JP2004328907A - 託送電力の需要予測方法と装置、そのためのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】事業者が託送によって需要設備に対して電力を供給する際に、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合や、実績データの十分な蓄積がない場合でも、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことを可能にする。
【解決手段】定期需要予測部202は、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、指定された予測対象日(予測対象期間)に対して各需要設備毎に30分毎の需要電力量予測値を計算して需要電力量予測データDP1〜DP4を生成、表示する。ゾーン需要計算部205は、定期需要予測部202により得られた需要電力量予測データDP1〜DP4の総和をゾーン毎に計算して、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2を算出する。
【選択図】 図2
【解決手段】定期需要予測部202は、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、指定された予測対象日(予測対象期間)に対して各需要設備毎に30分毎の需要電力量予測値を計算して需要電力量予測データDP1〜DP4を生成、表示する。ゾーン需要計算部205は、定期需要予測部202により得られた需要電力量予測データDP1〜DP4の総和をゾーン毎に計算して、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2を算出する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定規模電気事業者が電力会社の送電線を利用して発電設備から需要設備に対して電力の託送を行う際、あるいは電力会社が他電力会社の管内にある需要設備に対して振替供給によって電力を供給する際に、電力会社へ提出する発電計画、ならびに受電地点および供給地点における通告電力量を計算するために必要となる需要予測方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力会社の中央給電指令所で行われている電力需要予測では、管内の電力系統全体の需要を計算している(例えば、特許文献1参照)が、この手法を託送電力の需要予測に適用すると、新しい需要設備が追加された場合、あるいは今まで電力供給を行っていた需要設備に対して電力を供給する必要がなくなった場合等に、適切な需要予測が行えないという問題点があった。また、予測に用いる過去の需要実績データの十分な蓄積がない場合にも、需要予測が適切に行えないという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】
特願2001−212778
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、電気事業者が託送によって需要設備に対して電力を供給する際に、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合や、実績データの十分な蓄積がない場合でも、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことが可能な託送電力の需要予測方法と装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような目的を達成するために、計測時間区間毎に各需要設備毎に計測された電力の需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する需要予測値等の指標値を取得し、指標値の総和をゾーン毎に計算することにより、少なくとも1つの電力会社の電力需要・供給用ゾーンにおける需要電力量予測値を、そのゾーンにおける各需要設備の特徴を考慮して精度よく求めることができるようにしたものである。
【0006】
なお、本発明において、重要な用語の定義は次の通りである。
「ゾーン」とは、会社間連系点により連系される単位となる各電力会社の送電設備に対応する電力需要・供給用の範囲を意味している。
「各需要設備毎の需要を表現する指標値」とは、各需要設備毎の需要を表現する各種の値を意味する用語であり、需要設備における需要予測値だけでなく、それを求めるために計測された需要実績値も含む広い概念である。
【0007】
請求項1の発明は、単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測する方法において、需要指標値取得ステップとゾーン需要計算ステップを含むことを特徴としている。ここで、需要指標値取得ステップは、需要設備に対して供給される託送電力を予め設定された計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する指標値を取得するステップである。また、ゾーン需要計算ステップは、各需要設備毎に得られた指標値の総和をゾーン毎に計算するステップである。
【0008】
請求項16の発明は、請求項1の発明を装置の観点から把握したものであり、単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測する装置において、請求項1の発明における各ステップに対応する各機能を有する需要家需要取得手段とゾーン需要計算手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項17の発明は、請求項1、請求項16の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであり、単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測するためのプログラムにおいて、請求項1の発明における各ステップに対応する需要家需要取得機能とゾーン需要計算機能をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の託送電力の需要予測方法において、需要指標値取得ステップが、各需要設備毎に計測時間区間毎の指標値を取得するステップを含むことを特徴としている。
【0011】
以上のような発明によれば、需要設備に供給される電力を計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値を用いて、各需要設備毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そのため、需要設備の需要予測値の総和をゾーン毎に計算することにより、ゾーン毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そして、このように、ゾーン毎の高精度な需要予測を実現できることから、発電コストを考慮した複数の発電設備の発電計画を精度よく作成することができる。特に、請求項2に記載のように、需要設備毎に計測時間区間毎の需要予測値を求めることにより、各計測時間区間毎に詳細な需要予測が可能となり、予測精度をさらに向上できる。
【0012】
また、計測時間区間毎に計測して得られた各需要設備毎の需要実績値を用いることから、新しい需要設備が追加された場合、あるいは今まで電力供給を行っていた需要設備に対して電力を供給する必要がなくなった場合でも、そのような需要設備の追加・削除は、各需要設備毎の需要実績値に直ちに反映される。したがって、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合でも、そのような変化に迅速に対応しながら、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことができる。
【0013】
また、計測時間区間毎に需要実績値をリアルタイムで着実に蓄積することができるため、実績データの十分な蓄積がない場合でも、現在時刻以前の計測時間区間の需要実績値に基づき、需要設備の電力需要予測を精度よく行うことができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の託送電力の需要予測方法において、需要指標値取得ステップが、需要予測を実行する現在時刻以降の指定された予測対象期間の需要予測値を指標値として各需要設備毎に取得するために、要因比較型の需要予測計算ステップを含むことを特徴としている。ここで、要因比較型の需要予測計算ステップは、統計学的に当該需要設備の需要を変動させるものと推測される要因を変動要因とした場合に、当該変動要因の過去の実績内容を表現する変動要因実績情報と前記需要実績値、および当該予測対象期間における当該変動要因の予想内容または確定内容を表現する変動要因予想情報、という複数種類の情報を用いて、当該予測対象期間の需要予測値を計算するステップである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3の託送電力の需要予測方法において、要因比較型の需要予測計算ステップが、予測対象期間に対して前記各需要設備毎に行う一連のステップとして、最大・最小需要予測計算ステップ、類似期間検索ステップ、需要予測曲線計算ステップ、を含むことを特徴としている。ここで、最大・最小需要予測計算ステップは、当該需要設備における当該予測対象期間以前の変動要因実績情報と需要実績値、および当該予測対象期間の変動要因予想情報という複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間の最大需要予測値と最小需要予測値を計算するステップである。また、類似期間検索ステップは、当該需要設備における当該予測対象期間以前の変動要因実績情報と当該予測対象期間の変動要因予想情報という複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間に最も類似した過去の期間を類似期間として検索するステップである。さらに、需要予測曲線計算ステップは、当該需要設備に対して得られた最大需要予測値と最小需要予測値、および当該需要設備に対して検索された類似期間の需要実績値を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間の需要予測曲線を計算するステップである。
【0016】
以上のような発明によれば、各需要設備毎に、予測対象期間における変動要因の予想内容や確定内容を過去における変動要因の実績内容と比較して、変動要因の内容が最も類似する過去の期間における需要実績値から予測対象期間の需要予測値を精度よく求めることができる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の託送電力の需要予測方法において、予測対象期間が、需要予測を実行する当日に対して、翌日、翌日以降の1週間、当日、という選択肢の中から選択された期間であることを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5の託送電力の需要予測方法において、要因比較型の需要予測計算ステップが当日需要予測計算ステップを含むことを特徴としている。ここで、当日需要予測計算ステップは、予測対象期間が当日である場合に、各需要設備毎に、当該需要設備における前日までの変動要因実績情報と需要実績値、および当日の変動要因予想情報、という前日までに得られた情報に、当日の現在時刻までに得られた最新の変動要因予想情報を加えた複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当日の需要予測値を計算するステップである。
【0019】
以上のような発明によれば、翌日需要予測、翌週の週間需要予測、当日需要予測を行うことができる。翌日需要予測や週間需要予測を行う場合には、各需要設備毎に、当該需要設備における予測対象期間の前日、すなわち、需要予測を実行する当日の現在時刻までに得られた変動要因実績情報と需要実績値、および予測対象期間である翌日または翌週の変動要因予想情報、という複数種類の情報を用いて需要予測を行うことができる。
【0020】
これに対し、当日需要予測を行う場合には、請求項6に記載のように、前日終日までの完全な変動要因実績情報と需要実績値が得られることに加え、当日の現在時刻までに得られた最新の、より精度の向上した変動要因予想情報を加えた情報を用いることができるため、翌日需要予測や翌週需要予測に比べてさらに精度の高い需要予測を行うことができる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項3乃至請求項6のいずれかの託送電力の需要予測方法において、変動要因実績情報および変動要因予想情報が、気象、イベント、曜日、の中から選択された変動要因に関する情報を含むことを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、各種の需要設備の需要に対して大きく影響する一般的な変動要因であるところの、気象、イベント、曜日、等の情報を用いて、需要予測を精度よく行うことができる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法において、需要予測修正ステップを含むことを特徴としている。ここで、需要予測修正ステップは、需要予測を実行する現在時刻以降の指定された予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、現在時刻以前の予め与えられた需要予測値が存在する期間を参照期間として、当該予測対象期間の需要予測値を、当該参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正するステップである。
【0024】
請求項9の発明は、請求項8の託送電力の需要予測方法において、需要予測修正ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、需要予測ステップは、需要指標値取得ステップにより、予測対象期間の需要予測値を、当該需要設備における参照期間の需要実績値と需要予測値の比率に応じて修正するステップと、ゾーン需要計算ステップにより、当該予測対象期間に対して各需要設備毎に得られた修正後の需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップを含む。
【0025】
請求項10の発明は、請求項8または請求項9の託送電力の需要予測方法において、需要予測修正ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、需要予測修正ステップは、ゾーン需要計算ステップにより、予測対象期間に対して各需要設備毎に予め与えられた需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップ、需要指標値取得ステップとゾーン需要計算ステップにより、各需要設備毎に当該需要設備の需要実績値を取得し、得られた需要実績値の総和をゾーン毎に計算するステップ、ゾーン毎に得られた予測対象期間の需要予測値の総和を、ゾーン毎に得られた参照期間における需要実績値の総和と需要予測値の総和の比率に応じて修正するステップ、を含む。
【0026】
以上のような発明によれば、予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、予測対象期間のその需要予測値を、最新の参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正することができる。したがって、予め予測していた需要予測値と実際の需要実績値との差が大きい場合においても、その差異を考慮して予測対象期間の需要予測値を予測対象期間の直前の時点で精度よく修正することができるため、精度の高い需要予測が可能となる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれかの託送電力の需要予測方法において、リアルタイム需要予測ステップを含むことを特徴としている。ここで、リアルタイム需要予測ステップは、需要予測を実行する現在時刻を含む指定された予測対象期間に対して、当該予測対象期間における現在時刻までの需要実績値の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻以降の需要予測値と現在時刻までの需要実績値を用いて、当該予測対象期間における需要予測値を計算するステップである。
【0028】
請求項12の発明は、請求項11の託送電力の需要予測方法において、リアルタイム需要予測ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、リアルタイム需要予測ステップは、需要指標値取得ステップにより、各需要設備毎に、予測対象期間における現在時刻までの当該需要設備の需要実績値の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻以降の需要予測値と現在時刻までの需要実績値を用いて、当該予測対象期間における需要予測値を計算するステップと、ゾーン需要計算ステップにより、各需要設備毎に得られた予測対象期間の需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップ、を含む。
【0029】
請求項13の発明は、請求項11または請求項12の託送電力の需要予測方法において、リアルタイム需要予測ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、リアルタイム需要予測ステップは、需要指標値取得ステップとゾーン需要計算ステップにより、各需要設備毎に、予測対象期間における現在時刻までの当該需要設備の需要実績値を得て、得られた需要実績値の総和をゾーン毎に計算するステップと、ゾーン毎に得られた予測対象期間における需要実績値の総和の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値の総和を外挿によってゾーン毎に計算し、ゾーン毎に得られた現在時刻以降の需要予測値の総和と現在時刻までの需要実績値の総和を用いて、当該予測対象期間における需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップ、を含む。
【0030】
以上のような発明によれば、現在時刻を含む予測対象期間内の需要予測を、予測対象期間内における現在時刻までの需要実績値の時系列データを利用して、リアルタイムで行うことができる。したがって、このリアルタイム需要予測により得られた需要予測値と、当日または前日までに得られた既存の需要予測値とを比較してその差分を判定することにより、同時同量制御を適切に行うことができる。
【0031】
請求項14の発明は、請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法において、比較ステップを含むことを特徴としている。ここで、比較ステップは、予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、当該需要予測値と、当該予測対象期間に対して需要予測修正ステップまたはリアルタイム需要予測ステップにより新たに得られた需要予測値とを比較して、その差分が予め設定されたしきい値を超えている場合に、アラームを出力するステップである。
【0032】
この発明によれば、予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、その需要予測値と、最新の需要実績値に基づいて新たに得られた需要予測値とを比較して、その差分が大きい場合には、自動的にアラームを出力し、特定規模電気事業者に警告することができるため、見落としによる同時同量制約違反の防止に貢献できる。
【0033】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項14のいずれかの託送電力の需要予測方法において、計測時間区間が30分間であることを特徴としている。この発明によれば、30分の計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値を用いて、需要予測値を精度よく求めることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明に係る託送電力の需要予測方法と装置、プログラムの実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0035】
[1.システム構成]
図1は、本発明を適用した電力託送システム10の概要を示すシステム構成図である。なお、この図1においては、説明の簡略化の観点から、一例として、特定規模電気事業者が、2つの電力会社に対応する2つのゾーンZ1,Z2の送電線を利用して発電設備から需要設備に対する電力の託送を行う場合を示している。なお、本明細書中において、「ゾーン」は、各電力会社の電力需要・供給対象地域を示す用語である。
【0036】
図1の電力託送システム10は、電力系統100、発電ユニット111〜113、需要ユニット121〜124、需要予測装置130、を備えている。各部の詳細は次の通りである。
【0037】
電力系統100は、2つの電力会社に対応する2つのゾーンZ1,Z2にそれぞれ含まれる送電線等の送電設備101,102と、これらの送電設備101,102間を連系する会社間連系点を含む会社間連系線103から構成されている。
【0038】
発電ユニット111〜113は、電力系統100に連系されており、これらの発電ユニット111〜113はすべて、一方の電力会社に対応する第1のゾーンZ1内に配置されている。そして、特定規模電気事業者は、これらの発電ユニット111〜113を利用して、各電力会社に対応するゾーンZ1,Z2に位置する各需要家(特定規模需要家)の需要設備L1〜L4に対して電力を供給するようになっている。
【0039】
発電ユニット111〜113は、発電設備G1〜G3、各発電設備G1〜G3から出力される電力(発電出力値)をコントロール可能な制御装置GC1〜GC3、各発電設備G1〜G3から出力される電力および電力量を計測する計測器GM1〜GM3、をそれぞれ備えている。
【0040】
ここで、制御装置GC1〜GC3は、例えば、少なくとも1台のコンピュータと何らかの通信インタフェース、すなわち、イントラネット、WAN(Wide Area Network)、あるいはインターネット等の通信ネットワークNに対する通信インタフェース(通信I/F;例えば、ルータ等)を含む。
【0041】
また、各計測器GM1〜GM3は、対応する各発電設備G1〜G3から対応するゾーンZ1の送電設備を介して出力される電力(すなわち、対応するゾーンZ1の送電設備に受電される電力(瞬時値)、以下、受電電力と記載する)および電力量(以下、受電電力量と記載)を周期的に計測するようになっている。各計測器GM1〜GM3は、通信ネットワークNに対する通信I/Fを内蔵している。
【0042】
以上のように、制御装置GC1〜GC3と計測器GM1〜GM3は、通信ネットワークNに対する通信I/Fを備えており、通信ネットワークNを介して他の制御機器とデータ通信可能になっている。なお、ここでは、制御装置GC1〜GC3と計測器GM1〜GM3が通信I/Fを個別に備えている場合について説明したが、通信I/Fは、制御装置GC1〜GC3と計測器GM1〜GM3のどちらか一方に配置される、いわゆる共用タイプであってもよい。
【0043】
需要ユニット121〜124、各電力会社に対応する2つのゾーンZ1,Z2に位置する需要家(特定規模需要家)の特定規模電力需要用の需要設備L1〜L4と、各需要設備L1〜L4に対して供給される電力および電力量を計測する計測器LM1〜LM4、をそれぞれ備えている。
【0044】
ここで、各計測器LM1〜LM4は、対応する需要設備L1〜L4に対して供給される供給電力(瞬時値)および供給電力量を周期的に計測するようになっている。各計測器LM1〜LM4は、通信ネットワークNに対する通信I/Fを内蔵しており、通信ネットワークNを介して他の制御機器とデータ通信可能になっている。
【0045】
需要予測装置130は、各発電ユニット111〜113および各需要ユニット121〜124と通信ネットワークNを介して通信することにより、各発電ユニット111〜113から出力された受電電力を、2つの送電設備101,102を介して需要ユニット121〜124に対し、各電力会社の接続供給あるいは振替供給を利用して託送・供給するようになっている。
【0046】
なお、本明細書中において、「各電力会社の接続供給」、「各電力会社の振替供給」の定義は、次の通りである。
【0047】
まず、「各電力会社の接続供給」とは、自社のゾーンに属する需要家の需要ユニットの用に供するための電力が自社ゾーンの発電ユニットあるいは他ゾーンに対する連系線を介して自社ゾーンの送電設備に受電された際に、同時にその受電電力量と同量の電力を、自社ゾーンの需要家の当該需要ユニットに対して供給するための同時同量制御に基づく供給方式を表現している。
【0048】
また、「各電力会社の振替供給」とは、他社のゾーン(供給先ゾーン)に属する需要家の需要ユニットの用に供するための電力が自社の送電設備により受電された際に、同時にその受電電力量(予め通告電力量として設定されている)と同量の電力を、当該供給先ゾーンに向かう会社間連系点で供給するための同時同量制御に基づく供給方式を表現している。
【0049】
そして、振替供給方式により複数の電力会社(その送電設備)を介して託送され、供給先会社に対する会社間連系点まで供給された電力は、接続供給方式により、供給先会社ゾーンの送電設備を介して上記所定ゾーンの需要家の需要ユニットに対して供給されるようになっている。
【0050】
例えば、本実施形態において、第1のゾーンZ1に含まれる第1の需要家の需要設備L1(需要ユニット121)、第2の需要家の需要設備L2(需要ユニット122)は、第1のゾーンZ1における第1、第2の発電ユニット111,112から出力された電力を、同一ゾーンZ1に含まれる送電設備101を介した接続供給により受取るようになっている。
【0051】
また、第2のゾーンZ2に含まれる第3の需要家の需要設備L3(需要ユニット123)、第4の需要家の需要設備L4(需要ユニット124)は、他ゾーンである第1のゾーンZ1における第3の発電ユニット113から出力された電力を、その第1のゾーンZ1に含まれる送電設備101を介した振替供給と、自身が含まれる第2のゾーンZ2の送電設備102を介した接続供給により受取るようになっている。
【0052】
このような機能を実現するために、需要予測装置130本体は、通信ネットワークNに対する通信I/F131、この通信I/F131に接続された需要予測処理用のコンピュータ132、このコンピュータ132が読取って実行可能な需要予測実行用のプログラムPを記憶する主メモリ133、各種のデータを記憶する記憶装置134を備えている。需要予測装置130はまた、オペレータにより必要な指示情報を入力したり、オペレータに対して処理途中や処理結果を表示したりするためのマンマシン・インタフェース装置(MMI)135を備えている。このMMI135は、具体的には、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ等の音声出力装置、等から構成される。
【0053】
そして、記憶装置134の一部には、各需要家の需要設備L1〜L4に関する需要家データを記憶する需要家データベース140が構成されている。ここで、需要家データベース140に記憶される需要家データは、各需要設備L1〜L4の契約電力、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、等を含む。
【0054】
なお、30分需要電力量実績データDD1〜DD4は、次のようにして蓄積される。すなわち、需要予測装置130は、周期的に、各需要ユニット121〜124の各計測器LM1〜LM4により計測された需要実績値、すなわち、各需要設備L1〜L4に対する供給電力を表す需要電力データ(需要電力実績データSD1〜SD4)および供給電力量を表す需要電力量データ(需要電力量実績データHD1〜HD4)を需要家データベース140に蓄積するようになっている。
【0055】
需要予測装置130はまた、蓄積された需要電力量実績データHD1〜HD4を正時から30分間毎に積算し、30分需要電力量実績データDD1〜DD4を算出して、再び需要家データベース140に蓄積するようになっている。この30分需要電力量実績データDD1〜DD4もまた、本発明における需要実績値に相当する。
【0056】
[2.需要予測装置の機能構成]
図2は、本実施形態の電力託送システム10における需要予測装置130において、主メモリ133に記憶された需要予測実行用のプログラムPとコンピュータ132により実現される機能構成の概要を示す機能ブロック図である。この図2に示すように、需要予測装置130は、データ受信・蓄積部201、定期需要予測部202、需要予測修正部203、リアルタイム需要予測・比較部204、ゾーン需要計算部205、を備えている。各部の機能の概略は次の通りである。
【0057】
データ受信・蓄積部201は、外部からの各種のデータを受信し、需要家データベース140に蓄積する手段である。すなわち、データ受信・蓄積部201は、恒常的に、各需要設備L1〜L4の需要電力実績データSD1〜SD4、需要電力量実績データHD1〜HD4、等の需要実績データを受信してこれらを蓄積すると共に、需要電力量実績データHD1〜HD4から30分需要電力量実績データDD1〜DD4を算出して蓄積するようになっている。
【0058】
データ受信・蓄積部201はまた、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、等の変動要因実績データを受信して蓄積するようになっている。データ蓄積部201はまた、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、等の変動要因予想データを受信して保存し、定期需要予測部202に提供するようになっている。
【0059】
定期需要予測部202は、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、指定された予測対象日(予測対象期間)に対して各需要設備毎に30分毎の需要電力量予測値を計算して、需要電力量予測データDP1〜DP4を生成、表示する部分である。
【0060】
ここで、30分需要電力量実績データDD1〜DD4は、前述したように、本発明における需要実績値に相当する。また、気象実績データWD1〜WD4とイベント実績データED1〜ED4は、いずれも、本発明における変動要因実績情報、すなわち、当該需要家の需要設備の需要を過去に変動させた要因とその属性値を表現する変動要因実績情報、に相当する。さらに、気象予報データWP1〜WP4とイベント予想データEP1〜EP4は、いずれも、本発明における変動要因予想情報、すなわち、統計学的に当該需要家の需要設備における需要を変動させるものと推測される要因とその予想される属性値を表現する予測対象期間の変動要因予想情報、に相当する。
【0061】
需要予測修正部203は、現在時刻を含む30分時間区間の次の30分時間区間を予測対象区間として、その予測対象区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を、当該予測対象区間より2区間前の参照区間における30分需要電力量実績データDD1〜DD4と需要電力量予測データDP1〜DP4との比率に応じて修正して、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’を生成、表示する部分である。
【0062】
リアルタイム需要予測・比較部204は、現在時刻を含む30分時間区間を予測対象区間として、その予測対象区間における需要電力実績データSD1〜SD4の時系列データから、当該予測対象区間における現在時刻t以降の需要電力量予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻t以降の需要電力量予測値と現在時刻tまでの需要電力量実績データHD1〜HD4を用いて、当該予測対象区間における需要電力量予測値を計算し、需要電力量予測データWX1〜WX4を生成、表示する部分である。
【0063】
リアルタイム需要予測・比較部204はまた、定期需要予測部202により得られた当該予測対象区間における需要電力量予測データDP1〜DP4と、リアルタイム需要予測で得られた需要電力量予測データWX1〜WX4とを比較表示して、その差分が予め設定されたしきい値を超えている場合に、アラームを出力するようになっている。
【0064】
ゾーン需要計算部205は、定期需要予測部202、需要予測修正部203、リアルタイム需要予測・比較部204により得られた需要電力量予測値、すなわち、需要電力量予測データDP1〜DP4、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’、需要電力量予測データWX1〜WX4、のいずれかの需要電力量予測値の総和をゾーンZ1,Z2毎に計算して、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2を生成、表示する部分である。
【0065】
[3.需要予測処理の概要]
図3は、本実施形態の電力託送システム10における需要予測装置130による需要予測処理の概要を示すフローチャートである。この図3に示すように、需要予測装置130は、データ受信・蓄積部201により、需要実績データと変動要因実績データを周期的に受信、蓄積すると共に、変動要因予想データを周期的に受信して保存し、定期需要予測部202に提供する(S301)。
【0066】
すなわち、各需要ユニット121〜124の各計測器LM1〜LM4により周期的(例えば、毎秒毎、毎分毎)に計測されて通信ネットワークN等を介して送信されてくる各需要設備L1〜L4の需要電力実績データSD1〜SD4および需要電力量実績データHD1〜HD4を受信して、需要家データベース140に蓄積する。そして、蓄積された需要電力量実績データHD1〜HD4を正時から30分間毎に積算し、30分需要電力量実績データDD1〜DD4を算出して、需要家データベース140に蓄積する。
【0067】
また、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、等の変動要因実績データについては、例えば1日毎に送信されてくる当日または前日のデータを受信して、需要家データベース140に蓄積する。
【0068】
一方、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、等の変動要因予想データについては、例えば1日毎にあるいは随時送信されてくるデータを受信して需要家データベース140に保存し、定期需要予測部202に提供する。これらの変動要因予想データは、一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に蓄積してもよい。
【0069】
需要予測装置130は、需要実績データの周期的な蓄積と並行して、翌日予測や当日予測等の予測対象日に対して定期的な需要予測を行う場合(S302のYES)には、定期需要予測部202により、気象やイベント等の変動要因に関する実績データや予想データを利用して要因比較型の需要予測処理を行う(S303)。すなわち、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4と、予測対象日の気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、例えば、翌日、翌日以降の1週間、当日、等の指定された予測対象日に対して、各需要設備L1〜L4毎に30分毎の需要電力量予測値を計算する。
【0070】
そして、得られた需要電力量予測値を、需要電力量予測データDP1〜DP4としてMMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存して、需要予測修正部203、リアルタイム需要予測・比較部204、ゾーン需要計算部205、等に提供する。この需要電力量予測データDP1〜DP4は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0071】
需要予測装置130は、現在時刻を含む30分時間区間(現区間)の次の30分時間区間(次区間)に対して当日または前日以前に作成された既存の需要電力量予測データDP1〜DP4を修正して予測精度を高める場合(S304のYES)には、需要予測修正部203により、次区間を予測対象区間としてその需要電力量予測データDP1〜DP4に対し、需要予測修正処理を行う(S305)。すなわち、予測対象区間である次区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を、それより2区間前の参照区間(現区間の直前の30分時間区間)における30分需要電力量実績データDD1〜DD4と需要電力量予測データDP1〜DP4との比率に応じて修正する。
【0072】
そして、得られた修正値を、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’としてMMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存して、ゾーン需要計算部205等に提供する。この需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0073】
需要予測装置130は、現在時刻を含む30分時間区間(現区間)に対して需要電力量のリアルタイム需要予測を行う場合(S306のYES)には、リアルタイム需要予測・比較部204により、現区間を予測対象区間としてそのリアルタイムの需要電力量予測データWX1〜WX4を求め、現区間の既存の(当日または前日以前に作成された)需要電力量予測データDP1〜DP4と比較するリアルタイム需要予測・比較処理を行う(S307)。
【0074】
すなわち、まず、予測対象区間である現区間における需要電力実績データSD1〜SD4の時系列データから、現区間における現在時刻t以降の需要電力量予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻t以降の需要電力量予測値と現在時刻tまでの需要電力量実績データHD1〜HD4を用いて、現区間における需要電力量予測値を計算する。
【0075】
そして、得られた需要電力量予測値を需要電力量予測データWX1〜WX4とし、現区間の需要電力量予測データDP1〜DP4と共にMMI135により比較表示する。この場合に、需要電力量予測データWX1〜WX4と需要電力量予測データDP1〜DP4の差分が予め設定されたしきい値を超えている場合には、MMI135によりそのことを示す画像アラームを表示すると共に、音声アラームを出力する。
【0076】
この需要電力量予測データWX1〜WX4は、需要家データベース140に保存され、ゾーン需要計算部205等に提供される。なお、需要電力量予測データWX1〜WX4は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0077】
需要予測装置130は、各需要設備L1〜L4毎に得られた需要予測値、すなわち、需要電力量予測データDP1〜DP4、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’、需要電力量予測データWX1〜WX4、のいずれかの需要電力量予測データからゾーン毎の需要予測を行う場合に、各需要設備L1〜L4毎に得られた需要電力量予測データの総和をゾーンZ1,Z2毎に計算する(S308)。
【0078】
そして、得られたゾーン毎の需要電力量予測データをゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2としてMMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存する。このゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0079】
[4.基本的な作用効果]
以上のような本実施形態の需要予測装置130による需要予測処理によれば、基本的に次のような作用効果が得られる。
【0080】
まず、需要設備に供給される電力を30分時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績データを用いて、各需要設備毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そのため、需要設備の需要予測値の総和をゾーン毎に計算することにより、ゾーン毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そして、このように、ゾーン毎の高精度な需要予測を実現できることから、発電コストを考慮した複数の発電設備の発電計画を精度よく作成することができる。特に、需要設備毎に30分時間区間毎の需要予測値を求めることにより、各30分時間区間毎に詳細な需要予測が可能となり、予測精度をさらに向上できる。
【0081】
また、30分時間区間毎に計測して得られた各需要設備毎の需要実績データを用いることから、新しい需要設備が追加された場合、あるいは今まで電力供給を行っていた需要設備に対して電力を供給する必要がなくなった場合でも、そのような需要設備の追加・削除は、各需要設備毎の需要実績値に直ちに反映される。したがって、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合でも、そのような変化に迅速に対応しながら、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことができる。
【0082】
また、30分時間区間毎に需要実績データをリアルタイムで着実に蓄積することができるため、需要実績データの十分な蓄積がない場合でも、現在時刻以前の30分時間区間の需要実績データに基づき、需要設備の電力需要予測を精度よく行うことができる。
【0083】
なお、本発明において用いる計測時間区間は、30分に限定されるものではなく、より長い計測時間区間、あるいはより短い計測時間区間を採用することも可能である。しかし、計測時間区間が長すぎると、需要予測精度が低下してしまい、また、計測時間区間をあまり短くしても需要予測精度の向上効果には限界があることから、一般的には、30分の計測時間区間が望ましいと思われる。
【0084】
[5.処理の詳細]
以下には、本実施形態の電力託送システム10における需要予測装置130による需要予測処理における特徴的な各処理、すなわち、要因比較型の需要予測処理、需要予測修正処理、リアルタイム需要予測・比較処理、について詳細に順次説明する。
【0085】
[5−1.要因比較型の需要予測処理]
図4は、需要予測装置130の定期需要予測部202による要因比較型の需要予測処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すS303のサブルーチンに相当する。
【0086】
この図4に示すように、要因比較型の需要予測処理においては、需要設備毎の回帰モデルパラメータ計算を行い(S401)、計算されたパラメータに基づいて、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算を行う(S402)一方で、需要設備毎の類似日検索を行い(S403)、計算された需要設備毎の最大・最小需要電力量と検索された類似日に基づいて、各需要設備毎の需要電力量予測曲線計算を行う(S404)。そして、得られた各需要設備毎の需要電力量予測データを表示、保存する(S405)。以下には、このような要因比較型の需要予測処理の詳細についてより具体的に説明する。
【0087】
まず、需要設備毎の回帰モデルパラメータ計算(S401)においては、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、およびイベント実績データED1〜ED4、に基づいて、各需要設備L1〜L4毎に並列的に回帰分析を行って回帰モデルのパラメータを計算する。
【0088】
この場合、回帰モデルとしては、例えば、次の(1)式、(2)式に示すような、最高・最低気温と最大・最小電力量の関係を表現する回帰モデルを用いることができる。なお、このような回帰モデルのパラメータa01、a1、a02、a2は、「平日」、「休日」等の曜日種別毎に、また、「スポーツイベント」、「音楽イベント」等のイベント実績内容毎に、最小二乗法により決定する。
【0089】
【数1】
【0090】
一般に、需要設備の1日の最大電力需要は、その日の最高気温と相関が高く、また、最小電力需要は、最低気温と相関が高いと考えられる。例えば、図5に示すように、需要設備L1の30分需要電力量実績データと、1日の最高気温、最低気温が1日毎に蓄積されている場合、それらの分布は、図6に示すような最高気温と最大電力量との相関、最低気温と最小電力量との相関、として表現することができる。したがって、(1)式、(2)式は、それらの相関を表すデータの中で予測対象日の過去数日間のデータから線形近似される直線の切片と傾きを表すパラメータを計算することを意味している。
【0091】
また、最高・最低気温と最大・最小電力量の関係を表現するモデルとしては、以下の(1)’式、(2)’式に示すような重回帰モデルを用いることもできる。このような重回帰モデルのパラメータa10、a11、a12、a20、a21、a22についても、(1)式、(2)式に示した回帰モデルのパラメータと同様に、曜日種別毎、また、イベント実績内容毎に、最小二乗法により決定する。
【0092】
【数2】
【0093】
次に、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)においては、計算された回帰モデルのパラメータ、予測対象日の気象予報データWP1〜WP4、および予測対象日のイベント予想データEP1〜EP4に基づいて、各需要設備L1〜L4毎に並列的に予測対象日の最大・最小需要電力量の需要予測値を計算する。
【0094】
この場合、需要設備毎の最大電力量、最小電力量の需要予測値は、次の(3)式、(4)式により計算することができる。なお、パラメータa01、a1、a02、a2には、予測対象日の曜日種別、および、予測対象日に予想されるかまたは確定しているイベント予想内容、に一致したものが用いられる。
【0095】
【数3】
【0096】
したがって、このような需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)で計算される予測最大需要電力量Y1と予測最小需要電力量Y2は、図6の近似直線上で、予想最高気温X1と予想最低気温X2に対応する最大需要電力量と最小需要電力量となる。
【0097】
一方、需要設備毎の類似日検索(S403)においては、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、予測対象日の気象予報データWP1〜WP4、および予測対象日のイベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、各需要設備L1〜L4毎に並列的に予測対象日に最も近い過去の「日にち」を「類似日」として検索する。すなわち、当該需要設備の過去のデータの中から、予測対象日の曜日種別やイベント予想内容と同一の曜日種別やイベント実績内容を持つ「日にち」の中から、予測対象日の気象予報に最も近い気象実績内容を持つ「日にち」を「類似日」として検索する。
【0098】
この場合、「日にち」の近さは、次の(5)式に示すような、検索インデックスIxによって表現され、Ixが最小となる日が選択される。検索インデックスIxが最小となる日が複数ある場合は、例えば、予測対象日に最も近い日を選択すればよい。
【0099】
【数4】
【0100】
以上のような需要設備毎の類似日検索(S403)においては、過去の蓄積データの中から、予測対象日と最も近い日のデータが求められるが、その最高気温、最低気温などは、予測対象日の最高気温、最低気温の予測値と完全には一致していない。そのため、類似日の需要電力量曲線をそのまま需要電力量予測値として用いると、予測誤差が大きくなることが多い。
【0101】
そこで、各需要設備毎の需要電力量予測曲線計算(S404)においては、需要設備毎の類似日検索(S403)により検索された「類似日」の需要電力量曲線を、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)により計算された需要設備毎の最大需要電力量Y1と最小需要電力量Y2によって補正することにより、各需要設備L1〜L4毎に並列的に需要電力量の予測曲線を求める。
【0102】
すなわち、各需要設備毎の需要電力量予測曲線計算(S404)においては、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)により計算された需要設備毎の予測最大需要電力量Y1および予測最小需要電力量Y2と、需要設備毎の類似日検索(S403)により検索された「類似日」の30分需要電力量実績データとを用いて、需要電力量予測データYtを次の(6)式によって計算する。なお、(6)式におけるrtは、「類似日」の最大需要電力量y1と最小需要電力量y2によって続く(7)式により計算される値である。
【0103】
【数5】
【0104】
ここで、(7)式のytは、図7に示すように、類似日の需要電力量曲線の各時間帯における最大需要と最小需要の間の比率であり、(6)式は、予測最大需要と予測最小需要をこのytで補間して需要電力量の予測曲線を計算することを意味している。
【0105】
また、各需要設備毎の需要電力量予測データの表示、保存(S405)においては、各需要設備L1〜L4毎に得られた需要電力量予測データDP1〜DP4を、MMI135を通じて表示すると共に、需要家データベース140に保存する。保存された需要電力量予測データDP1〜DP4がゾーン需要計算部205に提供されると、ゾーンZ1,Z2毎に需要電力量予測データDP1〜DP4の総和をとることにより、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2が計算される。
【0106】
[5−2.要因比較型の需要予測処理による作用効果]
以上のような、本実施形態における要因比較型の需要予測処理によれば、各需要設備L1〜L4毎に、予測対象日における、気象、イベント、曜日、等の各種の変動要因の予想内容や確定内容を、過去におけるそれらの変動要因の実績内容と比較して、変動要因の内容が最も類似する過去の「類似日」における需要実績データから予測対象日の需要予測値を精度よく求めることができる。
【0107】
また、以上のような要因比較型の需要予測処理によれば、需要予測を実行する当日に対する予測対象期間の選択に応じて、翌日需要予測、翌週の週間需要予測、当日需要予測を適宜行うことができる。このうち、翌日需要予測や週間需要予測を行う場合には、各需要設備毎に、当該需要設備における予測対象期間の前日、すなわち、需要予測を実行する当日までの気象実績データやイベント実績データと需要実績データ、および予測対象期間である翌日または翌週の気象予報データやイベント予想データ、を用いて需要予測を行うことができる。
【0108】
これに対し、当日需要予測を行う場合には、前日終日までの完全な気象実績データやイベント実績データ、需要実績データが得られることに加え、当日の現在時刻までに得られた最新の、より精度の向上した気象予報データやイベント予想データ等を用いることができるため、翌日需要予測や翌週需要予測に比べてさらに精度の高い需要予測を行うことができる。
【0109】
このように、本実施形態における要因比較型の需要予測処理によれば、各種の需要設備の需要に対して大きく影響する一般的な変動要因であるところの、気象、イベント、曜日、等の情報を用いて、需要予測を精度よく行うことができる。なお、本発明において用いる変動要因は、これらに限定されるものではなく、統計学的に当該需要設備の需要を変動させるものと推測される各種の要因を変動要因として用いることが可能である。
【0110】
[5−3.需要予測修正処理]
図8は、需要予測装置130の需要予測修正部203による需要予測修正処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すS305のサブルーチンに相当する。
【0111】
図8に示すように、需要予測修正処理においてはまず、需要家データベース140に蓄積された各需要設備の需要電力量の30分積算値である30分需要電力量実績データDD1〜DD4と、要因比較型の需要予測処理により得られて需要家データベース140に保存されている需要電力量予測データDP1〜DP4に基づいて、次区間(現在時刻を含む30分時間区間の次の30分時間区間)の各需要設備の需要電力量予測データDP1〜DP4を修正することにより、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’を生成する(S801)。
【0112】
この修正は、次区間より2区間前の参照区間(現区間の直前の30分時間区間)の30分需要電力量実績データDD1〜DD4と、次区間と参照区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を用いて、次の(8)式に示すようにして行うことができる。なお、参照区間として次区間より2区間前の区間、したがって、現在時刻を含む現区間より1区間前のデータを用いるのは、現在時刻を含む現区間においては区間全体に亘る需要実績データが得られておらず、区間全体に亘る需要実績データが得られている最新の区間が、現区間より1区間前の区間であるという理由による。
【0113】
【数6】
【0114】
この(8)式は、図9に示すように、時刻T0における需要電力量予測値FDP(T0)と需要電力量実績値FDD(T0)の比によって、時刻Tにおける需要予測値を修正することを意味している。また、Tとして現在時刻以降のすべての時間を取ることにより、需要予測曲線の修正が可能となる。
【0115】
また、S801の別の処理として、次区間より2区間前の参照区間(現区間の直前の30分時間区間)の30分需要電力量実績データDD1〜DD4と、次区間と参照区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を用いて、次の(9)式に従って需要電力量予測値を修正してもよい。
【0116】
【数7】
【0117】
この(9)式は、時刻T0における需要電力量予測値FDP(T0)と需要電力量実績値FDD(T0)の差分を、時刻における需要予測値に加えることによって、需要予測値を修正することを意味している。
【0118】
あるいは、S801の別の処理として、上記の(8)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)と、(9)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)を用いて、次の(10)式に従って需要電力量予測値を修正してもよい。
【0119】
【数8】
【0120】
この(10)式は、上記の(8)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)と、(9)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)とを、適当な比率rで按分することを意味している。例えば、需要家設備の稼動機器台数が変化しない範囲での需要変動であれば、
【数9】
として比例的に修正し、機器の起動・停止を含むものであれば、
【数10】
として追加的に修正することが考えられる。
【0121】
そして、以上のような処理により得られた需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’を、MMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存する(S802)。保存された需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’がゾーン需要計算部205に提供されると、ゾーンZ1,Z2毎に需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’の総和を取ることにより、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2が計算される。
【0122】
[5−4.需要予測修正処理による作用効果]
以上のような、本実施形態における需要予測修正処理によれば、予測対象区間である次の30分時間区間(次区間)に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、予測対象区間のその需要予測値を、区間全体の需要実績値が得られている最新の30分時間区間である2区間前の参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正することができ、修正された需要電力量予測修正値を、需要設備毎の需要電力量予測データとして用いることができる。
【0123】
したがって、予め予測していた需要予測値と実際の需要実績値との差が大きい場合においても、その差異を考慮して予測対象期間の需要予測値を予測対象期間の直前の時点で精度よく修正することができるため、精度の高い需要予測が可能となる。
【0124】
[5−5.リアルタイム需要予測・比較処理]
図10は、需要予測装置130のリアルタイム需要予測・比較部204によるリアルタイム需要予測・比較処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すS307のサブルーチンに相当する。
【0125】
図10に示すように、リアルタイム需要予測・比較処理においてはまず、需要家データベース140に蓄積された需要電力実績データSD1〜SD4および需要電力量実績データHD1〜HD4を用いて、現区間(現在時刻を含む30分時間区間)における各需要設備毎のリアルタイムの需要電力量予測値を外挿により計算する(S1001)。この計算は、例えば、次の(11)式に従って行うことができる。
【0126】
【数11】
【0127】
次に、計算された各需要設備毎の需要電力量予測値WX1〜WX4を既存の需要電力量予測値DP1〜DP4と共に、MMI135により画面上に比較表示する(S1002)。図11は、このような画面表示の一例を示したものである。この図11に示す画面においては、横軸に時間(分)、縦軸に需要電力(kW)と需要電力量(kWh)をとっている。そして、現区間の0分から現在時刻t分までの需要電力実績値(kW)、現区間での需要電力量実績値(kWh)、要因比較型の需要予測処理により得られて需要家データベース140に保存されている現区間の需要電力量予測値DP1〜DP4、および、(11)式により計算されたリアルタイムの需要電力量予測値WX1〜WX4、が表示される。
【0128】
ここで、(11)式により計算された需要電力量予測値WXiは、現区間における残り(30−t)分間の需要が、現在時刻tでの需要電力実績値Pi(t)に等しい場合に計算される現区間での電力量であり、残り(30−t)分間の需要電力予測値、需要電力量予測値も画面に表示される(図中に破線で示すような直線となる)。なお、外挿の方法として、(11)式以外にも、需要電力Pi(t)の予測値WXiを、次の式(11)´に示すように、現在時刻tとその前の点から直線的に延長して求めることもできる。
【0129】
【数12】
【0130】
続いて、現在時刻tを含む予め定められた長さの時間において、リアルタイムに計算された需要電力量予測値WX1〜WX4と、予め保存されていた需要電力量予測値PD1〜PD4とを比較し、その差分が予め定められたしきい値ΔWiを超えた場合、すなわち、次の(12)式を満たす場合(S1003のYES)に、MMI135によりそのことを示す画像アラームを表示すると共に、音声アラームを出力する(S1004)。
【数13】
|WXi−PDi|>ΔWi … (12)
【0131】
以上のような処理により得られたリアルタイムの需要電力量予測値WX1〜WX4は、需要家データベース140に保存される(S1005)。保存された需要電力量予測値WX1〜WX4がゾーン需要計算部205に提供されると、ゾーンZ1,Z2毎に需要電力量予測値WX1〜WX4の総和を取ることにより、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2が計算される。
【0132】
[5−6.リアルタイム需要予測・比較処理による作用効果]
以上のような、本実施形態におけるリアルタイム需要予測・比較処理によれば、現在時刻を含む現区間の需要予測を、現区間内における現在時刻までの需要実績値の時系列データを利用して、リアルタイムで行うことができる。したがって、このリアルタイム需要予測により得られた需要電力量予測値WXiと、当日または前日までに得られた既存の需要電力量予測値PDiとを比較してその差分を判定することにより、同時同量制御を適切に行うことができる。
【0133】
特に、図11に示すような画面表示を行うことにより、予め予測された需要設備毎の現区間での需要電力量予測値PDiと、現区間における現在時刻までの最新の需要実績値から予想されるリアルタイムの需要電力量予測値WXiとを、画面上で直接比較できるので、振替供給のみによる電力供給等、需要家のゾーン内に調整用電源を持たない電力小売事業者は、需要家の使用電力削減要請や、連系線の通告電力量の変更等を容易に行うことができる。
【0134】
また、予め予測された需要電力量予測値PDiとリアルタイムの需要電力量予測値WXiとを比較して、その差分が大きい場合には、自動的にアラームを出力し、特定規模電気事業者に警告することができるため、見落としによる同時同量制約違反の防止に貢献できる。
【0135】
[6.他の実施形態]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な形態が実施可能である。
【0136】
例えば、前記実施形態においては、需要予測修正処理により各需要設備毎の需要予測修正値を求め、また、リアルタイム需要予測・比較処理により各需要設備毎のリアルタイムの需要予測値を求めた後に、ゾーン需要計算処理により、各需要設備毎の需要予測値の総和をゾーン毎に計算する手順について説明したが、本発明における手順はこれに限定されるものではない。
【0137】
すなわち、需要設備毎の需要電力量予測データおよび需要電力量実績データをゾーン毎に足し合わせてゾーン需要電力量予測データおよびゾーン需要電力量実績データを計算した後に、ゾーン需要電力量予測データを修正することも可能である。同様に、ゾーン需要電力量予測データおよびゾーン需要電力量実績データを計算した後に、ゾーン毎に、既存のゾーン需要電力量予測データとリアルタイムのゾーン需要電力量予測データとを比較することも可能である。
【0138】
また、前記実施形態においては、リアルタイム需要予測・比較処理として、リアルタイムの需要電力量予測値と予め予測された需要電力量予測値との差分が大きい場合にアラームを出力する場合について説明したが、需要予測修正処理においても、修正前の元の値と修正後の値との差分が大きい場合にアラームを出力することも可能である。
【0139】
さらに、前記実施形態において説明したような3種類の需要予測処理、すなわち、定期予測を行うための「要因比較型の需要予測処理」、直前の予測修正を行うための「需要予測修正処理」、現区間予測を行うための「リアルタイム予測・比較処理」、は、それぞれ独立した需要予測装置として構成可能である。例えば、要因比較型の需要予測処理のみを行う定期予測用の需要予測装置、需要予測修正処理のみを行う需要予測装置、リアルタイム予測・比較処理のみを行う需要予測装置、もまた、本発明の1つの態様である。さらに、そのような各種の需要予測装置を含む需要予測システムもまた、本発明の1つの態様である。
【0140】
これに関連して、需要予測修正処理やリアルタイム予測・比較処理において使用する「予め与えられた需要予測値」は、要因比較型の需要予測処理により得られた需要予測値に限定されるものではなく、他の方式の需要予測装置や別の情報源等から入手された各種の需要予測値を自由に使用可能である。
【0141】
一方、前記実施形態においては、説明の簡略化の観点から、一例として、2つの電力会社の電力需要・供給対象地域である2つのゾーンのみについて説明したが、本発明は、3つ以上の多数のゾーンが存在する場合や、逆に1つのゾーンのみの需要予測を行う場合等にも同様に適用可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
【0142】
また、前記実施形態においては、要因比較型の需要予測処理として、気象、イベント、曜日、等の変動要因に関するデータを使用する場合について説明したが、本発明における変動要因はそれらに限定されるものではなく、統計学的に需要変動の要因となる可能性がある限り、各種の変動要因に関するデータを同様に使用して精度の高い需要予測を行うことが可能である。さらに、前記実施形態における予測対象期間や計測時間区間は一例にすぎず、本発明における予測対象期間や計測時間区間は自由に選択可能である。
【0143】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、計測時間区間毎に各需要設備毎に計測された電力の需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する需要予測値等の指標値を取得し、指標値の総和をゾーン毎に計算することにより、少なくとも1つの電力会社の電力需要・供給用ゾーンにおける需要電力量予測値を、そのゾーンにおける各需要設備の特徴を考慮して精度よく求めることができる。
【0144】
したがって、電気事業者が託送によって需要設備に対して電力を供給する際に、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合や、実績データの十分な蓄積がない場合でも、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことが可能な託送電力の需要予測方法と装置を提供することができる。
【0145】
また、本発明によれば、需要予測値を精度よく修正することができるため、需要家の電力使用実績が、予め予測された電力需要予測値と異なる場合にも、容易に発電計画を見直すことができ、経済的なコストを最小限に抑えた同時同量制御が可能となる。
【0146】
また、本発明によれば、現在時刻を含む時間区間での需要予測値を電力使用実績から予想し、予め予測されていた需要予測値と比較することができるので、同時同量を守るための対応を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した需要予測装置を含む電力託送システムの概要を示すシステム構成図。
【図2】図1に示す需要予測装置において実現される機能構成の概要を示す機能ブロック図。
【図3】図2に示す需要予測装置による需要予測処理の概要を示すフローチャート。
【図4】図3に示す要因比較型の需要予測処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図5】図2に示す需要予測装置の需要家データベースに蓄積されている各需要設備の30分需要電力量実績データと最高・最低気温実績データのイメージを示す概念図。
【図6】図5に示す各需要設備のデータの分布を最高・最低気温と最大電力量・最小電力量との相関として示す図。
【図7】図4に示す要因比較型の需要予測処理における需要電力量予測曲線の計算方法を説明する図。
【図8】図3に示す需要予測修正処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図9】図8に示す需要予測修正処理における需要電力量予測曲線の修正方法を説明する図。
【図10】図3に示すリアルタイム需要予測・比較処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図11】図10に示すリアルタイム需要予測・比較処理により計算された需要電力量予測値の画面表示例を示す図。
【符号の説明】
10...電力託送システム
Z1,Z2...ゾーン
100...電力系統
101,102...送電設備
103...会社間連系線
111〜113...発電ユニット
G1〜G3...発電設備
GC1〜GC3...制御装置
GM1〜GM3...計測器
121〜124...需要ユニット
L1〜L4...需要設備
LM1〜LM4...計測器
130...需要予測装置
131...通信I/F
132...コンピュータ
133...主メモリ
134...記憶装置
135...マンマシン・インタフェース装置(MMI)
140...需要家データベース
201...データ受信・蓄積部
202...定期需要予測部
203...需要予測修正部
204...リアルタイム需要予測・比較部
205...ゾーン需要計算部
SD1〜SD4...需要電力実績データ
HD1〜HD4...需要電力量実績データ
DD1〜DD4...30分需要電力量実績データ
WD1〜WD4...気象実績データ
ED1〜ED4...イベント実績データ
WP1〜WP4...気象予報データ
EP1〜EP4...イベント予想データ
DP1〜DP4...需要電力量予測データ
DP1’〜DP4’...需要電力量予測修正データ
WX1〜WX4...需要電力量予測データ
ZP1〜ZP4...ゾーン需要電力量予測データ
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定規模電気事業者が電力会社の送電線を利用して発電設備から需要設備に対して電力の託送を行う際、あるいは電力会社が他電力会社の管内にある需要設備に対して振替供給によって電力を供給する際に、電力会社へ提出する発電計画、ならびに受電地点および供給地点における通告電力量を計算するために必要となる需要予測方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力会社の中央給電指令所で行われている電力需要予測では、管内の電力系統全体の需要を計算している(例えば、特許文献1参照)が、この手法を託送電力の需要予測に適用すると、新しい需要設備が追加された場合、あるいは今まで電力供給を行っていた需要設備に対して電力を供給する必要がなくなった場合等に、適切な需要予測が行えないという問題点があった。また、予測に用いる過去の需要実績データの十分な蓄積がない場合にも、需要予測が適切に行えないという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】
特願2001−212778
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、電気事業者が託送によって需要設備に対して電力を供給する際に、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合や、実績データの十分な蓄積がない場合でも、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことが可能な託送電力の需要予測方法と装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような目的を達成するために、計測時間区間毎に各需要設備毎に計測された電力の需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する需要予測値等の指標値を取得し、指標値の総和をゾーン毎に計算することにより、少なくとも1つの電力会社の電力需要・供給用ゾーンにおける需要電力量予測値を、そのゾーンにおける各需要設備の特徴を考慮して精度よく求めることができるようにしたものである。
【0006】
なお、本発明において、重要な用語の定義は次の通りである。
「ゾーン」とは、会社間連系点により連系される単位となる各電力会社の送電設備に対応する電力需要・供給用の範囲を意味している。
「各需要設備毎の需要を表現する指標値」とは、各需要設備毎の需要を表現する各種の値を意味する用語であり、需要設備における需要予測値だけでなく、それを求めるために計測された需要実績値も含む広い概念である。
【0007】
請求項1の発明は、単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測する方法において、需要指標値取得ステップとゾーン需要計算ステップを含むことを特徴としている。ここで、需要指標値取得ステップは、需要設備に対して供給される託送電力を予め設定された計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する指標値を取得するステップである。また、ゾーン需要計算ステップは、各需要設備毎に得られた指標値の総和をゾーン毎に計算するステップである。
【0008】
請求項16の発明は、請求項1の発明を装置の観点から把握したものであり、単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測する装置において、請求項1の発明における各ステップに対応する各機能を有する需要家需要取得手段とゾーン需要計算手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項17の発明は、請求項1、請求項16の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであり、単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測するためのプログラムにおいて、請求項1の発明における各ステップに対応する需要家需要取得機能とゾーン需要計算機能をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の託送電力の需要予測方法において、需要指標値取得ステップが、各需要設備毎に計測時間区間毎の指標値を取得するステップを含むことを特徴としている。
【0011】
以上のような発明によれば、需要設備に供給される電力を計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値を用いて、各需要設備毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そのため、需要設備の需要予測値の総和をゾーン毎に計算することにより、ゾーン毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そして、このように、ゾーン毎の高精度な需要予測を実現できることから、発電コストを考慮した複数の発電設備の発電計画を精度よく作成することができる。特に、請求項2に記載のように、需要設備毎に計測時間区間毎の需要予測値を求めることにより、各計測時間区間毎に詳細な需要予測が可能となり、予測精度をさらに向上できる。
【0012】
また、計測時間区間毎に計測して得られた各需要設備毎の需要実績値を用いることから、新しい需要設備が追加された場合、あるいは今まで電力供給を行っていた需要設備に対して電力を供給する必要がなくなった場合でも、そのような需要設備の追加・削除は、各需要設備毎の需要実績値に直ちに反映される。したがって、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合でも、そのような変化に迅速に対応しながら、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことができる。
【0013】
また、計測時間区間毎に需要実績値をリアルタイムで着実に蓄積することができるため、実績データの十分な蓄積がない場合でも、現在時刻以前の計測時間区間の需要実績値に基づき、需要設備の電力需要予測を精度よく行うことができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の託送電力の需要予測方法において、需要指標値取得ステップが、需要予測を実行する現在時刻以降の指定された予測対象期間の需要予測値を指標値として各需要設備毎に取得するために、要因比較型の需要予測計算ステップを含むことを特徴としている。ここで、要因比較型の需要予測計算ステップは、統計学的に当該需要設備の需要を変動させるものと推測される要因を変動要因とした場合に、当該変動要因の過去の実績内容を表現する変動要因実績情報と前記需要実績値、および当該予測対象期間における当該変動要因の予想内容または確定内容を表現する変動要因予想情報、という複数種類の情報を用いて、当該予測対象期間の需要予測値を計算するステップである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3の託送電力の需要予測方法において、要因比較型の需要予測計算ステップが、予測対象期間に対して前記各需要設備毎に行う一連のステップとして、最大・最小需要予測計算ステップ、類似期間検索ステップ、需要予測曲線計算ステップ、を含むことを特徴としている。ここで、最大・最小需要予測計算ステップは、当該需要設備における当該予測対象期間以前の変動要因実績情報と需要実績値、および当該予測対象期間の変動要因予想情報という複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間の最大需要予測値と最小需要予測値を計算するステップである。また、類似期間検索ステップは、当該需要設備における当該予測対象期間以前の変動要因実績情報と当該予測対象期間の変動要因予想情報という複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間に最も類似した過去の期間を類似期間として検索するステップである。さらに、需要予測曲線計算ステップは、当該需要設備に対して得られた最大需要予測値と最小需要予測値、および当該需要設備に対して検索された類似期間の需要実績値を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間の需要予測曲線を計算するステップである。
【0016】
以上のような発明によれば、各需要設備毎に、予測対象期間における変動要因の予想内容や確定内容を過去における変動要因の実績内容と比較して、変動要因の内容が最も類似する過去の期間における需要実績値から予測対象期間の需要予測値を精度よく求めることができる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の託送電力の需要予測方法において、予測対象期間が、需要予測を実行する当日に対して、翌日、翌日以降の1週間、当日、という選択肢の中から選択された期間であることを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5の託送電力の需要予測方法において、要因比較型の需要予測計算ステップが当日需要予測計算ステップを含むことを特徴としている。ここで、当日需要予測計算ステップは、予測対象期間が当日である場合に、各需要設備毎に、当該需要設備における前日までの変動要因実績情報と需要実績値、および当日の変動要因予想情報、という前日までに得られた情報に、当日の現在時刻までに得られた最新の変動要因予想情報を加えた複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当日の需要予測値を計算するステップである。
【0019】
以上のような発明によれば、翌日需要予測、翌週の週間需要予測、当日需要予測を行うことができる。翌日需要予測や週間需要予測を行う場合には、各需要設備毎に、当該需要設備における予測対象期間の前日、すなわち、需要予測を実行する当日の現在時刻までに得られた変動要因実績情報と需要実績値、および予測対象期間である翌日または翌週の変動要因予想情報、という複数種類の情報を用いて需要予測を行うことができる。
【0020】
これに対し、当日需要予測を行う場合には、請求項6に記載のように、前日終日までの完全な変動要因実績情報と需要実績値が得られることに加え、当日の現在時刻までに得られた最新の、より精度の向上した変動要因予想情報を加えた情報を用いることができるため、翌日需要予測や翌週需要予測に比べてさらに精度の高い需要予測を行うことができる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項3乃至請求項6のいずれかの託送電力の需要予測方法において、変動要因実績情報および変動要因予想情報が、気象、イベント、曜日、の中から選択された変動要因に関する情報を含むことを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、各種の需要設備の需要に対して大きく影響する一般的な変動要因であるところの、気象、イベント、曜日、等の情報を用いて、需要予測を精度よく行うことができる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法において、需要予測修正ステップを含むことを特徴としている。ここで、需要予測修正ステップは、需要予測を実行する現在時刻以降の指定された予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、現在時刻以前の予め与えられた需要予測値が存在する期間を参照期間として、当該予測対象期間の需要予測値を、当該参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正するステップである。
【0024】
請求項9の発明は、請求項8の託送電力の需要予測方法において、需要予測修正ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、需要予測ステップは、需要指標値取得ステップにより、予測対象期間の需要予測値を、当該需要設備における参照期間の需要実績値と需要予測値の比率に応じて修正するステップと、ゾーン需要計算ステップにより、当該予測対象期間に対して各需要設備毎に得られた修正後の需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップを含む。
【0025】
請求項10の発明は、請求項8または請求項9の託送電力の需要予測方法において、需要予測修正ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、需要予測修正ステップは、ゾーン需要計算ステップにより、予測対象期間に対して各需要設備毎に予め与えられた需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップ、需要指標値取得ステップとゾーン需要計算ステップにより、各需要設備毎に当該需要設備の需要実績値を取得し、得られた需要実績値の総和をゾーン毎に計算するステップ、ゾーン毎に得られた予測対象期間の需要予測値の総和を、ゾーン毎に得られた参照期間における需要実績値の総和と需要予測値の総和の比率に応じて修正するステップ、を含む。
【0026】
以上のような発明によれば、予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、予測対象期間のその需要予測値を、最新の参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正することができる。したがって、予め予測していた需要予測値と実際の需要実績値との差が大きい場合においても、その差異を考慮して予測対象期間の需要予測値を予測対象期間の直前の時点で精度よく修正することができるため、精度の高い需要予測が可能となる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれかの託送電力の需要予測方法において、リアルタイム需要予測ステップを含むことを特徴としている。ここで、リアルタイム需要予測ステップは、需要予測を実行する現在時刻を含む指定された予測対象期間に対して、当該予測対象期間における現在時刻までの需要実績値の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻以降の需要予測値と現在時刻までの需要実績値を用いて、当該予測対象期間における需要予測値を計算するステップである。
【0028】
請求項12の発明は、請求項11の託送電力の需要予測方法において、リアルタイム需要予測ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、リアルタイム需要予測ステップは、需要指標値取得ステップにより、各需要設備毎に、予測対象期間における現在時刻までの当該需要設備の需要実績値の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻以降の需要予測値と現在時刻までの需要実績値を用いて、当該予測対象期間における需要予測値を計算するステップと、ゾーン需要計算ステップにより、各需要設備毎に得られた予測対象期間の需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップ、を含む。
【0029】
請求項13の発明は、請求項11または請求項12の託送電力の需要予測方法において、リアルタイム需要予測ステップが、次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、リアルタイム需要予測ステップは、需要指標値取得ステップとゾーン需要計算ステップにより、各需要設備毎に、予測対象期間における現在時刻までの当該需要設備の需要実績値を得て、得られた需要実績値の総和をゾーン毎に計算するステップと、ゾーン毎に得られた予測対象期間における需要実績値の総和の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値の総和を外挿によってゾーン毎に計算し、ゾーン毎に得られた現在時刻以降の需要予測値の総和と現在時刻までの需要実績値の総和を用いて、当該予測対象期間における需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップ、を含む。
【0030】
以上のような発明によれば、現在時刻を含む予測対象期間内の需要予測を、予測対象期間内における現在時刻までの需要実績値の時系列データを利用して、リアルタイムで行うことができる。したがって、このリアルタイム需要予測により得られた需要予測値と、当日または前日までに得られた既存の需要予測値とを比較してその差分を判定することにより、同時同量制御を適切に行うことができる。
【0031】
請求項14の発明は、請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法において、比較ステップを含むことを特徴としている。ここで、比較ステップは、予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、当該需要予測値と、当該予測対象期間に対して需要予測修正ステップまたはリアルタイム需要予測ステップにより新たに得られた需要予測値とを比較して、その差分が予め設定されたしきい値を超えている場合に、アラームを出力するステップである。
【0032】
この発明によれば、予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、その需要予測値と、最新の需要実績値に基づいて新たに得られた需要予測値とを比較して、その差分が大きい場合には、自動的にアラームを出力し、特定規模電気事業者に警告することができるため、見落としによる同時同量制約違反の防止に貢献できる。
【0033】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項14のいずれかの託送電力の需要予測方法において、計測時間区間が30分間であることを特徴としている。この発明によれば、30分の計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値を用いて、需要予測値を精度よく求めることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明に係る託送電力の需要予測方法と装置、プログラムの実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0035】
[1.システム構成]
図1は、本発明を適用した電力託送システム10の概要を示すシステム構成図である。なお、この図1においては、説明の簡略化の観点から、一例として、特定規模電気事業者が、2つの電力会社に対応する2つのゾーンZ1,Z2の送電線を利用して発電設備から需要設備に対する電力の託送を行う場合を示している。なお、本明細書中において、「ゾーン」は、各電力会社の電力需要・供給対象地域を示す用語である。
【0036】
図1の電力託送システム10は、電力系統100、発電ユニット111〜113、需要ユニット121〜124、需要予測装置130、を備えている。各部の詳細は次の通りである。
【0037】
電力系統100は、2つの電力会社に対応する2つのゾーンZ1,Z2にそれぞれ含まれる送電線等の送電設備101,102と、これらの送電設備101,102間を連系する会社間連系点を含む会社間連系線103から構成されている。
【0038】
発電ユニット111〜113は、電力系統100に連系されており、これらの発電ユニット111〜113はすべて、一方の電力会社に対応する第1のゾーンZ1内に配置されている。そして、特定規模電気事業者は、これらの発電ユニット111〜113を利用して、各電力会社に対応するゾーンZ1,Z2に位置する各需要家(特定規模需要家)の需要設備L1〜L4に対して電力を供給するようになっている。
【0039】
発電ユニット111〜113は、発電設備G1〜G3、各発電設備G1〜G3から出力される電力(発電出力値)をコントロール可能な制御装置GC1〜GC3、各発電設備G1〜G3から出力される電力および電力量を計測する計測器GM1〜GM3、をそれぞれ備えている。
【0040】
ここで、制御装置GC1〜GC3は、例えば、少なくとも1台のコンピュータと何らかの通信インタフェース、すなわち、イントラネット、WAN(Wide Area Network)、あるいはインターネット等の通信ネットワークNに対する通信インタフェース(通信I/F;例えば、ルータ等)を含む。
【0041】
また、各計測器GM1〜GM3は、対応する各発電設備G1〜G3から対応するゾーンZ1の送電設備を介して出力される電力(すなわち、対応するゾーンZ1の送電設備に受電される電力(瞬時値)、以下、受電電力と記載する)および電力量(以下、受電電力量と記載)を周期的に計測するようになっている。各計測器GM1〜GM3は、通信ネットワークNに対する通信I/Fを内蔵している。
【0042】
以上のように、制御装置GC1〜GC3と計測器GM1〜GM3は、通信ネットワークNに対する通信I/Fを備えており、通信ネットワークNを介して他の制御機器とデータ通信可能になっている。なお、ここでは、制御装置GC1〜GC3と計測器GM1〜GM3が通信I/Fを個別に備えている場合について説明したが、通信I/Fは、制御装置GC1〜GC3と計測器GM1〜GM3のどちらか一方に配置される、いわゆる共用タイプであってもよい。
【0043】
需要ユニット121〜124、各電力会社に対応する2つのゾーンZ1,Z2に位置する需要家(特定規模需要家)の特定規模電力需要用の需要設備L1〜L4と、各需要設備L1〜L4に対して供給される電力および電力量を計測する計測器LM1〜LM4、をそれぞれ備えている。
【0044】
ここで、各計測器LM1〜LM4は、対応する需要設備L1〜L4に対して供給される供給電力(瞬時値)および供給電力量を周期的に計測するようになっている。各計測器LM1〜LM4は、通信ネットワークNに対する通信I/Fを内蔵しており、通信ネットワークNを介して他の制御機器とデータ通信可能になっている。
【0045】
需要予測装置130は、各発電ユニット111〜113および各需要ユニット121〜124と通信ネットワークNを介して通信することにより、各発電ユニット111〜113から出力された受電電力を、2つの送電設備101,102を介して需要ユニット121〜124に対し、各電力会社の接続供給あるいは振替供給を利用して託送・供給するようになっている。
【0046】
なお、本明細書中において、「各電力会社の接続供給」、「各電力会社の振替供給」の定義は、次の通りである。
【0047】
まず、「各電力会社の接続供給」とは、自社のゾーンに属する需要家の需要ユニットの用に供するための電力が自社ゾーンの発電ユニットあるいは他ゾーンに対する連系線を介して自社ゾーンの送電設備に受電された際に、同時にその受電電力量と同量の電力を、自社ゾーンの需要家の当該需要ユニットに対して供給するための同時同量制御に基づく供給方式を表現している。
【0048】
また、「各電力会社の振替供給」とは、他社のゾーン(供給先ゾーン)に属する需要家の需要ユニットの用に供するための電力が自社の送電設備により受電された際に、同時にその受電電力量(予め通告電力量として設定されている)と同量の電力を、当該供給先ゾーンに向かう会社間連系点で供給するための同時同量制御に基づく供給方式を表現している。
【0049】
そして、振替供給方式により複数の電力会社(その送電設備)を介して託送され、供給先会社に対する会社間連系点まで供給された電力は、接続供給方式により、供給先会社ゾーンの送電設備を介して上記所定ゾーンの需要家の需要ユニットに対して供給されるようになっている。
【0050】
例えば、本実施形態において、第1のゾーンZ1に含まれる第1の需要家の需要設備L1(需要ユニット121)、第2の需要家の需要設備L2(需要ユニット122)は、第1のゾーンZ1における第1、第2の発電ユニット111,112から出力された電力を、同一ゾーンZ1に含まれる送電設備101を介した接続供給により受取るようになっている。
【0051】
また、第2のゾーンZ2に含まれる第3の需要家の需要設備L3(需要ユニット123)、第4の需要家の需要設備L4(需要ユニット124)は、他ゾーンである第1のゾーンZ1における第3の発電ユニット113から出力された電力を、その第1のゾーンZ1に含まれる送電設備101を介した振替供給と、自身が含まれる第2のゾーンZ2の送電設備102を介した接続供給により受取るようになっている。
【0052】
このような機能を実現するために、需要予測装置130本体は、通信ネットワークNに対する通信I/F131、この通信I/F131に接続された需要予測処理用のコンピュータ132、このコンピュータ132が読取って実行可能な需要予測実行用のプログラムPを記憶する主メモリ133、各種のデータを記憶する記憶装置134を備えている。需要予測装置130はまた、オペレータにより必要な指示情報を入力したり、オペレータに対して処理途中や処理結果を表示したりするためのマンマシン・インタフェース装置(MMI)135を備えている。このMMI135は、具体的には、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ等の音声出力装置、等から構成される。
【0053】
そして、記憶装置134の一部には、各需要家の需要設備L1〜L4に関する需要家データを記憶する需要家データベース140が構成されている。ここで、需要家データベース140に記憶される需要家データは、各需要設備L1〜L4の契約電力、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、等を含む。
【0054】
なお、30分需要電力量実績データDD1〜DD4は、次のようにして蓄積される。すなわち、需要予測装置130は、周期的に、各需要ユニット121〜124の各計測器LM1〜LM4により計測された需要実績値、すなわち、各需要設備L1〜L4に対する供給電力を表す需要電力データ(需要電力実績データSD1〜SD4)および供給電力量を表す需要電力量データ(需要電力量実績データHD1〜HD4)を需要家データベース140に蓄積するようになっている。
【0055】
需要予測装置130はまた、蓄積された需要電力量実績データHD1〜HD4を正時から30分間毎に積算し、30分需要電力量実績データDD1〜DD4を算出して、再び需要家データベース140に蓄積するようになっている。この30分需要電力量実績データDD1〜DD4もまた、本発明における需要実績値に相当する。
【0056】
[2.需要予測装置の機能構成]
図2は、本実施形態の電力託送システム10における需要予測装置130において、主メモリ133に記憶された需要予測実行用のプログラムPとコンピュータ132により実現される機能構成の概要を示す機能ブロック図である。この図2に示すように、需要予測装置130は、データ受信・蓄積部201、定期需要予測部202、需要予測修正部203、リアルタイム需要予測・比較部204、ゾーン需要計算部205、を備えている。各部の機能の概略は次の通りである。
【0057】
データ受信・蓄積部201は、外部からの各種のデータを受信し、需要家データベース140に蓄積する手段である。すなわち、データ受信・蓄積部201は、恒常的に、各需要設備L1〜L4の需要電力実績データSD1〜SD4、需要電力量実績データHD1〜HD4、等の需要実績データを受信してこれらを蓄積すると共に、需要電力量実績データHD1〜HD4から30分需要電力量実績データDD1〜DD4を算出して蓄積するようになっている。
【0058】
データ受信・蓄積部201はまた、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、等の変動要因実績データを受信して蓄積するようになっている。データ蓄積部201はまた、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、等の変動要因予想データを受信して保存し、定期需要予測部202に提供するようになっている。
【0059】
定期需要予測部202は、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、指定された予測対象日(予測対象期間)に対して各需要設備毎に30分毎の需要電力量予測値を計算して、需要電力量予測データDP1〜DP4を生成、表示する部分である。
【0060】
ここで、30分需要電力量実績データDD1〜DD4は、前述したように、本発明における需要実績値に相当する。また、気象実績データWD1〜WD4とイベント実績データED1〜ED4は、いずれも、本発明における変動要因実績情報、すなわち、当該需要家の需要設備の需要を過去に変動させた要因とその属性値を表現する変動要因実績情報、に相当する。さらに、気象予報データWP1〜WP4とイベント予想データEP1〜EP4は、いずれも、本発明における変動要因予想情報、すなわち、統計学的に当該需要家の需要設備における需要を変動させるものと推測される要因とその予想される属性値を表現する予測対象期間の変動要因予想情報、に相当する。
【0061】
需要予測修正部203は、現在時刻を含む30分時間区間の次の30分時間区間を予測対象区間として、その予測対象区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を、当該予測対象区間より2区間前の参照区間における30分需要電力量実績データDD1〜DD4と需要電力量予測データDP1〜DP4との比率に応じて修正して、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’を生成、表示する部分である。
【0062】
リアルタイム需要予測・比較部204は、現在時刻を含む30分時間区間を予測対象区間として、その予測対象区間における需要電力実績データSD1〜SD4の時系列データから、当該予測対象区間における現在時刻t以降の需要電力量予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻t以降の需要電力量予測値と現在時刻tまでの需要電力量実績データHD1〜HD4を用いて、当該予測対象区間における需要電力量予測値を計算し、需要電力量予測データWX1〜WX4を生成、表示する部分である。
【0063】
リアルタイム需要予測・比較部204はまた、定期需要予測部202により得られた当該予測対象区間における需要電力量予測データDP1〜DP4と、リアルタイム需要予測で得られた需要電力量予測データWX1〜WX4とを比較表示して、その差分が予め設定されたしきい値を超えている場合に、アラームを出力するようになっている。
【0064】
ゾーン需要計算部205は、定期需要予測部202、需要予測修正部203、リアルタイム需要予測・比較部204により得られた需要電力量予測値、すなわち、需要電力量予測データDP1〜DP4、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’、需要電力量予測データWX1〜WX4、のいずれかの需要電力量予測値の総和をゾーンZ1,Z2毎に計算して、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2を生成、表示する部分である。
【0065】
[3.需要予測処理の概要]
図3は、本実施形態の電力託送システム10における需要予測装置130による需要予測処理の概要を示すフローチャートである。この図3に示すように、需要予測装置130は、データ受信・蓄積部201により、需要実績データと変動要因実績データを周期的に受信、蓄積すると共に、変動要因予想データを周期的に受信して保存し、定期需要予測部202に提供する(S301)。
【0066】
すなわち、各需要ユニット121〜124の各計測器LM1〜LM4により周期的(例えば、毎秒毎、毎分毎)に計測されて通信ネットワークN等を介して送信されてくる各需要設備L1〜L4の需要電力実績データSD1〜SD4および需要電力量実績データHD1〜HD4を受信して、需要家データベース140に蓄積する。そして、蓄積された需要電力量実績データHD1〜HD4を正時から30分間毎に積算し、30分需要電力量実績データDD1〜DD4を算出して、需要家データベース140に蓄積する。
【0067】
また、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、等の変動要因実績データについては、例えば1日毎に送信されてくる当日または前日のデータを受信して、需要家データベース140に蓄積する。
【0068】
一方、気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、等の変動要因予想データについては、例えば1日毎にあるいは随時送信されてくるデータを受信して需要家データベース140に保存し、定期需要予測部202に提供する。これらの変動要因予想データは、一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に蓄積してもよい。
【0069】
需要予測装置130は、需要実績データの周期的な蓄積と並行して、翌日予測や当日予測等の予測対象日に対して定期的な需要予測を行う場合(S302のYES)には、定期需要予測部202により、気象やイベント等の変動要因に関する実績データや予想データを利用して要因比較型の需要予測処理を行う(S303)。すなわち、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4と、予測対象日の気象予報データWP1〜WP4、イベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、例えば、翌日、翌日以降の1週間、当日、等の指定された予測対象日に対して、各需要設備L1〜L4毎に30分毎の需要電力量予測値を計算する。
【0070】
そして、得られた需要電力量予測値を、需要電力量予測データDP1〜DP4としてMMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存して、需要予測修正部203、リアルタイム需要予測・比較部204、ゾーン需要計算部205、等に提供する。この需要電力量予測データDP1〜DP4は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0071】
需要予測装置130は、現在時刻を含む30分時間区間(現区間)の次の30分時間区間(次区間)に対して当日または前日以前に作成された既存の需要電力量予測データDP1〜DP4を修正して予測精度を高める場合(S304のYES)には、需要予測修正部203により、次区間を予測対象区間としてその需要電力量予測データDP1〜DP4に対し、需要予測修正処理を行う(S305)。すなわち、予測対象区間である次区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を、それより2区間前の参照区間(現区間の直前の30分時間区間)における30分需要電力量実績データDD1〜DD4と需要電力量予測データDP1〜DP4との比率に応じて修正する。
【0072】
そして、得られた修正値を、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’としてMMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存して、ゾーン需要計算部205等に提供する。この需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0073】
需要予測装置130は、現在時刻を含む30分時間区間(現区間)に対して需要電力量のリアルタイム需要予測を行う場合(S306のYES)には、リアルタイム需要予測・比較部204により、現区間を予測対象区間としてそのリアルタイムの需要電力量予測データWX1〜WX4を求め、現区間の既存の(当日または前日以前に作成された)需要電力量予測データDP1〜DP4と比較するリアルタイム需要予測・比較処理を行う(S307)。
【0074】
すなわち、まず、予測対象区間である現区間における需要電力実績データSD1〜SD4の時系列データから、現区間における現在時刻t以降の需要電力量予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻t以降の需要電力量予測値と現在時刻tまでの需要電力量実績データHD1〜HD4を用いて、現区間における需要電力量予測値を計算する。
【0075】
そして、得られた需要電力量予測値を需要電力量予測データWX1〜WX4とし、現区間の需要電力量予測データDP1〜DP4と共にMMI135により比較表示する。この場合に、需要電力量予測データWX1〜WX4と需要電力量予測データDP1〜DP4の差分が予め設定されたしきい値を超えている場合には、MMI135によりそのことを示す画像アラームを表示すると共に、音声アラームを出力する。
【0076】
この需要電力量予測データWX1〜WX4は、需要家データベース140に保存され、ゾーン需要計算部205等に提供される。なお、需要電力量予測データWX1〜WX4は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0077】
需要予測装置130は、各需要設備L1〜L4毎に得られた需要予測値、すなわち、需要電力量予測データDP1〜DP4、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’、需要電力量予測データWX1〜WX4、のいずれかの需要電力量予測データからゾーン毎の需要予測を行う場合に、各需要設備L1〜L4毎に得られた需要電力量予測データの総和をゾーンZ1,Z2毎に計算する(S308)。
【0078】
そして、得られたゾーン毎の需要電力量予測データをゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2としてMMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存する。このゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2は、需要家データベース140に一時的に保存し、予測対象日を過ぎて不要となった後に消去してもよいが、需要実績データや変動要因実績データと同様に需要家データベース140に蓄積してもよい。
【0079】
[4.基本的な作用効果]
以上のような本実施形態の需要予測装置130による需要予測処理によれば、基本的に次のような作用効果が得られる。
【0080】
まず、需要設備に供給される電力を30分時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績データを用いて、各需要設備毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そのため、需要設備の需要予測値の総和をゾーン毎に計算することにより、ゾーン毎の需要予測値を精度よく求めることができる。そして、このように、ゾーン毎の高精度な需要予測を実現できることから、発電コストを考慮した複数の発電設備の発電計画を精度よく作成することができる。特に、需要設備毎に30分時間区間毎の需要予測値を求めることにより、各30分時間区間毎に詳細な需要予測が可能となり、予測精度をさらに向上できる。
【0081】
また、30分時間区間毎に計測して得られた各需要設備毎の需要実績データを用いることから、新しい需要設備が追加された場合、あるいは今まで電力供給を行っていた需要設備に対して電力を供給する必要がなくなった場合でも、そのような需要設備の追加・削除は、各需要設備毎の需要実績値に直ちに反映される。したがって、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合でも、そのような変化に迅速に対応しながら、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことができる。
【0082】
また、30分時間区間毎に需要実績データをリアルタイムで着実に蓄積することができるため、需要実績データの十分な蓄積がない場合でも、現在時刻以前の30分時間区間の需要実績データに基づき、需要設備の電力需要予測を精度よく行うことができる。
【0083】
なお、本発明において用いる計測時間区間は、30分に限定されるものではなく、より長い計測時間区間、あるいはより短い計測時間区間を採用することも可能である。しかし、計測時間区間が長すぎると、需要予測精度が低下してしまい、また、計測時間区間をあまり短くしても需要予測精度の向上効果には限界があることから、一般的には、30分の計測時間区間が望ましいと思われる。
【0084】
[5.処理の詳細]
以下には、本実施形態の電力託送システム10における需要予測装置130による需要予測処理における特徴的な各処理、すなわち、要因比較型の需要予測処理、需要予測修正処理、リアルタイム需要予測・比較処理、について詳細に順次説明する。
【0085】
[5−1.要因比較型の需要予測処理]
図4は、需要予測装置130の定期需要予測部202による要因比較型の需要予測処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すS303のサブルーチンに相当する。
【0086】
この図4に示すように、要因比較型の需要予測処理においては、需要設備毎の回帰モデルパラメータ計算を行い(S401)、計算されたパラメータに基づいて、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算を行う(S402)一方で、需要設備毎の類似日検索を行い(S403)、計算された需要設備毎の最大・最小需要電力量と検索された類似日に基づいて、各需要設備毎の需要電力量予測曲線計算を行う(S404)。そして、得られた各需要設備毎の需要電力量予測データを表示、保存する(S405)。以下には、このような要因比較型の需要予測処理の詳細についてより具体的に説明する。
【0087】
まず、需要設備毎の回帰モデルパラメータ計算(S401)においては、30分需要電力量実績データDD1〜DD4、気象実績データWD1〜WD4、およびイベント実績データED1〜ED4、に基づいて、各需要設備L1〜L4毎に並列的に回帰分析を行って回帰モデルのパラメータを計算する。
【0088】
この場合、回帰モデルとしては、例えば、次の(1)式、(2)式に示すような、最高・最低気温と最大・最小電力量の関係を表現する回帰モデルを用いることができる。なお、このような回帰モデルのパラメータa01、a1、a02、a2は、「平日」、「休日」等の曜日種別毎に、また、「スポーツイベント」、「音楽イベント」等のイベント実績内容毎に、最小二乗法により決定する。
【0089】
【数1】
【0090】
一般に、需要設備の1日の最大電力需要は、その日の最高気温と相関が高く、また、最小電力需要は、最低気温と相関が高いと考えられる。例えば、図5に示すように、需要設備L1の30分需要電力量実績データと、1日の最高気温、最低気温が1日毎に蓄積されている場合、それらの分布は、図6に示すような最高気温と最大電力量との相関、最低気温と最小電力量との相関、として表現することができる。したがって、(1)式、(2)式は、それらの相関を表すデータの中で予測対象日の過去数日間のデータから線形近似される直線の切片と傾きを表すパラメータを計算することを意味している。
【0091】
また、最高・最低気温と最大・最小電力量の関係を表現するモデルとしては、以下の(1)’式、(2)’式に示すような重回帰モデルを用いることもできる。このような重回帰モデルのパラメータa10、a11、a12、a20、a21、a22についても、(1)式、(2)式に示した回帰モデルのパラメータと同様に、曜日種別毎、また、イベント実績内容毎に、最小二乗法により決定する。
【0092】
【数2】
【0093】
次に、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)においては、計算された回帰モデルのパラメータ、予測対象日の気象予報データWP1〜WP4、および予測対象日のイベント予想データEP1〜EP4に基づいて、各需要設備L1〜L4毎に並列的に予測対象日の最大・最小需要電力量の需要予測値を計算する。
【0094】
この場合、需要設備毎の最大電力量、最小電力量の需要予測値は、次の(3)式、(4)式により計算することができる。なお、パラメータa01、a1、a02、a2には、予測対象日の曜日種別、および、予測対象日に予想されるかまたは確定しているイベント予想内容、に一致したものが用いられる。
【0095】
【数3】
【0096】
したがって、このような需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)で計算される予測最大需要電力量Y1と予測最小需要電力量Y2は、図6の近似直線上で、予想最高気温X1と予想最低気温X2に対応する最大需要電力量と最小需要電力量となる。
【0097】
一方、需要設備毎の類似日検索(S403)においては、気象実績データWD1〜WD4、イベント実績データED1〜ED4、予測対象日の気象予報データWP1〜WP4、および予測対象日のイベント予想データEP1〜EP4、に基づいて、各需要設備L1〜L4毎に並列的に予測対象日に最も近い過去の「日にち」を「類似日」として検索する。すなわち、当該需要設備の過去のデータの中から、予測対象日の曜日種別やイベント予想内容と同一の曜日種別やイベント実績内容を持つ「日にち」の中から、予測対象日の気象予報に最も近い気象実績内容を持つ「日にち」を「類似日」として検索する。
【0098】
この場合、「日にち」の近さは、次の(5)式に示すような、検索インデックスIxによって表現され、Ixが最小となる日が選択される。検索インデックスIxが最小となる日が複数ある場合は、例えば、予測対象日に最も近い日を選択すればよい。
【0099】
【数4】
【0100】
以上のような需要設備毎の類似日検索(S403)においては、過去の蓄積データの中から、予測対象日と最も近い日のデータが求められるが、その最高気温、最低気温などは、予測対象日の最高気温、最低気温の予測値と完全には一致していない。そのため、類似日の需要電力量曲線をそのまま需要電力量予測値として用いると、予測誤差が大きくなることが多い。
【0101】
そこで、各需要設備毎の需要電力量予測曲線計算(S404)においては、需要設備毎の類似日検索(S403)により検索された「類似日」の需要電力量曲線を、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)により計算された需要設備毎の最大需要電力量Y1と最小需要電力量Y2によって補正することにより、各需要設備L1〜L4毎に並列的に需要電力量の予測曲線を求める。
【0102】
すなわち、各需要設備毎の需要電力量予測曲線計算(S404)においては、需要設備毎の最大・最小需要電力量計算(S402)により計算された需要設備毎の予測最大需要電力量Y1および予測最小需要電力量Y2と、需要設備毎の類似日検索(S403)により検索された「類似日」の30分需要電力量実績データとを用いて、需要電力量予測データYtを次の(6)式によって計算する。なお、(6)式におけるrtは、「類似日」の最大需要電力量y1と最小需要電力量y2によって続く(7)式により計算される値である。
【0103】
【数5】
【0104】
ここで、(7)式のytは、図7に示すように、類似日の需要電力量曲線の各時間帯における最大需要と最小需要の間の比率であり、(6)式は、予測最大需要と予測最小需要をこのytで補間して需要電力量の予測曲線を計算することを意味している。
【0105】
また、各需要設備毎の需要電力量予測データの表示、保存(S405)においては、各需要設備L1〜L4毎に得られた需要電力量予測データDP1〜DP4を、MMI135を通じて表示すると共に、需要家データベース140に保存する。保存された需要電力量予測データDP1〜DP4がゾーン需要計算部205に提供されると、ゾーンZ1,Z2毎に需要電力量予測データDP1〜DP4の総和をとることにより、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2が計算される。
【0106】
[5−2.要因比較型の需要予測処理による作用効果]
以上のような、本実施形態における要因比較型の需要予測処理によれば、各需要設備L1〜L4毎に、予測対象日における、気象、イベント、曜日、等の各種の変動要因の予想内容や確定内容を、過去におけるそれらの変動要因の実績内容と比較して、変動要因の内容が最も類似する過去の「類似日」における需要実績データから予測対象日の需要予測値を精度よく求めることができる。
【0107】
また、以上のような要因比較型の需要予測処理によれば、需要予測を実行する当日に対する予測対象期間の選択に応じて、翌日需要予測、翌週の週間需要予測、当日需要予測を適宜行うことができる。このうち、翌日需要予測や週間需要予測を行う場合には、各需要設備毎に、当該需要設備における予測対象期間の前日、すなわち、需要予測を実行する当日までの気象実績データやイベント実績データと需要実績データ、および予測対象期間である翌日または翌週の気象予報データやイベント予想データ、を用いて需要予測を行うことができる。
【0108】
これに対し、当日需要予測を行う場合には、前日終日までの完全な気象実績データやイベント実績データ、需要実績データが得られることに加え、当日の現在時刻までに得られた最新の、より精度の向上した気象予報データやイベント予想データ等を用いることができるため、翌日需要予測や翌週需要予測に比べてさらに精度の高い需要予測を行うことができる。
【0109】
このように、本実施形態における要因比較型の需要予測処理によれば、各種の需要設備の需要に対して大きく影響する一般的な変動要因であるところの、気象、イベント、曜日、等の情報を用いて、需要予測を精度よく行うことができる。なお、本発明において用いる変動要因は、これらに限定されるものではなく、統計学的に当該需要設備の需要を変動させるものと推測される各種の要因を変動要因として用いることが可能である。
【0110】
[5−3.需要予測修正処理]
図8は、需要予測装置130の需要予測修正部203による需要予測修正処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すS305のサブルーチンに相当する。
【0111】
図8に示すように、需要予測修正処理においてはまず、需要家データベース140に蓄積された各需要設備の需要電力量の30分積算値である30分需要電力量実績データDD1〜DD4と、要因比較型の需要予測処理により得られて需要家データベース140に保存されている需要電力量予測データDP1〜DP4に基づいて、次区間(現在時刻を含む30分時間区間の次の30分時間区間)の各需要設備の需要電力量予測データDP1〜DP4を修正することにより、需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’を生成する(S801)。
【0112】
この修正は、次区間より2区間前の参照区間(現区間の直前の30分時間区間)の30分需要電力量実績データDD1〜DD4と、次区間と参照区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を用いて、次の(8)式に示すようにして行うことができる。なお、参照区間として次区間より2区間前の区間、したがって、現在時刻を含む現区間より1区間前のデータを用いるのは、現在時刻を含む現区間においては区間全体に亘る需要実績データが得られておらず、区間全体に亘る需要実績データが得られている最新の区間が、現区間より1区間前の区間であるという理由による。
【0113】
【数6】
【0114】
この(8)式は、図9に示すように、時刻T0における需要電力量予測値FDP(T0)と需要電力量実績値FDD(T0)の比によって、時刻Tにおける需要予測値を修正することを意味している。また、Tとして現在時刻以降のすべての時間を取ることにより、需要予測曲線の修正が可能となる。
【0115】
また、S801の別の処理として、次区間より2区間前の参照区間(現区間の直前の30分時間区間)の30分需要電力量実績データDD1〜DD4と、次区間と参照区間の需要電力量予測データDP1〜DP4を用いて、次の(9)式に従って需要電力量予測値を修正してもよい。
【0116】
【数7】
【0117】
この(9)式は、時刻T0における需要電力量予測値FDP(T0)と需要電力量実績値FDD(T0)の差分を、時刻における需要予測値に加えることによって、需要予測値を修正することを意味している。
【0118】
あるいは、S801の別の処理として、上記の(8)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)と、(9)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)を用いて、次の(10)式に従って需要電力量予測値を修正してもよい。
【0119】
【数8】
【0120】
この(10)式は、上記の(8)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)と、(9)式により修正された需要電力量予測修正値FDP’(T0)とを、適当な比率rで按分することを意味している。例えば、需要家設備の稼動機器台数が変化しない範囲での需要変動であれば、
【数9】
として比例的に修正し、機器の起動・停止を含むものであれば、
【数10】
として追加的に修正することが考えられる。
【0121】
そして、以上のような処理により得られた需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’を、MMI135により表示すると共に、需要家データベース140に保存する(S802)。保存された需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’がゾーン需要計算部205に提供されると、ゾーンZ1,Z2毎に需要電力量予測修正データDP1’〜DP4’の総和を取ることにより、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2が計算される。
【0122】
[5−4.需要予測修正処理による作用効果]
以上のような、本実施形態における需要予測修正処理によれば、予測対象区間である次の30分時間区間(次区間)に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、予測対象区間のその需要予測値を、区間全体の需要実績値が得られている最新の30分時間区間である2区間前の参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正することができ、修正された需要電力量予測修正値を、需要設備毎の需要電力量予測データとして用いることができる。
【0123】
したがって、予め予測していた需要予測値と実際の需要実績値との差が大きい場合においても、その差異を考慮して予測対象期間の需要予測値を予測対象期間の直前の時点で精度よく修正することができるため、精度の高い需要予測が可能となる。
【0124】
[5−5.リアルタイム需要予測・比較処理]
図10は、需要予測装置130のリアルタイム需要予測・比較部204によるリアルタイム需要予測・比較処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すS307のサブルーチンに相当する。
【0125】
図10に示すように、リアルタイム需要予測・比較処理においてはまず、需要家データベース140に蓄積された需要電力実績データSD1〜SD4および需要電力量実績データHD1〜HD4を用いて、現区間(現在時刻を含む30分時間区間)における各需要設備毎のリアルタイムの需要電力量予測値を外挿により計算する(S1001)。この計算は、例えば、次の(11)式に従って行うことができる。
【0126】
【数11】
【0127】
次に、計算された各需要設備毎の需要電力量予測値WX1〜WX4を既存の需要電力量予測値DP1〜DP4と共に、MMI135により画面上に比較表示する(S1002)。図11は、このような画面表示の一例を示したものである。この図11に示す画面においては、横軸に時間(分)、縦軸に需要電力(kW)と需要電力量(kWh)をとっている。そして、現区間の0分から現在時刻t分までの需要電力実績値(kW)、現区間での需要電力量実績値(kWh)、要因比較型の需要予測処理により得られて需要家データベース140に保存されている現区間の需要電力量予測値DP1〜DP4、および、(11)式により計算されたリアルタイムの需要電力量予測値WX1〜WX4、が表示される。
【0128】
ここで、(11)式により計算された需要電力量予測値WXiは、現区間における残り(30−t)分間の需要が、現在時刻tでの需要電力実績値Pi(t)に等しい場合に計算される現区間での電力量であり、残り(30−t)分間の需要電力予測値、需要電力量予測値も画面に表示される(図中に破線で示すような直線となる)。なお、外挿の方法として、(11)式以外にも、需要電力Pi(t)の予測値WXiを、次の式(11)´に示すように、現在時刻tとその前の点から直線的に延長して求めることもできる。
【0129】
【数12】
【0130】
続いて、現在時刻tを含む予め定められた長さの時間において、リアルタイムに計算された需要電力量予測値WX1〜WX4と、予め保存されていた需要電力量予測値PD1〜PD4とを比較し、その差分が予め定められたしきい値ΔWiを超えた場合、すなわち、次の(12)式を満たす場合(S1003のYES)に、MMI135によりそのことを示す画像アラームを表示すると共に、音声アラームを出力する(S1004)。
【数13】
|WXi−PDi|>ΔWi … (12)
【0131】
以上のような処理により得られたリアルタイムの需要電力量予測値WX1〜WX4は、需要家データベース140に保存される(S1005)。保存された需要電力量予測値WX1〜WX4がゾーン需要計算部205に提供されると、ゾーンZ1,Z2毎に需要電力量予測値WX1〜WX4の総和を取ることにより、ゾーン需要電力量予測データZP1,ZP2が計算される。
【0132】
[5−6.リアルタイム需要予測・比較処理による作用効果]
以上のような、本実施形態におけるリアルタイム需要予測・比較処理によれば、現在時刻を含む現区間の需要予測を、現区間内における現在時刻までの需要実績値の時系列データを利用して、リアルタイムで行うことができる。したがって、このリアルタイム需要予測により得られた需要電力量予測値WXiと、当日または前日までに得られた既存の需要電力量予測値PDiとを比較してその差分を判定することにより、同時同量制御を適切に行うことができる。
【0133】
特に、図11に示すような画面表示を行うことにより、予め予測された需要設備毎の現区間での需要電力量予測値PDiと、現区間における現在時刻までの最新の需要実績値から予想されるリアルタイムの需要電力量予測値WXiとを、画面上で直接比較できるので、振替供給のみによる電力供給等、需要家のゾーン内に調整用電源を持たない電力小売事業者は、需要家の使用電力削減要請や、連系線の通告電力量の変更等を容易に行うことができる。
【0134】
また、予め予測された需要電力量予測値PDiとリアルタイムの需要電力量予測値WXiとを比較して、その差分が大きい場合には、自動的にアラームを出力し、特定規模電気事業者に警告することができるため、見落としによる同時同量制約違反の防止に貢献できる。
【0135】
[6.他の実施形態]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な形態が実施可能である。
【0136】
例えば、前記実施形態においては、需要予測修正処理により各需要設備毎の需要予測修正値を求め、また、リアルタイム需要予測・比較処理により各需要設備毎のリアルタイムの需要予測値を求めた後に、ゾーン需要計算処理により、各需要設備毎の需要予測値の総和をゾーン毎に計算する手順について説明したが、本発明における手順はこれに限定されるものではない。
【0137】
すなわち、需要設備毎の需要電力量予測データおよび需要電力量実績データをゾーン毎に足し合わせてゾーン需要電力量予測データおよびゾーン需要電力量実績データを計算した後に、ゾーン需要電力量予測データを修正することも可能である。同様に、ゾーン需要電力量予測データおよびゾーン需要電力量実績データを計算した後に、ゾーン毎に、既存のゾーン需要電力量予測データとリアルタイムのゾーン需要電力量予測データとを比較することも可能である。
【0138】
また、前記実施形態においては、リアルタイム需要予測・比較処理として、リアルタイムの需要電力量予測値と予め予測された需要電力量予測値との差分が大きい場合にアラームを出力する場合について説明したが、需要予測修正処理においても、修正前の元の値と修正後の値との差分が大きい場合にアラームを出力することも可能である。
【0139】
さらに、前記実施形態において説明したような3種類の需要予測処理、すなわち、定期予測を行うための「要因比較型の需要予測処理」、直前の予測修正を行うための「需要予測修正処理」、現区間予測を行うための「リアルタイム予測・比較処理」、は、それぞれ独立した需要予測装置として構成可能である。例えば、要因比較型の需要予測処理のみを行う定期予測用の需要予測装置、需要予測修正処理のみを行う需要予測装置、リアルタイム予測・比較処理のみを行う需要予測装置、もまた、本発明の1つの態様である。さらに、そのような各種の需要予測装置を含む需要予測システムもまた、本発明の1つの態様である。
【0140】
これに関連して、需要予測修正処理やリアルタイム予測・比較処理において使用する「予め与えられた需要予測値」は、要因比較型の需要予測処理により得られた需要予測値に限定されるものではなく、他の方式の需要予測装置や別の情報源等から入手された各種の需要予測値を自由に使用可能である。
【0141】
一方、前記実施形態においては、説明の簡略化の観点から、一例として、2つの電力会社の電力需要・供給対象地域である2つのゾーンのみについて説明したが、本発明は、3つ以上の多数のゾーンが存在する場合や、逆に1つのゾーンのみの需要予測を行う場合等にも同様に適用可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
【0142】
また、前記実施形態においては、要因比較型の需要予測処理として、気象、イベント、曜日、等の変動要因に関するデータを使用する場合について説明したが、本発明における変動要因はそれらに限定されるものではなく、統計学的に需要変動の要因となる可能性がある限り、各種の変動要因に関するデータを同様に使用して精度の高い需要予測を行うことが可能である。さらに、前記実施形態における予測対象期間や計測時間区間は一例にすぎず、本発明における予測対象期間や計測時間区間は自由に選択可能である。
【0143】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、計測時間区間毎に各需要設備毎に計測された電力の需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する需要予測値等の指標値を取得し、指標値の総和をゾーン毎に計算することにより、少なくとも1つの電力会社の電力需要・供給用ゾーンにおける需要電力量予測値を、そのゾーンにおける各需要設備の特徴を考慮して精度よく求めることができる。
【0144】
したがって、電気事業者が託送によって需要設備に対して電力を供給する際に、需要設備の追加・削除が頻繁に行われる場合や、実績データの十分な蓄積がない場合でも、需要設備の電力需要予測を常に精度よく行うことが可能な託送電力の需要予測方法と装置を提供することができる。
【0145】
また、本発明によれば、需要予測値を精度よく修正することができるため、需要家の電力使用実績が、予め予測された電力需要予測値と異なる場合にも、容易に発電計画を見直すことができ、経済的なコストを最小限に抑えた同時同量制御が可能となる。
【0146】
また、本発明によれば、現在時刻を含む時間区間での需要予測値を電力使用実績から予想し、予め予測されていた需要予測値と比較することができるので、同時同量を守るための対応を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した需要予測装置を含む電力託送システムの概要を示すシステム構成図。
【図2】図1に示す需要予測装置において実現される機能構成の概要を示す機能ブロック図。
【図3】図2に示す需要予測装置による需要予測処理の概要を示すフローチャート。
【図4】図3に示す要因比較型の需要予測処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図5】図2に示す需要予測装置の需要家データベースに蓄積されている各需要設備の30分需要電力量実績データと最高・最低気温実績データのイメージを示す概念図。
【図6】図5に示す各需要設備のデータの分布を最高・最低気温と最大電力量・最小電力量との相関として示す図。
【図7】図4に示す要因比較型の需要予測処理における需要電力量予測曲線の計算方法を説明する図。
【図8】図3に示す需要予測修正処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図9】図8に示す需要予測修正処理における需要電力量予測曲線の修正方法を説明する図。
【図10】図3に示すリアルタイム需要予測・比較処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図11】図10に示すリアルタイム需要予測・比較処理により計算された需要電力量予測値の画面表示例を示す図。
【符号の説明】
10...電力託送システム
Z1,Z2...ゾーン
100...電力系統
101,102...送電設備
103...会社間連系線
111〜113...発電ユニット
G1〜G3...発電設備
GC1〜GC3...制御装置
GM1〜GM3...計測器
121〜124...需要ユニット
L1〜L4...需要設備
LM1〜LM4...計測器
130...需要予測装置
131...通信I/F
132...コンピュータ
133...主メモリ
134...記憶装置
135...マンマシン・インタフェース装置(MMI)
140...需要家データベース
201...データ受信・蓄積部
202...定期需要予測部
203...需要予測修正部
204...リアルタイム需要予測・比較部
205...ゾーン需要計算部
SD1〜SD4...需要電力実績データ
HD1〜HD4...需要電力量実績データ
DD1〜DD4...30分需要電力量実績データ
WD1〜WD4...気象実績データ
ED1〜ED4...イベント実績データ
WP1〜WP4...気象予報データ
EP1〜EP4...イベント予想データ
DP1〜DP4...需要電力量予測データ
DP1’〜DP4’...需要電力量予測修正データ
WX1〜WX4...需要電力量予測データ
ZP1〜ZP4...ゾーン需要電力量予測データ
Claims (17)
- 単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測する方法において、
前記需要設備に対して供給される託送電力を予め設定された計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する指標値を取得する需要指標値取得ステップと、
前記各需要設備毎に得られた前記指標値の総和を前記ゾーン毎に計算するゾーン需要計算ステップ、
を含むことを特徴とする託送電力の需要予測方法。 - 前記需要指標値取得ステップは、
前記各需要設備毎に前記計測時間区間毎の前記指標値を取得するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記需要指標値取得ステップは、需要予測を実行する現在時刻以降の指定された予測対象期間の需要予測値を前記指標値として前記各需要設備毎に取得するために、
統計学的に当該需要設備の需要を変動させるものと推測される要因を変動要因とした場合に、当該変動要因の過去の実績内容を表現する変動要因実績情報と前記需要実績値、および当該予測対象期間における当該変動要因の予想内容または確定内容を表現する変動要因予想情報、という複数種類の情報を用いて、当該予測対象期間の需要予測値を計算する要因比較型の需要予測計算ステップを含む、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記要因比較型の需要予測計算ステップは、前記予測対象期間に対して前記各需要設備毎に行う一連のステップとして、
当該需要設備における当該予測対象期間以前の前記変動要因実績情報と前記需要実績値、および当該予測対象期間の前記変動要因予想情報という複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間の最大需要予測値と最小需要予測値を計算する最大・最小需要予測計算ステップと、
当該需要設備における当該予測対象期間以前の前記変動要因実績情報と当該予測対象期間の前記変動要因予想情報という複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間に最も類似した過去の期間を類似期間として検索する類似期間検索ステップと、
当該需要設備に対して得られた前記最大需要予測値と前記最小需要予測値、および当該需要設備に対して検索された前記類似期間の前記需要実績値を用いて、当該需要設備における当該予測対象期間の需要予測曲線を計算する需要予測曲線計算ステップを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記予測対象期間は、需要予測を実行する当日に対して、翌日、翌日以降の1週間、当日、という選択肢の中から選択された期間である、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記要因比較型の需要予測計算ステップは、
前記予測対象期間が当日である場合に、前記各需要設備毎に、当該需要設備における前日までの前記変動要因実績情報と前記需要実績値、および当日の前記変動要因予想情報、という前日までに得られた情報に、当日の現在時刻までに得られた最新の変動要因予想情報を加えた複数種類の情報を用いて、当該需要設備における当日の需要予測値を計算する当日需要予測計算ステップを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記変動要因実績情報および前記変動要因予想情報は、気象、イベント、曜日、の中から選択された変動要因に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法。 - 需要予測を実行する現在時刻以降の指定された予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、現在時刻以前の予め与えられた需要予測値が存在する期間を参照期間として、当該予測対象期間の需要予測値を、当該参照期間の需要実績値と需要予測値との比率に応じて修正する需要予測修正ステップ、
を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記需要予測修正ステップは、
前記需要指標値取得ステップにより、前記予測対象期間の需要予測値を、当該需要設備における前記参照期間の需要実績値と需要予測値の比率に応じて修正するステップと、
前記ゾーン需要計算ステップにより、当該予測対象期間に対して前記各需要設備毎に得られた前記修正後の需要予測値の総和を前記ゾーン毎に計算するステップを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記需要予測修正ステップは、
前記ゾーン需要計算ステップにより、前記予測対象期間に対して前記各需要設備毎に予め与えられた需要予測値の総和を前記ゾーン毎に計算するステップと、
前記需要指標値取得ステップと前記ゾーン需要計算ステップにより、前記各需要設備毎に当該需要設備の需要実績値を取得し、得られた需要実績値の総和を前記ゾーン毎に計算するステップと、
前記ゾーン毎に得られた前記予測対象期間の需要予測値の総和を、ゾーン毎に得られた前記参照期間における需要実績値の総和と需要予測値の総和の比率に応じて修正するステップを含む、
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の託送電力の需要予測方法。 - 需要予測を実行する現在時刻を含む指定された予測対象期間に対して、当該予測対象期間における現在時刻までの需要実績値の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻以降の需要予測値と現在時刻までの需要実績値を用いて、当該予測対象期間における需要予測値を計算するリアルタイム需要予測ステップ、
を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記リアルタイム需要予測ステップは、
前記需要指標値取得ステップにより、前記各需要設備毎に、前記予測対象期間における現在時刻までの当該需要設備の需要実績値の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値を外挿によって計算し、得られた現在時刻以降の需要予測値と現在時刻までの需要実績値を用いて、当該予測対象期間における需要予測値を計算するステップと、
前記ゾーン需要計算ステップにより、前記各需要設備毎に得られた前記予測対象期間の需要予測値の総和を前記ゾーン毎に計算するステップを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記リアルタイム需要予測ステップは、
前記需要指標値取得ステップと前記ゾーン需要計算ステップにより、前記各需要設備毎に、前記予測対象期間における現在時刻までの当該需要設備の需要実績値を得て、得られた需要実績値の総和を前記ゾーン毎に計算するステップと、
前記ゾーン毎に得られた前記予測対象期間における需要実績値の総和の時系列データから、当該予測対象期間における現在時刻以降の需要予測値の総和を外挿によってゾーン毎に計算し、ゾーン毎に得られた現在時刻以降の需要予測値の総和と現在時刻までの需要実績値の総和を用いて、当該予測対象期間における需要予測値の総和をゾーン毎に計算するステップを含む、
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記予測対象期間に対して予め与えられた需要予測値が存在する場合に、当該需要予測値と、当該予測対象期間に対して前記需要予測修正ステップまたは前記リアルタイム需要予測ステップにより新たに得られた需要予測値とを比較して、その差分が予め設定されたしきい値を超えている場合に、アラームを出力する比較ステップ、
を含むことを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法。 - 前記計測時間区間は30分間である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の託送電力の需要予測方法。 - 単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測する装置において、
前記需要設備に対して供給される託送電力を予め設定された計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する指標値を取得する需要指標値取得手段と、
前記各需要設備毎に得られた前記指標値の総和を前記ゾーン毎に計算するゾーン需要計算手段、
を備えたことを特徴とする託送電力の需要予測装置。 - 単数または複数の電力会社の送電設備を含む単数または複数のゾーンにまたがる電力系統に連系された単数または複数の発電設備から、前記送電設備を利用して、接続供給方式あるいは振替供給方式によって、前記ゾーンに位置する単数または複数の需要設備に対して供給される託送電力の需要を予測するためのプログラムにおいて、
前記需要設備に対して供給される託送電力を予め設定された計測時間区間毎に各需要設備毎に計測して得られた需要実績値に基づき、各需要設備毎の需要を表現する指標値を取得する需要指標値取得機能と、
前記各需要設備毎に得られた前記指標値の総和を前記ゾーン毎に計算するゾーン需要計算機能、
をコンピュータに実現させることを特徴とする託送電力の需要予測用プログラム。
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