JP2004332602A - ディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システム - Google Patents

Abstract

【課題】コモンレールとインジェクターとを直接つなぐことで、優れた噴射性能および噴射特性が得られるのみならず、燃料漏れに対する高信頼性と低騒音等を確保できるディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムを提供する。
【解決手段】少なくともコモンレールと噴射ノズルホルダーとで構成されたディーゼル内燃機関の蓄圧式燃料噴射システムであって、前記コモンレールと噴射ノズルホルダーとの間に燃料噴射管を介さずに該コモンレールと噴射ノズルホルダーとが直接締結されて構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄圧用のコモンレールを用いたディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、ディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムは、燃料供給用の高圧ポンプ、蓄圧用のコモンレール、燃料噴射のためのインジェクターおよびこれらをつなぐ流路となる配管（噴射管等）と、電気制御関係の部品とから構成されており、蓄圧式燃料噴射システムを採用したいずれのディーゼルエンジンにおいても蓄圧用のコモンレールとインジェクターの噴射ノズルホルダーとの間には燃料噴射管が介在している。
図３はその基本的構成例を示す概略図で、１は燃料供給用の高圧ポンプ、２は蓄圧用のコモンレール、３は燃料噴射のためのノズルホルダー、４は燃料噴射管である。すなわち、このシステムは、高圧ポンプ１により高圧にした燃料をコモンレール２に貯え、電磁弁（図面省略）を使って、各気筒の噴射を制御する仕組みとなっている（例えば特許文献１、特許文献２参照）。
【０００３】
【特許文献１】
特許第３３９９２０７号
【特許文献２】
特許第３２２４０８２号
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蓄圧用のコモンレールと噴射ノズルホルダーとの間に燃料噴射管を介在させた従来の蓄圧式燃料噴射システムには、以下に記載する問題点があった。
▲１▼ 燃料噴射管は通常１５０〜３００ｍｍの長さを有するため、この間の流路抵抗により燃料噴射時にノズルホルダー内に圧力降下を生じ、適正な燃料噴
射に支障をきたす。
▲２▼ 燃料噴射に起因する圧力変動等が燃料噴射管内を反射しながら往復、共振して増幅し、正確な量の燃料噴射に支障をきたすと共に、騒音発生の原因と
なる。
▲３▼ 排ガス対策として多数回噴射を行う時、プレ噴射による圧力変動がメイン
噴射に影響を与え、正確な噴射量を確保することができない。
▲４▼ コモンレールと燃料噴射管の締結部、燃料噴射管とノズルホルダーとの締結部と、燃料漏れの発生する可能性のある継手部分が１気筒当り２か所存在
するため、燃料漏れに対する信頼性が低い。
▲５▼ 燃料噴射管の内周面には、製造時や輸送時にコンタミが発生もしくは付着する可能性があり、このコンタミが噴射ノズルホルダーの詰まりを誘発する
おそれがある。
▲６▼ 燃料噴射管の外周面が管内を流れる燃料の圧力変動に伴う可聴周波数帯音に対するスピーカ効果を発揮して放射騒音の音源となっている。
▲７▼ 燃料噴射による圧力変動が噴射管と共振した場合、噴射管が疲労折損することがある。例えば、長さが２５０ｍｍの屈曲した噴射管の場合、当該噴射管の固有振動数は例えば６５０Ｈｚで、エンジン回転速度が５０００ｒｐｍの ２次の燃焼周波数と共振する。
【０００５】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、コモンレールとインジェクターとを直接つなぐことで、優れた噴射性能および噴射特性が得られるのみならず、燃料漏れに対する高信頼性と低騒音等を確保できるディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムを提供しようとするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムは、少なくともコモンレールと噴射ノズルホルダーとで構成されたディーゼル内燃機関の蓄圧式燃料噴射システムであって、前記コモンレールと噴射ノズルホルダーとの間に燃料噴射管を介さずに該コモンレールと噴射ノズルホルダーとが直接締結されて構成されていることを特徴とするものである。
また、前記コモンレールと噴射ノズルホルダーとを直接締結する手段として、予めコモンレール側にねじスリーブまたはワッシャを介して装着した継手用ナットを噴射ノズルホルダー側に螺合する方式や、フランジ継手方式を用いることを特徴とするものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図１は本発明に係るディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムの一実施例を示す要部断面図、図２は本発明の他の実施例を示す要部断面図であり、１２ａ、１２ｂは蓄圧用のコモンレール、１３ａ、１３ｂはノズルホルダーである。
【０００８】
コモンレール１２ａ、１２ｂは、例えば直径２８ｍｍ、肉厚９ｍｍの、比較的厚肉の管状部を有するような材質Ｓ４５Ｃなどのの鍛造品であって、ボーリング等の機械加工によってその軸芯内部を流通路１２ａ−２、１２ｂ−２となして軸方向の周壁部に間隔を保持して複数個の一体型ボス部１２ａ−３、１２ｂ−３が設けられた本管レール１２ａ−１、１２ｂ−１とからなっている。
【０００９】
図１に示す実施例は、コモンレールと噴射ノズルホルダーとを直接締結する手段として、予めコモンレール側にねじスリーブまたはワッシャを介して装着した継手用ナットを噴射ノズルホルダー側に螺合する方式を用いたもので、コモンレール１２ａは本管レール１２ａ−１の軸方向の周壁部に間隔を保持して設けた複数個の一体型ボス部１２ａ−３に、本管レール１２ａ−１の流通路１２ａ−２に通じる分岐孔１２ａ−４と、ボス部先端部に押圧座面１２ａ−５およびボス部外周に雄ねじ１２ａ−６を設け、前記雄ねじ１２ａ−６にねじスリーブ１５を螺着し、該ねじスリーブ１５と逆の雌ねじ１４−１を有する継手用袋ナット１４を一体型ボス部１２ａ−３に外嵌させて構成している。
【００１０】
一方、インジェクター側には、ノズルホルダー１３ａに設けたボス部１３ａ−１に、当該ホルダーの流通路（図示せず）に通じかつ外方に開口する受圧座面１３ａ−２を有する分岐孔１３ａ−３と、前記コモンレール側の継手用袋ナット１４と螺合する雄ねじ１３ａ−４が設けられている。
【００１１】
すなわち、図１に示す実施例は、コモンレールの一体型ボス部１２ａ−３の先端部に設けた押圧座面１２ａ−５を、インジェクター側のノズルホルダー１３ａのボス部１３ａ−１に設けた受圧座面１３ａ−２に当接係合せしめ、コモンレールの一体型ボス部１２ａ−３に予め装着した継手用袋ナット１４を、インジェクター側のノズルホルダー１３ａのボス部１３ａ−１に螺合することにより前記コモンレールの一体型ボス部１２ａ−３での押圧に伴って締着して、コモンレール１２ａとノズルホルダー１３ａとを直接接続構成するものである。
【００１２】
次に、図２に示す第２実施例は、コモンレールと噴射ノズルホルダーとを直接締結する手段として、フランジ継手方式を採用したもので、コモンレール１２ｂは本管レール１２ｂ−１の軸方向の周壁部に間隔を保持して設けた複数個の一体型ボス部１２ｂ−３に、本管レール１２ｂ−１の流通路１２ｂ−２に通じる分岐孔１２ｂ−４と、該分岐孔の先端部に押圧座面１２ｂ−５を設け、さらに一体型ボス部１２ｂ−３の外側端面に締結用ボルト穴１２ｂ−６を形成し、他方、インジェクター側には、ノズルホルダー１３ｂに設けた一体型ボス部１３ｂ−１に、当該ホルダーの流通路（図示せず）に通じかつ外方に開口する受圧座面１３ｂ−２を有する分岐孔１３ｂ−３を設け、該一体型ボス部１３ｂ−１の開口端縁に予め形成したフランジ部１３ｂ−４を前記コモンレール１２ｂ側の一体型ボス部１２ｂ−３と相重ねた状態で締結ボルト１６にてコモンレール１２ｂとノズルホルダー１３ｂとを直接接続構成するものである。
【００１３】
また、本発明におけるコモンレール１２ａ、１２ｂの固定手段としては、例えば図２に示すように、コモンレール１２ｂの本管レール１２ｂ−１にブラケット１２ｂ−７または１２ｂ−８を一体に設け、一方のブラケット１２ｂ−７はエンジンのシリンダーヘッドカバー１７に、他方のブラケット１２ｂ−８はロックカバー１８に、それぞれ締結ボルト１９、２０にて固定する方式を用いることができる。
【００１４】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明のディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムは、コモンレールと噴射ノズルホルダーとの間に燃料噴射管を介さずにコモンレールと噴射ノズルホルダーとを直接締結されているため、以下に記載する効果を奏する。
（１）燃料噴射管の流路抵抗に起因するノズルホルダー内の圧力降下を生じることが皆無となるので、燃料噴射が適正にかつ安定して行われる。
（２）燃料噴射による起因する圧力変動等が燃料噴射管内を反射しながら往復、共振して増幅し正確な量の燃料噴射に支障をきたして騒音の発生原因となることがない。
（３）コモンレールとノズルホルダーとの間には継手部分が１か所しか存在しないため、燃料漏れに対する信頼性が高くなる。
（４）燃料噴射管の内周面に発生したり付着するコンタミによるノズルホルダー詰まりの問題が解消する。
（５）燃料噴射管の外周面が管内を流れる燃料の圧力変動に伴う可聴周波数帯音に対するスピーカ効果を発揮して放射騒音の音源となることがない。
（６）燃料噴射管の疲労折損の危険が皆無となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムの一実施例を示す要部断面図である。
【図２】本発明の他の実施例を示す要部断面図である。
【図３】本発明の対象とする従来のディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システムの基本構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
１２ａ、１２ｂ 蓄圧用のコモンレール
１２ａ−１、１２ｂ−１ 本管レール
１２ａ−２、１２ｂ−２ 流通路
１２ａ−３、１２ｂ−３、１３ａ−１、１３ｂ−１ 一体型ボス部
１２ａ−４、１２ｂ−４、１３ａ−３、１３ｂ−３ 分岐孔
１２ａ−５、１２ｂ−５ 押圧座面
１３ａ、１３ｂ ノズルホルダー
１３ａ−２、１３ｂ−２ 受圧座面
１３ｂ−４ 締結用フランジ部
１４ 継手用袋ナット
１５ ねじスリーブ
１６、１９、２０ 締結ボルト
１７ シリンダーヘッドカバー
１８ ロックカバー

Claims (3)

1. 少なくともコモンレールと噴射ノズルホルダーとで構成されたディーゼル内燃機関の蓄圧式燃料噴射システムであって、前記コモンレールと噴射ノズルホルダーとの間に燃料噴射管を介さずに該コモンレールと噴射ノズルホルダーとが直接締結されて構成されていることを特徴とするディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システム。
2. 前記コモンレールと噴射ノズルホルダーとを直接締結する手段として、予めコモンレール側にねじスリーブまたはワッシャを介して装着した継手用ナットを噴射ノズルホルダー側に螺合する方式を用いることを特徴とする請求項１記載のディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システム。
3. 前記コモンレール噴射ノズルホルダーとを直接締結する手段として、フランジ継手方式を用いることを特徴とする請求項１記載のディーゼル内燃機関用蓄圧式燃料噴射システム。

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