体31の管は、環状伝熱体30の管に比して曲率が大きく、波状となっている。隣接する環状伝熱体31の管21が相互に絡み合い、全体として網状の伝熱体を構成している点は、図10(A)と同様である。
【0104】
図10(C)は、他の一例であり、環状伝熱体32を単位として、環状伝熱体32を複数組み合わせて伝熱体を形成している。環状伝熱体32の管は、らせん状にとなっている。隣接する環状伝熱体32の管21が相互に絡み合い、全体として網状の伝熱体を構成している点は、図11(A)と同様である。この場合、らせんの直径に相当する厚みがあり、伝熱体の構造は立体的な構造となるが、らせんの直径が十分に小さければ柔軟性を損なうこともない。
【0105】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、実施の形態4で説明した処理と組み合わせて、網状の環状伝熱体またはそれを組み合わせて形成された伝熱体を、反応性低融点金属に浸漬して、機械的信頼性の向上と管同士の密着性の向上を図ることも可能である。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏するヒートパイプを提供することができる。
【0107】
発熱体表面が曲面であっても容易に取り付けうるヒートパイプを提供することができる。少なくとも熱を受け取る部分において、柔軟性に富む部分を含むヒートパイプを提供することができる。
【0108】
隣接する管と管との間における熱伝導率を改善し、管と管との間の相互作用を高めたヒートパイプを提供することができる。そして、その結果として熱の輸送効率を改善したヒートパイプを提供することができる。
【0109】
従来使用できなかった高温発熱体にも適用しうる耐熱性の高いヒートパイプを提供することができる。すなわち、伝熱性接着剤を用いることなく高い効率で管に熱伝達できるヒートパイプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【図2】図1(A)の上面図をA−A’で切断した断面図である。
【図3】本発明のヒートパイプにおける一実施形態における一例を示す図である。
【図4】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示す図である。
【図6】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【図10】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【図11】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【符号の説明】
101…管、102…継ぎ手部、103…流体導入部、104a…第1の網状伝熱体、104b…第1の網状伝熱体、105a…第2の網状伝熱体、105b…第2の網状伝熱体、106…空間、301…箔状伝熱体、501…型、502…環状伝熱体、503…溝、504…第1の網状伝熱体、505…第2の網状伝熱体、506…型、901…第1の網状伝熱体、902…第2の網状伝熱体、903…管、904…反応性低融点金属。
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質間の熱の輸送効率を高めるためのヒートパイプおよびその作製方法に関する。本発明のヒートパイプは、効率の良い熱輸送を必要とするあらゆる技術分野に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱輸送を効率良く行うための装置として、ヒートパイプが用いられている。ヒートパイプにおける熱輸送の方式としては様々あるが、特に代表的な技術として流体を内部に封じた「ループ型ヒートパイプ」と呼ばれるものがある。特許文献1に記載されたヒートパイプは、両端末が流通自在に連結された細管を密閉コンテナとし、その内部の作動流体により放熱部および受熱部間で熱輸送を行うというものである。
【0003】
上記ループ型ヒートパイプは、発熱体にその一部(受熱部)を接触させ、その他の部分(放熱部)で作動流体によって輸送された熱を取り出す。このような熱輸送作用は、発熱体から熱を効率良く取り出すことができる。例えば、特許文献2には、プリント回路基板上の発熱素子パッケージとコールドプレートとの間にヒートパイプを設け、その間の熱輸送を行う熱接続装置として用いる例が示されている。
【0004】
特許文献2記載の発明は、長尺蛇行細管で弾性と伸縮性に富むバネ構造体を形成し、それに受熱平板と放熱平板とを一体化させた熱接続装置であり、受熱面と放熱面の距離の弾力的伸縮幅が大きい。その結果として、被熱接続体間に対する挿入接着性が改善される旨の記載がある。
【0005】
しかしながら、前掲の文献に代表される従来のヒートパイプにおいては、発熱体とヒートパイプ(長尺細管)との間に受熱面または放熱面として機能する平板があり、この平板が熱の受け渡しを行っていた。そのため、発熱体表面が曲面である場合など、平板のままでは設置ができない場合があり、その際には、平板をあらかじめ発熱体の形状に加工しておく必要があった。すなわち、従来のヒートパイプの構造は、あらゆる発熱体の形状に対応するだけの柔軟性(フレキシビリティ)に劣るという問題があった。
【0006】
また、従来のヒートパイプにおいては、ヒートパイプを形成する管と平板との間を伝熱性の接着剤で接着するのが一般的であった。この場合、複数の管に伝熱性の接着剤を付着させ、放熱面または受熱面となる平板と圧着する。しかしながら、この従来の方法では、平板と管とが線で接触するため両者の接触面積が狭く、熱輸送効率が専ら伝熱性の接着剤の熱伝導率に依存するという問題があった。伝熱性接着剤の主成分は、高分子材料等であり、金属に比べると熱伝導性は劣ってしまう。この問題は、蛇行するヒートパイプにおいて隣接するパイプ間の熱交換にも影響を及ぼす因子となる。ループ型ヒートパイプの熱輸送を考えるとき、隣接するパイプ間の相互作用も重要な因子であり、その間において熱伝導率は高いことが望まれる。従来例では、パイプ間を埋める伝熱体が伝熱性接着剤であるため、やはり熱伝導率の点で改善の余地があった。
【0007】
さらに、上記伝熱性接着剤の主成分として高分子樹脂等の有機材料が用いられた場合は、発熱体の温度によって改質または分解等が懸念され、適用しうる用途に制限を課すことにもつながりかねない。この点からも伝熱性接着剤を用いることについては、更なる改善の余地があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−190090号公報
【特許文献2】
特開平5−66095号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発熱体表面が曲面であっても容易に取り付けうるヒートパイプを提供することにある。すなわち、少なくとも熱を受け取る部分において、柔軟性に富む部分を含むヒートパイプを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、隣接するパイプ間(管と管との間)における熱伝導率を改善し、パイプ間の相互作用を高めたヒートパイプを提供することにある。さらにその結果として、熱の輸送効率を改善したヒートパイプを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、従来使用できなかった高温発熱体にも適用しうる耐熱性の高いヒートパイプを提供することにある。すなわち、伝熱性接着剤を用いることなく高い効率で管に熱伝達できるヒートパイプを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前掲の各目的を達する本発明のヒートパイプを作製するための技術を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の概略を説明すれば、以下の通りである。即ち、本発明は、ヒートパイプの一部に網状の伝熱体を用いることにより、熱伝導性、柔軟性を改善したヒートパイプおよびその作製方法である。
【0014】
即ち、本発明の第1の発明は、
内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体と、
前記環状伝熱体の一部または全部を覆う網状伝熱体と、
を含み、
前記網状伝熱体が、前記管の形状に沿って前記環状伝熱体に接着された部分とその他の面部分とを有する、ヒートパイプである。
【0015】
環状伝熱体とは、管の両端末を連結させてループ(環)を形成し、その管の内部に流体を封入することができるようにした伝熱体である。両端末は、直接連結している必要はなく、継ぎ手部分(流体の導入部を含む。)があっても構わない。管の材料としては、熱伝導率の高い銅または銅合金が好ましいが、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金等を用いることもできる。また、流体としては、水、アンモニア、フレオン、アルコール類等を用いることができる。
【0016】
網状伝熱体とは、銅や銅合金といった熱伝導率の高い材料を網状に形成した伝熱体である。「網状」という意味には、不織布のように機械的、化学的、熱的またはそれらの組み合わせによって形成されたシート状の意味をも含むものとする。すなわち、上記熱伝導率の高い材料からなる線を用いた網状伝熱体だけでなく、それら材料の組成物の集合からなる伝熱体をも含む。
【0017】
網状伝熱体が管の形状に沿って接着された部分とは、網状伝熱体のうち管の表面形状に沿って接着された部分を指す。本発明の目的に鑑みれば、管の表面積の1/2以上を覆っていることが望ましい。その他の面部分とは、網状伝熱体のうち管と接触しない部分である。管と管との間の熱伝達を行う部分でもある。その他の面部分は、平面部分であっても曲面部分であっても構わない。
【0018】
上記第1の発明によれば、従来、平板であった部分を網状伝熱体にしたことによりその部分の柔軟性が改善され、発熱体の曲面部分に対しても容易に取り付け可能なヒートパイプとすることができる。ヒートパイプの用途は大幅に広がることとなり、汎用性も向上する。また、管と網状伝熱体は、従来の線接触と異なり、面接触となる。すなわち、接触面積の増加により熱伝導率が改善され、ヒートパイプの熱の輸送効率が高まる。管と管との間は、網状伝熱体の前記その他の面部分で連結されるため、相互作用によりさらなる熱の輸送効率の向上が期待できる。
【0019】
なお、上記第1の発明のヒートパイプは、環状伝熱体と網状伝熱体との接着に接着剤を用いない構成とすることもできる。この場合、環状伝熱体と網状伝熱体は、それらの組成物の相互作用による物理的または化学的結合状態にある。従来の有機材料を含む接着剤を使用しなければ、従来使用できなかった高温発熱体へもヒートパイプを適用することが可能となる。
【0020】
本発明の第2の発明は、
上記第1の発明において、前記環状伝熱体が、前記網状伝熱体と箔状伝熱体、前記網状伝熱体と他の網状伝熱体、または袋状に折り返した前記網状伝熱体で挟まれている、ヒートパイプである。
【0021】
箔状伝熱体とは、上記銅や銅合金といった熱伝導率の高い材料を箔のように薄く延ばした伝熱体である。上記第2の発明では、環状伝熱体が、網状伝熱体とその他の伝熱体(網状または箔状の伝熱体)とで挟まれた構造となっている。
【0022】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明と同じ効果が得られると共に、2枚のシート状の伝熱体で補強されるため、機械的信頼性が向上するという効果が得られる。環状伝熱体と網状伝熱体等が接触する面積が増すため、熱の輸送効率の向上も図れる。
【0023】
本発明の第3の発明は、
上記第1または第2の発明において、前記環状伝熱体と前記網状伝熱体とが、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属で接着されている、ヒートパイプである。
【0024】
「前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属(以下、反応性低融点金属という。)」としては、典型的には軟ろうまたは硬ろうを例示することができる。「軟ろう」とは、いわゆる「はんだ」に代表されるろう付け用合金であり、融点が450℃以下のものをいい、「硬ろう」とは、「銀ろう」に代表されるろう付け用合金であり、融点が450℃以上のものをいう(長倉三郎他編、岩波理化学辞典第5版、第355頁、1998年2月20日第5版第1刷発行、株式会社岩波書店)。軟ろう、硬ろう以外の金属であっても、上記要件を満たす金属であれば使用可能である。なお、本明細書において、「金属」には合金も含むものとする。環状伝熱体または網状伝熱体として、銅または銅合金を用いる場合、代表的には、鉛(Pb)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)等の低融点金属を用いることができる。勿論、環状伝熱体および網状伝熱体の材料によって使用可能な反応性低融点金属も変わるが、前記例示に限定する必要はなく、実施者が適宜適当な金属を選択すれば良い。
【0025】
上記第3の発明によれば、環状伝熱体と網状伝熱体とが金属により接着されているため、機械的信頼性の高いヒートパイプとすることができる。また、伝熱性の高い金属を用いれば、網状伝熱体全体の熱伝導率の向上に寄与するため、管と管との間の相互作用も改善され、ヒートパイプの熱の輸送効率の改善に効果がある。なお、使用する金属の耐熱性が許す限りにおいて、高温発熱体への適用も可能であり、従来の有機材料を含む接着剤に比して適用範囲は広いと言える。
【0026】
本発明の第4の発明は、
内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体と、
前記環状伝熱体の一部または全部に接する網状伝熱体と、
前記環状伝熱体を間に挟んで前記網状伝熱体に対向する、箔状伝熱体、前記網状伝熱体とは異なる他の網状伝熱体または前記環状伝熱体を間に挟むように折り返した前記網状伝熱体の一部分と、
を含み、
前記網状伝熱体と前記対向する箔状または網状の伝熱体またはその一部分との間に、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属が充填されている、ヒートパイプである。
【0027】
上記第4の発明によれば、環状伝熱体の周囲が、軟ろう等の反応性低融点金属で満たされるため、ヒートパイプの機械的信頼性が向上する。なお、この場合における機械的信頼性と柔軟性との間にはトレードオフの関係がある。しかし、使用する金属の延性率もしくは展性率または環状伝熱体の管径といったパラメータを最適化すれば十分に柔軟性を確保することが可能である。
【0028】
本発明の第5の発明は、
内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体を含み、単一または複数の前記環状伝熱体を網状に形成したまたは網状に組み合わせた、ヒートパイプである。
【0029】
上記第5の発明は、環状伝熱体自体が網状(平面的または曲面的なものおよび立体的なものを含む。)であるヒートパイプである。環状伝熱体を形成する管の直径が十分に小さければ、十分な長さの管を規則的または不規則的に配列させて網状とすることが可能となる。勿論、個々の環状伝熱体は、ループを形成している必要がある。
【0030】
上記第5の発明によれば、網状伝熱体を用いなくても環状伝熱体自体の柔軟性が高いため、曲面を有する発熱体への取り付けが容易である。
【0031】
本発明の第6、7の発明は、
上記第5の発明において、前記管の相互に接触している部分が、金属で接着されている、ヒートパイプである。金属としては、前記菅を構成する金属と化合し、かつ、前記菅を構成する金属の融点より低い融点を有するものを用いることができる。代表的には、前述の軟ろう、硬ろうその他の反応性低融点金属を用いることができる。
【0032】
上記第6、7の発明によれば、環状伝熱体を形成する管と管との間を金属で相互に連結することができ、ヒートパイプの機械的信頼性の向上を図ることができる。
【0033】
本発明の第8の発明は、
管からなる環状伝熱体に向かって融解した金属を吹付け、前記融解した金属を前記環状伝熱体の一部または全部に付着させる工程と、
前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含み、
前記吹付けた金属によって、前記管の形状に沿った網状接合部分と前記菅の形状によらない網状平面部分とを有する網状伝熱体を形成する、ヒートパイプの作製方法である。
【0034】
上記第8の発明は、網状伝熱体を融解した金属の吹付けて形成することを特徴とするものである。融解した金属を吹付けて物体表面に網状伝熱体を形成する技術自体は公知の技術を用いれば良い。融解した金属を吹付ける際、管の表面になるべく多く付着するように、多方向から吹付けることが望ましい。なお、吹付ける金属が環状伝熱体および網状伝熱体を溶かさないように組み合わせを選択することが望ましい。
【0035】
上記第8の発明によれば、管の表面にその形状に沿って直接網状伝熱体を形成することが可能となる。
【0036】
本発明の第9の発明は、
上記第8の発明において、前記金属を吹付ける際、前記環状伝熱体を箔状伝熱体または他の網状伝熱体の上に設置する、ヒートパイプの作製方法である。
【0037】
上記第9の発明によれば、環状伝熱体を箔状伝熱体または網状伝熱体と吹付けによって形成された網状伝熱体とで挟んだ構造のヒートパイプを作製することができ、ヒートパイプの機械的信頼性を向上させることができる。この場合も、箔状伝熱体または網状伝熱体が吹付ける金属によって溶けないような組み合わせを選択することが望ましい。
【0038】
本発明の第10の発明は、
管からなる環状伝熱体を、箔状伝熱体と網状伝熱体または網状伝熱体同士で挟んだ状態で金属に浸漬する工程と、
前記浸漬する工程の後、前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含み、
前記金属は、前記環状伝熱体を構成する金属と化合するものであって、その融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属である、ヒートパイプの作製方法である。
【0039】
上記第10の発明は、環状伝熱体を箔状伝熱体または網状伝熱体で挟み、環状伝熱体と箔状伝熱体もしくは網状伝熱体との間、箔状伝熱体と網状伝熱体との間または網状伝熱体同士の間を前述の反応性低融点金属で補強することを特徴とするものである。網状伝熱体は、平面的なものであっても良いし、環状伝熱体を形成する管の形状に沿って設けられたものであっても良い。
【0040】
上記第10の発明によれば、環状伝熱体を箔状伝熱体または網状伝熱体とで挟んだ構造の機械的強度を反応性低融点金属を用いて補強することができ、ヒートパイプの機械的信頼性を向上させることができる。
【0041】
本発明の第11の発明は、
管からなる環状伝熱体を、箔状伝熱体と網状伝熱体または網状伝熱体同士で挟んだ状態で水銀に浸漬する工程と、
前記浸漬する工程の後、前記環状伝熱体に付着または化合した前記水銀を除去する工程と、
前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含む、ヒートパイプの作製方法である。
【0042】
水銀に浸漬することにより環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体との接触部はアマルガム化する。その後、水銀の沸点以上、前記伝熱体以下の温度下に置いたり、減圧下に置いたり、またはそれらを併用すれば、付着した水銀(アマルガム化した部分に含まれるものも含む。)を選択的に除去することが可能である。
【0043】
上記第11の発明によれば、環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体との接触部をいったんアマルガム化して一体化させ、その後、水銀のみを除去することにより一体化した接合が得られ、接合部付近の熱伝導率を改善することができる。その結果、ヒートパイプの熱の輸送効率の向上を図ることができる。さらに、アマルガム化後に水銀を取り除いた金属は、ポーラス(多孔質)状となるため、環状伝熱体等の柔軟性(フレキシビリティ)も向上する。
【0044】
本発明の第12の発明は、
環状伝熱体の形状に合わせた溝の形成された型の主表面に接して網状伝熱体を設ける工程と、
前記環状伝熱体を前記溝に合わせて前記網状伝熱体に接して設ける工程と、
前記型の主表面における法線方向に圧力を加え、前記環状伝熱体を前記溝に押し込む工程と、
を含む、ヒートパイプの作製方法である。
【0045】
「型」とは、その主表面(作業に供する面)に環状伝熱体と同じ形状の溝が形成されたものであり、後の加圧成型の鋳型となるものである。型と環状伝熱体との間に設けられた網状伝熱体は、加圧時に環状伝熱体によって溝に押し込まれ、環状伝熱体を形成する管の形状に沿った形状に成型される。
【0046】
上記第12の発明によれば、環状伝熱体を覆う網状伝熱体として既存の網状伝熱体を使用することが可能であり、歩留まりの向上が期待できる。また、型の主表面に形成された溝に環状伝熱体と共に押し込むだけで良く、自己整合的に網状伝熱体を形成できるため、再現性の高い作製方法を提供できるという利点もある。
【0047】
本発明の第13の発明は、
上記第12の発明において、前記環状伝熱体に接してさらに箔状伝熱体または網状伝熱体を設けた後に、前記圧力を加える、ヒートパイプの作製方法である。
【0048】
上記第13の発明によれば、環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体とが接触している分だけ接触面積が増加し、さらに機械的強度も向上する。その結果、ヒートパイプの熱の輸送効率および機械的信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
本発明の第14の発明は、
上記第12または13の発明において、前記圧力を加える際、前記環状伝熱体を加熱する、ヒートパイプの作製方法である。
【0050】
上記第14の発明によれば、加圧時に加熱しておくことにより環状伝熱体と箔状伝熱体または網状伝熱体との接触面積の向上が期待できる。
【0051】
本発明の第15の発明は、
上記第14の発明において、前記環状伝熱体と前記型の間に設ける網状伝熱体、前記環状伝熱体に対して前記網状伝熱体の反対側に設ける箔状伝熱体もしくは網状伝熱体、または、前記環状伝熱体に、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属を付着または接触させておく、ヒートパイプの作製方法である。
【0052】
上記第15の発明によれば、加熱により反応性低融点金属を融解させ、網状伝熱体の加圧成型と同時に反応性低融点金属の結合力により補強することもできる。こうすることによりヒートパイプの作製工程を短縮することが可能である。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、実施の形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付するものとし、説明の便宜上、必ずしも実寸法を反映したものとはなっていない。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。図1(A)は、ヒートパイプを上方から見た図であり、図1(B)は、図1(A)を下方から見た図、図1(C)は、図1(A)を右方から見た図である。説明は、図1(A)を中心に行うが、その構成要素間の位置関係については、図1(B)および図1(C)を併せて参照することにより容易に把握することができる。
【0055】
101は、環状伝熱体を形成する管であり、その両端末は、継ぎ手部102で連結される。103は、流体導入部であり外部と継ぎ手部102の内部をつなぐ通路となる管である。管101の折り返し回数(屈曲部分の数)に制限はないが、多い方が発熱体との接触面積も増して熱の輸送効率が高まるので好ましい。継ぎ手部102の内部は、管101の両端末間を流体が通じることができるように中空である。本実施の形態1において、環状伝熱体は、管101、継ぎ手部102および流体導入部103からなる構造体である。
【0056】
管101の内部には図示しない流体が封入されている。この流体は、いわゆる作動流体と呼ばれるものであり、熱輸送過程において重要な役割を果たす。流体は、管101の内部空間の総体積に対して6割程度を占める量があれば足りる。流体の導入に際しては、管101内部を一度真空に引き、流体導入部103に流体を接触させて常圧に戻せば良い。勿論、導入口と排出口を別個に設けておき、導入口から加圧することで内部に導入することも可能である。適当な量の流体を管101の内部に導入した後は、流体導入部103の導入口を封じ、外部と遮断すれば良い。
【0057】
管101は、銅もしくは銅合金またはステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。継ぎ手部102および流体導入部103には、管101と同じ金属材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。いずれにしても、ヒートパイプの熱の輸送効率を向上させるためには、管101として熱伝導率の高い材料を用いることが望ましい。
【0058】
104a、104bは、第1の網状伝熱体である。図面では第1の網状伝熱体の厚さを管101に対して厚めに図示しているが、実際には、0.01〜0.05mm程度にまで薄くすることが可能である。すなわち、管101の径に比して非常に薄いものを用いることが可能であり、管101の形状(表面形状)に沿って覆うように設けることができる。第1の網状伝熱体104a、104bは、環状伝熱体の一部または全部を覆って設けることが可能であり、図1(A)においては、一部を覆う形で接している。ここでは104a、104bと二箇所に分けた例を示すが、分けなくても良いし、さらに多くの箇所に分けて設けられていても構わない。また、第1の網状伝熱体104aは、環状伝熱体の二箇所の折り返し部(屈曲部)を含むように接着されているが、屈曲部を含まないように設けてもその作用効果が失われるものではない。
【0059】
105a、105bは、第2の網状伝熱体である。第2の網状伝熱体105a、105bは、上記第1の網状伝熱体104a、104bと同じ材料で形成しても良いし、異なる材料でも良い。いずれにしても熱伝導性の高い材料を用いることが望ましい。図1(A)の上面図において、第2の網状伝熱体105aは、第1の網状伝熱体104aと環状伝熱体101を挟むように配置されている。第1の網状伝熱体104a、104bと第2の網状伝熱体105a、105bとは、環状伝熱体と接触しない部分においては互いに貼り合わせた状態となっている。
【0060】
図2は、図1(A)の上面図をA−A’で切断した断面図である。図2(A)は、図1(A)をA−A’で切断したままの断面図を、図2(B)は、破線部201の拡大図を示している。
【0061】
図2(A)に示すように、管101は、第1の網状伝熱体104aと第2の網状伝熱体105aとの間に挟み込まれている。106は、管101の内部を流体が移動するための空間である。図2(A)、(B)から明らかなように、第1の網状伝熱体104aは、管101の表面形状に沿って覆うように設けられ、接触面積は、下方に配置された第2の網状伝熱体105aに比して非常に大きい。すなわち、従来の平板と管との接触面積に比して十分大きい接触面積を確保することができる。第1の網状伝熱体104aの作製方法にもよるが、少なくとも管101の全表面積の1/2以上の接触面積を確保することが望ましいと言える。接触面積が大きいということは、熱伝導率が高いというだけでなく、接着性にも優れていることを意味する。本実施の形態1で開示する一例の場合、第1の網状伝熱体104aは、第2の網状伝熱体105aとも貼り合わせてあるので、さらに接着性が高まり、機械的信頼性が向上するという利点をも有している。
【0062】
図2(A)において、前述の「網状伝熱体が管の形状に沿って接着された部分」は、202で示される部分に相当する。「その他の面部分」は、203で示される部分に相当する。なお、図2(A)では平面的に示してあるが、その他の面部分が曲面であっても何ら問題はない。その他の面部分は、管と管との横方向の熱伝達の媒体となり、管と管との相互作用を高めることによりヒートパイプの熱の輸送効率の向上に寄与する。
【0063】
ここで図1(A)を参照すると、本実施の形態1に開示する一例では、第1の網状伝熱体104a、104bの設けられた部分が熱の受け渡しを行う部分として機能する。つまり、発熱体と接触した部分が受熱部として機能し、そこの管内部を通過する流体が熱を吸収する。そこで吸収された熱は、それ以外の他の部分(特に、冷却された部分)で取り出される。このようなサイクルが管101の内部を循環する流体によってなされ、熱輸送が行われる。すなわち、熱を受け取る部分と取り出される部分との関係は相対的なものであり、ヒートパイプ全体において発熱体と接した部分が熱を受け取る部分となり、その他の部分のいずれかが熱を取り出す部分となるに過ぎない。従って、第1の網状伝熱体104a、104bのいずれか一方が熱を受け取る部分(発熱体に接触させる部分)として機能した場合、他方が熱を取り出す部分(冷却媒体と接触させる部分)として機能すれば、ヒートパイプとしての作用効果はなんら妨げられない。
【0064】
例えば、図1(A)において、第1の網状伝熱体104aを設けた部分を熱を受け取る部分とする。この場合、第1の網状伝熱体104aまたは第2の網状伝熱体105aを発熱体に取り付けることになるが、第1の網状伝熱体104a、第2の網状伝熱体105aともに柔軟性が高いため、発熱体が曲面であっても容易に取り付けることができる。すなわち、従来のように、発熱体の形状に合わせて加工する必要がなく、熱の受け渡しを行う部分が変形自在であるという特徴がある。これは熱を取り出す部分として機能する第1の網状伝熱体104bを設けた部分についても同様である。
【0065】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。熱の受け渡しを行う部分の構造について、他の一例を以下に示す。
【0066】
図3は、本発明のヒートパイプにおける一実施形態における一例を示す図である。具体的には、本実施の形態1の一例である。
【0067】
図3(A)は、図1(A)に示す上面図をA−A’で切断した断面図に相当する図面であり、管101を第1の網状伝熱体104aのみで覆った例である。この場合、機械的信頼性が多少落ちるものの柔軟性が向上する。
【0068】
図3(B)は、図1(A)に示す上面図をA−A’で切断した断面図に相当する図面であり、管101を第1の網状伝熱体104aと箔状伝熱体301で挟み込んだ例である。この場合、箔状伝熱体301の厚さが十分に薄ければ、柔軟性を損なうことなく、機械的信頼性を高めることができる。箔状伝熱体301としては、網状伝熱体104aと同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。網状伝熱体104aと同一の材料を用いた場合、網状伝熱体104aとの接着性が良い等の利点がある。
【0069】
図3(C)は、図1(A)に示す上面図をA−A’で切断した断面図に相当する図面であり、管101を第1の網状伝熱体104aで挟み込んだ例である。この場合、1枚の網状伝熱体を途中で袋状に折り返して環状伝熱体を挟めば良い。
【0070】
(実施の形態2)
上記実施の形態1で説明した第1の網状伝熱体104a、104bは、既に加工済みの網状伝熱体を用いても良いが、他の方法を採用することもできる。例えば、環状伝熱体に向かって融解した金属(第1の網状伝熱体の組成物)を吹付け、固化させることにより、いわゆる不織布に似た網状の伝熱体を形成することができる。固化させる際には、単に冷却するだけでなく、加圧、加熱その他の処理を併用しても良い。
【0071】
図4は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。まず、あらかじめ環状伝熱体を準備する。環状伝熱体は、管を所定の形状に加工し、溶接その他の接合手段により継ぎ手部および流体導入部を順次形成すれば良い。ここでは、網状伝熱体の形成方法に着目して説明する。
【0072】
工程の開始(ステップ401)にあたって、前述のようにして環状伝熱体を準備し、環状伝熱体の必要箇所をマスキングする(ステップ402)。このステップは、図1で説明したように網状伝熱体を二箇所以上に設けるような場合に必要であるが、環状伝熱体の全面に設ける場合には省略することができる。マスキング材としては、後の工程で吹付けることになる融解した金属の温度に耐え得るように、耐熱性の高い金属材料を用いると良い。環状伝熱体が準備できたら、環状伝熱体を網状伝熱体上に設ける(ステップ403)。勿論、図3(A)の構造とする場合は、ここで使用する網状伝熱体を省略することもできる。次に、環状伝熱体に向かって上記融解した金属を吹付ける(ステップ404)。このステップでは、噴射された金属粒子が環状伝熱体表面に付着または化合し、互いに絡み合って網状伝熱体を形成する。このとき、吹付けた金属によって、管の形状に沿った網状接合部分と菅の形状によらない網状平面部分とを有する網状伝熱体が形成される。こうして網状伝熱体の形成工程が終了する(ステップ405)。
【0073】
なお、上記融解した金属の吹付けによる網状伝熱体の形成方法自体は、公知の技術であり、当業者であれば適宜実施することができる。
【0074】
網状伝熱体の形成が終了したら、環状伝熱体を減圧下に置いてその管の内部を減圧とし(ステップ405)、そのまま流体導入口を流体に接触させ(ステップ406)、常圧に戻す。常圧に戻したとき、圧力差によって管内へと流体が流れ込み、流体の導入を行うことができる(ステップ407)。なお、ここで説明した方法以外にも、管の一方の端末から流体を加圧注入し、他方の端末から圧力を抜くという方法を採用しても流体の導入は可能である。
【0075】
こうして本発明のヒートパイプを作製することができる。この場合、環状伝熱体101と第1の網状伝熱体104a、104bとの間に接着剤を用いることなく接着可能になる。これにより耐熱性の高いヒートパイプを実現可能となる。
【0076】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
(実施の形態3)
網状伝熱体104a、104bを形成する他の例としては、加圧成型による方法を採用することができる。図5は、本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示す図である。図5(A)は、その作製方法の一例の概観を示す図であり、図5(B)は、加圧後の状態を断面から見た図である。なお、以下の説明は、図5(A)を例示して上下の位置関係を述べることとするが、あくまで相対的なものであって、実空間における絶対的位置関係を限定するものではない。
【0078】
図5(A)において、501は、型であり、その主表面には処理対象となる環状伝熱体502の形状に合わせた溝503が形成されている。環状伝熱体502は、第1の網状伝熱体504と第2の網状伝熱体505の間に配置される。
【0079】
図6は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、環状伝熱体とその環状伝熱体の形状に合わせた溝の形成された型をあらかじめ準備する。環状伝熱体の準備は、実施の形態2で説明したので省略する。型の準備は、公知技術を用いれば良いので説明を省略する。ここでは、網状伝熱体の形成方法に着目して説明する。
【0080】
まず、開始(ステップ601)にあたって、型501の主表面上に(主表面に接して)第1の網状伝熱体504を設ける(ステップ602)。第1の網状伝熱体504が、図1(A)の第1の網状伝熱体104a、104bに相当する。次に、型501に形成された溝503の形状に合わせて、第1の網状伝熱体504上に環状伝熱体502を設ける(ステップ603)。こうすることで環状伝熱体502は、後の加圧工程で溝503に押し込むことができる。次に、環状伝熱体502上に第2の網状伝熱体505を設ける(ステップ604)。第2の網状伝熱体505が、図1(A)の第2の網状伝熱体105a、105bに相当する。なお、第2の網状伝熱体505は、省略することも可能である。次に、網状伝熱体505の上方から(型501の主表面の法線方向に)加圧し、環状伝熱体502を溝503に押し込む(ステップ605)。このとき、第1の網状伝熱体504は、環状伝熱体502によって溝503の内側に押し込まれ、環状伝熱体502の形状に沿って密着する。
【0081】
上記ステップ605の際の様子を図5(B)に示す。506は、加圧用の型である。なお、ここでは型506を移動させて加圧する例を説明したが、型501が移動しても良い。すなわち、型501の主表面における法線方向に加圧することができれば、どのような方向から加圧するのであっても構わない。
【0082】
このとき、加圧の際に環状伝熱体502を加熱しても良い。加熱により接触面においてエネルギー的な自由度が増し、接触面積の向上が期待できるからである。また、第1の網状伝熱体504、第2の網状伝熱体505または環状伝熱体502に、前述の反応性低融点金属を付着または接触させておいても良い。加熱により反応性低融点金属が融解し、環状伝熱体502と第1の網状伝熱体504または第2の網状伝熱体505との間の接着性を向上させることができる。
【0083】
以上の工程が終了したら、実施の形態2で説明した方法と同様に、ステップ405〜408で例示される流体の封入工程を経て本発明のヒートパイプを作製することができる。この場合、少なくとも従来の有機材料を含む接着剤を用いる必要がないため、従来より耐熱性の高いヒートパイプを実現することができる。
【0084】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0085】
(実施の形態4)
図7は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。本実施の形態は、環状伝熱体と網状伝熱体との間の接着力を、反応性低融点金属を用いて補強または改善するものである。
【0086】
開始(ステップ701)にあたって、環状伝熱体の管を覆って接する網状伝熱体を形成する(ステップ702)。この形成方法は、例えば実施の形態2、3で説明した方法を実施すれば良い。また、環状伝熱体の管を覆って接するように、既成の網状伝熱体を物理的に密着させたものであっても良い。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を反応性低融点金属に浸漬する(ステップ703)。反応性低融点金属は、あらかじめ融解させておけば良い。このステップでは、反応性低融点金属が、環状伝熱体および網状伝熱体に付着または化合する。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を引き上げ、余分に付着または化合した反応性低融点金属を除去する(ステップ704)。余分に付着した反応性低融点金属は、例えば一般的にはんだ等の除去に利用される金属繊維等を用いれば簡単に除去することができる。こうして反応性低融点金属による補強処理が終了する。
【0087】
なお、以上説明したプロセスは、反応性低融点金属として水銀を用いることにより特徴のある効果を生じる。その一例について以下に説明する。
【0088】
図8は、本発明のヒートパイプの作製方法における一実施形態の一例を示すフローチャートである。開始(ステップ801)にあたって、環状伝熱体の管を覆って接する網状伝熱体を形成する(ステップ802)。この形成方法も、例えば実施の形態2、3で説明した方法を実施すれば良い。また、環状伝熱体の管を覆って接するように、既成の網状伝熱体を物理的に密着させたものであっても良い。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を水銀に浸漬する(ステップ803)。水銀は、常温で液体であるから、あらかじめ加熱して液化させておく必要がなく、設備面での利点がある。このステップでは、水銀が、環状伝熱体および網状伝熱体に付着または化合する。その際、環状伝熱体と網状伝熱体との接合面はアマルガム化して一体化する。次に、環状伝熱体および網状伝熱体を引き上げ、余分に付着または化合した水銀を除去する(ステップ804)。余分に付着した水銀は、例えば加熱したり、減圧下に置いたり、または両者を併用することで簡単に気化して離脱するため、ほぼすべての水銀を除去することができる。こうして水銀を利用した補強処理が終了する。
【0089】
以上のようにして補強処理を終了したら、実施の形態2で説明した方法と同様に、ステップ405〜408で例示される流体の封入工程を経て本発明のヒートパイプを作製することができる。図7を用いて説明した処理を行った場合、網状伝熱体に絡みついた反応性低融点金属が、環状伝熱体と網状伝熱体との接着力を強め、機械的信頼性を向上させる。さらに、反応性低融点金属が熱伝導の経路ともなるため、ヒートパイプにおける熱の輸送効率の向上にも寄与する。
【0090】
また、図8を用いて説明した処理を行った場合、水銀の除去過程においてアマルガム化した部分からも水銀が除去される。すなわち、環状伝熱体と網状伝熱体とが一体化した部分のアマルガムから水銀が離脱し、環状伝熱体と網状伝熱体とが完全に一体化した状態で残る。従って、機械的信頼性が大幅に向上する。また、水銀が離脱して残った部分は、ポーラス(多孔質)状になるため、柔軟性が向上するという効果も得られる。
【0091】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0092】
(実施の形態5)
図9は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。本実施の形態5においては、本発明のヒートパイプにおいて、環状伝熱体と網状伝熱体との接着に反応性低融点金属を用いる実施形態を開示する。
【0093】
図9において、901、902は、いずれも網状伝熱体であり、その間に内部に流体が封入された管903が挟まれた状態で存在する。そして、網状伝熱体901と902の間、換言すれば隣接する管901の間には、前述の反応性低融点金属903が充填され、相互に接着されている。
【0094】
このような構造のヒートパイプを作製するには、環状伝熱体903を第1の網状伝熱体901および第2の網状伝熱体902で挟み、その状態で液体状の反応性低融点金属に浸漬すれば良い。このとき、第1の網状伝熱体501を袋状に折り返して第2の網状伝熱体502を兼ねることも可能である。
【0095】
なお、互いに向かい合った網状伝熱体で挟む以外は、上記実施の形態4で説明した処理と同様の処理を行えば良い。すなわち、互いに向かい合った網状伝熱体で挟んだ状態で反応性低融点金属に浸漬すれば良い。その後は、実施の形態2で説明した方法と同様に流体の封入工程を行い、本発明のヒートパイプを作製することができる。図9の構造とした場合、若干柔軟性は落ちるが、熱伝導率の向上が期待できる。
【0096】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0097】
(実施の形態6)
図10は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。本実施の形態6においては、本発明のヒートパイプにおいて、環状伝熱体のみで網状のヒートパイプとする実施形態を開示する。
【0098】
図10(A)は、管11、継ぎ手部12および流体導入部13からなる環状伝熱体10を示している。管11は、両端末が継ぎ手部12で連結されており、内部に流体を封入してある。管11がループ(換言すれば、一筆書き)を形成するように加工され、1枚の網状の環状伝熱体としてある点に特徴がある。なお、ここでは管11を規則的に配列させた例を示したが、不規則的なものであっても良い。
【0099】
図10(B)は、図10(A)の網状の環状伝熱体10を2枚用意し、左右対称にして組み合わせた例である。ここでは伝熱体20として2枚の網状の環状伝熱体10を組み合わせて形成された伝熱体を示したが、2枚以上の複数を組み合わせても良い。この場合、複数の網状の環状伝熱体が組み合わさって1枚の伝熱体を形成する。
【0100】
なお、図10(B)では、単純に複数の網状の環状伝熱体を重ねて組み合わせる例を示しているが、複数の環状伝熱体の管を個々に絡めて(すなわち、個々の環状伝熱体を相互に絡めて一体化させた)伝熱体として組み立てることも可能である。この場合、管11と継ぎ手部12との接合をする前に、各環状伝熱体を形成する管を相互に絡め、最後に管と継ぎ手を接合すれば良い。
【0101】
図11は、本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。具体的には、複数の環状伝熱体で形成された伝熱体の一例である。
【0102】
図11(A)は、管21、継ぎ手部22および流体導入部23からなる環状伝熱体30(太線で示したもの)を単位として、環状伝熱体30を複数組み合わせて伝熱体を形成した一例である。隣接する環状伝熱体30の管21は相互に絡み合い、全体として網状の伝熱体を構成している。
【0103】
図11(B)は、他の一例であり、環状伝熱体31を単位として、環状伝熱体31を複数組み合わせて伝熱体を形成している。環状伝熱体31の管は、環状伝熱体30の管に比して曲率が大きく、波状となっている。隣接する環状伝熱体31の管21が相互に絡み合い、全体として網状の伝熱体を構成している点は、図10(A)と同様である。
【0104】
図10(C)は、他の一例であり、環状伝熱体32を単位として、環状伝熱体32を複数組み合わせて伝熱体を形成している。環状伝熱体32の管は、らせん状にとなっている。隣接する環状伝熱体32の管21が相互に絡み合い、全体として網状の伝熱体を構成している点は、図11(A)と同様である。この場合、らせんの直径に相当する厚みがあり、伝熱体の構造は立体的な構造となるが、らせんの直径が十分に小さければ柔軟性を損なうこともない。
【0105】
以上説明した実施の形態は、この実施の形態を包含する本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、実施の形態4で説明した処理と組み合わせて、網状の環状伝熱体またはそれを組み合わせて形成された伝熱体を、反応性低融点金属に浸漬して、機械的信頼性の向上と管同士の密着性の向上を図ることも可能である。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏するヒートパイプを提供することができる。
【0107】
発熱体表面が曲面であっても容易に取り付けうるヒートパイプを提供することができる。少なくとも熱を受け取る部分において、柔軟性に富む部分を含むヒートパイプを提供することができる。
【0108】
隣接する管と管との間における熱伝導率を改善し、管と管との間の相互作用を高めたヒートパイプを提供することができる。そして、その結果として熱の輸送効率を改善したヒートパイプを提供することができる。
【0109】
従来使用できなかった高温発熱体にも適用しうる耐熱性の高いヒートパイプを提供することができる。すなわち、伝熱性接着剤を用いることなく高い効率で管に熱伝達できるヒートパイプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【図2】図1(A)の上面図をA−A’で切断した断面図である。
【図3】本発明のヒートパイプにおける一実施形態における一例を示す図である。
【図4】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示す図である。
【図6】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明のヒートパイプの作製方法の一実施形態における一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【図10】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【図11】本発明のヒートパイプの一実施形態における一例を示す図である。
【符号の説明】
101…管、102…継ぎ手部、103…流体導入部、104a…第1の網状伝熱体、104b…第1の網状伝熱体、105a…第2の網状伝熱体、105b…第2の網状伝熱体、106…空間、301…箔状伝熱体、501…型、502…環状伝熱体、503…溝、504…第1の網状伝熱体、505…第2の網状伝熱体、506…型、901…第1の網状伝熱体、902…第2の網状伝熱体、903…管、904…反応性低融点金属。
Claims (15)
- 内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体と、
前記環状伝熱体の一部または全部を覆う網状伝熱体と、
を含み、
前記網状伝熱体が、前記管の形状に沿って前記環状伝熱体に接着された部分とその他の面部分とを有する、ヒートパイプ。 - 前記環状伝熱体が、前記網状伝熱体と箔状伝熱体、前記網状伝熱体と他の網状伝熱体、または袋状に折り返した網状伝熱体で挟まれている、請求項1記載のヒートパイプ。
- 前記環状伝熱体と前記網状伝熱体とが、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属で接着されている、請求項1または2記載のヒートパイプ。
- 内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体と、
前記環状伝熱体の一部または全部に接する網状伝熱体と、
前記環状伝熱体を間に挟んで前記網状伝熱体に対向する、箔状伝熱体、前記網状伝熱体とは異なる他の網状伝熱体または前記環状伝熱体を間に挟むように折り返した前記網状伝熱体の一部分と、
を含み、
前記網状伝熱体と前記対向する箔状または網状の伝熱体またはその一部分との間に、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属が充填されている、ヒートパイプ。 - 内部に流体を封入した管からなる環状伝熱体を含み、単一または複数の前記環状伝熱体を網状に形成したまたは網状に組み合わせた、ヒートパイプ。
- 前記管の相互に接触している部分が、金属で接着されている、請求項5記載のヒートパイプ。
- 前記金属が、前記菅を構成する金属と化合し、かつ、前記菅を構成する金属の融点より低い融点を有するものである、請求項6記載のヒートパイプ。
- 管からなる環状伝熱体に向かって融解した金属を吹付け、前記融解した金属を前記環状伝熱体の一部または全部に付着させる工程と、
前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含み、
前記吹付けた金属によって、前記管の形状に沿った網状接合部分と前記菅の形状によらない網状平面部分とを有する網状伝熱体を形成する、ヒートパイプの作製方法。 - 前記金属を吹付ける際、前記環状伝熱体を箔状伝熱体または他の網状伝熱体の上に設置する、請求項8記載のヒートパイプの作製方法。
- 管からなる環状伝熱体を、箔状伝熱体と網状伝熱体または網状伝熱体同士で挟んだ状態で金属に浸漬する工程と、
前記浸漬する工程の後、前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含み、
前記金属は、前記環状伝熱体を構成する金属と化合するものであって、その融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属である、ヒートパイプの作製方法。 - 管からなる環状伝熱体を、箔状伝熱体と網状伝熱体または網状伝熱体同士で挟んだ状態で水銀に浸漬する工程と、
前記浸漬する工程の後、前記環状伝熱体に付着または化合した前記水銀を除去する工程と、
前記管の内部に流体を封入する工程と、
を含む、ヒートパイプの作製方法。 - 環状伝熱体の形状に合わせた溝の形成された型の主表面に接して網状伝熱体を設ける工程と、
前記環状伝熱体を前記溝に合わせて前記網状伝熱体に接して設ける工程と、
前記型の主表面における法線方向に圧力を加え、前記環状伝熱体を前記溝に押し込む工程と、
を含む、ヒートパイプの作製方法。 - 前記環状伝熱体に接してさらに箔状伝熱体または網状伝熱体を設けた後に、前記圧力を加える、請求項12記載のヒートパイプの作製方法。
- 前記圧力を加える際、前記環状伝熱体を加熱する、請求項12または13記載のヒートパイプの作製方法。
- 前記環状伝熱体と前記型の間に設ける網状伝熱体、前記環状伝熱体に対して前記網状伝熱体の反対側に設ける箔状伝熱体もしくは網状伝熱体、または、前記環状伝熱体に、前記環状伝熱体を構成する金属と化合する金属であってその融点が前記環状伝熱体および前記網状伝熱体を構成する金属の融点より低い金属を付着または接触させておく、請求項14記載のヒートパイプの作製方法。
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JP2003126615A JP2004332975A (ja) | 2003-05-01 | 2003-05-01 | ヒートパイプおよびその作製方法 |
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JP2003126615A JP2004332975A (ja) | 2003-05-01 | 2003-05-01 | ヒートパイプおよびその作製方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007093055A (ja) * | 2005-09-27 | 2007-04-12 | Sharp Corp | 凝縮器およびそれを備えたループ型サーモサイフォン |
JP2011066141A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-03-31 | Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp | 均熱処理装置 |
-
2003
- 2003-05-01 JP JP2003126615A patent/JP2004332975A/ja active Pending
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