JP2004332586A - 内燃機関の制振制御装置 - Google Patents

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balance shaft
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Koichi Mori
浩一 森
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Abstract

【課題】始動直後のピーク回転に対しても、確実に振動抑制効果をもたらすことのできる内燃機関の振動減衰装置を提供する。
【解決手段】機関振動を低減するバランスシャフトを備えた内燃機関において、クランクシャフトの回転を前記バランスシャフトに伝達する経路に、機関の所定の低回転数以上で締結するクラッチ機構を介在させる。機関の始動初期にはクランクシャフトからバランスシャフトを切り離し、機関回転がピーク回転数に達する前の、所定の低回転数でクラッチ機構によりバランスシャフトが繋がるので、始動直後の回転数を高めて吸気系の負圧を強めて燃料の気化を促進し、始動時のHCの排出量を低減し、一方でピーク回転に向かう途中でバランスシャフトが繋がり、制振作用を発揮するので、ピーク回転での振動・騒音の抑制が図れる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はバランスシャフトを備えた内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の振動を低減するために、クランクシャフトの回転により駆動されるバランスシャフトを備えることが知られている。この場合、機関始動時などバランスシャフトの回転抵抗により、回転数の上昇が速やかに行われず、そこで、低温の始動時など、バランスシャフトをクランクシャフトから切り離し、温度が上昇したら温度感応部材が変形してバランスシャフトの駆動を開始することで、機関の始動特性を改善を図っている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−349283号公報
【0004】
【発明の解決すべき課題】
ところで、機関始動時のHC排出量の低減のためには、始動時の燃料気化をできるだけ促進することが望ましい。始動時の機関回転数を上昇させ、吸気系の負圧を高めることで、燃料の気化促進が可能となるが、この場合には、完爆後、すなわち自立回転開始後に、機関の発生トルクによりピーク回転数が高くなり過ぎ、振動・騒音の悪化を招くという問題を生じる。
【0005】
これに対して、上記したバランスシャフトの制御では、始動後、温度感応部材が変形し、バランスシャフトの駆動が開始されるまでに時間がかかり、始動直後のピーク回転数による振動に対しては、バランスシャフトによる制振作用が機能しない。
【0006】
本発明の目的は、始動直後のピーク回転に対しても、確実に振動抑制効果をもたらすことのできる、内燃機関の振動減衰装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトに同期して回転し、機関振動を低減するバランスシャフトを備えた内燃機関において、クランクシャフトの回転を前記バランスシャフトに伝達する経路に、機関の所定の低回転数以上で締結するクラッチ機構を介在させる。
【0008】
【作用・効果】
したがって、機関の始動初期にはクランクシャフトからバランスシャフトを切り離し、機関回転がピーク回転数に達する前の、所定の低回転数でクラッチ機構によりバランスシャフトが繋がるので、始動直後の回転数を高めて吸気系の負圧を強めて燃料の気化を促進し、始動時のHCの排出量を低減し、一方でピーク回転に向かう途中でバランスシャフトが繋がり、制振作用を発揮するので、ピーク回転での振動・騒音の抑制を効果的に行える。
【0009】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
まず、第1の実施形態を図1に示す。
【0011】
図1において、エンジン1は4気筒エンジンで構成され、エンジン1の出力を取り出すクランクシャフト2にに対して、これと平行にバランスシャフト3が回転自由に配置され、これらは互いにクランクシャフト側のギヤ4とバランスシャフト側のギヤ5との噛み合いにより互いに同期して回転するようになっている。
【0012】
図示しないオイルパン内にて回転自由に支持されるバランスシャフト3は、例えば、互いに平行な2本が、クランクシャフト2の下方において対称的に位置し、その回転速度がクランクシャフト2の2倍の速度で、互いに逆方向に回転駆動され、各アンバランスマス部3aの付与する慣性力により、ピストンの慣性力を相殺し、機関の振動を低減、減衰するようになっている。
【0013】
クランクシャフト2とクランクシャフト側のギヤ4との間には、クラッチ機構として、遠心クラッチ6が介在される。遠心クラッチ6はクランクシャフト2の回転数が低いときには締結せず、回転数が所定値以上において締結し、クランクシャフト2の回転をギヤ4に伝達する。この締結回転数は、後述するように、エンジン始動直後にピーク回転数に達する前の、アイドル回転数付近の、所定の低回転数に設定される。
【0014】
なお、遠心クラッチ6は締結時には、遠心クラッチ外周部に形成したキー溝9にキー10が係合することにより一体化し、クランクシャフト2とバランスシャフト3との締結時の回転位相が常に一定の関係となるようになっている。つまり、バランスシャフト3が常に制振機能を正しく発揮できるように、クランクシャフト2とバランスシャフト3との締結時の相互の回転位置関係が決められる。
【0015】
前記クランクシャフト2の反対側にはリングギヤ8が同軸的に結合され、このリングギヤ8には始動時にスタータモータ7が噛み合い、クランキングを行い、エンジン1を始動する。
【0016】
ここで、エンジン始動時の動作について、図2のタイムチャートにしたがって詳しく説明する。なお、図中の太い実線が本発明、細い実線が従来例(バランスシャフトを繋いだままとする場合)によるそれぞれの特性を示す。
【0017】
スタータスイッチがオンになるとスタータモータ7が起動してエンジン1のクランキングが開始される▲1▼。これに伴いエンジン1は回転を始め、始動に必要な燃料と空気が燃焼室に送り込まれ、エンジン1は初爆、始動する▲2▼。この状態では遠心クラッチ6は締結されていないので、バランスシャフト3はクランクシャフト2から切り離されており、その分だけクランキング時のフリクションが低下し、エンジン始動回転数も相対的に高まり、吸気系の負圧発達も促進される▲3▼〜▲4▼。この負圧の発達により燃料の気化が促進され、エンジン1からのHCの排出量が従来例よりも低下する▲5▼。
【0018】
そして、エンジン回転数がアイドル回転数よりも低く設定された所定の低回転数に達すると▲6▼、遠心クラッチ6の締結が開始される▲7▼。これによりバランスシャフト3の駆動負荷が加わり出し、エンジン回転数の吹き上がりが抑制され、排気ガスボリュームが低減することにより、HCの排出も抑制される▲8▼。
【0019】
この後遠心クラッチ6が完全に締結し▲9▼、エンジン吹き上がりピークの回転数が抑制されることから、騒音レベルが低減する。
【0020】
このように本実施形態によれば、エンジン1のクランキング時のフリクション低減、また吹き上がり回転数も抑制されるので、始動燃料を減少させ、燃費の改善が図れる。また、クランキング回転の相対的な上昇による、クランキング中の吸気系の負圧の発達により、燃料の気化促進が図れ、エンジン1からのHC排出量の大幅な低減が可能となる。また、その一方で、始動後のピーク回転数の抑制に伴い、ピーク回転時の振動・騒音の低減が図れる。
【0021】
さらには、バッテリ電圧が低い状態での始動や、新車時などフリクションが高い状態にあっても、始動時のフリクションを相対的に低減できるので、始動性を向上することができる。
【0022】
また、遠心クラッチ6は、キー溝9とキー10により、遠心クラッチ6の作動開始後、トルク伝達中に、遠心クラッチ6の外周部に刻まれたキー溝9にキー10が噛み合うことにより、クランクシャフト2とバランスシャフト3との回転位相を所定の状態に一致させることができ、これによりバランスシャフト3の締結と同時に、安定した制振性能を引き出すことができる。
【0023】
次に第2の実施形態を、図3、図4を参照して説明する。
【0024】
この実施形態では、クランクシャフト2とギヤ4との締結のためのクラッチ機構として、電磁クラッチ13を備えている。
【0025】
この場合、電磁クラッチ13によりクランクシャフト2とバランスシャフト3との締結が相互に所定の回転位置(回転位相)で行われるように、すなわち、バランスシャフト3がクランクシャフト2の回転位置との関係で、適正に制振作用を生じるように、クランク角度を検出するクランク角度センサ11と、バランスシャフト3の回転位相を検出する位相検出センサ12とを備え、これらの各検出信号がコントローラ10に入力され、これに基づいてコントローラ10が電磁クラッチ13の締結が適正なタイミングで行われるように制御する。
【0026】
図4を参照してクランキング動作について説明する。
【0027】
図2の実施形態と異なるところを中心に説明すると、始動に際して電磁クラッチ13は開放されていて、このためクランキングを開始するときには、バランスシャフト3はクランクシャフト2から切り離されている。したがって、フリクションの低減により、始動に伴うクランキング中、初爆後のエンジン回転数が相対的に高くまり、燃料の気化促進に伴い、HCの排出量が低減される。
【0028】
その後、コントローラ10が、クランク角度センサ11の検出信号から、エンジン1の回転数が所定値を越えたと認識すると、吸気系の負圧発達から回転数の吹き上がり抑制へと制御目標が移行し、ピーク回転に到達する前に、位相検出センサ12の検出する、そのときのバランスシャフト3の回転位相に合わせて、電磁クラッチ13の締結を開始し▲7▼、これに伴いバランスシャフト3へのトルク伝達が始まる。
【0029】
これによりバランスシャフト3がクランクシャフト2とタイミングを合わせて、常に同じ回転位相でもって回転を始め、電磁クラッチ13の締結が完了するときには▲9▼、バランスシャフト3の駆動により、始動後のピーク回転数が抑制される。
【0030】
このようにして本実施形態では、始動後、エンジン回転数の上昇に伴い、電磁クラッチ13により応答よく所定のタイミングで、同一の回転位相をもって、バランスシャフト3をクランクシャフト2と締結することができ、より精度よくピーク回転数の抑制が可能となり、この間のHCの排出量の低減、燃費の改善と、さらにはピーク回転での振動・騒音の低減が図れる。
【0031】
本発明は上記した実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、当業者がなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)は、本発明の第1実施形態の構成図である。
【図2】同じくその制御動作を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態の構成図である。
【図4】同じくその制御動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クランクシャフト
3 バランスシャフト
4 ギヤ
5 ギヤ
6 遠心クラッチ
7 スタータモータ
10 コントローラ
11 クランク角度センサ
12 位相検出センサ
13 電磁クラッチ

Claims (8)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに同期して回転し、機関振動を低減するバランスシャフトを備えた内燃機関において、
    前記クランクシャフトの回転を前記バランスシャフトに伝達する経路に、機関の所定の低回転数以上で締結するクラッチ機構を介在させたことを特徴とする内燃機関の制振制御装置。
  2. 前記所定の低回転数は、機関アイドル回転数近傍の回転数である請求項1に記載の内燃機関の制振制御装置。
  3. 前記アイドル回転数の近傍の回転数は、アイドル回転数未満の回転数である請求項2に記載の内燃機関の制振制御装置。
  4. 前記クラッチ機構は、前記クランクシャフトとバランスシャフトとの締結時の回転位相が所定の位相となるように締結位置が制御される請求項1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関の制振制御装置。
  5. 前記クラッチ機構が、機関の所定の低回転数以上で締結される遠心クラッチで構成される請求項1〜4のいずれか一つに記載の内燃機関の制振制御装置。
  6. 前記クラッチ機構が、前記遠心クラッチに取付けたキーと、このキーが係合するキー溝とを備え、遠心クラッチ締結時に前記クランクシャフトとバランスシャフトとを締結するときの回転位相が所定の位相となるように構成される請求項5に記載の内燃機関の制振制御装置。
  7. 前記クラッチ機構が電磁クラッチで構成され、この電磁クラッチを機関の所定の低回転数以上で締結させるコントローラを備える請求項1〜4のいずれか一つに記載の内燃機関の制振制御装置。
  8. 前記クランクシャフトの回転位置を検出する手段と、バランスシャフトの回転位置を検出する手段とを備え、これらの検出信号に基づいて前記コントローラが、電磁クラッチ締結時に前記クランクシャフトとバランスシャフトとを締結するときの回転位相が所定の位相となるように制御する請求項7に記載の内燃機関の制振制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100432479C (zh) * 2005-08-29 2008-11-12 奇瑞汽车股份有限公司 发动机曲轴平衡轴机构

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