JP2004323947A - 連続抽出装置及びそれを用いた金属の抽出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属或いは高価な稀少金属の回収工程には、それらの金属塩を有機溶媒で抽出して濃縮する工程が多く採用されている。これらの抽出工程には、その過程で分配係数が低下する場合がしばしば見られる等、尚改良の余地が残されている点に着目した。これらの問題点を改善して抽出効率及びこれらの金属の回収率を更に高め得る回収方法を提供する。
【解決手段】上部及び下部に抽出原液と抽出溶媒の分離室を設け、その中間部に抽出室を設けた抽出装置において、その抽出室に1つまたは複数の分配係数調整用の薬液注入口及び攪拌装置、及び/ 又は温度制御装置が設けられている、向流式連続抽出装置である。有機リン酸化合物系溶剤として例えば、トリブチルリン酸またはジ(2− エチルヘキシル)リン酸等を使用し、この抽出装置によって白金等の貴金属または、インジウム等の高価な稀少金属のイオンを抽出・回収する方法である。
【選択図】図1
【解決手段】上部及び下部に抽出原液と抽出溶媒の分離室を設け、その中間部に抽出室を設けた抽出装置において、その抽出室に1つまたは複数の分配係数調整用の薬液注入口及び攪拌装置、及び/ 又は温度制御装置が設けられている、向流式連続抽出装置である。有機リン酸化合物系溶剤として例えば、トリブチルリン酸またはジ(2− エチルヘキシル)リン酸等を使用し、この抽出装置によって白金等の貴金属または、インジウム等の高価な稀少金属のイオンを抽出・回収する方法である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は向流式連続抽出装置及び、この装置を使用した金属イオンの抽出・濃縮方法に関するものである。更に詳しく述べると、抽出の過程で抽出原液に含まれる被抽質以外の成分の抽出溶媒中への混入等による、抽出原液と抽出溶媒間の被抽質の分配係数の低下を防止して、抽出効率を高める機能を有する抽出装置である。またこの装置を使用した貴金属、稀少金属等の金属イオンを抽出・濃縮する方法である。
【0002】
【従来の技術】
水溶液中等に溶存する有用な有価物を選択的に分離回収する手段として、有機溶剤による抽出が多くの分野で適用されている。例えば、ウコンの根茎から抗ヒスタミン作用等を有する、エキス成分をヘキサンによって抽出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、硫酸ニッケル溶液から有機酸性抽出剤を使用してニッケル分を抽出し、精製された硫酸ニッケル溶液を得る方法(例えば、特許文献2参照)、或いは、Salvia miltiorrhiza 根茎から低毒性で優れた活性を示す、逆転写酵素阻害剤を溶媒抽出する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
【0004】
水溶液中に溶存する貴金属イオンの溶媒抽出においては、貴金属が高価であるために微量でもロスなく回収することが求められる。このため従来からフレッシュな抽出剤を使用して繰返し抽出して回収されている。これらに関する技術には、トリブチルリン酸(TBP) を用いた白金の抽出分離(例えば、特許文献4参照)、白金回収における逆抽出条件に関する検討結果が開示されている(例えば、特許文献5及び6参照)。
【0005】
更に、白金の抽出効率が高い抽出剤の開発(例えば、特許文献7及び8参照)、または、超臨界流体を用いた白金の回収方法等が開示されている(特許第3348808 号、特許文献9参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平 06−211673号公報(第3頁)
【特許文献2】
特開平 10−310436号公報(第3〜6頁)
【特許文献3】
特開平 11−171765号公報(第9〜10頁)
【特許文献4】
特開平 9−279264 号公報(第3〜4頁)
【特許文献5】
特開平9−13128 号公報(第3〜4頁)
【特許文献6】
特開平9−241768号公報(第3〜5頁)
【特許文献7】
特許3164262 号公報(第2頁)
【特許文献8】
特許 3162294号公報(第2頁)
【特許文献9】
特許 3348808号公報(第4〜8頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
白金或いはインジウム等の貴金属或いは稀少金属は高価であるから、特に回収率を高める技術が求められている。白金の回収工程には、塩化白金酸錯体の塩酸溶液を有機溶媒で抽出して濃縮する工程が多く採用されているが、この抽出工程には尚、改良の余地が残されているいると考えられる。またインジウムの回収工程におけるインジウムイオン含有酸性溶液の抽出工程でも、同様な課題が残されているので、それに対応する改良された抽出方法及び抽出装置を開発して提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
これらの問題点にかんがみて、塩化白金酸錯体の塩酸溶液を有機リン酸化合物系溶剤と接触させて、塩化白金酸錯体を抽出・濃縮する工程について検討した。この工程において抽出原液の塩酸濃度を、当初抽出原液と抽出溶媒である有機リン酸化合物系溶剤間における、塩化白金酸錯体の分配係数が最大となる様な、塩酸濃度に設定しても、抽出の過程で塩化水素が有機リン酸化合物系溶剤に溶解するため、抽出原液の塩酸濃度が次第に低下する。このために分配係数が下がって、塩化白金酸錯体の抽出効率が急激に低下する点に注目した。
【0009】
白金の回収率を高める方法として、従来から多量の抽出溶媒の使用或いは、複数回の抽出等がなされている。高濃度の白金を含む塩酸水溶液から、白金を高収率で抽出するためには、抽出操作を複数回行う必要があるが、多量の抽出溶媒、高額の抽出設備費が必要となるため、回収コストが嵩むことが避けられない。特に低濃度域での抽出操作では、単一操作で回収できる白金の量が少ないため、効率が低い点に問題があった。
【0010】
本発明者等は抽出過程において、抽出原液に塩酸を補充して塩酸濃度を高め、常に分配係数が高い状態に保持すれば、塩化白金酸錯体の抽出効率も上昇し、且つ過剰な溶媒を使用する必要がなくなる点に着目した。前述したように白金は極めて高価な貴金属であるから、この抽出工程では塩酸溶液に含まれる塩化白金酸錯体を、ほぼ完全に有機リン酸化合物系溶剤中へ抽出する必要がある。このため抽出工程では塩化白金酸錯体の塩酸溶液は微小な液滴状にして、溶媒の有機リン酸化合物系溶剤中に分散させた状態で、有機リン酸化合物系溶剤と接触させて抽出する必要がある。このように抽出工程の途中の段階において、抽出原液に塩酸を補充するためには、更にこれに適応できる抽出装置を検討する必要がある。
【0011】
抽出工程の中間段階で塩化白金酸錯体の塩酸溶液が、微小な液滴状で分散している状態において、新たに系内に注入した塩酸をこの液滴に注入するためには、液滴状で分散している塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液、液滴の周囲に充満している溶媒の有機リン酸化合物系溶剤及び、新たに注入した塩酸の全体を攪拌・混合する必要がある。それによって新たに注入された塩酸は多量の溶媒の中に分散されて液滴状となり、攪拌・混合によって新たに注入された塩酸の液滴は、塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液の液滴と衝突・合体・分裂を繰り返して、液滴の成分は均一化され、液滴中の塩酸濃度が高まって、分配係数が上昇することにより抽出効率を向上させることができる。
【0012】
前述の塩化白金酸錯体の塩酸溶液から有機リン酸化合物系溶剤で、塩化白金酸錯体を抽出する場合には、塩化白金酸錯体と共に溶媒中へ抽出される塩酸によって、抽出原液中の塩酸濃度が低下するため、抽出原液と溶媒間における塩化白金酸錯体の分配係数が低下して、抽出効率が阻害される。またインジウムイオン含有酸性溶液を、有機リン酸化合物系溶剤で抽出する場合には、抽出されたインジウムイオンが溶媒分子の水素イオンと交換されることで、抽出系の酸度が上昇する。このため抽出原液と溶媒間におけるインジウムイオンの分配係数が低下する現象がみられる。
【0013】
このため前述の塩化白金酸錯体を抽出する場合と同様な方法で、抽出工程の中間段階で水酸化ナトリウムを注入して、系内で生成したプロトン酸を中和すれば、酸濃度が低下することによって分配係数が上昇し、抽出効率を高めることができる。
【0014】
前述の工程に適応して開発された抽出設備が、その中間部に1つまたは複数の、分配係数調節用の薬液注入口及び攪拌装置を設けた、向流式連続抽出装置である。更に、抽出温度も最適化して抽出速度を高めるため、この装置の中間段階に温度調節機能を付加した構造とすることもできる。
【0015】
すなわち、上部及び下部に抽出原液と抽出溶媒の分離室を設け、その中間部に抽出室を設けた抽出装置において、その抽出室に1つまたは複数の分配係数調整用の薬液注入口及び攪拌装置、及び/ 又は温度制御装置が設けられている、向流式連続抽出装置である。
【0016】
また、塩化白金酸錯体の塩酸溶液を抽出原液とし、有機リン酸化合物系溶剤を抽出溶媒として、抽出室の中間部に設けられた攪拌装置を伴う薬液注入口より、塩酸を注入しながら、前述の向流式連続抽出装置によって、塩化白金酸錯体を抽出・濃縮する方法である。
【0017】
更に、インジウムイオンを含む酸性溶液を抽出原液とし、有機リン酸化合物系溶剤を抽出溶媒として、抽出室の中間部に設けられた薬液注入口より、水酸化ナトリウム溶液を注入しながら、前述の向流式連続抽出装置によって、インジウムイオンを抽出する方法である。
【0018】
ここで「分配係数」とは、抽出系内において抽出原液と抽出溶媒を接触させて、平衡状態とした場合における、抽出原液に含まれる被抽質の濃度に対する、抽出溶媒に含まれる被抽質の濃度の比率をいう。また「金属イオン」とは、貴金属や稀少金属等の高価なもので、有機リン酸化合物系溶剤を使用した場合の分配係数の酸濃度依存性が高いものをいう。例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、インジウム等であり、特に白金、インジウムが本発明に好適である。「有機リン酸化合物系溶剤」とは、トリブチルリン酸、トリブチルリン酸オキシド、トリオクチルリン酸オキシド、ジ(2− エチルヘキシル)リン酸、ジイソヘキシルリン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシエステル及び、ジ(2− エチルヘキシル)ホスフィン酸からなる群より選ばれた、少なくとも一つの溶媒である。これらの中、塩化白金酸錯体の抽出にはトリブチルリン酸が好ましく、インジウムイオンの抽出にはジ(2− エチルヘキシル)リン酸が好ましい。以下、トリブチルリン酸及びジ(2− エチルヘキシル)リン酸を、それぞれ TBP及び D2EHPA と記載する。次に本発明について詳しく説明する。
【0019】
ここで、向流式連続抽出装置の抽出室の構造は特に限定しないが、例えば、縦型の円筒形で内部にドーナツ形及び円板形の邪魔板が多数、交互に水平に設けられている構造である。また、薬液注入口を伴う攪拌装置とは、抽出室の中間の部分において、抽出原液と抽出溶媒が上下に向流して抽出操作が行われている領域に、外部から第三の成分を注入できる薬液注入口である。
【0020】
攪拌装置は注入された第三の成分と、抽出原液と抽出溶媒を抽出室内で攪拌・混合できる攪拌翼を有する攪拌機、または縦形の長いシャフトに多数の攪拌翼が取り付けられている構造を有するものでもよい。或いは細孔から注入液或いは混合液をジェット噴射して攪拌・混合させる装置等も使用可能である。これらの装置は系外から注入された第三の成分を、抽出室内で液滴状に分散している成分中へ注入する場合には特に必要な機能である。
【0021】
例えば、本発明の塩化白金酸錯体を抽出する場合、抽出室には抽出溶媒であるトリブチルリン酸が充満しており、その中に抽出原液である塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液が、液滴状に分散されて向流している。このような状態において、第三の成分である塩酸を外部から供給して、トリブチルリン酸中に液滴状で分散されている、塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液の液滴に注入するためには、液滴状で分散している塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液、液滴の周囲に充満している溶媒のトリブチルリン酸及び、新たに注入された塩酸の全体を攪拌・混合する必要があるからである。
【0022】
尚、この抽出装置の上部及び下部に設けられている分離室は、特別な構造を必要とするものではなく、抽出原液と抽出液間及び抽出溶媒と抽残液間における、充分な相分離の機能を有するものであればよい。また抽出室に設けられる温度制御装置は、例えば白金等高価な成分を取り扱う場合には、小規模な装置が使用される場合が多く、抽出過程で温度低下等のために起こる抽出効率の低下を防止するために有効である。これらの薬液注入口を伴う攪拌装置及び/ 又は、温度制御装置は1つ又は複数設けることができる。
【0023】
抽出原液の塩化白金酸錯体の塩酸溶液から、抽出溶媒のトリブチルリン酸によって塩化白金酸錯体を抽出する場合、同時に塩酸の一部もトリブチルリン酸に溶解するため、抽出原液の塩化白金酸錯体の塩酸溶液の塩酸濃度が低下する。抽出効率は抽出原液相と抽出溶媒相との両相間の塩化白金酸錯体の分配係数に依存するが、この分配係数は抽出原液である塩化白金酸錯体の塩酸溶液の塩酸濃度によって、著しく大きな影響を受けている。
【0024】
実験結果の1例として、抽出原液或いは抽残液中の塩化白金酸錯体の平衡濃度に対する、抽出溶媒或いは抽出液中の平衡濃度の比率である分配係数は、40℃において抽残液の塩酸濃度が 1.5 N、2.1 N 、3.0 N 、4.0 N 及び6.0 N の場合、それぞれ 9.17 、17.73 、21.40 、17.53 及び 3.15 となっている。分配係数の塩酸濃度への依存性は非常に大きく、抽出原液の塩酸濃度が 3.0 Nで極大となり、塩酸が塩化白金酸錯体と共にトリブチルリン酸に抽出されて、濃度低下した場合分配係数は急激に低下することが分かる。
【0025】
このために、抽出過程で抽出原液に塩酸を補給して塩酸濃度を適正に保持すれば、如何に抽出効率が向上するかが明らかである。塩酸を補給せずその代わりに多量の抽出溶媒を使用すれば、溶媒所要量が増加するのみでなく、多量の溶媒使用に伴って白金のロスも増大することとなる。これらの点を考慮すれば、本発明方法による効果が大きいことが分かる。
【0026】
更にこのようにして濃縮した、塩化白金酸を含むトリブチルリン酸から、白金を回収するためにトリブチルリン酸中に塩化白金酸と共に含まれている塩酸を、水で抽出して除去した後、塩化白金酸を含むトリブチルリン酸を、水酸化ナトリウム溶液で逆抽出することによって、塩化白金酸ナトリウムの形で更に白金を濃縮することができる。塩化白金酸ナトリウムの水酸化ナトリウム溶液から、電解法によって高純度の金属白金を回収することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0028】
(実施例1)
本発明の向流式連続抽出装置の一態様の構成図を図1に示す。向流式連続抽出装置は抽出塔2及び、抽出原液槽1、抽残液槽5、抽出溶媒槽6、抽出液槽7からなり、本発明の薬液注入口を伴う攪拌装置及び/ 又は温度制御装置は9、10、11の3ケ所に設けられている。抽出原液は抽出原液槽1で抽出塔へ導入する前に、各成分の濃度・温度等の調整後、抽出塔2の上部分離室3の下部に設けられた抽出原液入口より導入される。
【0029】
抽出原液は抽出塔2の内部で抽出溶媒と攪拌混合され、抽出塔内に充満している抽出溶媒中に液滴状に分散された状態で、邪魔板或いは攪拌装置で攪拌・混合されながら抽出塔内を流下し、その間に抽出原液に含まれる被抽質が、溶媒によって抽出され抽出溶媒相中へ移行する。抽出塔2の内部を流下した抽出原液は下部分離室4で抽出溶媒と分離されて、抽残液として取り出され抽残液槽5に注入される。
【0030】
一方、抽出溶媒は抽出塔へ導入する前に抽出溶媒槽6で、各成分の濃度・温度等の調整後、抽出塔2の下部分離室4の上部に設けられた、抽出溶媒入口より抽出塔へ導入される。抽出塔内部で抽出原液と攪拌混合され、原液と接触しながら比重差によって抽出塔内を上昇して上部分離室3に達し、原液と分離されて抽出液として取り出され、抽出液槽7へ注入される。
【0031】
この間に抽出塔の内部では、抽出原液及び抽出溶媒両相の相互間の成分の移行によって、両相間の被抽質の分配係数が大幅に低下する場合がある。このような場合、系外から第三の成分を注入してこの変動分を調整し、分配係数を最適条件に保持することによって、抽出効率を著しく向上させることが可能である。抽出塔中間部の薬液注入口及び攪拌装置は、このような場合に使用するために設けられたものである。温度条件についても抽出塔の中間部に温度制御装置を設けることによって、同様に対処することができる。
【0032】
(実施例2)
実施例1に記載した向流式連続抽出装置を使用して、塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液から、TBP によって塩化白金酸錯体を抽出した。抽出原液として使用する濃度 40g/Lの塩化白金酸錯体を含む、4 N の塩酸溶液 250 Lを温度 40 ℃に調節して抽出原液槽1に注入した。この抽出原液を定量ポンプにより流量 0.5 L/ 分で、抽出塔2の上部分離室3の下部に設けられた、抽出原液入口より抽出塔2に導入した。抽出原液は抽出塔の内部で、抽出溶媒である TBPと攪拌混合され、抽出塔内に充満している抽出溶媒中に液滴状に分散された状態で、邪魔板或いは攪拌装置で攪拌・混合されながら、抽出塔内を流下する。その間に抽出原液に含まれる被抽質である塩化白金酸錯体は、溶媒 TBPによって抽出されて抽出溶媒相中へ移行する。抽出塔2の内部を流下した抽出原液は、下部分離室4で抽出溶媒と分離され、抽残液として取り出され抽残液槽5に注入される。
【0033】
抽出溶媒 TBP 500 Lは、抽出塔導入前に抽出溶媒槽6で、温度 40 ℃に調節した後、定量ポンプにより流量 1.0 L/ 分で、抽出塔2の下部分離室4の上部に設けられた、抽出溶媒入口より抽出塔2に導入した。抽出溶媒相は抽出塔内部に充満した状態で、抽出原液と攪拌混合され、原液と接触しながら比重差によって抽出塔内を上昇して上部分離室3に達し、抽出原液と分離されて抽出液として取り出され、抽出液槽7へ注入される。
【0034】
一方、薬液槽8から 35 %塩酸が定量ポンプにより、抽出塔中間部に設けられた薬液注入口9より、抽出塔内に流量 0.05 L/分で注入される。塔内に設けられた攪拌装置よって塩酸は液滴状に分散されて、抽出原液及び溶媒と充分に攪拌され、液滴状に分散している抽出原液中へ注入される。また、塔内中間部の温度も温度制御装置11によって、常に 40 ℃に保持されている。
【0035】
塩化白金酸錯体の塩酸溶液から、TBP によって塩化白金酸錯体を抽出する場合、同時に塩酸の一部も TBPに溶解して溶媒相に移行する。このため抽出原液の塩酸濃度が低下する。抽出速度は抽出原液相と抽出溶媒相との両相間の、塩化白金酸錯体の分配係数に依存するが、この分配係数は抽出原液である塩酸溶液の酸濃度によって、著しく大きな影響を受ける。前述のように最適な塩酸濃度 3.0 Nから少し低下した 2.1 Nでは、約 20 %も低下するため、塩酸濃度によって如何に抽出効率が大きな影響を受けるかが分かる。
【0036】
抽出塔の薬液注入口からの塩酸注入は、抽出過程における抽出原液中の塩酸の減少を補充して、その濃度を最適な範囲内に保持するためである。前述の塩酸注入量はこれに従って決められたものである。また、抽出塔内の温度も塩化白金酸錯体の抽出速度を好ましい範囲内に保持するために、抽出塔の中間部に設けられた温度制御装置によって、40℃に保持した。これによって抽出塔上部より取り出された抽出液の pH は 1.0であり、塩化白金酸錯体濃度は白金換算で 20g/Lであった。また、抽残液中の塩化白金酸錯体濃度は、白金換算で 0.001g/L(1 ppm)であり、これより計算した白金の抽出率は 99.997 %の高い値を示した。
【0037】
(比較例1)
実施例2において、抽出塔中間部に設けられた薬液注入口9より、35%塩酸の注入を停止した以外は、同じ向流式連続抽出装置を使用し、全く同じ条件で塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液から、TBP によって塩化白金酸錯体を抽出した。その結果、抽出塔から取り出された抽残液中に残留した塩化白金酸錯体は、白金換算で濃度0.14g/L(140ppm) であった。これより算出した白金抽出率は 99.65% であり、高価な白金の回収率としては尚不十分である。この抽出方法では抽出原液中の塩化白金酸錯体が、溶媒の TBPによって抽出される過程で塩酸も同時に抽出されるため、抽出原液中の塩酸濃度が低下したためである。この結果、塩化白金酸錯体の抽出原液相と溶媒相間の分配係数が下がり、塩化白金酸錯体の抽出速度が低下して、回収率が不十分となったことが分かる。
【0038】
更に、この金属換算で0.14g/L の白金を含む抽残液を、再度新しい TBPを用いて同条件にて2回目の抽出を行った。その結果、抽出後抽残液液中の最終白金残留濃度は、0.005g/L(5ppm)となった。実施例と比較して、2倍量の TBPを用い2倍の時間と労力をかけて白金を抽出したが、回収率は実施例2に遙に及ばなかった。
【0039】
(実施例3)
実施例1に記載した向流式連続抽出装置を使用して、硝酸インジウムを含む硝酸溶液から、D2EHPAによってインジウムイオンを抽出した。抽出原液として使用される、金属換算で濃度 200g/L の硝酸インジウムの 1 N硝酸溶液 250 Lを、抽出原液槽1に注入した。この抽出原液槽から定量ポンプにより流量 0.5 L/ 分で、抽出塔2の上部分離室3の下部に設けられた、抽出原液入口より抽出塔2に導入した。抽出原液は抽出塔の内部で抽出溶媒 D2EHPA と攪拌混合され、抽出塔内に充満している抽出溶媒中に液滴状に分散された状態で、邪魔板或いは攪拌装置で攪拌・混合されながら抽出塔内を流下する。
【0040】
その間に抽出原液に含まれる被抽質であるインジウムイオンは、溶媒 D2EHPA によって抽出されて抽出溶媒相中へ移行する。抽出塔2の内部を流下した抽出原液は下部分離室4で抽出溶媒と分離され、抽残液として取り出され抽残液槽5に注入される。
【0041】
抽出溶媒 D2EHPA 、1250 Lは抽出塔導入前に抽出溶媒槽6で、温度 40 ℃に調節した後、定量ポンプにより流量 2.5 L/ 分で、抽出塔2の下部分離室4の上部に設けられた、抽出溶媒入口より抽出塔2に導入した。抽出溶媒は抽出塔内部に充満した状態で、抽出原液と攪拌混合され、原液と接触しながら比重差によって抽出塔内を上昇して上部分離室3に達し、抽出原液と分離されて抽出液として取り出され、抽出液槽7へ注入される。抽出液中のインジウム含有量は、金属換算40g/Lであった。
【0042】
抽出溶媒は D2EHPA のみでもよく、またこれに疎水性有機溶剤を加えた D2EHPA 混合液のいずれでもよいが、疎水性有機溶剤を加えることによって、硝酸溶液相と溶媒相との相分離性を高めることができる。これによって D2EHPA 使用量を減少させることが可能である。この際用いる疎水性有機溶剤としては、硝酸水溶液中に含まれる硝酸インジウムに不活性で、疎水性が高い広範囲の有機溶剤が使用可能である。好ましい疎水性溶剤としては例えば、ナフテン・パラフィン混合物からなる「シェルゾル D−70 」 (シェルケミカルスジャパン株式会社製) 等が挙げられる。また混合する疎水性有機溶剤の割合は 25 %程度が適当である。
【0043】
一方、薬液槽8から 10 %水酸化ナトリウム溶液が定量ポンプにより、抽出塔中間部に設けられた薬液注入口9より、流量 0.05 L/分で抽出塔内に注入される。塔内に設けられた攪拌装置よって、水酸化ナトリウムは液滴状に分散されて、抽出原液及び溶媒と攪拌・混合される。抽出の過程で液中にジ(2− エチルヘキシル)リン酸インジウムと、硝酸を生成して pH が低下し、このためインジウムイオンの分配係数が低下することを防止するためである。また抽出塔中間部の温度制御装置 14 によって、液温を 40 ℃に保持して、抽出速度の低下を防止した。
【0044】
その結果、抽残液槽5に注入された抽残液中の、インジウム濃度は金属換算で0.05 g/L(50 ppm) 、これによって算出したインジウム抽出率は 99.975 %となり、高収率でインジウムが抽出されたことが確かめられた。
【0045】
(比較例2)
実施例3において、抽出塔中間に設けられた薬液注入口9より 10 %水酸化ナトリウム溶液の注入停止と、温度制御をしなかった以外は、全く同じ条件で同じ向流式連続抽出装置を使用して、インジウムイオンを含む硝酸溶液から、D2EHPAによって硝酸インジウムを抽出した。その結果、抽出塔から取り出された抽残液中に残留したインジウムは、金属換算で濃度 38g/Lであった。これよって算出したインジウム抽出率は 81%であった。また、温度調節をしなかったため硝酸溶液と D2EHPA 混合液との相分離がやや不良であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明は抽出塔の中間部に薬液注入口及び攪拌装置を設けた向流接触式連続抽出装置である。抽出の過程で抽出原液と溶媒間で被抽質以外のその他の成分の相互の溶解或いは、反応による抽出塔内の酸濃度の変化によって、被抽質の分配係数が低下して抽出効率が大幅に低下する場合がある。本発明の抽出装置はそのような場合に薬液注入口より、分配係数の低下を防止できる成分を注入することによって、分配係数を上昇させて抽出効率を高める効果を有するものである。更にこの装置を白金又はインジウム等の回収に適用することによって、大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の向流式連続抽出装置の一態様の構成図を示す。
【符号の説明】
1 抽出原液槽
2 抽出塔
3 上部分離室
4 下部分離室
5 抽残液受槽
6 抽出溶媒槽
7 抽出液受槽
8 薬液槽
9 薬液注入口
10 開口部 (加熱装置取付口)
11 温度制御装置
12 開口部 (温度センサー取付口)
13 温度センサー
14 温度制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は向流式連続抽出装置及び、この装置を使用した金属イオンの抽出・濃縮方法に関するものである。更に詳しく述べると、抽出の過程で抽出原液に含まれる被抽質以外の成分の抽出溶媒中への混入等による、抽出原液と抽出溶媒間の被抽質の分配係数の低下を防止して、抽出効率を高める機能を有する抽出装置である。またこの装置を使用した貴金属、稀少金属等の金属イオンを抽出・濃縮する方法である。
【0002】
【従来の技術】
水溶液中等に溶存する有用な有価物を選択的に分離回収する手段として、有機溶剤による抽出が多くの分野で適用されている。例えば、ウコンの根茎から抗ヒスタミン作用等を有する、エキス成分をヘキサンによって抽出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、硫酸ニッケル溶液から有機酸性抽出剤を使用してニッケル分を抽出し、精製された硫酸ニッケル溶液を得る方法(例えば、特許文献2参照)、或いは、Salvia miltiorrhiza 根茎から低毒性で優れた活性を示す、逆転写酵素阻害剤を溶媒抽出する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
【0004】
水溶液中に溶存する貴金属イオンの溶媒抽出においては、貴金属が高価であるために微量でもロスなく回収することが求められる。このため従来からフレッシュな抽出剤を使用して繰返し抽出して回収されている。これらに関する技術には、トリブチルリン酸(TBP) を用いた白金の抽出分離(例えば、特許文献4参照)、白金回収における逆抽出条件に関する検討結果が開示されている(例えば、特許文献5及び6参照)。
【0005】
更に、白金の抽出効率が高い抽出剤の開発(例えば、特許文献7及び8参照)、または、超臨界流体を用いた白金の回収方法等が開示されている(特許第3348808 号、特許文献9参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平 06−211673号公報(第3頁)
【特許文献2】
特開平 10−310436号公報(第3〜6頁)
【特許文献3】
特開平 11−171765号公報(第9〜10頁)
【特許文献4】
特開平 9−279264 号公報(第3〜4頁)
【特許文献5】
特開平9−13128 号公報(第3〜4頁)
【特許文献6】
特開平9−241768号公報(第3〜5頁)
【特許文献7】
特許3164262 号公報(第2頁)
【特許文献8】
特許 3162294号公報(第2頁)
【特許文献9】
特許 3348808号公報(第4〜8頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
白金或いはインジウム等の貴金属或いは稀少金属は高価であるから、特に回収率を高める技術が求められている。白金の回収工程には、塩化白金酸錯体の塩酸溶液を有機溶媒で抽出して濃縮する工程が多く採用されているが、この抽出工程には尚、改良の余地が残されているいると考えられる。またインジウムの回収工程におけるインジウムイオン含有酸性溶液の抽出工程でも、同様な課題が残されているので、それに対応する改良された抽出方法及び抽出装置を開発して提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
これらの問題点にかんがみて、塩化白金酸錯体の塩酸溶液を有機リン酸化合物系溶剤と接触させて、塩化白金酸錯体を抽出・濃縮する工程について検討した。この工程において抽出原液の塩酸濃度を、当初抽出原液と抽出溶媒である有機リン酸化合物系溶剤間における、塩化白金酸錯体の分配係数が最大となる様な、塩酸濃度に設定しても、抽出の過程で塩化水素が有機リン酸化合物系溶剤に溶解するため、抽出原液の塩酸濃度が次第に低下する。このために分配係数が下がって、塩化白金酸錯体の抽出効率が急激に低下する点に注目した。
【0009】
白金の回収率を高める方法として、従来から多量の抽出溶媒の使用或いは、複数回の抽出等がなされている。高濃度の白金を含む塩酸水溶液から、白金を高収率で抽出するためには、抽出操作を複数回行う必要があるが、多量の抽出溶媒、高額の抽出設備費が必要となるため、回収コストが嵩むことが避けられない。特に低濃度域での抽出操作では、単一操作で回収できる白金の量が少ないため、効率が低い点に問題があった。
【0010】
本発明者等は抽出過程において、抽出原液に塩酸を補充して塩酸濃度を高め、常に分配係数が高い状態に保持すれば、塩化白金酸錯体の抽出効率も上昇し、且つ過剰な溶媒を使用する必要がなくなる点に着目した。前述したように白金は極めて高価な貴金属であるから、この抽出工程では塩酸溶液に含まれる塩化白金酸錯体を、ほぼ完全に有機リン酸化合物系溶剤中へ抽出する必要がある。このため抽出工程では塩化白金酸錯体の塩酸溶液は微小な液滴状にして、溶媒の有機リン酸化合物系溶剤中に分散させた状態で、有機リン酸化合物系溶剤と接触させて抽出する必要がある。このように抽出工程の途中の段階において、抽出原液に塩酸を補充するためには、更にこれに適応できる抽出装置を検討する必要がある。
【0011】
抽出工程の中間段階で塩化白金酸錯体の塩酸溶液が、微小な液滴状で分散している状態において、新たに系内に注入した塩酸をこの液滴に注入するためには、液滴状で分散している塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液、液滴の周囲に充満している溶媒の有機リン酸化合物系溶剤及び、新たに注入した塩酸の全体を攪拌・混合する必要がある。それによって新たに注入された塩酸は多量の溶媒の中に分散されて液滴状となり、攪拌・混合によって新たに注入された塩酸の液滴は、塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液の液滴と衝突・合体・分裂を繰り返して、液滴の成分は均一化され、液滴中の塩酸濃度が高まって、分配係数が上昇することにより抽出効率を向上させることができる。
【0012】
前述の塩化白金酸錯体の塩酸溶液から有機リン酸化合物系溶剤で、塩化白金酸錯体を抽出する場合には、塩化白金酸錯体と共に溶媒中へ抽出される塩酸によって、抽出原液中の塩酸濃度が低下するため、抽出原液と溶媒間における塩化白金酸錯体の分配係数が低下して、抽出効率が阻害される。またインジウムイオン含有酸性溶液を、有機リン酸化合物系溶剤で抽出する場合には、抽出されたインジウムイオンが溶媒分子の水素イオンと交換されることで、抽出系の酸度が上昇する。このため抽出原液と溶媒間におけるインジウムイオンの分配係数が低下する現象がみられる。
【0013】
このため前述の塩化白金酸錯体を抽出する場合と同様な方法で、抽出工程の中間段階で水酸化ナトリウムを注入して、系内で生成したプロトン酸を中和すれば、酸濃度が低下することによって分配係数が上昇し、抽出効率を高めることができる。
【0014】
前述の工程に適応して開発された抽出設備が、その中間部に1つまたは複数の、分配係数調節用の薬液注入口及び攪拌装置を設けた、向流式連続抽出装置である。更に、抽出温度も最適化して抽出速度を高めるため、この装置の中間段階に温度調節機能を付加した構造とすることもできる。
【0015】
すなわち、上部及び下部に抽出原液と抽出溶媒の分離室を設け、その中間部に抽出室を設けた抽出装置において、その抽出室に1つまたは複数の分配係数調整用の薬液注入口及び攪拌装置、及び/ 又は温度制御装置が設けられている、向流式連続抽出装置である。
【0016】
また、塩化白金酸錯体の塩酸溶液を抽出原液とし、有機リン酸化合物系溶剤を抽出溶媒として、抽出室の中間部に設けられた攪拌装置を伴う薬液注入口より、塩酸を注入しながら、前述の向流式連続抽出装置によって、塩化白金酸錯体を抽出・濃縮する方法である。
【0017】
更に、インジウムイオンを含む酸性溶液を抽出原液とし、有機リン酸化合物系溶剤を抽出溶媒として、抽出室の中間部に設けられた薬液注入口より、水酸化ナトリウム溶液を注入しながら、前述の向流式連続抽出装置によって、インジウムイオンを抽出する方法である。
【0018】
ここで「分配係数」とは、抽出系内において抽出原液と抽出溶媒を接触させて、平衡状態とした場合における、抽出原液に含まれる被抽質の濃度に対する、抽出溶媒に含まれる被抽質の濃度の比率をいう。また「金属イオン」とは、貴金属や稀少金属等の高価なもので、有機リン酸化合物系溶剤を使用した場合の分配係数の酸濃度依存性が高いものをいう。例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、インジウム等であり、特に白金、インジウムが本発明に好適である。「有機リン酸化合物系溶剤」とは、トリブチルリン酸、トリブチルリン酸オキシド、トリオクチルリン酸オキシド、ジ(2− エチルヘキシル)リン酸、ジイソヘキシルリン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシエステル及び、ジ(2− エチルヘキシル)ホスフィン酸からなる群より選ばれた、少なくとも一つの溶媒である。これらの中、塩化白金酸錯体の抽出にはトリブチルリン酸が好ましく、インジウムイオンの抽出にはジ(2− エチルヘキシル)リン酸が好ましい。以下、トリブチルリン酸及びジ(2− エチルヘキシル)リン酸を、それぞれ TBP及び D2EHPA と記載する。次に本発明について詳しく説明する。
【0019】
ここで、向流式連続抽出装置の抽出室の構造は特に限定しないが、例えば、縦型の円筒形で内部にドーナツ形及び円板形の邪魔板が多数、交互に水平に設けられている構造である。また、薬液注入口を伴う攪拌装置とは、抽出室の中間の部分において、抽出原液と抽出溶媒が上下に向流して抽出操作が行われている領域に、外部から第三の成分を注入できる薬液注入口である。
【0020】
攪拌装置は注入された第三の成分と、抽出原液と抽出溶媒を抽出室内で攪拌・混合できる攪拌翼を有する攪拌機、または縦形の長いシャフトに多数の攪拌翼が取り付けられている構造を有するものでもよい。或いは細孔から注入液或いは混合液をジェット噴射して攪拌・混合させる装置等も使用可能である。これらの装置は系外から注入された第三の成分を、抽出室内で液滴状に分散している成分中へ注入する場合には特に必要な機能である。
【0021】
例えば、本発明の塩化白金酸錯体を抽出する場合、抽出室には抽出溶媒であるトリブチルリン酸が充満しており、その中に抽出原液である塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液が、液滴状に分散されて向流している。このような状態において、第三の成分である塩酸を外部から供給して、トリブチルリン酸中に液滴状で分散されている、塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液の液滴に注入するためには、液滴状で分散している塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液、液滴の周囲に充満している溶媒のトリブチルリン酸及び、新たに注入された塩酸の全体を攪拌・混合する必要があるからである。
【0022】
尚、この抽出装置の上部及び下部に設けられている分離室は、特別な構造を必要とするものではなく、抽出原液と抽出液間及び抽出溶媒と抽残液間における、充分な相分離の機能を有するものであればよい。また抽出室に設けられる温度制御装置は、例えば白金等高価な成分を取り扱う場合には、小規模な装置が使用される場合が多く、抽出過程で温度低下等のために起こる抽出効率の低下を防止するために有効である。これらの薬液注入口を伴う攪拌装置及び/ 又は、温度制御装置は1つ又は複数設けることができる。
【0023】
抽出原液の塩化白金酸錯体の塩酸溶液から、抽出溶媒のトリブチルリン酸によって塩化白金酸錯体を抽出する場合、同時に塩酸の一部もトリブチルリン酸に溶解するため、抽出原液の塩化白金酸錯体の塩酸溶液の塩酸濃度が低下する。抽出効率は抽出原液相と抽出溶媒相との両相間の塩化白金酸錯体の分配係数に依存するが、この分配係数は抽出原液である塩化白金酸錯体の塩酸溶液の塩酸濃度によって、著しく大きな影響を受けている。
【0024】
実験結果の1例として、抽出原液或いは抽残液中の塩化白金酸錯体の平衡濃度に対する、抽出溶媒或いは抽出液中の平衡濃度の比率である分配係数は、40℃において抽残液の塩酸濃度が 1.5 N、2.1 N 、3.0 N 、4.0 N 及び6.0 N の場合、それぞれ 9.17 、17.73 、21.40 、17.53 及び 3.15 となっている。分配係数の塩酸濃度への依存性は非常に大きく、抽出原液の塩酸濃度が 3.0 Nで極大となり、塩酸が塩化白金酸錯体と共にトリブチルリン酸に抽出されて、濃度低下した場合分配係数は急激に低下することが分かる。
【0025】
このために、抽出過程で抽出原液に塩酸を補給して塩酸濃度を適正に保持すれば、如何に抽出効率が向上するかが明らかである。塩酸を補給せずその代わりに多量の抽出溶媒を使用すれば、溶媒所要量が増加するのみでなく、多量の溶媒使用に伴って白金のロスも増大することとなる。これらの点を考慮すれば、本発明方法による効果が大きいことが分かる。
【0026】
更にこのようにして濃縮した、塩化白金酸を含むトリブチルリン酸から、白金を回収するためにトリブチルリン酸中に塩化白金酸と共に含まれている塩酸を、水で抽出して除去した後、塩化白金酸を含むトリブチルリン酸を、水酸化ナトリウム溶液で逆抽出することによって、塩化白金酸ナトリウムの形で更に白金を濃縮することができる。塩化白金酸ナトリウムの水酸化ナトリウム溶液から、電解法によって高純度の金属白金を回収することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0028】
(実施例1)
本発明の向流式連続抽出装置の一態様の構成図を図1に示す。向流式連続抽出装置は抽出塔2及び、抽出原液槽1、抽残液槽5、抽出溶媒槽6、抽出液槽7からなり、本発明の薬液注入口を伴う攪拌装置及び/ 又は温度制御装置は9、10、11の3ケ所に設けられている。抽出原液は抽出原液槽1で抽出塔へ導入する前に、各成分の濃度・温度等の調整後、抽出塔2の上部分離室3の下部に設けられた抽出原液入口より導入される。
【0029】
抽出原液は抽出塔2の内部で抽出溶媒と攪拌混合され、抽出塔内に充満している抽出溶媒中に液滴状に分散された状態で、邪魔板或いは攪拌装置で攪拌・混合されながら抽出塔内を流下し、その間に抽出原液に含まれる被抽質が、溶媒によって抽出され抽出溶媒相中へ移行する。抽出塔2の内部を流下した抽出原液は下部分離室4で抽出溶媒と分離されて、抽残液として取り出され抽残液槽5に注入される。
【0030】
一方、抽出溶媒は抽出塔へ導入する前に抽出溶媒槽6で、各成分の濃度・温度等の調整後、抽出塔2の下部分離室4の上部に設けられた、抽出溶媒入口より抽出塔へ導入される。抽出塔内部で抽出原液と攪拌混合され、原液と接触しながら比重差によって抽出塔内を上昇して上部分離室3に達し、原液と分離されて抽出液として取り出され、抽出液槽7へ注入される。
【0031】
この間に抽出塔の内部では、抽出原液及び抽出溶媒両相の相互間の成分の移行によって、両相間の被抽質の分配係数が大幅に低下する場合がある。このような場合、系外から第三の成分を注入してこの変動分を調整し、分配係数を最適条件に保持することによって、抽出効率を著しく向上させることが可能である。抽出塔中間部の薬液注入口及び攪拌装置は、このような場合に使用するために設けられたものである。温度条件についても抽出塔の中間部に温度制御装置を設けることによって、同様に対処することができる。
【0032】
(実施例2)
実施例1に記載した向流式連続抽出装置を使用して、塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液から、TBP によって塩化白金酸錯体を抽出した。抽出原液として使用する濃度 40g/Lの塩化白金酸錯体を含む、4 N の塩酸溶液 250 Lを温度 40 ℃に調節して抽出原液槽1に注入した。この抽出原液を定量ポンプにより流量 0.5 L/ 分で、抽出塔2の上部分離室3の下部に設けられた、抽出原液入口より抽出塔2に導入した。抽出原液は抽出塔の内部で、抽出溶媒である TBPと攪拌混合され、抽出塔内に充満している抽出溶媒中に液滴状に分散された状態で、邪魔板或いは攪拌装置で攪拌・混合されながら、抽出塔内を流下する。その間に抽出原液に含まれる被抽質である塩化白金酸錯体は、溶媒 TBPによって抽出されて抽出溶媒相中へ移行する。抽出塔2の内部を流下した抽出原液は、下部分離室4で抽出溶媒と分離され、抽残液として取り出され抽残液槽5に注入される。
【0033】
抽出溶媒 TBP 500 Lは、抽出塔導入前に抽出溶媒槽6で、温度 40 ℃に調節した後、定量ポンプにより流量 1.0 L/ 分で、抽出塔2の下部分離室4の上部に設けられた、抽出溶媒入口より抽出塔2に導入した。抽出溶媒相は抽出塔内部に充満した状態で、抽出原液と攪拌混合され、原液と接触しながら比重差によって抽出塔内を上昇して上部分離室3に達し、抽出原液と分離されて抽出液として取り出され、抽出液槽7へ注入される。
【0034】
一方、薬液槽8から 35 %塩酸が定量ポンプにより、抽出塔中間部に設けられた薬液注入口9より、抽出塔内に流量 0.05 L/分で注入される。塔内に設けられた攪拌装置よって塩酸は液滴状に分散されて、抽出原液及び溶媒と充分に攪拌され、液滴状に分散している抽出原液中へ注入される。また、塔内中間部の温度も温度制御装置11によって、常に 40 ℃に保持されている。
【0035】
塩化白金酸錯体の塩酸溶液から、TBP によって塩化白金酸錯体を抽出する場合、同時に塩酸の一部も TBPに溶解して溶媒相に移行する。このため抽出原液の塩酸濃度が低下する。抽出速度は抽出原液相と抽出溶媒相との両相間の、塩化白金酸錯体の分配係数に依存するが、この分配係数は抽出原液である塩酸溶液の酸濃度によって、著しく大きな影響を受ける。前述のように最適な塩酸濃度 3.0 Nから少し低下した 2.1 Nでは、約 20 %も低下するため、塩酸濃度によって如何に抽出効率が大きな影響を受けるかが分かる。
【0036】
抽出塔の薬液注入口からの塩酸注入は、抽出過程における抽出原液中の塩酸の減少を補充して、その濃度を最適な範囲内に保持するためである。前述の塩酸注入量はこれに従って決められたものである。また、抽出塔内の温度も塩化白金酸錯体の抽出速度を好ましい範囲内に保持するために、抽出塔の中間部に設けられた温度制御装置によって、40℃に保持した。これによって抽出塔上部より取り出された抽出液の pH は 1.0であり、塩化白金酸錯体濃度は白金換算で 20g/Lであった。また、抽残液中の塩化白金酸錯体濃度は、白金換算で 0.001g/L(1 ppm)であり、これより計算した白金の抽出率は 99.997 %の高い値を示した。
【0037】
(比較例1)
実施例2において、抽出塔中間部に設けられた薬液注入口9より、35%塩酸の注入を停止した以外は、同じ向流式連続抽出装置を使用し、全く同じ条件で塩化白金酸錯体を含む塩酸溶液から、TBP によって塩化白金酸錯体を抽出した。その結果、抽出塔から取り出された抽残液中に残留した塩化白金酸錯体は、白金換算で濃度0.14g/L(140ppm) であった。これより算出した白金抽出率は 99.65% であり、高価な白金の回収率としては尚不十分である。この抽出方法では抽出原液中の塩化白金酸錯体が、溶媒の TBPによって抽出される過程で塩酸も同時に抽出されるため、抽出原液中の塩酸濃度が低下したためである。この結果、塩化白金酸錯体の抽出原液相と溶媒相間の分配係数が下がり、塩化白金酸錯体の抽出速度が低下して、回収率が不十分となったことが分かる。
【0038】
更に、この金属換算で0.14g/L の白金を含む抽残液を、再度新しい TBPを用いて同条件にて2回目の抽出を行った。その結果、抽出後抽残液液中の最終白金残留濃度は、0.005g/L(5ppm)となった。実施例と比較して、2倍量の TBPを用い2倍の時間と労力をかけて白金を抽出したが、回収率は実施例2に遙に及ばなかった。
【0039】
(実施例3)
実施例1に記載した向流式連続抽出装置を使用して、硝酸インジウムを含む硝酸溶液から、D2EHPAによってインジウムイオンを抽出した。抽出原液として使用される、金属換算で濃度 200g/L の硝酸インジウムの 1 N硝酸溶液 250 Lを、抽出原液槽1に注入した。この抽出原液槽から定量ポンプにより流量 0.5 L/ 分で、抽出塔2の上部分離室3の下部に設けられた、抽出原液入口より抽出塔2に導入した。抽出原液は抽出塔の内部で抽出溶媒 D2EHPA と攪拌混合され、抽出塔内に充満している抽出溶媒中に液滴状に分散された状態で、邪魔板或いは攪拌装置で攪拌・混合されながら抽出塔内を流下する。
【0040】
その間に抽出原液に含まれる被抽質であるインジウムイオンは、溶媒 D2EHPA によって抽出されて抽出溶媒相中へ移行する。抽出塔2の内部を流下した抽出原液は下部分離室4で抽出溶媒と分離され、抽残液として取り出され抽残液槽5に注入される。
【0041】
抽出溶媒 D2EHPA 、1250 Lは抽出塔導入前に抽出溶媒槽6で、温度 40 ℃に調節した後、定量ポンプにより流量 2.5 L/ 分で、抽出塔2の下部分離室4の上部に設けられた、抽出溶媒入口より抽出塔2に導入した。抽出溶媒は抽出塔内部に充満した状態で、抽出原液と攪拌混合され、原液と接触しながら比重差によって抽出塔内を上昇して上部分離室3に達し、抽出原液と分離されて抽出液として取り出され、抽出液槽7へ注入される。抽出液中のインジウム含有量は、金属換算40g/Lであった。
【0042】
抽出溶媒は D2EHPA のみでもよく、またこれに疎水性有機溶剤を加えた D2EHPA 混合液のいずれでもよいが、疎水性有機溶剤を加えることによって、硝酸溶液相と溶媒相との相分離性を高めることができる。これによって D2EHPA 使用量を減少させることが可能である。この際用いる疎水性有機溶剤としては、硝酸水溶液中に含まれる硝酸インジウムに不活性で、疎水性が高い広範囲の有機溶剤が使用可能である。好ましい疎水性溶剤としては例えば、ナフテン・パラフィン混合物からなる「シェルゾル D−70 」 (シェルケミカルスジャパン株式会社製) 等が挙げられる。また混合する疎水性有機溶剤の割合は 25 %程度が適当である。
【0043】
一方、薬液槽8から 10 %水酸化ナトリウム溶液が定量ポンプにより、抽出塔中間部に設けられた薬液注入口9より、流量 0.05 L/分で抽出塔内に注入される。塔内に設けられた攪拌装置よって、水酸化ナトリウムは液滴状に分散されて、抽出原液及び溶媒と攪拌・混合される。抽出の過程で液中にジ(2− エチルヘキシル)リン酸インジウムと、硝酸を生成して pH が低下し、このためインジウムイオンの分配係数が低下することを防止するためである。また抽出塔中間部の温度制御装置 14 によって、液温を 40 ℃に保持して、抽出速度の低下を防止した。
【0044】
その結果、抽残液槽5に注入された抽残液中の、インジウム濃度は金属換算で0.05 g/L(50 ppm) 、これによって算出したインジウム抽出率は 99.975 %となり、高収率でインジウムが抽出されたことが確かめられた。
【0045】
(比較例2)
実施例3において、抽出塔中間に設けられた薬液注入口9より 10 %水酸化ナトリウム溶液の注入停止と、温度制御をしなかった以外は、全く同じ条件で同じ向流式連続抽出装置を使用して、インジウムイオンを含む硝酸溶液から、D2EHPAによって硝酸インジウムを抽出した。その結果、抽出塔から取り出された抽残液中に残留したインジウムは、金属換算で濃度 38g/Lであった。これよって算出したインジウム抽出率は 81%であった。また、温度調節をしなかったため硝酸溶液と D2EHPA 混合液との相分離がやや不良であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明は抽出塔の中間部に薬液注入口及び攪拌装置を設けた向流接触式連続抽出装置である。抽出の過程で抽出原液と溶媒間で被抽質以外のその他の成分の相互の溶解或いは、反応による抽出塔内の酸濃度の変化によって、被抽質の分配係数が低下して抽出効率が大幅に低下する場合がある。本発明の抽出装置はそのような場合に薬液注入口より、分配係数の低下を防止できる成分を注入することによって、分配係数を上昇させて抽出効率を高める効果を有するものである。更にこの装置を白金又はインジウム等の回収に適用することによって、大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の向流式連続抽出装置の一態様の構成図を示す。
【符号の説明】
1 抽出原液槽
2 抽出塔
3 上部分離室
4 下部分離室
5 抽残液受槽
6 抽出溶媒槽
7 抽出液受槽
8 薬液槽
9 薬液注入口
10 開口部 (加熱装置取付口)
11 温度制御装置
12 開口部 (温度センサー取付口)
13 温度センサー
14 温度制御装置
Claims (2)
- 上部及び下部に抽出原液と抽出溶媒の分離室を設け、その中間部に抽出室を設けた抽出装置において、該抽出室に1つまたは複数の分配係数調整用の薬液注入口及び攪拌装置、及び/ 又は温度制御装置を設けてなる、向流式連続抽出装置。
- 金属イオンを含有する酸性水溶液を抽出原液とし、主成分が有機リン酸化合物系溶剤を抽出溶媒として、抽出室の中間部に設けられた薬液注入口より、酸を注入しながら、請求項1記載の向流式連続抽出装置による、該金属イオンの抽出・濃縮方法。
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