JP2004329645A - バルーン式内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のバルーン式内視鏡は、挿入部先端70の湾曲部72を構成する外皮チューブ73と先端硬質部74とを連結するための接着剤90が塗布された膨らみ部に、すなわち、元々形成されている膨らみ部に、空気供給吸引口16と溝部94とを形成した。これにより、空気供給吸引口16と溝部94とを形成することによる挿入部先端70の大径化を阻止できる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はバルーン式内視鏡に係り、特に内視鏡挿入部先端に膨縮自在なバルーンが設けられた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
消化管検査に使用される内視鏡装置には、内視鏡挿入部先端の外周部に、膨縮自在な薄膜のバルーンが取り付けられたものがある。このようなバルーン式内視鏡は、内視鏡挿入部を腸管の深部に挿入していき、バルーンに空気を供給しバルーンを膨張させて腸壁に一時的に固定するために使用される。
【0003】
内視鏡挿入部には流体流路が配設され、この流体流路の出口は、挿入部先端の外周面に形成された流体供給吸引口に連通されている。したがって、流体流路を介して流体供給吸引口から空気を供給することによりバルーンが膨張し、流体供給吸引口から流体を吸引することによりバルーンが収縮する。
【0004】
ところで、従来のバルーン式内視鏡には、内視鏡挿入部先端の外周面に、前記流体供給吸引口に連通された溝が形成されているものがある(例えば、特許文献1)。この内視鏡によれば、バルーンに供給した流体を流体通路を介して吸引したときに、バルーンが流体供給吸引口及びその近傍に密着しても、流体は前記溝を介して流体通路に流れ込むので、バルーン内の流体を完全に排出することができ、バルーンを完全に収縮させることができる。
【0005】
【特許文献1】
実開昭62−186701号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1のバルーン式内視鏡は、前記溝が内視鏡先端硬質部の外周面に直接形成されているものである。このため、先端硬質部の強度を確保するために、先端硬質部の肉厚を厚くする必要があるが、先端硬質部内には対物光学系、ライトガイド等の内容物が密に配置されているので、内周側に肉盛りをすることはできない。よって、特許文献1の内視鏡は、先端硬質部の外径を大きくして肉厚を確保する必要があるので、先端硬質部が大径になるという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内視鏡挿入部先端に流体供給吸引口と溝部とが形成された内視鏡において、挿入部先端の大径化を阻止することができるバルーン式内視鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、内視鏡挿入部先端の外周面を覆うように設けられたバルーンに、前記外周面に開口された流体供給吸引口から流体を供給及び吸引することにより、前記バルーンを膨縮させるバルーン式内視鏡において、前記内視鏡挿入部先端の湾曲部を構成する外皮チューブと先端硬質部とを連結するための接着剤が塗布された膨らみ部に、前記流体供給吸引口と該流体供給吸引口に連通する溝部とが形成されたことを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、内視鏡挿入部先端の湾曲部を構成する外皮チューブと先端硬質部とを連結するための接着剤が塗布された膨らみ部に、すなわち、元々形成されている膨らみ部に、流体供給吸引口と溝部とを形成したので、流体供給吸引口と溝部とを形成することによる挿入部先端の大径化を阻止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るバルーン式内視鏡の好ましい実施の形態について詳述する。
【0011】
図1は、本発明に係るバルーン式内視鏡とバルーン制御装置とからなる内視鏡装置のシステム構成図である。
【0012】
同図に示す内視鏡装置は、バルーン式内視鏡10とオーバーチューブ50とからなるダブルバルーン式内視鏡と、バルーン制御装置100とから構成されている。
【0013】
バルーン式内視鏡10は、挿入部12の先端に対物光学系76(図3参照)及び撮像素子(CCD)等が設けられた電子内視鏡であり、観察像は対物光学系76を介してCCDに結像され、ここで光電変換される。光電変換された観察像を示す電気信号は、挿入部12及び手元操作部14内の配線を経由して図示しないプロセッサに出力され、ここで適宜信号処理されたのちモニタTVに出力される。これにより、モニタTVに観察像が表示される。
【0014】
また、バルーン式内視鏡10の挿入部12の先端側面には、後述する空気供給吸引口(流体供給吸引口)16が形成され、一方、手元操作部14側にはバルーン送気口18が設けられており、空気供給吸引口16とバルーン送気口18とは、挿入部12に沿って設けられた内径0.8mm程度のエア供給チューブ19(図4参照:流体通路)によって連結されている。
【0015】
このバルーン式内視鏡10をダブルバルーン式内視鏡として使用する場合には、挿入部先端70にバルーン20を被せ、バルーン20の両端を固定用ゴムで固定する。これにより、バルーン送気口18から空気供給吸引口16を介してバルーン20内にエアを供給し、バルーン20を膨らませたり、バルーン20内のエアを吸引し、バルーン20を収縮させたりすることができる。
【0016】
図2に示すオーバーチューブ50は、バルーン式内視鏡10と協働して小腸の深部にバルーン式内視鏡10の挿入部12を挿入するためのものであり、バルーン式内視鏡10の挿入部12の外径よりも僅かに大きな内径を有し、またバルーン式内視鏡10の挿入部12と同様に可撓性を有している。
【0017】
オーバーチューブ50の先端側面には空気供給吸引口52が形成され、この空気供給吸引口52を囲むようにチューブ先端の周囲にバルーン54が取り付けられている。また、オーバーチューブ50の後部にはバルーン送気口56が設けられ、このバルーン送気口56と空気供給吸引口52とは、オーバーチューブ50の外周に沿って一体的に形成された内径1mm程度のエア供給チューブ58によって連結されている。かかる構成により、バルーン送気口56からエア供給チューブ58、空気供給吸引口52を介してバルーン54内にエアを供給し、バルーン54を膨らませたり、バルーン54内のエアを吸引し、バルーン54を収縮させたりすることができる。なお、符号60は、オーバーチューブ50内に潤滑剤(水)を注入するための注水口である。
【0018】
図1に示したバルーン制御装置100は、バルーン式内視鏡10の挿入部先端70のバルーン20と、オーバーチューブ50の先端のバルーン54とを交互に膨らませるために各バルーン20、54に別々に送気・排気を行うもので、ポンプ、シーケンサ等が設けられた装置本体102と、リモートコントロール用のハンドスイッチ104とから構成されている。
【0019】
バルーン制御装置100の装置本体102の前面パネルには、電源スイッチSW1、停止スイッチSW2、バルーン20用の圧力計106、バルーン54用の圧力計108等が設けられている。
【0020】
また、装置本体102の前面パネルには、各バルーン20、54への送気・排気用のチューブ110、120が取り付けられている。各チューブ110、120の途中には、それぞれバルーン20、54が破れたときに体液の逆流を防ぐための内視鏡用の液溜めタンク130と、オーバーチューブ用の液溜めタンク140とが設けられ、各液溜めタンク130、140は、装置本体102の前面パネルに着脱自在に取り付けられている。
【0021】
一方、ハンドスイッチ104には、装置本体102側に設けられた停止スイッチSW2と同様の停止スイッチSW3と、内視鏡側のバルーン20の加圧/減圧を指示する内視鏡ON/OFFスイッチSW4と、内視鏡側のバルーン20の圧力を保持するためのポーズスイッチSW5と、オーバーチューブ側のバルーン54の加圧/減圧を指示するオーバーチューブON/OFFスイッチSW6と、オーバーチューブ側のバルーン54の圧力を保持するためのポーズスイッチSW7とが設けられており、このハンドスイッチ104はコード150を介して装置本体102に電気的に接続されている。
【0022】
図3は挿入部先端70の斜視図、図4は挿入部先端70の断面図が示されている。同図において挿入部先端70は、湾曲部72と先端硬質部74とから構成され、湾曲部72は図1の挿入部12を構成する軟性部13の先端に連結されている。先端硬質部74は、その内側に対物光学系76、一対の照明用レンズ78、78、鉗子チャンネル(不図示)、及び送気送水チャンネル(不図示)等が密に配設されている。対物光学系76の出射端側にはプリズム80を介してCCDが設けられる。
【0023】
照明用レンズ78には、ライトガイドケーブル82の出射端が取り付けられている。ライトガイドケーブル82は、挿入部12に挿通配置されて不図示のライトガイドバーに連結されている。このライトガイドバーを光源装置に接続することにより、光源装置からの光が伝送され、ライトガイドケーブル82の出射端から照明用レンズ78を介して被写体に照射される。
【0024】
前述の如く挿入部先端70には、天然ゴム製で膨縮自在な薄膜のバルーン20が設けられている。このバルーン20は、湾曲部72の一部及び先端硬質部74の一部を覆う位置に設けられている。
【0025】
また、バルーン20に空気を供給及び吸引するエア供給チューブ19が挿入部先端70の内側に配設されている。また、図4の如くエア供給チューブ19の先端部19Aは、エルボ管84(流体流路)に固定され、エルボ管84は、先端硬質部74に形成された管連結部86の嵌合孔87に嵌合固定されている。管連結部86は、嵌合孔87に連通する凹部88を介して空気供給吸引口16に連通され、この空気供給吸引口16は先端硬質部74の外周面に開口されている。
【0026】
空気供給吸引口16が形成された位置は、バルーン20に覆われる位置であり、且つ湾曲部72を構成する外皮チューブ73の先端周部73Aと先端硬質部74とを連結するための接着剤90が塗布された位置である。この接着剤90は、外皮チューブ73の先端周部73Aを先端硬質部74の凹条部74Aに固定する糸巻部92の上から塗布され、糸巻部92上とその近傍で固化し、先端硬質部74の周方向において膨らみ部となって形成されている。
【0027】
また、接着剤90の膨らみ部には、空気供給吸引口16に連通した溝部94が形成され、この溝部94を介して空気供給吸引口16が膨らみ部から開口されている。また、溝部94は、図3の如く挿入部12の長手方向に沿って形成されている。なお、溝部94の形成方向は前記方向に限定されるものではなく、挿入部12の長手方向に直交する方向でもよい。また、溝部94の本数は1本に限定されるものではない。
【0028】
このように構成されたバルーン式内視鏡10によれば、エア供給チューブ19から空気供給吸引口16を介して空気を供給すればバルーン20を膨張させることができる。また、バルーン20を収縮させる場合には、バルーン20に供給した空気をエア供給チューブ19を介して吸引する。このとき、バルーン20が空気供給吸引口16を蓋をするように膨らみ部の表面に密着しても、空気は膨らみ部に形成された溝部94を介して空気供給吸引口16からエア供給チューブ19に流れ込む。よって、バルーン20内の空気を完全に排出することができ、バルーン20を完全に収縮させることができる。
【0029】
また、実施の形態のバルーン式内視鏡10によれば、挿入部先端70の湾曲部72と先端硬質部74とを接続するための接着剤90が塗布された膨らみ部に、すなわち、元々形成されている膨らみ部に、空気供給吸引口16と溝部94とを形成したので、空気供給吸引口16と溝部94とを形成することによる挿入部先端70の大径化を阻止することができる。
【0030】
図5は、内視鏡の挿入部先端の他の実施の形態を示す斜視図であり、図3に示した実施の形態と同一若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0031】
図5の実施の形態において、図3の実施の形態と異なる点は、先端硬質部74の基端部に、テーパ部74Aとフラット部74Bとからなる肉盛り部75を一体形成し、この肉盛り部75に空気供給吸引口16と溝94とを形成したものである。接着剤90による膨らみ部は、フラット部74Bと面一になるように形成され、見た目上、図3の実施の形態と同一形状に形成されている。このように、接着剤90による膨らみ部を利用して先端硬質部74に肉盛り部75を形成し、この部分に空気供給吸引口16と溝94とを形成しても、図3の実施の形態と実質的に同一の効果を奏する。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るバルーン式内視鏡によれば、内視鏡挿入部先端の湾曲部を構成する外皮チューブと先端硬質部とを接続するための接着剤が塗布された膨らみ部に、流体供給吸引口と溝部とを形成したので、流体供給吸引口と溝部とを形成することによる挿入部先端の大径化を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバルーン式内視鏡が適用された内視鏡装置のシステム構成図
【図2】オーバーチューブの一部破断を含む要部拡大図
【図3】図1に示した内視鏡の挿入部先端の構成を示す拡大斜視図
【図4】図3に示した挿入部先端の断面図
【図5】内視鏡の挿入部先端の他の実施の形態を示す拡大斜視図
【符号の説明】
10…バルーン式内視鏡、12…挿入部、13…軟性部、14…手元操作部、16…空気供給吸引口、18…バルーン送気口、19…エア供給チューブ、20…バルーン、50…オーバーチューブ、54…バルーン、70…挿入部先端、72…湾曲部、73…外皮チューブ、74…先端硬質部、76…対物光学系、90…接着剤、94…溝部
Claims (1)
- 内視鏡挿入部先端の外周面を覆うように設けられたバルーンに、前記外周面に開口された流体供給吸引口から流体を供給及び吸引することにより、前記バルーンを膨縮させるバルーン式内視鏡において、
前記内視鏡挿入部先端の湾曲部を構成する外皮チューブと先端硬質部とを連結するための接着剤が塗布された膨らみ部に、前記流体供給吸引口と該流体供給吸引口に連通する溝部とが形成されたことを特徴とするバルーン式内視鏡。
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