JP2004325057A - 可燃物の受け入れ供給方法およびその装置並びにガス化溶融システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】破砕機32で破砕された可燃物をピット10に貯留し、ピット10に貯留された可燃物をガス化炉80へ供給することにより、予備破砕機を備えることなく、破砕された可燃物のガス化炉80への安定供給を行うことができる可燃物の受け入れ供給装置が提供され、また、該受け入れ供給装置を備えることにより運転効率の良い流動床式ガス化溶融システムが提供される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみや産業廃棄物或いは、バイオマスといった可燃物をガス化し、生成したガスとチャー(固定炭素)を溶融炉へ送り高温で燃焼させ、灰分を溶融するガス化溶融システムの可燃物の受け入れ供給に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ごみや産業廃棄物或いは、バイオマスや医療廃棄物等の廃棄物をガス化溶融システムにより、ガス化(熱分解)し、該ガス化された生成ガス、チャー及び灰分を溶融炉に導入し高温燃焼させ、灰分を溶融する方法が用いられている。
【0003】
ガス化溶融システムとしては、例えば、流動床ガス化溶融システムがある。ガス化炉では、層内温度を比較的低温とすることにより、安定的に熱分解ガス及び熱分解残渣を溶融炉に供給し、溶融炉における燃焼条件を安定化させて、溶融炉の温度を灰分のスラグ化に必要な温度以上に安定して維持する。このことにより、スラグは安定して排出され、スラグの質が安定したために重金属の溶出は充分に抑制され、更に、異常な高温を生じることがないため、溶融炉耐火物の寿命を延ばすことができる。
【0004】
しかしながら、ガス化炉に供給される、可燃物の質・量の変動により、ガス化炉で生成する生成ガスが変動するため、低空気比では不完全燃焼を生じたり、可燃物の熱量による自己熱溶融が行われないことがあった。
【0005】
このため、供給設備において破砕等の前処理を行い、ガス化炉に供給することが行われるが、可燃物である廃棄物が異物を含んでいるため、破砕機で定量的な処理が行えなくなったり、破砕機の損傷により、補修の必要が生じ、安定的にガス化炉に可燃物を供給することができなくなることがあった。特に、高温の燃焼により灰分を溶融するガス化溶融システムにおいては、安定して高温を維持することが重要であり、可燃物のガス化溶融システムへの供給が変動したり、一時的に停止したりすると、高温を維持するために、バーナーを使用しなければならなくなり、いたずらに燃料を消費することとなる。このため、可燃物の質・量の変動を抑制し、安定的な供給が行えるシステムが求められていた。
【0006】
従来技術によるガス化溶融システムの受け入れ供給装置として、図4に示す破砕供給装置がある。このシステムでは、ごみピット10に貯留された可燃物を、各系列の破砕機32により破砕し、破砕された可燃物を、各系列のガス化炉80に供給する。破砕機の故障が生じた場合に備える為、各系列ごとに予備の破砕機を設けたり、各系列間で破砕機を共通して使用できるように供給系で切り替えられるようにすることが行なわれている。
【0007】
しかしながら、各供給系に予備の破砕機を配置する場合には破砕機の台数が多くなるだけではなく、破砕機に故障が生じた場合に予備の破砕機に切り替えが行なわれる間は、被処理物の供給が途絶える。また破砕機の設置位置が制約されるため、破砕機の保守点検や補修作業が行い難いことが多かった。
【0008】
そこで、可燃物を破砕機で破砕することが必要なものと、破砕する必要のないものとに分別し、破砕機の処理量を軽減し、破砕歯の磨耗破損等によるメンテナンス、及び、処理量の軽減に伴う異物の混入の減少による破砕機のメンテナンスの負担を減らした供給装置が提案されている。(例えば、特開平4−126914号公報参照)
【0009】
【特許文献1】
特開平4−126914号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の供給装置は、可燃物を分別する設備が必要になるなどの問題点があるので、実用化されておらず、供給装置には、依然として予備破砕機が備えられている。そこで、本発明は、予備破砕機や可燃物を分別する設備などの追加の装置を備えることなく、可燃物を安定して定量的にガス化炉に供給を行うことができる可燃物の受け入れ供給方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る、可燃物をガス化炉80においてガス化し、灰分を溶融炉において高温燃焼により溶融させるガス化溶融システムに用いられる可燃物の受け入れ供給方法は、例えば図1に示すように、ピット10で受け入れた可燃物を移送する移送工程と;前記移送工程によって移送された可燃物の全量を破砕し、該破砕された可燃物の全量をピットに戻す破砕工程と;前記ピットに戻された破砕された可燃物をガス化炉80に供給する供給工程とを備える。
【0012】
このような可燃物の受け入れ供給方法により、破砕工程に不具合が生じても、ピットに戻された破砕した可燃物をガス化炉に供給できるので、安定して定量的にガス化炉へ破砕された可燃物の供給を行うことができる。また、ピットから移送された可燃物の全量を破砕し、また、破砕した可燃物の全量をピットに戻すので、可燃物の移送ルートが単一となり、単純な構成となる。
【0013】
ここで、「移送工程によって移送された可燃物の全量を破砕し、該破砕された可燃物の全量をピットに戻す」とは、ピット10から移送された可燃物が、破砕工程以外に移送されることはなく、また、破砕工程で破砕された可燃物がピット10以外の装置へ送られることもないことを意味する。可燃物の全量を破砕といっても、破砕装置を通過するが破砕されない可燃物が存在する場合を含む。また、途中で壁などに付着して、破砕工程でピット10へ戻されない可燃物が存在してもよい。
【0014】
また、請求項2に記載の発明に係る、可燃物をガス化炉においてガス化し、灰分を溶融炉において高温燃焼により溶融させるガス化溶融システムに用いられる可燃物の受け入れ供給方法では、例えば図1に示すように、ピット10で受け入れた可燃物と、前記破砕工程によりピット10に戻された可燃物とを、ピット10内で仕切りを設けずに貯留する。
【0015】
このように構成すると、ピット内に仕切りがないので、可燃物を移送する際に、仕切りが障害となることもないし、仕切りが障害となるためにピット内の有効容量が減少したりすることもない。
【0016】
前記目的を達成するため、請求項3に記載の発明に係る、可燃物をガス化炉においてガス化し、灰分を溶融炉において高温燃焼により溶融させるガス化溶融システムに用いられる可燃物の受け入れ供給装置は、例えば図1に示すように、可燃物を受け入れるピット10と;ピット10で受け入れた可燃物を破砕し、破砕した可燃物の全量をピットに戻す破砕装置32と;ピット10で受け入れた可燃物を全量破砕装置32に移送し、更に、破砕装置32で破砕されピットに戻された可燃物をガス化炉80に供給する供給装置20とを備える。
【0017】
このように構成すると、破砕装置に不具合が生じても、ピットに戻された破砕した可燃物をガス化炉に供給できるので、安定して定量的にガス化炉へ破砕された可燃物の供給を行うことができる可燃物の受け入れ供給装置が提供される。また、ピットから移送された可燃物の全量を破砕し、また、破砕した可燃物の全量をピットに戻すので、可燃物の移送ルートが単一となり、単純な構成となる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明に係る、可燃物をガス化炉においてガス化し、灰分を溶融炉において高温燃焼により溶融させるガス化溶融システムに用いられる可燃物の受け入れ供給装置は、例えば図1に示すように、ピット10で受け入れた可燃物と、破砕装置32で破砕されピット10に戻された可燃物とを、ピット10内で仕切りを設けずに貯留する。
【0019】
このように構成すると、ピット内に仕切りがないので、可燃物を移送する際に、仕切りが障害となることもないし、仕切りが障害となるためにピット内の有効容量が減少したりすることもない。
【0020】
前記目的を達成するため、請求項5に記載の発明に係るガス化溶融システムは、例えば図3に示すように、請求項3又は請求項4に記載の可燃物の受け入れ供給装置と;前記可燃物の受け入れ供給装置から供給された可燃物を熱分解してガスと灰分を生成するガス化炉80と;前記生成したガスを燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融炉90とを備える。
【0021】
このように構成すると、可燃物の受け入れ供給装置から、破砕された可燃物が安定して定量的にガス化炉へ供給されるので、ガス化炉で安定して熱分解によりガスと灰分を生成し、溶融炉において安定して該ガスを燃焼することにより該灰分を溶融することができる。
【発明の実施の形態】
【0022】
以下に、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。先ず、図1の模式図を参照して、本発明の第1の実施の形態であるごみの受け入れ供給装置について説明する。
【0023】
ごみを受け入れるピット10は、鉄筋コンクリート等の材質で作られたプール状に形成されている。ピット10には、ごみトラックなどが走行してくるプラットフォーム16と、プラットフォーム16より低い位置に、プラットフォーム16側よりトラックからダンプされたごみを受け入れるごみ受入部11と、受け入れたごみを貯留するごみ貯留部13と、破砕されたごみを貯留する破砕ごみ貯留部12とが、1つの空間内に設けられている。ごみ受け入れ部11とごみ貯留部13と破砕ごみ貯留部12との間には、仕切り壁は設けられていない。
【0024】
プラットフォーム16に相対する側で、ごみ貯留部13と破砕ごみ貯留部12より高い位置に、ごみホッパ31が設置されている。ごみホッパ31の下端は、破砕機32に連接されている。
【0025】
破砕機32の下には、シュートが設けられ、ピット10内と連通しており、破砕機32で破砕されたごみ(破砕ごみ)が、ピット10の一方向へ戻されるように構成されている。シュートの代わりに、破砕ごみをピット10内の一方向へ移送するコンベアが設置されていてもよい。
【0026】
破砕機32からピット10へシュートを設ければ、構造が簡単になる。シュートに代えてコンベアを設置すると、破砕機32と破砕ごみ貯留部12の高さの差を小さくできるので、装置全体の高さを低くできる。また、破砕機32と破砕ごみ貯留部12の水平距離が長くても、破砕ごみを移送できる。
【0027】
ごみホッパ31とは別に、破砕ごみホッパ61が設置され、破砕ごみホッパ61の下端は、給塵機62のスクリューコンベア62aの一端に連接されている。給塵機62は、スクリューコンベア62aとスクリューコンベア駆動機62bとを備えている。
【0028】
スクリューコンベア62aの他端の下側は、供給フィーダ63を経て、ガス化炉80へ連接されている。
【0029】
ごみピット10内のごみ受入部11、ごみ貯留部13及び破砕ごみ貯留部12、ごみホッパ31並びに破砕ごみホッパ61の上部を移動する、移動クレーン20が設置される。
【0030】
図2に、ごみピット10、ごみホッパ31及び破砕ごみホッパ61の平面的な配置の構成の例を示す。ピット10、ごみホッパ31及び破砕ごみホッパ61の配置を設定することにより、ピット10内のごみ受入部11、ごみ貯留部13及び破砕ごみ貯留部12の配置が設定される。
【0031】
ここで、図2の配置図を参照して、複数系列の受け入れ供給装置を含むガス化炉システムについて説明する。図2(a)は、ごみホッパ31及び破砕機32(不図示)を2基ずつ、破砕ごみホッパ61、給塵機62、供給フィーダ63(不図示)及びガス化炉80を3基ずつ備えているガス化炉システムの配置図である。ごみは、ピット10内のごみ受入部11にダンプされ、クレーン20によりごみ貯留部13に移送され、そこで貯留される。ごみ貯留部13に貯留されたごみは、クレーン20によりごみホッパ31に送られ、破砕機32で破砕される。破砕機32で破砕された破砕ごみは、ピット10内の破砕ごみ貯留部12に戻され、そこで一旦貯留された後、破砕ごみホッパ61に移送され、給塵機62及び供給フィーダ63によりガス化炉80に供給される。破砕ごみ貯留部12は、ピット10内の破砕機32に隣接した端部に設けられる。このように、破砕機32を破砕ごみホッパ61、給塵機62、供給フィーダ63及びガス化炉80と独立して設置できるので、保守点検の場所を十分広く確保することができる。
【0032】
図2(b)に示す例では、ごみホッパ31及び破砕機32を破砕ごみホッパ61、給塵機62、供給フィーダ63及びガス化炉80の隣に設置する。この場合には、破砕ごみ貯留部12が破砕ごみホッパ61に隣接するため、ごみ及び破砕ごみを移送するクレーンの動きがより小さくなり、好ましい。
【0033】
また、破砕機32で破砕された破砕ごみは、破砕機32からピット10内の破砕ごみ貯留部12に戻され、そこで一旦貯留された後、破砕ごみホッパ61に移送されるので、ごみホッパ31及び破砕機32と破砕ごみホッパ61、給塵機62、供給フィーダ63及びガス化炉80との基数が異なっていてもよい。但し、1基の破砕機32に不具合が生じたときの影響を小さくして運転を継続するために、複数の破砕機32を備えることが好ましい。
【0034】
次に、図1を参照して、本発明の実施の形態であるごみの受け入れ供給装置の運転について説明する。ごみトラックなどは、外部から運搬してきたごみを、プラットフォーム16からごみ受入部11へダンプする。
【0035】
ごみ受入部11に受け入れたごみは、バケット21にてすくい取られる。バケット21がごみをすくい取った後、自走式駆動機23及びクレーン梁22の動きにより、ごみ貯留部13に移送し、貯留される。ごみ貯留部13に貯留されたごみは、バケット21にてすくい取られ、ごみホッパ31の上部へと移動され、ごみホッパ31上部の開口部より、該ホッパ内に投下される。
【0036】
ごみホッパ31に投入された破砕前のごみは、落下して、破砕機32に送られ、破砕される。バケット21ですくい取った破砕前のごみは、他の装置に移送されることはなく、全量が、ごみホッパ31から破砕機32へと移送される。
【0037】
破砕機32で破砕されたごみ(破砕ごみ)は、シュートにより、あるいはコンベアにより、全量がごみピット10へ移送される。すなわち、バケット21ですくい取った破砕前のごみは、全量が破砕機32で破砕され、破砕ごみの全量が破砕機32からごみピット10へ戻される。
【0038】
破砕前のごみの流路及び破砕ごみの流路が一方向であるので、流路を変える装置などを備えることがなく、装置の構成が単純化される。
【0039】
ごみピット10へ移送された破砕ごみは、移送された位置で堆積し、バケット21ですくい取ってならされることにより、破砕ごみ貯留部12を形成する。破砕ごみ貯留部12として仕切りを設けなくても、破砕ごみ同士が絡み合うことにより、貯留した山が崩れることがなく、破砕ごみは定められた場所に堆積するので、ごみピット10の1空間で受け入れても破砕前のごみと分別された状態で貯留することができる。
【0040】
破砕ごみ貯留部12に貯留された破砕ごみは、バケット21にてすくい取られる。その際、ごみ貯留部13と破砕ごみ貯留部12とが1空間に形成され、仕切り壁がないので、バケット21の移動範囲の制約によりピットの有効容量が減少することもないし、仕切り壁が障害物となってクレーン20の操業に支障を生じたりすることもない。更に、破砕ごみの量が増えても、破砕ごみ貯留部12の積み上げ高さを増したり、範囲を広げることでピット10内に貯留することができる。なお、ごみ貯留部13と破砕ごみ貯留部12との仕切り壁を設置してもよい。この場合には、破砕前のごみと破砕ごみが混じることがなく、破砕ごみに破砕前のごみが混入することがない。
【0041】
破砕ごみが破砕ごみ貯留部12に貯留されているので、破砕機32に不具合が生じ、破砕機の運転が停止されても、破砕ごみホッパ61への破砕ごみの移送以降の運転は継続される。更に、破砕機32の運転と破砕ごみホッパ61への破砕ごみの移送以降の運転とが、破砕ごみの貯留により切り離され、連続的ではないので、破砕機32の能力の余裕を給塵機62とは別途に設定することができる。すなわち、破砕機32は他の装置に比べて故障が生じ易いため、破砕機32の能力により多くの余裕を持たせることにより、貯留される破砕ごみが確保され、破砕ごみの移送以降の運転が安定的に継続される。
【0042】
また、併設して発電設備を設ける場合には、破砕機32の運転を夜間のみとし、昼間は破砕機32を停止することにより、昼間の消費電力を低減して、電力要求の大きな昼間に外部送電を増やすこともできる。
【0043】
バケット21は、破砕ごみをすくい取った後、自走式駆動機23及びクレーン梁22の動きにより、破砕ごみホッパ61の上部へと移動され、すくい取った破砕ごみを、破砕ごみホッパ61上部の開口部より、該ホッパ内に投下する。
【0044】
このように、クレーン20は、そのバケット21がごみピット10内のごみ受入部11、ごみ貯留部13や破砕ごみ貯留部12を移動でき、且つ、ごみホッパ31と破砕ごみホッパ61へ移動できるように構成されており、1の装置により、ごみピット10で受け入れたごみを破砕機32へ移送することも、ごみピット10内に貯留されている破砕ごみを給塵機62に移送することもできる。また、図2に示したように、複数系列の受け入れ供給装置を備えていても、1のクレーンで破砕前のごみ及び破砕ごみの移送を行うことができる。したがって、装置の数が少なくなる。
【0045】
破砕ごみホッパ61に投下された破砕ごみは、破砕ごみホッパ61の下部より給塵機62にて定量的に移送される。スクリューコンベア駆動機62bの回転速度を調整することにより、スクリューコンベア62aで所定量の破砕ごみを移送する。
【0046】
給塵機62により定量的に移送された破砕ごみは、供給フィーダ63を通過して、ガス化炉80へと送り込まれ、ガス化炉80で熱分解ガス化される。
【0047】
以上のように本発明に係るごみの受け入れ供給装置を用いることにより、予備破砕機を備えることなく、安定的にガス化炉80に破砕ごみを供給することができる。
【0048】
続いて、図3の模式図を参照して、本発明の第2の実施の形態であるごみの受け入れ供給装置とガス化炉80及び溶融炉90を含むガス化溶融炉100とを備える流動床ガス化溶融システムについて説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態で説明したごみの受け入れ供給装置を備える流動床ガス化溶融システムを表している。
【0049】
供給フィーダ63は、流動床ガス化炉80に連接されている。破砕ごみは、破砕ごみホッパー61を経て給塵機62から、供給フィーダ63を通って、流動床ガス化炉80内へ送られ、流動層83上へ落下する。
【0050】
流動床ガス化炉80内では、炉底に送入される流動空気aにより、流動床ガス化炉80内の炉底に設けられた空気分散板82上に、硅砂の流動層83が形成されている。破砕ごみは、この450〜650℃の温度に保持された硅砂の流動層83に落下することにより、熱せられた硅砂と流動空気aに接触して部分燃焼と熱分解が行われ、熱分解ガス及び熱分解残渣(タール、固形カーボン)を生成する。
【0051】
固形カーボンは流動層83の活発な撹乱運動により微粉砕され旋回溶融炉90に送られる。
【0052】
炉底では、不燃物が硅砂とともに、不燃物排出装置81により不図示の分級機へ送られて、不燃物を除去した後、硅砂は流動層の形成に再利用される。
【0053】
流動床ガス化炉80の生成ガスbは、旋回溶融炉90に供給される。旋回溶融炉90内で、生成ガスbは、燃焼用ガス(空気等)の供給により、1200〜1500℃の高温で燃焼する。
【0054】
旋回溶融炉90の高温燃焼場において、生成ガスb中の灰分はスラグとなり、旋回溶融炉90から排出され、不図示の移送設備により貯留場に送られる。燃焼ガスは、廃熱ボイラ92に送られ、高圧蒸気dを生成する。燃焼ガスeは、廃熱ボイラ92を出た後、空気加熱器93において、ピット10から送られてきた臭気を含む空気fを加熱し、排ガス処理系に送られる。臭気を含む空気fは、加熱された後に、流動空気aとして、流動床ガス化炉80へ送られる。
【0055】
破砕機32のメンテナンスのために、流動床ガス化炉80に破砕ごみが送られないと、流動床ガス化炉80において生成ガスbが生成されないだけではなく、旋回溶融炉90での燃焼が止まり、高圧蒸気dの生成も、ピット10の臭気を含むガスfの加熱処理も、また、流動床ガス化炉80への燃焼空気aの供給も止まることになる。
【0056】
旋回溶融炉90では、更に、高温燃焼により流動床ガス化炉80の生成ガスb中の灰分を溶融するので、安定して高温を維持することが重要である。可燃物としての破砕ごみの供給が変動したり、一時的に停止したりすると、生成ガスbの溶融炉への供給が不安定になるため、バーナーをたいて溶融炉内温度を高温に維持するため、多大な燃料を消費することにもなる。
【0057】
そこで、予備の破砕機を有していなくても、本発明によるごみの受け入れ供給装置を備えることにより、破砕ごみがごみピット10に貯留され、破砕機32に不具合が生じたときにも、ごみピット10の破砕ごみが流動床ガス化炉80に安定的に供給されるので、安定して効率的な燃焼をする流動床ガス化溶融システムが提供される。
【0058】
また、上述の通りに、ピット10から破砕機32へごみを移送し、破砕機32で破砕した破砕ごみをピット10内の破砕ごみ貯留部12に貯留し、破砕ごみ貯留部12に貯留された破砕ごみをガス化溶融炉100に供給する供給方法によれば、予備破砕機を備えていなくても、ピット10内に貯留された破砕ごみをガス化溶融炉100へ供給するので、ガス化溶融炉100において安定して効率的な燃焼をすることができる。
【0059】
これまでは、可燃物をごみとして説明してきたが、可燃物はごみに限られず、可燃物であれば、本発明に係る受け入れ供給装置を用いることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、破砕された可燃物をピットに貯留することにより、破砕機で定量的な処理が行われなくなったり、破砕機が損傷しても、ピット内に貯留された破砕物をガス化炉に供給することで安定な連続操業を継続させることができる。可燃物の供給が途切れたり、可燃物供給量が低下したりすると、灰分を溶融させる高温燃焼を行わせるために多量の補助燃料が必要となるので、本発明により破砕機の故障による補助燃料を大幅に削減することができる。また、破砕機はガス化炉への供給装置とは独立させて配置できるので、十分な保守が行えるように保守のための空間を確保することができる。同時に、破砕機の能力の余裕を給塵機とは別途に設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である可燃物の受け入れ供給装置を説明する模式図である。
【図2】可燃物の受け入れ供給装置とガス化炉の配置を説明する配置図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態である流動床ガス化溶融システムを説明する模式図である。
【図4】従来の可燃物の受け入れ供給装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
10 ピット
12 破砕ごみ貯留部
20 クレーン
31 ごみホッパ
32 破砕機
61 破砕ごみホッパ
62 給塵機
63 供給フィーダ
80 流動床炉
90 旋回溶融炉
Claims (5)
- 可燃物をガス化炉においてガス化し、灰分を溶融炉において高温燃焼により溶融させるガス化溶融システムに用いられる可燃物の受け入れ供給方法において;
ピットで受け入れた可燃物を移送する移送工程と;
前記移送工程によって移送された可燃物の全量を破砕し、該破砕された可燃物の全量を前記ピットに戻す破砕工程と;
前記ピットに戻された、破砕された可燃物をガス化炉に供給する供給工程とを備える;
可燃物の受け入れ供給方法。 - 前記ピットで受け入れた可燃物と、前記破砕工程により前記ピットに戻された可燃物とを、前期ピット内で仕切りを設けずに貯留する;
請求項1に記載の可燃物の受け入れ供給方法。 - 可燃物をガス化炉においてガス化し、灰分を溶融炉において高温燃焼により溶融させるガス化溶融システムに用いられる受け入れ供給装置において;
可燃物を受け入れるピットと;
前記ピットで受け入れた可燃物を破砕し、破砕した可燃物の全量を前記ピットに戻す破砕装置と;
前記ピットで受け入れた可燃物を全量破砕装置に移送し、更に、前記破砕装置で破砕され前記ピットに戻された可燃物をガス化炉に供給する供給装置とを備える可燃物の受け入れ供給装置。 - 前記ピットで受け入れた可燃物と、前記破砕装置で破砕され前記ピットに戻された可燃物とを、前期ピット内で仕切りを設けずに貯留する;
請求項3に記載の可燃物の受け入れ供給装置。 - 請求項3又は請求項4に記載の可燃物の受け入れ供給装置と;
前記可燃物の受け入れ供給装置から供給された可燃物を熱分解してガスと灰分を生成するガス化炉と;
前記生成したガスと灰分を燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融炉とを備えた;
ガス化溶融システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003158699A JP3909040B2 (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 可燃物の受け入れ供給方法およびその装置並びにガス化溶融システム |
Applications Claiming Priority (1)
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