JP2004325090A - X線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材及び保持部材の製造方法 - Google Patents

X線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材及び保持部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶のX線回折画像に悪影響を与え難く、安価で加工しやすく量産化でき、作製の自動化を可能にする被測定物の保持部材を提供する。
【解決手段】保持部材(ループ)7は、紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材であって、この保持部材7がポリエステルから成る。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、バイオテクノロジー、医学、結晶構造解析、及び微細操作が必要な産業分野等で利用されるX線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材、及び保持部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛋白質等の結晶の構造や生化学的情報を得るため、X線による結晶構造解析が盛んに行われている。被測定物である蛋白質結晶は、数μm程度の大きさの微小物体であり、このような微小物体についてX線結晶構造解析を行う場合、まず、液滴中で結晶を成長させる。そして、保持具を用いて、成長した結晶を液滴中から捕捉する。この保持具の先端にはループと呼ばれる保持部材が取り付けられている。
【0003】
ループは、例えば数十μmの太さの繊維を紐状の輪に形成したものであり、ループを形成する材料として、例えば、ナイロン、レイヨンが従来から用いられている。なお、保持部材を含めた保持具全体がループと総称されることもある。(本明細書では保持部材をループという。)このループの輪の中に液滴中の結晶を捕捉する作業は、ループ装填と呼ばれている。ループ装填後、結晶は、X線結晶回折実験に供され、X線結晶回折実験で得られたデータを基にデータ解析が行われる。
【0004】
上記のような一連の手順が踏まれるX線結晶構造解析において高スループットを目指すため、一部の手順、例えば、高分子の結晶化を行う方法の一つとして、少量の溶液で結晶化を可能にする方法等が研究されている。このような研究の従来技術として、高分子化合物を含む溶液の環境に応じて表面部分の正孔又は電子の濃度を制御できるよう価電子が制御された結晶成長方法及び結晶成長装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、他の手順、例えば、ループ内に結晶を捕捉するループ装填作業や、ループ自体の作製は、従来から手作業で行われている。従来のループ装填作業を具体的に説明すると、まず、ループにすべき綿(わた)状のナイロン、レイヨン等の材料から、1本の糸(繊維)を手作業で取り出す(紡ぎ出す)。この1本の糸(繊維)は、複数本の繊維が縒られた糸と区別するため、モノフィラメントと呼ばれる。取り出されたモノフィラメントの糸から、手作業で輪を作って結ぶまたは縒ることによりループを作製し、保持具の先端に取り付ける。
【0006】
次に、結晶が中に形成されている液滴を顕微鏡等のテーブル上に載置する。載置された液滴を人間が顕微鏡で観察しつつ、手作業でこの液滴中にループを挿入する。液滴中の結晶をループの輪の中(ループ内)に入れることができたら、そのままループを持ち上げる等して、ループを液滴中から離隔する。すると、液体の表面張力により、結晶はループ内に保持されたまま捕捉(ループ装填)される。その後、結晶が装填されたループは、ループごと液体窒素中に挿入して凍らされ、X線結晶回折実験に使用される。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−007498号公報(第2頁、第12図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記蛋白質等の結晶構造解析の高スループット化を実現するためには、手順の一つである結晶のループ装填に使用される保持部材、即ち、ループの作製についても、自動化して作業効率を高めることが不可欠である。
【0009】
また、ループ装填された被測定物である結晶をX線結晶回折実験に供する場合、結晶と共にループ自体もX線照射下に置かれる。したがって、ループを構成する物質がX線回折パターンにおいてノイズとして現れると、結晶自体のX線回折パターンの解析に支障をきたす。このため、ループとして用いられる材料(物質)に要求される条件として、X線の吸収又は散乱を少なくするため、ループを構成する物質に重い元素が含まれないこと等が要求される。同様の要求は、X線を利用した顕微鏡において、結晶等の被測定物を保持する保持部材や、X線透過部に置かれる部材についても求められるものである。さらに、X線結晶回折実験において結晶を安定に保持できるよう、また、結晶を好適にループ装填できるよう、ループを構成する物質にある程度の強度も必要である。
【0010】
本発明は、上記に鑑み、結晶のX線回折画像に悪影響を与え難く、安価で加工しやすく量産化できるX線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材を実現することを課題とするものである。
【0011】
また、本発明は、保持部材の作製の自動化を可能にして作業効率を高めることができる保持部材の製造方法を実現することを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、X線を利用した顕微鏡の、被測定物を保持するための保持部材であって、該保持部材がポリエステルから成ることを特徴とする被測定物の保持部材を提供する。
【0013】
また、本発明は、X線を利用した顕微鏡の、X線透過部に置かれる部材であって、該部材がポリエステルから成ることを特徴とする部材を提供する。
【0014】
また、本発明は、紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材であって、該保持部材がポリエステルから成ることを特徴とする被測定物の保持部材を提供する。
【0015】
また、本発明は、紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、ポリエステルから成る紐状部材を準備し、該紐状部材で輪を作製することにより、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、ポリエステルから成る紐状部材を準備し、該紐状部材を棒状部材に巻き付けて輪を作製し結んだ後、該紐状部材を切断する動作を、少なくとも1回以上行い、前記棒状部材を引き抜くことにより、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、ポリエステルから成るシート状部材上にレジストを塗布し、前記紐状の輪のパターンが描かれたマスクを用いて、露光により前記レジストに前記パターンを転写し、転写された前記パターンを保護マスクとして前記シート状部材をエッチングし、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、紐状の輪に形成された、先端が薄刃状の型を、ポリエステルから成るシート状部材の上に押し当てて切るように打ち抜くことにより、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る、X線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材、及び、保持部材の製造方法の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。本発明は、まず、被測定物として、例えば蛋白質結晶等の数μm程度の微小物体を捕捉する保持部材及びこの保持部材の製造方法を提供することである。そこで、最初に、本発明に係る保持部材の用い方、つまり、本発明の保持部材を用いて結晶等の被測定物を捕捉する原理について説明する。
【0020】
被測定物の一例として、蛋白質の構造をX線回折実験により解析する場合、まず、蛋白質結晶を作る必要があり、蛋白質結晶は液滴中で形成する。具体的には、液滴中に所定の濃度の蛋白質を混ぜて、蛋白質結晶(以下、単に結晶ということもある。)を成長させる。結晶を成長させるときの液滴によって、液滴の粘度が決まってくる。結晶が成長すると、その結晶を含む液滴中から結晶を保持部材(ループともいう。)で捕捉する。X線回折実験に供するためである。
【0021】
図1は、本発明に係る保持部材を用いて被測定物を捕捉する原理を説明する図である。ここでは、被測定物として結晶1を例に挙げて説明する。結晶1が含まれる液滴2は、基台3上の所定の位置に載置されている。液滴2は所定の濃度を有する。液滴2の近傍には、本発明の保持部材(ループ)7が支持部材5に装着されて構成される保持具6が示されている(図1(a))。本発明のループ7は、紐状の輪に形成されたポリエステルから成る。
【0022】
この保持具6を用いて、液滴2中の結晶1をループ7内に捕捉する。具体的には、ループ7を液滴2中に挿入し、液滴2中の結晶1をループ7の輪の中8に入れる(図1(b))。次に、ループ7の輪の中8に結晶1を入れた状態で、ループ7を上方へ持ち上げる等して、液滴2中から離隔する。このとき、結晶1の周囲に残った液体2aの表面張力により、結晶1はループ7内に保持され、液滴2中から離隔される。(ループ装填される)(図1(c))。
【0023】
(実施例1)
本発明に係る被測定物の保持部材及び保持部材の製造方法を実施例に基づいて図面を参照して説明する。図2は、本発明に係る被測定物の保持部材であるループ7及びループ7が取り付けられて成る保持具6を示す模式的な図である。保持具6は、土台9上に設けられた棒状の支持部材5の先端にループ7が取り付けられて構成される。ループ7は、紐状の輪として形成されたものである。
【0024】
本実施例のループ7の輪は略楕円形状であって、この輪の大きさは、例えば、縦(y)方向の最大の長さが約450μm、横(x)方向の最大の長さが約240μmである。ループ7の太さ、つまりループ7の断面の直径Dは、例えば、27〜36μmである。なお、上述したループ7の輪の大きさ及びループの太さは、一例を示したものであり、保持すべき結晶1(図1参照)の大きさに合わせて適宜変更される。
【0025】
本発明で注目すべき点は、ループ7がポリエステルから成ることである。ポリエステルは、従来からループとして用いられている材料であるナイロンやレイヨン等と同等又は同等以上に、X線の吸収及び散乱が少なく、X線結晶回折実験で得られたX線回折パターン画像においてノイズが減らせる等の利点を有する。また、ポリエステルから成るモノフィラメントの糸(繊維)の太さ、つまり、断面直径は、40μm以下で種々の太さのものがある。さらに、このようなモノフィラメントの糸は、数km以上の長さの製品(モノフィラメント製品)として、市場に存在する。なお、ここでいうモノフィラメントとは、本明細書で既に述べたように、1本の繊維から成る糸を言い、複数本の繊維が縒られてできた糸と区別する概念である。また、ポリエステルは、従来から用いられているレイヨン等の材料に比べて安価である。さらに、モノフィラメント製品のポリエステルは、適度な強度を有するため、所定の粘度を有する液滴2中で結晶1を捕捉する(図1参照)のに最適である。
【0026】
従来のナイロン、レイヨン、石英ガラスのような材料では、上記したようなモノフィラメント製品が存在しなかったことと比べると、モノフィラメント製品として存在するポリエステルの特性に着眼し、本発明は、X線結晶回折実験を行うために必要な、結晶等の被測定物の保持部材(ループ)7をポリエステルで形成するものである。
【0027】
特に、ループ7は、ポリエステルの一種であるポリエチレンテレフタレートから形成されることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは、いわゆるPETボトルと呼ばれて汎用されている食品用等の容器の材料として用いられており、安価で容易に入手することができる。また、ループ7は、ポリエチレンテレフタレートと性能が類似するポリエステルの他の一種、例えばポリブチレンテレフタレートで形成することもできる。
【0028】
また、上記のようなモノフィラメント製品として存在するポリエステルで、本発明の保持部材、即ち、ループを形成することにより、従来から手動で行われていたループ作製の自動化を図ることができる。
【0029】
上記モノフィラメント製品として存在するポリエステルが持つ利点を、X線結晶回折実験等のX線を利用した顕微鏡において、さらに利用することも可能である。例えば、X線結晶回折実験において、結晶を観察表示するためにCCDカメラが取り付けられる。このCCDカメラをX線から保護するため、金属の遮蔽板が結晶後部付近に載置される。この遮蔽板を支える支持棒(X線透過部に置かれる部材)も、従来は金属で形成されていたため、X線回折画像にこの支持棒による余分な陰が映ってしまい、結晶の回折画像が見にくい。
【0030】
そこで、上述の支持棒の代わりに、X線透過部に置かれる部材として、本発明のポリエステルから成る部材を用いる。具体的には、本発明で用いられるモノフィラメント製品のポリエステルの糸で上記遮蔽板をつり下げる等して支持する。ポリエルテルは、X線の吸収又は散乱が少なく、X線回折画像に悪影響を及ぼし難いため、撮影された結晶のX線回折画像には余分な陰がわずかしか映らない。
【0031】
次に、本発明の実施例に係る保持部材(ループ)の製造方法について説明する。図3〜図5は、本発明の保持部材の製造方法について示す模式的な図である。図3は、本発明の第1実施例に係る保持部材(ループ)の製造方法を示す模式的な図である。モノフィラメント製品として存在するポリエステルの紐状部材である糸22を、作製したいループの輪の長さと同じ長さの円周を周囲に持つ棒状部材21に巻き付けて輪を形成する。そして、例えば閉じ結びにより、結び目23を作って糸22を結んだ後、この糸22を切断する。この操作をミシン等の機械を用いて繰り返し行うことにより、図3に示されるように、棒状部材21の周囲に、輪に形成された糸22から成るループ27が複数作製される。その後、棒状部材21を矢印24で示す方向に引き抜くと、複数のループ27が同時に完成する。
【0032】
なお、本実施例では、一旦糸22を結ぶと輪の大きさが固定される閉じ結びにより結び目23を作ったが、結び目を作った後一方の糸22を引っ張ると輪の大きさを変えることができる片結びにより、結び目23を作れば、ループ27が完成した後に、このループ27の輪の大きさを変更することができる。
【0033】
また、例えば手作業で、糸22で輪を作製して結ぶことにより、ループ27を形成することもできる。
【0034】
図4は、本発明の第2実施例に係る保持部材(ループ)の製造方法を示す模式的な図である。この製造方法では、例えば、作製したいループの太さ(ループの断面直径)とほぼ同じ厚さを持つポリエステルから成るシート状部材31を準備する。そして、このシート状部材31上にレジスト32を塗布する。次に、作製したいループと同じ太さ及び同じ輪の大きさを有する、紐状の輪のパターン33aが描かれたマスク33を、レジスト32が塗布されたシート状部材31の上方に載置する。このマスク33を用いて、例えば光34を照射することにより露光して、レジスト32に紐状の輪のパターン33aを転写する(図4(a))。
【0035】
次に、現像処理により、光の当たった部分のレジスト32aを除去する(図4(b))。そして、紐状の輪のパターン33aが転写されたレジスト32を保護マスクにして、その下にあるシート状部材31を溶剤に浸ける等してエッチングする(図4(c))。不要となったレジスト32を離剥すれば、紐状の輪に形成されたループが完成する。
【0036】
なお、本実施例では、光の当たった部分のレジストが除去されたが、光の当たらなかった部分のレジストを除去する製造方法を用いてもよい。
【0037】
図5は、本発明の第3実施例に係る保持部材(ループ)の製造方法を示す模式的な図である。この製造方法では、作製したいループと同じ太さ及び同じ輪の大きさを有する、紐状の輪に形成された型44を準備する。図5(a)に、型44の平面図が示されている。紐状の輪に形成された型44の先端部44aは、薄刃状になっている。
【0038】
次に、例えば、作製したいループの太さ(断面直径)とほぼ同じ厚さを持つポリエステルから成るシート状部材41を土台42上に載置する。そして、矢印45で示されるように、型44をシート状部材41に押し当てる(図5(b))。図5(b)では、型44及び型44を押し当てるべきシート状部材41の側面図が示されている。型44の先端部44aが薄刃状になっているので、シート状部材41に型44を押し当てると、シート状部材41を切断しつつ打ち抜くことができる。薄刃状の型44をシート状部材41に押し当てて、シート状部材41を切るように打ち抜くので、約10μm〜数十μmという微細な太さ(断面直径)を有するループであっても精密に作製することができる。
【0039】
次に、本発明に係る被測定物の保持部材について説明する。図6(a)、(b)は、それぞれ本発明に係る被測定物の保持部材51、71の実施例を示す模式的な斜視図である。保持部材51、71は、X線を利用した顕微鏡において、測定されるべき被測定物を保持する。本発明の特徴は、保持部材51、71が共にポリエステルから成ることである。
【0040】
図6(a)に示される実施例の保持部材51は、板状に形成され、上面51aに凹所51bを有する。この凹所51bには、被測定物として粉末状の試料(粉末試料)52が挿入される。具体的には、平らな板53上に盛られた粉末試料52を保持部材51の凹所51bに矢印54で示されるように挿入する。そして、凹所51bに挿入された粉末試料52の上から平らな板53で押さえ、さらに、平らな板53の上から手で軽く粉末試料52を押圧(圧縮)する。この圧縮により、矢印55で示されるように粉末試料52を固めて、保持部材51の凹所51bに保持する。
【0041】
図6(b)に示される実施例の保持部材71は、中が空洞の細長い筒状に形成される。筒状の保持部材71の中の空洞内には、被測定物である結晶等の試料72が封じ込められて保持されている。つまり、筒状に形成された保持部材71の両端部71aが、ワックス又はエポキシ樹脂等の密閉材74で密閉されることより、試料72が保持部材71内に封じ込められる。なお、筒状の保持部材71の空洞内には、試料72が乾燥して壊れるのを防ぐための乾燥防止用溶液が、試料72と共に封入されている。
【0042】
図6を参照して上述したように、被測定物である試料52、72を保持するための保持部材51、71をポリエステルから形成するので、保持部材51、71に保持された試料52、72をX線を利用した顕微鏡で測定する場合に、保持部材51,71自体は、X線の吸収又は散乱が少ない。したがって、被測定物の撮影画像(例えば、X線回折画像)に悪影響を及ぼし難く、撮影画像に余分な陰がわずかしか映らない等の利点を有する。
【0043】
なお、図6に示される保持部材51、71は、実施例に過ぎず、X線を利用した顕微鏡の、被測定物を保持するさまざまな形態の保持部材に本発明が適用される。
【0044】
以上、本発明に係るX線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材及び保持部材の製造方法の実施形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上の構成から成る本発明に係るX線を利用した顕微鏡の部材、被測定物の保持部材、及び保持部材の製造方法によると、結晶のX線回折画像に悪影響を与え難く、さらにはX線回折画像に映るノイズを減らすことができ、安価で加工しやすく量産化できると共に、保持部材の作製の自動化を可能にして作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る保持部材を用いて被測定物を捕捉する原理を説明する図である。
【図2】本発明に係る被測定物の保持部材(ループ)及びループが取り付けられた保持具を示す模式的な図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る保持部材、即ち、ループの製造方法を示す模式的な図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る保持部材(ループ)の製造方法を示す模式的な図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係る保持部材(ループ)の製造方法を示す模式的な図である。
【図6】本発明に係る被測定物の保持部材51、71の実施例を示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
1 結晶
2、2a 液滴
3 基台
5 支持部材
6 保持具
7 保持部材(ループ)
8 輪の中
9 土台
21 棒状部材
22 糸
23 結び目
24 矢印
27 ループ
31、41 シート状部材
32 レジスト
33 マスク
33a パターン
34 光
42 土台
44 型
44a 先端部
45、54、55 矢印
51、71 保持部材
51a 上面
51b 凹所
52、72 試料
53 板
71a 両端部
73 乾燥防止用溶液
74 密閉材

Claims (7)

  1. X線を利用した顕微鏡の、被測定物を保持するための保持部材であって、
    該保持部材がポリエステルから成ることを特徴とする被測定物の保持部材。
  2. X線を利用した顕微鏡の、X線透過部に置かれる部材であって、
    該部材がポリエステルから成ることを特徴とする部材。
  3. 紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材であって、
    該保持部材がポリエステルから成ることを特徴とする被測定物の保持部材。
  4. 紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、
    ポリエステルから成る紐状部材を準備し、該紐状部材で輪を作製することにより、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法。
  5. 紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、
    ポリエステルから成る紐状部材を準備し、
    該紐状部材を棒状部材に巻き付けて輪を作製し結んだ後、該紐状部材を切断する動作を、少なくとも1回以上行い、
    前記棒状部材を引き抜くことにより、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法。
  6. 紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、
    ポリエステルから成るシート状部材上にレジストを塗布し、
    前記紐状の輪のパターンが描かれたマスクを用いて、露光により前記レジストに前記パターンを転写し、
    転写された前記パターンを保護マスクとして前記シート状部材をエッチングし、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法。
  7. 紐状の輪に形成される、液滴中の被測定物を捕捉するための、X線回折顕微鏡で利用される保持部材の製造方法であって、
    紐状の輪に形成された、先端が薄刃状の型を、ポリエステルから成るシート状部材の上に押し当てて切るように打ち抜くことにより、前記保持部材を前記紐状の輪に形成することを特徴とする保持部材の製造方法。
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