JP2004331488A - 内装材・外装材の表面の粗面化処理方法 - Google Patents

内装材・外装材の表面の粗面化処理方法 Download PDF

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Yoshi Matsumoto
由 松本
Yasuharu Kida
安晴 來田
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Abstract

【目的】施工後の硬質内装材・外装材の表面を粗面化する。
【解決手段】上薬付き磁器タイルの表面を透明な防滑用樹脂でコーティングした路面舗装材に、口径0.3mmのノズルを4本の先端から、路面からの高さ3cmの位置から、圧力220MPa(流量8l/分)の水を噴射させ、所定のカバーでノズル全体を覆い、そのカバーの縁端を施工面に密着させ、施工によって発生した粉塵と処理水を飛散させないようにし、粉塵を吸着した汚濁水を別途設けた吸水装置で吸水し、所定の個所に貯留して密閉システムとして行う。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質内装材・外装材の表面を粗面処理する方法に関する。より詳細に述べれば、施工前或いは施工後の硬質内装材・外装材の表面を、ウォータージェットを利用して粗面処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明で使用する用語「硬質内装材・外装材」は、材質及び素地の質から、粘土系レンガ、磁器質タイル、半磁器質タイル、硬質陶器質タイル、陶器質タイル、石器質タイル、大理石、鉄平石、褐色砂岩等天然石、コンクリート系、テラゾー等を包含し、用途上から、室内床・壁面材、室外路面・壁面材、道路舗装材等を包含するものと定義する。尚、タイルは、くすりがけタイル及びくすりなしタイルを包含する。
【0003】
以下、タイルを例に従来技術を説明する。タイルは、耐火粘土、長石などを微粉状にして、水分を与え、金型に入れて加圧し、成形したものを高温で焼き上げ、これに上薬をかけて、再び上薬が溶けるまで焼いて仕上げたもので、表面硬度が高く、吸水性がほとんどなく、その表面は滑らかである。
【0004】
近年、市街の環境整備対策として路面舗装材として高価な磁器タイルを使用するようになってきている。タイルは質感も視覚上も高級感があり、路面舗装材として優れているが、滑り易いという最大の欠点がある。
【0005】
ここで、タイルを製造する時点で、予め表面に防滑用の突起、或いは絞付けをして焼成すればよいのではないかという疑問が発生するであろうが、タイルは本来、その表面の滑らかな質感や視覚上与える美感を大切にするものであるので、予め表面に防滑用の突起、或いは絞付けをして焼成するということもタイル製造上なじまない。
【0006】
タイルを路面舗装材として使用した場合の最大の欠点である滑り易さを改良する方法の一つとして、防滑のため樹脂コーティングを施すことがある。然しながら、樹脂コーティングをしたタイルも、長期間の使用により、表面の樹脂コーティングが劣化、剥落して、その防滑性能が低下するというだけではなく、残存している部分と剥落した部分がまだら模様になり、都市景観上返って逆効果になる場合がある。
【0007】
また、コンクリート二次成型品、ガラス、大理石、或いは金属の表面を粗面化処理する方法として、砂をノズルから圧縮空気と共に吹き付けるサンドブラスト法や、鋼鉄粉粒をタンクに入れ、ノズルから圧縮空気と共に吹き付けるショットブラスト法がある。これらの方法は、被粗面化処理物の表面から削り取られた粉塵が空気中に飛散し、環境を汚染するという欠点、或いは作業者がゴーグル等を着用しなければならないという煩雑さが伴う。
【0008】
従って、硬質内装材・外装材を施工前或いは施工後でも、粉塵が飛散して環境を汚染することなく、また作業者に余計な負担を負わさずに、簡便な方法で硬質内装材・外装材の表面を粗面化処理する方法が斯界で望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、発明が解決しようとする課題は、たとえば磁器タイル等硬質内装材・外装材を施工前或いは施工後を問わず、粉塵を飛散して環境を汚染することなく、また作業者に余計な負担を負わさずに、簡便な方法で硬質内装材・外装材の表面を粗面化処理することである。
【0010】
発明が解決しようとする別の課題は、たとえば磁器タイル等硬質内装材・外装材の表面を粗面化処理する方法において、粗面化によって発生する粉塵等廃棄物を外部環境に排出することなく、発生個所に完全に還流することにより、環境を汚染することなく、また作業者に余計な負担を負わさずに、簡便な方法で硬質内装材・外装材の表面を粗面化処理することである。
【0011】
発明が解決しようとするさらに特定的な課題は、たとえば磁器タイル等硬質内装材・外装材の表面を粗面化処理する方法において、当該表面に高圧の水を吹き付けて粗面にし、発生する粉塵を含んだ排水を外部環境に排出することなく、発生個所に完全に還流することにより、環境を汚染することなく、また作業者に余計な負担を負わさずに、簡便な方法で硬質内装材・外装材の表面を粗面化処理することである。
発明が解決しようとする別の課題、及び利点は以下逐次明らかにされるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】
たとえば上薬付き磁器タイルを路面に舗装した後、その表面を前記サンドブラスト法や、ショットブラスト法で粗面化処理するのは容易なことではなく、また、粉塵等が飛散して環境が汚染されるという点からも好ましくない。
【0013】
また、鏨や鑿を使用する機械的粗面化では、細部の微妙な粗面化、いわゆるピンポイントでの粗面化はほぼ不可能であり、その機械的振動により、粗面化の必要がない個所までクラックを発生させるという悪影響を与えることがある。
【0014】
そこで、本発明者は、鏨や鑿を使用する粗面化或いはサンドブラスト法やショットブラスト法のような乾式機械法の最大の欠点である、細部の微妙な粗面化、いわゆるピンポイントでの粗面化が不可能なことを解消することを第一義的に検討し、合わせてかかる従来技術の欠点である粉塵等の飛散を防止する方法を検討した。
【0015】
そこで、本発明者は、小口径ノズルから高圧水を噴射させて、一種のウォーターカッターの原理を応用すれば、タイルの細部の微妙な粗面化、いわゆるピンポイントでの粗面化が出来、且つ、発生した粉塵等を水に吸着させて回収すれば、上記従来の機械的粗面化法の欠点が同時に解消されると考えた。
【0016】
従って、課題を解決するための手段は、たとえば上薬付き磁器タイル等硬質内装材・外装材の表面を粗面処理するに当たって、表面を粗面化できる所定の圧力で、水を噴射させ粗面化すると同時に、粗面化によって発生した粉塵を水に吸着させ水と一緒に回収することを特徴とする。
【0017】
多段式タービンポンプを使用して、ジェットノズルから高圧水を噴射させて、地盤を緩めて杭の貫入を容易にしたり、石炭の露天掘り等に応用することは、いわゆるウォータージェット工法として従来から利用されている。
【0018】
然しながら、従来のウォータージェット工法は、対象が土砂であり、必ずしも高圧水でなくとも、水をかけることにより、崩落するものであるので、従来のウォータージェット工法をそのまま、タイルに応用しても、前記従来技術の2つの欠点は解消されない。
【0019】
課題を解決すべき手段は、ノズルの口径と、タイルに噴射する際の圧力と、発生した粉塵を水を一緒に回収する方法をシステムとして開発することである。
【0020】
そのために、本発明者は、硬度が高い大理石、上薬付き磁器タイルを対象として、ノズルの口径と、タイルに噴射する際の圧力を変化させ、それらの最適範囲を策定した。
【0021】
その結果、硬度が高い大理石、上薬付き磁器タイルの場合、ノズルの口径範囲が0.15mm〜1.00mm、流量範囲が100MPa〜300MPaで噴射させると、サンドペーパで#240程度の粗面化に仕上げることができることが分かった。
【0022】
この場合、ノズルを複数個使用することにより、粗面化効率が向上する。ノズルの口径、および個数は、粗面化する対象物の種類と、面積等により任意に変えることができる。
【0023】
以下、発明の好ましい実施の形態を実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0024】
【実施例1】
広島県中区舟入町観船橋路面に敷設されている上薬付き磁器タイルの表面を透明な防滑用樹脂でコーティングした路面舗装材を、粗面化処理した。この粗面化前の状態は、表面の樹脂コーティングが、紫外線により劣化し、或いは人や車両の通行により、剥落し、全体がまだら模様になり景観を損ねていた。
【0025】
口径が0.3mmのノズルを4本使用して、路面からの高さ3cmの位置から、圧力220MPa(流量8l/分)の水を噴射させた。施工完了後、道路協会認定の振子式スキッドレジスタンステスターで粗面状態を試験したところ、すべり抵抗値が施工前40であった値が、施工後50〜55に向上していた。即ち、37%粗面化が改良されていた。
【0026】
【実施例2】
マンションのエントランスホールに敷設されている大理石を粗面化処理した。粗面化処理前の状態は、いわゆる鏡面仕上げで、雨の日や、早足で歩行したり、女性のハイヒール等では、滑るという苦情があった。
【0027】
口径が0.4mmのノズルを6本使用して、路面からの高さ3cmの位置から、圧力300MPaの水を噴射させた。施工完了後、道路協会認定の振子式スキッドレジスタンステスターで粗面状態を試験したところ、すべり抵抗値が施工前35であった値が、施工後45〜50に向上していた。即ち、28〜57%粗面化が改良されていた。
【0028】
【実施例3】
マンションのエントランスホールに敷設されている、モルタル下地に径12mmの花崗岩の砕石粒を混入し、表面を研磨、艶だし仕上げした、いわゆるテラッゾーを粗面化処理した。粗面化処理前の状態は、大理石ほどではないが、いわゆる鏡面仕上げで、雨の日や、早足で歩行したり、女性のハイヒール等では、滑るという苦情があった。
【0029】
口径が0.6mmのノズルを4本使用して、路面からの高さ3cmの位置から、圧力200MPaの水を噴射させた。施工完了後、道路協会認定の振子式スキッドレジスタンステスターで粗面状態を試験したところ、すべり抵抗値が施工前35であった値が、施工後45〜50に向上していた。即ち、28〜57%粗面化が改良されていた。
【0030】
【実施例4】
ホテルのレストランの厨房の天井に張られている褐色砂岩の飾り天井材の表面を粗面化処理した。粗面化処理前の状態は、長年厨房から出た煙り、油煙、煤等で薄汚れた状態であった。
【0031】
口径が0.7mmのノズルを4本使用して、天井から15cmの位置から、圧力100MPaの水を噴射させた。施工完了後、目視したところ、煙り、油煙、煤等で薄汚れた状態であったものが、きれいになっていた。この実施例は、天井材を対象としたものであるので、防滑処理ではなく、表面の汚れ落としと、粗面化により、表面を剥離して、新たな表面を表出させることを目的としたものである。
【0032】
【実施例5】
図書館の壁面に張られている鉄平石の飾り壁面材の表面を粗面化処理した。粗面化処理前の状態は、落書きや、小さな孔、傷が無数にあり、全面的に更新しなければならないような状態であった。
【0033】
口径が0.7mmのノズルを2本使用して、壁面から3cmの位置から、圧力100MPaの水を噴射させた。施工完了後、目視したところ、落書きや、小さな孔、傷があった表面が剥離されて、新たな表面が表出され、全面的に更新したと同じような状態になっていた。
【0034】
【実施例6】
実施例1を実施中、金属製のカップ型カバーで8本のノズル全体を覆い、そのカバーの縁端を路面に密着させ、施工によって発生した粉塵と処理水を飛散させないようにし、粉塵を吸着した汚濁水を別途設けた吸水装置で吸水し、所定の個所に貯留して密閉システムとして施工した。
【0035】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明により、粘土系レンガ、磁器質タイル、半磁器質タイル、硬質陶器質タイル、陶器質タイル、石器質タイル、大理石、鉄平石、褐色砂岩等天然石、コンクリート、テラゾー等硬度が高い内装材・外装材の表面を、ピンポイントで微細な粗面状態にすることができる。特に、従来技術の機械的粗面化法では困難な天井、壁面も粗面化施工ができる。
【0036】
請求項2に記載した発明により、施工によって発生した粉塵と汚濁水を完全に回収できるので、環境を汚染することがない。

Claims (2)

  1. 粘土系レンガ、磁器質タイル、半磁器質タイル、硬質陶器質タイル、陶器質タイル、石器質タイル、大理石、鉄平石、褐色砂岩等天然石、コンクリート、テラゾー等硬度が高い内装材・外装材の表面に、口径範囲が0.15mm〜1.00mmのノズルの先端から、100MPa〜300MPaの範囲の圧力で水を噴射させることを特徴とする硬度が高い内装材・外装材の表面の粗面化処理方法。
  2. 所定のカバーでノズル全体を覆い、そのカバーの縁端を施工面に密着させ、施工によって発生した粉塵と汚濁水を飛散させないようにし、粉塵を吸着した汚濁水を別途設けた吸水装置で吸水し、所定の個所に貯留して密閉システムとして行う請求項1または2に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100889513B1 (ko) 2007-09-11 2009-03-19 아이에스동서 주식회사 석기질 및 도기질의 얇은 타일 및 그의 제조방법
JP2009227472A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Taisei Corp 大理石の表面処理方法および床用大理石
JP2012012264A (ja) * 2010-07-02 2012-01-19 Toa Kogyo Kk 多孔質パネルの表面加工装置及び多孔質パネルの表面加工方法

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