JP2004331478A - 誘電体磁器組成物及び誘電体デバイス - Google Patents

誘電体磁器組成物及び誘電体デバイス Download PDF

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Kojiro Okuyama
浩二郎 奥山
Osamu Inoue
修 井上
Hiroshi Kagata
博司 加賀田
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Abstract

【課題】Qu値と機械的強度が高く、εrが15〜40程度であって、τfの絶対値が小さく、950℃以下の温度で焼成できる誘電体磁器組成物を提供する。
【解決手段】組成式:xBaO−yCaO−zLiO1/2−wMO5/2(MはNbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種、x,y,z,wは、x+y+z+w=1、0≦x≦0.50、0≦y≦0.50、0.12≦z≦0.20、0.30≦w≦0.38で示される数値)で表される第一成分と、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の酸化物を含むガラス組成物からなる第二成分とを含み、第二成分の含有率が、2〜50重量%である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にマイクロ波、ミリ波帯などの高周波領域における使用に適した誘電体磁器組成物および誘電体デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロ波やミリ波領域において、誘電体共振器及びフィルター等に誘電体磁器が多く使用されている。このような用途で使用される誘電体材料は、無負荷Q(Qu)値が高く、比誘電率(εr)が大きく、共振周波数の温度係数(τf)が小さくかつ任意に変化させ得るということが要求されてきた。
【0003】
しかし、誘電体磁器の比誘電率が大きいほど誘電体デバイスは小さくなる。このため、通信システムの高周波化に伴って、誘電体デバイスの加工精度や導体損失を考慮し、比誘電率が比較的小さい誘電体磁器組成物が求められるようになってきた。
【0004】
また、誘電体磁器組成物と、Agなどの高い導電率を有する導体とを同時に焼成し、低損失で安価な誘電体積層デバイスを実現するために、Agの融点より低い950℃以下の温度で焼成できる誘電体磁器組成物が求められている。
【0005】
このような用途に適する材料として、Ca(Li1/3Nb2/3)O系磁器にBおよびBiを添加した磁器(例えば、非特許文献1参照)が報告されている。
【0006】
【非特許文献1】
Peng LIU,他2名,”Low−Temperature Sintering and Microwave Dielectric Properties of Ca(Li1/3Nb2/3)O3− δ Ceramics” ,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.40,2001,pp.5769−5773
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、誘電体積層デバイスは、移動体通信の携帯機などに使用されることが多く、電気的な特性と同時に耐衝撃性が求められる。そのため誘電体磁器組成物は、機械的強度が高い必要がある。しかしながら、上記従来の材料の機械的強度は低い。
【0008】
また、一般的に、誘電体磁器組成物とAgなどの導体とを同時に焼成して誘電体積層デバイスを構成する場合、厚さ数十μm程度の誘電体グリーンシートを用いる。誘電体グリーンシートの厚さがばらつくと誘電体積層デバイスの特性がばらつくため、誘電体グリーンシートの厚さはできるだけ均一であることが望ましい。
【0009】
しかしながら、上記従来の材料にはBそのものが含まれており、スラリー化する工程において、Bの架橋反応による誘電体スラリーのゲル化が起こりやすいため、均一な厚さの誘電体グリーンシートを作製できない。
【0010】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、無負荷Q(Qu)値と機械的強度が高く、比誘電率(εr)が、例えば、15〜40程度であって、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値が小さく、かつ、950℃以下の温度で焼成でき、誘電体グリーンシートの作製が容易な誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、マイクロ波やミリ波帯などの高周波領域での使用に適した、低損失で安価な誘電体デバイスを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の誘電体磁器組成物は、組成式xBaO−yCaO−zLiO1/2−wMO5/2で表される第一成分と、第二成分とを含み、前記第二成分が、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の元素の酸化物を含むガラス組成物であり、前記第二成分の含有率が、2重量%以上50重量%以下である。ただし、前記Mは、NbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記x,y,z,wは下記式で示される範囲内の数値である。
【0012】
x+y+z+w=1
0≦x≦0.50
0≦y≦0.50
0.12≦z≦0.20
0.30≦w≦0.38
本発明の誘電体磁器組成物によれば、無負荷Q(Qu)値と機械的強度が高く、比誘電率(εr)が20〜50程度であって、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を小さくすることができる。また、950℃以下の温度で焼成できる。さらには、誘電体スラリーのゲル化が起こりにくいため、誘電体グリーンシートの作製が容易である。
【0013】
また、本発明の誘電体磁器組成物は、組成式yCaO−zLiO1/2−wMO5/2−uTiOで表される第一成分と、第二成分とを含み、前記第二成分が、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の元素の酸化物を含むガラス組成物であり、前記第二成分の含有率が、2重量%以上50重量%以下である。ただし、前記MはNbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記y,z,w,uは下記式で示される範囲内の数値である。
【0014】
y+z+w+u=1
0.45≦y≦0.55
0.10≦z≦0.20
0.16≦w≦0.38
0.01≦u≦0.20
本発明の誘電体磁器組成物によれば、無負荷Q(Qu)値と機械的強度が高く、比誘電率(εr)が20〜50程度であって、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を小さくすることができる。また、950℃以下の温度で焼成できる。さらには、誘電体スラリーのゲル化が起こりにくいため、誘電体グリーンシートの作製が容易である。
【0015】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第二成分が、30重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上30重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAlおよび20重量%以上50重量%以下のQOを含むガラス組成物である。
【0016】
ただし、前記QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
【0017】
本発明の他の実施態様においては、前記第二成分が、30重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上10重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAl、20重量%以上50重量%以下のQOおよび5重量%以上15重量%以下のLaを含むガラス組成物である。ただし、前記QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
【0018】
本発明の更に他の実施態様においては、前記第二成分が、40重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上10重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAl、20重量%以上50重量%以下のQOおよび1重量%以上5重量%以下のZnOを含むガラス組成物である。ただし、前記QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、前記第二成分が、15重量%以上30重量%以下のSiO、5重量%以上20重量%以下のBaO、5重量%以上15重量%以下のRO、10重量%以上25重量%以下のZnO、10重量%以上30重量%以下のTiOおよび10重量%以上30重量%以下のTを含むガラス組成物である。ただし、前記RはCaおよびSrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記TはLaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
【0020】
本発明の誘電体デバイスは、本発明の誘電体磁器組成物と、Agを主成分とする導体とを含むものである。
【0021】
本発明の誘電体デバイスによれば、マイクロ波やミリ波帯などの高周波領域での使用に適した、低損失で安価なデバイスとすることができる。
【0022】
また、本発明の誘電体デバイスは、本発明の誘電体磁器組成物と、Agを主成分とする導体を含み、前記導体は、該導体の総重量に対して0.1重量%以上〜10重量%以下のPdを含む導体成分を含むものである。
【0023】
本発明の誘電体デバイスによれば、マイクロ波やミリ波帯などの高周波領域での使用に適した、低損失で安価なデバイスとすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る誘電体磁器組成物は、組成式xBaO−yCaO−zLiO1/2−wMO5/2で表される第一成分と、第二成分とを含み、前記第二成分が、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の元素の酸化物を含むガラス組成物であり、前記第二成分の含有率が、2重量%以上50重量%以下である。ただし、前記Mは、NbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記x,y,z,wは下記式で示される範囲内の数値である。
【0026】
x+y+z+w=1
0≦x≦0.50
0≦y≦0.50
0.12≦z≦0.20
0.30≦w≦0.38
第一成分の前記x,y,zおよびwが上記範囲外にあると高いQu値が得られないか、機械的強度が低くなりすぎる。
【0027】
第二成分の含有率は、2重量%以上50重量%以下の範囲である。
【0028】
第二成分の含有率を上記範囲外とすると、950℃以下の温度で焼成できないか、または高いQu値が得られない。さらに、機械的強度が低くなりすぎることがある。第二成分の含有率は、3重量%以上25重量%以下の範囲であるのが好ましい。
【0029】
第二成分の好ましい具体例を以下に挙げる。
(1)30重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上30重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAlおよび20重量%以上50重量%以下のQOからなるガラス組成物。
(2)30重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上10重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAl、20重量%以上50重量%以下のQOおよび5重量%以上15重量%以下のLaからなるガラス組成物。
(3)40重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上10重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAl、20重量%以上50重量%以下のQOおよび1重量%以上5重量%以下のZnOからなるガラス組成物。
(4)15重量%以上30重量%以下のSiO、5重量%以上20重量%以下のBaO、5重量%以上15重量%以下のRO、10重量%以上25重量%以下のZnO、10重量%以上30重量%以下のTiOおよび10重量%以上30重量%以下のTからなるガラス組成物。
【0030】
ここで、QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、RはCaおよびSrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、また、TはLaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
【0031】
第二成分を上記範囲外とすると、ガラス化しないか、吸湿性が高くなりすぎる場合がある。
【0032】
誘電体磁器組成物の出発原料としては、特に制限されず、各成分元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物、アルコキシドなどを用いればよい。原料粉体の混合方法としては、ボールミル中で水もしくは有機溶媒と共に混合する湿式混合法や、ミキサー等で混合したり溶媒を用いないボールミル中で混合する乾式混合法などを用いればよい。また、出発原料に応じて、アルコキシド法や共沈法を用いてもよい。混合方法の中では、工程が比較的複雑でないこと、均質な混合物を得やすいことなどから、溶媒を用いてボールミル中で混合する方法が好ましい。なお、粉体の分散性を高めるために分散剤を用いたりpH調整を行ってもよい。
【0033】
混合物の仮焼は、組成により異なるが、通常、800〜1100℃程度で1〜8時間程度とすればよい。ガラス化がするには、加熱して溶融した混合物を急冷すればよい。急冷は、溶融混合物を水中に滴下したり、金属板に滴下することにより行うことができる。仮焼物またはガラス化合物の粉砕方法としては、ボールミル、高速回転式粉砕機、媒体撹拌ミル、気流粉砕機などを用いる方法があるが、いずれを用いてもよい。
【0034】
成形には、通常、プレス成形が適用される。特に限定されないが、プレス成形における圧力は、50〜200MPa程度が好適である。成形の際に用いるバインダーとしては、セラミックスの成形の際に用いられるバインダーであれば特に制限はないが、例えば、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリビニルブチラール系バインダー、アクリル樹脂系バインダー、ワックス系バインダーなどが挙げられる。バインダーの使用量も特に制限されないが、通常、固形分換算で全体の0.05〜1重量%程度が好適である。
【0035】
焼成は、特に限定されないが、400〜700℃程度で1〜24時間程度加熱してバインダーを除去した後、800〜950℃程度で2〜100時間程度焼成するとよい。
【0036】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る誘電体磁器組成物は、組成式yCaO−zLiO1/2−wMO5/2−uTiOで表される第一成分と、第二成分とを含み、前記第二成分が、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の元素の酸化物を含むガラス組成物であり、前記第二成分の含有率が、2重量%以上50重量%以下である。ただし、前記MはNbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記y,z,w,uは下記式で示される範囲内の数値である。
【0037】
y+z+w+u=1
0.45≦y≦0.55
0.10≦z≦0.20
0.16≦w≦0.38
0.01≦u≦0.20
第一成分の前記y,z,wおよびuが上記範囲外にあると高いQu値が得られないか、機械的強度が低くなりすぎる。
【0038】
すなわち、この実施の形態2の誘電体磁器組成物は、第一成分が、上述の実施の形態1の誘電体磁器組成物と異なるだけで、第二成分およびその他の構成は、上述の実施の形態1と同様であるので、その説明は、省略する。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
第一成分の出発原料として、CaCO,BaCO,TiO,LiCO,Nb,V,B,Biを用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて脱イオン水とともに湿式混合した。粉体と水との体積比は約1:2とした。この混合物をボールミルから取り出して、140℃で乾燥させた後、空気中において900℃の温度で2時間仮焼し、誘電体結晶粉末(第一成分)を得た。
【0041】
第二成分の出発原料として、SiO,B,Al,BaO,CaO,SrO,ZnO,TiO,La,Ndを用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体とエタノールの体積比は約2:3とした。この混合物をボールミルから取り出して、120℃で乾燥させた。さらに、乾燥物を白金製るつぼに入れ、空気中において1300℃の温度で溶融させた後、溶融物を水中に滴下し、急冷した。得られたガラスを混合と同様の方法で粉砕し、乾燥させ、ガラス粉末(第二成分)を得た。
【0042】
誘電体粉末(第一成分)とガラス粉末(第二成分)とを所定の割合で配合し、脱イオン水とともに上記ボールミル中で湿式粉砕した後、ボールミルから取り出して乾燥させた。
【0043】
第一成分と第二成分の混合粉末に、バインダーとして濃度6%のポリビニールアルコール溶液を10重量%添加して混合し、32メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体を、金型と油圧プレスを用いて成形圧力130MPaで直径13mm、厚さ約6mmの円板に成形し、電気的特性評価用の成形体を得た。
【0044】
また、第一成分と第二成分の混合粉末に対し、70重量%の酢酸ブチルおよび8重量%のポリビニールアルコールと5重量%のフタル酸ジnブチルを添加し、上記ボールミル中で混合した。得られた誘電体スラリーを用いてシート成形(ドクターブレード法)を行い、厚さ約70μmの誘電体グリーンシートを作製した。誘電体グリーンシートを積層し、油圧プレスを用いて成形圧力50MPaで成形した後、長さ40mm、幅4mmに切断して機械的強度評価用の成形体を得た。
【0045】
これらの成形体を高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中において500℃の温度で4時間保持してバインダーアウトを行なった後、空気中において800〜950℃の温度で4時間保持して焼成し、誘電体磁器を得た。
【0046】
誘電体磁器の電気的特性の評価には、ネットワークアナライザを用い、導体空洞型誘電体円柱共振器法による測定から、fQ積(Qu値と共振周波数との積)と比誘電率(εr)を求めた。共振周波数の温度係数(τf)は−25℃から85℃の範囲で求めた。なお、共振周波数は4〜10GHzの範囲であった。
【0047】
誘電体磁器の機械的強度の評価は、3点曲げ試験法により抗折強度を求めた。また、誘電体グリーンシートの厚み精度は、1辺7cmの正方形状に切り出した誘電体グリーンシートの厚みを10点測定し、(最大値−最小値)/平均値として求めた。
【0048】
(実施例1)
作製した第二成分の組成と状態を表1に、上述の実施の形態1に対応する誘電体磁器組成物の組成と第二成分の含有量を表2に示す。また、電気的特性と抗折強度、誘電体グリーンシートの厚み精度を表3に示す。なお、表2においては、第二成分の試料を、表1の記号で示している。また、表2及び表3において*印を付した試料は比較例である。
【0049】
【表1】
Figure 2004331478
【0050】
【表2】
Figure 2004331478
【0051】
【表3】
Figure 2004331478
【0052】
表3に示すように、*印を付した例以外の試料では、950℃以下という低い焼成温度で、4000以上の高いfQ積、15〜33程度の比誘電率(εr)、絶対値で40ppm/℃以下の小さな温度係数(τf)、および、150MPa以上の高い抗折強度を得ることができた。また、誘電体グリーンシートの厚み精度は10%以内であった。一方、*印を付した試料では、fQ積と抗折強度のうち少なくとも一つが大幅に低下した。さらに、ガラス組成物としてではなく、BおよびBiそのものを添加した試料番号1,2(非特許文献1参照)の比較例では、誘電体スラリーがゲル化し、誘電体グリーンシートが作製できないかまたは誘電体グリーンシートの厚み精度が極めて悪い。
【0053】
また、試料番号8,18および24と同様の誘電体磁器組成物およびAgペーストを用い、図1に示すような積層型誘電体フィルタを作製した。この誘電体フィルタ1は、図2に示したように、内部電極4a,4b,4c,4d,4e,4f,4gとしてAgペーストを塗布した誘電体磁器組成物からなる未焼成シート3a,3b,3c,3d,3eを積層し、さらに端子電極2a,2b,2c,2dとしてAgペーストを塗布して焼成して得たものである。焼成条件も上記と同様とした。この誘電体フィルタの性能を評価したところ、従来の誘電体フィルタ(Alにガラス添加)と比較して、挿入損失が1/2以下であった。また、中心周波数(およそ5GHz)の温度係数は1/10以下であった。以上より、この誘電体デバイスが、マイクロ波やミリ波帯などの高周波領域での使用に適した、低損失な誘電体デバイスとして使用できることが確認された。
【0054】
また、試料番号8と同様の誘電体磁器組成物および、Agを主成分とし導体の総重量に対して0.1重量%以上10重量%以下のPdを含む導体ペースト(導体成分)を用い、図1に示すような積層型誘電体フィルタを作製した。この誘電体フィルタの性能を評価したところ、従来の誘電体フィルタと比較して、挿入損失が2/3以下であった。さらに、Pdを含む導体ペーストを用いることにより、Agペーストの場合と比較してはんだ濡れ性を改善し、誘電体デバイスとしての実装性および信頼性を改善できる。しかし、Agを主成分とし導体の総重量に対して20重量%のPdを含む導体ペーストを用いた場合、挿入損失が従来の誘電体フィルタの4/3倍に劣化した。
【0055】
これらの積層型誘電体デバイスは、上記のように、誘電体磁器組成物とAgペーストなどの電極材料とを同時に焼成することにより作製できるため、極めて効率よく製造できる。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同様にして、上述の実施の形態2に対応する誘電体磁器を作製し、電気的特性と抗折強度、誘電体グリーンシートの厚み精度を評価した。用いた第二成分は表1に示したものである。
【0057】
作製した誘電体磁器組成物の組成と第二成分の含有量を表4に示す。また、電気的特性と抗折強度、誘電体グリーンシートの厚み精度を表5に示す。なお、表4及び表5において*印を付した試料は比較例である。
【0058】
【表4】
Figure 2004331478
【0059】
【表5】
Figure 2004331478
【0060】
表5に示すように、*印を付した例以外の試料では、950℃以下という低い焼成温度で、3000以上の高いfQ積、20〜40程度の比誘電率(εr)、絶対値で30ppm/℃以下の小さな温度係数τf、および、150MPa以上の高い抗折強度を得ることができた。また、誘電体グリーンシートの厚み精度は10%以内であった。一方、*印を付した試料では、950℃以下の温度では焼結しないか、または、fQ積および抗折強度が大幅に劣化した。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、無負荷Q値(Qu値)と機械的強度が高く、比誘電率(εr)が例えば、15〜40程度であって、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値が小さく、かつ、950℃以下の温度で焼成でき、誘電体グリーンシートの作製が容易な誘電体磁器組成物を得ることができる。また、マイクロ波やミリ波帯などの高周波領域での使用に適した、低損失で安価な誘電体デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体デバイスの一例の斜視図である。
【図2】本発明の誘電体デバイスの一例の内部電極構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 誘電体フィルタ
2a,2b,2c,2d 端子電極
3a,3b,3c,3d,3e 誘電体
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g 内部電極

Claims (8)

  1. 組成式xBaO−yCaO−zLiO1/2−wMO5/2で表される第一成分と、第二成分とを含み、
    前記第二成分が、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の元素の酸化物を含むガラス組成物であり、前記第二成分の含有率が、2重量%以上50重量%以下であることを特徴とする誘電体磁器組成物。ただし、前記Mは、NbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記x,y,z,wは下記式で示される範囲内の数値である。
    x+y+z+w=1
    0≦x≦0.5
    0≦y≦0.50
    0.12≦z≦0.20
    0.30≦w≦0.38
  2. 組成式yCaO−zLiO1/2−wMO5/2−uTiOで表される第一成分と、第二成分とを含み、
    前記第二成分が、Si,B,Al,Ba,Ca,Sr,Zn,Ti,LaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも二種の元素の酸化物を含むガラス組成物であり、前記第二成分の含有率が、2重量%以上50重量%以下であることを特徴とする誘電体磁器組成物。ただし、前記MはNbおよびVからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記y,z,w,uは下記式で示される範囲内の数値である。
    y+z+w+u=1
    0.45≦y≦0.55
    0.10≦z≦0.20
    0.16≦w≦0.38
    0.01≦u≦0.20
  3. 前記第二成分が、30重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上30重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAlおよび20重量%以上50重量%以下のQOを含むガラス組成物である請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
    ただし、前記QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
  4. 前記第二成分が、30重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上10重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAl、20重量%以上50重量%以下のQOおよび5重量%以上15重量%以下のLaを含むガラス組成物である請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
    ただし、前記QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
  5. 前記第二成分が、40重量%以上60重量%以下のSiO、2重量%以上10重量%以下のB、2重量%以上10重量%以下のAl、20重量%以上50重量%以下のQOおよび1重量%以上5重量%以下のZnOを含むガラス組成物である請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
    ただし、前記QはBaおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
  6. 前記第二成分が、15重量%以上30重量%以下のSiO、5重量%以上20重量%以下のBaO、5重量%以上15重量%以下のRO、10重量%以上25重量%以下のZnO、10重量%以上30重量%以下のTiOおよび10重量%以上30重量%以下のTを含むガラス組成物である請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
    ただし、前記RはCaおよびSrからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、前記TはLaおよびNdからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物と、Agを主成分とする導体とを含むことを特徴とする誘電体デバイス。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物と、Agを主成分とする導体を含み、前記導体は、該導体の総重量に対して0.1重量%以上〜10重量%以下のPdを含有する導体成分を含むことを特徴とする誘電体デバイス。
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JP2007284290A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Yokowo Co Ltd 高周波用誘電体材料

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