JP2004332773A - スリーブ型管継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】接続管30に内装される円筒部12を有する継手本体11と、接続管30の周囲に配置され、接続管30の外周面に接触可能な小径部21と結合部26を介して小径部21に結合された大径部24を含む略円筒状に形成されたスリーブ20とを備え、スリーブ20を軸方向に圧縮することにより、結合部26がせん断されて、大径部24が小径部21に乗り上げて、接続管30が円筒部12とスリーブ20との間で挟着されるスリーブ型管継手10において、小径部21は、大径部24を案内する円錐部27とそこから軸方向に伸びる円環部29を有すると共に、大径部24は円錐部27及び円環部29と接触する押圧部とそれより大径の段付部203を有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂管または薄肉金属管を接続するための管継手であり、詳しくは継手本体に外嵌されるスリーブを管軸方向に圧入させて管を接続するスリーブ型管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガス管、水道管等の流体輸送管として使用されているポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂で形成された樹脂管は種々の方法で接合されているが、接合手段としては、一般的には、継手本体にナットを螺合し、継手本体とナット内に装着したパッキンや食い込みリングを圧縮することで接続するメカニカル方式の管継手が使用されている。このメカニカル方式の管継手によれば、管端部外面に食い込みリングを組付け次いでレンチにより継手本体にナットを締め付けることにより接続が行われる。上記のメカニカル式管継手は、管の挿入が確実に行われたか否かの管挿入確認が施工完了後に出来ないという欠点があり、さらにナットの締め付け程度についても確認が困難であり、管接続部の性能にバラツキが生じ易かった。従って、管の挿入不足や、ナットの締め付け不足あるいは食い込みリングの装着ミスが発生しても、施工直後に行う短期の漏れテストだけでは、これらの不具合を検出することができず、長期間の使用時に接続管の抜けや、漏れを発生することがある。これらの問題点を解消するものとして、接続管の内面に挿入支持するコア部を有する継手本体と、コア部に外挿した接続管の外面に装着してそれを縮径する縮径部材からなり、縮径部材は縮径可能に設けたスリーブ部と薄肉に設けたせん断部と軸線方向に圧縮することでせん断部にてせん断して、内面がスリーブ部の外面に嵌まり合ってスリーブ部を縮径する環状部とからなるスリーブ型管継手が提案され、実用化が検討されている(特許文献1参照)。このスリーブ型管継手は、本体とスリーブのみで構成され、従来の3点以上の部品を組み合わせた継手構造に比べて製造コストが低減され、かつ、小型の工具で接続作業が簡単に行え、接続強度のバラつきがなく、施工後の接続確認も容易であり、管の接続作業時の部品組付け作業や拡管作業などの面倒な作業が解消されるという多数の利点を有する。
【0003】
特許文献1に記載されたスリーブ型管継手は、理論的にはスリーブを管軸方向へスライド(圧縮)することで管を接続することは可能であるが、接続部に振動が加えて漏れの有無を確認したところ、一旦締め付けられたスリーブが振動で緩み、そこから流体が漏れる現象が発生することがあった。そこで、スリーブの緩みを防止するために、スリーブの小径部の外周に大径部の係止機能を付加したスリーブ型管継手が提案されている(特許文献2参照)。このスリーブ型管継手の構造を図4により説明する。管継手10は、継手本体11の溝15に、樹脂製のスリーブ200の一端部にある掛止部23が係止されることにより、継手本体11の端部にスリーブ200が組み付けられている。継手本体11の端部には、接続される管30の内径にはまり合う円筒部12が形成され、またその外周面には、複数の断面鋸刃状の凸状部13が形成されると共に、円筒部12の奥側にある端面14に管30の端面が当接するように構成されている。全体が略円筒状に形成されたスリーブ200は、一端部に掛止部23を有しかつ中央部に鍔部22を有する薄肉部201と突起204を介して薄肉部201の端部に結合された厚肉部203とを有する。薄肉部201の鍔部22と隣接する部分には円周溝202が形成されると共に、厚肉部203の内周面には、突起204から段違い部205とは反対側の端面に向って上り勾配になるようなテーパが付けられている。この管継手10によれば、スリーブ200を軸方向に圧縮し、その厚肉部203を段違い部205が鍔部22に当接するまで押し込むことにより、厚肉部203の内周面が薄肉部201の外周面に乗り上げ、管30が圧縮されて接続が完了する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−39467号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開2003−113978公報(第2−3頁、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に記載されたスリーブ型管継手はスリーブ200を軸方向に圧縮することにより、スリーブ200の中央部に設けた断面積の小さい突起部204で切断(せん断)された厚肉部(大径部)203が薄肉部(小径部)201の外周に乗り上げた時に、厚肉部203の内周面の一部が円周溝202に嵌りこむので、厚肉部203が薄肉部201から管軸方向に外れることは無くなるように考えられる。しかるに厚肉部203は円周溝202の手前にある薄肉部201の頂点を通過する時に、塑性変形が生じて内径が押し拡げられる。すなわち、厚肉部203の内周面は薄肉部201の最大外径部(頂点)と局所的に接触するため、その接触部分で面圧が高くなり、大きな塑性変形が生じる。しかも厚肉部203の内周面は端部に向って上り勾配になっているので、厚肉部203により薄肉部201を押さえ付けておく機能が弱められ、すなわち押圧力が緩和してしまう問題がある。従って、スリーブ200のせん断により見掛け上スリーブ200と管30と継手本体11とが締付けられても、スリーブ200の軸方向圧縮が終了した時には、その締め付けが緩んでいるので、配管接続部に振動が加わると、流体の漏れが発生するといった難点がある。
【0006】
従って本発明の目的は上記の課題を解消して、簡単な作業で管の接合を行うことができると共に、長期間にわたって接続部からの流体の漏れを生じないスリーブ型管継手を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、接続管に内装される円筒部を有する継手本体と、前記接続管の周囲に配置され、前記接続管の外周面に接触可能な小径部と結合部を介して前記小径部に結合された大径部を含む略円筒状に形成されたスリーブとを備え、前記スリーブを軸方向に圧縮することにより、前記結合部がせん断されて、前記大径部が前記小径部に乗り上げて、前記接続管が前記円筒部と前記スリーブとの間で挟着されるスリーブ型管継手において、前記小径部は、前記大径部を案内する円錐部とそこから軸方向に伸びる円環部を有すると共に、前記大径部は前記円錐部及び前記円環部と接触する押圧部とそれより大径の段付部を有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明のスリーブ型管継手は、上記の構成を有するので、スリーブを軸方向に圧縮することにより、結合部がせん断されて小径部から切り離された大径部が円錐部を乗り越えた後に、大径部と小径部との接触面積が拡がるので大径部の変形は弾性限度内に収まり、しかも大径部の端部が小径部に係止されるので、継手本体、管及びスリーブは相互に強固に締め付けられるので、配管に振動が加わっても、漏れの発生を防止することができる。
【0009】
本発明のスリーブ型管継手においては、前記円錐部の途中に前記段付部を係止する突起部を有することが好ましい。この構成によれば、大径部が円錐部を乗り越えて円環部に移動した時に大径部を小径部にさらに確実に保持することが可能となる。
【0010】
本発明のスリーブ型管継手においては、前記小径部は前記結合部と反対側に前記大径部の端面に当接する鍔部を有することが好ましい。この構成によれば、大径部が鍔部に突き当たるまでスリーブを圧縮するだけの操作で、接続管と継手とを接続することができる。
【0011】
本発明のスリーブ型管継手においては、前記小径部は、その自由端から前記結合部の手前まで伸びる少なくとも1条の切り割り部を有することが好ましい。この構成によれば、小径部の剛性が適度に弱められるため、小型軽量の圧縮工具で施工した場合でも、小径部の分断(円周方向の分離)を伴わずに小径部が確実に圧縮されて、管と継手とを強固に接続することができる。さらに切り割り部を通して、接続管の端面が継手本体に突き当たっているか否かを目視で確認することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係わるスリーブ型管継手で、接続管を継手内部に挿入し、スリーブの圧縮を開始する直前の状態を示す部分断面図、図2はスリーブの外観を示す斜視図である。
図1において、10は管継手であり、継手本体11とスリーブ20とから構成され、両者の間に接続しようとする管30が介装されている。継手本体11の端部には、管30の内径側に挿入される円筒部12が設けられ、その外周面には断面鋸刃状の凸条13が形成されている。継手本体11とスリーブ20との間に、管30がその端面31が円筒部12の奥に設けられた端面14に当接するまで差し込まれ、さらに端面14の奥に形成された溝部15にスリーブ20の自由端側内周に形成された掛止部23が嵌装されている。
【0013】
図1及び図2に示すようにスリーブ20は、例えば射出成形により、全体が略円筒状に形成された単一の樹脂製部材であり、端面202と段違い面25を有する略円環状の大径部24と、その内周面の一端部に形成された薄肉の結合部26と、そこから軸方向に伸びる小径部21と、小径部の途中に形成された鍔部22とを有する。大径部24の内周面(押圧部)205は軸方向に沿って実質的に等径でかつ小径部を圧縮するためにその内周面205よりやや大径に形成され、さらに内周面205の右側の端部には、内周面205より大径の段付部203が形成されている(図1参照)。小径部21は、結合部26の根元から上り勾配になるように形成された円錐部27と、内周面と平行に軸方向に伸びる外周面を有する円環部29からなり、円錐部27の途中には、段差を形成するために突起部204が設けられている。小径部21の自由端側内周には掛止部23が形成されており、この掛止部23を本体11の溝部15に嵌入することにより、スリーブ20はその弾性変形により継手本体11に組み付けられる。小径部21及び大径部24の各部の寸法は、管30を接続するために必要とされる小径部21の変形量(圧縮量)に応じて設定される。小径部21に乗り上げた時に大径部24が大きくはみ出すのを防止するために、大径部24の管長手方向の長さは段違い面25と鍔部22との間隔と略同等の寸法に設定されることが望ましい。スリーブ20の小径部21が容易に弾性変形するために、掛止部23から段違い面25の手前まで伸びる複数状(1条でもよい)の切り割り部28が設けられており、切り割り部28の幅、長さ又はその本数はスリーブ20の機械的強度や管30を継手本体11に固定するために必要な圧縮力などに応じて設定される。スリーブ20を形成する樹脂としては、引張り強さが60MPa以上の熱可塑性樹脂が望ましく、このような樹脂としては、例えばPA6(引張り強さ:70〜85MPa)、POM(引張り強さ:62〜70MPa)、PPS(引張り強さ:75MPa)などのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0014】
図1及び図2に示す管継手10と管30との接続は次の手順で行われる。まず図1に示す状態で例えばペンチ状の圧縮工具(不図示)により、鍔部22の端面201と大径部24の端面202を挟み付けることにより、大径部24と小径部21とが段違い面25の根本に設けられた結合部26でせん断され、大径部24の内周面は円錐部27を乗り越え、段違い面25が鍔22に突き当たるまで大径部24が軸方向に移動する。図3は、管30の接続が完了した状態を示し、大径部24が軸方向に移動すると同時に、移動してきた大径部24により円錐部27及び円環部29は弾性変形する(半径方向に圧縮される)。これに伴って管30は弾性変形する(半径方向に圧縮される)ので、管30は、継手本体11の円筒部12に押し付けられて、管30の内面に円筒部12の凸条13の刃先が食い込むことにより、管30はスリーブ20と継手本体11との間に挟着固定される。この時、円錐部27の前方には円環部29が存在するので、大径部24の内周面(押圧部)205と円錐部27及び円環部29との間に発生する面圧は、従来のような長さ方向の一部で局部的に大きい値を示すことはなく、大径部24の内径は拡がっても、収縮しようとするため、小径部21を管30に向って押し付ける力が発生する。しかも円錐部27の途中に設けた突起部204に大径部24の端部内周面に形成された段付部203が係止されるので、小径部21と大径部24とが強固に噛み合う。従って、小径部21が大径部24により半径方向に圧縮された状態が長期にわたって維持されるので、管30を継手本体11に接続後流体の圧力変動などにより接続部に振動が加わっても、スリーブ20の大径部24が小径部21から管軸方向に抜け出るのを防止することができる。また小径部21には鍔22が設けられているので、段違い面25が鍔22に突き当たるまで押し付けることにより、接続作業を完了することができる。さらにスリーブ20に切り割り部28を設けることにより、スリーブ20の大径部24に比べて小径部21の剛性が小さくなり、容易に縮径することが可能となる。スリーブ20にこのような切り割り部28を設けることにより、管継手10の外部から管端当接面14に管30の端部31が突き当たっているか否かを目視で確認できるため、管30の挿入不足を容易に防止することができる。
【0015】
上記管継手10においては、予め継手本体11にスリーブ20を組み付けることができるので、管を継手に挿入してスリーブを軸方向に圧縮するだけの作業で管を継手に接続することができ、配管施工者が部品を組み付ける作業が不要となるため、施工不良が発生する機会が減少する。
【0016】
【発明の効果】
以上に記述の如く本発明の管継手によれば、スリーブを軸方向に圧縮した時に、小径部と大径部とが強固に噛み合い、小径部が大径部により半径方向に圧縮された状態が長期にわたって維持されるので、配管に振動が発生した場合でも、大径部が小径部から抜け出ることがなく、延いては流体の漏れがなく、信頼性の高い配管接続部を得ることができる。また本発明の管継手によれば、継手本体にスリーブを予め組み付けることができるので、継手に管を挿入した後工具を用いてスリーブを圧縮するだけの簡単な作業でよく、施工不良を防止することが可能である。また本発明の管継手によれば、スリーブの小径部の剛性を小さくできるので、圧縮に要する推力が小さくなり、小型の工具で配管施工することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わるスリーブ型管継手の接続直前の状態
を示す断面図である。
【図2】図1のスリーブ型管継手に使用されるスリーブを示す斜視図であ
る。
【図3】図1のスリーブ型管継手の接続完了後の状態を示す断面図である。
【図4】先行出願のスリーブ型管継手の接続直前の状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10:管継手、11:継手本体、12:円筒部、13:凸条部、14:端面、15:溝部、20:スリーブ、21:小径部、22:鍔部、23:掛止部、24:大径部、25:段違い面、26:結合部、27:円錐部、28:切り割り部、29:円環部、201、202:端面、203:段付部、204:突起部205:内周面(押圧部)30:接続管、31:端面
Claims (4)
- 接続管に内装される円筒部を有する継手本体と、前記接続管の周囲に配置され、前記接続管の外周面に接触可能な小径部と結合部を介して前記小径部に結合された大径部を含む略円筒状に形成されたスリーブとを備え、前記スリーブを軸方向に圧縮することにより、前記結合部がせん断されて、前記大径部が前記小径部に乗り上げて、前記接続管が前記円筒部と前記スリーブとの間で挟着されるスリーブ型管継手において、前記小径部は、前記大径部を案内する円錐部とそこから軸方向に伸びる円環部を有すると共に、前記大径部は前記円錐部及び前記円環部と接触する押圧部とそれより大径の段付部を有することを特徴とするスリーブ型管継手。
- 前記円錐部の途中に前記段付部を係止する突起部を有することを特徴とする請求項1に記載のスリーブ型管継手。
- 前記小径部は、前記結合部と反対側に前記大径部の端面に当接する鍔部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスリーブ型管継手。
- 前記小径部は、その自由端から前記結合部の手前まで伸びる少なくとも1条の切り割り部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスリーブ型管継手。
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JP2003125912A JP4385313B2 (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | スリーブ型管継手 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113161826A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-07-23 | 菲尼克斯(南京)新能源汽车技术有限公司 | 一种用于在端子本体内安装的温度传感单元 |
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2003
- 2003-04-30 JP JP2003125912A patent/JP4385313B2/ja not_active Expired - Fee Related
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