JP2004325436A - キャピラリー電気泳動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高感度に多数本のキャピラリーの同時蛍光計測が可能で、かつ試料の連続分析の自動化が可能となるキャピラリーアレイ電気泳動を提供する。
【解決手段】 複数のキャピラリー101の試料溶出端である終端が、キャピラリー101の内部に分離媒体であるポリマーを充填する機構を有したポリマー充填ブロック404に接続される。キャピラリー101の終端部の端面より出射した蛍光を、外表面と検出平面109との距離が、検出平面109に最も近い光学レンズの焦点距離以下である検出窓306を介して検出する。
【選択図】 図6

Description

本発明はDNA、RNA、又はタンパク質等の生体物質の分離分析装置に関する技術分野に属し、特に試料分離用カラムにキャピラリーを複数本使用し、試料計測方法として蛍光検出方法を用いたキャピラリーアレイ電気泳動装置に関わる技術分野に属する。
電気泳動はDNAやRNA等を分離分析する基本的な手段である。従来、電気泳動分離用カラムとして2枚のガラス板にゲルを挟めたスラブゲルを使用したスラブゲル電気泳動装置が用いられてきた。しかし、ヒトゲノム計画に代表される大規模な分離分析の重要性が高まるのに伴い、電気泳動装置に高速、高スループットな性能が求められるようになった。それを実現するために開発された装置がキャピラリー電気泳動装置である。
キャピラリー電気泳動に関しては、例えば特許文献1には、複数キャピラリーにレーザ光を同時照射し、試料成分からの蛍光を検出するオンカラム蛍光計測を行うキャピラリーアレイ電気泳動装置が記載されている。この装置では図1に示すように、キャピラリー1、レーザ光2、ガラス平面板3、第1レンズ4、像分割プリズム及び組み合わせフィルター5、第2レンズ6、2次元CCDカメラ7等を具備している。非特許文献1には、キャピラリーゲル電気泳動と導波路(liquid core waveguide)蛍光検出とによって、マルチプレックスなPCR(polymerase chain reaction)−ミニシーケンシングを行うことが記載されている。特許文献2には、ゲルが予め充填されたキャピラリーと、キャピラリーの下端部に設けられたバッファー槽とを有し、蛍光検出をキャピラリーの下端面から行うキャピラリー電気泳動装置が記載されている。特許文献3には、並設した複数のゲル板の下部が透明な下部バッファー槽内に位置し、蛍光検出器の受光器がバッファー槽内の底面に対向して設置されている電気泳動装置が記載されている。特許文献4には、キャピラリー状の容器を導波セルとして用いることが記載されている。特許文献5には、キャピラリーにゲルを注入するゲル注入機構を用いることが記載されている。このゲル注入機構は、図2に示す通り、ブロック17、キャピラリー111にゲル10を注入するための注入用シリンジ14、注入用シリンジ14にゲル10を補充するための補充用シリンジ15、逆止弁16を有する。
特開平9−96623号公報 特開平10−19846号公報 特開平8−261988号公報 米国特許第5570447号公報 特許第3389547号公報 Johan Roeraade et al、Electrophoresis 2002 23 1467-1472 Anazawa, T., Takahashi, S.,Kambara, H., Anal. Chem., 1996, 68, 2699-2704
キャピラリーアレイ電気泳動装置には、多数本のキャピラリーに対する同時蛍光計測を高感度に行うことが求められている。また、多数の試料を連続して分析することも求められている。しかし、従来のキャピラリーアレイ電気泳動装置は、このような要請に応えることができなかった。
本発明は、上記要請に応え、多数本のキャピラリーに対する同時蛍光計測を高感度に行い、かつ、多数の試料を連続して自動分析することが可能なキャピラリーアレイ電気泳動装置を提供することを目的とする。
キャピラリーアレイ電気泳動装置による連続自動分析を実現するには、キャピラリーへポリマー溶液を自動的に充填することが必要になる。特許文献5には、上記の通りキャピラリーにゲルを注入するゲル注入機構が記載されている。一方、一度に多数本のキャピラリーを用いて同時蛍光計測を高感度に行う方法について検討すると、特許文献2に記載されている蛍光検出をキャピラリーの下端面から行う方式(以下、末端検出という)は、キャピラリー末端を2次元的に配置することが可能であるため有利である。
そこで、特許文献5の装置に、末端検出を適用することを考える。図3は、ポリマー充填ブロック400の断面図である。ポリマーはシリンジ401によって流路403を介して多数本を束ねたキャピラリー101に充填される。ポリマー充填ブロック400を用いて末端検出を行う場合、蛍光検出はキャピラリー101の終端部103の長軸方向から、すなわちポリマー充填ブロック400の左側面400aを通して行わなければならない。蛍光検出光学系は、第一カメラレンズ301、光学フィルター303、第二カメラレンズ302、及び2次元CCDカメラ300からなる。しかし、ポリマー充填ブロック400の材質はアクリル樹脂であるために、アクリル樹脂から発生される蛍光や散乱光が背景光となり、蛍光検出感度が低下する問題が生じる。また、ポリマー充填ブロック400の内部においてキャピラリー検出端面105と側面400aの間に折れ曲がった不透明な流路403が存在するため、キャピラリー検出端面105から出射された蛍光が蛍光検出光学系に届くまでに屈折、反射、散乱を受け、蛍光検出が困難となる。
一般に、高感度な蛍光検出を行うためには、第一カメラレンズ301の明るさはF≦1.2であることが望ましいが、この条件を満たす市販のカメラレンズの焦点距離はf<50mmである。また、第一カメラレンズ301でキャピラリー検出端面105から出射した蛍光を平行光束とするためには、第一カメラレンズ301とキャピラリー検出端面105の距離Lを、第一カメラレンズ301の焦点距離fと等しくする必要がある。すなわち、次式(1)の関係を満たさなければならない。
L=f<50mm (1)
一方、キャピラリー検出端面105とポリマー充填ブロック400の側面400aの距離は70mm以上であるため、構造上、次式(2)の関係を満たさなければならない。
L>70mm (2)
上式(1)と(2)は明らかに両立できないため、ポリマー充填ブロック400を用いた高感度なキャピラリー末端検出を行うことは不可能である。
以上のように、特許文献5の連続自動分析と特許文献2のキャピラリー末端検出を両立させることはできない。
上記の通り、キャピラリー末端もしくはゲル板の下部にバッファー槽を設け、下部から蛍光検出を行うことは報告されている。しかし、その場合、キャピラリーもしくはゲル板は予めゲルを充填されたものであり、ゲル、すなわちポリマーを注入する手段は必要とされていなかった。また、ポリマー注入手段を有した連続自動分析の場合には、図2に示したような構成をとるために、キャピラリー末端検出は不可能であった。本発明は、ポリマー注入手段を有する構成を用いる際に、連続自動分析とキャピラリー末端検出を両立させるための新規な手段を提供するものである。これにより、さらに、多数のキャピラリーを高感度に同時計測し、多数の試料を自動で連続分析できる高スループットなキャピラリーアレイ電気泳動装置を提供することができる。
本発明のキャピラリーアレイ電気泳動装置は、キャピラリーにレーザ光を照射し、発光した蛍光を、キャピラリーの端部の近傍に設けられたポリマー収容部(ポリマー充填ブロック)を介し、蛍光検出光学系により検出することを特徴とする。このポリマー充填ブロックは以下に示す特徴を持つことが望ましい。
(1)キャピラリーの端部の端面と蛍光検出光学系の間の領域にあるポリマー充填ブロックの材質を、無蛍光物質で作製する。特に、該材質は石英製が望ましい。
(2)キャピラリーの端部は、すべてのキャピラリーの端面が実質的に平面上に揃うように並べられ、該平面と該領域にあるポリマー充填ブロック内の屈折率が変化するすべての面が互いに実質的に平行であり、上記平行度は精度誤差程度に収められている。
(3)キャピラリーの端部の端面と、該領域にあるポリマー充填ブロックの外側面の距離は、蛍光検出光学系の内のポリマー充填ブロックに最も近接するレンズの焦点距離以下である。特に、該距離は50mm以下であることが望ましい。
(4)ポリマーもしくは緩衝液を収めて、ポリマー充填ブロックを介して蛍光検出がなされる。
蛍光検出光学系については、検出窓の外部に設けられ、蛍光を検出する対物レンズを具備し、キャピラリー端部の端面と検出窓の外表面との距離が、対物レンズの作動距離以下であってもよい。
キャピラリーについては、ポリマー収容部と着脱可能であってもよい。キャピラリーの端部については、キャピラリー端部の端面の検出窓の外表面に対する位置を定める位置決め手段を有しても良く、それが検出窓に設けられたスペーサーであっても良い。また、キャピラリーの一方の端部がキャピラリー内に充填されたポリマーと同じ屈折率を持つ溶液と接触してもよい。また、複数のキャピラリーは、光が照射される照射位置で少なくとも一部が実質的に平面上に配列された、シートを複数形成するものであって、複数のシートは上記平面と実質的に平行に配置されるものであってもよい。また、キャピラリーの一方の端部の近傍に、キャピラリーに電圧を印加した時にキャピラリー内で発生するジュール熱を除去する機構を有してもよい。また、光が照射される照射位置は、少なくとも一部が実質的に平面上に配列されており、光は、この平面に実質的に平行な方向から、複数のキャピラリーの少なくとも一部に照射するものであってもよい。
本発明の別のキャピラリーアレイ電気泳動装置では、ポリマー収容部は、前記キャピラリーの内部で前記ポリマーが移動する方向と、実質的に垂直の方向にポリマーもしくは緩衝液が導入、かつ排出される。
以上の装置構成により、キャピラリーの終端部の端面より出射した蛍光を、ポリマー充填ブロックを介し、高感度に検出することができる。その結果、高感度に多数本のキャピラリーの同時蛍光計測が可能になるだけでなく、多数の試料の連続自動分析が可能になる。
なお、ここでポリマー収容部、又はポリマー充填ブロックとしたものは、便宜上このように名付けたものであり、その機能はポリマーを収容すること、又はポリマーを充填することに限られるものではない。また、複数のキャピラリーにより形成されるシートとは、複数のキャピラリーが並べられた状態を指すものである。
本発明によると、多数本のキャピラリーの高感度な同時蛍光計測が可能になり、かつ、多数の試料の連続自動分析が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
図4は、本発明を用いた全自動キャピラリーアレイ電気泳動装置の一例の概観を示したものである。本実施例では、20本のキャピラリーを同時に電気泳動分析する方法について説明する。20本のキャピラリーが束ねられ、キャピラリーアレイ101aを形成している。各キャピラリー101は石英製で外表面にポリイミドコーティングがなされ、全長40cm、外径360μm、内径50μmであるものを用いる。各キャピラリー101の、試料を導入する側を始端部102、電気泳動によって試料がキャピラリー内部を泳動し、溶出する側を終端部103と呼ぶ。各キャピラリー101の始端部102の端面より30cm(終端部103の端面より10cm)の位置をレーザ照射位置とし、その部分のキャピラリーのポリイミドコーティングを除去してある。それぞれ5本のキャピラリー101のレーザ照射位置を並べ、4組のキャピラリー配列を形成する。レーザ照射位置では、各キャピラリー101が互いに実質的に平行に配列され、また各々のキャピラリーのレーザ照射位置は実質的に一直線上に配列するようにされている。ここでキャピラリーが互いに実質的に平行であるとは、精度誤差程度に収まる程度の平行度であることを指す。また、キャピラリーは、照射位置で少なくとも一部が実質的に平面上に配列されるように配置されている。この平面とは、精度誤差程度に収まる程度の平面性を有するものである。さらに、シートを複数形成するべく、複数のシート状に配置されている。各々シートはキャピラリーが配列されてなす平面と実質的に平行に配置されている。この平行とは、精度誤差程度に収まる程度の平行度を指す。アルゴンイオンレーザー光源200から発振したレーザ光202(波長488nm、及び515nm、出力100mW)は、ビームスプリッタ206及びミラー207によって4本に分割され、4組のキャピラリー配列を照射する。各レーザビーム202は、各キャピラリー101に実質的に平行になるように調節されてキャピラリー配列に照射される。ここでレーザビームが各キャピラリーに実質的に平行に照射されるとは、各キャピラリーが配列されることによってなす実質的な平面に対し、レーザビームの照射される方向が実質的に平行であることをいう。電気泳動の分離能の低下を抑えるために、キャピラリー配列に照射されるレーザ幅は、キャピラリー101の内径(50μm)以下にすることが望ましい。各キャピラリー101の内部が分離媒体であるポリマー溶液(Applied Biosystems社POP-4)で満たされている状態で上記のレーザ照射を行うと、レーザビームがキャピラリー配列中を伝搬するため、すべてのキャピラリーを同時に効率良く照射することができる。
図5にキャピラリーアレイ101aの終端部103近傍の斜視図を示す。キャピラリーアレイ101aの終端部103は、20本のキャピラリー101が束ねられ、キャピラリーアレイヘッド107を形成している。キャピラリーアレイヘッド107は、20本のキャピラリー101の終端部103、筒状の固定冶具106、接着剤108により構成されている。ここで、各キャピラリー101の終端部103の端面(キャピラリー検出端面105)、固定治具106のふち、及び接着剤108の表面はほぼ実質的に平面に並び、検出平面109を形成する。検出平面109上で各キャピラリー検出端面105は5×4の格子状に配列する。ここで、各キャピラリー101の始端部102における位置とキャピラリー検出端面105における位置を対応させておく。固定冶具106の材質は、電気伝導度が低く、硬質なものが望ましい。また、接着剤108の材質は、ポリマー溶液に接するため、電気泳動の分離に影響を及ぼさないように水に分解されにくく、化学的に安定性の高いものが望ましい。本実施例では、固定冶具106の材料としてポリエーテルエーテルケトンを、接着剤108としてシリコン系接着剤(セメダインスーパーXブラック、セメダイン)を使用した。
図4に示したように、キャピラリーアレイヘッド107は、ポリマー充填ブロック404に接続されている。キャピラリーアレイヘッド107が接続された状態のポリマー充填ブロック404の断面図を図6に示す。ネジ110を締め付けることにより、フェラル111がポリマー充填ブロック404の内壁面に押し付けられ、それと同時にフェラル111がキャピラリーアレイヘッド107を締め付け、ポリマー充填ブロック404とキャピラリーアレイヘッド107の隙間がフェラル111によって密閉される。この構造は耐圧性があり、ポリマー充填ブロック404内部に高圧力が印加された場合もこの密閉は保たれる。フェラル111及びネジ110の材質として、硬質であり電気伝導度の低いポリエーテルエーテルケトンを使用した。ポリマー充填ブロック404は、アクリル樹脂製であり、内部に流路405が形成されている。流路405は耐圧性のシリンジ401、及び耐圧性のチューブ501に接続され、これらの内部にポリマー溶液が満たされている。チューブ501は、図4で示したバルブ402を介して、緩衝液(3700 buffer、Applied Biosystems社)の入った緩衝液槽502につながっている。
流路405の一部は検出平面109と接しており、検出平面109の表面はポリマー溶液で満たされている。このように、流路405をポリマー溶液で満たした状態で蛍光検出を行うことによって、キャピラリー検出端面105においてキャピラリー101内と流路405の間の屈折率変化境界面がなくなり、キャピラリー検出端面105から出射した蛍光が、流路405に入射する間の反射がなくなる。そのため、キャピラリー検出端面105から出射した蛍光を2次元CCDカメラ300で検出する際の感度低下を抑える効果が得られる。ポリマー溶液以外でもポリマー溶液と同じ屈折率の溶液で流路405を満たしても同様の効果が得られる。もちろん緩衝液で流路405を満たして蛍光検出を行っても良い。また、ポリマー充填ブロック404のキャピラリーアレイの検出平面109が隣する部位では、キャピラリーの内部でポリマーが移動する方向と実質的に垂直の方向に、ポリマーもしくは緩衝液が導入、かつ排出される。ここで実質的に垂直とは、具体的には85度程度から95度程度の範囲の角度をとることが妥当である。このような配置をとることにより、ポリマーもしくは緩衝液の導入及び排出が効率よく行えるとともに、管配置の容易性から装置の小型化が可能となる。
キャピラリー検出端面105から出射された蛍光は、ポリマー溶液で満たされた流路405、検出窓306を介し、ポリマー充填ブロック404下方向から、第一カメラレンズ301(F=1.2、f=50)、光学フィルター303、回折格子304、第二カメラレンズ302(F=1.2、f=50)、512×512画素の2次元CCDカメラ300で構成される検出部307によって検出される。
試料からの蛍光以外の、ポリマー充填ブロック404を構成する材料等から蛍光や散乱光を減らすため、検出窓306の材料は無蛍光の石英ガラスとする。検出窓306として、背蛍光や励起光を除外できる光学フィルターを使用しても良い。また、ポリマー充填ブロック404全体を無蛍光かつ透明な材料で作製し、ポリマー充填ブロック404と検出窓306を一体化しても良い。本実施例では、キャピラリーアレイヘッド107の検出平面109から検出窓306の外表面までの距離は20mmとし、第一カメラレンズの焦点距離50mmより小とした。検出窓306は、キャピラリーアレイヘッド107の検出平面109、すなわちキャピラリーの各々の端面を内含する領域と、第一カメラレンズ301の開口との間に位置するものである。また検出窓306は、この内含する領域と実質的に平行な面における形状が、上記内含する形状に実質的に相似した形状であってもよい。さらに、内含する領域、検出窓306、と第一カメラレンズ301の開口は、この順にその面積が大きくなるものであっても良い。この場合には、第一カメラレンズ301によってもれなく効率的に光を検出することが可能となる。
キャピラリーアレイヘッド107は、スペーサーを用いて位置決めできるようにする。具体的には、図7に示したような検出窓306で、内側に付いている4つの位置決めピン310に検出平面109を押し当て、検出平面109を検出窓306と実質的に平行になるように位置決めできるようにする。これにより、キャピラリーアレイを付け替えた場合にも検出平面109と検出窓306が実質的に平行かつ上記距離に再現良く接続することが可能となる。検出平面109を位置決めするための別の方法として、固定冶具106の検出平面109近傍の外形に段差をつけ、また、ポリマー充填ブロック404のキャピラリーアレイヘッド107を挿入する部の内壁に段差をつけ、固定冶具106の段差をポリマー充填ブロック404の段差に押し付けることで合わせても良い。これにより、前記検出窓の外表面に対するキャピラリーアレイヘッド107の検出平面109の位置を定めることができる。
また、本実施例では検出窓306の厚みを19mmとし、検出平面109と検出窓306の内表面の距離Lを1mmとした。距離Lは、キャピラリー101の内径よりも小さいと検出平面109と検出窓306の間にある流路405で大きな電気抵抗となり、電圧印加時にジュール熱により上記流路405内にあるポリマー溶液から気泡が発生しやすくなり、電気泳動が出来なくなる。そのため、上記距離Lはキャピラリー101内径以上が必要となる。キャピラリーアレイ101aをポリマー充填ブロック404に接続する際に、上記流路405に気泡が残存した場合、バルブ402を開放し、シリンジ401を加圧して、緩衝液槽502に上記気泡を押し流す必要がある。上記距離Lが大き過ぎるとシリンジ401の加圧時に上記流路405において高速にポリマー溶液を押し流すことができず、上記気泡の排出が困難となり、また消費するポリマー溶液の量も多くなる。そのため、上記距離Lは、2mm以内とする必要がある。以上のように、上記距離Lを、キャピラリー101の内径<L<2mmとすることにより、でキャピラリー101への電圧印加時における上気流路405内のポリマー溶液からの気泡発生を抑制し、またキャピラリーアレイ101aをポリマー充填ブロック404に接続する際に上記流路405内に残存する気泡を緩衝液槽502に排出しやすくすることが可能となる。
試料を分析する工程を次に示す。まず、バルブ402を閉め、シリンジ401のピストンに荷重をかけることによってポリマー充填ブロック404内部のポリマー溶液を加圧し、各キャピラリー101内にポリマー溶液を終端部103から始端部102に向かって充填する。一定量のポリマー溶液をキャピラリー101に充填後、バルブ402を開放し、各キャピラリー101の始端部102を、それぞれウェル中の試料溶液に浸す。この状態で、緩衝液槽502と試料溶液の間に高圧電源506により一定電圧を一定時間印加し、各ウェルに入った蛍光体で標識された試料を電気的に各キャピラリー101内にそれぞれ注入する。試料注入後、緩衝液の入った緩衝液槽505をキャピラリー101の始端部102の位置に移し、始端部102を緩衝液に浸し、緩衝液槽502と緩衝液槽505との間に高圧電源506によって電圧を印加し、各キャピラリー101に注入された試料を終端部103方向に電気泳動する。この際、キャピラリー101内のポリマー溶液が圧力差により移動しないように、緩衝液槽502に入った緩衝液と緩衝液槽505に入った緩衝液の液面の高低差がないようにした。
各キャピラリー101内を電気泳動する試料は、キャピラリー101のレーザ照射位置においてレーザ照射される。レーザ照射により、試料に標識された蛍光体が励起され、その蛍光の一部はキャピラリー101の内表面で全反射してキャピラリー101内部を伝播し、各キャピラリー101の検出端面105より出射する。出射した蛍光は、ポリマー充填ブロック404の検出窓306を介し、第一カメラレンズ301により平行光束とされ、光学フィルター303により背蛍光及び励起光が除外され、回折格子304によって波長分散され、第二カメラレンズ302により2次元CCDカメラ300上に結像される。ここで、蛍光の波長分散手段として回折格子304の代わりに光学プリズムを使用しても良い。また、第一カメラレンズ301の代わりに対物レンズを使用しても良い。なお、対物レンズを使用する場合、キャピラリーアレイヘッド107の検出平面109から検出窓306の外表面までの距離は、上記対物レンズの作動距離以下にし、上記対物レンズと検出平面109の距離を上記対物レンズの作動距離とすることで、同様の高感度蛍光検出系が構築できる。第一カメラレンズとキャピラリー検出端面105の距離は50mmとした。各キャピラリー101からの蛍光が波長分散された像は、2次元CCDカメラ300上の異なる位置に結像するようにする。これにより、各キャピラリー101からの蛍光を独立かつ一括して検出できるようにする。また、この検出を連続的に繰り返すことにより、各キャピラリー101からの蛍光の時間変化を計測する。得られた計測結果をコンピュータに記録し、解析することにより、複数種類の試料を分析できる。
以上の工程は、すべて自動で繰り返すことが可能であるため、無人で多数の試料の連続分析が可能となる。
蛍光検出時に外部からの迷光が検出部307に入ると、キャピラリー検出端面105から出射した蛍光検出の感度の低下につながる。そこで、キャピラリー101のレーザ照射位置からキャピラリーアレイヘッド107、ポリマー充填ブロック404及び検出部307の領域を外部から遮光することが望ましい。本実施例では、上記領域全体を暗箱で覆った。上記3つの領域に分けて暗箱で覆っても良い。またポリマー充填ブロック404の材質を黒いアクリル樹脂にする、もしくは黒いプラスチックにし、外部からの迷光を遮断する方法でも良い。
本実施例では、同時に計測するキャピラリーの本数が20本であったが、本発明を用いた装置では、より多数のキャピラリーを同時かつ高感度に検出でき、また試料の連続無人運転が可能となる。複数のキャピラリー101からの蛍光を独立かつ高感度に計測するためには、隣り合うキャピラリー101の2次元CCDカメラ300上での結像距離が少なくとも5画素以上離れている必要があるため、2次元CCDカメラ300上での一次元目に102本のキャピラリーを並べることが可能となる。また、キャピラリー101の1本あたりの波長分散方向に必要な画素数を100画素とすると、2次元CCDカメラ300上での二次元目に5本以上のキャピラリー101を並べることが可能となる。そこで例えば、本実施例において5本のキャピラリー配列を96本のキャピラリー配列にし、上記キャピラリー配列を4列並べたキャピラリーアレイを用いれば、384本のキャピラリーの同時計測が可能となる。
(実施例2)
本実施例は、図4におけるポリマー充填ブロック404を、シリンジ401が取り付いている部分と、キャピラリーアレイヘッド107を取り付ける部分の2つに分割し、洗浄、検出窓の交換等の操作の容易性を得ることを目的とした。
装置構成は、実施例1の場合とポリマー充填ブロック404の構成のみが異なり、それ以外は同等である。図8に本実施例のポリマー充填ブロック406並びにキャピラリーアレイヘッド107の取り付け部である検出ブロック407の構成を示す。キャピラリーアレイヘッド107は、ネジ110及びフェラル111を用いて検出ブロック407に接続されている。キャピラリーアレイヘッド107の検出ブロック407への接続方法並びにキャピラリーアレイヘッド107の接続位置合わせは、実施例1と同等である。検出ブロック407はアクリル樹脂製であり、図8に示すように、キャピラリーアレイヘッド107の検出平面109の真下に位置する部分に検出窓306が取り付けられている。検出窓306は無蛍光の石英製ガラスである。検出ブロック407内に形成された流路408は、ポリマー溶液で満たされている。キャピラリーアレイヘッド107の検出平面109の表面は、流路408にあるポリマー溶液に接している。キャピラリーアレイヘッド107の検出平面109と検出窓306の外表面との距離は20mmとし、検出平面109と検出窓306の内表面及び外表面は互いに実質的に平行にしてある。
検出ブロック407内の流路408の片方は、ポリマー溶液で満たされたチューブ409を介してポリマー充填ブロック406内に形成された流路410につながっており、該流路はポリマー溶液が充填されたシリンジ401につながっている。流路408のもう片方は、ポリマー溶液で満たされたチューブ501につながっており、実施例1の図4に示した緩衝液槽502につながっている。チューブ409及びチューブ501は、検出ブロック407と耐圧性のあるコネクターでつながっており、チューブ409及び501と検出ブロック407の着脱を簡素化した。
上記構成により、ポリマー充填ブロック406又は検出ブロック407のどちらか一方が汚染しても、その汚染したブロックのみを洗浄することで、汚染を除去できる。また、検出部307に外部の迷光が入らないように、実施例1ではポリマー充填ブロック404全体を暗箱で覆う方法を採用したが、本実施例では遮光領域の小型化が可能となる。さらに、実施例1ではキャピラリーアレイ101aとシリンジ401の立体障害が無いように、ポリマー充填ブロック404が大型化する必要があるが、本実施例では上記立体障害を避けることが可能となるので、ポリマー充填ブロックの小型化も図れる。また、実施例2においても、検出ブロック407のキャピラリーアレイの検出平面109が隣する部位では、キャピラリーの内部でポリマーが移動する方向と実質的に垂直の方向に、ポリマーもしくは緩衝液が導入、かつ排出される。ここで実質的に垂直とは、具体的には85度程度から95度程度の範囲の角度をとることが妥当である。このような配置をとることにより実施例1と同様に、ポリマーもしくは緩衝液の導入及び排出が効率よく行えるとともに、管配置の容易性から装置の小型化が可能となる。
これに類似した方法で、図9に示すように、図8における検出窓306と検出平面109に挟まれた流路408及び検出窓306をキャピラリーアレイヘッド107と一体化する方法がある。図8と同様にチューブ409及びチューブ501は、キャピラリーアレイヘッド107と耐圧性のあるコネクターでつながっており、チューブ409及び501とキャピラリーアレイヘッド107の着脱を簡素化してある。本方式でも、図8で示した方式と同様の効果が得られる。
(実施例3)
実施例1や実施例2において、各キャピラリー101に電圧を印加して電気泳動すると、キャピラリー101内にジュール熱が発生する。図5に示すキャピラリーアレイヘッド107では、キャピラリー101が接着剤108、固定治具106、ポリマー充填ブロック404又は検出ブロック410に囲まれているため、キャピラリー内で発生したジュール熱の放熱効果が低い。そのため、キャピラリーアレイヘッド107近傍は高温になる。その結果、キャピラリーアレイヘッド107近傍のキャピラリー101内部のポリマー溶液及び検出平面109と検出窓306の間に形成された流路内のポリマー溶液が沸騰し、気泡が発生することがある。このような状態に陥ると、電気泳動の性能が著しく低下するだけでなく、蛍光検出を行うことが出来なくなる。そこで本実施例では、電気泳動時にキャピラリーアレイヘッド107で発生するジュール熱の効果的な除去を目的とする。
本実施例において、キャピラリーアレイヘッド107以外の構成は、実施例1又は実施例2と同等である。キャピラリーアレイヘッド107近傍の斜視図を図10に示す。キャピラリーアレイヘッド107は、5本のキャピラリー101が実質的に平面状に配列されて形成されたキャピラリー配列112が4組、固定冶具106、接着剤108、及び5枚の金属板113で形成されている。4組のキャピラリー配列112と金属板113は、交互に、かつ互いに実質的に平行に配列されている。固定冶具106並びに接着剤108の材質は実施例1と同等である。固定冶具内の金属板113とキャピラリー101以外の隙間は、接着剤108で満たされている。金属板113は、図10において、固定冶具106の下側に検出平面109から突出しないようにし、固定冶具106の上側に突出するように配置する。本実施例では、金属板113にアルミ材を使用したが、検出平面109に接するポリマー溶液から金属板113への電気の流れを防ぐため、アルミ材の周りをポリイミドでコーティングした。金属板113の材質としては、電気伝導度が低く、熱伝導度の高いセラミックスを使用しても良い。固定冶具106上部において、5枚の金属板113はすべて2枚のヒートシンク114にはさまれるように接続されている。電気泳動時に、キャピラリー101から発生するジュール熱は、金属板113を介してヒートシンク114より空気中に放散される。
本実施例により、電気泳動時にキャピラリー101内から発生するジュール熱を効果的に除去でき、検出平面109に接する流路内のポリマー溶液からの気泡の発生を抑え、安定した電気泳動と蛍光検出を行うことができる。同時に解析するキャピラリーの本数の増加、キャピラリー101への印加電圧を高くした時には、キャピラリーアレイヘッド107において発生するジュール熱量はより多くなる。そのため、本実施例は特に上記のような条件において、上記気泡の発生を抑制する上で非常に効果的である。
本実施例では、電気泳動時にキャピラリー101内から発生するジュール熱の除去方法としてヒートシンク114を使用したが、ヒートシンク114の代わりとして、ペルチェを金属板113に取り付け、キャピラリーアレイヘッド107の近傍の温度コントロールをしても良い。これにより、上記ジュール熱の効果的な除去以外に、キャピラリーアレイヘッド107近傍における各キャピラリー101内のポリマー溶液の温度が安定するため、外気温の影響を受けずに、常に安定した電気泳動結果が得られる。
(実施例4)
実施例1におけるキャピラリー101へのレーザ照射方法では、図4に示すキャピラリー101のレーザ光軸からの距離のばらつきが、各キャピラリー101へのレーザ照射効率に大きく影響しうる。
本実施例では、上記キャピラリーばらつきに関係なく、すべてのキャピラリーに同じレーザ強度で照射することを目的とする。
本実施例において、図4に示すキャピラリー101の照射位置及び照射方法以外は、実施例1又は実施例2と同等である。キャピラリーのレーザが照射されるレーザ照射位置近傍は、各キャピラリーが実質的に平行かつ実質的に平面上に配列されている。ここでキャピラリーが互いに実質的に平行であるとは、精度誤差程度に収まる程度の平行度であることを指す。またここでの平面とは、精度誤差程度に収まる程度の平面性を有するものを指す。レーザ光源から発振したレーザをビームエキスパンダーによって広げ、シリンドリカルレンズによってライン状に収束させ、上記キャピラリーの配列面と垂直方向からすべてのキャピラリーを同時に照射する。これにより、上記キャピラリーのばらつきに関係なく、すべてのキャピラリーにほぼ同じレーザ強度で照射することが可能となる。
上記キャピラリーへのレーザ照射の別な方法を以下に示す。レーザ光源から出たレーザ光を、ミラーで反射させ、対物レンズにより集光させ、キャピラリーのレーザ照射位置に照射させる。上記ミラーと対物レンズは駆動ユニットを構成し、各キャピラリーが並んでいる配列方向と同方向に高速往復駆動することが出来るため、各キャピラリーをレーザで次々とスキャン照射可能となる。このレーザ照射方法でも上記同様の効果が得られる。
(実施例5)
キャピラリーアレイ電気泳動装置における多数本のキャピラリーを同時にレーザ照射する方式として、レーザ光源から出射したレーザ光をビームエキスパンダー等で拡げてキャピラリーへ照射する方法(エキスパンド方式)がある。この方式では、例えば、キャピラリーの外径150μm、内径50μm、照射するキャピラリー本数20本の場合、キャピラリー1本あたりの照射効率は約1.7%となる。一方、各キャピラリーを平行かつ平面上に配列し、レーザビームを、各キャピラリーが配列する平面の側面方向より、照射する方式がある(マルチフォーカス方式)(非特許文献2)。この場合、前述した例と同条件では、キャピラリー1本あたりの照射効率は50%程度となる。前記キャピラリー配列の幅は3mm以上であり、一度に集光する視野範囲が広くなるため、F値1.4程度のカメラレンズを用いて試料の蛍光を集光する。レンズの集光効率は1/(16×F)で求められ、F値1.4の場合には3.2%程度となる。試料から発する蛍光をCCDカメラのような検出器で受光する際の効率は、照射効率×レンズの集光効率で求められる。キャピラリー1本あたりの効率は、エキスパンド方式で0.054%、マルチフォーカス方式で1.6%程度になる。
本実施例では、照射効率が高いマルチフォーカス方式で、かつ受光効率がより高くすることを目的とする。
図11にレーザ照射並びに検出方式を示す。本実施例では、使用するキャピラリー、キャピラリー始端部近傍及び検出部以外は実施例1と同等である。キャピラリー101は石英製で外表面は低屈折率のフッ素系樹脂でコーティングがなされ、全長40cm、外径150μm、内径50μmであるものを用いる。キャピラリー内には、電気泳動分離媒体である架橋ゲル(ポリアクリルアミドゲル)が充填されている。分離媒体として、流動性ポリマー溶液を使用しても良い。各キャピラリー101の終端部103の端面より10cmの位置をレーザ照射位置とし、その部分のキャピラリーのフッ素系樹脂コーティングを除去してある。20本のキャピラリー101のレーザ照射位置を並べ、キャピラリー配列を形成する。各キャピラリー101は互いに平行に配列され、各レーザ照射位置が各キャピラリー101と垂直で、かつ一直線上に配列されている。
アルゴンイオンレーザー光源200から発振したレーザ光202は、各キャピラリー101に垂直になるように調節されてキャピラリー配列に照射される。上述したように、本照射方式ではキャピラリー1本あたりの照射効率は50%程度となる。
終端部103は、大きさ0.75mm×0.6mm、5×4の格子状に配列されており、蛍光検出領域が非常に小さくなり、蛍光を集光するレンズを例えば対物レンズのようなF値の小さいものが使用可能となる。終端部103は、緩衝液(3700 buffer、Applied Biosystems社)で満たされた緩衝液槽502に浸されている。緩衝液槽を分離媒体と同じ架橋ゲルで満たしても良い。また、流動性ポリマーで満たしても良い。キャピラリー終端部103の端面から出射された蛍光は、緩衝液を介し、緩衝液槽502の下方向から、第1対物レンズ308(倍率20倍、開口数0.75、作動距離1mm)、光学フィルター303、第2対物レンズ309(倍率20倍、開口数0.75、作動距離1mm)、256×256画素の2次元CCDカメラ300で構成される検出部307によって検出される。
試料からの蛍光以外の、蛍光や散乱光を減らすため、緩衝液槽502の底面の材料は無蛍光の石英ガラスとする。緩衝液槽502の底面の材料として、背景光や励起光を除外できる光学フィルターを使用しても良い。本実施例ではキャピラリー終端部103の端面から緩衝液槽502の底面までの距離を0.1mmになるよう調整し、また緩衝液槽の底面の板厚を0.5mmとして、第一対物レンズの作動距離1mmよりも小さくした。
各キャピラリー101内を電気泳動する試料は、キャピラリー101のレーザ照射位置においてレーザ照射される。レーザ照射により、試料に標識された蛍光体が励起され、その蛍光の一部はキャピラリー101の内表面で全反射してキャピラリー101内部を伝播し、キャピラリー終端部103の端面より出射する。出射した蛍光は、緩衝液を介し、緩衝液槽502下方向から、第一対物レンズ308により平行光束とされ、光学フィルター303により背景光及び励起光が除外され、第二対物レンズ309により2次元CCDカメラ300上に結像される。光学フィルター303と第二対物レンズ309の間に回折格子やプリズムを入れ、キャピラリーより出射された蛍光を分光して検出しても良い。第一対物レンズ308とキャピラリー終端部103の端面の距離は1mmとした。対物レンズの集光効率は、1/{16×(1/(2×開口数))}であるため、本実施例におけるレンズの集光効率は約14%となる。そのためキャピラリー1本あたりの試料から発する蛍光の検出器における受光効率は7%となり、本実施例により電気泳動装置を非常に高感度にすることが可能となる。
(実施例6)
キャピラリーの末端から蛍光を計測する特許文献2におけるキャピラリーへのレーザ照射方式は、実施例5で述べたエキスパンド方式である。外径150μm、内径50μmのキャピラリー100本を同時計測する場合、キャピラリー1本あたりの照射効率は約0.33%程度になる。
本実施例は、100本のような多数本のキャピラリーを照射効率を高くし、高感度に同時計測することを目的とする。
本実施例において、使用するキャピラリー、キャピラリー始端部近傍の構造以外は実施例1と同等である。図12にレーザ照射及び検出方式を示す。本実施例では、100本のキャピラリーを同時に電気泳動分析する方法について説明する。100本のキャピラリーが束ねられ、キャピラリーアレイ101aを形成している。各キャピラリー101は石英製で外表面は低屈折率のフッ素系樹脂でコーティングがなされ、全長40cm、外径150μm、内径50μmであるものを用いる。キャピラリー内には、電気泳動分離媒体である架橋ゲル(ポリアクリルアミドゲル)が充填されている。分離媒体として、流動性ポリマー溶液を使用しても良い。各キャピラリー101の終端部103の端面より10cmの位置をレーザ照射位置とし、その部分のキャピラリーのフッ素系樹脂コーティングを除去してある。それぞれ20本ずつのキャピラリー101のレーザ照射位置を並べ、5組のキャピラリー配列を形成する。レーザ照射位置では、各キャピラリー101が互いに平行に配列され、各レーザ照射位置が各キャピラリー101と垂直で、かつ一直線上に配列されている。アルゴンイオンレーザー光源200から発振したレーザ光202は、ビームスプリッタ206及びミラー207によって5本に分割され、5組のキャピラリー配列を側面から照射する。各レーザビーム202は、各キャピラリー101に垂直になるように調節されてキャピラリー配列に照射される。終端部103は、大きさ6mm×6mm、20×5の格子状に配列されている。終端部103は、緩衝液(3700 buffer、Applied Biosystems社)で満たされた緩衝液槽502に浸されている。緩衝液槽を分離媒体と同じ架橋ゲルで満たしても良い。また、流動性ポリマーで満たしても良い。キャピラリー終端部103の端面から出射された蛍光は、緩衝液を介し、緩衝液槽502の下方向から、検出部307によって検出される。
本実施例により、キャピラリー1本あたりの照射効率は10%程度となり、エキスパンド方式に比べ30倍程度の照射効率を得ることができ、また100本という多数のキャピラリーを1つの2次元検出器で検出できるため装置構成が非常に容易になる。
従来のキャピラリー電気泳動装置の概観を示す図。 従来のゲル注入機構を有するキャピラリー電気泳動装置の概観を示す図。 従来のポリマー充填ブロックの断面を示す図。 本発明による全自動キャピラリー電気泳動装置の一例の概観を示す図。 本発明の実施例1におけるキャピラリーアレイ終端部近傍の斜視図。 本発明の実施例1におけるポリマー充填ブロックの断面を示す図。 本発明の実施例1におけるポリマー充填ブロック内にある検出窓の斜視図。 本発明の実施例2におけるポリマー充填ブロック並びに検出ブロックの断面を示す図。 本発明の実施例2におけるキャピラリーアレイヘッドの断面を示す図。 本発明の実施例3におけるキャピラリーアレイ終端部近傍の斜視図。 本発明の実施例5におけるレーザ照射領域と検出領域近傍の斜視図。 本発明の実施例6におけるレーザ照射領域とキャピラリー終端部近傍の斜視図。
符号の説明
1…キャピラリー
2…レーザ光
3…ガラス平面版
4…第1レンズ
5…像分割プリズム及び組み合わせフィルター
6…第2レンズ
7…2次元CCDカメラ
101…キャピラリー
101a…キャピラリーアレイ
102…始端部
103…終端部
104…レーザ照射部
105…キャピラリー検出端面
106…固定冶具
107…キャピラリーアレイヘッド
108…接着剤
109…検出平面
110…ネジ
111…フェラル
112…キャピラリー配列
113…金属板
114…ヒートシンク
200…レーザ光源
202…レーザビーム
206…ビームスプリッタ
207…ミラー
300…2次元CCDカメラ
301…第一カメラレンズ
302…第二カメラレンズ
303…光学フィルター
304…回折格子
305…プリズム
306…検出窓
307…検出部
308…第一対物レンズ
309…第二対物レンズ
400…ポリマー充填ブロック
400a…ポリマー充填ブロック側面
401…シリンジ
402…バルブ
403…流路
404…ポリマー充填ブロック
405…流路
406…ポリマー充填ブロック
407…検出ブロック
408…流路
409…チューブ
410…流路
501…チューブ
502…緩衝液槽
505…緩衝液槽
506…高圧電源

Claims (20)

  1. ポリマーが充填されるキャピラリーと、
    前記キャピラリーの一方の端部の近傍に設けられたポリマー収容部と、
    前記ポリマー収容部へ、及び前記ポリマー収容部を介して前記キャピラリーへ前記ポリマーを注入するポリマー注入部と、
    前記キャピラリーの他方の端部の近傍に設けられた試料収容部と、
    前記キャピラリーの前記一方の端部と前記他方の端部との間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記キャピラリーに光を照射する照射器と、
    試料から生じる蛍光を、前記ポリマー収容部を介して検出する蛍光検出手段とを有することを特徴とするキャピラリー電気泳動装置。
  2. 前記キャピラリーが複数備えられたことを特徴とする請求項1に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  3. 複数の前記キャピラリーの前記一方の端部が、実質的に平面上に並ぶことを特徴とする請求項2に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  4. 前記ポリマー収容部は、前記平面と前記蛍光検出手段との間に位置する検出窓を有することを特徴とする請求項3に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  5. 前記平面と前記検出窓の外表面との間に存在する屈折率変化境界面が前記平面と実質的に平行であることを特徴とする請求項4に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  6. 前記ポリマー収容部の近傍に設けられ、前記蛍光を検出する光学レンズをさらに有し、前記検出窓は、複数の前記キャピラリーの各々の前記一方の端部の端面を内含する領域と、前記光学レンズの開口との間に位置し、前記内含する領域に実質的に相似な形状を有するものであることを特徴とする請求項4に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  7. 前記検出窓の外部に設けられ、前記蛍光を検出する光学レンズをさらに有し、前記平面と前記検出窓の外表面との距離が、前記検出窓に最も近接する前記光学レンズの焦点距離以下であることを特徴とする請求項4に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  8. 前記検出窓の外部に設けられ、前記蛍光を検出する対物レンズをさらに有し、前記平面と前記検出窓の外表面との距離が、前記対物レンズの作動距離以下であることを特徴とする請求項4に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  9. 前記平面と前記検出窓の前記ポリマーと接する側の表面との距離が、前記キャピラリーの内径以上で、かつ20mm以下であることを特徴とする請求項4に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  10. 前記キャピラリーが前記ポリマー収容部と着脱可能であることを特徴とする請求項4記載のキャピラリー電気泳動装置。
  11. 前記検出窓の外表面に対する前記平面の位置を定める位置決め手段を有することを特徴とする請求項10に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  12. 前記距離を規定する機構が、前記検出窓に設けられたスペーサーであることを特徴とする請求項10に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  13. 前記キャピラリーの前記一方の端部が前記キャピラリー内に充填されたポリマーと同じ屈折率を持つ溶液と接触することを特徴とする請求項1記載のキャピラリー電気泳動装置。
  14. 前記ポリマー収容部は、前記検出窓以外が、遮光性の部材で覆われる、もしくは遮光性の部材で作られることを特徴とする請求項4に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  15. 複数の前記キャピラリーの光が照射される照射位置は、少なくとも一部が実質的に平面上に配列されており、前記光は、前記平面に実質的に平行な方向から、複数の前記キャピラリーの少なくとも一部に照射することを特徴とする請求項2に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  16. 複数の前記キャピラリーは、光が照射される照射位置で少なくとも一部が実質的に平面上に配列された、シートを複数形成するものであり、複数の前記シートは前記平面と実質的に平行に配置されるものであることを特徴とする請求項2に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  17. 複数の前記シートは、前記光を前記平面に実質的に平行な方向から各々照射されることを特徴とするキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  18. 複数の前記キャピラリーの前記一方の端部の近傍に、前記キャピラリーに電圧を印加することにより、前記キャピラリーの内部で発生するジュール熱を除去する機構を有することを特徴とする請求項2に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  19. ポリマーが充填されるキャピラリーと、
    前記キャピラリーの一方の端部の近傍に設けられたポリマー収容部と、
    前記ポリマー収容部へ、及び前記ポリマー収容部を介して前記キャピラリーへ前記ポリマーを注入するポリマー注入部と、
    前記キャピラリーの他方の端部の近傍に設けられた試料収容部と、
    前記キャピラリーの前記一方の端部と前記他方の端部との間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記キャピラリーに光を照射する照射器と、
    試料から生じる蛍光を検出する蛍光検出手段とを有し、
    前記ポリマー収容部では、前記キャピラリーの内部で前記ポリマーが移動する方向と実質的に垂直の方向に、前記ポリマーが導入、かつ排出されることを特徴とするキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  20. 前記ポリマー収容部に連結するキャピラリーの一方の端部から前記キャピラリーの内部へ、ポリマーを充填する工程と、
    前記キャピラリーの他方の端部から、前記キャピラリーの前記一方の端部へ、試料を電気泳動する工程と、
    前記試料にレーザを照射して生じる蛍光を、前記ポリマー収容部を介して検出する工程とを有することを特徴とするキャピラリーアレイ電気泳動方法。
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