JP2004331333A - 簡易移動装置及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上下側当接部3,4と、少なくとも一側に凹状の装着スペース5,6とを備えた被移動体1を設ける。上下側当接部3,4に当接可能な当接部材11と台座9とを有し、これら当接部材11と台座9とを近接離反動可能に連結する伸縮体10と、上記台座9に回転自在に取り付けた転動体17と、を備えた簡易移動装置であること。台座9に上側又は下側当接部3,4に当接可能な弾性体21を設ける。弾性体21を伸縮体10を介して圧縮変位可能に配置する。弾性体21の圧縮変位に転動体17を同動変位可能にする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばH型鋼等の重量物を容易かつ安全で円滑に移動できる簡易移動装置及びその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば橋梁工事や建設工事、土木工事等で使用される鉄骨等の重量物は、一般にクレーンやホイスト等により吊り下げて移動されるが、上記クレーン等が入らない狭隘な作業現場では、上記重量物をクレーン等の作業位置まで移動させる必要があり、その移動手段として例えばウィンチを用い、多くの作業者が上記重量物を引張って移動していた。
【0003】
しかし、上記重量物の移動のために、クレーンやホイストを購入し或いはこれをレンタルで調達する場合は、それらの費用が嵩んで工費の上昇を助長する。また、上記ウィンチによる移動は、大勢の作業者を要して作業能率が悪く、しかも上記重量物を不安定な状態で移動するため、重量物が転倒する虞があって作業の安全性に不安があり、上記クレーンやホイスト、ウィンチに代わる装置の開発や作業の改善が望まれていた。
【0004】
従来、上記要請に応ずるものとして、一端に転動体を設けた台座に油圧シリンダを立設し、そのピストンロッドの上端部に間隙部材を介して上当接部材を取り付けた、簡易搬送装置が提案されている。
【0005】
上記搬送装置は、その使用に際して、被搬送物である例えばH型鋼のウェブを挟んで背中合わせに配置し、上記上当接部材をH型鋼の上当接面に仮固定し、上記台座を下当接面上に斜状に位置付ける。
【0006】
次に、上記油圧シリンダを伸長作動してピストンロッドを伸張し、上記上当接部材をH型鋼の上当接面に押し当て、その反力を台座に作用させ、この台座の底面をH型鋼の下当接面に押し当て、H型鋼を上記転動体を支点に床面等の接地面から浮上させる。
【0007】
そして、作業者が上記H型鋼を押し動かし、転動体を接地面に走行させて、H型鋼を移動するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特許第3125089号公報(特許請求の範囲、段落番号0022、図1、図2)
しかし、この従来の簡易搬送装置は、H型鋼の上下当接面の間に配置する伸縮部に油圧シリンダを用い、高価な圧力供給装置を要すると共に、ピストンロッドの上端部に間隙部材を取り付け、この間隙部材に上当接部材と一体に仮固定部を取り付けているため、部品点数が多く構成が複雑で高価になるという問題があった。
【0009】
また、シリンダ本体の基部と台座、及び間隙部材の上端部と上当接部材の基部を、それぞれ回動可能に枢着しているため、上記装置をH型鋼の上下当接面の間に配置する際、又は装着後に、上記連結部材が枢着部を中心に回動して屈曲する虞があり、装着の円滑性や使用上の安全性に不安があった。
【0010】
更に、上記簡易搬送装置をH型鋼に配置する際、上当接面に対し上当接部材の仮固定を要して煩わしく、またピストンロッドの伸張時、台座がH型鋼の下当接面やウェブに直接接触して、それらを擦過させたり、H型鋼の浮上に円滑性を欠く等の不具合があった。
【0011】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、例えばH型鋼等の重量物を容易かつ安全で円滑に移動できる簡易移動装置及びその使用方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、請求項1記載の簡易移動装置は、上下側当接部と、少なくとも一側に凹状の装着スペースとを備えた被移動体と、上記上下側当接部に当接可能な当接部材と台座とを有し、これら当接部材と台座とを近接離反動可能に連結する伸縮体と、上記台座に回転自在に取り付けた転動体と、を備えた簡易移動装置であって、上記台座に上記上側又は下側当接部に当接可能な弾性体を設け、上記弾性体を上記伸縮体を介して圧縮変位可能に配置し、この弾性体の圧縮変位に上記転動体を同動変位可能にし、被移動体に対し移動装置を円滑かつ容易に装着し、また弾性体の接触面圧力によって、移動装置の位置ずれや移動を防止し、使用上の安全性を向上するとともに、被移動体と台座との接触部の擦過を未然に防止し得るようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の簡易移動装置は、上記弾性体の圧縮前は、上記転動体を接地面に非接触状態とし、上記弾性体の所定の圧縮変位時、上記転動体を接地面に接地可能にし、簡単な構成で転動体の使用状態を容易かつ円滑に得られるようにしている。
【0014】
請求項3記載の簡易移動装置は、上記台座に上記伸縮体を剛直かつ垂直に連結し、上記移動装置を上記装着スペースに垂直に配置して、台座に伸縮体を強固かつ安定して固定し、移動装置の円滑な装着と、安定した作動を確保し得るようにしている。
【0015】
請求項4記載の簡易移動装置は、上記弾性体を、ゴム、コイルスプリング又は板ばねで形成することで、具体的かつ安価な弾性体を得られるようにしている。
【0016】
請求項5記載の簡易移動装置は、上記当接部材に掛止ステーを着脱かつ位置調節可能に取り付け、上記掛止ステーに拘束ワイヤを接続可能にし、使用時における移動装置の落下を防止し、作業の安全性を確保するようにしている。
【0017】
請求項6記載の簡易移動装置の使用方法は、上下側当接部と、少なくとも一側に凹状の装着スペースとを備えた被移動体と、上記上下側当接部に当接可能な当接部材と台座とを有し、これら当接部材と台座とを近接離反動可能に連結する伸縮体と、上記台座に回転自在に取り付けた転動体と、を備えた移動装置を設け、上記装着スペースに上記移動装置を配置し、上記伸縮体を介して上記当接部材と台座とを上記上下側当接部に当接し、かつ上記伸縮体の変位を介して、上記転動体を接地面に接触させる簡易移動装置の使用方法であって、下位の被移動体の装着スペースに上記転動体を上位にして上記移動装置を装着し、上記転動体を上位の被移動体に接触させ、この上位の被移動体を、上記転動体を介して移動可能にし、簡単な方法によって、積み重ねた被移動体の上位の被移動体を簡便に移動できるようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の簡易移動装置の使用方法は、上記台座に上記上位の被移動体に当接可能な弾性体を設け、上記弾性体を上記伸縮体を介して圧縮変位可能に配置し、この弾性体の圧縮変位に上記転動体を同動変位可能にし、被移動体に対し移動装置を円滑かつ容易に装着し、また弾性体の接触面圧力によって、移動装置の位置ずれや移動を防止し、使用上の安全性を向上するとともに、被移動体と台座との接触部の擦過を未然に防止し得るようにしている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を被移動体として、橋梁工事や建設工事、土木工事等で使用されるH型鋼の移動に適用した図示の実施形態について、詳細に説明する。
【0020】
図1は、この発明の装置をH型鋼に装着する際の装着状態を示す正面図で、一部を断面図示しており、図2は、図1の平面図、図3は、図1の右側面図、図4は、図1の要部を拡大して示す正面図で、この発明の装置に適用した高圧ホースの接続部と、落下防止装置の使用状況を示し、図5は、この発明の装置に適用した台座と弾性体及び伸縮体の取り付け状況を示す底面図、図6は、図5のA−A線に沿う断面図、図7は、この発明の装置に適用した伸縮体の縦断面図で、一部を省略図示しており、図8は、この発明の装置の新規な使用例を示す正面図である。
【0021】
上記被移動体で重量物のH型鋼1は、橋梁工事や建設工事、土木工事等の施工現場に搬入され、その断面形状は略H字形ないしI字形断面形状に形成されていて、その主フレームであるウェブ2の上下端部に、互いに同形断面の上側当接部である上部フランジ3と、下側当接部である下部フランジ4とを突設している。この実施形態では、ウェブ2の高さ358mm、上下部フランジ3,4の長さ400mmのH型鋼1を使用している。
【0022】
上記ウェブ2の左右両側に、このウェブ2と上下部フランジ3,4とで区画する凹状の装着スペース5,6が形成され、この装着スペース5,6の所定位置に、移動装置7,8が互いに略背中合わせに装着されている。
【0023】
上記移動装置7,8は実質的に同一に構成され、これを便宜上、一方の移動装置7で説明すると、この移動装置7は下部フランジ4上に配置する台座9と、この台座9に立設したアルミニウム合金製の伸縮体10と、この伸縮体10の伸縮作動と同動し、かつ上部フランジ3に係合可能に配置する、当接部材であるブラケット11とで構成されている。
【0024】
この場合、上記台座9は鋳造用アルミニウム合金によって、図5及び図6のように略中空の短小な矩形柱状に成形され、その内部を隔壁12を介して左右二室13,14に区画している。
【0025】
このうち、一方の車輪収容室13に車軸15が架設され、この車軸15にベアリング16を介して、転動体であるアルミニウム合金製の車輪17が回転自在に支持され、この車輪17の下部周面が、車輪収容室13の下方に突出して配置されている。
【0026】
また、他方の組付室14は、その下部全域が一様に切欠かれ、その切欠部18を下部フランジ4の端部に係合可能にしている。上記組付室14は、仕切壁19を介して上下二室に区画され、その下側室20に弾性体21が取り付けられている。
【0027】
上記弾性体21は、その下面を下部フランジ4上に収容され、上記伸縮体10による圧縮作用を介して、上記車輪17をH型鋼1の設置面である接地面22に着地可能にしている。図中、23は弾性体21の取付け用のボルトである。
【0028】
上記実施形態では、弾性体21としてゴム製の円柱を使用しているが、この他に例えばコイルスプリング又は板ばね等の弾性部材を用いることも可能である。
【0029】
上記組付室14の上側室24に、上記伸縮体10の基部がピン25,25を介して、着脱可能に取り付けられている。
【0030】
上記伸縮体10は、H型鋼1の形状寸法に対応するストロークを備えたものが使用され、これは常時は縮小状態に置かれ、H型鋼1の装着時に伸張作動可能にされている。この場合、伸縮体10は、図7のようにアウターパイプ26と、インナーパイプ27とが内外に配置され、それらの基端部にヘッドキャップ28が装着され、これらをピン29で連結している。
【0031】
上記アウターパイプ26とインナーパイプ27の間に、ピストンロッドであるシリンダ30が摺動可能かつ気水密に嵌合し、このシリンダ30の上端部にシールブロック31が気水密に装着されている。なお、図中、32はシリンダ30の下端部に取り付けたダストブッシュ、33はシリンダ30内の定位置に配置したシールエンドである。
【0032】
上記シールブロック31の側面に、シリンダ30内に連通するカプラー34が取り付けられ、このカプラー34に圧力供給装置(図示せず)に連通する高圧ホース35が接続されている。実施形態は、圧力供給装置として手動式水圧プランジャーポンプを使用している。なお、図中、36はシールブロック31の側面に突設した一組の保護ピースで、それらの間に上記カプラー34を配置している。
【0033】
上記シールブロック31の上部に上記ブラケット11が連結され、このブラケット11はアルミニウム合金によって略矩形板状に成形され、その上面に平坦かつ幅広な当接面を備え、その周囲に補強リブ37を下向きに突設している。
【0034】
上記ブラケット11の外端部に長孔38が内外方向に形成され、この長孔38に沿って、転落防止装置を構成する掛止ステー39が位置調節可能に取り付けられ、各ステー39,39の間隔をフランジ3の長さに調節可能にしている。
【0035】
上記掛止ステー39はアルミニウム合金によって略皿状に成形され、その板面にボルト(図示せず)を挿入可能な通孔40が形成され、またその起立壁41に透孔42が形成されている。
【0036】
上記透孔42,42に係止リング43,43が着脱可能に掛け止められ、この係止リング43,43を拘束ワイヤ44で接続している。図中、45は掛止ステー39の底面に下向きに突設した一対のガイドリブで、ブラケット11の上面に形成した一対の長溝46に摺動可能に収容されている。
【0037】
このように構成した簡易移動装置は、その主要な構成部材である台座9や伸縮体10、ブラケット11やシールブロック31等を、鋳造用アルミニウム合金若しくはアルミニウム合金で製作しているから、概して鉄製の従来のこの種の装置に比べ、その軽量化を図れ、取り扱いが至便になる。
【0038】
また、上記簡易移動装置には、従来のような仮固定部がなく、伸縮体10には従来のような突出受部や間隙部材がないから、全体的に部品点数が少なく構成が簡単で、これを容易かつ安価に製作できる。
【0039】
次に、上記簡易移動装置を使用して、被移動体で重量物のH型鋼1を移動する場合は、同一の伸縮体10を組み付けた複数の簡易移動装置を用意し、それらのブラケット11に取り付けた掛止ステー39の取り付け位置を、H型鋼1の上部フランジ3の形状寸法に応じて調節して置く。
【0040】
すなわち、まず、掛止ステー39の取り付け用ボル・トナット(図示せず)を緩め、これを長孔38沿って移動し、かつガイドリブ45を長溝46に沿って移動し、上部フランジ3の寸法の略1/2の相当位置で、上記ボル・トナットを緊締し、掛止ステー39を固定する。その後、各カプラー34に圧力供給装置(図示せず)に連通する高圧ホース35を接続し、この一組の簡易移動装置をH型鋼1の装着スペース5,6の近接位置に移動する。
【0041】
したがって、H型鋼1の装着前に、簡易移動装置の一部をH型鋼1の一部に仮固定する従来の煩雑な作業を要しない。
【0042】
そして、各簡易移動装置の台座9の一端、つまり伸縮体10側を下部フランジ4上に垂直に位置付け、切欠部18を下部フランジ4の端部に押し当て、弾性体21を下部フランジ4上に載せる。
【0043】
このようにすると、台座9の重心が伸縮体10側に位置するため、台座9が下部フランジ4上に安定して立設され、台座9の他端の車輪17が接地面22から浮上する。この状況は図1のようで、各簡易移動装置がウェブ2の両側に略背中合わせに配置される。
【0044】
このような状況の下で作業者がプランジャポンプ(図示せず)を加圧操作し、その加圧水を高圧ホース35を介して各伸縮体10のシリンダ30へ導き、このシリンダ30を伸張させる。
【0045】
このため、上記シリンダ30にシールブロック31とブラケット11とが同動し、これらが上動する。そして、シリンダ30が所定変位伸張し、ブラケット11が上部フランジ3に当接すると、その反力が伸縮体10を介して台座9に作用し、上記弾性体21をその弾性に抗して押し縮める。
【0046】
したがって、上記弾性体21の圧縮分、台座9が押し下げられ、その後、シリンダ30を更に伸張し、弾性体21を更に押し縮めると、車輪17が接地面22に着地する。
【0047】
そして、シリンダ30を更に伸張し、弾性体21を更に押し縮めると、H型鋼1が車輪17の接地点を支点にして、接地面22から浮上する(図1参照)。
【0048】
このようにこの発明は、弾性体21を押し縮めることで、H型鋼1を浮上させるから、この一連の作動を円滑かつ安定して行なえる。また、弾性体21の摩擦力によって、台座9の位置ずれや移動を防止できるから、作業の安全性を確保できると共に、弾性体21と接触する下部フランジ4の擦過や損傷の発生を防止する。しかも、伸縮体10は枢着部を有さず、ヘッドキャップ28と台座9、ブラケット11とシールブロック31とがそれぞれ剛直に連結され、下部フランジ4ないし台座9上に垂直に配置されているから、上記各部が装着又は使用中に屈曲する虞がなく、したがって従来の装置に比べ使用上の安定性と安全性が向上する。
【0049】
一方、伸縮体10が伸張し、ブラケット7が上部フランジ3に当接すると、上記位置調節して置いた掛止ステー39,39が上部フランジ3の端部に係合可能に位置し、簡易移動装置の位置ずれや移動を防止する。
【0050】
そして、一組の移動装置7,8によってH型鋼1を浮上させたところで、掛止ステー39,39の透孔42,42に係止リング43,43を掛け止め、これらを拘束ワイヤ44で連結する。このようにすることで、上記装着した移動装置7,8の転落を防止し、作業の安全性が向上する。その後、装着スペース5,6の他の位置にも一組の移動装置7,8を上述の要領で装着し、H型鋼1を接地面22から浮上させる。したがって、H型鋼1はその長さ方向の複数箇所で車輪17に支持される。
【0051】
そこで、作業者がH型鋼1を押し動かすと、上記車輪17が接地面22を走行し、H型鋼1が容易かつ速やかに所定位置へ移動する。
【0052】
なお、伸縮体10の伸張後は、カプラ34の構造上、高圧ホース35を取り外しても上記伸張状態が維持されるから、一組の移動装置7,8を装着後、それらの高圧ホース35を取り外し、他の移動装置7,8の装着に上記圧力供給装置を使用することができ、その合理的な使用を図れる。
【0053】
図8は、本発明装置の新規な使用法を示し、上述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
【0054】
この使用法は、上記簡易移動装置を用いて、例えば井桁状に積み重ねた被移動体1において、その上位側の被移動体1の移動を実現したものである。
【0055】
すなわち、上記H型鋼1の上に同様な被移動体であるH型鋼47が井桁状に積み重ねられ、その下位側のH型鋼1に一組の移動装置7,8を上述と上下位置を反転させ、つまり転倒状態で装着する。その際、移動装置7,8の各ブラケット11,11から掛止ステー39,39、係止リング43,43、拘束ワイヤ44を取り外し、ブラケット11,11の平坦面を開放して置く。
【0056】
上記移動装置7,8を転倒状態で装着する場合は、移動装置7,8を転倒状態で装着スペース5,6に配置し、ブラケット11を下部フランジ4上に載置し、台座9を上位に配置する。
【0057】
そして、加圧ポンプを加圧操作し、その加圧水を高圧ホース35を介して各伸縮体10へ導き、この伸縮体10を伸張作動させて台座9を上動させ、弾性体21を上部フランジ3に押し付けるとともに、切欠部18を上部フランジ3の端部に係合させる。その後、伸縮体10を更に伸張作動させ、弾性体21を押し縮めて、その圧縮分台座9を上動させ、これに車輪17を同動させると共に、上下部フランジ3,4間に移動装置7,8を強固に装着する。
【0058】
そして、伸縮体10を更に伸張作動させ、弾性体21を更に押し縮めて台座9と車輪17を上動させ、上記車輪17を上位のH型鋼47の下部フランジ4に押し付け、上記H型鋼47を押し上げる。
【0059】
この結果、上記H型鋼47が上記車輪17,17上に支持され、下位のH型鋼1から浮上する(図8参照)。
【0060】
したがって、その後、上位のH型鋼47をその長さ方向に押し動かすと、上記H型鋼47が車輪17,17に沿って矢視方向へ移動する。
【0061】
このように、この使用法は、上記移動装置7,8を反転して下位のH型鋼1に装着し、その車輪17,17上に直上のH型鋼47を支持させることで、上位のH型鋼47を容易かつ速やかに移動できるようにしたものである。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0063】
(1)請求項1記載の発明によれば、台座に上側又は下側当接部に当接可能な弾性体を設け、弾性体を伸縮体を介して圧縮変位可能に配置し、この弾性体の圧縮変位に転動体を同動変位可能にするので、被移動体に対し移動装置を円滑かつ容易に装着でき、また弾性体の接触面圧力によって、移動装置の位置ずれや移動を防止し、使用上の安全性を向上できると共に、被移動体と台座との接触部の擦過を未然に防止することができる。
【0064】
(2)請求項2記載の発明によれば、弾性体の圧縮前は、転動体を接地面に非接触状態とし、弾性体の所定の圧縮変位時、転動体を接地面に接地可能にするので、上記(1)に加えて更に簡単な構成で転動体の使用状態を容易かつ円滑に行うことができる。
【0065】
(3)請求項3記載の発明によれば、台座に伸縮体を剛直かつ垂直に連結し、移動装置を装着スペースに垂直に配置するので、上記(1)に加えて更に台座に伸縮体を強固かつ安定して固定し、移動装置の円滑な装着と、安定した作動を確保することができる。
【0066】
(4)請求項4記載の発明によれば、弾性体を、ゴム、コイルスプリング又は板ばね等の部材にて形成するので、具体的かつ安価な弾性体を得ることができる。
【0067】
(5)請求項5記載の発明によれば、当接部材に掛止ステーを着脱かつ位置調節可能に取り付け、掛止ステーに拘束ワイヤを接続可能にするので、上記(1)に加えて更に使用時における移動装置の落下を防止し、作業の安全性を確保することができる。
【0068】
(6)請求項6記載の発明によれば、下位の被移動体の装着スペースに転動体を上位にして移動装置を装着し、転動体を上位の被移動体に接触させ、この上位の被移動体を、転動体を介して移動可能にするので、簡単な方法によって、積み重ねた被移動体の上位の被移動体を簡便に移動することができる。
【0069】
(7)請求項7記載の発明によれば、台座に上位の被移動体に当接可能な弾性体を設け、弾性体を伸縮体を介して圧縮変位可能に配置し、この弾性体の圧縮変位に転動体を同動変位可能にするので、上記(6)に加えて更に被移動体に対し移動装置を円滑かつ容易に装着でき、また弾性体の接触面圧力によって、移動装置の位置ずれや移動を防止し、使用上の安全性を向上するとともに、被移動体と台座との接触部の擦過を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の装置をH型鋼に装着する際の装着状態の一部を断面で示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】この発明の装置に適用した高圧ホースの接続部と、落下防止装置の使用状況を示す要部拡大正面図である。
【図5】この発明の装置に適用した台座と弾性体及び伸縮体の取り付け状況を示す底面図である。
【図6】図5のA−A線に沿う断面図である。
【図7】この発明における伸縮体の一部を省略して示す縦断面図である。
【図8】この発明の装置の新規な使用例を示す正面図である。
【符号の説明】
1,47 H型鋼(被移動体)
3 上部フランジ(上側当接部)
4 下部フランジ(下側当接部)
5,6 装着スペース
7,8 移動装置
9 台座
10 伸縮体
11 ブラケット(当接部材)
17 車輪(転動体)
21 弾性体
22 接地面
39 掛止ステー
44 拘束ワイヤ
Claims (7)
- 上下側当接部と、少なくとも一側に凹状の装着スペースとを備えた被移動体と、上記上下側当接部に当接可能な当接部材と台座とを有し、これら当接部材と台座とを近接離反動可能に連結する伸縮体と、上記台座に回転自在に取り付けた転動体と、を備えた簡易移動装置であって、
上記台座に上記上側又は下側当接部に当接可能な弾性体を設け、上記弾性体を上記伸縮体を介して圧縮変位可能に配置し、この弾性体の圧縮変位に上記転動体を同動変位可能にした、ことを特徴とする簡易移動装置。 - 請求項1記載の簡易移動装置において、
上記弾性体の圧縮前は、上記転動体を接地面に非接触状態とし、上記弾性体の所定の圧縮変位時、上記転動体を接地面に接地可能にした、ことを特徴とする簡易移動装置。 - 請求項1記載の簡易移動装置において、
上記台座に上記伸縮体を剛直かつ垂直に連結し、上記移動装置を上記装着スペースに垂直に配置する、ことを特徴とする簡易移動装置。 - 請求項1記載の簡易移動装置において、
上記弾性体を、ゴム、コイルスプリング又は板ばねにて形成してなる、ことを特徴とする簡易移動装置。 - 請求項1記載の簡易移動装置において、
上記当接部材に掛止ステーを着脱かつ位置調節可能に取り付け、上記掛止ステーに拘束ワイヤを接続可能にした、ことを特徴とする簡易移動装置。 - 上下側当接部と、少なくとも一側に凹状の装着スペースとを備えた被移動体と、上記上下側当接部に当接可能な当接部材と台座とを有し、これら当接部材と台座とを近接離反動可能に連結する伸縮体と、上記台座に回転自在に取り付けた転動体と、を備えた移動装置を設け、上記装着スペースに上記移動装置を配置し、上記伸縮体を介して上記当接部材と台座とを上記上下側当接部に当接し、かつ上記伸縮体の変位を介して、上記転動体を接地面に接触させる簡易移動装置の使用方法であって、
下位の被移動体の装着スペースに上記転動体を上位にして上記移動装置を装着し、上記転動体を上位の被移動体に接触させ、この上位の被移動体を、上記転動体を介して移動可能にする、ことを特徴とする簡易移動装置の使用方法。 - 請求項6記載の簡易移動装置の使用方法において、
上記台座に上記上位の被移動体に当接可能な弾性体を設け、上記弾性体を上記伸縮体を介して圧縮変位可能に配置し、この弾性体の圧縮変位に上記転動体を同動変位可能にする、ことを特徴とする簡易移動装置の使用方法。
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JP2003130636A JP2004331333A (ja) | 2003-05-08 | 2003-05-08 | 簡易移動装置及びその使用方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010126337A (ja) * | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Ogawa Seisakusho:Kk | 搬送機及び揚荷物の搬送方法 |
JP2021167231A (ja) * | 2020-04-09 | 2021-10-21 | 明和電機有限会社 | ジャッキ装置、該ジャッキ装置用の台車及び治具 |
-
2003
- 2003-05-08 JP JP2003130636A patent/JP2004331333A/ja active Pending
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