JP2004332767A - 圧縮機用メカニカルシール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロントハウジング13とフロントハウジング13を貫通したシャフト12との間に、シャフト12とともに回転する回転環142と回転環142に密接する固定環143とを備え、回転環142と固定環143を固定部材148で固定したメカニカルシール14において、固定部材148はフロントハウジング13に螺合する耐押圧性のネジ部材で構成した。これにより、固定環143を通じて固定部材148に偏った押圧力が加わったとしても、この偏押圧力に充分に対抗することができるので、固定部材148が変形することがない。従って、回転環142と固定環143は常に均一に接触し、接触面S1で偏摩耗を起こすことがない。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シャフトとハウジングとの間に介装してシャフトを軸封する圧縮機用メカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧縮機1は、図4に示すように、そのハウジング本体11内にピストン(図示しない)等を配置し、ピストン駆動により冷媒等を圧縮する構造のものであるが、駆動源からピストンに動力を伝達する伝達手段としてシャフト12が配置されている。また、ハウジング本体11の一端はフロントハウジング13で閉塞されており、シャフト12がフロントハウジング13に回転自在に貫通支持されている。
【0003】
このようなシャフト12の配置構造において、圧縮機1内の冷媒ガスがシャフト12の外面を通って圧縮機1の外に漏れないよう、シャフト12とフロントハウジング13との間にメカニカルシール14が介装されている。
【0004】
このメカニカルシール14の詳細構造を図5を参照して説明する。メカニカルシール14はシャフト12に連結した回転付与ケース141と、回転付与ケース141に係合する回転環142と、フロントハウジング13の内面に固定的に嵌入された固定環143と、回転付与ケース141と回転環142との間に介装されたスプリング144と、回転環142の内面に配置されたOリング145と、固定環143の外面に配置されたOリング146と、固定環143の後面側に配置され各部材141〜146を固定する固定部材(スナップリング)147とを有している。
【0005】
このように構成されたメカニカルシール14において、シャフト12が回転するときは回転付与ケース141に係合した回転環142が回転する。ここで、回転環142はスプリング144により固定環143に向かって付勢されているため、回転環142及び固定環143が互いに接触し(接触面S1)、回転環142が固定環143に対して摺動状態で回転する。
【0006】
これにより、回転環142と固定環143との間の密接状態が確保され、ハウジング本体11内の高圧冷媒が回転環142から固定環143側に漏れることがない。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−241324号公報
【0008】
【発明が解決しよとする課題】
ところで、ハウジング本体11内の圧力は冷媒の吸入圧縮作用により随時変化(脈動)しており、メカニカルシール14を固定するスナップリング147に加わる圧力も随時変化する。また、各部材141〜146の加工や組み付け誤差等によって、スナップリング147に加わる押圧力が周方向全体に均一になっていない場合がある。このような状態で圧縮機1の運転を継続するときは、図5の破線に示すように、スナップリング147の一部が変形し、これに伴い、回転環142と固定環143が傾いて接触して接触面S1が小さくなる(メカニカルシート14の偏摩耗)。この接触面S1の狭小化は接触面S1での気密性を低下させ、メカニカルシール14の軸封機能の低下を招くという問題点を有していた。
【0009】
本発明の目的は前記従来の問題点に鑑み、回転環と固定環との間の偏摩耗を防止して軸封機能を向上させた圧縮機用メカニカルシールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、圧縮機ハウジングと圧縮機ハウジングを貫通したシャフトとの間に、シャフトとともに回転する回転環と回転環に密接する固定環とを備え、回転環と固定環を固定部材で固定した圧縮機用メカニカルシールにおいて、固定部材は圧縮機ハウジングに螺合する耐押圧性のネジ部材で構成した。
【0011】
本発明によれば、固定環を通じて固定部材に偏った押圧力が加わったとしても、この偏押圧力に充分に対抗することができるので、固定部材が変形することがない。従って、回転環と固定環は常に均一に接触し、接触面で偏摩耗を起こすことがない。
【0012】
なお、固定部材の耐押圧性を確保するため、その材質をアルミニウム又は鉄系材料で形成するようにしてもよいし(請求項2の発明)、また、固定部材の厚さ寸法を5mm以上として、その厚みで耐押圧性を確保するようにしてもよい(請求項3の発明)。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は本発明に係る電動圧縮機の一実施形態を示すもので、図1は圧縮機のフロントハウジング側を示す一部省略断面図、図2は本発明の要部を示す拡大断面図、図3はメカニカルシールの組み付け方法を示す斜視図である。なお、図4及び図5に示した従来例と同一構成部分は同一符号をもって表す。
【0014】
まず、圧縮機1のフロントハウジング13側の構造を図1を参照して説明する。圧縮機1のハウジング本体11の内部には、駆動源により回転駆動するシャフト12、シャフト12の回転運動を往復直線運動に変換する運動変換機構(図示しない例えば揺動斜板機構)、運動変換機構により往復動するピストン(図示しない)等が設置されており、このピストンの往復動により冷媒を吸入圧縮するようになっている。
【0015】
ハウジング本体11の一端開口はフロントハウジング13で閉塞され、このハウジング本体11とフロントハウジング13により圧縮機ハウジングを構成している。フロントハウジング13は中央に前後に貫通する貫通孔131が形成されており、貫通孔131にシャフト12が滑り軸受け132を介して軸支されている。また、シャフト12の先端側には電磁クラッチ15が設置されている。電磁クラッチ15は周知のもので、シャフト12に固定された連結プレート151、連結プレート151に連結した板バネ152と、板バネ152に固定されたクラッチプレート153と、クラッチプレート153を吸着自在とするクラッチケース154と、クラッチケース154の外周面に形成されたプーリ155と、クラッチケース154をフロントハウジング13の外面に回動自在に支持した転がり軸受け156と、クラッチケース154内に内蔵された電磁石157とを有している。電磁石157に通電されるとき、クラッチプレート153がクラッチケース154に吸着される。一方、プーリ155には自動車エンジンに連結したベルト(図示しない)が架け渡されている。従って、このエンジンの回転力がクラッチプレート153、板バネ152及び連結プレート151を通じてシャフト12に伝達され、シャフト12が回転するようになっている。
【0016】
次に、本発明に係るメカニカルシール14の構造を図2を参照して説明する。メカニカルシール14はシャフト12に連結した回転付与ケース141と、回転付与ケース141に係合するカーボン製の回転環142と、フロントハウジング13の内面に固定的に嵌入されたシリコン・カーバイト製の固定環143と、回転付与ケース141と回転環142との間に介装されたスプリング144と、回転環142の内面に配置されたOリング145と、固定環143の外面に配置されたOリング146とを有している。ここで、固定環143の前面側には環状の突出部143aを有し、この突出部143aの先端面が回転環142の後面と接触している。また、回転環142がスプリング144により突出部143a側に付勢されており、これにより、突出部143aと回転環142との接触面S1は密接状態となっている。また、Oリング145はシャフト12と回転環142との間の気密性を保持し、Oリング146は貫通孔131の内周面と固定環143との間の気密性を保持している。従って、接触面S1と各Oリング145,146によってハウジング本体11内の冷媒が圧縮機1の外に漏れないようにしている。なお、回転付与ケース141の内周面にはフェルト部材が接合している。
【0017】
以上のような構造は従来例と同一であり、本発明はメカニカルシール14の各部材141〜146を固定する固定部材148に特徴を有する。
【0018】
即ち、この固定部材148は、図2及び図3に示すように、環状のネジ部材で形成されている。即ち、固定部材148はその外面に雄ねじ148aを螺刻する一方、貫通孔131の内面で固定部材148が設置される部位には雌ねじ131aを螺刻し、固定部材148が貫通孔131の内面にネジ止めできるよう構成されている。また、固定部材148には前後方向に貫通する2個の差込孔148bが形成されている。固定部材148の材質はアルミニウム又は鉄系の材料で形成されており、耐押圧性に優れたものとなっており、更に、その耐押圧性を向上させるため、その厚さ寸法が5mm又はそれ以上に設計されている。
【0019】
固定部材148を貫通孔131にネジ止めする際は、図3に示すように、Oリング146が巻回された固定環143を貫通孔131に装着する。なお、図示しないが、回転付与ケース141、回転環142、スプリング144、Oリング145は予め貫通孔131に装着されている。次いで、固定部材148の差込孔148aに締結工具16の突起161を差し込み、貫通孔131の内部に固定部材148を移動する。しかる後、固定部材148の雄ねじ148aを貫通孔131の雌ねじ131aに螺合する。これにより、固定部材148の取り付けが完了する。
【0020】
本実施形態に係るメカニカルシール14は貫通孔131に螺合して装着されるため、メカニカルシール14を簡単に組み付けることができる。
【0021】
また、メカニカルシール14が耐押圧性を備えているため、圧縮機1の動作時の脈動や部分押圧力に対しても変形することなく充分に対応でき、接触面S1で偏摩耗を起こすことがない。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、固定環を通じて固定部材に偏った押圧力が加わったとしても、この偏押圧力に充分に対抗することができるので、固定部材が変形することがない。従って、回転環と固定環は常に均一に接触し、接触面で偏摩耗を起こすことがなく、メカニカルシールの軸封機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧縮機のフロントハウジング側を示す一部省略断面図
【図2】本発明の要部を示す拡大断面図
【図3】メカニカルシールの組み付け方法を示す斜視図
【図4】従来の圧縮機のフロントハウジング側を示す一部省略断面図
【図5】従来のメカニカルシールを示す拡大断面図
【符号の説明】
1…圧縮機、11…ハウジング本体、13…フロントハウジング、14…メカニカルシール、142…回転環、143…固定環、148…固定部材、148a…雄ねじ、S1…接触面。
Claims (3)
- 圧縮機ハウジングと該圧縮機ハウジングを貫通したシャフトとの間に、該シャフトとともに回転する回転環と該回転環に密接する固定環とを備え、該回転環と該固定環を固定部材で固定した圧縮機用メカニカルシールにおいて、
前記固定部材は前記圧縮機ハウジングに螺合する耐押圧性のネジ部材で構成された
ことを特徴とする圧縮機用メカニカルシール。 - 前記固定部材はアルミニウム又は鉄系材料で形成された
ことを特徴とする請求項1記載の圧縮機用メカニカルシール。 - 前記固定部材の厚さ寸法は5mm以上となっている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧縮機用メカニカルシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003125560A JP2004332767A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 圧縮機用メカニカルシール |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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---|---|
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JP2004332767A5 JP2004332767A5 (ja) | 2008-07-10 |
Family
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---|---|---|---|
JP2003125560A Pending JP2004332767A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 圧縮機用メカニカルシール |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102005033707A1 (de) * | 2005-07-19 | 2007-02-01 | Valeo Compressor Europe Gmbh | Vereinfachte, innenbeaufschlagte Axialgleitringdichtung für die CO2-Anwendung |
CN102828953A (zh) * | 2012-09-13 | 2012-12-19 | 无锡市四方真空设备有限公司 | 机械密封结构的罗茨泵 |
CN110319009A (zh) * | 2018-03-30 | 2019-10-11 | 三菱电机(广州)压缩机有限公司 | 一种转子式压缩机及其供油密封结构 |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003125560A patent/JP2004332767A/ja active Pending
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CN110319009B (zh) * | 2018-03-30 | 2024-02-06 | 三菱电机(广州)压缩机有限公司 | 一种转子式压缩机及其供油密封结构 |
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