JP2004331450A - 耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のセメントモルタルは、急激に加熱され熱応力を受けることにより爆裂するという問題点がある。この爆裂は、モルタル中に存在する水分が急激に加熱されて膨張し、水蒸気が逃げ道を失うために生じると考えられる。本発明は、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができる特性を維持するとともに、優れた仕上げ性能および付着性能を有し、かつ低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法を提供することを課題とする。
【解決手段】セメントモルタルに、セルロース繊維5および水溶性ポリマー6をさらに配合した。またこの配合物をコンクリート用補修材として使用した。本発明の補修方法は、コンクリートの補修すべき部分に前記配合物を被覆する工程を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】セメントモルタルに、セルロース繊維5および水溶性ポリマー6をさらに配合した。またこの配合物をコンクリート用補修材として使用した。本発明の補修方法は、コンクリートの補修すべき部分に前記配合物を被覆する工程を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法に関するものであり、さらに詳しくは、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができ、優れた仕上げ性能および付着性能を提供するとともに、低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のセメントモルタルは、急激に加熱され熱応力を受けることにより爆裂するという問題点がある。本発明者らの検討によれば、セメントモルタルに対し実際にISO834の耐火試験を行い、急激な熱応力をセメントモルタルに与えたところ、表面温度が700℃前後に達した時点で爆裂が生じた。この爆裂は、セメントモルタル中に存在する水分が急激に加熱されることにより膨張し、その水蒸気が逃げ道を失い、内部からセメントモルタルを破壊するために生じると考えられる。
【0003】
図4は、前記の水蒸気爆裂のメカニズムを説明するためのセメントモルタルの断面図である。図4(a)に示したように、セメントモルタルは、マトリックスとしてのセメント41と、このセメント41中に分散した細骨材42から主に構成されているが、通常、所定量の水分43も含んでいる。ところが、セメントモルタルは急激に加熱され熱応力を受けることにより、図4(b)に示したようにセメントモルタル内部の水分43が加熱され水蒸気となり、逃げ道のない水蒸気圧力44がセメントモルタルの内部からの爆裂をもたらす。
【0004】
そこで本発明者は、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することのできる耐爆裂性セメントモルタルおよびその製造方法を提案した(下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−326856号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができる特性を維持するとともに、優れた仕上げ性能および付着性能を有し、かつ低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、従来のセメントモルタル組成物にセルロース繊維および水溶性ポリマーを配合するという非常に簡単な方法で、上記の従来の課題が一気に解決できるという、驚くべき事実を見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明の耐爆裂性セメントモルタルは、セメント、水、セルロース繊維、水溶性ポリマー、細骨材、および必要に応じて各種添加材(剤)を配合してなることを特徴としている。
また本発明によれば、前記の耐爆裂性セメントモルタルをコンクリート用補修材とした。
また本発明のコンクリートの補修方法は、コンクリートの補修すべき部分に、前記の耐爆裂性セメントモルタルを被覆する工程を有する。
【0008】
このような構成によれば、セルロース繊維を配合したことにより、セメントモルタル内部がポーラスな状態となり、あるいは加熱によりセルロース繊維が炭化してスペースを生じ、膨張した水蒸気の逃げ道を作って爆裂を防止することができる。また、水溶性ポリマーを配合したことにより、補修すべきコンクリートに対し、優れた仕上げ性能および付着性能を提供することができる。さらに本発明に使用される材料は比較的安価であるため、低コスト性も達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のセメントモルタルの爆裂防止のメカニズムを説明するための断面図である。
図1(a)に示したように、本発明のセメントモルタルは、マトリックスとしてのセメント1と、このセメント1中に分散した細骨材2から主に構成されているが、セルロース繊維5が配合されているとともに、さらにセメント1中に水溶性ポリマー6が配合されていることが最大の特徴となっている。
本発明のセメントモルタルは、急激に加熱され熱応力を受けた場合でも、図1(b)に示したように、セメントモルタル内部の水分3から生じた水蒸気圧力が、例えば炭化したセルロース繊維5’により形成された逃げ道により矢印7方向に分散し、セメントモルタルの内部からの爆裂を防止することができる。また水溶性ポリマー6が配合されていることにより、補修すべきコンクリートに対し、優れた仕上げ性能および付着性能を提供することができる。
【0010】
本発明に用いられるセルロース繊維は、いわゆる木質系繊維であって、その種類およびサイズはとくに制限されないが、例えば地球環境上の観点から故紙やリサイクル紙をチップ化または繊維化したものであるのが好ましい。このようなセルロース繊維を用いれば、さらなる低コスト性を達成することができる。なお、セルロース繊維は、市販されているものを利用することもでき、例えば十條木材社製商品名NPファイバーが好適なものとして挙げられる。セルロース繊維は、セメントに対して0.5〜2.5質量%含まれることが好ましい。この範囲内であれば耐爆裂性を一層高めることができる。
【0011】
本発明に用いられる水溶性ポリマーは、例えば、エチレン酢酸ビニル系、アクリル系、アクリルスチレン系、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられ、中でも仕上げ性能および付着性能の観点から、エチレン酢酸ビニル系が好ましい。水溶性ポリマーは、セメントに対して5〜7質量%含まれることが好ましい。この範囲内であれば仕上げ性能および付着性能を一層高めることができる。なお、前記の水溶性ポリマーの配合割合は、水溶性ポリマーの固形分を基準とするものである。
【0012】
本発明で用いるセメントは、とくに制限されず用途により自由に選択でき、例えば普通ポルトランドセメント、早強セメント、ビーライトセメント、高炉セメント、三成分セメント、混合セメント、アルミナセメント等を使用できる。水セメント比は、通常40〜75%、好ましくは50〜65%がよい。
【0013】
本発明に用いられる細骨材は、とくに制限されるものではないが、例えば、砕石、砕砂、陸砂利、陸砂、川砂利、川砂、山砂を単独または混合したもの等が挙げられる。また、細骨材のサイズおよび配合量もセメントモルタルの用途等によって適宜選定することができる。例えば、細骨材は単位量として1000〜1800kg/m3が好ましい。
【0014】
本発明の耐爆裂性セメントモルタルには、必要に応じてシリカヒューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、ガラス粉末、貝灰等の産業廃棄物のような添加材、また増粘剤、減水剤等のような各種添加剤を配合することができ、その配合率も、従来のそれと違わず、適宜決定できる。
【0015】
本発明の耐爆裂性セメントモルタルは、水にセルロース繊維および水溶性ポリマーを投入し、両者を均一に分散させた後、そこにセメントおよび細骨材を投入し混合することにより製造することができる。これとは別に、セメント、水および水溶性ポリマーを混合した後、セルロース繊維を投入し、前記セルロース繊維を均一に分散させた後、そこに細骨材を混合することによっても製造することができる。前記のような製造方法によれば、セルロース繊維を均一にセメントモルタル中に分散することができ、耐爆裂性を一層高めることができ好ましい。
【0016】
各種材料の混合は、従来のセメントモルタルの製造と同様に行うことができ、例えばセメント、水、セルロース繊維、水溶性ポリマー、細骨材、および必要に応じて各種添加材(剤)を、前記の製造方法に基づいて、例えばモルタルミキサー、ハンドミキサー、傾胴ミキサー、二軸ミキサー、パン型ミキサー、オムニミキサー等を用いて行うことができる。このようにして得られた耐爆裂性セメントモルタルは、各種用途に採用することができるが、本発明によれば、前記耐爆裂性セメントモルタルをコンクリート用補修材とするのがとくに好ましい。このようなコンクリート補修材は、コンクリートの補修すべき部分にこれを被覆するだけで補修対象のコンクリートに耐爆裂性を提供することができる。補修対象のコンクリートはとくに制限されるものではないが、例えば火害を受けたコンクリート部材等が挙げられる。
【0017】
図2および3は、本発明の補修方法を説明するための図である。
図2は、補修対象のコンクリートスラブ20(火害を受けたコンクリート)の断面図であり、コンクリートスラブ20は、床21、梁22およびこれらを補強する鉄筋23からなる鉄筋コンクリートである。図2の態様によれば、本発明のコンクリート用補修材24は、ハツリ面25上に塗布され、床21の底部と梁22の全体を被覆している。
図3は、補修対象のコンクリート柱30(火害を受けたコンクリート柱)の平面断面図であり、コンクリート柱30は、コンクリート31およびこれを補強する鉄筋32からなる鉄筋コンクリートである。図3の態様によれば、本発明のコンクリート用補修材33は、コンクリート31のハツリ面34上に塗布され、コンクリート31の全体を被覆している。
なお、図2および3の態様において、コンクリート補修材の被覆厚は、補修対象のコンクリート部材のサイズや施工場所を勘案して適宜決定すればよい。
【0018】
なお本発明のコンクリート補修材の養生も、従来のそれと同様の手段を採用でき、例えば自然養生、蒸気養生を行うことができる。養生によってひび割れ等の悪影響が発現することはない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
(実施例1)
下記表1に示す配合に従って、本発明の耐爆裂性セメントモルタルを製造した。すなわち、調合No.1〜4の耐爆裂性セメントモルタルは、水にセルロース繊維および水溶性ポリマーを投入し、両者を均一に分散させた後、そこにセメントおよび細骨材を投入し混合して製造したものである。なお、混合にはモルタルミキサーを使用した。
なお使用材料を以下に記載する。
水:上水道水
セメント:普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)
セルロース繊維:NPファイバー(十条木材社製NPファイバー)
水溶性ポリマー:日本化成 NF−1000(EAC)
細骨材:君津産山砂(表乾密度2.62g/cm3、吸水率1.89%)
【0020】
【表1】
【0021】
調合No.1〜No.4の耐爆裂性セメントモルタルに対し、ISO834に準ずる耐火試験を行った結果、爆裂は認められなかった。
また、各種コンクリートに対し、優れた仕上げ性能および付着性能が得られることが確認された。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができる特性を維持するとともに、優れた仕上げ性能および付着性能を有し、かつ低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセメントモルタルの爆裂防止のメカニズムを説明するための断面図である。
【図2】本発明の補修方法を説明するための図である。
【図3】本発明の補修方法を説明するための図である。
【図4】水蒸気爆裂のメカニズムを説明するためのセメントモルタルの断面図である。
【符号の説明】
1 セメント
2 細骨材
3 水分
5 セルロース繊維
6 水溶性ポリマー
20 補修対象のコンクリートスラブ
24 コンクリート用補修材
30 補修対象のコンクリート柱
33 コンクリート用補修材
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法に関するものであり、さらに詳しくは、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができ、優れた仕上げ性能および付着性能を提供するとともに、低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のセメントモルタルは、急激に加熱され熱応力を受けることにより爆裂するという問題点がある。本発明者らの検討によれば、セメントモルタルに対し実際にISO834の耐火試験を行い、急激な熱応力をセメントモルタルに与えたところ、表面温度が700℃前後に達した時点で爆裂が生じた。この爆裂は、セメントモルタル中に存在する水分が急激に加熱されることにより膨張し、その水蒸気が逃げ道を失い、内部からセメントモルタルを破壊するために生じると考えられる。
【0003】
図4は、前記の水蒸気爆裂のメカニズムを説明するためのセメントモルタルの断面図である。図4(a)に示したように、セメントモルタルは、マトリックスとしてのセメント41と、このセメント41中に分散した細骨材42から主に構成されているが、通常、所定量の水分43も含んでいる。ところが、セメントモルタルは急激に加熱され熱応力を受けることにより、図4(b)に示したようにセメントモルタル内部の水分43が加熱され水蒸気となり、逃げ道のない水蒸気圧力44がセメントモルタルの内部からの爆裂をもたらす。
【0004】
そこで本発明者は、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することのできる耐爆裂性セメントモルタルおよびその製造方法を提案した(下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−326856号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができる特性を維持するとともに、優れた仕上げ性能および付着性能を有し、かつ低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、従来のセメントモルタル組成物にセルロース繊維および水溶性ポリマーを配合するという非常に簡単な方法で、上記の従来の課題が一気に解決できるという、驚くべき事実を見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明の耐爆裂性セメントモルタルは、セメント、水、セルロース繊維、水溶性ポリマー、細骨材、および必要に応じて各種添加材(剤)を配合してなることを特徴としている。
また本発明によれば、前記の耐爆裂性セメントモルタルをコンクリート用補修材とした。
また本発明のコンクリートの補修方法は、コンクリートの補修すべき部分に、前記の耐爆裂性セメントモルタルを被覆する工程を有する。
【0008】
このような構成によれば、セルロース繊維を配合したことにより、セメントモルタル内部がポーラスな状態となり、あるいは加熱によりセルロース繊維が炭化してスペースを生じ、膨張した水蒸気の逃げ道を作って爆裂を防止することができる。また、水溶性ポリマーを配合したことにより、補修すべきコンクリートに対し、優れた仕上げ性能および付着性能を提供することができる。さらに本発明に使用される材料は比較的安価であるため、低コスト性も達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のセメントモルタルの爆裂防止のメカニズムを説明するための断面図である。
図1(a)に示したように、本発明のセメントモルタルは、マトリックスとしてのセメント1と、このセメント1中に分散した細骨材2から主に構成されているが、セルロース繊維5が配合されているとともに、さらにセメント1中に水溶性ポリマー6が配合されていることが最大の特徴となっている。
本発明のセメントモルタルは、急激に加熱され熱応力を受けた場合でも、図1(b)に示したように、セメントモルタル内部の水分3から生じた水蒸気圧力が、例えば炭化したセルロース繊維5’により形成された逃げ道により矢印7方向に分散し、セメントモルタルの内部からの爆裂を防止することができる。また水溶性ポリマー6が配合されていることにより、補修すべきコンクリートに対し、優れた仕上げ性能および付着性能を提供することができる。
【0010】
本発明に用いられるセルロース繊維は、いわゆる木質系繊維であって、その種類およびサイズはとくに制限されないが、例えば地球環境上の観点から故紙やリサイクル紙をチップ化または繊維化したものであるのが好ましい。このようなセルロース繊維を用いれば、さらなる低コスト性を達成することができる。なお、セルロース繊維は、市販されているものを利用することもでき、例えば十條木材社製商品名NPファイバーが好適なものとして挙げられる。セルロース繊維は、セメントに対して0.5〜2.5質量%含まれることが好ましい。この範囲内であれば耐爆裂性を一層高めることができる。
【0011】
本発明に用いられる水溶性ポリマーは、例えば、エチレン酢酸ビニル系、アクリル系、アクリルスチレン系、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられ、中でも仕上げ性能および付着性能の観点から、エチレン酢酸ビニル系が好ましい。水溶性ポリマーは、セメントに対して5〜7質量%含まれることが好ましい。この範囲内であれば仕上げ性能および付着性能を一層高めることができる。なお、前記の水溶性ポリマーの配合割合は、水溶性ポリマーの固形分を基準とするものである。
【0012】
本発明で用いるセメントは、とくに制限されず用途により自由に選択でき、例えば普通ポルトランドセメント、早強セメント、ビーライトセメント、高炉セメント、三成分セメント、混合セメント、アルミナセメント等を使用できる。水セメント比は、通常40〜75%、好ましくは50〜65%がよい。
【0013】
本発明に用いられる細骨材は、とくに制限されるものではないが、例えば、砕石、砕砂、陸砂利、陸砂、川砂利、川砂、山砂を単独または混合したもの等が挙げられる。また、細骨材のサイズおよび配合量もセメントモルタルの用途等によって適宜選定することができる。例えば、細骨材は単位量として1000〜1800kg/m3が好ましい。
【0014】
本発明の耐爆裂性セメントモルタルには、必要に応じてシリカヒューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、ガラス粉末、貝灰等の産業廃棄物のような添加材、また増粘剤、減水剤等のような各種添加剤を配合することができ、その配合率も、従来のそれと違わず、適宜決定できる。
【0015】
本発明の耐爆裂性セメントモルタルは、水にセルロース繊維および水溶性ポリマーを投入し、両者を均一に分散させた後、そこにセメントおよび細骨材を投入し混合することにより製造することができる。これとは別に、セメント、水および水溶性ポリマーを混合した後、セルロース繊維を投入し、前記セルロース繊維を均一に分散させた後、そこに細骨材を混合することによっても製造することができる。前記のような製造方法によれば、セルロース繊維を均一にセメントモルタル中に分散することができ、耐爆裂性を一層高めることができ好ましい。
【0016】
各種材料の混合は、従来のセメントモルタルの製造と同様に行うことができ、例えばセメント、水、セルロース繊維、水溶性ポリマー、細骨材、および必要に応じて各種添加材(剤)を、前記の製造方法に基づいて、例えばモルタルミキサー、ハンドミキサー、傾胴ミキサー、二軸ミキサー、パン型ミキサー、オムニミキサー等を用いて行うことができる。このようにして得られた耐爆裂性セメントモルタルは、各種用途に採用することができるが、本発明によれば、前記耐爆裂性セメントモルタルをコンクリート用補修材とするのがとくに好ましい。このようなコンクリート補修材は、コンクリートの補修すべき部分にこれを被覆するだけで補修対象のコンクリートに耐爆裂性を提供することができる。補修対象のコンクリートはとくに制限されるものではないが、例えば火害を受けたコンクリート部材等が挙げられる。
【0017】
図2および3は、本発明の補修方法を説明するための図である。
図2は、補修対象のコンクリートスラブ20(火害を受けたコンクリート)の断面図であり、コンクリートスラブ20は、床21、梁22およびこれらを補強する鉄筋23からなる鉄筋コンクリートである。図2の態様によれば、本発明のコンクリート用補修材24は、ハツリ面25上に塗布され、床21の底部と梁22の全体を被覆している。
図3は、補修対象のコンクリート柱30(火害を受けたコンクリート柱)の平面断面図であり、コンクリート柱30は、コンクリート31およびこれを補強する鉄筋32からなる鉄筋コンクリートである。図3の態様によれば、本発明のコンクリート用補修材33は、コンクリート31のハツリ面34上に塗布され、コンクリート31の全体を被覆している。
なお、図2および3の態様において、コンクリート補修材の被覆厚は、補修対象のコンクリート部材のサイズや施工場所を勘案して適宜決定すればよい。
【0018】
なお本発明のコンクリート補修材の養生も、従来のそれと同様の手段を採用でき、例えば自然養生、蒸気養生を行うことができる。養生によってひび割れ等の悪影響が発現することはない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
(実施例1)
下記表1に示す配合に従って、本発明の耐爆裂性セメントモルタルを製造した。すなわち、調合No.1〜4の耐爆裂性セメントモルタルは、水にセルロース繊維および水溶性ポリマーを投入し、両者を均一に分散させた後、そこにセメントおよび細骨材を投入し混合して製造したものである。なお、混合にはモルタルミキサーを使用した。
なお使用材料を以下に記載する。
水:上水道水
セメント:普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)
セルロース繊維:NPファイバー(十条木材社製NPファイバー)
水溶性ポリマー:日本化成 NF−1000(EAC)
細骨材:君津産山砂(表乾密度2.62g/cm3、吸水率1.89%)
【0020】
【表1】
【0021】
調合No.1〜No.4の耐爆裂性セメントモルタルに対し、ISO834に準ずる耐火試験を行った結果、爆裂は認められなかった。
また、各種コンクリートに対し、優れた仕上げ性能および付着性能が得られることが確認された。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、急激な熱応力によるセメントモルタルの爆裂を防止することができる特性を維持するとともに、優れた仕上げ性能および付着性能を有し、かつ低コスト性も達成した耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセメントモルタルの爆裂防止のメカニズムを説明するための断面図である。
【図2】本発明の補修方法を説明するための図である。
【図3】本発明の補修方法を説明するための図である。
【図4】水蒸気爆裂のメカニズムを説明するためのセメントモルタルの断面図である。
【符号の説明】
1 セメント
2 細骨材
3 水分
5 セルロース繊維
6 水溶性ポリマー
20 補修対象のコンクリートスラブ
24 コンクリート用補修材
30 補修対象のコンクリート柱
33 コンクリート用補修材
Claims (5)
- セメント、水、セルロース繊維、水溶性ポリマー、細骨材、および必要に応じて各種添加材(剤)を配合してなることを特徴とする耐爆裂性セメントモルタル。
- 前記セルロース繊維が、前記セメントに対して0.5〜2.5質量%含まれることを特徴とする請求項1に記載の耐爆裂性セメントモルタル。
- 前記水溶性ポリマーが、前記セメントに対して5〜7質量%含まれることを特徴とする請求項1に記載の耐爆裂性セメントモルタル。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の耐爆裂性セメントモルタルからなることを特徴とするコンクリート用補修材。
- コンクリートの補修すべき部分に、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の耐爆裂性セメントモルタルを被覆する工程を有することを特徴とするコンクリートの補修方法。
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---|---|---|---|
JP2003129230A JP2004331450A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 耐爆裂性セメントモルタル、これを用いたコンクリート用補修材および補修方法 |
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JP (1) | JP2004331450A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008201628A (ja) * | 2007-02-21 | 2008-09-04 | Denki Kagaku Kogyo Kk | セメント組成物、セメントコンクリート硬化体、及びセメントコンクリート硬化体の製造方法 |
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JP2019218226A (ja) * | 2018-06-19 | 2019-12-26 | 太平洋マテリアル株式会社 | 耐爆裂性モルタル組成物、耐火被覆モルタル組成物および耐火被覆構造 |
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