JP2004323989A - 熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法および冷却装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法および冷却装置 Download PDF

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Hiroaki Ozawa
宏明 小澤
Hiroaki Tokutome
博明 徳留
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Abstract

【課題】紡出された糸条を十分に冷却し、かつ糸条の糸揺れを抑制することにより、繊度斑が小さく、強伸度積が大きく、毛羽の少ない品位良好な熱可塑性樹脂からなる繊維を操業性良好に紡糸する方法および冷却装置を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を溶融紡出し、ユニフローチムニーにより冷却風を吹き付けることで紡出した糸条を冷却固化し、次いでチムニー下部に連接する筒状のダクトを通過させた後に糸条を引き取るに際して、チムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させることで、冷却風を糸条と共にダクト下部から排出させる。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法に関するものである。さらに詳しくは、紡出された糸条を十分に冷却し、かつ糸条の糸揺れを抑制することにより、繊度斑が小さく、強伸度積が大きく、毛羽の少ない品位良好な熱可塑性樹脂からなる繊維を操業性良好に紡糸する方法および冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂からなる繊維は、衣料用途や産業用途等において幅広く用いられている。産業用途を例に取れば、タイヤコード、シートベルト、ロープ、ネット、シート、テント地、エアバッグなどに利用されている。
【0003】
産業用途に用いられる繊維は、高強度であることや繊度斑が小さいことが第一に求められる。また撚糸・製織等の高次加工性を低下させるばかりか、最終製品の外観上の欠点となり、さらには安全性に影響するため、毛羽が少ないことが求められる。
【0004】
しかしながら高強度の繊維を得る場合には、十分に延伸することが必要なため毛羽が発生しやすい。そこで繊維の製造工程において毛羽の数を計測し、得られた繊維パッケージを毛羽の個数に応じて選別し、毛羽の多い繊維パッケージを製品から除外するといった手段も用いられている。また同時に糸切れし易く操業性が一般に低い。
【0005】
外観や風合いが重視される衣料用途とは異なり、産業用途においては紡糸・延伸が比較的容易な丸断面の繊維が一般的である。しかし近年では特別な機能を持たせるため、異形断面の産業用途繊維が増えつつある。
【0006】
例えば特開2002−129444号公報(特許文献1)においては、扁平率が1.5〜8の扁平断面であるエアバッグ用原糸が開示されている。
【0007】
これら異形断面の繊維は、通常の丸断面の繊維に比べて、紡糸・冷却部における糸揺れが大きい。したがって繊度斑が大きくなり易く、また毛羽が発生し易く操業性も悪い。ここで冷却風の風速を低下させれば糸揺れは低減するが、冷却不足となるため強伸度積が低下して、高強度の繊維が得られない。つまり産業用途の異形断面繊維の製造においては、糸条を十分に冷却しながらも、糸条の糸揺れを抑制する紡糸方法が求められている。
【0008】
特開2002−180327号公報(特許文献2)では、縦型円筒状紡糸筒で、冷却風吹出し部の下流側面部に開口を有する紡糸筒を用いたポリエステル繊維の製造方法が開示されている。しかし該公報の方法では、円筒状冷却チムニーを使用しているため紡糸筒内での糸条の冷却効果が十分でなく、また紡糸筒下部における糸条と冷却風の分離が不十分なために糸揺れ低減効果がそれほど大きいものではない。
【0009】
特開平10−130944号公報(特許文献3)では、冷却風の流れを糸条の走行方向へと整流する整流部材を設けると共に、該整流部材と加熱筒上部の糸条入口とに連なる冷却風の加熱筒への導入部材を付設したポリエステル繊維の製造方法が開示されている。しかし該公報の方法は、冷却風の多くが整流板を通って下方に流れるため糸条の冷却が十分ではない。また糸条冷却後に加熱筒に導く際の、加熱筒内における随伴気流の乱れの低減を目的としたものであり、糸条と冷却風の分離がないため糸揺れ低減効果が十分ではない。
【0010】
特開平5−195307号公報(特許文献4)および特開平6−299405号公報(特許文献5)では、冷媒を供給もしくは排出する他の装置が接続されていない多孔性管による紡糸筒が開示されている。しかし該公報の方法では、積極的な冷却風の流入がないために糸条の冷却が十分ではない。
【0011】
以上のように、紡出された糸条を十分に冷却し、かつ糸条の糸揺れを抑制することにより、繊度斑が小さく、強伸度積が大きく、毛羽の少ない品位良好な熱可塑性樹脂からなる繊維を操業性良好に紡糸する方法および冷却装置は得られていなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−129444号公報
【0013】
【特許文献2】
特開2002−180327号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平10−130944号公報
【0015】
【特許文献4】
特開平5−195307号公報
【0016】
【特許文献5】
特開平6−299405号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の背景に鑑み、紡出された糸条を十分に冷却し、かつ糸条の糸揺れを抑制することにより、繊度斑が小さく、強伸度積が大きく、毛羽の少ない品位良好な熱可塑性樹脂からなる繊維を操業性良好に紡糸する方法および冷却装置を提供せんとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法は、熱可塑性樹脂を溶融紡出し、ユニフローチムニーにより冷却風を吹き付けることで紡出した糸条を冷却固化し、次いでチムニー下部に連接する筒状のダクトを通過させた後に糸条を引き取るに際して、チムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させることで、冷却風を糸条と共にダクト下部から排出させることを特徴とするものである。
【0019】
また、糸条が排出される側の端部からダクト全長の1/3〜1/10にわたって、ダクトに開口率50〜90%のスリット等の開口部を設けることにより、ダクトから排出される糸条と冷却風を分離することが好ましい。
【0020】
また糸条の引き取り速度a(m/分)、ユニフローチムニーの冷却風の風速b(m/分)、糸条の引き取り時点での単糸繊度c(dtex)が式(1)〜(2)を満足することも好ましい。
【0021】
500≦a≦2000 (1)
0.5≦b/c≦2.0 (2)
また、巻き取り後の糸条の断面形状が、扁平率1.5〜8の扁平断面であることも好ましい。
【0022】
また巻き取り後の糸条の繊度斑(U%)が0.2〜0.9%であることも好ましい。
【0023】
また、熱可塑性樹脂がポリアミドであることも好ましい。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の冷却装置は、ユニフローチムニーと、ユニフローチムニー前面の糸条走行空間を閉塞するようにユニフローチムニーを取り囲む部材と、ユニフローチムニー下部に連接した筒状のダクトからなる熱可塑性樹脂からなる繊維の冷却装置である。
【0025】
また、糸条が排出される側の端部からダクト全長の1/3〜1/10にわたって、ダクトに開口率50〜90%のスリット等の開口部を設けることにより、ダクトから排出される糸条と冷却風を分離した冷却装置であることも好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法および冷却装置について説明する。
【0027】
本発明においては、熱可塑性樹脂を溶融紡出し、ユニフローチムニーにより冷却風を吹き付けることで紡出した糸条を冷却固化し、次いでチムニー下部に連接する筒状のダクトを通過させた後に糸条を引き取るに際して、チムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させることで、冷却風を糸条と共にダクト下部から排出させることが必要である。
【0028】
図1は従来技術における紡糸から引き取り部を、ユニフローチムニーを横から見た模式図である。紡糸口金1から紡出された糸条5は、糸条の進行方向に対してほぼ垂直な方向にユニフローチムニー3から供給される冷却風4により冷却され、ユニフローチムニー3に連接するダクト6を通過した後に引き取りロール8に引き取られる。ここでユニフローチムニー3と対向する面は開口させられ、これにより冷却風4の大部分を排出する。
【0029】
ここで図2は図1のA線部の断面を示す模式図である。ユニフローチムニー3の側面側は、冷却風4が拡散しないように、また多糸条紡糸の錘区分のため、板状の部材9が取り付けられることが一般的である。なお図1では見やすくするため部材9を表示していない。
【0030】
本発明者らは前記課題について鋭意検討して冷却風の向きに着目した。そしてチムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させ、冷却風を糸条と共にダクト下部から排出させることにより、糸条の糸揺れが抑制されるとともに、糸条を十分に冷却可能になることを見いだした。
【0031】
図3は本発明における紡糸から引き取り部を、ユニフローチムニーを横から見た模式図である。ユニフローチムニー4と対向する面に閉塞部材10が取り付けられ、冷却風4は糸条5と共にダクト6の下部から排出させられる。
【0032】
ここで図4は図3のB線部の断面を示す模式図である。ユニフローチムニー3の側面側は、冷却風4が拡散しないように板状の部材9が取り付けられ、さらに板状の閉塞部材10が取り付けられ、糸条5は取り囲まれることになる。なお図3では見やすくするため部材9を表示していない。ここで部材9、閉塞部材10で囲まれた空間はその断面が正方形、長方形、台形、丸形、楕円形など単一でくびれのない形状であることが好ましい。なお本発明において、くびれのある形状とは、例えば特開平10−130944号公報(特許文献3)に見られるような整流部材が存在する場合であって、断面が単一ではなく、くびれのあるものを言い、それ以外の形状をくびれのない形状と言う。整流部材は冷却風の糸条冷却への寄与を低下させるので必要ない。
【0033】
またチムニー3と糸条5の距離、糸条5と部材9の距離、糸条5と閉塞部材10の距離は、それぞれ5〜50cmの範囲にあることが好ましい。糸条とそれを取り囲むチムニー、部材との距離が近すぎると、糸条と接触して糸切れしてしまう可能性があること、また遠すぎると、冷却効率が低下傾向にあるので、この範囲にあることが好ましいのである。
【0034】
冷却風はダクト出口まで糸条と同方向に進行するため糸揺れが生じにくい。このため繊度斑が小さく、強伸度積が大きく、毛羽の少ない品位良好な熱可塑性樹脂からなる繊維を操業性良好に得ることが可能となるのである。
【0035】
ユニフローチムニーはほぼ面状に冷却風を吹き付ける部材である。通常は平面であるが、冷却風による糸条の張り出しを考慮して、カーブした形状になっていても差し支えない。ユニフローチムニーの長さは特に制限がないが、冷却効率と設備費の兼ね合いから100〜300cmの範囲にあることが好ましい。
【0036】
ダクトはチムニーで冷却した後の糸条と周囲の空間を隔離する部材であり筒状である。ここで筒状とは、糸条を取り囲む形状を示すものであり、ダクトの断面は円形、方形など各種の形状が可能である。ダクトは、糸条が入射する側から排出する側に近づくにつれ、その断面積が漸減することが好ましい。これによりダクト内部の圧力が周囲の空間よりも高まり、ダクト下部からの冷却風の排出圧が安定になるので、糸揺れ抑制効果が高まって好ましいのである。ダクトの全長は冷却効率と設備費の兼ね合いから、100〜400cmの範囲にあることが好ましい。
【0037】
ユニフローチムニーを取り囲む部材はどのような形状であっても、どのような素材であっても可能である。しかし冷却風の乱れを防止するために、形状としては平面または曲面であることが好ましい。また紡糸口金面の状態等を観察できるように、ユニフローチムニーと対向する面の閉塞部材はガラス板やアクリル板など光透過性の素材であることが好ましい。
【0038】
また冷却風の温度はランニングコストおよび冷却効果の兼ね合いから10℃〜20℃の範囲にあることが好ましい。なお後述するように、紡糸された糸条の引き取り時点での単糸繊度に応じて、好ましい風速範囲が存在するが、およそ20〜50m/分であることが好ましい。
【0039】
本発明においては、糸条が排出される側の端部(図1、3、5におけるダクト下端)からダクト全長の1/3〜1/10にわたって、ダクトに開口率50〜90%のスリット等の開口部を設けることにより、ダクトから排出される糸条と冷却風を分離することが好ましい。ダクトに開口部を設けた部分は、図3の番号11の部分である。
【0040】
ダクトに開口部を設ける範囲と開口率を上記の範囲とすることにより、糸条と冷却風が十分に分離した状態で糸条をダクトから排出でき、また同時にダクト内部の圧力を周囲の空間よりも高く保つことにより冷却風の排出圧を安定にできるので、糸条の糸揺れ抑制効果がさらに高まり好ましいのである。
【0041】
ダクトの開口部は円形等のパンチング孔を多数開ける方法や、スリット状に開口部分を設ける方法など任意の方法が可能である。開口率が比較的小さい場合は前者が、比較的大きい場合は後者の手法をとることでダクトの加工が容易となる。
好ましくは開口率を大きく取れるのでスリット状の開口形状が好ましい。
【0042】
また、開口部分の開口率は場所によらずほぼ均一であることが好ましい。
【0043】
なお、本発明において開口率とは、開口部を設けるダクト部分の、開口部がない状態におけるダクト表面の面積に対する、全開口部の面積の総和の比率である。またダクトの長さとは、糸条入射側端部、糸条排出側端部それぞれの中心点を結んだ直線の距離である。同様にダクトに開口部を設けた距離とは、開口部を設けた部分の最も糸条入射側端部に近い部分、糸条排出側端部それぞれの中心点を結んだ直線の距離である。
【0044】
本発明においては、糸条の引き取り速度a(m/分)、ユニフローチムニーの冷却風の風速b(m/分)、糸条の引き取り時点での単糸繊度c(dtex)が式(1)〜(2)を満足することも好ましい。
【0045】
500≦a≦2000 (1)
0.5≦b/c≦2.0 (2)
図5を用いて説明すると、糸条の引き取り速度aとは、ダクト6を通過した糸条5を引き取る、引き取りローラー8の表面速度のことである。糸条の引き取り速度aが500m/分未満では、元から糸条の糸揺れが小さいために本発明の効果を発揮しにくい。また2000m/分を超えると、本発明の手段を用いても糸条の糸揺れ抑制効果がやや小さい。
【0046】
ユニフローチムニーの冷却風の風速bと、引き取り時点での糸条の単糸繊度cの関係を示す前記式(2)は、糸条の単糸繊度に応じた好ましい冷却風速範囲を示している。b/cが前記式(2)の範囲内にある場合は、糸条の冷却と糸条の糸揺れ抑制効果のバランスが良好で好ましいのである。
【0047】
なお引き取り時点での単糸繊度cが1〜15dtexの範囲にある場合、つまり単糸細繊度の場合は特に糸揺れしやすいため、本発明の効果が発揮されやすく好ましい。
【0048】
本発明においては、巻き取り後の糸条の断面形状が、扁平率1.5〜8の扁平断面であることが好ましい。本発明の効果は断面形状によらず発揮されるものである。しかし糸揺れの大きい異形断面、特に扁平率1.5〜8の扁平断面においてこそ本発明の効果が顕著であるために好ましいのである。
【0049】
ここで扁平率とは扁平断面の長軸と短軸の比で定義される、扁平程度を示す値である。扁平率は紡出され引き取られた糸条を、最終的繊維パッケージに巻き取った糸条において測定されるものである。なお、ここでいう長軸とは扁平糸条断面の最も長い部分の長さ、短軸とは長軸に直交する最も短い部分の長さである。
【0050】
ここで扁平断面とは、扁平な断面を示すものであり、楕円型、長方形型、菱形、まゆ形など任意の扁平断面であってよい。
【0051】
本発明においては、巻き取り後の糸条の繊度斑(U%)が0.2〜0.9%であることが好ましい。U%が前記の範囲内にある場合には、糸条の長手方向の均一性が良好であり、製織等の高次加工後の製品品位が特に良好で好ましい。
【0052】
本発明においては、熱可塑性樹脂は特に制限されない。例えばポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドなどが用いられるがなかでも、熱可塑性樹脂はポリアミドであることが好ましい。さらに好ましくはポリアミドがポリヘキサメチレンアジパミドであることが好ましい。ポリアミドは耐久性、耐摩耗性、耐熱性が良好なので産業用途として好ましいのである。
【0053】
特にポリヘキサメチレンアジパミドは、ポリアミドの中でも素材の価格と耐久性、耐摩耗性、耐熱性のバランスが優れるので好ましいのである。
【0054】
次に本発明の紡糸方法を用いた繊維の代表的な製造方法の一例を図5を用いて説明する。
【0055】
熱可塑性樹脂のペレットは公知のエクストルーダー型紡糸機またはプレッシャー型紡糸機で溶融される。製品の均一性および製糸工程における収率の点から前者が好ましい。特に原着ポリマーを用いる場合はエクストルーダー型紡糸機が有利である。
【0056】
溶融された熱可塑性樹脂は丸断面用、扁平断面、Y断面などの異形断面用の各種の紡糸口金1から紡出される。吐出量、冷却条件、引取り速度などの紡糸条件を考慮して、口金吐出孔の孔深度、孔径などの口金吐出孔形状が選択される。
【0057】
溶融紡出された糸条5は、次いで加熱筒2内を通過させられる。加熱筒2で高温に保持された雰囲気下を通過することにより、低配向で引き取ることが可能で高い強伸度積の繊維を得ることができる。糸条5は次いで本発明の方法によりユニフローチムニー3から吹き付けられた冷却風4により冷却固化される。冷却固化された糸条5は給油ローラー7で給油された後に、500〜2000m/分程度で引き取りローラー8に引き取られる。引き取られた糸条5は引き続いて、加熱された給糸ローラー12間で3〜10%のプレストレッチが施される。さらに加熱された第1延伸ローラー13、加熱された第2延伸ローラー14により3〜6倍の延伸が施される。延伸された糸条は次いで加熱された弛緩ローラー15にて1〜10%程度の弛緩処理を施された後に、交絡付与装置16により10〜30個/m程度の交絡が付与され、さらにワインダー17にて巻き取られ繊維パッケージ18となる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0059】
上述の説明中、および以下に述べる実施例における各物性値は、具体的には下記の方法で測定した値である。
[硫酸相対粘度]
ポリマー試料を98%硫酸に1重量%の濃度で溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
[総繊度]
JIS L−1013に準じて測定した。
[単糸繊度]
総繊度をマルチフィラメントの単糸数で除して算出した。
[引き取り時点での単糸繊度]
未延伸糸巻き取り機を用いて、引き取りローラーを通過した直後の糸条をサンプリングした。または引き取りローラーに糸条を巻き付け、巻き付き糸条をサンプルとした。得られたサンプルをJIS L−1013に準じて測定した。
[強度・伸度]
JIS L−1013に準じ、試長25cm、引っ張り速度30m/分の条件下で測定した。
[強伸度積]
得られた強度、伸度の値から次式にて算出した。
【0060】
強伸度積={強度(cN/dtex)}×{伸度(%)}1/2
[繊度斑U%]
ツェルベガー・ウースター(Zellweger USTER)社製のウースター・テスター・モニターC(USTER TESTER MONITOR C)を用いて測定した。測定はINEATモードを使用して糸条速度25m/分にて行った。
[毛羽]
繊維パッケージの重量で合計100kgとなるまで製糸を実施し、その際に弛緩ローラー後に設けた毛羽検知器を用いて毛羽個数を数えた。そして毛羽個数を、繊度を元に糸条千万m当たりの個数に換算した。
[操業性]
繊維パッケージの重量で合計1000kgとなるまで製糸を実施し、その際の糸切れ回数から相対的に評価した。
【0061】
糸切れ0回を5点、糸切れ1回を4点、糸切れ2回を3点、糸切れ3〜5回を4点、糸切れ6回以上を1点とした。
[扁平率]
巻き取った繊維パッケージから得た糸条断面を、市販のマイクロスコープを用いて、一つの単糸断面の長軸が5cm程度になるように拡大した写真を撮影した。次に写真上の単糸の長軸長さe、短軸長さfを測定して、扁平率=e/fとして算出した。
【0062】
なお任意に選んだ単糸5本の平均値とした。
[交絡数]
目視にて1m当たりの交絡数を測定した。長手方向に5回測定しその平均値として算出した。
[実施例1〜5、実施例8〜9、比較例1]
硫酸相対粘度3.8のポリヘキサメチレンアジパミド(N66)のチップを、エクストルーダータイプの紡糸機により295℃で溶融紡糸した。紡糸口金は扁平断面用で72ホールの口金を使用した。
【0063】
口金から紡出された糸条は、次いで230℃に加熱された20cm長の加熱筒を通過した後に、全長150cmのユニフローチムニーにより冷却固化された。糸条は次いで全長200cmのダクトを通過した後に、油剤付与ローラーにて油剤を付与された後に、670m/分の表面速度で回転する引き取りローラーにて巻き取られた。引き取り時点での単糸繊度は28dtexであった。
【0064】
ここでユニフローチムニーの対向する面の閉塞の有無、ダクト下部の開口範囲、ダクト開口部の開口率、冷却風の風速を表1、2に記載のように変えることでそれぞれ実施例1〜5、実施例8〜9、比較例1とした。ここでダクト下部の開口部はダクト下部の開口範囲の上から下まで開口したスリットを複数設けた形状とした。そのスリット幅とスリット間隔を変更することで開口率を変更した。
【0065】
巻き取り後の糸条の油分が0.9%となるように給油ローラーの回転数を調整した。
【0066】
引き取られた糸条は続いて50℃に加熱された給糸ローラー間で3%のプレストレッチが施された。さらに140℃に加熱された第1延伸ローラー、230℃に加熱された第2延伸ローラーにより合計4.4倍の延伸が施された。延伸された糸条は次いで150℃に加熱された弛緩ローラー間で6%のリラックスが施された。さらに交絡付与装置にて20個/mの交絡が付与された後にワインダーにてパッケージに巻き取られた。
【0067】
こうして扁平断面形状で、総繊度470dtex、単糸数72本のポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0068】
このようにして得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の扁平率、強度、伸度、繊度斑U%、毛羽、操業性を表1、2に示す。
[実施例6、7]
実施例1において、引き取りローラー速度を400m/分、冷却風の風速を47m/分、延伸倍率を5.8倍と変更した以外は実施例1と同様としたものを実施例6とした。同様に引き取りローラー速度を2100m/分、冷却風の風速を15m/分、延伸倍率を1.9倍と変更した以外は実施例1と同様としたものを実施例7とした。
【0069】
こうして扁平断面形状で、総繊度470dtex、単糸数72本のポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0070】
このようにして得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の扁平率、強度、伸度、繊度斑U%、毛羽、操業性を表1に示す。
[実施例10、11]
実施例1において、紡糸口金の吐出孔形状を変更することで、得られる繊維パッケージの繊維の扁平率1.4と変更した以外は実施例1と同様としたものを実施例10とした。同様に扁平率を8.2と変更した以外は実施例1と同様としたものを実施例11とした。
【0071】
こうして扁平断面形状で、総繊度470dtex、単糸数72本のポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0072】
このようにして得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の扁平率、強度、伸度、繊度斑U%、毛羽、操業性を表2に示す。
[実施例12、比較例2]
実施例1において、紡糸口金の吐出孔形状を丸断面用とした以外は実施例1と同様としたものを実施例12とした。また実施例12において、ユニフローチムニーの対向する面の閉塞を行わず開口し、ダクト下部の開口も行わないものを比較例2とした。
【0073】
こうして丸断面形状で、総繊度470dtex、単糸数72本のポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0074】
このようにして得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の強度、伸度、繊度斑U%、毛羽、操業性を表2に示す。
[実施例13、比較例3]
実施例1において、紡糸口金を吐出孔形状が丸断面用で144ホールのものに変更し、ポリマーの吐出量を変更して、冷却風の風速を20m/分と変更した以外は実施例1と同様としたものを実施例13とした。また実施例13において、ユニフローチムニーの対向する面の閉塞を行わず開口し、ダクト下部の開口も行わないものを比較例3とした。
【0075】
こうして丸断面形状で、総繊度350dtex、単糸数144本のポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0076】
このようにして得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の強度、伸度、強伸度積、繊度斑U%、毛羽、操業性を表2に示す。
【0077】
【表1】
Figure 2004323989
【0078】
【表2】
Figure 2004323989
【0079】
表1、2の結果から明らかなように、扁平断面の実施例1〜11は、扁平断面の比較例1と比べて、いずれも強伸度積が大きく、繊度斑U%が小さく、毛羽が少なく、操業性が良好で満足できるレベルであった。
【0080】
丸断面の実施例12は、丸断面の比較例2と比べて、強伸度積が大きく、繊度斑U%が小さく、毛羽が少なく、操業性が良好で満足できるレベルであった。ただしもともと糸揺れが小さい丸断面であるため、その差は扁平断面ほどではなかった。
【0081】
単糸細繊度の丸断面の実施例13は、単糸細繊度の丸断面の比較例3と比べて、強伸度積が大きく、繊度斑U%が小さく、毛羽が少なく、操業性が良好で満足できるレベルであった。丸断面ではあるものの糸揺れが小さい単糸細繊度のため、実施例13は比較例3に比べて顕著な効果が見られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法によれば、紡出された糸条を十分に冷却し、かつ糸条の糸揺れを抑制することにより、繊度斑が小さく、強伸度積が大きく、毛羽の少ない品位良好な熱可塑性樹脂からなる繊維を操業性良好に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ユニフローチムニーを用いた従来技術の紡糸方法をユニフローチムニーを横から見た模式図である。
【図2】図1のA線部の断面を示す模式図である。
【図3】本発明のユニフローチムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させた紡糸方法をユニフローチムニーを横から見た模式図である。
【図4】図3のB線部の断面を示す模式図である。
【図5】本発明のユニフローチムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させた紡糸方法を用い、さらに延伸、弛緩処理、交絡付与、巻き取りを経て繊維パッケージを得る方法の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:紡糸口金
2:加熱筒
3:ユニフローチムニー
4:冷却風
5:糸条
6:ダクト
7:給油ローラー
8:引き取りローラー
9:ユニフローチムニーの側面で冷却風の拡散を防ぐ部材
10:ユニフローチムニーと対向する面を閉塞する閉塞部材
11:ダクト下部の開口部を設けた部分
12:給糸ローラー
13:第1延伸ローラー
14:第2延伸ローラー
15:弛緩ローラー
16:交絡付与装置
17:ワインダー
18:繊維パッケージ

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂を溶融紡出し、ユニフローチムニーにより冷却風を吹き付けることで紡出した糸条を冷却固化し、次いでチムニー下部に連接する筒状のダクトを通過させた後に糸条を引き取るに際して、チムニーを取り囲む部材を設けて糸条走行空間を閉塞させることで、冷却風を糸条と共にダクト下部から排出させることを特徴とする熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法。
  2. 糸条が排出される側の端部からダクト全長の1/3〜1/10にわたって、ダクトに開口率50〜90%のスリット等の開口部を設けることにより、ダクトから排出される糸条と冷却風を分離することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法。
  3. 糸条の引き取り速度a(m/分)、ユニフローチムニーの冷却風の風速b(m/分)、糸条の引き取り時点での単糸繊度c(dtex)が式(1)〜(2)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法。
    500≦a≦2000 (1)
    0.5≦b/c≦2.0 (2)
  4. 巻き取り後の糸条の断面形状が、扁平率1.5〜8の扁平断面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法。
  5. 巻き取り後の糸条の繊度斑(U%)が0.2〜0.9%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法。
  6. 熱可塑性樹脂がポリアミドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂からなる繊維の紡糸方法。
  7. ユニフローチムニーと、ユニフローチムニー前面の糸条走行空間を閉塞するようにユニフローチムニーを取り囲む部材と、ユニフローチムニー下部に連接した筒状のダクトからなることを特徴とする熱可塑性樹脂からなる繊維の冷却装置。
  8. ダクトに、糸条が排出される側の端部からダクト全長の1/3〜1/10にわたって開口率50〜90%の開口部を設けることにより、ダクトから排出される糸条と冷却風を分離することを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂からなる繊維の冷却装置。
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