JP2004327257A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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健二 伊達
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】高精細のプラズマディスプレイパネルにおいて、荷電粒子の拡散損失を抑え、駆動電圧を低下させる。
【解決手段】一対の基板1,8をこれら基板1,8間に放電空間が形成されるように対向配置するとともに放電空間を複数に仕切るための隔壁11を一方の基板8に配置し、且つ、隔壁11により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板1,8に電極4,10群を配置するとともに放電により発光する蛍光体層12を設けたパネル本体20を有するプラズマディスプレイパネルであって、蛍光体層12は、隔壁11間における背面側の基板8上(すなわち隔壁11間の底部)を覆うように形成され、隔壁11の側面11aには形成されていないものである。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面で、薄型、軽量のディスプレイ装置として知られているプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイパネルは、視認性に優れた表示パネル(薄型表示デバイス)として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このプラズマディスプレイパネルには、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のプラズマディスプレイパネルが主流を占めるようになってきている。
【0004】
このプラズマディスプレイパネルの放電セルは貼り合わせた前面板と背面板の間に形成されている。背面板側にはセル間を区切る隔壁がストライプ状、もしくはボックス状に形成され、隔壁間には蛍光体が塗布されている。前面板と蛍光体で囲まれた空間で放電が発生する。
【0005】
従来のプラズマディスプレイパネルでは、図6に示すように、蛍光体層31は、隔壁32間における背面側の基板33上(すなわち隔壁32間の底部表面)を覆うとともに、隔壁32の側面32aを一定以上の厚さで全面にわたり覆っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−208057号公報(第3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のようなプラズマディスプレイパネルにおいては、高精細化が進んだ場合、駆動電圧が高くなるという課題がある。すなわち、高精細のプラズマディスプレイパネルは放電セルが微細化するため、各隔壁32間の間隔が狭くなる。放電空間内の電子やイオン(荷電粒子)は電界によって加速され、それぞれ逆極性の電極方向に移動する。しかし電極方向に移動する過程で、一部は隔壁32の壁面へ拡散する。この拡散量は放電空間の大きさにほぼ反比例して増加するため、放電セルの微細化が進むにつれ荷電粒子の拡散損失は増加していく。これを補うためにより高い電圧が必要となり、したがって、上述したように高精細プラズマディスプレイパネルの駆動電圧が上昇することになる。
【0008】
本発明はこのような課題を解決し、高精細のプラズマディスプレイパネルにおいても荷電粒子の拡散損失を抑え、駆動電圧を低下させることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本第1発明は、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置するとともに前記放電空間を複数に仕切るための隔壁を少なくとも一方の基板に配置し、かつ前記隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に電極群を配置するとともに放電により発光する蛍光体層を設けたパネル本体を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記蛍光体層は、隔壁間における背面側の基板上を覆うように形成され、隔壁の側面には形成されていないものである。
【0010】
一般に、高精細のプラズマディスプレイは、隔壁間の間隔(放電空間)が狭くなることで駆動電圧が上昇する。これに対して前記のような本発明では、隔壁の側面に蛍光体層を形成していないため、放電空間を広く確保でき、これにより、隔壁の壁面への拡散による荷電粒子の損失を抑え、駆動電圧の低電圧化を実現することができる。
【0011】
また、本第2発明は、蛍光体層は、隔壁の側面において、少なくとも前面側の基板付近には形成されていないものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
尚、図1にプラズマディスプレイパネルにおけるパネル構造の一例を示し、図2に図1のA−A’線で切断した断面を示し、図3に図1のB−B’線で切断した断面を示している。
【0013】
前記図1〜図3に示すように、20はプラズマディスプレイパネルのパネル本体であって、ガラス基板などの透明な前面側の基板1上には、走査電極2と維持電極3とで対をなすストライプ状の表示電極4が複数対形成されており、そして、基板1上の隣り合う表示電極4間には遮光層5が配置形成されている。この走査電極2および維持電極3は、それぞれ、透明電極2a、3aと、これら透明電極2a、3aに電気的に接続された銀等の母線2b、3bとから構成されている。また、前記前面側の基板1には、前記複数対の表示電極4群を覆うように誘電体層6が形成され、その誘電体層6上には保護膜7が形成されている。
【0014】
また、前記前面側の基板1に対向配置される背面側の基板8上には、前記走査電極2及び維持電極3から成る表示電極4と直交する方向に、絶縁体層9で覆われた複数のストライプ状のデータ電極10が形成されている。このデータ電極10間の絶縁体層9上には、データ電極10と平行にストライプ状の複数の隔壁11が配置されている。
【0015】
これら前面側の基板1と背面側の基板8とは、前記走査電極2および維持電極3とデータ電極10とが直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、前記放電空間は、隔壁11によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極4とデータ電極10との交点が位置する複数の放電セル13が設けられている。これら各放電セル13には、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層12が一色ずつ順次配置されている。
【0016】
前記蛍光体層12は、各隔壁11間における背面側の基板8上(すなわち各隔壁11間の底部)と、隔壁11の側面11aの奥部付近(すなわち底部付近)とにわたって形成されており、前記側面11aにおいて前面側の基板1付近(すなわち隔壁11の側面11aの頂部付近)には形成されていない。
【0017】
以下、上記構成における作用を説明する。
図3に示すように、高精細のプラズマディスプレイのパネル本体20では、隔壁11の側面11aにおいて前面側の基板1付近(すなわち隔壁11の側面11aの頂部付近)には蛍光体層12を形成していないため、放電空間(隔壁11間の間隔)を広く確保できる。これにより、隔壁11の壁面への拡散による荷電粒子の損失を抑え、駆動電圧の低電圧化を実現することができる。
【0018】
尚、現在市販されているプラズマディスプレイパネルの隔壁11間の間隔は約300μmであり、今後さらに隔壁11間の間隔は狭くなる方向にある。前記隔壁11間の間隔が300μm以下で前記壁面への拡散が顕著になると考えられる。
【0019】
ここで、我々は実験的に隔壁11間の間隔を200μmまで狭くしたパネル本体20のパネル特性を見積った。隔壁11の幅を30μmとし、従来のように隔壁11の側面11a全面を蛍光体層12で覆い、この蛍光体層12の厚さ(膜厚)を15μmとした場合、放電空間の大きさは140μmとなる。これに対して、本実施の形態(図3参照)のように隔壁11の側面11aの頂部付近(すなわち前部付近)に蛍光体層12を形成していない場合、前記放電空間の大きさは170μmに拡大する。このように、本実施の形態では従来のものに比べて、放電空間が140μmから170μmに広がり、これによって、駆動電圧としては約5V低下する。
【0020】
一方で、本実施の形態では、隔壁11の側面11aの頂部付近に蛍光体層12が無いため、従来のものに比べて蛍光体層12の表面積が減少し、これによって、発光輝度が約10%程度低下し、発光効率も10%程度低下する。
【0021】
しかしながら、一般に、図4のグラフで示すように、プラズマディスプレイパネルは原理的に投入電力(電子密度にほぼ比例する)に対して、輝度が飽和していくため、投入電力に対して発光効率は低下してしまう関係にある。すなわち低電圧(低電子密度)で駆動させることで発光効率は上昇する。この場合、駆動電圧が1V低下するのに対して発光効率は最大で約1.5%上昇するため、前記のように駆動電圧が5V低下すれば、7%前後の発光効率の上昇が見込める。
【0022】
さらに、隔壁11の側面11aの頂部付近に蛍光体層12が無いことで開口率が大きくなる。すなわち、従来のように隔壁11の側面11aに蛍光体層12が全面にわたって形成されている場合の開口率が約70%になるのに対し、本実施の形態(図3参照)のように蛍光体層12が無い場合の開口率は約85%に増大する。この開口率の増大分がそのまま輝度上昇には繋がらないが、輝度が3〜5%上昇し、効率も同様に3〜5%上昇する。
【0023】
したがって、本実施の形態では、隔壁11の側面11aの頂部付近に蛍光体層12を形成していないことによって、発光効率が低下するが、同時に、駆動電圧を低下させるとともに開口率を増大させることができるため、その分だけ発光効率が上昇し、前記発光効率の低下が相殺される。これにより、隔壁11の側面11aの頂部付近に蛍光体層12を形成しなくても、駆動電圧の低電圧化によって発光効率の低下が抑制される。
【0024】
また、第2の実施の形態として、図5に示すように、蛍光体層12は、各隔壁11間における背面側の基板8上(すなわち各隔壁11間の底部)のみに形成されており、隔壁11の側面11aには形成されていないものであってもよく、これによっても前記第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、プラズマディスプレイパネルの高精細化により放電セルが微細化した場合においても、隔壁の側面に蛍光体層を形成しないことによって、荷電粒子の壁面への拡散による損失を抑え、低電圧駆動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】図1のプラズマディスプレイパネルをA−A’線で切断した断面図である。
【図3】図1のプラズマディスプレイパネルをB−B’線で切断した断面図である。
【図4】同、プラズマディスプレイパネルに対する電子密度と輝度および効率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図6】従来のプラズマディスプレイパネルの隔壁と蛍光体層との拡大断面図である。
【符号の説明】
1,8 基板
2 走査電極
3 維持電極
4 表示電極
10 データ電極
11 隔壁
11a 側面
12 蛍光体層
20 パネル本体

Claims (2)

  1. 少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置するとともに前記放電空間を複数に仕切るための隔壁を少なくとも一方の基板に配置し、かつ前記隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に電極群を配置するとともに放電により発光する蛍光体層を設けたパネル本体を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記蛍光体層は、隔壁間における背面側の基板上を覆うように形成され、隔壁の側面には形成されていないことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 蛍光体層は、隔壁の側面において、少なくとも前面側の基板付近には形成されていないことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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