JP2004329034A - 有核細胞の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有核細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液から有核細胞を効率的に回収することができる方法を提供すること。
【解決手段】細胞含有液をフィルターに導入して、該フィルターに捕捉されている有核細胞を回収する有核細胞の分離方法において、回収液整流化材を有核細胞捕捉材に対して特定の配列となるように併用し、かつ、フィルターの有効濾過膜面積と充填厚みが特定の比率にある比較的扁平なフィルターを用いることによって課題を解決した。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞含有液から有核細胞を分離する有核細胞の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、白血病などの造血器腫瘍及び固形癌の化学療法における副作用である造血障害に対して、末梢血、骨髄、臍帯血の中の造血幹細胞を移植することが盛んに行われるようになった。そのほとんどの場合、細胞は移植前まで凍結保存されるが、保存スペース、解凍時の破壊赤血球による副作用が問題となるため、通常凍結前に赤血球除去が行われている。
【0003】
血液から治療に必要な血球成分を分離する方法として、比重液を用いた比重遠心法、赤血球凝集剤を用いた赤血球凝集法、抗体を用いたアフィニティ分離法などが挙げられる。しかしながら、比重遠心法は比重液に原料細胞を重層させる際に液面を乱してはならない等、非常に熟練を要する煩雑な操作である。また、赤血球凝集法では、ヒドロキシエチルスターチ等と混和して、赤血球の連銭形成により赤血球を凝集、沈降させ、白血球層を分離する方法であるが、作業は煩雑であり、分離性能も十分とは言えない。また、アフィニティ分離法では、特異性は高いものの分離した細胞を回収するためには、結合した抗体分子を酵素処理するため、細胞の損傷、コスト高、操作の煩雑さなどの問題があった。
【0004】
前述の煩雑さを解決する方法として、例えば、特許文献1において、血液中の目的細胞をフィルターに捕捉した後、高粘度の回収液をフィルターに通液することにより剪断力を利用して目的細胞を回収するフィルター法が開示されている。また、最近では、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5において、目的細胞の回収率を高めるために、多孔質体を充填したフィルターを圧縮して血液を濾過、その後圧縮を開放してフィルター材の孔径を濾過時よりも大きくした後、液体をフィルターに導入して目的細胞を回収する細胞分離方法が開示されている。
【0005】
ところが、これらのフィルター法では、血液を濾過する際、血液中のフィブリン塊や破壊した血球などの凝集塊による濾材の細孔の閉塞により、濾過流速が低下して濾過時間が延長する、或いは完全に目詰まりを起こして処理操作が不能になるといった問題があった。この対策として、濾過面積を広げて単位断面積あたりの濾過量を低減させる方法が取られる。上記フィルター法に開示されているように、一般的に、濾過時は目的細胞の捕捉不足を防ぐために低流速で血液をフィルターに導入し、一方回収時は濾材に捕捉された目的細胞を回収液の剪断力を利用して洗い流すために高流速で回収液をフィルターに導入する。濾過面積を広げた場合、回収時に高流速で回収液を導入すると回収液は濾過部に均一に広がらず、回収液導入部付近を優先的に流れ、目的細胞の回収率を高められない。即ち、濾過流速の確保と目的細胞の高回収率を両立できないという問題があった。
【0006】
また、上記のフィルター法においては、目的細胞の回収率を向上させることを狙って、回収時に濾過時よりも多孔質体の孔径を大きくさせてフィルターに回収液を導入し、フィルターに捕捉された目的細胞を回収しているが、回収時にフィルターの内容積が大きくなるため、実態としては回収率を高く維持するためにフィルターに導入する回収液量を増やさねばならず、所望する容積にするために遠心濃縮の作業が必要となる上、材料費のコストアップにつながる問題があった。さらに、これらの方法では、濾材を圧縮したり圧縮を解除したりして濾材の厚みを調節して孔径を変化させているが、操作が煩雑で正確なコントロールも難しく、目的細胞の回収率が安定しない問題があった。
【0007】
このように、従来のフィルター法においては、濾過時の流速確保と目的細胞の高回収という互いに相反する要求に加えて、より少ない液量で目的細胞を回収することを同時に満足する技術は知られておらず、特定細胞を分離回収するにあたって、これらを全て両立する技術が求められていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−201470号公報
【特許文献2】
特開平10−137557号公報
【特許文献3】
特開平11−178920号公報
【特許文献4】
特開平11−206875号公報
【特許文献5】
特開平11−313887号公報
【特許文献6】
特公平2−13588号公報
【特許文献7】
特公平6−51060号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、有核細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液をフィルターで濾過した後、フィルターに回収液を導入してフィルターに捕捉されている有核細胞を回収する際、血液中の凝集塊による濾過流速の低下を抑制しながら、有核細胞を高率に回収し、しかも、より少ない液量で目的の有核細胞を簡便に回収することができる分離方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、目的細胞を分離回収する方法において、回収液整流化材を有核細胞捕捉材に対して特定の配列となるように併用し、かつ、フィルターの有効濾過膜面積と充填厚みが特定の比率にある比較的扁平なフィルターを用いると、濾過時の流速確保と回収液の均一流れによる有核細胞の高回収という課題を両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下(1)〜(7)の発明に関する。
(1)有核細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を、有核細胞を実質的に捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過するフィルターに導入し、除去対象細胞含有液を該フィルターから排出させた後、該フィルターに回収液を導入して該フィルターに捕捉されている有核細胞を回収する有核細胞の分離方法において、フィルターとして、少なくとも細胞含有液の入口と出口を有する容器内に多孔質体からなる有核細胞捕捉材および回収液整流化材が細胞含有液の入口側から出口側に向かってこの順に充填され、該フィルターの有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値が15〜120cmであるフィルターを用い、細胞含有液の入口から細胞含有液をフィルターに導入して有核細胞をフィルター内に捕捉し、除去対象細胞含有液を該フィルターから排出させた後、細胞含有液の出口側から回収液を導入して該フィルターに捕捉されている有核細胞を細胞含有液の入口側から回収することを特徴とした有核細胞の分離方法。
(2)前記有核細胞捕捉材の細胞含有液入口側に更に凝集塊捕捉材が充填されている(1)記載の有核細胞の分離方法。
(3)多孔質体が不織布である(1)または(2)記載の有核細胞の分離方法。
(4)不織布からなる有核細胞捕捉材および回収液整流化材が、夫々、
ア)平均繊維径が1.1〜3.0μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmである不織布からなる有核細胞捕捉材、
イ)平均繊維径が0.5〜1.5μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmである不織布からなる回収液整流化材、
であり、有核細胞捕捉材、回収液整流化材の順番に平均繊維径が細くなることを特徴とする(3)記載の有核細胞の分離方法。
(5)多孔質体がスポンジ状構造体である(1)または(2)記載の有核細胞の分離方法。
(6)スポンジ状構造体からなる有核細胞捕捉材および回収液整流化材が、夫々、
ア)充填時の平均孔径が7〜25μm、充填時の空隙率が55〜90%であるスポンジ状構造体からなる有核細胞捕捉材、
イ)充填時の平均孔径が2〜10μm、充填時の空隙率が55〜90%であるスポンジ状構造体からなる回収液整流化材、
であり、有核細胞捕捉材、回収液整流化材の順番に平均孔径が小さくなることを特徴とする(5)記載の有核細胞の分離方法。
(7)多孔質体が不織布とスポンジ状構造体との組み合せである(1)記載の有核細胞の分離方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で言う有核細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液とは、骨髄、末梢血、G−CSF動因末梢血、GM−SCF動因末梢血、臍帯血あるいはこれらを遠心分離等により粗分離したもの、更にそれらを生理食塩水、細胞培養用培地、緩衝液、抗凝固剤などで希釈されたものなどが挙げられる。
有核細胞の例としては、白血球、リンパ球、単球、顆粒球、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮前駆細胞、有核赤血球など、細胞治療、診断等に有用で分離回収を必要とする細胞が挙げられる。一方、除去対象細胞の例としては、赤血球、血小板、顆粒球など、有核細胞と混在していると凍結解凍時の破壊細胞によるレシピエントへの副作用や有核細胞の低回収等の悪影響を持つ細胞が挙げられる。
【0013】
本発明における有核細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液の例としては、また、有核細胞と除去対象細胞の組み合わせとしては、有核細胞が白血球で、除去対象細胞が赤血球、血小板のケースが挙げられる。この場合、白血球はフィルターに捕捉され、一方で赤血球、血小板は通過する。その後、回収液にてフィルターに捕捉された白血球が回収される。
【0014】
本発明で言うフィルターとは、有核細胞を実質的に捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過するフィルターを言う。本発明で言う「有核細胞を実質的に捕捉」とは、細胞含有液中の有核細胞の60%以上をフィルター内に捕捉することを言う。また、本発明で言う「除去対象細胞は実質的に通過」とは、細胞含有液中の除去対象細胞の60%以上がフィルターを通過することを言う。
【0015】
本発明で言う少なくとも細胞含有液の入口と出口を有する容器とは、扁平な形状であれば特に限定はなく、例えば、特許文献6にあるような公知の白血球除去フィルターに見られる形状の容器を用いることができる。すなわち、液体の流入口と流出口が、多孔質体を挟んで多孔質体に垂直方向に互いに対面する形状と、多孔質体を挟んで非垂直方向に互いに対面する形状である。両者において、フィルター濾過面積の有効利用率および残留血小板/赤血球数を減少させることの二つの観点から後者の形状が好ましく、より好ましい形状は、液体の流入口と流出口との距離が最遠となる形状である。また、これらにおいて細胞含有液の入口と出口以外に回収液の入口と出口を別に設けてもよい。
容器の材質としては、水不溶性で、成形性、滅菌性に優れ、細胞毒性が低いものが好ましい。さらに、濾過時に細胞含有液をフィルターに導入する場合や、回収時に回収液をフィルターに導入する場合に、フィルター内部に負荷される圧力によって実質的に膨張しない硬い材質が好ましい。濾過時にフィルターの容器が膨張すると濾材である多孔質体の孔径が大きくなり、有核細胞の捕捉率低下を招く。また回収時に容器が膨張すると、回収液の流速が低下して濾材に捕捉された有核細胞を洗い流す剪断力が低下するため、また多くの回収液が残留して回収率が低下するため好ましくないからである。従って、好ましい材質としては、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられるが、硬質かつ医療用途に適したものであればこれらに限定されない。
【0016】
本発明に用いるフィルターの濾材として用いる多孔質体は、水不溶性であればいかなる材質でも使用可能であるが、成形性、滅菌性に優れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン等の金属があげられる。
また、これらの濾材はこのままでも用いられるが、必要に応じ、アミノ酸、ペプチド、糖タンパク(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)といった、特定の細胞に親和性のあるリガンドを固定してもよい。さらに、フィルターに血小板通過性を付与する場合、例えば特許文献7で提案されているように、ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とする合成高分子等で濾材表面を改質してもよい。
濾材の形状としては、粒状、繊維塊、織布、不織布、平板、スポンジ状構造体等があげられるが、体積あたりの表面積が大きいという点で不織布、スポンジ状構造体が好ましい。
【0017】
本発明に用いるフィルターの濾材として用いる多孔質体としては、有核細胞捕捉材および回収液整流化材からなり、フィルターの細胞含有液の入口側から出口側に向かってこの順に充填されている。
【0018】
本発明で言う有核細胞捕捉材とは、細胞含有液中の有核細胞を捕捉し、除去対象細胞は通過させる機能を有する濾材を言う。有核細胞捕捉材としての多孔質体が不織布の場合、平均繊維径が1.1〜3.0μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmであることが好ましい。平均繊維径が1.1μmを下回り充填密度が0.3を上回る場合、有核細胞が有核細胞捕捉材の上流付近だけで捕捉され、濾材の細孔を短時間で閉塞するため、濾過流速が遅くなり、また有核細胞の剥離効率が低下して回収率の低下を招くため好ましくない。一方、平均繊維径が3.0μmを上回り充填密度が0.1μmを下回る場合、有核細胞を十分捕捉できず、濾過時下流に配置された回収液整流化材に到達して濾材の細孔を閉塞するため、濾過流速が遅くなり、また有核細胞の剥離効率が低下して回収率の低下を招くため好ましくない。
【0019】
また、有核細胞捕捉材としての多孔質体がスポンジ状構造の場合、充填時の平均孔径が7〜25μm、充填時の空隙率が55〜90%であることが好ましい。平均孔径が7μmを下回り充填時の空隙率が55を下回る場合、有核細胞が有核細胞捕捉材の上流付近だけで捕捉され、濾材の細孔を短時間で閉塞するため、濾過流速が遅くなり、また有核細胞の剥離効率が低下して回収率の低下を招くため好ましくない。一方、平均孔径が25μmを上回り充填時の空隙率が90%を上回る場合、有核細胞を十分捕捉できず、濾過時下流に配置された回収液整流化材に到達して濾材の細孔を閉塞するため、濾過時の細胞含有液の流速が遅くなり、また有核細胞の剥離効率が低下して回収率の低下を招くため好ましくない。
【0020】
本発明で言う回収液整流化材とは、回収液をフィルターに導入する際、濾材の抵抗により細胞含有液をフィルターの濾過部に均一に広がらせる機能を有する濾材を言う。有核細胞捕捉材としての多孔質体が不織布の場合、平均繊維径が0.5〜1.5μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmであることが好ましい。平均繊維径が0.5μmを下回り充填密度が0.3を上回る場合、濾材の抵抗が大きくなり回収液の流速が低下するため捕捉された有核細胞の剥離率が低下し、回収率が低下するため好ましくない。一方、平均繊維径が1.5μmを上回り充填密度が0.1μmを下回る場合、濾材の抵抗が小さく回収液が均一に広がらないため有核細胞の回収率が低下するため好ましくない。
【0021】
また、回収液整流化材としての多孔質体がスポンジ状構造体の場合、充填時の平均孔径が2〜10μm、充填時の空隙率が55〜90%であることが好ましい。平均孔径が2μmを下回り充填時の空隙率が55を下回る場合、濾材の抵抗が大きくなり回収液の流速が低下するため捕捉された有核細胞の剥離率が低下し、回収率が低下するため好ましくない。一方、平均孔径が10μmを上回り充填時の空隙率が90%を上回る場合、濾材の抵抗が小さく回収液が均一に広がらず有核細胞の回収率が低下するため好ましくない。
【0022】
本発明においては、有核細胞捕捉材と回収液整流化材とを特定の方向に配置して併用することが特に重要であり、上記の有核細胞捕捉材と回収液整流化材が、フィルターの細胞含有液の入口側から出口側に向かってこの順に充填されていることが必要である。これにより、回収液の流れが均一となり、捕捉細胞の回収効率を高めることができる。
【0023】
また、本発明においては、前記二種の材の他に凝集塊捕捉材を加えることも好ましく、フィルターの細胞含有液のもっとも入口側に凝集塊捕捉材を充填して用いることができる。
本発明で言う凝集塊捕捉材とは、有核細胞捕捉材の細胞含有液入口側に充填され、細胞含有液中のフィブリン塊、血餅、活性化血小板や破壊した顆粒球などの細胞凝集物を捕捉し、濾過時の流速低下と有核細胞回収率低下を抑制する機能を有する濾材を言う。凝集塊捕捉材としての多孔質体が不織布の場合、平均繊維径が5〜20μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmであることが好ましい。平均繊維径が5μmを下回り充填密度が0.3を上回る場合、凝集塊だけでなく有核細胞や除去対象細胞も捕捉され、濾材の細孔を閉塞するため、濾過流速が遅くなり、また有核細胞は凝集塊に取り込まれて回収率の低下を招くため好ましくない。一方、平均繊維径が20μmを上回り充填密度が0.1μmを下回る場合、凝集塊を十分捕捉できず、濾過時下流に配置された有核細胞捕捉材に到達して有核細胞捕捉材の細孔を閉塞するため、濾過流速が遅くなり、また有核細胞は凝集塊に取り込まれて回収率の低下を招くため好ましくない。
また、凝集塊捕捉材としての多孔質体がスポンジ状構造体の場合、充填時の平均孔径が60〜150μm、充填時の空隙率が55〜90%であることが好ましい。平均孔径が60μmを下回り充填時の空隙率が55を下回る場合、凝集塊だけでなく有核細胞や除去対象細胞も捕捉され、濾材の細孔を閉塞するため、濾過時の細胞含有液の流速が遅くなり、また有核細胞は凝集塊に取り込まれて回収率の低下を招くため好ましくない。一方、平均孔径が150μmを上回り充填時の空隙率が90%を上回る場合、凝集塊を十分捕捉できず、濾過時下流に配置された有核細胞捕捉材に到達して有核細胞捕捉材の細孔を閉塞するため、濾過流速が遅くなり、また有核細胞は凝集塊に取り込まれて回収率の低下を招くため好ましくない。
【0024】
本発明における平均繊維径とは、以下の手順に従って求められる値をいう。即ち多孔質構造体を構成する、実質的に均一と認められるフィルター要素の一部をサンプリングし、走査型電子顕微鏡などを用いて、1000〜3000倍の倍率で写真に撮る。サンプリングに際しては、フィルター要素の有効濾過断面積部分を、一辺が0.5〜1cmの正方形によって区分し、その中から3ヶ所以上、好ましくは5ヶ所以上をランダムサンプリングする。ランダムサンプリングするには、例えば上記各区分に番地を指定した後、乱数表を使うなどの方法で、必要ヶ所以上の区分を選べばよい。またサンプリングした各区分について、3ヶ所以上、好ましくは5ヶ所以上を写真に撮る。このようにして得た写真について、写っている全ての繊維の直径を測定する。ここで直径とは、繊維軸に対して直角方向の繊維の幅をいう。測定した全ての繊維の直径の和を、繊維の数で割った値を平均繊維径とする。但し、複数の繊維が重なり合っており、他の繊維の陰になってその幅が測定できない場合、また複数の繊維が溶融するなどして、太い繊維になっている場合、更に著しく直径の異なる繊維が混在している場合、等々の場合には、これらのデータは削除する。以上の方法により、500本以上、好ましくは1000本以上のデータにより平均繊維径を求める。
【0025】
本発明における平均孔径とは、多孔質構造体を血液の流れ方向に対して垂直に切断し、断面全体に分散している細孔の各々について面積を測定して円に換算した直径を求め、直径と細孔の数との関係を調べたときに、円に換算した直径が最も数の多いところを表すものである。即ち、多孔質構造体の任意の切断面に分散する細孔は色々な形で、その直径もさまざまであるが、個々の細孔をその細孔の断面積と同じ面積の円に換算し、その直径を0.1μm間隔で横軸にとり、縦軸にその区間の(0.1μmごとの)細孔数をそれぞれとってグラフに曲線を描くと一般に正規分布に近い曲線になる。その曲線のピークに当たる直径が本発明でいう平均孔径である。具体的には平均孔径の測定は走査型電子顕微鏡で捕捉材の表面を撮影し、目視により撮影面上に分散している細孔の直径をランダムに2000個以上測定して求める。平均孔径以上の細孔は数が少なくなることを表すものであって、これ以上の直径の粒子は通過しないというものではない。又、多孔質構造体の平均孔径を求める際に、細孔の直径を測定することが困難な場合には、多孔質構造体表面から捕捉材の厚み方向に対して0.5mm以下の部分で血液の流れ方向に対しできるだけ垂直に切断したある厚みを持った検体を水銀圧入法(島津製作所、ポアサイザ9320)で測定し、水銀が多孔質構造体の細孔に全く入っていない状態を水銀圧入量0%、多孔質素子のすべての細孔に入っている状態を水銀圧入量100%とした時、水銀圧入量50%に当たる点が本発明でいう平均孔径である。尚、水銀ポロシメーターでの測定は1〜1000psiaの圧力範囲で測定する。非常に柔軟なためそのままでは水銀ポロシメーターで測定する際に変形を受け、細孔が検出できないような多孔質構造体であっても、細孔が圧変形されないように固定化する等の予備調整を施すことにより上記測定が可能となる多孔質構造体も本発明に含まれる。
【0026】
本発明においては、有核細胞捕捉材と回収液整流化材を特定方向に充填したフィルターを使用する必要があるが、同時に、フィルターの有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値が15〜120cmであるフィルターを用いることも必要である。この値が120cmを超える場合、有核細胞捕捉材の厚みに対して有効濾過面積が広すぎて回収時に回収液が濾過部に均一に広がらず、有核細胞の回収率低下を招くため好ましくない。一方、この値が15cmを下回る場合、有効濾過面積が狭く有核細胞捕捉材が厚いため濾過時の流速低下を招く。また、回収液をフィルターに導入する際の抵抗が大きいため、回収液の流速が低下して有核細胞の回収率低下を招くため好ましくない。
【0027】
本発明で用いる回収液としては、有核細胞の損傷が少なく、且つ高率に回収可能なものが好ましい。好ましいものを例示すると、市販の生理食塩液、PBS(リン酸緩衝液)やHBSS(ハンクス液)等の緩衝液、RPMI1640等の細胞培養用培地、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の合成高分子溶液、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン、キチン誘導体、コラーゲン、フィブロネクチン、アルブミン、グロブリン等の天然高分子溶液、グルコース、サッカロース、マルトース、ソルビトール、グリセリン、ジメチルスルホキシド等の有機物溶液及びこれらの混合物が挙げられる。また、2価カチオンを除去して細胞剥離を容易にする目的でキレート剤が含有されていてもよい。デキストランやヒドロキシエチルスターチ等の高分子溶液は凍害保護剤としても機能するため、そのまま或いはDMSO等の凍害保護剤を更に添加することで凍結保存も可能である上、生食等に比し粘性を上げることができ、回収時の剪断力を向上できるため、我々の評価では好結果を得ており、回収液としてより好ましい。
【0028】
本発明で行う回収方法としては、特に限定しないが、回収液の流速は剪断力を高め、有核細胞を高率で回収するためにできるだけ高速が好ましいが、内圧上昇によるフィルターとチューブ等の接続部のはずれや、有核細胞へのダメージを起こさない流速に制御することが好ましい。また、回収液をフィルターに導入する手段は、シリンジポンプ、ブラッドポンプ、ペリスタポンプ等の装置を用いるものや、簡便法としてシリンジを手で押す方法、液体を貯留したバッグを押しつぶして液流を惹起する方法、落差処理等が挙げられる。更に、有核細胞の回収率をより高めるために、フィルターに振動を加えるとか、ストップドフロー等を行ってもよい。
【0029】
本発明において、除去対象細胞をより多く除去するために濾過後にリンスしてもよい。リンス液としては、有核細胞が漏洩しにくく、除去対象細胞が洗い流されるものが好ましい。例えば、市販の生理食塩液またはD−PBS(ダルベッコリン酸緩衝液)やHBSS(ハンクス液)等の緩衝液が挙げられ、それらにアルブミン等の蛋白質が含有されていてもよい。また、リンスする際の流速は特に限定しないが、有核細胞を濾材の上流側に留めておき、また細孔の奥への入り込みを防ぐために、できるだけ低速が好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例は臍帯血から単核球を分離する方法について例示する。
【実施例1】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
上容器と下容器からなり、組み立てた後の内寸が縦43mm、横43mm、高さ2.9mm(有効濾過断面積18.5cm、内容積7cm)で液体流出口と液体流入口を最長対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側から、第1層目に平均繊維径1.7μmのポリエステル不織布1.37gを、第2層目に平均繊維径1.1μmのポリエステル不織布0.19gを、上容器と下容器の周辺で挟み込むように充填して容器入口側空間と出口側空間に分離した。尚、第一層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ2.5mm及び0.24g/cm、第2層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ0.4mm及び0.20g/cmであり、有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は74cmであった。また、該細胞分離フィルターに血小板通過性を付与する目的で、親水性ポリマーのコーティングを行った。即ち、ヒドロキシエチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(モル比で97:3)の1%エタノール溶液を該細胞分離フィルターの液体流入口から通液し、窒素ガスで余分なポリマー溶液をパージした後、60℃で8時間以上真空乾燥機で乾燥させた。
▲2▼細胞分離操作
細胞分離フィルターに、CPD加ヒト臍帯血100cm3を細胞含有液の入口から落差により通液して単核球を捕捉した。濾過した血液はドレインボトルに回収した。その後、市販の10%デキストラン生理食塩水溶液(小林製薬「デキストラン40注」)にヒト血清アルブミンを3%になるように添加した液体19cmとエアー18cmをシリンジに充填し、細胞含有液の出口から手動で通液し、細胞含有液の入口から単核球を回収した。この場合の回収された細胞液量は23cm、回収に要した時間は2秒(流速570cm/分)であった。
▲3▼分析
本細胞分離操作での細胞数のカウントは多項目自動血球分析装置(シスメックス社SF3000)を用いて測定し、単核球回収率を以下の計算式にて算出した。
単核球回収率(%)=100×(回収細胞液中の単核球数/臍帯血中の単核球数)
▲4▼結果
本細胞分離操作での単核球回収率は85%、濾過時間は6分であった。
【0031】
【実施例2】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
上容器と下容器からなり、組み立てた後の内寸が縦30mm、横30mm、高さ12.4mm(有効濾過断面積9cm、内容積11cm)で液体流出口と液体流入口を最長対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側から、第1層目に平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布1.32gを、第2層目に平均繊維径1.1μmのポリエステル不織布0.19gを、上容器と下容器の周辺で挟み込むように充填して容器入口側空間と出口側空間に分離した。尚、第1層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ5.4mm及び0.20g/cm、第2層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ7mm及び0.20g/cmであり、有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は16.7cmであった。また、実施例1と同様に、不織布に親水性ポリマーのコーティングを行った。
▲2▼細胞分離操作
実施例1と同様の細胞分離を行った。回収された細胞液量は21cmで、回収に要した時間は3秒(流速380cm/分)であった。
▲3▼結果
本細胞分離操作での単核球回収率は75%、濾過時間は10分(流速10cm/分)であった。
【0032】
【実施例3】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
容器は実施例1と同じものを用いた。容器の入口側から、第1層目に平均繊維径12μmのポリエステル不織布0.14gを、第2層目に1.7μmのポリエステル不織布1.28gを、第3層目に平均繊維径1.1μmのポリエステル不織布0.19gを充填した。尚、第1層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ0.3mm及び0.20g/cm、第2層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ2.2mm及び0.24g/cm、第3層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ0.4mm及び0.20g/cmであり、有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は84.1cmであった。また、実施例1同様不織布に親水性ポリマーのコーティングを行った。
▲2▼細胞分離操作
実施例1と同様の細胞分離を行った。回収された細胞液量は23cmで、回収に要した時間は2秒(流速570cm/分)であった。
▲3▼結果
本細胞分離操作での単核球回収率は88%、濾過時間は4分(流速25cm/分)であった。
【0033】
【実施例4】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
容器は実施例1と同じものを用いた。容器の入口側から、第1層目に充填時の平均孔径12μmのポリウレタン多孔質体を、第2層目に充填時の平均孔径6μmのポリウレタン多孔質体を充填した。尚、第1層目の充填時厚み及び充填時空隙率はそれぞれ2.2mm及び60%、第2層目の充填時厚み及び充填時空隙率はそれぞれ0.7mm及び60%であった。有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は74であった。また、実施例1同様ポリウレタン多孔質体に親水性ポリマーのコーティングを行った。
▲2▼細胞分離操作
実施例1と同様の細胞分離を行った。回収された細胞液量は23cmで、回収に要した時間は3秒(流速380cm/分)であった。
▲3▼結果
本細胞分離操作での単核球回収率は84%、濾過時間は6分(流速16.7cm/分)であった。
【0034】
【比較例1】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
容器は実施例1と同じものを用いた。濾材としては1.7μmのポリエステル不織布1.67gを充填した。尚、濾材の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ2.9mm及び0.25g/cmであり、有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は62.1cmであった。また、実施例1同様不織布に親水性ポリマーのコーティングを行った。
▲2▼細胞分離操作
実施例1と同様の細胞分離を行った。回収された細胞液量は23cmで、回収に要した時間は3秒(流速380cm/分)であった。
▲3▼結果
本細胞分離操作での単核球回収率は65%、濾過時間は7分(流速14.3cm/分)であった。
【0035】
【比較例2】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
上容器と下容器からなり、組み立てた後の内寸が縦22mm、横22mm、高さ12.4mm(有効濾過断面積5.3cm、内容積7cm)で液体流出口と液体流入口を最長対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側から、第1層目に平均繊維径1.7μmのポリエステル不織布1.50gを、第2層目に1.1μmのポリエステル不織布0.30gを充填した。尚、第一層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ10mm及び0.24g/cm、 第2層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ2.4mm及び0.20g/cmであり、有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は5.3cmであった。また、実施例1同様不織布に親水性ポリマーのコーティングを行った。
▲2▼細胞分離操作
実施例1と同様の細胞分離を行ったが、濾過開始後急激に流速が低下し、30分を過ぎたところで1時間以上経過しても濾過が完了しなかった。
【0036】
【比較例3】
▲1▼細胞分離フィルターの作製
上容器と下容器からなり、組み立てた後の内寸が縦74.2mm、横74.2mm、高さ3mm(有効濾過断面積55cm、内容積16cm)で液体流出口と液体流入口を最長対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側から、第1層目に平均繊維径1.7μmのポリエステル不織布3.61gを、第2層目に1.1μmのポリエステル不織布0.58gを充填した。尚、第一層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ2.5mm及び0.24g/cm、 第2層目の充填時厚み及び充填密度はそれぞれ0.5mm及び0.20g/cmであり、有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値は220cmであった。また、実施例1同様不織布に親水性ポリマーのコーティングを行った。
▲2▼細胞分離操作
実施例1と同様の細胞分離を行った。回収された細胞液量は21cmで、回収に要した時間は3秒(流速380cm/分)であった。
▲3▼結果
本細胞分離操作での単核球回収率は55%、濾過時間は4分(流速33.3cm/分)であった。
【0037】
実施例及び比較例の結果を表1にまとめた。
【表1】
Figure 2004329034
【0038】
【本発明の効果】
本発明の有核細胞の分離方法を用いることにより、細胞含有液の濾過流速の低下を抑制しながら、細胞含有液から有核細胞を安定して高率に回収し、しかも、より少ない液量で簡便に目的細胞を回収することができる。

Claims (7)

  1. 有核細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を、有核細胞を実質的に捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過するフィルターに導入し、除去対象細胞含有液を該フィルターから排出させた後、該フィルターに回収液を導入して該フィルターに捕捉されている有核細胞を回収する有核細胞の分離方法において、フィルターとして、少なくとも細胞含有液の入口と出口を有する容器内に多孔質体からなる有核細胞捕捉材および回収液整流化材が細胞含有液の入口側から出口側に向かってこの順に充填され、該フィルターの有効濾過面積を充填時の有核細胞捕捉材の厚みで除した値が15〜120cmであるフィルターを用い、細胞含有液の入口から細胞含有液をフィルターに導入して有核細胞をフィルター内に捕捉し、除去対象細胞含有液を該フィルターから排出させた後、細胞含有液の出口側から回収液を導入して該フィルターに捕捉されている有核細胞を細胞含有液の入口側から回収することを特徴とした有核細胞の分離方法。
  2. 前記有核細胞捕捉材の細胞含有液入口側に更に凝集塊捕捉材が充填されている請求項1記載の有核細胞の分離方法。
  3. 多孔質体が不織布である請求項1または2記載の有核細胞の分離方法。
  4. 不織布からなる有核細胞捕捉材および回収液整流化材が、夫々、
    ア)平均繊維径が1.1〜3.0μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmである不織布からなる有核細胞捕捉材、
    イ)平均繊維径が0.5〜1.5μm、充填密度が0.1〜0.3g/cmである不織布からなる回収液整流化材、
    であり、有核細胞捕捉材、回収液整流化材の順番に平均繊維径が細くなることを特徴とする請求項3記載の有核細胞の分離方法。
  5. 多孔質体がスポンジ状構造体である請求項1または2記載の有核細胞の分離方法。
  6. スポンジ状構造体からなる有核細胞捕捉材および回収液整流化材が、夫々、
    ア)充填時の平均孔径が7〜25μm、充填時の空隙率が55〜90%であるスポンジ状構造体からなる有核細胞捕捉材、
    イ)充填時の平均孔径が2〜10μm、充填時の空隙率が55〜90%であるスポンジ状構造体からなる回収液整流化材、
    であり、有核細胞捕捉材、回収液整流化材の順番に平均孔径が小さくなることを特徴とする請求項5記載の有核細胞の分離方法。
  7. 多孔質体が不織布とスポンジ状構造体との組み合せである請求項1記載の有核細胞の分離方法。
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