JP2004329190A - 動物個体を用いたモノクローナル抗体を簡便に生産する方法 - Google Patents

動物個体を用いたモノクローナル抗体を簡便に生産する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モノクローナル抗体をハイブリドーマやその他の細胞株を用いる細胞培養生産系、あるいはトランスジェニック動物個体を介した生産系とは異なる、動物個体を用いた簡便かつ迅速な抗体生産法を提供することを目的とする。
【解決手段】エレクトロポレーション法あるいは流体力学法を用いた生体遺伝子導法を免疫能力の低いマウス個体に応用することによって、数日間という短時間で血液中へモノクローナル抗体を大量分泌させることに成功し、さらにこの抗体をウズラ血中に投与し卵黄中へ移行させ、モノクローナル抗体が蓄積した卵を得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ほ乳類及び鳥類個体を用いたモノクローナル抗体を生産する方法に関する。本発明は、医薬品等として用いられるモノクローナル抗体の生産に利用することができる。これに加え、モノクローナル抗体を抗原と結合させ、鳥類の卵黄内へ移行蓄積させることで、抗体の存在するあらゆる特定物質を卵中に輸送し、健康食品としての卵を生産することができる。
【0002】
【従来の技術】
モノクローナル抗体は従来リンパ球とガン細胞とを融合したハイブリドーマ細胞で作製されている。その作製手順は煩雑であり、細胞株の樹立のためのイニシャルコスト及び細胞培養のための培養液等のランニングコストが非常に高い。それゆえ製造コストがかかり、高価な薬品である。
【0003】
一方、ハイブリドーマを用いることなしに、モノクローナル抗体を作製する場合には、当該抗体遺伝子を特定の培養細胞に導入し、遺伝子をもった細胞を薬剤選択培地で培養し、遺伝子の組み込まれた恒久的抗体発現細胞株を樹立する必要がある。細胞の種類によって遺伝子導入効率が大きく異なるため、細胞株樹立の容易さが異なるのみならず、抗体の培養液中への分泌能力、できあがった抗体の立体構造、翻訳後の修飾等に違いが生ずる。従って、十分な量のモノクローナル抗体が得られるには数ヶ月以上を要する。
動物個体でモノクローナル抗体を得る場合には、トランスジェニック動物を利用する。通常マイクロインジェクション法と呼ばれる、細いガラスピペットを用いて遺伝子を受精卵に注入し、胚を発生させて、個体を作出する。この場合には遺伝子導入個体のうち、抗体を分泌するものを選抜していく過程で、最も効率が良いとされているマウスの場合には100頭に1頭程度の頻度で抗体発現個体が得られるが、ヒツジ、ブタ、ウシではさらに頻度が低く、ニワトリにいたってはその数十分の1程度でしか優良な個体をえることができない。従って、そのようなトランスジェニック個体作出には多大な費用と時間が必要である。ヒツジ、ブタでは1年以上、ウシでは数年を、ニワトリでも最低1年以上は必要と考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、モノクローナル抗体をハイブリドーマやその他の細胞株を用いる細胞培養生産系、あるいはトランスジェニック動物個体を介した生産系とは異なる、動物個体を用いた簡便かつ迅速な抗体生産法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記に鑑み研究を重ねた。その結果、マウス個体をモデルとした生体遺伝子導法によって、数日間という短時間で血液中へモノクローナル抗体を大量分泌させることに成功し、この抗体をウズラ血中に投与し卵黄中へ移行させることにも成功するに至った。本発明の構成は次の通りである。
[1]以下のステップを含んでなる、動物個体でモノクローナル抗体を生産し、標的組織へと移行蓄積させる方法
a)エレクトロポレーション法あるいは流体力学法により、モノクローナル抗体をコードする外来遺伝子を動物個体の生体組織へ導入するステップ、
b)導入された前記外来遺伝子を組織で発現させ、モノクローナル抗体を血中へ分泌させるステップ、
c)ステップb)で得られた血中モノクローナル抗体を卵黄など標的組織へ移行させるステップ。
[2]前記エレクトロポレーション法を、印加電圧が25V〜250Vの範囲にある直流パルスを用いて行う、ことを特徴とする[1]に記載の方法。
[3]前記エレクトロポレーション法を、パルス幅が50〜150msecの範囲にあるパルスを用いて行う、ことを特徴とする[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記エレクトロポレーション法を、パルス回数が2〜10回の範囲の条件で行う、ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記流体力学法を、外来遺伝子を含む注入溶液量が0.05〜0.1ml/g体重の範囲にある、ことを特徴とする[1]に記載の方法。
[6]前記流体力学法を、溶液注入部位が尾静脈、翼下静脈、頸静脈、腸管膜静脈または門脈経由で行う、ことを特徴とする[1]または[5]に記載の方法。
[7]前記ステップa)において、動物がほ乳類または鳥類である、ことを特徴とする[1]〜[6]に記載の方法。
[8]前記ほ乳類または鳥類が免疫能力の低い動物系統である、ことを特徴とする[1]〜[6]に記載の方法。
[9]前記外来モノクローナル抗体遺伝子が、単一プラスミド上に抗体をコードする重鎖および軽鎖遺伝子を同時に有する、ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の方法により血中あるいは卵黄など標的組織中に生産される、外来モノクローナル抗体。
【0006】
本発明の方法では、遺伝子導入後数日でモノクローナル抗体を血中あるいは卵などの標的組織中に得ることができる。すなわち、上記動物培養細胞やトランスジェニック動物を利用する場合に比較して、極めて短時間で所望のモノクローナル抗体を生産することが可能である。
また、本発明の方法は、動物の有効利用の観点からも好ましいものである。すなわち、現状では、モノクローナル抗体をコードした外来遺伝子を適切に組み込んだトランスジェニック動物の作出効率は低く、目的とするモノクローナル抗体の生産に利用できない個体を無用に発生させてしまう。これに対して、本発明の方法では、遺伝子導入が適切に行われなかったことが判明した場合には、再度同一の個体に対して遺伝子導入を行いモノクローナル抗体の生産を試みることができる。従って、仮に遺伝子導入が成功しない場合であっても別の個体を発生させる必要がない。
一方、本発明の方法では、染色体に組込まれない状態で外来モノクローナル抗体遺伝子を導入することができる。このように導入された外来モノクローナル遺伝子は一過的に発現され、その結果、一定期間のみ所望のモノクローナル抗体を生産することができる。このことから、間隔をあけて複数の外来モノクローナル抗体遺伝子を導入すれば、同一の個体を用いて複数種類のモノクローナル抗体を生産することが可能となる。従って、医薬品の開発等のように、複数種類のモノクローナル抗体を試験的に生産する必要がある場合において本発明方法を好適に用いることができる。すなわち本発明の方法は、単にモノクローナル抗体の生産方法としてだけではなく、モノクローナル抗体のスクリーニングアッセイの一手段としても用いることができる。
【0007】
本発明は、a)エレクトロポレーション法あるいは流体力学法により、モノクローナル抗体をコードする外来遺伝子を動物個体の生体組織へ導入するステップ、b)導入された前記外来遺伝子を組織で発現させ、モノクローナル抗体を血中へ分泌させるステップ、c)ステップb)で得られた血中モノクローナル抗体を卵黄など標的組織へ移行させるステップを含んでなる、動物個体においてモノクローナル抗体を生産する方法である。
本発明における動物は特に限定されるものではなく、例えばほ乳類ではマウス、ラット、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、あるいは鳥類ではウズラ、ニワトリ等である。生産効率の観点からいえば、特に動物自身の免疫能力が低い系統(例えば重症免疫不全系統マウスや低IgG系統ウズラやニワトリ種)を用いることが好ましい。
【0008】
外来モノクローナル抗体遺伝子とは、あらかじめクローニングされた単一の抗体をコードする遺伝子であって、それが導入される動物自体の遺伝子以外の遺伝子をいう。従って、種の異なる遺伝子(例えば、マウスに導入するヒト、ウシ、ブタ等由来のモノクローナル抗体遺伝子)が含まれることはもちろんのこと、同種の遺伝子(例えば、マウスに導入するマウス由来のモノクローナル抗体遺伝子)をも含む意味である。好ましくは、ヒトの遺伝子である。ヒトの遺伝子を用いることにより、ヒトの生体内に存在するモノクローナル抗体と同等の機能を有する外来モノクローナル抗体を生産することができる。特に、ヒトモノクローナル抗体生産の場合には、ウズラやニワトリ個体を用いるのが好ましい。この理由として、体内で当該外来遺伝子の転写・翻訳産物として生産されたモノクローナル抗体の糖鎖成分が、他種ほ乳類由来あるいはハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体糖鎖成分よりも、ヒトのそれに酷似しており、治療薬として用いる場合には好ましい。
【0009】
なお、天然に存在するモノクローナル抗体遺伝子に限らず、天然のモノクローナル抗体遺伝子の塩基配列を一部改変したDNAまたは周知ないし公知の技術により合成したDNAを、本発明における外来モノクローナル抗体遺伝子として用いることができる。一本鎖DNA、二本鎖DNA、また線状、環状の形状の外来モノクローナル抗体遺伝子、あるいはこれらに相当するRNAを用いることができる。
【0010】
外来モノクローナル抗体遺伝子は、それぞれの動物種において適した形態に調製される。すなわち、マウスの場合、主として肝臓での発現を標的とした遺伝子と筋肉での発現を標的とした遺伝子ではそれぞれにより適したプロモーター配列の下流域に抗体遺伝子のオープンリーディングフレームが存在するように調製することができる。このようなプロモーターとしては、マウスなどほ乳類の組織で転写効率が高いものから、鳥類の組織で転写効率が高いプロモーターを選択することが好ましい。プロモーターと併せて、3’下流側のポリAシグナル配列も、転写・翻訳効率を高めるものが好ましく、プロモーターを同じ遺伝子に由来する3’下流側非翻訳領域に存在するポリAシグナル配列とすることが良い。さらにプロモーターと併せてエンハンサーを用いることもできる。それによって外来抗体遺伝子の転写効率を上昇させることが可能である。エンハンサーは必ずしも同じ遺伝子由来のものである必要はなく、多種のものを同時に用いてもよい。
【0011】
外来抗体遺伝子を動物生体組織に導入する際、外来抗体遺伝子の発現効率を上昇させる作用のある物質をあわせて導入することが好ましい。発現産物の生産効率を向上させるためである。例えば、mRNAの翻訳を阻害する分子の活性を抑制する作用のある物質を用いることができる。このような物質としては、mRNAの翻訳を阻害する酵素の活性を抑制することで知られるアデノウイルスVI RNA遺伝子、アデノウイルスVII遺伝子を用いることができる。これらの遺伝子は、適当なベクターに組込んだ状態で動物生体組織に共導入することができる。
【0012】
上記のように調製した外来抗体遺伝子を、組織への直接注射あるいは血管系への注射等により標的部位に存在させる。この状態でエレクトロポレーション法を行い、外来遺伝子を組織細胞に導入する。一方、流体力学法では遺伝子を血管系へ注入する際、全身の全血液の5〜10%もの大量の輸液とともに、極めて短時間(数秒〜30秒以内)に注入し急激な圧力の変化を与えることによって、組織細胞へ遺伝子を導入する。
エレクトロポレーション法は、電圧を瞬間的に印加することにより細胞膜に一過性の微小な孔をあけ、当該孔を介して細胞内へと遺伝子を導入する方法であって(Molecular Cloning,Third Edition,16.33,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York等)、局所的に生体組織細胞へ高効率に遺伝子導入を行うことができる。
エレクトロポレーション法の基本的な操作は、周知の方法に従って行うことができる。エレクトロポレーション法の条件(印加電圧、電流、パルス幅、パルス回数等)は、遺伝子導入効率及び動物への負担(ストレス)を考慮して設定される。例えば印加電圧が、25〜250Vの範囲にあるパルスを用いることが好ましい。50〜200Vの範囲にあるパルスを用いることがさらに好ましい。パルス幅については、20〜150msecの範囲にあるパルスを用いることが好ましく、さらに好ましくは、パルス幅50〜100msecのパルスを用いる。尚、トータルパルス負荷時間を400〜800msecの範囲とすることが好ましい。電圧を印加する回数、すなわちパルス回数については、2〜10回の範囲が好ましい。さらに好ましくは、4〜6回の範囲である。電極としては、ピンセット型あるいは銅板型や針型のものを用いることができる。
【0013】
エレクトロポレーション法により導入された外来モノクローナル抗体遺伝子は、動物の生体組織細胞の核内に取り込まれ、その後一過的に発現する。外来抗体遺伝子の形態(設計)如何によっては、外来モノクローナル抗体遺伝子を動物生体組織細胞のゲノム内に組込ませることができ、この場合には長期間にわたって外来モノクローナル抗体遺伝子を発現させることができる。続いて、発現産物を動物生体組織細胞から分泌させる。発現産物の分泌は、動物細胞の備える分泌機構を利用して行われる。分泌された発現産物は、血中に蓄積され、鳥類の場合にはついで卵子の卵黄に移行・蓄積される。
以上の方法により、外来モノクローナル抗体遺伝子発現産物(組換えモノクローナル抗体)が蓄積された血液あるいは卵が得られる。この血液あるいは卵を回収し、周知の分離、精製方法により、外来モノクローナル抗体遺伝子発現産物を得ることができる。
尚、上記の方法により生産される外来モノクローナル抗体遺伝子発現産物を含む動物の血液、鳥類の場合には卵、及び当該血液・卵から分離、精製された外来モノクローナル抗体も本発明に含まれるものである。
【0014】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
[プラスミド構造モノクローナル抗体産生能力に対する影響]
抗体は重鎖と軽鎖の2種類のペプチドがそれぞれ2分子ずつ会合して形成される。従ってそれぞれに対応する遺伝子が同時に導入されなければならない。抗体産生量を上昇させるためには投与遺伝子量を上げることが好ましいが、重鎖と軽鎖に対応する遺伝子を別々のプラスミドベクターに連結したのでは効率が悪いと予想される。そこで、重鎖と軽鎖遺伝子を別々のあるいは同じ発現プラスミド上に組込んだベクターを構築して、抗体産生能力に及ぼす影響を検討した。
【0015】
導入する遺伝子にはMaeda et al.(1999)(Journalof Medical Virology,58:338−345.)のクローニングしたB型肝炎表面抗原に対するヒトモノクローナル遺伝子を用いた。抗体遺伝子は軽鎖および重鎖からなっており、抗体は軽鎖、重鎖が1分子づつ会合したものが2量体を形成することで、その機能を発揮する。従って、軽鎖及び重鎖の両方をコードした遺伝子が同時に発現されなければならない。そこでまず、軽鎖又は重鎖ヒトモノクローナル抗体遺伝子を組込んだ独立発現ベクターをマウス一頭あたりDNA濃度100μg、5mM CaCl、145mM NaClとなるようにCaCl及びNaClを含むバッファー100μlづつに溶解し、両者を混合して合計200μlのDNA溶液を調製した。図1左に独立発現ベクターの構成を模式的に示した。プラスミドベクターも抗体遺伝子の上流にCMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、下流にはウシ成長ホルモン由来ターミネーターシグナル配列を有するベクターである。なお、あらかじめpAdVantageベクター(Promega社製、Madison,WI 53711−5399 USA)を一頭あたり10μgを加え、発現強度促進を図った。一方、軽鎖と重鎖ヒトモノクローナル抗体遺伝子を同時に一つのプラスミドに組込んだ同時発現ベクターの場合、同様にしてマウス一頭あたりDNA濃度200μg、5mM CaCl、145mM NaClとなるように200μlに溶解してDNA溶液を調製した。図1右に同時発現ベクターの構成を模式的に示した。同時発現ベクターでは軽鎖と重鎖遺伝子が同時に組込まれている以外は、同じCMVプロモーターとウシ成長ホルモン由来ターミネーターシグナル配列を有するように構築した。さらにpAdVantageベクターもあらかじめ同様に一頭あたり10μg加えた。導入量としてプラスミドの分子量を考慮すれば、独立発現ベクターの合計200μgは同時発現ベクター200μgと比較して、全抗体遺伝子の分子量としては約1/2モルとなる。なお、対照区としてマウス一頭あたり同じ200μgの抗体を含まない空ベクターにpAdVantageベクター10μg加えたDNA導入処理も設け、以下同様な処理を行った。
【0016】
5〜8週齢の通常ICR系統雄マウスにネンブタール麻酔下で、左右腓腹筋を露出させた。左右それぞれの腓腹筋に100μlの軽鎖と重鎖を混合した独立発現ベクターないしは同時発現ベクターを29G注射針を用いて注射した。DNA注射量は独立発現ベクター、同時発現ベクターとも左右合計で200μgとした。各群直流矩形波のパルスを電圧25V、負荷時間100msec、パルス回数6回、3回毎に極性を変えて、エレクトロポレーション処理を行った。エレクトロポレーションによる生体遺伝子導入日から1週間毎に、ネンブタール麻酔下で尾静脈から採血を行い、5000xg、4℃で15分間遠心し、得られた血清を用いてヒトモノクローナル抗体濃度をELISA法によって測定した。
【0017】
図2に、独立発現ベクター区ならびに同時発現ベクター区における血清中ヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化をまとめた。ここから明らかなように、ピーク抗体濃度は1週間後に得られ、同時発現ベクター区で独立発現ベクター区の約2倍となり、予想された反応となった。しかしながら、抗体濃度は3週間以降には空ベクターのみ導入した対照区とかわらないほどに低下した。
このような急激な抗体濃度の低下については、遺伝子導入が不確実であったというよりむしろ、そもそも同抗体自身はマウスにとって異物であるため、マウスの免疫反応によって分泌された抗体が積極的に速やかに排除された結果と考えられた。
【0018】
[遺伝子導入マウスの免疫能力がモノクローナル抗体産生能力に対する影響]
動物にとって、たとえ抗体であろうとも、もともと当該動物がもっていない蛋白質は異物である。このため、体内で生じた異物は宿主免疫系によって積極的に排除される。従って、免疫能力の弱い動物と強い動物では、同じ遺伝子量を導入しても生産されるモノクローナル抗体量には大きな差が生ずると考えられた。そこで、外来モノクローナル抗体遺伝子由来の抗体産生能力に対する宿主マウスの免疫能力の影響を検討した。
【0019】
通常ICR雄マウスを用いる代わりに重度免疫不全(SCID)マウスを実験動物として利用した。それ以外は通常マウスへのエレクトロポレーション法による生体遺伝子導入実験とまったく同様にして実施し、独立発現ベクター区と同時発現ベクター区における血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化を比較した。
【0020】
図3にSCIDマウスを用いた場合の血清中抗体濃度変化をまとめた。同時発現ベクター区では独立発現ベクター区に比較して、1週間〜4週間後のすべての期間において常に2〜3倍程度高い値を示した。また、抗体濃度は通常マウスのピーク時の値(1週間後で同時発現ベクター区で約150ng/ml)と比べて2週間後以降は1,100ng/ml以上を維持し、7倍以上も高くなること、また4週間後でもほぼ同じ値を保つことが明らかとなった。
【0021】
[遺伝子導入法のモノクローナル抗体産生能力に対する影響]
非ウイルスベクターによる生体遺伝子導入法として高効率な手法にはエレクトロポレーション以外に流体力学法があげられる。流体力学法ではマウスにおけるヒトIL10の発現がエレクトロポレーション法に比較して10,000倍も高いことが報告されている(Jiang et al.,2001)(Biochemical and Biophysical Research Communications,289:1088−1092.)。そこでこれらの両手法について抗体産生能力における優劣を比較した。
【0022】
導入遺伝子には同時発現ベクターを一頭あたり40μg、pAdVantageベクター2μgを用いた。対照として抗体遺伝子を含まない空ベクター区も設けた。これらDNA溶液を5mM CaCl、145mM NaClとなるように100μlに溶解して調製した。
【0023】
図4にはエレクトロポレーション法と流体力学法の操作を模式的に示す。実験動物には5〜8週齢の通常ICR系統雄マウスを用いた。エレクトロポレーションによる生体遺伝子導入では、ネンブタール麻酔下で左右腓腹筋に50μlづつDNA溶液を注射し、前出の電圧、負荷時間、パルス回数で処理した。流体力学法では、同じくネンブタール麻酔下で100μlのDNA溶液を体重の10分の1量の乳酸リンゲル溶液に混合し37℃に加温した注入液を作製した。その後DNA混合乳酸リンゲル液を5ml注射筒に入れ、27G注射針を用いて尾静脈から5〜10秒で素早く注射することで実施した。
【0024】
図5に2種類の生体遺伝子導入法による血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化を示す。ここから明らかなように、同じDNA量を用いた場合には2週間後までは流体力学法がエレクトロポレーション法と比較して優れている。しかしながら流体力学法では血清中抗体濃度は1週間後をピークとして徐々に低下し、4週間後ではエレクトロポレーション法とほぼ同程度の濃度となった。一方エレクトロポレーション法では急激な濃度上昇はみられず、ゆるやかな濃度上昇を示し1週間後以降は4週間後まで低いながらもほぼプラトーの値を示した。この通常マウスを用いた実験では、前出のエレクトロポレーション法にみられたような1週間目でのピークは確認できなかった。この理由として導入遺伝子量が少なかったため、全体として低い値を保ったのではないかと考えられた。
【0025】
[連続遺伝子導入のモノクローナル抗体産生能力に対する影響]
エレクトロポレーション法及び流体力学法による導入法の比較をSCIDマウスを用いて再度比較するとともに、連続投与によって抗体産生能力が維持できるかどうかについても検討した。
【0026】
実験動物をICR系統通常雄マウスからICR系統SCID雄マウスに変えて実施した。また、導入遺伝子には同時発現ベクターとpAdVantageを1回あたり同量で実施し、生体遺伝子導入を1回のみの群と1週間毎に4回実施する群を設けた。血清は導入102日後まで実施した。
【0027】
図6に2種類の生体遺伝子導入法による血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化を示す。一回遺伝子導入群では流体力学法、エレクトロポレーション法ともに全体として濃度が5〜6倍となった以外は通常マウスの場合とほぼ同様な結果を示した。即ち、流体力学法では4日後で急激な濃度上昇を認めピークに達し、その後速やかに減少し、46日後ではエレクトロポレーション法と同じ値を示し、それ以後ではエレクトロポレーション法の方が高い値を示した。
一方4回導入実施群では全体として一回実施群より、両導入法とも高い値を示した。流体力学法では濃度ピークは11日目に得られ、その後やや低下したものの32日目(最終生体導入の11日後)まではほぼ一定値を保った。その後急激な低下を示した。これに対して、エレクトロポレーション法では46日目(最終導入の25日後)に最高濃度に到達し、以後ほぼこの値を維持した。連続遺伝子導入の場合も1回遺伝子導入のケースと同様に、46日後で流体力学法とエレクトロポレーション法で同じ値となり、それ以降はエレクトロポレーション法の方が高い値を示した。
このような両生体遺伝子導入法間にみられる抗体濃度の経時的変化の特徴的なパターンの差は発現標的組織の違いに原因があるものと考えられた。即ち、流体力学法では主要な発現標的組織は肝臓であり(Liu et al.,1999)(Gene Therapy,6:1258−1266.)、一方エレクトロポレーション法では筋肉のみを標的とした。この両組織での外来遺伝子発現持続期間の差は既にMuramatsu et al.(1998,2001a,b)(International Journal of MolecularMedicine,1:55−62,7:37−42,7:61−66.)が明らかとしている。
【0028】
[遺伝子形状のモノクローナル抗体産生能力に対する影響]
一般的に生体遺伝子導入の場合、遺伝子発現プラスミドは環状のままで用いることが多い。しかしながら、流体力学法では、直鎖状プラスミドで2ヶ月以上の長期間の場合には血中外来遺伝子転写産物量がより高く維持されることが報告されている(Chen et al.,2001)(Molecular Therapy,3:403−410.)。そこで、環状か直鎖状かという遺伝子形状がモノクローナル抗体産生能力に及ぼす影響について、流体力学法およびエレクトロポレーション法の両方法について検討した。
【0029】
使用した抗体同時発現ベクターを環状あるいは直鎖状プラスミドの2種類とした以外は、抗体遺伝子発現ベクターとpAdVantageの両導入遺伝子の投与量、調製法、並びに実験動物は前述と同じ条件で行った。直鎖状プラスミドベクターは2カ所存在するBamHI制限酵素部位で切断し、直鎖状となった軽鎖および重鎖抗体遺伝子を含む6.8kb断片を電気泳動によって分離後、抽出して用いた。
【0030】
図7に2種類の生体遺伝子導入法による環状および直鎖状プラスミド導入後の血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化を示す。流体力学法、エレクトロポレーション法の導入方法の違いにかかわらず、環状、直鎖状いずれの場合でも、血清中抗体濃度に導入47日後までの間では差はみられなかった。それゆえ、いずれの方法を用いても、プラスミドを直鎖状としても特に長期にわたる発現が促進されるとはいえなかった。
【0031】
[モノクローナル抗体のウズラ卵黄への移行効率]
本実施例でマウス体内で短時間に血清中に分泌生産したヒトモノクローナル抗体が、ウズラ血中から卵黄中へ移行するかどうかについて検討した。
【0032】
15週齢のICR系統SCID雄マウスに流体力学法を用いて、同時発現ベクターを40μg、一回尾静脈から導入した。3日後にマウスを断頭屠殺し、全血採取後、血清中の抗体濃度を測定した。リンゲル液を用いて1μg/mlに希釈調製し、産卵中の3羽の9ヶ月齢野生羽装型日本ウズラの翼下静脈へ一羽あたり1ml注射した。その後、産卵した卵を7日間回収して卵黄中のヒトモノクローナル抗体濃度の測定をELISA法によって行った。
【0033】
図8に卵黄1ml中の抗体濃度の経時的変化を示した。ヒトモノクローナル抗体は3日後に最大濃度として、全卵黄あたり20ngに到達し、その後減少した。抗体が検出された卵の卵黄全量中に測定されたヒトモノクローナル抗体の全投与量に対する回収率は約10%と推定された。
【0034】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、マウスを始めとするほ乳類あるいは鳥類においても、体組織内でモノクローナル抗体を生産することが可能となる。本発明を利用することにより、細胞培養系を用いることなしに極めて短期間に多種類のモノクローナル抗体を生産するシステム構築が可能となる。また、本発明では繰り返し同一の個体に対して遺伝子導入を行うことができるので、動物の有効利用の観点からも本発明は好ましいものである。これらに加えて、生産されたモノクローナル抗体は鳥類の卵黄中に移行・蓄積させることが可能であるため、鳥類の卵に様々な疾病に対するモノクローナル抗体あるいは抗原・抗体複合体として特定化合物を高濃度に集積させることを可能とし、機能性食品としての新たな付加価値を加える強力な手法となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はヒトモノクローナル抗体の軽鎖または重鎖を発現するプラスミドベクター(独立発現ベクター、左図)、あるいはその両方を同時に発現するプラスミドベクター(同時発現ベクター、右図)の構成を模範的に示した。どちらのプラスミドベクターも抗体遺伝子の上流にCMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、下流にはウシ成長ホルモン由来ターミネーターシグナル配列を有するベクターである。
【図2】図2は、実施例における、正常ICR系統マウス下肢筋肉へ、エレクトロポレーション法を用いて独立発現ベクター(Two separate vectors)あるいは同時発現ベクター(Combined vector)を導入した後の血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化である。
【図3】図3は、重度免疫不全(SCID)ICR系統マウス下肢筋肉へ、エレクトロポレーション法を用いて独立発現ベクター(Two separate vectors)あるいは同時発現ベクター(Combined vector)を導入した後の血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化である。
【図4】図4はエレクトロポレーション法と流体力学法による生体遺伝子導入操作を模式的に示した図である。
【図5】図5は正常ICR系統マウスに対して同時発現ベクターを、下肢筋肉エレクトロポレーション法を用いて導入した場合と、尾静脈へ流体力学法を用いて遺伝子導入した場合の、血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化の比較を示している。
【図6】図6は、重度免疫不全(SCID)ICR系統マウスに対して同時発現ベクターを、下肢筋肉エレクトロポレーション法(EP)を用いて一回(T)又は4回一週間間隔で(T*)導入した場合と、尾静脈へ流体力学法(HT)を用いて一回(T)又は4回一週間間隔で(T*)導入した場合の、血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化の比較を示している。なおCは抗体遺伝子を含まない空ベクターである。
【図7】図7は、重度免疫不全(SCID)ICR系統マウスに対して環状(C)又は直鎖状(L)の同時発現ベクターを、下肢筋肉エレクトロポレーション法(EP)を用いて導入した場合と、尾静脈へ流体力学法(HT)を用いて導入した場合の、血清中のヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化の比較を示している。
【図8】図8は、マウスへ遺伝子導入して血液に分泌されたヒトモノクローナル抗体を、うずら血液中に注射した後、産卵した卵の卵黄中に回収されたヒトモノクローナル抗体濃度の経時的変化を示している。

Claims (10)

  1. 以下のステップを含んでなる、動物個体でモノクローナル抗体を生産する方法
    a)エレクトロポレーション法あるいは流体力学法により、モノクローナル抗体に対する外来遺伝子を動物の様々な組織の細胞中に導入するステップ、
    b)導入された遺伝子が肝臓をはじめとする組織の細胞内で発現させるステップc)発現したモノクローナル抗体が血管系へ分泌させ、さらにその一部が卵黄など標的組織へと移行させるステップ。
  2. 前記エレクトロポレーション法を、印加電圧が25〜250Vの範囲にあるパルスを用いて行う、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記エレクトロポレーション法を、パルス幅が50〜150msecの範囲にあるパルスを用いて行う、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記エレクトロポレーション法を、パルス回数が2〜10回の範囲の条件で行う、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記流体力学法を、外来遺伝子を含む注入溶液量が0.05〜0.1ml/g体重の範囲にある、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記流体力学法を、溶液注入部位が尾静脈、翼下静脈、頸静脈、腸管膜静脈または門脈経由で行う、ことを特徴とする請求項目1または5に記載の方法。
  7. 前記ステップa)において、動物がほ乳類または鳥類である、ことを特徴とする請求項1〜6に記載の方法。
  8. 前記ほ乳類または鳥類が免疫能力の低い動物系統である、ことを特徴とする請求項1〜6に記載の方法。
  9. 前記外来モノクローナル抗体遺伝子が、単一プラスミド上に抗体をコードする重鎖および軽鎖遺伝子を同時に有する、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により血中あるいは卵黄など標的組織中に生産される、外来モノクローナル抗体。
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