JP2004325572A - 電気光学装置及び実装ケース入り電気光学装置並びに投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気光学装置において、粉塵の投影の問題を解決して高品質な画像を表示するとともに、その内部に熱を蓄積させない。
【解決手段】電気光学装置は、液晶層(50)を挟持してなるTFTアレイ基板(10)及び対向基板(20)を備えてなり、これらの基板のうち少なくとも一方における、前記液晶層に対向しない側に透明ZnSからなる防塵用基板(491、492)を備えてなる。
【選択図】 図3
【解決手段】電気光学装置は、液晶層(50)を挟持してなるTFTアレイ基板(10)及び対向基板(20)を備えてなり、これらの基板のうち少なくとも一方における、前記液晶層に対向しない側に透明ZnSからなる防塵用基板(491、492)を備えてなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の液晶装置、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL(Electro−Luminescence)表示装置等の電気光学装置の技術分野に属する。また、本発明は、このような電気光学装置を具備してなる投射型表示装置の技術分野にも属する。
【0002】
【背景技術】
一般に、液晶パネルを液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、スクリーン上に拡大投射を行うために、液晶パネルには、例えばメタルハライドランプ等の光源からの強力な光源光が集光された状態で入射する。このように強力な光源光が入射すると、液晶パネルの温度は上昇し、液晶パネル内において一対の透明基板間に挟持されている液晶の温度も上昇して、該液晶の特性劣化を招く。また特に光源光にむらがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて所謂ホットスポットが発生して、液晶の透過率のムラができて投射画像の画質が劣化する。このような温度上昇は、光源と液晶パネルとの間に熱線カットフィルタを配置して不要な赤外線の入射を低減すること等により多少は緩和されるが、高画質化を図るためには、より効率的な温度上昇の防止対策が必要である。
【0003】
このような問題点に対処するため、従来においても、液晶パネルの光入射側に位置する基板に遮光膜を設けること、液晶パネルを実装あるいは収納してなる実装ケースを光反射性材料から構成すること、等といった各種対策が施されている。これらによれば、液晶パネルの温度上昇を相応に抑制することが可能となる。すなわち、遮光膜及び光反射性材料からなる実装ケースによれば、液晶パネルに対する光源光の過剰な入射を抑えることで、この光が該液晶パネル内で熱に変換される作用を抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−113906号公報
【特許文献2】
特開平11−231277号公報
【特許文献3】
特開平11−249120号公報
【特許文献4】
特開2000−284700号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来における液晶パネルの昇温防止対策には次のような問題点がある。すなわち、光源光からの強力な光が投射される限り、液晶パネルの温度上昇の問題は常に顕在化するおそれがあるから、更なる高画質化等を図るためには、上記各種の対策に代えて又は加えて、より効率的な温度上昇の防止対策が要求されているという点である。
【0006】
また、上述の昇温防止対策については、以下のような難点がある。すなわち、遮光膜及び実装ケースによる光反射対策では、それらの面積を増大させれば反射光量が増大するから、たしかに液晶パネルの温度上昇の防止を相応に達成することができると考えられるものの、反射光量をむやみに増大させると、実装ケース入り液晶パネルを収納するハウジング内の迷光を増加させることとなって、画像の品質に悪影響を及ぼすことが考えられる。また、遮光膜については、その面積を広げれば広げるほど、液晶パネルに本来入射・透過されるべき光源光の量が減ることになるから、画像が暗くなってしまうことが考えられる。このように、上記の対策は、抜本的に問題を解決するものとはいえない点にも問題がある。
【0007】
ところで、上述のように、電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置においては、前記の蓄熱に関する問題とは別に、次のような問題点もあった。すなわち、上述の投射型表示装置では、ライトバルブの表面にごみや埃等(以下、単に「粉塵」という。)が付着すると、映写幕上にその粉塵の像もまた投影されてしまうことで、画像の品質を低下させる可能性があったのである。これは、光源光が、ライトバルブの表面近傍にその焦点を結ぶように集光されるためである。これにより、ライトバルブ表面に付着した粉塵は、拡大投影されることとなって画像上に映り込み、その品質を低下させるのである。
【0008】
いずれにせよ、投射型表示装置においては、比較的強力な光源光を集光して電気光学装置に照射することにより、上述のような大きな二つの問題点を抱えているということができる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、粉塵の投影の問題を解決して高品質な画像を表示することが可能であるとともに、その内部に熱を蓄積させるようなことなく安定的な動作が可能な電気光学装置を提供することを課題とする。また、本発明は、かかる電気光学装置を具備してなる実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置を提供することをも課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するため、電気光学物質を挟持してなる一対の基板と、該一対の基板のうちの一方の基板上に、表示用電極と、該表示用電極にスイッチング素子を介して又は直接に接続された配線とを備えた電気光学装置であって、該電気光学装置は、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側にZnSからなる透明基板を備えてなる。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、一対の基板上に形成された表示用電極に配線を通じて適当な電圧を印加することで、電気光学物質に対して電界を印加することができ、その状態を変化させることが可能となる。この際、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側から、他方におけるそれへと抜けるような光を投射することで、画像を表示することができる。これは、電気光学物質の状態の変化に応じて透過率が変じられていることにより、それに応じた階調表示が可能であることによる。
【0012】
そして、本発明においては特に、前記一対の基板の少なくとも一方における電気光学物質に対向しない側に、ZnSからなる透明基板を備えている(以下、このように「一対の基板」のどちらかに設けられる透明基板を、「防塵用基板」ということがある。)。これにより、まず、背景技術の項で述べたような粉塵の投影の問題を有効に解決することができる。というのも、該防塵用基板が設けられることにより、基板上に直接に粉塵が付着するようなことを防止するとともに、該防塵用基板上に仮に粉塵が付着したとしても、該防塵用基板が所定の厚さを有することにより、前記基板に向けて照射された光の焦点が、前記粉塵の付着位置において結ばれるわけではないからである(デフォーカス効果)。したがって、本発明によれば、画像上に粉塵の像が投影されるというような事態を未然に回避することができ、これにより、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0013】
また、本発明では更に、防塵用基板が比較的熱伝導率の大きいZnSを含んでなるから、一対の基板からの熱の吸い上げを効率的に行うこと、換言すれば、該防塵用基板を有効なヒートシンクとして機能させることができる。したがって、電気光学装置内部における過剰な熱蓄積を未然に防止することも可能となる。また、ZnSは、一般に赤外線の透過率が大きい材料であるから、該赤外線が防塵用基板に吸収されることによって発熱が生じるということは殆ど生じ得ない。これによると、防塵用基板が、ヒートシンクとしてより有効に機能することになるから、電気光学装置の冷却をより確実になすことができる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、粉塵の投影の問題を解決して高品質な画像を表示することが可能であるとともに、その内部に熱を蓄積させるようなことなく安定的な動作が可能な電気光学装置を提供することができる。
【0015】
なお、本発明にいう「ZnS」は「透明基板」を構成するから、以下では、この「ZnS」を特に、「透明ZnS」と呼ぶことがある。ここに「『透明』ZnS」とは、例えばZnSをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって作成した後、これを焼成すること等によって製造することができる。この場合、焼成前のZnSは「透明」ではないから、光の透過が予定される電気光学装置においては、一般に好適には用いることができない。しかるに、焼成を行うことによって、ZnSを透明にすることができるから、光の透過が予定される電気光学装置においても、好適に用いることができる。
【0016】
また、本発明において、「一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側」に防塵用基板が備えられるというのは、該防塵用基板を、電気光学装置の光入射側、光出射側及びその両側に配置する三つのパターンを含んでいる。この場合、どのパターンによっても、電気光学装置の冷却効果は相応に引き出されるが、本願発明者らの研究によると、電気光学装置の放熱性を最も高めるためには、防塵用基板を電気光学装置の光入射側及び光出射側の双方(即ち、両側)に設ける態様が最も好ましい。加えて、仮に、光入射側及び光出射側のどちらか一方のみに防塵用基板を設けることを前提とするのであれば、一般的には、該防塵用基板は、光入射側に設ける場合の方が、その逆の場合よりも好ましい。
【0017】
さらに、発明にいう「表示用電極」としては、一対の基板のうちの一方の基板上においては、マトリクス状に配列された画素電極が、その他方の基板上においては、その全面に形成された対向電極(共通電極)が、それぞれ該当すると考えることができ、「スイッチング素子」とは、TFT、あるいは薄膜ダイオード(TFD)が該当すると考えることができる。これによれば、アクティブマトリクス駆動が可能となる。或いは、「表示用電極」の別の例としては、一対の基板それぞれの上に形成され、相互に交差する関係にあるストライプ状の電極が、それに該当すると考えることもできる。これによれば、パッシブマトリクス駆動が可能となる。
【0018】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記一対の基板のうちの一方における、前記電気光学物質に対向しない側に前記透明基板が備えられており、前記一対の基板のうちの他方における前記電気光学物質に対向しない側には前記ZnSを含まない第2の透明基板が更に備えられている。
【0019】
この態様によれば、電気光学装置の両側には、それぞれ異なる防塵用基板が備えられることになる。これにより、本態様によれば、前記防塵用基板が備えられていることから、前述したような電気光学装置の冷却効果をそれ相応に引き出すことが可能であると同時に、比較的高価な透明ZnSをむやみに使用することを控えて、当該電気光学装置全体の低コスト化を図ることができる。
ちなみに、本態様のように、一つの電気光学装置について異なる構成となる防塵用基板を備える場合においては、第2の透明基板の熱伝導率等その他の特性にもよるが、本発明に係る透明ZnSを含んでなる防塵用基板は、電気光学装置の光入射側に配置される方が好ましい。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側に偏光素子が更に備えられている。
【0021】
この態様によれば、電気光学物質に入射させる光、或いは該電気光学物質から出射した光を適当な偏光状態にすることが可能となる。ちなみに、この偏光素子は、電気光学装置の位置する場所からみて、前記防塵用基板よりも一般に「外側」に設けられることが通常である。言い換えると、前記基板を基準とすると、その次に防塵用基板が、更にその次に偏光素子が、というように各要素が配置されるのが通常の形態になる。
【0022】
そして、本態様では特に、この偏光素子に加えて、前述の透明ZnSからなる防塵用基板が備えられていることにより、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、電気光学装置に防塵用基板を設けるにしても、該防塵用基板を、仮に水晶、サファイア等から構成する場合においては、これらは単結晶材料であるがため、偏光素子を通過して偏光した光に関して屈折率異方性がでてくる。
【0023】
しかるに、本態様では、防塵用基板に透明ZnSが利用されることにより、通常は多結晶構造となり、偏光をかけた場合にも、前述のような屈折率異方性が顕在化することがない。よって、本態様によれば、より高品質な画像を表示することが可能となるのである。
【0024】
この態様では、前記偏光素子にZnSからなる透明基板が更に備えられているようにしてもよい。
【0025】
このような構成によれば、偏光素子において発生する熱が、比較的熱伝導率の大きいZnSからなる透明基板(以下、このように「偏光素子」に設けられる透明基板を、「昇温防止基板」ということがある。)に吸い上げられることにより、該偏光素子の冷却を好適に行うことができる。
【0026】
なお、本態様に係る偏光素子に加えて、λ/4板、λ/2板、広視野角等の光学的補償フィルム等の光学補償素子を更に備え、該光学補償素子についてもZnSからなる透明基板が備えられる形態としてもよい。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記透明基板における、少なくとも一方の面にAR(Anti Reflection)コートが更に備えられている。
【0028】
この態様によれば、透明ZnSの屈折率が2.2程度と比較的大きいことから、防塵用基板(或いは、昇温防止基板。以下同じ。)に入射する光、或いは該防塵用基板から出射する光は、その界面において殆ど反射してしまうおそれが大きい。しかるに、本態様においては、防塵用基板の少なくとも一方の面にARコートが備えられていることにより、前記のような光の反射の生じることを未然に防止することができる。したがって、本態様によれば、電気光学装置等を透過する光の利用効率を高めることができ、より明るい画像の表示等が可能となるなど、より高品質の画像表示に大きく資する。
【0029】
なお、本態様にいう「透明基板」には、前記の第2の透明基板も含まれる。ただし、前記第2の透明基板は透明ZnSを含まないため、本発明にいう、単なる「透明基板」から比べて、前記のような光の反射の生じる可能性は一般的には小さいということはできる。しかしながら、該第2の透明基板が、例えば石英ガラス等から構成されていない場合には、該第2の透明基板に入射する光、或いは該第2の透明基板から出射する光が反射するおそれはやはりあるから、該第2の防塵用基板にARコートを備えることには相応の意義がある。
【0030】
また、本態様にいう「ARコート」とは、例えば、例えばジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)等の単層、あるいは複数層からなるものとするとよい。より具体的には、ジルコニア、シリカ、ジルコニア、シリカという4層構造としたり、これに続けて、更にジルコニア、シリカを繰り返して、より多層の構造を有するようにしてもよい。
【0031】
このように、ARコートは、好適には、相異なる材料が複数層重ね合わされた構造を有するものであるが、該構造において、材料の選択、各層の厚さ、更には層数等を異ならせることにより、種々の特性を有するARコートを製造することができる。
【0032】
この態様では、前記ARコートは、前記透明基板の一方の面に配置される第1ARコートと、その他面に配置される第2ARコートとを含み、これら第1ARコート及び第2ARコートはそれぞれ異なった構造を有しているようにしてもよい。
【0033】
このような構成によれば、前記の反射防止効果をより確実に享受することができる。例えば、防塵用基板が、前記一対の基板の一方の基板に貼着される場合であって、光が、防塵用基板及び基板の順に進行する場合を想定すると、まず最初に、該光は、空気層から透明ZnS(防塵用基板)へと抜ける必要があり、続いて、透明ZnSから石英ガラス等の基板へと抜ける必要があることになる。つまり、防塵用基板に入射する場合と、これから出射する場合とで、空気層、透明ZnS、石英ガラスそれぞれの屈折率が異なるから、生じ得る光反射の態様が異なってしまうのである。したがって、この場合、防塵用基板の両面に同じ構造のARコートを備えても、あまり有効に作用しないことになる。
【0034】
しかるに、本態様によれば、前述のような場合において、防塵用基板と基板との間に第1ARコートが備えられ、防塵用基板の基板に対向しない方の面に、第1ARコートの構造とは異なる構造を有する第2ARコートが備えられるのである。したがって、前記のような光反射の態様の相違にもよりよく対応することができ、もって前述した光反射防止効果をより確実に享受することができるのである。
【0035】
なお、本態様にいう「構造」とは、既に述べたように、ARコートを構成する材料、該ARコートが相異なる材料の複数の層からなる場合には、その各層の厚さ、更には該各層の重ね合わせ数等により規定される。そして、かかる構造が「異なっ」ているというのは、前記の材料、厚さ、更には重ね合わせ数等の少なくとも一点において、第1ARコート及び第2ARコート間に相違が存在するということに他ならない。
【0036】
本発明の実装ケース入り電気光学装置は、上記課題を解決するために、前述の本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む。)を実装ケース内に収納する実装ケース入り電気光学装置であって、前記実装ケースは、前記電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、該プレート及び前記電気光学装置を覆うように配置されるカバーとを備えている。
【0037】
本発明の実装ケース入り電気光学装置によれば、電気光学装置が、プレート及びカバーからなる実装ケース内に収納されることにより、例えば、前記プレートに適当な取付部を形成しておくなどすれば、該電気光学装置の投射型表示装置に対する取り付けを好適に実施することができる。ここに「取り付け」とは、より具体的には、前記取付部として、プレートに取付孔を形成するとともに、該取付孔にねじを通し、該ねじを前記投射型表示装置の一部を構成する被取付面に形成された雌ねじ穴に螺合する等の態様を想定することができる。
【0038】
そして、本発明においては特に、実装ケース内に収納される電気光学装置においては、該電気光学装置内部の熱は、前述した防塵用基板に逃げ得るだけでなく、その先更に、カバー或いはプレートへも逃げ得ることになる。したがって、本発明によれば、電気光学装置内部において蓄熱が生じることを、より確実に防止することができる。
【0039】
なお、このように、防塵用基板のみならず、実装ケースを構成するカバー及びプレートをも、電気光学装置のヒートシンクとして機能させる場合においては、該機能のより効果的な実現のため、該カバー及び該プレートの少なくとも一方は、好ましくは金属、更に好ましくはその熱伝導率が15〔W/m・K〕程度以上となる金属からなるように構成するとよい。具体的な材料名としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、或いはこれらそれぞれの合金等を挙げることができる。
【0040】
また、電気光学装置に前記偏光素子、或いは前記昇温防止基板が備えられる場合には、典型的には、前記一対の基板及び防塵用基板のみが前記実装ケース内に収容されており、偏光素子及び昇温防止基板は、その外部に設置されている場合が想定される。
【0041】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の一態様では、前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方は、前記透明基板と相互に接触している。
【0042】
この態様によれば、前述した透明ZnSからなる防塵用基板は、実装ケースを構成するプレート及びカバーの少なくとも一方と相互に接触していることから、電気光学装置内部の熱を吸い上げる防塵用基板の熱を、プレート、あるいはカバーに極めて効率的に逃がすことができる。
【0043】
なお、防塵用基板に前記ARコートが備えられている場合において、防塵用基板と、プレート、あるいはカバーとは、該ARコートを介して接触しており、厳密にいえば、防塵用基板及びプレートあるいはカバー間は相互に接触していないという場合であっても、本発明にいう「相互に接触」の範囲内にある。
【0044】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、その表面積を増大させる表面積増大手段を備えてなる。
【0045】
この態様によれば、表面積増大手段によって、カバーの表面積が増大せられていることにより、カバーの放熱能力が高められている。すなわち、実装ケース内に収容された電気光学装置からカバーへと伝達された熱、或いは該電気光学装置からプレートを介してカバーへと伝達された熱は、速やかに外部へと放散されることになる。したがって、本態様によれば、カバーが、電気光学装置に対するヒートシンクとしてより有効に機能することにより、該電気光学装置の冷却をより効果的に行うことができる。
【0046】
なお、本態様にいう「表面積増大手段」は、例えば、カバーの表面に突出するように形成されたフィン、或いは表面に窪みをつけるように形成されたディンプルを含む。ちなみに、ここでいう「フィン」及び「ディンプル」の相違は、カバーの表面を基準面として突出しているか、或いは凹んでいるかということにある。また、ここでいう「フィン」又は「ディンプル」は、カバー本体を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。
【0047】
本発明の投射型表示装置は、上記課題を解決するために、前述の本発明の電気光学装置、或いは実装ケース入り電気光学装置(但し、その各種態様を含む。)と、光源と、前記光源より発せられた投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系とを備えている。
【0048】
本発明の投射型表示装置によれば、粉塵の投影の問題及び電気光学装置内部における蓄熱の問題について殆ど心配することのない結果、高品質な画像を表示することの可能な投射型表示装置を提供することができる。
【0049】
とりわけ、本発明におけるような投射型表示装置では、前記投射光学系によって、電気光学装置に入射した光を拡大投射することで比較的大きなサイズの画像を表示することから、粉塵の投影の問題が生じやすい。また、本発明におけるような投射型表示装置では、前記光源として、比較的強力な光源が用いられることが多いことから、電気光学装置内部における蓄熱の問題が生じやすい。このようなことからすると、本発明に係る投射型表示装置は、上述の本発明の電気光学装置によって奏される作用効果を、最大限享受し得る態様の一つということができる。
【0050】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0052】
(投射型液晶装置の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明による投射型液晶装置の実施形態について、その光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。本実施形態の投射型表示装置は、実装ケース入りの電気光学装置の一例たる液晶ライトバルブが3枚用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
【0053】
図1において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶ライトバルブを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0054】
本実施形態のライトバルブ100R、100G及び100Bとしては、例えば、後述の如きTFTをスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置が使用される。また、当該ライトバルブ100R、100G及び100Bは、後に詳述するように実装ケース入り電気光学装置として構成されている。
【0055】
また、この液晶プロジェクタ1100には、図1に示すように、ライトバルブ100R、100G及び100Bに冷却風を送るためのシロッコファン1300が設けられている。このシロッコファン1300は、その側面に複数のブレード1301を備えた略円筒形状の部材を含んでおり、該円筒形状の部材がその軸を中心として回転することで前記ブレード1301が風を生じさせるようになっている。なお、このような原理から、シロッコファン1300で作り出される風は、図1に示されるように、らせん状に渦巻いたものとなる。
【0056】
このような風は、図1において図示されない風路を通じて各ライトバルブ100R、100G及び100Bに送給され、各ライトバルブ100R、100G及び100Bの近傍に設けられた吹き出し口100RW、100GW及び100BWから、これらライトバルブ100R、100G及び100Bに対して送り出されるようになっている。
【0057】
ちなみに、前述したようなシロッコファン1300を用いれば、静圧が高くライトバルブ100R、100G及び100B周囲の狭い空間にも風を送りやすいという利点が得られる。
【0058】
以上説明した構成においては、強力な光源たるランプユニット1102からの投射光により各ライトバルブ100R、100G、100Bで温度が上昇する。この際、過度に温度が上昇してしまうと、各ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶が劣化したり、光源光のむらによる部分的な液晶パネルの加熱によるホットスポットの出現により透過率にムラが生じたりする。また、これら各ライトバルブ100R、100G及び100Bの表面には、その周囲に漂う粉塵が付着し得るが、これによると、該粉塵の像がスクリーン1120上に投影されてしまうという問題も生じる。そこで、本実施形態では特に、各ライトバルブ100R、100G、100Bは、後述の如き本発明の防塵用基板等を備えるとともに、実装ケースに実装されて、投射型液晶装置1100のハウジング内に取り付けられている。このため、後述の如く各ライトバルブ100R、100G、100Bの温度上昇は効率的に抑制されている。
【0059】
(電気光学装置の実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶プロジェクタ1100における液晶ライトバルブ100R、100G、100Bとして使用されるものである。ここに、図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図3は、図2のH−H’断面図である。
【0060】
図2及び図3において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0061】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0062】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0063】
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0064】
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0065】
図3において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、図示しない配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に図示しない配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0066】
尚、図2及び図3に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0067】
このように構成された電気光学装置の場合、その動作時には、図3の上側から強力な投射光が照射される。すると、対向基板20、液晶層50、TFTアレイ基板10等における光吸収による発熱によって、当該電気光学装置の温度が上昇する。このような温度上昇は、液晶層50等の劣化を早めると共に、表示画像の品位を劣化させる。また、この電気光学装置の表面にその周囲に漂う粉塵が付着すると、該粉塵の像が画像上に投影されてしまい、その品質を低下せしめるという問題も生じる。
【0068】
そこで、本実施形態では特に、このような電気光学装置において、以下に説明する各種形態を採用することにより、前述の温度上昇及び粉塵投影の問題を有効に解決する。
【0069】
(昇温防止作用を有する電気光学装置の第1実施形態)
以下では、昇温防止作用を有する電気光学装置の第1実施形態について、既に参照した図3を参照して説明する。
【0070】
第1実施形態では、図3に示すように、対向基板20における液晶層50に対向しない側(図3中上側)に、防塵用基板420が備えられている。また、防塵用基板410は、TFTアレイ基板10における液晶層50に対向しない側(図3中下側)にも備えられている。これらの防塵用基板420及び410の両面には、ARコート501、502、503及び504が備えられている。より詳しくは、対向基板20の側に設けられている防塵用基板420については、該防塵用基板420の外側面に第1ARコート501が、該防塵用基板420と対向基板20との間に第2ARコート502がそれぞれ備えられている。同じく、TFTアレイ基板10の側に設けられている防塵用基板410については、該防塵用基板410とTFTアレイ基板10との間に第3ARコート503が、該防塵用基板410の外側面に第4ARコート504がそれぞれ備えられている。
【0071】
このうち防塵用基板410及び420は、それぞれ、透明ZnSからなる。ここで透明ZnSとは、例えばZnSをCVD法等によって作成した後、これを焼成すること等によって製造することができる。このように、防塵用基板420及び410は、「透明」なZnSからなるから、図3中上方から下方へ抜けた光が着色させられる等ということが生じない。なお、かかる透明ZnSとしては、具体的には例えば、住友電気工業株式会社製のClear−ZnSを利用することができる。
【0072】
他方、ARコート501から504は、例えばジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)等の単層、あるいは複数層からなる。より具体的には、ジルコニア、シリカ、ジルコニア、シリカという4層構造としたり、これに続けて、更にジルコニア、シリカを繰り返して、より多層の構造を有するようにしてもよい。これにより、例えば、空気層(図3中上方)から対向基板20内(図3中下方)という異なる屈折率を有する部材間において、無用な反射によるロスを避けることが可能となり、当該部材間にわたる効率的な導光が可能となる。特に、第1実施形態においては、防塵用基板410及び420が透明ZnSからなり、その屈折率が2.2程度と比較的大きいことから、前記ARコート501から504が設けられることで、その界面における光反射が未然に防止されることは、画像の明るさ維持等にとって非常に有効である。
【0073】
ところで、前記の各ARコート501から504の構造は、それぞれ相異なるようにするのが好ましい。というのも、各ARコート501から504においては、それぞれ、生じ得る光反射の態様が異なり得るからである。すなわち、ARコート501については、空気層から透明ZnSからなる防塵用基板420への光の進入に際する反射を、ARコート502については、透明ZnSからなる防塵用基板420から石英ガラス等からなる対向基板20への光の進入に際する反射を、それぞれ防止する必要があり、他方、ARコート503については、石英ガラス等からなるTFTアレイ基板10から透明ZnSからなる防塵用基板410への光の進入に際する反射を、ARコート504については、透明ZnSからなる防塵用基板410から空気層への光の進入に際する反射をそれぞれ防止する必要がある、というようである。
【0074】
したがって、この場合には、ARコート501から504を構成する前記層構造を構成する各層の厚さを変更したり、該層の積み重ね数を変化させたりする他、材料それ自体を変化させるなどして、各ARコート501乃至504間の構造に差異をもたせるのが好ましい。このようにすることで、前記のように異なった反射態様に好適に対応することができる。
【0075】
以上のような構成を有する第1実施形態の電気光学装置では、上述の防塵用基板420及び410の存在により、次のような作用効果が奏されることになる。まず、防塵用基板420及び410が設けられていることにより、粉塵の投影を回避することが可能となる。すなわち、図3中上方より入射してくる光は、液晶層50内、又はTFTアレイ基板10内或いはその更に下方等において、焦点が結ばれるように集光される。これにより、対向基板20の図中上面にあたる表面の方が、防塵用基板420の同表面に比べてより焦点に近いところに位置するということになる。したがって、従来、対向基板20の表面に粉塵が付着する場合においては、その像が投影されることによって、画像の品質を損なうおそれがあった。これは、TFTアレイ基板10の側についても同様にいえる。
【0076】
しかるに、第1実施形態では、対向基板20、或いはTFTアレイ基板10の表面に粉塵は付着しえず、また第1実施形態においては特に、粉塵が付着するとしても、それは防塵用基板420を越えて、更に図中上層に位置するARコート501の表面、或いは防塵用基板410を越えて、更に図中下層に位置するARコート504の表面に付着するに過ぎない。つまり、粉塵は焦点からより遠い位置に付着することになる。
【0077】
以上により、第1実施形態においては、防塵用基板420及び410の厚さを主要因として、粉塵の付着位置を焦点位置から遠くにずらすことが可能となるから(すなわち、デフォーカス効果を得ることが可能となるから)、粉塵の投影の問題を有効に解消することが可能となるのである。
【0078】
また、第1実施形態においては特に、防塵用基板420及び410が透明ZnSからなることにより、電気光学装置の温度上昇をより効果的に防止することが可能となる。これは、透明ZnSが比較的熱伝導率の大きな材料であることによる。これにより、防塵用基板420及び410を起点とする熱の吸い上げ作用がより効果的に発揮されることにより、対向基板20或いはTFTアレイ基板10、ないしは電気光学装置の内部に蓄積されていく熱を有効に奪っていくことが可能なのである。また、透明ZnSは、一般に赤外線の透過率が大きい材料であるから、該赤外線が防塵用基板420及び410に吸収されることによって発熱が生じるということは殆ど生じ得ない。これによると、防塵用基板420及び410が、ヒートシンクとしてより有効に機能することになるから、電気光学装置の冷却をより確実になすことができる。
【0079】
以上により、第1実施形態においては、より効果的な熱放散効果を得ることができ、したがって、電気光学装置内部における過剰な熱蓄積を未然に防止することが可能となる。また、このように電気光学装置内部に蓄積される熱を効率よく外部に放散することが可能であることから、本実施形態において、シロッコファン1300につき強力な冷却能力が要求されない。すなわち、従来に比べて風量を低くすることが可能だから、シロッコファン1300における消費電力を低減することができ、また、該シロッコファン1300による騒音を低減することもできる。
【0080】
なお、上記第1実施形態においては、電気光学装置の光入射側及び光出射側の双方について透明ZnSからなる防塵用基板410及び420が備えられていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図4に示す各種の態様を採用し得る。ここに図4は、図3と同趣旨の図ではあるが、図3とは異なる防塵用基板の各種の設置態様を示すものである。
【0081】
まず、図4(a)に示すように、対向基板20側にのみ透明ZnSからなる防塵用基板420を設ける態様を採用することができる。或いは、図4(b)に示すように、TFTアレイ基板10側にのみ透明ZnSからなる防塵用基板410を設ける態様を採用することができる。更には図4(c)に示すように、対向基板20側には透明ZnSからなる防塵用基板420を設けるが、TFTアレイ基板10側には透明ZnSを含まない防塵用基板411を設ける態様も採用し得る。なお、図4(c)において、防塵用基板411としては、比較的安価な材料からなるものとすることが可能であるから、当該電気光学装置全体の低コスト化が可能となる。また、図4(c)において、防塵用基板411は透明ZnSを含まないため、該防塵用基板411に入射する光、或いは該防塵用基板411から出射する光が、その界面において反射が生じる可能性は一般的には小さいということはできるが、それでも該防塵用基板411の界面で前記反射の生じるおそれはやはりあるから、該防塵用基板411についてARコート503´及び504´(図4(c)参照)を備えることには相応の意義がある。
【0082】
このように、防塵用基板の設置態様については、各種採用が可能であるが、電気光学装置内部における蓄熱を防止するという観点からすれば、図3に示したように光入射側及び光出射側の双方に防塵用基板410及び420を設ける形態が最も好ましい。また、光入射側及び光出射側のどちらか一方のみに防塵用基板を設けることを前提とするのであれば、一般的には、該防塵用基板は、光入射側に設ける場合(即ち、図4(a))の方が、その逆の場合(即ち、図4(b))よりも好ましい。
【0083】
(昇温防止作用を有する電気光学装置の第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電気光学装置について、図5を参照して説明する。ここに図5は、前述の電気光学装置が、図1に示す液晶プロジェクタ1100におけるライトバルブ100R、100G又は100Bとして装着される場合の、より具体的な一形態を示すものである。なお、第2実施形態では、電気光学装置の概ねの構成は上述の第1実施形態と同様であるので、以下では、重複する点についてはその説明を適宜省略ないし簡略化することとし、第2実施形態において特徴的な部分についてのみ主に説明を加えることとする。
【0084】
この図5において、図3に示した構成に加えて、図中上方側及び下方側に、偏光板701I及び701Oが備えられている。ここに偏光板701I及び701Oは、液晶層50に入射させる光及び液晶層50から出射した光を適当な偏光状態とする偏光素子の一種である。これにより、液晶層50の配向状態を適当に定め、該配向状態と該偏光板701I及び701Oにおける偏光状態との関係を調整することにより、入射光がほぼ完全に透過する状態から、ほぼ完全に遮蔽される状態に至るまでの調整を連続的に行うことが可能となる。
【0085】
そして、第2実施形態においては特に、偏光板701I及び701Oのそれぞれについて、図5に示すように、昇温防止基板491及び492が備えられている。また、偏光板701I及び昇温防止基板491からなる構造物の各界面には、ARコート511から513が備えられており、偏光板701O及び昇温防止基板492からなる構造物の各界面には、ARコート521から523が備えられている。
【0086】
このような形態によれば、偏光板701I及び701Oについて、上述の第1実施形態で述べたと同様の作用効果を享受することが可能となる。すなわち、偏光板701及び701Oもまた、光の照射を受けることにより熱の蓄積が懸念される光学素子であるが、上述したような昇温防止基板491及び492が貼着されていることにより、該偏光板701I及び701Oに蓄えられた熱を外部へと有効に放散することが可能となるのである。
【0087】
ちなみに、図5に示すように、偏光板701I及び701Oが設けられる形態にあっては、防塵用基板410及び420が透明ZnSからなることにより、次のような作用効果も得られる。すなわち、電気光学装置に防塵用基板を設けるにしても、該防塵用基板を、仮に水晶、サファイア等から構成する場合においては、これらは単結晶材料であるがため、偏光板701I及び701Oを通過して偏光した光に関して屈折率異方性がでてくる。しかるに、第2実施形態では、防塵用基板410及び420に透明ZnSが利用されることにより、通常は多結晶構造となり、偏光をかけた場合にも、前述のような屈折率異方性が顕在化することがない。よって、第2実施形態によれば、より高品質な画像を表示することが可能となるのである。
【0088】
なお、第2実施形態においては、図5に示す構成に加えて、光学補償素子としてのλ/4板、λ/2板、広視野角等の光学的補償フィルム等(不図示)を設けるとともに、該光学補償素子についても、昇温防止基板が備えられる形態を採用してもよい。これによれば、該光学補償素子に蓄えられる熱の放散も可能となる。
【0089】
(昇温防止作用を有する電気光学装置の第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る電気光学装置について、図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置を示す斜視図であり、前述した電気光学装置、実装ケースを構成するカバー及びプレートそれぞれが分解された状態で示された分解斜視図である。なお、第3実施形態では、電気光学装置の概ねの構成は上述の第1実施形態と同様であるので、以下では、重複する点についてはその説明を適宜省略ないし簡略化することとし、第3実施形態において特徴的な部分についてのみ主に説明を加えることとする。
【0090】
第3実施形態において、前述した防塵用基板410及び420を備えた電気光学装置500は、プレート部610及びカバー部620からなる実装ケース601内に収納されている。このうちプレート部610には取付孔611cから611eが形成されており、該取付孔611cから611eを用いることによって、電気光学装置の液晶プロジェクタ1100に対する取付けを好適になすことができる。より具体的には、取付孔611cから611eに図示しないねじを通すとともに、該ねじを前記液晶プロジェクタ1100の一部を構成する図示しない被取付面に形成された雌ねじ穴に螺合する等の態様を採用することが可能である。
【0091】
また、プレート部610及びカバー部620のそれぞれには、窓部615及び625が形成されている。電気光学装置500に対する光の入射、あるいは該電気光学装置500からの光の出射は、この窓部615及び625を介して可能となる。また、第3実施形態においては、窓部615の辺縁部には、防塵用基板410の周辺部が接触するように、また、窓部625の辺縁部には、防塵用基板420の周辺部が接触するようにされている。
【0092】
さらに、実装ケース601には以下に記すような構成及び特徴を備えている。すなわち第一に、実装ケース601では、カバー部620が、カバー本体部623に加えて、スロープを有する冷却風導入部622、及び冷却風排出部624を備えていることにより、カバー部620全体に冷却風(図1に示すシロッコファン1300から送り出される風等)を満遍なく行き渡らせることが可能となっており、該カバー部620の冷却が効果的に行われるようになっている。ちなみに、前記冷却風は、冷却風導入部622、カバー本体部623及び冷却風排出部624の順に流れることが好適であり、そのためには、図1に示す液晶プロジェクタ1100内において、実装ケース入り電気光学装置は、前記冷却風導入部622が図1に示した吹き出し口100RW、100GW及び100BWに対向するように配置されるのが好ましい。
【0093】
また、第二に、前記カバー本体部623には千鳥足状のサイドフィン部628が備えられ、また、前記冷却風排出部624にはリアフィン部624Fが備えられていることにより、カバー部620の放熱能力が高められている。なお、これらサイドフィン部628及びリアフィン部624Fは、本発明にいう「表面積増大手段」の一例に該当する。
【0094】
第三に、プレート部610には、電気光学装置500の両側面に対向するとともに、カバー部620の内側面に接するようにされた折り曲げ部613が形成されており、該折り曲げ部613を介することによって、電気光学装置500、プレート部610及びカバー部620という熱の伝達(とりわけ、後二者間の熱の伝達)が滞りなく行われるようになっている。
【0095】
なお、図6に示す電気光学装置500においては、図2に示した外部回路接続端子102に接続されたフレキシブルコネクタ501が図示されている。
【0096】
以上のような構成を備えることにより、図6に示す実装ケース入り電気光学装置では、次のような作用効果が奏されることになる。
【0097】
すなわち、実装ケース601内に収納される電気光学装置500においては、前述した防塵用基板410及び420が備えられていることにより、該電気光学装置内部の熱は、まず、防塵用基板410及び420に逃げ得る。そして、第3実施形態においては更に、該防塵用基板410及び420の熱は、カバー部620或いはプレート部610へも逃げ得るようにになっているのである。しかも、第3実施形態においては、窓部615の辺縁部及び防塵用基板410の周辺部間、並びに、窓部625の辺縁部及び防塵用基板420の周辺部間が相互に接触されているから、防塵用基板410及び420の熱は、より活発に、プレート部610及びカバー部620へと逃げ得るようになっている。さらに、カバー部620にサイドフィン部628及びリアフィン部624Fが設けられていること、或いはプレート部610に折り曲げ部613が形成されていて、プレート部610及びカバー部620間の熱の伝達が滞りなく行われ得るようになっていること等が併せ機能することで、電気光学装置500からカバー部620へと伝達された熱、或いは該電気光学装置500からプレート部610を介してカバー部620へと伝達された熱は、速やかに外部へと放散され得るようにもなっているのである。これによれば、カバー部620、あるいはプレート部610が、電気光学装置500に対するヒートシンクとして、常に有効に機能することを意味する。
【0098】
以上の結果、第3実施形態によれば、電気光学装置内部の熱をより効果的に奪うことができるのである。
【0099】
なお、このように、防塵用基板410及び420のみならず、実装ケース601を構成するカバー部620及びプレート部610をも、電気光学装置500のヒートシンクとして機能させる場合においては、該機能のより効果的な実現のため、該カバー部620及び該プレート部610の少なくとも一方は、好ましくは金属、更に好ましくはその熱伝導率が15〔W/m・K〕程度以上となる金属からなるように構成するとよい。具体的な材料名としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、或いはこれらそれぞれの合金等を挙げることができる。
【0100】
また、電気光学装置に前記偏光板701I及び701O、或いは昇温防止基板491及び492が備えられる場合には、これらは、典型的には、実装ケース入り電気光学装置の外部に設置されている場合が想定される。すなわち、図5でいえば、図中真中に示されている構成のみが実装ケース601内に収納され(図6参照)、それ以外の構成は、該実装ケース601外に配置されるのが典型的である。
【0101】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び実装ケース入り電気光学装置並びに投射型表示装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る投射型液晶装置の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【図3】図2のH−H′断面図である。
【図4】図3と同趣旨の図であって、図3とは異なる防塵用基板の各種設置態様を示すものである。
【図5】本発明の第2実施形態に係り、図3等に示した電気光学装置が、図1に示す液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして装着される場合の、より具体的な一形態を示すものである。
【図6】本発明の第3実施形態に係り、図3等に示した電気光学装置、実装ケースを構成するカバー及びプレートそれぞれが分解された状態で示された分解斜視図である。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板、20…対向基板、50…液晶層
410、420…防塵用基板、701I、701O…偏光板、491、492…昇温防止基板
1100…液晶プロジェクタ、100R、100G及び100B…ライトバルブ、1120…スクリーン
601…実装ケース、610…プレート部、620…カバー部
628…サイドフィン部、624F…リアフィン部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の液晶装置、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL(Electro−Luminescence)表示装置等の電気光学装置の技術分野に属する。また、本発明は、このような電気光学装置を具備してなる投射型表示装置の技術分野にも属する。
【0002】
【背景技術】
一般に、液晶パネルを液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、スクリーン上に拡大投射を行うために、液晶パネルには、例えばメタルハライドランプ等の光源からの強力な光源光が集光された状態で入射する。このように強力な光源光が入射すると、液晶パネルの温度は上昇し、液晶パネル内において一対の透明基板間に挟持されている液晶の温度も上昇して、該液晶の特性劣化を招く。また特に光源光にむらがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて所謂ホットスポットが発生して、液晶の透過率のムラができて投射画像の画質が劣化する。このような温度上昇は、光源と液晶パネルとの間に熱線カットフィルタを配置して不要な赤外線の入射を低減すること等により多少は緩和されるが、高画質化を図るためには、より効率的な温度上昇の防止対策が必要である。
【0003】
このような問題点に対処するため、従来においても、液晶パネルの光入射側に位置する基板に遮光膜を設けること、液晶パネルを実装あるいは収納してなる実装ケースを光反射性材料から構成すること、等といった各種対策が施されている。これらによれば、液晶パネルの温度上昇を相応に抑制することが可能となる。すなわち、遮光膜及び光反射性材料からなる実装ケースによれば、液晶パネルに対する光源光の過剰な入射を抑えることで、この光が該液晶パネル内で熱に変換される作用を抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−113906号公報
【特許文献2】
特開平11−231277号公報
【特許文献3】
特開平11−249120号公報
【特許文献4】
特開2000−284700号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来における液晶パネルの昇温防止対策には次のような問題点がある。すなわち、光源光からの強力な光が投射される限り、液晶パネルの温度上昇の問題は常に顕在化するおそれがあるから、更なる高画質化等を図るためには、上記各種の対策に代えて又は加えて、より効率的な温度上昇の防止対策が要求されているという点である。
【0006】
また、上述の昇温防止対策については、以下のような難点がある。すなわち、遮光膜及び実装ケースによる光反射対策では、それらの面積を増大させれば反射光量が増大するから、たしかに液晶パネルの温度上昇の防止を相応に達成することができると考えられるものの、反射光量をむやみに増大させると、実装ケース入り液晶パネルを収納するハウジング内の迷光を増加させることとなって、画像の品質に悪影響を及ぼすことが考えられる。また、遮光膜については、その面積を広げれば広げるほど、液晶パネルに本来入射・透過されるべき光源光の量が減ることになるから、画像が暗くなってしまうことが考えられる。このように、上記の対策は、抜本的に問題を解決するものとはいえない点にも問題がある。
【0007】
ところで、上述のように、電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置においては、前記の蓄熱に関する問題とは別に、次のような問題点もあった。すなわち、上述の投射型表示装置では、ライトバルブの表面にごみや埃等(以下、単に「粉塵」という。)が付着すると、映写幕上にその粉塵の像もまた投影されてしまうことで、画像の品質を低下させる可能性があったのである。これは、光源光が、ライトバルブの表面近傍にその焦点を結ぶように集光されるためである。これにより、ライトバルブ表面に付着した粉塵は、拡大投影されることとなって画像上に映り込み、その品質を低下させるのである。
【0008】
いずれにせよ、投射型表示装置においては、比較的強力な光源光を集光して電気光学装置に照射することにより、上述のような大きな二つの問題点を抱えているということができる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、粉塵の投影の問題を解決して高品質な画像を表示することが可能であるとともに、その内部に熱を蓄積させるようなことなく安定的な動作が可能な電気光学装置を提供することを課題とする。また、本発明は、かかる電気光学装置を具備してなる実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置を提供することをも課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するため、電気光学物質を挟持してなる一対の基板と、該一対の基板のうちの一方の基板上に、表示用電極と、該表示用電極にスイッチング素子を介して又は直接に接続された配線とを備えた電気光学装置であって、該電気光学装置は、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側にZnSからなる透明基板を備えてなる。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、一対の基板上に形成された表示用電極に配線を通じて適当な電圧を印加することで、電気光学物質に対して電界を印加することができ、その状態を変化させることが可能となる。この際、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側から、他方におけるそれへと抜けるような光を投射することで、画像を表示することができる。これは、電気光学物質の状態の変化に応じて透過率が変じられていることにより、それに応じた階調表示が可能であることによる。
【0012】
そして、本発明においては特に、前記一対の基板の少なくとも一方における電気光学物質に対向しない側に、ZnSからなる透明基板を備えている(以下、このように「一対の基板」のどちらかに設けられる透明基板を、「防塵用基板」ということがある。)。これにより、まず、背景技術の項で述べたような粉塵の投影の問題を有効に解決することができる。というのも、該防塵用基板が設けられることにより、基板上に直接に粉塵が付着するようなことを防止するとともに、該防塵用基板上に仮に粉塵が付着したとしても、該防塵用基板が所定の厚さを有することにより、前記基板に向けて照射された光の焦点が、前記粉塵の付着位置において結ばれるわけではないからである(デフォーカス効果)。したがって、本発明によれば、画像上に粉塵の像が投影されるというような事態を未然に回避することができ、これにより、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0013】
また、本発明では更に、防塵用基板が比較的熱伝導率の大きいZnSを含んでなるから、一対の基板からの熱の吸い上げを効率的に行うこと、換言すれば、該防塵用基板を有効なヒートシンクとして機能させることができる。したがって、電気光学装置内部における過剰な熱蓄積を未然に防止することも可能となる。また、ZnSは、一般に赤外線の透過率が大きい材料であるから、該赤外線が防塵用基板に吸収されることによって発熱が生じるということは殆ど生じ得ない。これによると、防塵用基板が、ヒートシンクとしてより有効に機能することになるから、電気光学装置の冷却をより確実になすことができる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、粉塵の投影の問題を解決して高品質な画像を表示することが可能であるとともに、その内部に熱を蓄積させるようなことなく安定的な動作が可能な電気光学装置を提供することができる。
【0015】
なお、本発明にいう「ZnS」は「透明基板」を構成するから、以下では、この「ZnS」を特に、「透明ZnS」と呼ぶことがある。ここに「『透明』ZnS」とは、例えばZnSをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって作成した後、これを焼成すること等によって製造することができる。この場合、焼成前のZnSは「透明」ではないから、光の透過が予定される電気光学装置においては、一般に好適には用いることができない。しかるに、焼成を行うことによって、ZnSを透明にすることができるから、光の透過が予定される電気光学装置においても、好適に用いることができる。
【0016】
また、本発明において、「一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側」に防塵用基板が備えられるというのは、該防塵用基板を、電気光学装置の光入射側、光出射側及びその両側に配置する三つのパターンを含んでいる。この場合、どのパターンによっても、電気光学装置の冷却効果は相応に引き出されるが、本願発明者らの研究によると、電気光学装置の放熱性を最も高めるためには、防塵用基板を電気光学装置の光入射側及び光出射側の双方(即ち、両側)に設ける態様が最も好ましい。加えて、仮に、光入射側及び光出射側のどちらか一方のみに防塵用基板を設けることを前提とするのであれば、一般的には、該防塵用基板は、光入射側に設ける場合の方が、その逆の場合よりも好ましい。
【0017】
さらに、発明にいう「表示用電極」としては、一対の基板のうちの一方の基板上においては、マトリクス状に配列された画素電極が、その他方の基板上においては、その全面に形成された対向電極(共通電極)が、それぞれ該当すると考えることができ、「スイッチング素子」とは、TFT、あるいは薄膜ダイオード(TFD)が該当すると考えることができる。これによれば、アクティブマトリクス駆動が可能となる。或いは、「表示用電極」の別の例としては、一対の基板それぞれの上に形成され、相互に交差する関係にあるストライプ状の電極が、それに該当すると考えることもできる。これによれば、パッシブマトリクス駆動が可能となる。
【0018】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記一対の基板のうちの一方における、前記電気光学物質に対向しない側に前記透明基板が備えられており、前記一対の基板のうちの他方における前記電気光学物質に対向しない側には前記ZnSを含まない第2の透明基板が更に備えられている。
【0019】
この態様によれば、電気光学装置の両側には、それぞれ異なる防塵用基板が備えられることになる。これにより、本態様によれば、前記防塵用基板が備えられていることから、前述したような電気光学装置の冷却効果をそれ相応に引き出すことが可能であると同時に、比較的高価な透明ZnSをむやみに使用することを控えて、当該電気光学装置全体の低コスト化を図ることができる。
ちなみに、本態様のように、一つの電気光学装置について異なる構成となる防塵用基板を備える場合においては、第2の透明基板の熱伝導率等その他の特性にもよるが、本発明に係る透明ZnSを含んでなる防塵用基板は、電気光学装置の光入射側に配置される方が好ましい。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側に偏光素子が更に備えられている。
【0021】
この態様によれば、電気光学物質に入射させる光、或いは該電気光学物質から出射した光を適当な偏光状態にすることが可能となる。ちなみに、この偏光素子は、電気光学装置の位置する場所からみて、前記防塵用基板よりも一般に「外側」に設けられることが通常である。言い換えると、前記基板を基準とすると、その次に防塵用基板が、更にその次に偏光素子が、というように各要素が配置されるのが通常の形態になる。
【0022】
そして、本態様では特に、この偏光素子に加えて、前述の透明ZnSからなる防塵用基板が備えられていることにより、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、電気光学装置に防塵用基板を設けるにしても、該防塵用基板を、仮に水晶、サファイア等から構成する場合においては、これらは単結晶材料であるがため、偏光素子を通過して偏光した光に関して屈折率異方性がでてくる。
【0023】
しかるに、本態様では、防塵用基板に透明ZnSが利用されることにより、通常は多結晶構造となり、偏光をかけた場合にも、前述のような屈折率異方性が顕在化することがない。よって、本態様によれば、より高品質な画像を表示することが可能となるのである。
【0024】
この態様では、前記偏光素子にZnSからなる透明基板が更に備えられているようにしてもよい。
【0025】
このような構成によれば、偏光素子において発生する熱が、比較的熱伝導率の大きいZnSからなる透明基板(以下、このように「偏光素子」に設けられる透明基板を、「昇温防止基板」ということがある。)に吸い上げられることにより、該偏光素子の冷却を好適に行うことができる。
【0026】
なお、本態様に係る偏光素子に加えて、λ/4板、λ/2板、広視野角等の光学的補償フィルム等の光学補償素子を更に備え、該光学補償素子についてもZnSからなる透明基板が備えられる形態としてもよい。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記透明基板における、少なくとも一方の面にAR(Anti Reflection)コートが更に備えられている。
【0028】
この態様によれば、透明ZnSの屈折率が2.2程度と比較的大きいことから、防塵用基板(或いは、昇温防止基板。以下同じ。)に入射する光、或いは該防塵用基板から出射する光は、その界面において殆ど反射してしまうおそれが大きい。しかるに、本態様においては、防塵用基板の少なくとも一方の面にARコートが備えられていることにより、前記のような光の反射の生じることを未然に防止することができる。したがって、本態様によれば、電気光学装置等を透過する光の利用効率を高めることができ、より明るい画像の表示等が可能となるなど、より高品質の画像表示に大きく資する。
【0029】
なお、本態様にいう「透明基板」には、前記の第2の透明基板も含まれる。ただし、前記第2の透明基板は透明ZnSを含まないため、本発明にいう、単なる「透明基板」から比べて、前記のような光の反射の生じる可能性は一般的には小さいということはできる。しかしながら、該第2の透明基板が、例えば石英ガラス等から構成されていない場合には、該第2の透明基板に入射する光、或いは該第2の透明基板から出射する光が反射するおそれはやはりあるから、該第2の防塵用基板にARコートを備えることには相応の意義がある。
【0030】
また、本態様にいう「ARコート」とは、例えば、例えばジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)等の単層、あるいは複数層からなるものとするとよい。より具体的には、ジルコニア、シリカ、ジルコニア、シリカという4層構造としたり、これに続けて、更にジルコニア、シリカを繰り返して、より多層の構造を有するようにしてもよい。
【0031】
このように、ARコートは、好適には、相異なる材料が複数層重ね合わされた構造を有するものであるが、該構造において、材料の選択、各層の厚さ、更には層数等を異ならせることにより、種々の特性を有するARコートを製造することができる。
【0032】
この態様では、前記ARコートは、前記透明基板の一方の面に配置される第1ARコートと、その他面に配置される第2ARコートとを含み、これら第1ARコート及び第2ARコートはそれぞれ異なった構造を有しているようにしてもよい。
【0033】
このような構成によれば、前記の反射防止効果をより確実に享受することができる。例えば、防塵用基板が、前記一対の基板の一方の基板に貼着される場合であって、光が、防塵用基板及び基板の順に進行する場合を想定すると、まず最初に、該光は、空気層から透明ZnS(防塵用基板)へと抜ける必要があり、続いて、透明ZnSから石英ガラス等の基板へと抜ける必要があることになる。つまり、防塵用基板に入射する場合と、これから出射する場合とで、空気層、透明ZnS、石英ガラスそれぞれの屈折率が異なるから、生じ得る光反射の態様が異なってしまうのである。したがって、この場合、防塵用基板の両面に同じ構造のARコートを備えても、あまり有効に作用しないことになる。
【0034】
しかるに、本態様によれば、前述のような場合において、防塵用基板と基板との間に第1ARコートが備えられ、防塵用基板の基板に対向しない方の面に、第1ARコートの構造とは異なる構造を有する第2ARコートが備えられるのである。したがって、前記のような光反射の態様の相違にもよりよく対応することができ、もって前述した光反射防止効果をより確実に享受することができるのである。
【0035】
なお、本態様にいう「構造」とは、既に述べたように、ARコートを構成する材料、該ARコートが相異なる材料の複数の層からなる場合には、その各層の厚さ、更には該各層の重ね合わせ数等により規定される。そして、かかる構造が「異なっ」ているというのは、前記の材料、厚さ、更には重ね合わせ数等の少なくとも一点において、第1ARコート及び第2ARコート間に相違が存在するということに他ならない。
【0036】
本発明の実装ケース入り電気光学装置は、上記課題を解決するために、前述の本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む。)を実装ケース内に収納する実装ケース入り電気光学装置であって、前記実装ケースは、前記電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、該プレート及び前記電気光学装置を覆うように配置されるカバーとを備えている。
【0037】
本発明の実装ケース入り電気光学装置によれば、電気光学装置が、プレート及びカバーからなる実装ケース内に収納されることにより、例えば、前記プレートに適当な取付部を形成しておくなどすれば、該電気光学装置の投射型表示装置に対する取り付けを好適に実施することができる。ここに「取り付け」とは、より具体的には、前記取付部として、プレートに取付孔を形成するとともに、該取付孔にねじを通し、該ねじを前記投射型表示装置の一部を構成する被取付面に形成された雌ねじ穴に螺合する等の態様を想定することができる。
【0038】
そして、本発明においては特に、実装ケース内に収納される電気光学装置においては、該電気光学装置内部の熱は、前述した防塵用基板に逃げ得るだけでなく、その先更に、カバー或いはプレートへも逃げ得ることになる。したがって、本発明によれば、電気光学装置内部において蓄熱が生じることを、より確実に防止することができる。
【0039】
なお、このように、防塵用基板のみならず、実装ケースを構成するカバー及びプレートをも、電気光学装置のヒートシンクとして機能させる場合においては、該機能のより効果的な実現のため、該カバー及び該プレートの少なくとも一方は、好ましくは金属、更に好ましくはその熱伝導率が15〔W/m・K〕程度以上となる金属からなるように構成するとよい。具体的な材料名としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、或いはこれらそれぞれの合金等を挙げることができる。
【0040】
また、電気光学装置に前記偏光素子、或いは前記昇温防止基板が備えられる場合には、典型的には、前記一対の基板及び防塵用基板のみが前記実装ケース内に収容されており、偏光素子及び昇温防止基板は、その外部に設置されている場合が想定される。
【0041】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の一態様では、前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方は、前記透明基板と相互に接触している。
【0042】
この態様によれば、前述した透明ZnSからなる防塵用基板は、実装ケースを構成するプレート及びカバーの少なくとも一方と相互に接触していることから、電気光学装置内部の熱を吸い上げる防塵用基板の熱を、プレート、あるいはカバーに極めて効率的に逃がすことができる。
【0043】
なお、防塵用基板に前記ARコートが備えられている場合において、防塵用基板と、プレート、あるいはカバーとは、該ARコートを介して接触しており、厳密にいえば、防塵用基板及びプレートあるいはカバー間は相互に接触していないという場合であっても、本発明にいう「相互に接触」の範囲内にある。
【0044】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、その表面積を増大させる表面積増大手段を備えてなる。
【0045】
この態様によれば、表面積増大手段によって、カバーの表面積が増大せられていることにより、カバーの放熱能力が高められている。すなわち、実装ケース内に収容された電気光学装置からカバーへと伝達された熱、或いは該電気光学装置からプレートを介してカバーへと伝達された熱は、速やかに外部へと放散されることになる。したがって、本態様によれば、カバーが、電気光学装置に対するヒートシンクとしてより有効に機能することにより、該電気光学装置の冷却をより効果的に行うことができる。
【0046】
なお、本態様にいう「表面積増大手段」は、例えば、カバーの表面に突出するように形成されたフィン、或いは表面に窪みをつけるように形成されたディンプルを含む。ちなみに、ここでいう「フィン」及び「ディンプル」の相違は、カバーの表面を基準面として突出しているか、或いは凹んでいるかということにある。また、ここでいう「フィン」又は「ディンプル」は、カバー本体を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。
【0047】
本発明の投射型表示装置は、上記課題を解決するために、前述の本発明の電気光学装置、或いは実装ケース入り電気光学装置(但し、その各種態様を含む。)と、光源と、前記光源より発せられた投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系とを備えている。
【0048】
本発明の投射型表示装置によれば、粉塵の投影の問題及び電気光学装置内部における蓄熱の問題について殆ど心配することのない結果、高品質な画像を表示することの可能な投射型表示装置を提供することができる。
【0049】
とりわけ、本発明におけるような投射型表示装置では、前記投射光学系によって、電気光学装置に入射した光を拡大投射することで比較的大きなサイズの画像を表示することから、粉塵の投影の問題が生じやすい。また、本発明におけるような投射型表示装置では、前記光源として、比較的強力な光源が用いられることが多いことから、電気光学装置内部における蓄熱の問題が生じやすい。このようなことからすると、本発明に係る投射型表示装置は、上述の本発明の電気光学装置によって奏される作用効果を、最大限享受し得る態様の一つということができる。
【0050】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0052】
(投射型液晶装置の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明による投射型液晶装置の実施形態について、その光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。本実施形態の投射型表示装置は、実装ケース入りの電気光学装置の一例たる液晶ライトバルブが3枚用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
【0053】
図1において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶ライトバルブを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0054】
本実施形態のライトバルブ100R、100G及び100Bとしては、例えば、後述の如きTFTをスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置が使用される。また、当該ライトバルブ100R、100G及び100Bは、後に詳述するように実装ケース入り電気光学装置として構成されている。
【0055】
また、この液晶プロジェクタ1100には、図1に示すように、ライトバルブ100R、100G及び100Bに冷却風を送るためのシロッコファン1300が設けられている。このシロッコファン1300は、その側面に複数のブレード1301を備えた略円筒形状の部材を含んでおり、該円筒形状の部材がその軸を中心として回転することで前記ブレード1301が風を生じさせるようになっている。なお、このような原理から、シロッコファン1300で作り出される風は、図1に示されるように、らせん状に渦巻いたものとなる。
【0056】
このような風は、図1において図示されない風路を通じて各ライトバルブ100R、100G及び100Bに送給され、各ライトバルブ100R、100G及び100Bの近傍に設けられた吹き出し口100RW、100GW及び100BWから、これらライトバルブ100R、100G及び100Bに対して送り出されるようになっている。
【0057】
ちなみに、前述したようなシロッコファン1300を用いれば、静圧が高くライトバルブ100R、100G及び100B周囲の狭い空間にも風を送りやすいという利点が得られる。
【0058】
以上説明した構成においては、強力な光源たるランプユニット1102からの投射光により各ライトバルブ100R、100G、100Bで温度が上昇する。この際、過度に温度が上昇してしまうと、各ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶が劣化したり、光源光のむらによる部分的な液晶パネルの加熱によるホットスポットの出現により透過率にムラが生じたりする。また、これら各ライトバルブ100R、100G及び100Bの表面には、その周囲に漂う粉塵が付着し得るが、これによると、該粉塵の像がスクリーン1120上に投影されてしまうという問題も生じる。そこで、本実施形態では特に、各ライトバルブ100R、100G、100Bは、後述の如き本発明の防塵用基板等を備えるとともに、実装ケースに実装されて、投射型液晶装置1100のハウジング内に取り付けられている。このため、後述の如く各ライトバルブ100R、100G、100Bの温度上昇は効率的に抑制されている。
【0059】
(電気光学装置の実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶プロジェクタ1100における液晶ライトバルブ100R、100G、100Bとして使用されるものである。ここに、図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図3は、図2のH−H’断面図である。
【0060】
図2及び図3において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0061】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0062】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0063】
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0064】
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0065】
図3において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、図示しない配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に図示しない配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0066】
尚、図2及び図3に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0067】
このように構成された電気光学装置の場合、その動作時には、図3の上側から強力な投射光が照射される。すると、対向基板20、液晶層50、TFTアレイ基板10等における光吸収による発熱によって、当該電気光学装置の温度が上昇する。このような温度上昇は、液晶層50等の劣化を早めると共に、表示画像の品位を劣化させる。また、この電気光学装置の表面にその周囲に漂う粉塵が付着すると、該粉塵の像が画像上に投影されてしまい、その品質を低下せしめるという問題も生じる。
【0068】
そこで、本実施形態では特に、このような電気光学装置において、以下に説明する各種形態を採用することにより、前述の温度上昇及び粉塵投影の問題を有効に解決する。
【0069】
(昇温防止作用を有する電気光学装置の第1実施形態)
以下では、昇温防止作用を有する電気光学装置の第1実施形態について、既に参照した図3を参照して説明する。
【0070】
第1実施形態では、図3に示すように、対向基板20における液晶層50に対向しない側(図3中上側)に、防塵用基板420が備えられている。また、防塵用基板410は、TFTアレイ基板10における液晶層50に対向しない側(図3中下側)にも備えられている。これらの防塵用基板420及び410の両面には、ARコート501、502、503及び504が備えられている。より詳しくは、対向基板20の側に設けられている防塵用基板420については、該防塵用基板420の外側面に第1ARコート501が、該防塵用基板420と対向基板20との間に第2ARコート502がそれぞれ備えられている。同じく、TFTアレイ基板10の側に設けられている防塵用基板410については、該防塵用基板410とTFTアレイ基板10との間に第3ARコート503が、該防塵用基板410の外側面に第4ARコート504がそれぞれ備えられている。
【0071】
このうち防塵用基板410及び420は、それぞれ、透明ZnSからなる。ここで透明ZnSとは、例えばZnSをCVD法等によって作成した後、これを焼成すること等によって製造することができる。このように、防塵用基板420及び410は、「透明」なZnSからなるから、図3中上方から下方へ抜けた光が着色させられる等ということが生じない。なお、かかる透明ZnSとしては、具体的には例えば、住友電気工業株式会社製のClear−ZnSを利用することができる。
【0072】
他方、ARコート501から504は、例えばジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)等の単層、あるいは複数層からなる。より具体的には、ジルコニア、シリカ、ジルコニア、シリカという4層構造としたり、これに続けて、更にジルコニア、シリカを繰り返して、より多層の構造を有するようにしてもよい。これにより、例えば、空気層(図3中上方)から対向基板20内(図3中下方)という異なる屈折率を有する部材間において、無用な反射によるロスを避けることが可能となり、当該部材間にわたる効率的な導光が可能となる。特に、第1実施形態においては、防塵用基板410及び420が透明ZnSからなり、その屈折率が2.2程度と比較的大きいことから、前記ARコート501から504が設けられることで、その界面における光反射が未然に防止されることは、画像の明るさ維持等にとって非常に有効である。
【0073】
ところで、前記の各ARコート501から504の構造は、それぞれ相異なるようにするのが好ましい。というのも、各ARコート501から504においては、それぞれ、生じ得る光反射の態様が異なり得るからである。すなわち、ARコート501については、空気層から透明ZnSからなる防塵用基板420への光の進入に際する反射を、ARコート502については、透明ZnSからなる防塵用基板420から石英ガラス等からなる対向基板20への光の進入に際する反射を、それぞれ防止する必要があり、他方、ARコート503については、石英ガラス等からなるTFTアレイ基板10から透明ZnSからなる防塵用基板410への光の進入に際する反射を、ARコート504については、透明ZnSからなる防塵用基板410から空気層への光の進入に際する反射をそれぞれ防止する必要がある、というようである。
【0074】
したがって、この場合には、ARコート501から504を構成する前記層構造を構成する各層の厚さを変更したり、該層の積み重ね数を変化させたりする他、材料それ自体を変化させるなどして、各ARコート501乃至504間の構造に差異をもたせるのが好ましい。このようにすることで、前記のように異なった反射態様に好適に対応することができる。
【0075】
以上のような構成を有する第1実施形態の電気光学装置では、上述の防塵用基板420及び410の存在により、次のような作用効果が奏されることになる。まず、防塵用基板420及び410が設けられていることにより、粉塵の投影を回避することが可能となる。すなわち、図3中上方より入射してくる光は、液晶層50内、又はTFTアレイ基板10内或いはその更に下方等において、焦点が結ばれるように集光される。これにより、対向基板20の図中上面にあたる表面の方が、防塵用基板420の同表面に比べてより焦点に近いところに位置するということになる。したがって、従来、対向基板20の表面に粉塵が付着する場合においては、その像が投影されることによって、画像の品質を損なうおそれがあった。これは、TFTアレイ基板10の側についても同様にいえる。
【0076】
しかるに、第1実施形態では、対向基板20、或いはTFTアレイ基板10の表面に粉塵は付着しえず、また第1実施形態においては特に、粉塵が付着するとしても、それは防塵用基板420を越えて、更に図中上層に位置するARコート501の表面、或いは防塵用基板410を越えて、更に図中下層に位置するARコート504の表面に付着するに過ぎない。つまり、粉塵は焦点からより遠い位置に付着することになる。
【0077】
以上により、第1実施形態においては、防塵用基板420及び410の厚さを主要因として、粉塵の付着位置を焦点位置から遠くにずらすことが可能となるから(すなわち、デフォーカス効果を得ることが可能となるから)、粉塵の投影の問題を有効に解消することが可能となるのである。
【0078】
また、第1実施形態においては特に、防塵用基板420及び410が透明ZnSからなることにより、電気光学装置の温度上昇をより効果的に防止することが可能となる。これは、透明ZnSが比較的熱伝導率の大きな材料であることによる。これにより、防塵用基板420及び410を起点とする熱の吸い上げ作用がより効果的に発揮されることにより、対向基板20或いはTFTアレイ基板10、ないしは電気光学装置の内部に蓄積されていく熱を有効に奪っていくことが可能なのである。また、透明ZnSは、一般に赤外線の透過率が大きい材料であるから、該赤外線が防塵用基板420及び410に吸収されることによって発熱が生じるということは殆ど生じ得ない。これによると、防塵用基板420及び410が、ヒートシンクとしてより有効に機能することになるから、電気光学装置の冷却をより確実になすことができる。
【0079】
以上により、第1実施形態においては、より効果的な熱放散効果を得ることができ、したがって、電気光学装置内部における過剰な熱蓄積を未然に防止することが可能となる。また、このように電気光学装置内部に蓄積される熱を効率よく外部に放散することが可能であることから、本実施形態において、シロッコファン1300につき強力な冷却能力が要求されない。すなわち、従来に比べて風量を低くすることが可能だから、シロッコファン1300における消費電力を低減することができ、また、該シロッコファン1300による騒音を低減することもできる。
【0080】
なお、上記第1実施形態においては、電気光学装置の光入射側及び光出射側の双方について透明ZnSからなる防塵用基板410及び420が備えられていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図4に示す各種の態様を採用し得る。ここに図4は、図3と同趣旨の図ではあるが、図3とは異なる防塵用基板の各種の設置態様を示すものである。
【0081】
まず、図4(a)に示すように、対向基板20側にのみ透明ZnSからなる防塵用基板420を設ける態様を採用することができる。或いは、図4(b)に示すように、TFTアレイ基板10側にのみ透明ZnSからなる防塵用基板410を設ける態様を採用することができる。更には図4(c)に示すように、対向基板20側には透明ZnSからなる防塵用基板420を設けるが、TFTアレイ基板10側には透明ZnSを含まない防塵用基板411を設ける態様も採用し得る。なお、図4(c)において、防塵用基板411としては、比較的安価な材料からなるものとすることが可能であるから、当該電気光学装置全体の低コスト化が可能となる。また、図4(c)において、防塵用基板411は透明ZnSを含まないため、該防塵用基板411に入射する光、或いは該防塵用基板411から出射する光が、その界面において反射が生じる可能性は一般的には小さいということはできるが、それでも該防塵用基板411の界面で前記反射の生じるおそれはやはりあるから、該防塵用基板411についてARコート503´及び504´(図4(c)参照)を備えることには相応の意義がある。
【0082】
このように、防塵用基板の設置態様については、各種採用が可能であるが、電気光学装置内部における蓄熱を防止するという観点からすれば、図3に示したように光入射側及び光出射側の双方に防塵用基板410及び420を設ける形態が最も好ましい。また、光入射側及び光出射側のどちらか一方のみに防塵用基板を設けることを前提とするのであれば、一般的には、該防塵用基板は、光入射側に設ける場合(即ち、図4(a))の方が、その逆の場合(即ち、図4(b))よりも好ましい。
【0083】
(昇温防止作用を有する電気光学装置の第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電気光学装置について、図5を参照して説明する。ここに図5は、前述の電気光学装置が、図1に示す液晶プロジェクタ1100におけるライトバルブ100R、100G又は100Bとして装着される場合の、より具体的な一形態を示すものである。なお、第2実施形態では、電気光学装置の概ねの構成は上述の第1実施形態と同様であるので、以下では、重複する点についてはその説明を適宜省略ないし簡略化することとし、第2実施形態において特徴的な部分についてのみ主に説明を加えることとする。
【0084】
この図5において、図3に示した構成に加えて、図中上方側及び下方側に、偏光板701I及び701Oが備えられている。ここに偏光板701I及び701Oは、液晶層50に入射させる光及び液晶層50から出射した光を適当な偏光状態とする偏光素子の一種である。これにより、液晶層50の配向状態を適当に定め、該配向状態と該偏光板701I及び701Oにおける偏光状態との関係を調整することにより、入射光がほぼ完全に透過する状態から、ほぼ完全に遮蔽される状態に至るまでの調整を連続的に行うことが可能となる。
【0085】
そして、第2実施形態においては特に、偏光板701I及び701Oのそれぞれについて、図5に示すように、昇温防止基板491及び492が備えられている。また、偏光板701I及び昇温防止基板491からなる構造物の各界面には、ARコート511から513が備えられており、偏光板701O及び昇温防止基板492からなる構造物の各界面には、ARコート521から523が備えられている。
【0086】
このような形態によれば、偏光板701I及び701Oについて、上述の第1実施形態で述べたと同様の作用効果を享受することが可能となる。すなわち、偏光板701及び701Oもまた、光の照射を受けることにより熱の蓄積が懸念される光学素子であるが、上述したような昇温防止基板491及び492が貼着されていることにより、該偏光板701I及び701Oに蓄えられた熱を外部へと有効に放散することが可能となるのである。
【0087】
ちなみに、図5に示すように、偏光板701I及び701Oが設けられる形態にあっては、防塵用基板410及び420が透明ZnSからなることにより、次のような作用効果も得られる。すなわち、電気光学装置に防塵用基板を設けるにしても、該防塵用基板を、仮に水晶、サファイア等から構成する場合においては、これらは単結晶材料であるがため、偏光板701I及び701Oを通過して偏光した光に関して屈折率異方性がでてくる。しかるに、第2実施形態では、防塵用基板410及び420に透明ZnSが利用されることにより、通常は多結晶構造となり、偏光をかけた場合にも、前述のような屈折率異方性が顕在化することがない。よって、第2実施形態によれば、より高品質な画像を表示することが可能となるのである。
【0088】
なお、第2実施形態においては、図5に示す構成に加えて、光学補償素子としてのλ/4板、λ/2板、広視野角等の光学的補償フィルム等(不図示)を設けるとともに、該光学補償素子についても、昇温防止基板が備えられる形態を採用してもよい。これによれば、該光学補償素子に蓄えられる熱の放散も可能となる。
【0089】
(昇温防止作用を有する電気光学装置の第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る電気光学装置について、図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置を示す斜視図であり、前述した電気光学装置、実装ケースを構成するカバー及びプレートそれぞれが分解された状態で示された分解斜視図である。なお、第3実施形態では、電気光学装置の概ねの構成は上述の第1実施形態と同様であるので、以下では、重複する点についてはその説明を適宜省略ないし簡略化することとし、第3実施形態において特徴的な部分についてのみ主に説明を加えることとする。
【0090】
第3実施形態において、前述した防塵用基板410及び420を備えた電気光学装置500は、プレート部610及びカバー部620からなる実装ケース601内に収納されている。このうちプレート部610には取付孔611cから611eが形成されており、該取付孔611cから611eを用いることによって、電気光学装置の液晶プロジェクタ1100に対する取付けを好適になすことができる。より具体的には、取付孔611cから611eに図示しないねじを通すとともに、該ねじを前記液晶プロジェクタ1100の一部を構成する図示しない被取付面に形成された雌ねじ穴に螺合する等の態様を採用することが可能である。
【0091】
また、プレート部610及びカバー部620のそれぞれには、窓部615及び625が形成されている。電気光学装置500に対する光の入射、あるいは該電気光学装置500からの光の出射は、この窓部615及び625を介して可能となる。また、第3実施形態においては、窓部615の辺縁部には、防塵用基板410の周辺部が接触するように、また、窓部625の辺縁部には、防塵用基板420の周辺部が接触するようにされている。
【0092】
さらに、実装ケース601には以下に記すような構成及び特徴を備えている。すなわち第一に、実装ケース601では、カバー部620が、カバー本体部623に加えて、スロープを有する冷却風導入部622、及び冷却風排出部624を備えていることにより、カバー部620全体に冷却風(図1に示すシロッコファン1300から送り出される風等)を満遍なく行き渡らせることが可能となっており、該カバー部620の冷却が効果的に行われるようになっている。ちなみに、前記冷却風は、冷却風導入部622、カバー本体部623及び冷却風排出部624の順に流れることが好適であり、そのためには、図1に示す液晶プロジェクタ1100内において、実装ケース入り電気光学装置は、前記冷却風導入部622が図1に示した吹き出し口100RW、100GW及び100BWに対向するように配置されるのが好ましい。
【0093】
また、第二に、前記カバー本体部623には千鳥足状のサイドフィン部628が備えられ、また、前記冷却風排出部624にはリアフィン部624Fが備えられていることにより、カバー部620の放熱能力が高められている。なお、これらサイドフィン部628及びリアフィン部624Fは、本発明にいう「表面積増大手段」の一例に該当する。
【0094】
第三に、プレート部610には、電気光学装置500の両側面に対向するとともに、カバー部620の内側面に接するようにされた折り曲げ部613が形成されており、該折り曲げ部613を介することによって、電気光学装置500、プレート部610及びカバー部620という熱の伝達(とりわけ、後二者間の熱の伝達)が滞りなく行われるようになっている。
【0095】
なお、図6に示す電気光学装置500においては、図2に示した外部回路接続端子102に接続されたフレキシブルコネクタ501が図示されている。
【0096】
以上のような構成を備えることにより、図6に示す実装ケース入り電気光学装置では、次のような作用効果が奏されることになる。
【0097】
すなわち、実装ケース601内に収納される電気光学装置500においては、前述した防塵用基板410及び420が備えられていることにより、該電気光学装置内部の熱は、まず、防塵用基板410及び420に逃げ得る。そして、第3実施形態においては更に、該防塵用基板410及び420の熱は、カバー部620或いはプレート部610へも逃げ得るようにになっているのである。しかも、第3実施形態においては、窓部615の辺縁部及び防塵用基板410の周辺部間、並びに、窓部625の辺縁部及び防塵用基板420の周辺部間が相互に接触されているから、防塵用基板410及び420の熱は、より活発に、プレート部610及びカバー部620へと逃げ得るようになっている。さらに、カバー部620にサイドフィン部628及びリアフィン部624Fが設けられていること、或いはプレート部610に折り曲げ部613が形成されていて、プレート部610及びカバー部620間の熱の伝達が滞りなく行われ得るようになっていること等が併せ機能することで、電気光学装置500からカバー部620へと伝達された熱、或いは該電気光学装置500からプレート部610を介してカバー部620へと伝達された熱は、速やかに外部へと放散され得るようにもなっているのである。これによれば、カバー部620、あるいはプレート部610が、電気光学装置500に対するヒートシンクとして、常に有効に機能することを意味する。
【0098】
以上の結果、第3実施形態によれば、電気光学装置内部の熱をより効果的に奪うことができるのである。
【0099】
なお、このように、防塵用基板410及び420のみならず、実装ケース601を構成するカバー部620及びプレート部610をも、電気光学装置500のヒートシンクとして機能させる場合においては、該機能のより効果的な実現のため、該カバー部620及び該プレート部610の少なくとも一方は、好ましくは金属、更に好ましくはその熱伝導率が15〔W/m・K〕程度以上となる金属からなるように構成するとよい。具体的な材料名としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、或いはこれらそれぞれの合金等を挙げることができる。
【0100】
また、電気光学装置に前記偏光板701I及び701O、或いは昇温防止基板491及び492が備えられる場合には、これらは、典型的には、実装ケース入り電気光学装置の外部に設置されている場合が想定される。すなわち、図5でいえば、図中真中に示されている構成のみが実装ケース601内に収納され(図6参照)、それ以外の構成は、該実装ケース601外に配置されるのが典型的である。
【0101】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び実装ケース入り電気光学装置並びに投射型表示装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る投射型液晶装置の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【図3】図2のH−H′断面図である。
【図4】図3と同趣旨の図であって、図3とは異なる防塵用基板の各種設置態様を示すものである。
【図5】本発明の第2実施形態に係り、図3等に示した電気光学装置が、図1に示す液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして装着される場合の、より具体的な一形態を示すものである。
【図6】本発明の第3実施形態に係り、図3等に示した電気光学装置、実装ケースを構成するカバー及びプレートそれぞれが分解された状態で示された分解斜視図である。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板、20…対向基板、50…液晶層
410、420…防塵用基板、701I、701O…偏光板、491、492…昇温防止基板
1100…液晶プロジェクタ、100R、100G及び100B…ライトバルブ、1120…スクリーン
601…実装ケース、610…プレート部、620…カバー部
628…サイドフィン部、624F…リアフィン部
Claims (10)
- 電気光学物質を挟持してなる一対の基板と、該一対の基板のうちの一方の基板上に、表示用電極と、該表示用電極にスイッチング素子を介して又は直接に接続された配線とを備えた電気光学装置であって、
該電気光学装置は、前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側にZnSからなる透明基板を備えてなることを特徴とする電気光学装置。 - 前記一対の基板のうちの一方における、前記電気光学物質に対向しない側に前記透明基板が備えられており、
前記一対の基板のうちの他方における前記電気光学物質に対向しない側には前記ZnSを含まない第2の透明基板が更に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。 - 前記一対の基板のうちの少なくとも一方における、前記電気光学物質に対向しない側に偏光素子が更に備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
- 前記偏光素子にZnSからなる透明基板が更に備えられていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
- 前記透明基板における、少なくとも一方の面にAR(Anti Reflection)コートが更に備えられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記ARコートは、
前記透明基板の一方の面に配置される第1ARコートと、その他面に配置される第2ARコートとを含み、これら第1ARコート及び第2ARコートはそれぞれ異なった構造を有していることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置を実装ケース内に収納する実装ケース入り電気光学装置であって、
前記実装ケースは、
前記電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、
該プレート及び前記電気光学装置を覆うように配置されるカバーと
を備えたことを特徴とする実装ケース入り電気光学装置。 - 前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方は、前記透明基板と相互に接触していることを特徴とする請求項7に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記カバーは、その表面積を増大させる表面積増大手段を備えてなることを特徴とする請求項7又は8に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置又は請求項7乃至9のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置と、
光源と、
前記光源より発せられた投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、
前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系と
を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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JP2003117165A JP2004325572A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 電気光学装置及び実装ケース入り電気光学装置並びに投射型表示装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010152266A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-08 | Seiko Epson Corp | 電気光学装置、防塵用基板、及び電子機器 |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003117165A patent/JP2004325572A/ja not_active Withdrawn
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