JP2004332141A - 玉揚げ装置を備えた紡績機 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸継装置と玉揚げ装置とを配設した紡績機において、玉揚げ作業失敗時に、糸継作業を行わないように構成することができる玉揚げ装置を備えた紡績機を提供することである。
【解決手段】玉揚げ装置を搭載する作業台車を複数の紡績ユニットに沿って走行自在に設けると共に、前記玉揚げ装置によりパッケージを玉揚げした後、新たに紡出され巻取装置に巻き取られる直前の紡績糸を検知する糸検知手段を設けて、該検知手段の検知信号に基づいて前記紡績糸を検知しない判定をした時には糸継不可表示する制御手段を紡績ユニット側に設ける構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】玉揚げ装置を搭載する作業台車を複数の紡績ユニットに沿って走行自在に設けると共に、前記玉揚げ装置によりパッケージを玉揚げした後、新たに紡出され巻取装置に巻き取られる直前の紡績糸を検知する糸検知手段を設けて、該検知手段の検知信号に基づいて前記紡績糸を検知しない判定をした時には糸継不可表示する制御手段を紡績ユニット側に設ける構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維束(スライバともいう)を牽伸(ドラフトともいう)して紡績糸を紡出する紡績ユニットを多数配設した紡績機に関し、特に玉揚げ装置を備えた紡績機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の紡績機としては、スライバをニップして下流側に送り込みつつ牽伸する複数のローラ対にて構成されるローラドラフト装置と、撚りを付与する加撚装置と、紡出される紡績糸をパッケージに巻き取る巻取装置とを備える紡績ユニットを多数並列した紡績機が知られている。
【0003】
また、これらの多数の紡績ユニットに沿って糸継台車を走行させ、糸切れが発生して糸継要求をしている紡績ユニットからの糸継要求信号を検出すると、当該紡績ユニット位置で糸継台車を停止させ、糸継作業を行うように構成した紡績機は公知である。
【0004】
上記糸継作業を失敗したり、スライバ切れ等の糸継不能なユニットでは、糸継不能表示手段を作動させて、糸継不能表示を行うよう構成されている。このように糸継不能表示手段が作動すると、当該紡績ユニットは、オペレータ待ち状態となって紡績運転が中断され、前記糸継台車がその紡績ユニットに停止しないように制御されている。また、オペレータにより手直し作業が施された後に糸継不能表示手段の作動を解除して、再度糸継ぎ要求信号を発して糸継台車の到着を待つ。そして、紡績ユニットに沿って往復走行している糸継台車が当該ユニットに到着すると、改めて糸継作業を行うように構成している。
【0005】
また、一台の作業台車に糸継装置と玉揚げ装置とを配設し、糸継作業と玉揚げ作業とを行うことができるように構成した紡績機が知られている。さらには、糸継装置とは別の走行台車に玉揚げ装置を配設して、糸継作業と玉揚げ作業とを別々に作業可能に構成した例も知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平9−110301号公報(第1−6頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、前記糸継不能表示手段としての表示片は、糸継作業失敗やスラブ切れ以外の原因で糸切れして、オペレータにより手直し作業を必要としていることを表示する糸継不能表示手段であって、紡績中の糸ムラを検知するスラブキャッチャー(ヤーンクリアラーとも言う)と電気的に接続された構成である。そのために、紡績糸を紡出中にスラブを検出すると、その糸欠点を除去するために紡績糸を切断し紡績を停止する。その時に、前記表示片は紡績機本体から突出しておらず、糸継可能状態となっている。
【0008】
糸継可能状態で紡績を停止している紡績ユニットへ糸継台車が到達すると、該紡績ユニットで停止して不良糸部を解舒した後で糸継作業を行う。また、従来の糸継装置と玉揚げ装置とを一台の作業台車に配設したものでは、玉揚げ作業中に前記糸継不能表示片を紡績機本体内に押込んで糸掛け作業を行うものであり、玉揚げ作業後には自動的に糸継可能状態とされている。
【0009】
そのために、玉揚げ作業を失敗した場合でも、その紡績ユニットで糸継台車が停止して糸継作業を行うように構成されていた。一旦糸継作業が失敗した後で、前記糸継不可表示片を紡績機本体から外に突出させ、糸継不可を表示するものである。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の紡績機では、糸切表示片と玉揚表示片とを配設すると共に、玉揚げ装置による糸掛作業成功の際は上記玉揚表示片を押圧し、糸掛作業失敗の際は上記糸切表示片によって上記玉揚表示片の押圧を阻止する押圧機構を配設して、玉揚げ作業を失敗した際には、作業台車即ち糸継装置を該当ユニットに停止させずにその後の糸継作業を行わないように構成している。
【0011】
しかし、糸継装置と玉揚げ装置とを配設したものに、前記糸継不可表示片、糸切表示片、玉揚表示片の各々並びに押圧機構を配設する構成とするとその構成が複雑となるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、糸継装置と玉揚げ装置とを配設した紡績機において、玉揚げ作業失敗時に、糸継作業を行わないように構成することができる玉揚げ装置を備えた紡績機を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、巻取装置のパッケージを玉揚げする玉揚げ装置を備えた紡績機であって、糸継装置と該糸継装置による糸継が不能であることを表示する糸継不能表示手段とを配設すると共に、該糸継不能表示手段が玉揚げ装置による作業失敗をも表示するための表示制御手段を設けたことを特徴としている。
【0014】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、糸継不能表示手段を玉揚げ作業失敗後の糸継不能表示手段として併用することができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、玉揚げ装置を搭載する作業台車を複数の紡績ユニットに沿って走行自在に設けるものにおいて、紡績ユニット側に前記糸継不能表示手段を配設すると共に、前記玉揚げ装置によりパッケージを玉揚げした後、新たに紡出され巻取装置に巻き取られる直前の紡績糸を検知する糸検知手段を設けて、該検知手段の検知信号に基づいて前記紡績糸を検知しない判定をした時には糸継不能表示して玉揚げ失敗表示する制御手段を紡績ユニット側に設け、前記表示制御手段を構成したことを特徴としている。
【0016】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、玉揚げ作業後に紡績糸を検知しない時には前記糸継不能表示手段を表示させ糸継不可表示状態とし、玉揚げ作業が失敗したことを紡績ユニット側で判定し表示することができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記糸検知手段が糸欠点検出手段であって、玉揚げ装置による糸掛け作業後の所定時間は、糸の有無を検知して糸ムラ検知は行わない構成としたことを特徴としている。
【0018】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、従来の紡績機に配設されている糸ムラ検知用の糸欠点検出手段を玉揚げ作業後の糸検知手段とすることができると共に、糸掛け直後に走行する紡績糸に弛みが生じても、無駄な糸切断信号を送信することがない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る玉揚げ装置を備えた紡績機の実施の形態について、図1から図6に基づいて説明する。
【0020】
先ず、本発明が適用される紡績機Mについて図1により説明する。本紡績機Mは紡績ユニットUが多数配列された構成となっており、スライバLがドラフト装置DRに送られ紡績部Spにより紡績糸Yに形成された後、該紡績糸YはニップローラRn及びヤーンクリアラーZ等を経て巻取部WRに巻き取られ、パッケージPWを形成する。Pは糸継ぎを行う糸継装置を備える作業台車であり、紡績機Mの長手方向に沿って紡績機Mの内部下方を走行するように構成されている。ここでは、ヤーンクリアラーZが糸欠点検出手段を構成している。
【0021】
また、図2に示すように各紡績ユニットUは、機台後部に配置されたケンスK内に収納されているスライバLがガイドGを経て、トランペットTを挿通しドラフト装置DRに搬送された後、段々送り速度が速くなるローラドラフト部を通過して所定太さに牽引され、紡績部Spにより紡績糸Yとなり、機台前面の巻取部WRに巻き取られ、パッケージPWを形成する構成である。
【0022】
前記紡績部Spは紡績速度が300m/分以上の高速紡績が可能な、紡績ノズルと中空ガイド軸体とを備える空気紡績装置から形成されているが、特に限定されるものではなく、2段の空気紡績ノズルを備える紡績装置でもよい。また、紡績ノズルと一対の加然ローラとを備える、紡績速度が数百m/分の高速紡績が可能な紡績装置であってもよい。
【0023】
本実施例の作業台車Pは、糸継装置1と玉揚げ装置2とを備えており、図3に示すように、側断面視略「コ」字状に形成された枠体3内に配置されるレール8に沿って、該枠体3の内部空間を、水平方向に往復走行する構成である。
【0024】
図3は糸継装置1部の断面図であり、この図により糸継作業について簡単に説明する。該糸継装置1には、紡出側の上糸を吸引把持してノッタ10へ導くサクションパイプ12が回動軸120を中心にして回動可能に設けられるとともに、パッケージPW側の下糸を吸引把持してノッタ10へ導くサクションマウス11が回動中心110を中心にして回動可能に設けられており、吸引空気流を発生させるブロア(不図示)等を搭載している。
【0025】
前記作業台車Pは、紡績ユニットUに糸切れが発生した場合、糸切れが発生した紡績ユニットUの定位置に停止して、紡出側の上糸と、パッケージPW側の下糸とを引き出し、該上糸及び下糸を糸継装置1に装備したノッタ10へ導入して糸継ぎを行った後、作業台車Pが次の糸切れ紡績ユニットUへ向けて走行を開始するものである。前記糸切れが生じる原因としては、ドラフト装置DRの各ローラにスライバLが巻付いて紡出が不可能な場合、紡績部Spにスライバ又はスライバ中の不純物が詰まって紡出不可能な場合、又は、スライバケンスK中のスライバLがなくなった場合等があり、このような糸切れを、以降「自然糸切れ」と称する。また、前記ヤーンクリアラーZ部を紡績糸の欠点であるスラブが通過した際に、糸を強制的に切断する場合があり、このような糸切れを、以降「スラブ切れ」と称する。
【0026】
そして、パッケージPWは回動軸60を中心に回動可能なクレードル6に回転自在に取り付けられているボビンホルダ61に支持されており、通常の巻取中には一定方向へ回転するフリクションローラ7に当接して、紡出糸条を巻取るように構成されている。
【0027】
スラブ切れ以外の原因で自然糸切れが発生したときには、糸継作業を行わないようにするために、糸継不能表示手段としての糸継不可表示片4を機台の外側に突出させる。前記糸継不可表示片4は回動軸40により軸支されており、レバー14により突出させられて想像線に示す4A位置ともなり、また、レバー13により回動させられて機台内に引き込まれ、機台本体側に配設されている電磁マグネット5に吸着保持される位置ともなる。糸継不可表示片4の突出動作の制御即ち、電磁マグネット5の通電制御はヤーンクリアラーZの検知信号に基づいて表示制御手段としてのユニットコントローラ9により行われる。
【0028】
スラブ切れが生じると、前記電磁マグネット5を通電した状態で紡績糸Yを切断する。そのために、スラブ切れが生じても前記糸継不可表示片4は機台内に引き込まれた状態を維持している。しかし、自然糸切れが生じると、前記電磁マグネット5への通電が遮断されて図示しないバネ部材により、前記糸継不可表示片4が機台の外側に突出し、想像線に示す4A位置となる。
【0029】
つまり、糸継不可表示片4が機台内に引き込まれた状態で糸切れしている紡績ユニットUはスラブ切れの状態であって、作業台車Pにより自動糸継が可能な状態である。そのために、糸継不可表示片4が機台内に引き込まれた状態で糸切れしている紡績ユニットUを検知して前記作業台車Pをそのユニット部に停止させて糸継装置1により自動糸継を行う構成としている。
【0030】
スラブ切れではなく自然糸切れの場合には、そのままでは紡績不可能のために、当然糸継も不可能であり、このユニット部に作業台車Pを停止させる必要はない。そのために、糸継不可表示片4が機台の外に突出した状態で糸切れしている紡績ユニットUを検知しても、前記作業台車Pをそのまま走行させるように構成している。
【0031】
また、糸継装置1により糸継作業中に糸継を失敗した場合には、前記レバー14が回動軸140回りの上向きに回動されて、糸継不可表示片4の後端部4a部を突き上げて、前記糸継不可表示片4を4A位置まで突出させる。つまり、糸継が出来ない状態の紡績ユニットUには作業台車Pを停止させない構成である。
【0032】
次いで図4により玉揚げ装置2について説明する。巻取開始からのヤーンクリアラーZの糸検知パルス数により巻取ボビンPBに所定長さの紡績糸Yが巻回されたことを判定して、該当する紡績ユニットUの糸を切断し紡績を中断する。その上で玉揚げ信号を発し、満巻の巻取パッケージPWを取り外した後で新しい巻取ボビンPBを装着して紡績開始する玉揚げ作業を要求する。この場合には、前記糸継不可表示片4が機台の外に突出した状態で糸切れしているが、玉揚げ信号のために、玉揚げ装置2が作業可能な位置に作業台車Pが停止して、所定の玉揚げ作業を行うよう構成されている。
【0033】
新しく装着した巻取ボビンPBに紡績糸Yを新たに巻き付ける際には、先ず送り出し側の糸端はサクションノズル20に吸引されて図中の実線の如く引き出される。そこに、糸寄せガイド21が図中の矢印方向に水平に揺動し、その先端の糸係止フック21aに紡績糸Yを係止して、左端の揺動端部に位置する糸保持部材22まで紡績糸Yを案内し、糸保持部材22の糸係止爪22aに紡績糸Yを受け渡す(図中のYaに示す状態)。
【0034】
次に、垂直旋回アーム23が下方向に揺動し、前記糸係止爪22aとサクションノズル20との間にある糸を、上下動ガイド板24の糸係止部24aに係止して下降(図中のYbに示す状態)しながら、糸係止部24aをボビンホルダ61の側面に位置させる。この一連の動きにより糸は糸保持部材22の糸係止爪22aから外れて、ヤーンクリアラーZから糸案内片25、及び上下動ガイド板24の糸係止部24aと、糸ガイド25とを経てサクションノズル20の間に延びる屈曲した糸径路を形成することになる。(図中のYcに示す状態)ここでエアシリンダ26を作動させ、上下動ガイド板24を下降前進させると、上記位置の糸は更にボビンホルダ61の周縁に近接する。そして回転するボビンホルダ61に設けられたフック62が、糸係止部24aとヤーンクリアラーZとの間に延びている糸Ycを係止し、該糸Ycは巻取ボビンPBに巻き取られ、新たな巻取が開始される構成である。
【0035】
その後、前記エアシリンダ26を逆方向に作動させ、上下動ガイド板24を上昇して元の位置に戻すと共に、前記垂直旋回アーム23を上方向に揺動し元の位置に戻す。また、新たな巻取が開始された後で、前記ヤーンクリアラーZによる糸ムラ検知を開始するものである。
【0036】
また、この際に、前記ヤーンクリアラーZによる糸の有無の検知は直ちに行うが、糸ムラの検知は、玉揚げ作業が終了した後に所定時間経過してから行うような構成とした。これはヤーンクリアラーZへ所定の電源電圧を供給すると共に、前記ヤーンクリアラーZからの糸検知信号を受信し解析するユニットコントローラ9のプログラム設定により実施可能である。
【0037】
このように、紡績機の玉揚げ作業とは、所定の長さの糸が巻かれた満巻パッケージを巻取装置から取り外して、空の巻取ボビンを装着し、糸掛けして巻き始めるまでの工程をいう。また、この際に巻き始めの糸端を巻取ボビンの一方の端部に巻き付けてバンチ巻きを形成することもある。
【0038】
そのために、玉揚げ失敗とは、前記満巻パッケージの取り外し失敗、空の巻取ボビンの装着失敗、糸掛け失敗、糸切れによるバンチ巻き失敗等が該当する。
【0039】
本実施例の作業台車Pは、糸継装置1と玉揚げ装置2とを同一機台に併設した構成であって、装着する部品や機構には限度がある。そのために、図5に示すように、玉揚げ装置2部には、サクションノズル20と、糸保持部材22と、垂直旋回アーム23と、糸継不可表示片4の押込み部材27と、ボビン交換装置30とが装着されている。該ボビン交換装置30は、満巻きボビン(パッケージ)を取り外す腕部材と、空ボビンを装着する腕部材とを備えているがここでは詳述しない。
【0040】
また、前記押込み部材27は玉揚げ作業中に糸継不可表示片4を機台内に引き込むものであり、糸継装置1におけるレバー13に相等する部材である。しかし、糸継装置1におけるレバー14(糸継不可表示片4を機台の外に突出させる部材)は、装着スペースの問題もあり配設されていない。
【0041】
そのために、玉揚げ作業が行われた紡績ユニットUは、従来のものでは、玉揚げ作業が成功しても、失敗しても前記糸継不可表示片4が機台内に引き込まれた状態となり、作業台車Pが到達した際にスラブ切れと判断して糸継作業を行い、一旦糸継作業を失敗した後で、前記糸継不可表示片4が機台の外に突出されていた。
【0042】
そこで、本実施例では、紡績ユニットU側のユニットコントローラ9により、玉揚げ作業の所定時間後にヤーンクリアラーZの糸信号を確認する制御とし、糸信号が無ければ機台本体に装着されている電磁マグネット5への通電を遮断する構成とした。
【0043】
この構成では、玉揚げ作業が失敗の場合には、糸継不可表示片4が機台の外に突出することになって、作業台車Pが停止して糸継作業をすることがない。つまり、前記ユニットコントローラ9が玉揚げ作業失敗を表示するための制御手段となる。
【0044】
ここで図6に示すフローチャート及びヤーンクリアラーZの作動タイムチャートより玉揚げ作業の操作手順について説明する。紡績開始(ステップS1)してヤーンクリアラーZのパルスカウントにより予め設定されていた糸長に達すると、満巻信号を発して満巻検知(ステップS2)を行う。すると、糸切断手段を駆動して紡出中の紡績糸を切断し、紡績を停止する。さらに、玉揚げ作業の要求信号を発する(ステップS3)構成とされている。これらの制御は全てユニットコントローラ9に設定されるプログラムにより行われている。
【0045】
玉揚げ作業を要求している紡績ユニットUに、玉揚げ装置2が位置するように作業台車Pが停止して玉揚げ作業を開始(ステップS4)する。玉揚げ作業が順調に進み、新しく紡出される紡績糸YがヤーンクリアラーZ部を挿通している明らかなタイミングで前記ヤーンクリアラーZの糸信号の有無を確認(ステップS5)する。
【0046】
つまり、玉揚げ装置2による糸掛け作業により通常の巻取が再開され、正規の紡出される紡績糸YがヤーンクリアラーZに挿通したタイミングZ1から該糸を検知している。しかし、時間T1の間は糸ムラ検知は行わずに糸の有無のみを検知するように制御されている。糸を検知して時間T1後のタイミングZ2にヤーンクリアラーZの糸ムラ検知を開始する。この時にヤーンクリアラーZの糸信号の有無により、糸信号を検知したら電磁マグネット5への通電を継続(ステップS9)し、糸継不可表示片4を引き込んだ状態のまま玉揚げ作業成功と判定し巻取続行(ステップS10)すると共に糸ムラ検知を開始する構成とした。また、糸信号が無ければ通常巻取中の糸道上に糸が無いことから、前記ユニットコントローラ9は電磁マグネット5への通電を遮断(ステップS6)し、前記糸継不可表示片4を突出させて(ステップS7)玉揚げ作業失敗と判定し、紡績を停止(ステップS8)する。
【0047】
このように、玉揚げ作業後のヤーンクリアラーZの糸信号検知から時間T1の間は糸の有無を検知するクリアラー検知モードZaであり、時間T1の後から糸ムラを検知するクリアラー検知モードZbとした。
【0048】
もちろん糸長検知は糸の有無を検知した瞬間から行っており、設定される満巻の糸長さに対して不利となることはない。これらの各種の設定や検知信号の制御や解析は全てユニットコントローラ9にて行っており、図6中の一点鎖線で囲んだ部分が相当している。
【0049】
上記のように、本発明は、一台の作業台車に、糸継装置と玉揚げ装置とを併設した場合であっても、余分な設備を必要とせずに、糸検知手段の糸信号を利用して、玉揚げ作業の成功と失敗を判定する構成としたので、玉揚げ失敗後の余分な糸継作業を防止することができる。この玉揚げ作業失敗の判定、表示を紡績ユニットU側のユニットコントローラ9で電気的制御により行う構成としたので、複雑な機構を用いる必要もなく、しかも作業台車P側に玉揚げ作業成否判定手段のためのスペースを別途設ける必要もない。従って、作業台車自体の大型化を防ぐことができる。
【0050】
さらに、糸掛け直後の糸弛み状態で巻取が行われても、糸ムラを検知していないので、スラブ切れと判定して糸を切断するという無駄な糸切れも防止することが可能となる。
【0051】
また、玉揚げ作業の失敗を糸継不可表示片で表示する構成ではなく、別途点灯ランプ等を配設して、玉揚げ失敗を表示するようにしてもよい。しかし、紡績機に装備されている糸継不可表示片を利用して玉揚げ失敗表示する構成とすれば新たな部品を付加する必要もなく好適である。
【0052】
【発明の効果】
上記説明したように本発明によれば、玉揚げ装置を有する紡績機において、紡績機に配設されている糸継不可表示片が糸継不能表示機能を備えるのみでなく、玉揚げ作業失敗後の表示機能をも備える構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紡績機の全体を示す正面図である。
【図2】本発明に係る紡績機の全体断面図である。
【図3】本発明に係る作業台車の概略断面図である。
【図4】玉揚げ装置の糸掛け作業を示す概略説明図である。
【図5】作業台車の正面図である。
【図6】玉揚げ作業及びヤーンクリアラーの作動状態を説明するフローチャートおよびタイムチャートである。
【符号の説明】
1 糸継装置
2 玉揚げ装置
4 糸継不可表示片
L スライバ
M 紡績機
P 作業台車
Y 紡績糸
Z ヤーンクリアラー(糸検知手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維束(スライバともいう)を牽伸(ドラフトともいう)して紡績糸を紡出する紡績ユニットを多数配設した紡績機に関し、特に玉揚げ装置を備えた紡績機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の紡績機としては、スライバをニップして下流側に送り込みつつ牽伸する複数のローラ対にて構成されるローラドラフト装置と、撚りを付与する加撚装置と、紡出される紡績糸をパッケージに巻き取る巻取装置とを備える紡績ユニットを多数並列した紡績機が知られている。
【0003】
また、これらの多数の紡績ユニットに沿って糸継台車を走行させ、糸切れが発生して糸継要求をしている紡績ユニットからの糸継要求信号を検出すると、当該紡績ユニット位置で糸継台車を停止させ、糸継作業を行うように構成した紡績機は公知である。
【0004】
上記糸継作業を失敗したり、スライバ切れ等の糸継不能なユニットでは、糸継不能表示手段を作動させて、糸継不能表示を行うよう構成されている。このように糸継不能表示手段が作動すると、当該紡績ユニットは、オペレータ待ち状態となって紡績運転が中断され、前記糸継台車がその紡績ユニットに停止しないように制御されている。また、オペレータにより手直し作業が施された後に糸継不能表示手段の作動を解除して、再度糸継ぎ要求信号を発して糸継台車の到着を待つ。そして、紡績ユニットに沿って往復走行している糸継台車が当該ユニットに到着すると、改めて糸継作業を行うように構成している。
【0005】
また、一台の作業台車に糸継装置と玉揚げ装置とを配設し、糸継作業と玉揚げ作業とを行うことができるように構成した紡績機が知られている。さらには、糸継装置とは別の走行台車に玉揚げ装置を配設して、糸継作業と玉揚げ作業とを別々に作業可能に構成した例も知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平9−110301号公報(第1−6頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、前記糸継不能表示手段としての表示片は、糸継作業失敗やスラブ切れ以外の原因で糸切れして、オペレータにより手直し作業を必要としていることを表示する糸継不能表示手段であって、紡績中の糸ムラを検知するスラブキャッチャー(ヤーンクリアラーとも言う)と電気的に接続された構成である。そのために、紡績糸を紡出中にスラブを検出すると、その糸欠点を除去するために紡績糸を切断し紡績を停止する。その時に、前記表示片は紡績機本体から突出しておらず、糸継可能状態となっている。
【0008】
糸継可能状態で紡績を停止している紡績ユニットへ糸継台車が到達すると、該紡績ユニットで停止して不良糸部を解舒した後で糸継作業を行う。また、従来の糸継装置と玉揚げ装置とを一台の作業台車に配設したものでは、玉揚げ作業中に前記糸継不能表示片を紡績機本体内に押込んで糸掛け作業を行うものであり、玉揚げ作業後には自動的に糸継可能状態とされている。
【0009】
そのために、玉揚げ作業を失敗した場合でも、その紡績ユニットで糸継台車が停止して糸継作業を行うように構成されていた。一旦糸継作業が失敗した後で、前記糸継不可表示片を紡績機本体から外に突出させ、糸継不可を表示するものである。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の紡績機では、糸切表示片と玉揚表示片とを配設すると共に、玉揚げ装置による糸掛作業成功の際は上記玉揚表示片を押圧し、糸掛作業失敗の際は上記糸切表示片によって上記玉揚表示片の押圧を阻止する押圧機構を配設して、玉揚げ作業を失敗した際には、作業台車即ち糸継装置を該当ユニットに停止させずにその後の糸継作業を行わないように構成している。
【0011】
しかし、糸継装置と玉揚げ装置とを配設したものに、前記糸継不可表示片、糸切表示片、玉揚表示片の各々並びに押圧機構を配設する構成とするとその構成が複雑となるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、糸継装置と玉揚げ装置とを配設した紡績機において、玉揚げ作業失敗時に、糸継作業を行わないように構成することができる玉揚げ装置を備えた紡績機を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、巻取装置のパッケージを玉揚げする玉揚げ装置を備えた紡績機であって、糸継装置と該糸継装置による糸継が不能であることを表示する糸継不能表示手段とを配設すると共に、該糸継不能表示手段が玉揚げ装置による作業失敗をも表示するための表示制御手段を設けたことを特徴としている。
【0014】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、糸継不能表示手段を玉揚げ作業失敗後の糸継不能表示手段として併用することができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、玉揚げ装置を搭載する作業台車を複数の紡績ユニットに沿って走行自在に設けるものにおいて、紡績ユニット側に前記糸継不能表示手段を配設すると共に、前記玉揚げ装置によりパッケージを玉揚げした後、新たに紡出され巻取装置に巻き取られる直前の紡績糸を検知する糸検知手段を設けて、該検知手段の検知信号に基づいて前記紡績糸を検知しない判定をした時には糸継不能表示して玉揚げ失敗表示する制御手段を紡績ユニット側に設け、前記表示制御手段を構成したことを特徴としている。
【0016】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、玉揚げ作業後に紡績糸を検知しない時には前記糸継不能表示手段を表示させ糸継不可表示状態とし、玉揚げ作業が失敗したことを紡績ユニット側で判定し表示することができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記糸検知手段が糸欠点検出手段であって、玉揚げ装置による糸掛け作業後の所定時間は、糸の有無を検知して糸ムラ検知は行わない構成としたことを特徴としている。
【0018】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、従来の紡績機に配設されている糸ムラ検知用の糸欠点検出手段を玉揚げ作業後の糸検知手段とすることができると共に、糸掛け直後に走行する紡績糸に弛みが生じても、無駄な糸切断信号を送信することがない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る玉揚げ装置を備えた紡績機の実施の形態について、図1から図6に基づいて説明する。
【0020】
先ず、本発明が適用される紡績機Mについて図1により説明する。本紡績機Mは紡績ユニットUが多数配列された構成となっており、スライバLがドラフト装置DRに送られ紡績部Spにより紡績糸Yに形成された後、該紡績糸YはニップローラRn及びヤーンクリアラーZ等を経て巻取部WRに巻き取られ、パッケージPWを形成する。Pは糸継ぎを行う糸継装置を備える作業台車であり、紡績機Mの長手方向に沿って紡績機Mの内部下方を走行するように構成されている。ここでは、ヤーンクリアラーZが糸欠点検出手段を構成している。
【0021】
また、図2に示すように各紡績ユニットUは、機台後部に配置されたケンスK内に収納されているスライバLがガイドGを経て、トランペットTを挿通しドラフト装置DRに搬送された後、段々送り速度が速くなるローラドラフト部を通過して所定太さに牽引され、紡績部Spにより紡績糸Yとなり、機台前面の巻取部WRに巻き取られ、パッケージPWを形成する構成である。
【0022】
前記紡績部Spは紡績速度が300m/分以上の高速紡績が可能な、紡績ノズルと中空ガイド軸体とを備える空気紡績装置から形成されているが、特に限定されるものではなく、2段の空気紡績ノズルを備える紡績装置でもよい。また、紡績ノズルと一対の加然ローラとを備える、紡績速度が数百m/分の高速紡績が可能な紡績装置であってもよい。
【0023】
本実施例の作業台車Pは、糸継装置1と玉揚げ装置2とを備えており、図3に示すように、側断面視略「コ」字状に形成された枠体3内に配置されるレール8に沿って、該枠体3の内部空間を、水平方向に往復走行する構成である。
【0024】
図3は糸継装置1部の断面図であり、この図により糸継作業について簡単に説明する。該糸継装置1には、紡出側の上糸を吸引把持してノッタ10へ導くサクションパイプ12が回動軸120を中心にして回動可能に設けられるとともに、パッケージPW側の下糸を吸引把持してノッタ10へ導くサクションマウス11が回動中心110を中心にして回動可能に設けられており、吸引空気流を発生させるブロア(不図示)等を搭載している。
【0025】
前記作業台車Pは、紡績ユニットUに糸切れが発生した場合、糸切れが発生した紡績ユニットUの定位置に停止して、紡出側の上糸と、パッケージPW側の下糸とを引き出し、該上糸及び下糸を糸継装置1に装備したノッタ10へ導入して糸継ぎを行った後、作業台車Pが次の糸切れ紡績ユニットUへ向けて走行を開始するものである。前記糸切れが生じる原因としては、ドラフト装置DRの各ローラにスライバLが巻付いて紡出が不可能な場合、紡績部Spにスライバ又はスライバ中の不純物が詰まって紡出不可能な場合、又は、スライバケンスK中のスライバLがなくなった場合等があり、このような糸切れを、以降「自然糸切れ」と称する。また、前記ヤーンクリアラーZ部を紡績糸の欠点であるスラブが通過した際に、糸を強制的に切断する場合があり、このような糸切れを、以降「スラブ切れ」と称する。
【0026】
そして、パッケージPWは回動軸60を中心に回動可能なクレードル6に回転自在に取り付けられているボビンホルダ61に支持されており、通常の巻取中には一定方向へ回転するフリクションローラ7に当接して、紡出糸条を巻取るように構成されている。
【0027】
スラブ切れ以外の原因で自然糸切れが発生したときには、糸継作業を行わないようにするために、糸継不能表示手段としての糸継不可表示片4を機台の外側に突出させる。前記糸継不可表示片4は回動軸40により軸支されており、レバー14により突出させられて想像線に示す4A位置ともなり、また、レバー13により回動させられて機台内に引き込まれ、機台本体側に配設されている電磁マグネット5に吸着保持される位置ともなる。糸継不可表示片4の突出動作の制御即ち、電磁マグネット5の通電制御はヤーンクリアラーZの検知信号に基づいて表示制御手段としてのユニットコントローラ9により行われる。
【0028】
スラブ切れが生じると、前記電磁マグネット5を通電した状態で紡績糸Yを切断する。そのために、スラブ切れが生じても前記糸継不可表示片4は機台内に引き込まれた状態を維持している。しかし、自然糸切れが生じると、前記電磁マグネット5への通電が遮断されて図示しないバネ部材により、前記糸継不可表示片4が機台の外側に突出し、想像線に示す4A位置となる。
【0029】
つまり、糸継不可表示片4が機台内に引き込まれた状態で糸切れしている紡績ユニットUはスラブ切れの状態であって、作業台車Pにより自動糸継が可能な状態である。そのために、糸継不可表示片4が機台内に引き込まれた状態で糸切れしている紡績ユニットUを検知して前記作業台車Pをそのユニット部に停止させて糸継装置1により自動糸継を行う構成としている。
【0030】
スラブ切れではなく自然糸切れの場合には、そのままでは紡績不可能のために、当然糸継も不可能であり、このユニット部に作業台車Pを停止させる必要はない。そのために、糸継不可表示片4が機台の外に突出した状態で糸切れしている紡績ユニットUを検知しても、前記作業台車Pをそのまま走行させるように構成している。
【0031】
また、糸継装置1により糸継作業中に糸継を失敗した場合には、前記レバー14が回動軸140回りの上向きに回動されて、糸継不可表示片4の後端部4a部を突き上げて、前記糸継不可表示片4を4A位置まで突出させる。つまり、糸継が出来ない状態の紡績ユニットUには作業台車Pを停止させない構成である。
【0032】
次いで図4により玉揚げ装置2について説明する。巻取開始からのヤーンクリアラーZの糸検知パルス数により巻取ボビンPBに所定長さの紡績糸Yが巻回されたことを判定して、該当する紡績ユニットUの糸を切断し紡績を中断する。その上で玉揚げ信号を発し、満巻の巻取パッケージPWを取り外した後で新しい巻取ボビンPBを装着して紡績開始する玉揚げ作業を要求する。この場合には、前記糸継不可表示片4が機台の外に突出した状態で糸切れしているが、玉揚げ信号のために、玉揚げ装置2が作業可能な位置に作業台車Pが停止して、所定の玉揚げ作業を行うよう構成されている。
【0033】
新しく装着した巻取ボビンPBに紡績糸Yを新たに巻き付ける際には、先ず送り出し側の糸端はサクションノズル20に吸引されて図中の実線の如く引き出される。そこに、糸寄せガイド21が図中の矢印方向に水平に揺動し、その先端の糸係止フック21aに紡績糸Yを係止して、左端の揺動端部に位置する糸保持部材22まで紡績糸Yを案内し、糸保持部材22の糸係止爪22aに紡績糸Yを受け渡す(図中のYaに示す状態)。
【0034】
次に、垂直旋回アーム23が下方向に揺動し、前記糸係止爪22aとサクションノズル20との間にある糸を、上下動ガイド板24の糸係止部24aに係止して下降(図中のYbに示す状態)しながら、糸係止部24aをボビンホルダ61の側面に位置させる。この一連の動きにより糸は糸保持部材22の糸係止爪22aから外れて、ヤーンクリアラーZから糸案内片25、及び上下動ガイド板24の糸係止部24aと、糸ガイド25とを経てサクションノズル20の間に延びる屈曲した糸径路を形成することになる。(図中のYcに示す状態)ここでエアシリンダ26を作動させ、上下動ガイド板24を下降前進させると、上記位置の糸は更にボビンホルダ61の周縁に近接する。そして回転するボビンホルダ61に設けられたフック62が、糸係止部24aとヤーンクリアラーZとの間に延びている糸Ycを係止し、該糸Ycは巻取ボビンPBに巻き取られ、新たな巻取が開始される構成である。
【0035】
その後、前記エアシリンダ26を逆方向に作動させ、上下動ガイド板24を上昇して元の位置に戻すと共に、前記垂直旋回アーム23を上方向に揺動し元の位置に戻す。また、新たな巻取が開始された後で、前記ヤーンクリアラーZによる糸ムラ検知を開始するものである。
【0036】
また、この際に、前記ヤーンクリアラーZによる糸の有無の検知は直ちに行うが、糸ムラの検知は、玉揚げ作業が終了した後に所定時間経過してから行うような構成とした。これはヤーンクリアラーZへ所定の電源電圧を供給すると共に、前記ヤーンクリアラーZからの糸検知信号を受信し解析するユニットコントローラ9のプログラム設定により実施可能である。
【0037】
このように、紡績機の玉揚げ作業とは、所定の長さの糸が巻かれた満巻パッケージを巻取装置から取り外して、空の巻取ボビンを装着し、糸掛けして巻き始めるまでの工程をいう。また、この際に巻き始めの糸端を巻取ボビンの一方の端部に巻き付けてバンチ巻きを形成することもある。
【0038】
そのために、玉揚げ失敗とは、前記満巻パッケージの取り外し失敗、空の巻取ボビンの装着失敗、糸掛け失敗、糸切れによるバンチ巻き失敗等が該当する。
【0039】
本実施例の作業台車Pは、糸継装置1と玉揚げ装置2とを同一機台に併設した構成であって、装着する部品や機構には限度がある。そのために、図5に示すように、玉揚げ装置2部には、サクションノズル20と、糸保持部材22と、垂直旋回アーム23と、糸継不可表示片4の押込み部材27と、ボビン交換装置30とが装着されている。該ボビン交換装置30は、満巻きボビン(パッケージ)を取り外す腕部材と、空ボビンを装着する腕部材とを備えているがここでは詳述しない。
【0040】
また、前記押込み部材27は玉揚げ作業中に糸継不可表示片4を機台内に引き込むものであり、糸継装置1におけるレバー13に相等する部材である。しかし、糸継装置1におけるレバー14(糸継不可表示片4を機台の外に突出させる部材)は、装着スペースの問題もあり配設されていない。
【0041】
そのために、玉揚げ作業が行われた紡績ユニットUは、従来のものでは、玉揚げ作業が成功しても、失敗しても前記糸継不可表示片4が機台内に引き込まれた状態となり、作業台車Pが到達した際にスラブ切れと判断して糸継作業を行い、一旦糸継作業を失敗した後で、前記糸継不可表示片4が機台の外に突出されていた。
【0042】
そこで、本実施例では、紡績ユニットU側のユニットコントローラ9により、玉揚げ作業の所定時間後にヤーンクリアラーZの糸信号を確認する制御とし、糸信号が無ければ機台本体に装着されている電磁マグネット5への通電を遮断する構成とした。
【0043】
この構成では、玉揚げ作業が失敗の場合には、糸継不可表示片4が機台の外に突出することになって、作業台車Pが停止して糸継作業をすることがない。つまり、前記ユニットコントローラ9が玉揚げ作業失敗を表示するための制御手段となる。
【0044】
ここで図6に示すフローチャート及びヤーンクリアラーZの作動タイムチャートより玉揚げ作業の操作手順について説明する。紡績開始(ステップS1)してヤーンクリアラーZのパルスカウントにより予め設定されていた糸長に達すると、満巻信号を発して満巻検知(ステップS2)を行う。すると、糸切断手段を駆動して紡出中の紡績糸を切断し、紡績を停止する。さらに、玉揚げ作業の要求信号を発する(ステップS3)構成とされている。これらの制御は全てユニットコントローラ9に設定されるプログラムにより行われている。
【0045】
玉揚げ作業を要求している紡績ユニットUに、玉揚げ装置2が位置するように作業台車Pが停止して玉揚げ作業を開始(ステップS4)する。玉揚げ作業が順調に進み、新しく紡出される紡績糸YがヤーンクリアラーZ部を挿通している明らかなタイミングで前記ヤーンクリアラーZの糸信号の有無を確認(ステップS5)する。
【0046】
つまり、玉揚げ装置2による糸掛け作業により通常の巻取が再開され、正規の紡出される紡績糸YがヤーンクリアラーZに挿通したタイミングZ1から該糸を検知している。しかし、時間T1の間は糸ムラ検知は行わずに糸の有無のみを検知するように制御されている。糸を検知して時間T1後のタイミングZ2にヤーンクリアラーZの糸ムラ検知を開始する。この時にヤーンクリアラーZの糸信号の有無により、糸信号を検知したら電磁マグネット5への通電を継続(ステップS9)し、糸継不可表示片4を引き込んだ状態のまま玉揚げ作業成功と判定し巻取続行(ステップS10)すると共に糸ムラ検知を開始する構成とした。また、糸信号が無ければ通常巻取中の糸道上に糸が無いことから、前記ユニットコントローラ9は電磁マグネット5への通電を遮断(ステップS6)し、前記糸継不可表示片4を突出させて(ステップS7)玉揚げ作業失敗と判定し、紡績を停止(ステップS8)する。
【0047】
このように、玉揚げ作業後のヤーンクリアラーZの糸信号検知から時間T1の間は糸の有無を検知するクリアラー検知モードZaであり、時間T1の後から糸ムラを検知するクリアラー検知モードZbとした。
【0048】
もちろん糸長検知は糸の有無を検知した瞬間から行っており、設定される満巻の糸長さに対して不利となることはない。これらの各種の設定や検知信号の制御や解析は全てユニットコントローラ9にて行っており、図6中の一点鎖線で囲んだ部分が相当している。
【0049】
上記のように、本発明は、一台の作業台車に、糸継装置と玉揚げ装置とを併設した場合であっても、余分な設備を必要とせずに、糸検知手段の糸信号を利用して、玉揚げ作業の成功と失敗を判定する構成としたので、玉揚げ失敗後の余分な糸継作業を防止することができる。この玉揚げ作業失敗の判定、表示を紡績ユニットU側のユニットコントローラ9で電気的制御により行う構成としたので、複雑な機構を用いる必要もなく、しかも作業台車P側に玉揚げ作業成否判定手段のためのスペースを別途設ける必要もない。従って、作業台車自体の大型化を防ぐことができる。
【0050】
さらに、糸掛け直後の糸弛み状態で巻取が行われても、糸ムラを検知していないので、スラブ切れと判定して糸を切断するという無駄な糸切れも防止することが可能となる。
【0051】
また、玉揚げ作業の失敗を糸継不可表示片で表示する構成ではなく、別途点灯ランプ等を配設して、玉揚げ失敗を表示するようにしてもよい。しかし、紡績機に装備されている糸継不可表示片を利用して玉揚げ失敗表示する構成とすれば新たな部品を付加する必要もなく好適である。
【0052】
【発明の効果】
上記説明したように本発明によれば、玉揚げ装置を有する紡績機において、紡績機に配設されている糸継不可表示片が糸継不能表示機能を備えるのみでなく、玉揚げ作業失敗後の表示機能をも備える構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紡績機の全体を示す正面図である。
【図2】本発明に係る紡績機の全体断面図である。
【図3】本発明に係る作業台車の概略断面図である。
【図4】玉揚げ装置の糸掛け作業を示す概略説明図である。
【図5】作業台車の正面図である。
【図6】玉揚げ作業及びヤーンクリアラーの作動状態を説明するフローチャートおよびタイムチャートである。
【符号の説明】
1 糸継装置
2 玉揚げ装置
4 糸継不可表示片
L スライバ
M 紡績機
P 作業台車
Y 紡績糸
Z ヤーンクリアラー(糸検知手段)
Claims (3)
- 巻取装置のパッケージを玉揚げする玉揚げ装置を備えた紡績機であって、糸継装置と該糸継装置による糸継が不能であることを表示する糸継不能表示手段とを配設すると共に、該糸継不能表示手段が玉揚げ装置による作業失敗をも表示するための表示制御手段を設けたことを特徴とする玉揚げ装置を備えた紡績機。
- 玉揚げ装置を搭載する作業台車を複数の紡績ユニットに沿って走行自在に設けるものにおいて、紡績ユニット側に前記糸継不能表示手段を配設すると共に、前記玉揚げ装置によりパッケージを玉揚げした後、新たに紡出され巻取装置に巻き取られる直前の紡績糸を検知する糸検知手段を設けて、該検知手段の検知信号に基づいて前記紡績糸を検知しない判定をした時には糸継不能表示して玉揚げ失敗表示する制御手段を紡績ユニット側に設け、前記表示制御手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載の玉揚げ装置を備えた紡績機。
- 前記糸検知手段が糸欠点検出手段であって、玉揚げ装置による糸掛け作業後の所定時間は、糸の有無を検知して糸ムラ検知は行わない構成としたことを特徴とする請求項2に記載の玉揚げ装置を備えた紡績機。
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