JP2004329204A - 油組成物を得る方法及びこの方法から得られる油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 油組成物を得る方法であって:
(a)植物油を20%超のオレイン酸含有量及び30%超のリノール酸とリノレン酸の含有量を有する不飽和油と前もって定めた比率でブレンドして混合物を形成し;
(b)該混合物を50〜75℃の温度で全ての結晶が溶融されるまで加熱し;
(c)工程(b)から得られた液体を冷却して油と結晶との混合物を得、ここで該結晶は該油と該結晶との効率的な分離を可能にするのに適する大きさ及び形状のものであり;そして
(d)油と結晶との該混合物を分離して該油組成物を得る
工程を含む方法。
【選択図】 なし
Description
パーム油がより多い液体画分を得る目的で、より高融点のトリアシルグリセロール類を冷却プロセスにより分離させ、それによって、膜プレス機で濾過されるトリアシルグリセロール類の不飽和部分を除くことが可能である。不飽和オレインが著しく多い画分を得るのに多段分別が推奨されてきた。低温で高い流動度及び透明度を有する製品のために、世界の市場においてパーム油の使用量は増加している。パーム油オレインを不飽和油とブレンドすることによってより高い流動度を持つ油を得ることが可能である。
この発明の分野における当業者の間では、56のヨウ素価(IV)を持つ標準パームオレインは43〜45%のオレイン酸含有量及び11〜14%のリノール酸含有量を有する一方で、IV65のそれは47〜49%のオレイン酸含有量及び14〜16%のリノール酸含有量を有することは周知である。その飽和脂肪酸含有量は29〜31%である。
近年、この分野で相当の注意が払われ、そしてそれら発明の一部が特許されている。米国特許第4,948,811号は、健康上の利益を成し遂げるように釣り合わされた脂肪酸エステル含有量を持つトリグリセリド調理用/サラダオイル組成物に向けられている。この油のトリグリセリドの脂肪酸エステル含有量は、約60〜約92%のオレイン酸、約5〜約25%のリノール酸、0〜約15%のα−リノレン酸及び3%未満、好ましくは1%未満の飽和脂肪酸を含む。
米国特許第5,874,117号は、コーン油とパーム油及び他のパーム油画分とのブレンドを処理して良好な耐酸化性を持つショートニング用ブレンドを得ることを特徴とする。さらに具体的に述べると、これらのショートニング用ブレンドは、商業的に入手できるパーム油、分別されたパーム油成分(オレイン、スーパーオレイン、ステアリン及び中間画分)及び/又はパーム核油とコーン油との単なるブレンド処理によって製造される。このようなショートニング類は、植物油の部分水素化、油脂のエステル交換、及び酸素感受性の油脂に酸化防止剤を補充することによって製造されるショートニング類へのコスト効果のある代替品となる。
さらに、本発明者の一人であるSiew Wai Lin博士によって書かれた Crystallisation Behaviour of Palm Oleins and Some Blended Products と題される研究論文が、1999年2月1〜6日に開催された Palm Oil Research Institute of Malaysia International Palm Oil Congress(PIPOC) において発表された。この論文において、(IVに基づいて)異なるタイプのパーム油オレインの結晶化挙動がそれらの化学的特性に関して議論された。加えて、少量の不飽和油を含んでいるパーム油の分別に関する研究も報告された。卓越した低温安定性を持つオレイン類を、この論文で議論されている方法によって得ることができる。
さらに、油組成物であって、(a)植物油を20%超のオレイン酸含有量及び30%超のリノール酸とリノレン酸の含有量を有する不飽和油と前もって定めた比率でブレンドして混合物を形成し、(b)その混合物を50〜75℃の温度で全ての結晶が溶融されるまで加熱し、(c)工程(b)から得られた液体を冷却して油と結晶との混合物を得、ここでその結晶は上記の油と結晶との効率的な分離を可能にするのに適する大きさ及び形状のものであり、そして(d)上記の油と結晶との混合物を分離して油組成物を得る工程を含む方法から得られる油組成物も提供される。
本発明は、以下において十分に説明され、そして添付の特許請求の範囲で特に指摘されるある種の新規な特徴、及び要素の組み合わせより成るもので、その細部の色々な変更は、本発明の範囲から逸脱することなしに、又は本発明の利点のいずれも犠牲にすることなしに可能であることは理解されるだろう。
パーム油、オレイン又はステアリンのような植物油が、大豆油、ヒマワリ油、コーン油、カノーラ油、ナタネ油のような不飽和油と混合されることによって、その添加割合は、この分別方法の目的、及び実際上の価値に関するその分別方法の実行可能性を覆すほど高くはなくなる。不飽和油のオレイン酸含有量は20%超であり、またリノール酸及びリノレン酸の含有量は30%超である。この方法から得られる新規な液体の油は透明であるので、サラダオイル、調理用油等々として利用することができる。このようなブレンドからのステアリン類はマーガリン及びショートニング類に使用できる。
この方法によれば、油マトリックスが、その油の融点より高い温度から8〜20℃の温度まで冷却される。
本発明によれば、結晶化時間は4〜24時間であることができる。本発明に従う方法を行うと、より高い栄養価の油組成を有する製品に関して実質的な利点を与えることができる。さらに、この方法から得られる油はより高いIVを有し、しかも15℃において液体のままである。
この分野の技術の現状によれば、十分なポリ不飽和を成し遂げるためには、IV56のパーム油オレインが著しく高割合の不飽和油中にブレンドされることが必要である。しかし、本発明によれば、標準のパーム油を使用し、そしてずっと低いパーセンテージの不飽和油とブレンドすることが可能である。
そして、また、実施例11に示されるように、パルミチン酸、オレイン酸及びリノール酸が、授乳している母親からの乳児用脂肪及び乳汁に期待される範囲内にあるというように、その組成が乳児用脂肪調合乳に適している油を得ることも可能である。
現行のパーム油の分別法においては、パーム油は、60〜70℃の温度における溶融後に適当な冷却条件下で結晶化される。結晶は低圧又は高圧フィルタープレス機で濾過される。これらの条件の下では、得られた油は一般に56に近いIVを有し、それはより低い温度までさらに分別すると60〜65のより高いIVを持つ油をもたらす。
下記は、ブレンド処理及び分別プロセスから油を得る方法及びそれより得られる油の例を説明するものである。
パーム油を、全ての結晶履歴が記憶から確実に除かれるようにするために65〜80℃まで加熱する。大豆油(SBO;soybean oil)、ヒマワリ油(SFO;sunflower oil)又はコーン油(CO;corn oil)をパーム油(PO;Palm oil)とそれぞれ9:1の比率で混合する;この場合パーム油が高い方の割合になっている。これら温度における油の混合は、均質なブレンドが得られるまで続けなければならない。分別を20℃、10℃、次いで8℃で行う。20℃で得られた第一画分を濾過し、続いて、この油を、得られる結晶が表4に観察される組成を有するようになる次の温度まで冷却する。この油生成物の濾過は、少なくとも4バールの膜フィルタープレス機を通して成し遂げられる。飽和酸:モノ不飽和酸:ポリ不飽和酸の比率は、飽和酸(Sat;saturated acid)について0.5〜1.0、モノ不飽和酸(Mono;monosaturated acid)について1.0、及びポリ不飽和酸(Poly;polysaturated acid)について0.4〜0.6の範囲であることができる。
パーム油を大豆油、ヒマワリ油又はコーン油と7:3の比率でブレンドし、そして分別を実施例1のとおり20℃、10℃、次いで8℃で行う。その液体画分の組成が以下に示される。これらの条件で得られた組成物はモノ不飽和脂肪酸をほとんど1の比率で有するが、一方飽和脂肪酸及びポリ不飽和酸の比率は1未満である。飽和:モノ不飽和:ポリ不飽和脂肪酸比率は0.6〜1.0、1.0又は0.7〜1.0の範囲であることができる。
パーム油ステアリン(Palm st;palm stearin)をその融点より少なくとも10℃高い温度まで加熱し、そしてその温度に保持して前の結晶履歴を確実かつ完全に消す。次いでそれを大豆油、ヒマワリ油又はコーン油とそれぞれ7:3の比率でブレンドし、そして分別を20℃、10℃及び8℃で行う。その油製品の組成が表3に示される。飽和脂肪酸:モノ不飽和脂肪酸:ポリ不飽和脂肪酸の比率は(0.5〜1.0):1.0:(0.3〜1.2)の範囲にある。
パーム油ステアリン類がパーム油−不飽和油(9:1)ブレンドの分別によって製造される。飽和脂肪酸:モノ不飽和脂肪酸:ポリ不飽和脂肪酸の比率は(1.2〜1.7):1.0:(0.3〜0.5)の範囲にある。10〜8℃で分別されたこのブレンドの固体含有量プロフィールは、パーム油のものあり、従って、パーム油と類似の用途を見いだすことができる。
20℃、10℃及び8℃における油ブレンドの分別により得られた固体画分は、飽和:モノ不飽和:ポリ不飽和脂肪酸について(1.1〜2.0):1.0:(0.5〜0.8)の値の比率を示す。これらの組成及び固体含有量プロフィールは、マーガリン及びショートニング類で有益である。これらは、また、パーム油のプロフィールに近い固体含有量プロフィールも有し、従って、それらにはパーム油が固体脂肪として利用されるところの用途を見いだすことができる。
20℃、10℃及び8℃の条件下におけるブレンドの分別によって、新しいステアリン類は、飽和:モノ不飽和:ポリ不飽和脂肪酸について(1.5〜2.0):1.0:(0.6〜0.9)の比率の組成を有する。
油類の飽和:ポリ不飽和脂肪酸の組成は、一般に、その飽和脂肪酸より低く、飽和脂肪酸はそれら2種の高い方であり、そして、モノ不飽和酸は1.0の組成である。表10は9:1比率の油ブレンドの液体画分がさらに冷却されるときの場合を説明するものである。20℃で分別された油ブレンドの液体画分は、これを再度冷却して、次のタイプの油組成比率を持つ8℃における画分を得ることができる。その比率は(0.8〜1.1):1.0:(0.3〜0.6)である。
下記は、7:3の比率を持つ油ブレンドの液体画分が8℃の温度までさらに冷却されるときの場合を説明するものである。この実施例では、モノ不飽和酸類は1.0に留まる一方で、飽和酸類及びポリ不飽和酸類の比率は1.0未満であり、飽和酸類はその2種の低い方である。それらの範囲は(0.6〜0.9):1.0:(0.7〜1.0)である。
この実施例は、7:3の油ブレンドの20℃における分別から得られた固体画分の分別を説明するものである。固体画分を75〜80℃まで加熱して全ての結晶履歴を消す。その油を次に50℃まで冷却し、30分〜1時間保持し、次いで30℃までさらに冷却する。これを3時間保持し、そしてその結晶を濾過する。このプロセスの液体画分の組成物は表12に観察される組成を有し、この場合モノ不飽和:ポリ不飽和脂肪酸は1.0に近い比率を有する一方で、飽和脂肪酸のそれは僅かに低い。その範囲は(0.6〜0.9):1.0:(0.9〜1.2)である。
この実施例は、ヒマワリ油と7:3の比率で混合された下記の油を下記の温度まで冷却する場合を説明するものである。飽和脂肪酸及びポリ不飽和脂肪酸の組成がある種のオリーブ油の組成に似ている油を得ることが可能である。得られた液体画分は、この実施例のオリーブ油1に九分とおり近い組成を有している。脂肪酸百分率の比率は、飽和酸、モノ不飽和酸及びポリ不飽和酸について16〜25%、50〜60%及び13〜20%である。
この実施例において、オレイン酸含有量が28〜46%でパルミチン酸含有量が18〜28%である子供用乳脂調合乳に適した画分をある種のブレンドから誘導することができる。
Claims (22)
- 油組成物を得る方法であって:
(a)植物油を20%超のオレイン酸含有量及び30%超のリノール酸とリノレン酸の含有量を有する不飽和油と前もって定めた比率でブレンドして混合物を形成し;
(b)該混合物を50〜75℃の温度で全ての結晶が溶融されるまで加熱し;
(c)工程(b)から得られた液体を冷却して油と結晶との混合物を得、ここで該結晶は該油と該結晶との効率的な分離を可能にするのに適する大きさ及び形状のものであり;そして
(d)油と結晶との該混合物を分離して該油組成物を得る
工程を含む方法。 - 油と結晶との該混合物を低圧及び高圧フィルタープレス機を用いて分離する、請求項1に記載の方法。
- 該植物油と該不飽和油との比率が9:1〜1:9の植物油:不飽和油比である、請求項1に記載の方法。
- 該油組成物が飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸及びポリ不飽和脂肪酸を含んでいる、請求項1に記載の方法。
- 飽和脂肪酸:モノ不飽和脂肪酸:ポリ不飽和脂肪酸の比率が1:1:1である、請求項4に記載の方法。
- 結晶化が4〜24時間行われる、請求項1に記載の方法。
- 該植物油が、パーム油、オレイン又はステアリンである、請求項1に記載の方法。
- 該不飽和油が、大豆油、ヒマワリ油、コーン油、カノーラ油又はナタネ油である、請求項1に記載の方法。
- 該油組成物がサラダオイル又は調理用油として利用される、請求項1に記載の方法。
- 得られた油組成物が乳脂調合乳において利用される、請求項1に記載の方法。
- 得られたステアリン類がマーガリン及びショートニング類において利用される、請求項1に記載の方法。
- 油組成物であって:
(a)植物油を20%超のオレイン酸含有量及び30%超のリノール酸とリノレン酸の含有量を有する不飽和油と前もって定めた比率でブレンドして混合物を形成し;
(b)該混合物を50〜75℃の温度で全ての結晶が溶融されるまで加熱し;
(c)工程(b)から得られた液体を冷却して油と結晶との混合物を得、ここで該結晶は該油と該結晶との効率的な分離を可能にする適切な大きさ及び形状のものであり;そして
(d)油と結晶との該混合物を分離して油組成物を得る
工程を含む方法から得られる油組成物。 - 油と結晶との該混合物を低圧及び高圧フィルタープレス機を用いて分離する、請求項12に記載の油組成物。
- 該植物油と該不飽和油との比率が9:1〜1:9の植物油:不飽和油比である、請求項12に記載の油組成物。
- 該油組成物が、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸及びポリ不飽和脂肪酸を含んでいる、請求項12に記載の油組成物。
- 飽和脂肪酸:モノ不飽和脂肪酸:ポリ不飽和脂肪酸の比率が1:1:1である、請求項15に記載の油組成物。
- 結晶化が4〜24時間行われる、請求項12に記載の油組成物。
- 該植物油が、パーム油、オレイン又はステアリンである、請求項12に記載の油組成物。
- 該不飽和油が、大豆油、ヒマワリ油、コーン油、カノーラ油又はナタネ油である、請求項12に記載の油組成物。
- 該油組成物がサラダオイル又は調理用油として利用される、請求項12に記載の油組成物。
- 得られた油組成物が乳脂調合乳において利用される、請求項12に記載の油組成物。
- 得られたステアリン類がマーガリン及びショートニング類において利用される、請求項12に記載の油組成物。
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