JP2004323649A - 成形材料および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイナスイオンを多量に発生する実用的な成形品、およびそれを得ることのできる成形材料を提供すること。
【解決手段】本発明の成形材料は、未硬化の熱硬化性樹脂100重量部、木質系充填材70〜120重量部、トルマリン17〜73重量部、および、励起剤6〜30重量部を含んで成っている。木質系充填材は、熱硬化性樹脂およびシートパルプを含んで成る積層板を粉砕して得た積層板砕粉中のシートパルプ砕粉を用いてもよい。また、本発明の成形品は上記の成形材料から成形されたものである。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の成形材料は、未硬化の熱硬化性樹脂100重量部、木質系充填材70〜120重量部、トルマリン17〜73重量部、および、励起剤6〜30重量部を含んで成っている。木質系充填材は、熱硬化性樹脂およびシートパルプを含んで成る積層板を粉砕して得た積層板砕粉中のシートパルプ砕粉を用いてもよい。また、本発明の成形品は上記の成形材料から成形されたものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多量のマイナスイオンを発生する成形品、およびその原料となる成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
宝石の一種として知られるトルマリンは、世界各地で良質なものが産出されている。このトルマリンは対称軸を持たない多面体の結晶系鉱物で、別名電気石とも呼ばれるように多面体結晶の尖った部分がプラス極を形成し反対側の平らな部分がマイナス極を形成している。そして、トルマリンの表面は電気的中和のためにイオンが吸着していると考えられている。かかるトルマリンに放射線を放射すると、トルマリンが励起してマイナスイオンを発生することも知られている。
【0003】
そこで、トルマリンにマイナスイオンを発生させる放射線を放出する材料(以下、励起剤という)と、トルマリンを併存させると、放出された放射線によってトルマリン結晶内の電界が乱され、結果としてトルマリン結晶の表面にマイナスイオンを発生させたり、あるいは、放射線がマイナスイオンを発生しながらトルマリンの極近くを通過することで、トルマリンの表面の電気的中和条件が乱されてマイナスイオンが発生するとされている。
【0004】
ところで、マイナスイオンは森林や滝周辺の自然環境に多量に存在し、ストレス解消に寄与して人体の精神衛生上に好影響を与えることが知られている。そこで、トルマリンとその励起剤を、ウレタン樹脂やシリコン樹脂などの熱硬化性樹脂に混合した成形材料が開発され、下記の特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−19420号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の特許文献1に関連技術が記載されているといえども、外観がよく機械強度の高い成形品を得るための成形性と、得られた成形品が実用的な量のマイナスイオンを発生し得る物性とを兼ね備えた成形材料は未だに実現されていない。
本発明はかかる従来事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マイナスイオンを多量に発生する実用的な成形品、およびそれを得ることのできる成形材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、熱硬化性樹脂、木質系充填材、トルマリン、および、励起剤をそれぞれ所定量含む成形材料から、成形時の流動性が良好で所望の目的形状に形成でき、しかもマイナスイオン発生量の多い成形品が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂100重量部、木質系充填材70〜120重量部、トルマリン17〜73重量部、および、励起剤6〜30重量部を含んで成ることを特徴とする成形材料を提供する。また、前記の成形材料から成形された成形品を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の成形材料に用いる未硬化の熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えばノボラック型または固形レゾール型のフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。本発明の成形材料において、熱硬化性樹脂は成形材料全体の25〜45wt%が配合される。また、これらの熱硬化性樹脂は80メッシュ篩通過分以下の細かな粉体にして使用される。
【0009】
成形時に熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤は、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜のものが選択される。例えば、ノボラック型フェノール樹脂用としてヘキサメチレンテトラミンなどが使用され、ユリア樹脂用としてシュウ酸ジメチルエステル、フタル酸無水物、有機ハロゲン化物、アミン塩酸塩、サリチル酸尿素アダクト、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどが使用され、メラミン樹脂用としてフタル酸無水物、ピリジン塩酸塩、第二リン酸アンモニウムなどが使用される。硬化剤の配合量は硬化作用と経済性を考慮して、熱硬化性樹脂100部に対し10〜15重量部とすることが望ましい。
【0010】
本発明に用いる木質系充填剤としては、例えば、スギ、モミ、ナラ、カバなどの木材を粉砕して得た木粉、シートパルプなどを粉砕して得たパルプ粉末などが挙げられる。更には、熱硬化性樹脂およびシートパルプを含んで成る積層板を粉砕して得た積層板砕粉中のシートパルプ砕粉も、本発明の木質系充填剤となる。一般に、積層板中のシートパルプ含有率は45〜70wt%程度である。かかる種々の木質系充填剤は取扱い可能な粒径範囲で60メッシュ篩通過分以下の細かな粉体を使用することが好ましい。
尚、無機質系充填剤を添加すると、理由は不明であるが成形品のマイナスイオン発生量が激減して実用性が損なわれるので好ましくない。かかる無機質系充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バンド、ガラス繊維などがある。
【0011】
トルマリンは、ミクロン単位に微粉砕しても、個々の微結晶の両端にそれぞれプラスとマイナスの電極を生じる特性(自発分極特性)が鉱石のなかで最も大きい。従って、本発明におけるトルマリンは取扱い可能な粒径範囲で可能な限り微細な粉体にして用いることがマイナスイオン発生効率を高めるうえで好ましく、例えば平均粒径0.1〜150μmの粉体にする。より好ましくは、平均粒径0.1〜40μmの粉体にするのがよい。
【0012】
成形材料におけるトルマリンの配合量は、成形性を損なわない範囲で、かつ、できる限り多量のマイナスイオンを発生させる量であればよく、本発明では熱硬化性樹脂100重量部に対し17〜73重量部である。上記したトルマリンの配合量が17重量部を下回ると、得られた成形品のマイナスイオン発生量が激減して実用性を損なう。一方、トルマリンの配合量が73重量部を上回ると、成形性がいくぶん低下する。また、トルマリンは比較的高価であるため、製造コストが高騰するという不具合もある。
【0013】
本発明で使用する励起剤は1g当たりから放射される放射線量が約14〜40Bqのものが望ましい。かかる放射線量は人体に害を及ぼさない強さであり、成形品が人体に悪影響を及ぼすことはない。このような励起剤としては、例えば、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、ツャムン石、メタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モズナ石などが挙げられる。これらは微粉末あるいはこれらを一部含む鉱石の微粉末をシリカなどに混合して焼結後再び微粉末にして用いられる。励起剤の粉末は、平均粒径が3μmのものを90wt%以上含み、かつ、最大粒径が10μm以下である粉末が用いられる。これらの励起剤から放射される放射線がトルマリンに照射されることにより、トルマリンから電磁波ないしマイナスイオンが放出される。
【0014】
成形材料における励起剤の配合量は、トルマリンからできる限り多くのマイナスイオンを発生させ、かつ、成形性を損なわない程度の量であればよく、本発明では熱硬化性樹脂100重量部に対し6〜30重量部としてある。前記励起剤の配合量が6重量部を下回ると、得られた成形品からのマイナスイオン発生量が低下する。一方、前記励起剤の配合量が30重量部を上回ると、成形性に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0015】
本発明の成形材料には、上記のほか、離型剤、着色剤など熱硬化性樹脂に用いられる副資材を適宜添加することができる。上記の離型剤は成形品を金型キャビティから容易に離脱し得るものであれば特に限定されず、例えばステアリン酸、カルバナロウ、シリコングリースなどが挙げられる。着色剤も成形材料全体に対する添加量が比較的少量であることから、熱硬化性樹脂に汎用されるものであれば特に限定されない。但し、マイナスイオン発生阻害を避けるために、無機顔料でなく有機顔料を使用することが好ましい。
【0016】
これら成形材料を構成する構成材料は、成形時の均一な加熱、流動、放熱、硬化などを考慮して、粉体が用いられる。各構成材料の粉体を得る手段は特に限定されないが、例えば衝撃粉砕機(奈良式粉砕機)やボールミルなどが使用される。また、これらの構成材料を混合する手段も特に限定されないが、例えばリボンミキサーなどを用いて構成材料が1次混合される。1次混合を終えた成形材料は90〜130℃に保持した混練ロールやコーニーダーで2次混合されたのちに放冷されて塊状となる。成形操作にあたっては、塊状の成形材料がボールミルなどで所望の粒度に破砕されて使用される。
【0017】
上記のように調製された本発明の成形材料の粉体は、直圧成形または射出成形により成形される。この成形材料を成形する手段は特に限定されないが、通常に使用される成形設備および成形技術をそのまま利用することができる。
上記した成形手段による成形圧力は、直圧成形と射出成形とを問わず、14.7〜20.6MPa(150〜210kgf/cm2)とする。成形圧力が14.7MPa未満であると成形が完全とならず成形品が形崩れするおそれがある。一方で、成形圧力が20.6MPaを上回っても成形品を得るうえで支障はないが、成形圧力が高すぎると設備コストの高騰や取扱いの煩雑さを招くおそれがある。
【0018】
また、上記した成形手段による成形温度は、直圧成形と射出成形とを問わず、140〜200℃とするが、好ましくは150〜170℃である。成形温度が140℃未満であると成形が完全でなくなるおそれがある。成形温度が200℃を上回ると、成形品の表面にいわゆる膨れを生じ外観を損なうので好ましくない。
【0019】
本発明に係る成形材料から得られた成形品は様々な用途に適用される。数例を挙げると、日用雑貨、台所用具、浴室用具のような一般家庭用品、エアコン吹出口ハウジング、テレビケーシング、ヘヤードライヤのケーシングのような家電部品、ダッシュボードパネル、カーエアコン吹出口ハウジングのような自動車部品などである。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
「実施例1」
未硬化であるノボラック型(表中にNで示す)のフェノール樹脂の粉体(100メッシュ篩通過分)150g、積層板砕粉(100メッシュ篩通過分でシートパルプ砕粉を約55wt%含有)264g、ヘキサメチレンテトラミン18.8g、ステアリン酸1.2g、フタロシアニンブルー1.2g、トルマリン(平均粒径約20μm分を90%含む粒径分布のもの)84g、デービド鉱の粉体(平均粒径約3mm分を90%含む粒径分布のもの)33gを、ヘンセルミキサー(三井三池製作所社製、製品型番:FM−200F)に投入しミキサー回転数70rpmで常温下15分間の1次混合を実施して成形材料の混合物を得、更に120℃に保った20インチ混練ロールで成形材料の混合物を混練して2次混合としたのちに放冷することにより、塊状の成形材料を得た。この成形材料をボールミルで粉砕し、更に目開き1.5mmの篩を通過した粉体を後述の試験および成形操作に供した。
【0021】
得られた粉体から成形材料の成形性をディスクフロー試験およびモノホールフロー試験により調べた。
ディスクフロー試験(JIS−K−6915準拠)は、成形材料2gを秤量して37tプレス機の受圧面におき、温度160±2℃、圧力65Kg/cm2(ゲージ圧)で加熱・加圧したときに円板状に延伸した成形材料の複数箇所の直径(mm)を測定して平均直径を求め、この平均直径から流動特性すなわち成形性を評価するものである。このディスクフロー試験の試験結果において、100〜120mmの範囲内であれば成形性が良いとされる。モノホールフロー試験は、成形材料30gを秤量して26tプレス機の所定の金型内におき、温度120±2℃、圧力77Kg/cm2(ゲージ圧)で加熱・加圧して金型のノズル(ノズル径2mm)から成形材料をウドン状に押し出し、成形材料の出はじめから押し出し完了までの時間(秒)を測定し、この測定値から成形性を評価するものである。このモノホールフロー試験の試験結果では、30〜140秒の範囲内が成形性が良いとされる。
【0022】
前記した成形材料の粉体を直圧成形機(丸七鉄工所社製の70t−プレス成形機)の金型内に入れ、金型温度160℃で圧力17.7MPa(180kgf/cm2)を60秒間かけてプレス成形し、ガス抜きを1回実施した。これにより、直径126mm、厚さ5mmの円板状成形品が得られた。得られた成形品は、比重が1.25、硬度(Mスケール)が122、変性(耐熱)温度が165℃、揮発分(成形前後の重量差比率)が8wt%であり、耐油性、耐酸性および耐アルカリ性に富んでいる。すなわち、光沢のある外観を呈し実用上十分な機械強度を有する成形品であった。
【0023】
更に、上記の成形品から発生するマイナスイオンの発生量を測定した。マイナスイオンはマイナスイオン測定器(シグマテック社製、型式:SC−50、アダン鉱山中央研究所所有)を用いて測定した。このマイナスイオン測定器は外部から遮断された2重の箱体内が測定室となっていて、この測定室にマイナスイオンを検出する円筒型の検出チャンバが設置され、検出チャンバの前方軸心上の所定サンプル位置に成形品が設置されるようになっている。
【0024】
測定方法は社団法人空気清浄協会指定の測定法に準じる静置法により、電流感度=1×10−17Aで測定した。測定は測定室の扉を開きサンプル位置に成形品を設置して閉扉し、検出チャンバにより検出された電界値から検出チャンバの周囲空間に存在する単位容積当たりのマイナスイオン個数を演算して出力する。閉扉直後からしばらくは検出チャンバ周囲空間におけるバックグラウンド値(マイナスイオン個数)が出力され、引き続きサンプルの成形品に起因するマイナスイオン個数が出力される。成形品に起因するマイナスイオン個数の測定値(平均値)からバックグラウンド値(平均値)を差し引いた値を、成形品から発生したマイナスイオン発生量(個/cc)とし表中に示してある。
【0025】
尚、成形時に生じる揮発分は、成形時の圧力・温度条件下で熱硬化性樹脂や木質系充填剤から発生して蒸散する成分であり成形性に影響を及ぼす。すなわち、揮発分を発生する構成材料が多く含まれていると、成形完了までに時間がかかりすぎるので注意を要する。
【0026】
「実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例6」
実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例6についても、未硬化のフェノール樹脂(100重量部)に対し、積層板砕粉、離型剤、着色剤、トルマリン、および、励起剤の配合量を変えたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を調合し、それぞれから各成形品を得た。
これら実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例6で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表1および表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1、表2中で、成形性の欄のうち、×印は目的とする形(ここでは円板形状)に成形できなかったことを示す。△印はどうにか目的とする形に成形できたことを示す。○印は目的とする成形品が得られたことを示している。総合判定は、成形材料の成形性と、成形品のマイナスイオン発生量の双方を加味して判定した。かかる総合判定の欄のうち、×印は成形品が製品としての使用が不可であることを示す。△印は用途によっては製品としての使用が可能であることを示す。○印は成形性およびマイナスイオン発生能ともに優れていることを示している。これらの表示内容は後述する表3〜表10においても同じである。
【0030】
上記の表1、表2中で、各構成材料を本発明所定の配合割合の範囲内で調合した成形材料(実施例1〜実施例8)はいずれも成形性がよく、表面に膨れなどの発生がなく総合的に優れた品質の成形品を得ることができた。加えて、各成形品からは多量のマイナスイオン(300個/cc以上)の発生が確認された。それに対し、構成材料のいずれかまたは全てを本発明所定の配合割合の範囲外で調合した成形材料(比較例1〜比較例6)は、成形性が劣り成形品自体が使いものにならなかったり、マイナスイオン発生量(100個/cc以下)が少なすぎる。
【0031】
「比較例7〜比較例13」
木質系充填剤として積層板砕粉の替わりに木粉(80メッシュ篩通過粒径)を用い、更に無機系充填剤である炭酸カルシウムを加えたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料(比較例7〜比較例13)を調合し、それぞれから各成形品を得た。炭酸カルシウムの配合割合は未硬化のフェノール樹脂100重量部に対し31〜17重量部とした。これら比較例7〜比較例13で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表3から判るように、炭酸カルシウム以外の構成材料が本発明所定の配合割合範囲に入っている例(比較例8〜比較例11)は良好な成形性を示している。しかしながら、これらの成形材料から得られた成形品であっても、マイナスイオン発生量が低く、実用的であるとは言い難い。
【0034】
「実施例9〜実施例11、比較例14〜比較例17」
次に、熱硬化性樹脂として「ユリヤ樹脂」を用いた例を実施例9〜実施例11、比較例14〜比較例17に示す。熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂の替わりにユリヤ樹脂の粉体(100メッシュ篩通過分)を用い、木質系充填剤として積層板砕粉の替わりにパルプ粉末(120メッシュ篩通過分)を用い、ヘキサメチレンテトラミンの替わりにフタル酸無水物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を調合し、それぞれから各成形品を得た。これら実施例9〜実施例11、比較例14〜比較例17で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
表4のように、ユリア樹脂およびパルプ粉末を用い、かつ、他の構成材料を本発明所定の配合比率範囲内で配合した場合は、成形材料(実施例9〜実施例11)の成形性が良く、成形品から多量のマイナスイオンの発生が観察された。
【0037】
「実施例12〜実施例14、比較例18〜比較例21」
次に、熱硬化性樹脂として「メラミン樹脂」を用いた例を実施例12〜実施例14、比較例18〜比較例21に示す。熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂の替わりにメラミン樹脂の粉体(100メッシュ篩通過分)を用い、木質系充填剤として積層板砕粉の替わりにパルプ粉末(120メッシュ篩通過分)を用い、ヘキサメチレンテトラミンの替わりにフタル酸無水物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を調合し、それぞれから各成形品を得た。これら実施例12〜実施例14、比較例18〜比較例21で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】
表5のように、メラミン樹脂およびパルプ粉末を用い、かつ、他の構成材料を本発明所定の配合比率範囲内で配合した成形材料(実施例12〜実施例14)も成形性が良く、成形品から多量のマイナスイオンの発生が見られた。
【0040】
「比較例22、比較例23」
表4の実施例10または実施例11のようにユリア樹脂およびパルプ粉末を用いた例、表5の実施例13または実施例14のようにメラミン樹脂およびパルプ粉末を用いた例に対し、それぞれ、炭酸カルシウムを添加した成形材料(比較例22、比較例23)を調合し、それぞれから各成形品を得た。これら比較例22、比較例23で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】
表6から判るように、炭酸カルシウムを添加した比較例22、比較例23の成形品は、実施例10、実施例11、実施例13、実施例14の成形品と比べ、マイナスイオン発生量が極端に低下している。これらの比較例からも、無機質系充填剤の添加が成形品からのマイナスイオン発生を阻害していることが判る。
【0043】
これまで述べた実施例のうち、総合判定が○であったもの(実施例2,3,6,7,9,10,11,12,13,14)に関連して、各実施例の配合割合から、トルマリンと励起剤の配合量を増減させた成形材料を調製した。かかる成形材料および成形品の評価を、下記の表7〜表10に示す。この場合も、トルマリンと励起剤の重量比率は20:8としてある。
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】
【表10】
【0048】
これらの表7〜表10で示した通り、トルマリンおよび励起剤の配合量を一定以下にすると、得られた成形品からのマイナスイオン発生量が減少して実用的でなくなった。一方、トルマリンおよび励起剤の配合量を一定以上にしたところ、成形性がいくぶん低下し(△印)、高価なトルマリンの増量に起因して製造コストが高騰した。
【0049】
これまでに述べた種々の実施形態では、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂といった熱硬化性樹脂を配合して好結果を得ている。これに対し、前記の熱硬化性樹脂に替えて熱可塑性樹脂を配合した成形材料を調整した。
例えば、上記の実施例10において、ユリア樹脂に替えてポリプロピレンペレットを配合するとともに硬化剤を省略し、残りの構成材料の配合割合は実施例10と同様にして成形材料を得た。この成形材料から直圧成形により成形品を得たが、成形品から生じるマイナスイオンの量は逆にバックグラウンド値よりも減少(90個/cc減)するという結果となった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る成形材料によれば、未硬化の熱硬化性樹脂、木質系充填材、トルマリン、および、励起剤がそれぞれ所定割合で配合されているので、成形性がよいことは言うまでもなく、多量のマイナスイオンを発生する実用的な成形品を得ることができた。換言すれば、人体に悪影響を及ぼすと言われているプラスイオンを減少させる効果もある。そのうえ、この成形品は電力を消費してマイナスイオンを発生させるものでないため、ほぼメンテナンスフリーの態様で利用することができる。
【0051】
また、木質系充填材として、積層板砕粉中に含まれているシートパルプ砕粉を利用する場合は、廃棄処分に付される積層板を有効にリサイクル活用できるうえ、積層板に含まれる熱硬化性樹脂も同時に再利用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、多量のマイナスイオンを発生する成形品、およびその原料となる成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
宝石の一種として知られるトルマリンは、世界各地で良質なものが産出されている。このトルマリンは対称軸を持たない多面体の結晶系鉱物で、別名電気石とも呼ばれるように多面体結晶の尖った部分がプラス極を形成し反対側の平らな部分がマイナス極を形成している。そして、トルマリンの表面は電気的中和のためにイオンが吸着していると考えられている。かかるトルマリンに放射線を放射すると、トルマリンが励起してマイナスイオンを発生することも知られている。
【0003】
そこで、トルマリンにマイナスイオンを発生させる放射線を放出する材料(以下、励起剤という)と、トルマリンを併存させると、放出された放射線によってトルマリン結晶内の電界が乱され、結果としてトルマリン結晶の表面にマイナスイオンを発生させたり、あるいは、放射線がマイナスイオンを発生しながらトルマリンの極近くを通過することで、トルマリンの表面の電気的中和条件が乱されてマイナスイオンが発生するとされている。
【0004】
ところで、マイナスイオンは森林や滝周辺の自然環境に多量に存在し、ストレス解消に寄与して人体の精神衛生上に好影響を与えることが知られている。そこで、トルマリンとその励起剤を、ウレタン樹脂やシリコン樹脂などの熱硬化性樹脂に混合した成形材料が開発され、下記の特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−19420号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の特許文献1に関連技術が記載されているといえども、外観がよく機械強度の高い成形品を得るための成形性と、得られた成形品が実用的な量のマイナスイオンを発生し得る物性とを兼ね備えた成形材料は未だに実現されていない。
本発明はかかる従来事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マイナスイオンを多量に発生する実用的な成形品、およびそれを得ることのできる成形材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、熱硬化性樹脂、木質系充填材、トルマリン、および、励起剤をそれぞれ所定量含む成形材料から、成形時の流動性が良好で所望の目的形状に形成でき、しかもマイナスイオン発生量の多い成形品が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂100重量部、木質系充填材70〜120重量部、トルマリン17〜73重量部、および、励起剤6〜30重量部を含んで成ることを特徴とする成形材料を提供する。また、前記の成形材料から成形された成形品を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の成形材料に用いる未硬化の熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えばノボラック型または固形レゾール型のフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。本発明の成形材料において、熱硬化性樹脂は成形材料全体の25〜45wt%が配合される。また、これらの熱硬化性樹脂は80メッシュ篩通過分以下の細かな粉体にして使用される。
【0009】
成形時に熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤は、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜のものが選択される。例えば、ノボラック型フェノール樹脂用としてヘキサメチレンテトラミンなどが使用され、ユリア樹脂用としてシュウ酸ジメチルエステル、フタル酸無水物、有機ハロゲン化物、アミン塩酸塩、サリチル酸尿素アダクト、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどが使用され、メラミン樹脂用としてフタル酸無水物、ピリジン塩酸塩、第二リン酸アンモニウムなどが使用される。硬化剤の配合量は硬化作用と経済性を考慮して、熱硬化性樹脂100部に対し10〜15重量部とすることが望ましい。
【0010】
本発明に用いる木質系充填剤としては、例えば、スギ、モミ、ナラ、カバなどの木材を粉砕して得た木粉、シートパルプなどを粉砕して得たパルプ粉末などが挙げられる。更には、熱硬化性樹脂およびシートパルプを含んで成る積層板を粉砕して得た積層板砕粉中のシートパルプ砕粉も、本発明の木質系充填剤となる。一般に、積層板中のシートパルプ含有率は45〜70wt%程度である。かかる種々の木質系充填剤は取扱い可能な粒径範囲で60メッシュ篩通過分以下の細かな粉体を使用することが好ましい。
尚、無機質系充填剤を添加すると、理由は不明であるが成形品のマイナスイオン発生量が激減して実用性が損なわれるので好ましくない。かかる無機質系充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バンド、ガラス繊維などがある。
【0011】
トルマリンは、ミクロン単位に微粉砕しても、個々の微結晶の両端にそれぞれプラスとマイナスの電極を生じる特性(自発分極特性)が鉱石のなかで最も大きい。従って、本発明におけるトルマリンは取扱い可能な粒径範囲で可能な限り微細な粉体にして用いることがマイナスイオン発生効率を高めるうえで好ましく、例えば平均粒径0.1〜150μmの粉体にする。より好ましくは、平均粒径0.1〜40μmの粉体にするのがよい。
【0012】
成形材料におけるトルマリンの配合量は、成形性を損なわない範囲で、かつ、できる限り多量のマイナスイオンを発生させる量であればよく、本発明では熱硬化性樹脂100重量部に対し17〜73重量部である。上記したトルマリンの配合量が17重量部を下回ると、得られた成形品のマイナスイオン発生量が激減して実用性を損なう。一方、トルマリンの配合量が73重量部を上回ると、成形性がいくぶん低下する。また、トルマリンは比較的高価であるため、製造コストが高騰するという不具合もある。
【0013】
本発明で使用する励起剤は1g当たりから放射される放射線量が約14〜40Bqのものが望ましい。かかる放射線量は人体に害を及ぼさない強さであり、成形品が人体に悪影響を及ぼすことはない。このような励起剤としては、例えば、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、ツャムン石、メタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モズナ石などが挙げられる。これらは微粉末あるいはこれらを一部含む鉱石の微粉末をシリカなどに混合して焼結後再び微粉末にして用いられる。励起剤の粉末は、平均粒径が3μmのものを90wt%以上含み、かつ、最大粒径が10μm以下である粉末が用いられる。これらの励起剤から放射される放射線がトルマリンに照射されることにより、トルマリンから電磁波ないしマイナスイオンが放出される。
【0014】
成形材料における励起剤の配合量は、トルマリンからできる限り多くのマイナスイオンを発生させ、かつ、成形性を損なわない程度の量であればよく、本発明では熱硬化性樹脂100重量部に対し6〜30重量部としてある。前記励起剤の配合量が6重量部を下回ると、得られた成形品からのマイナスイオン発生量が低下する。一方、前記励起剤の配合量が30重量部を上回ると、成形性に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0015】
本発明の成形材料には、上記のほか、離型剤、着色剤など熱硬化性樹脂に用いられる副資材を適宜添加することができる。上記の離型剤は成形品を金型キャビティから容易に離脱し得るものであれば特に限定されず、例えばステアリン酸、カルバナロウ、シリコングリースなどが挙げられる。着色剤も成形材料全体に対する添加量が比較的少量であることから、熱硬化性樹脂に汎用されるものであれば特に限定されない。但し、マイナスイオン発生阻害を避けるために、無機顔料でなく有機顔料を使用することが好ましい。
【0016】
これら成形材料を構成する構成材料は、成形時の均一な加熱、流動、放熱、硬化などを考慮して、粉体が用いられる。各構成材料の粉体を得る手段は特に限定されないが、例えば衝撃粉砕機(奈良式粉砕機)やボールミルなどが使用される。また、これらの構成材料を混合する手段も特に限定されないが、例えばリボンミキサーなどを用いて構成材料が1次混合される。1次混合を終えた成形材料は90〜130℃に保持した混練ロールやコーニーダーで2次混合されたのちに放冷されて塊状となる。成形操作にあたっては、塊状の成形材料がボールミルなどで所望の粒度に破砕されて使用される。
【0017】
上記のように調製された本発明の成形材料の粉体は、直圧成形または射出成形により成形される。この成形材料を成形する手段は特に限定されないが、通常に使用される成形設備および成形技術をそのまま利用することができる。
上記した成形手段による成形圧力は、直圧成形と射出成形とを問わず、14.7〜20.6MPa(150〜210kgf/cm2)とする。成形圧力が14.7MPa未満であると成形が完全とならず成形品が形崩れするおそれがある。一方で、成形圧力が20.6MPaを上回っても成形品を得るうえで支障はないが、成形圧力が高すぎると設備コストの高騰や取扱いの煩雑さを招くおそれがある。
【0018】
また、上記した成形手段による成形温度は、直圧成形と射出成形とを問わず、140〜200℃とするが、好ましくは150〜170℃である。成形温度が140℃未満であると成形が完全でなくなるおそれがある。成形温度が200℃を上回ると、成形品の表面にいわゆる膨れを生じ外観を損なうので好ましくない。
【0019】
本発明に係る成形材料から得られた成形品は様々な用途に適用される。数例を挙げると、日用雑貨、台所用具、浴室用具のような一般家庭用品、エアコン吹出口ハウジング、テレビケーシング、ヘヤードライヤのケーシングのような家電部品、ダッシュボードパネル、カーエアコン吹出口ハウジングのような自動車部品などである。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
「実施例1」
未硬化であるノボラック型(表中にNで示す)のフェノール樹脂の粉体(100メッシュ篩通過分)150g、積層板砕粉(100メッシュ篩通過分でシートパルプ砕粉を約55wt%含有)264g、ヘキサメチレンテトラミン18.8g、ステアリン酸1.2g、フタロシアニンブルー1.2g、トルマリン(平均粒径約20μm分を90%含む粒径分布のもの)84g、デービド鉱の粉体(平均粒径約3mm分を90%含む粒径分布のもの)33gを、ヘンセルミキサー(三井三池製作所社製、製品型番:FM−200F)に投入しミキサー回転数70rpmで常温下15分間の1次混合を実施して成形材料の混合物を得、更に120℃に保った20インチ混練ロールで成形材料の混合物を混練して2次混合としたのちに放冷することにより、塊状の成形材料を得た。この成形材料をボールミルで粉砕し、更に目開き1.5mmの篩を通過した粉体を後述の試験および成形操作に供した。
【0021】
得られた粉体から成形材料の成形性をディスクフロー試験およびモノホールフロー試験により調べた。
ディスクフロー試験(JIS−K−6915準拠)は、成形材料2gを秤量して37tプレス機の受圧面におき、温度160±2℃、圧力65Kg/cm2(ゲージ圧)で加熱・加圧したときに円板状に延伸した成形材料の複数箇所の直径(mm)を測定して平均直径を求め、この平均直径から流動特性すなわち成形性を評価するものである。このディスクフロー試験の試験結果において、100〜120mmの範囲内であれば成形性が良いとされる。モノホールフロー試験は、成形材料30gを秤量して26tプレス機の所定の金型内におき、温度120±2℃、圧力77Kg/cm2(ゲージ圧)で加熱・加圧して金型のノズル(ノズル径2mm)から成形材料をウドン状に押し出し、成形材料の出はじめから押し出し完了までの時間(秒)を測定し、この測定値から成形性を評価するものである。このモノホールフロー試験の試験結果では、30〜140秒の範囲内が成形性が良いとされる。
【0022】
前記した成形材料の粉体を直圧成形機(丸七鉄工所社製の70t−プレス成形機)の金型内に入れ、金型温度160℃で圧力17.7MPa(180kgf/cm2)を60秒間かけてプレス成形し、ガス抜きを1回実施した。これにより、直径126mm、厚さ5mmの円板状成形品が得られた。得られた成形品は、比重が1.25、硬度(Mスケール)が122、変性(耐熱)温度が165℃、揮発分(成形前後の重量差比率)が8wt%であり、耐油性、耐酸性および耐アルカリ性に富んでいる。すなわち、光沢のある外観を呈し実用上十分な機械強度を有する成形品であった。
【0023】
更に、上記の成形品から発生するマイナスイオンの発生量を測定した。マイナスイオンはマイナスイオン測定器(シグマテック社製、型式:SC−50、アダン鉱山中央研究所所有)を用いて測定した。このマイナスイオン測定器は外部から遮断された2重の箱体内が測定室となっていて、この測定室にマイナスイオンを検出する円筒型の検出チャンバが設置され、検出チャンバの前方軸心上の所定サンプル位置に成形品が設置されるようになっている。
【0024】
測定方法は社団法人空気清浄協会指定の測定法に準じる静置法により、電流感度=1×10−17Aで測定した。測定は測定室の扉を開きサンプル位置に成形品を設置して閉扉し、検出チャンバにより検出された電界値から検出チャンバの周囲空間に存在する単位容積当たりのマイナスイオン個数を演算して出力する。閉扉直後からしばらくは検出チャンバ周囲空間におけるバックグラウンド値(マイナスイオン個数)が出力され、引き続きサンプルの成形品に起因するマイナスイオン個数が出力される。成形品に起因するマイナスイオン個数の測定値(平均値)からバックグラウンド値(平均値)を差し引いた値を、成形品から発生したマイナスイオン発生量(個/cc)とし表中に示してある。
【0025】
尚、成形時に生じる揮発分は、成形時の圧力・温度条件下で熱硬化性樹脂や木質系充填剤から発生して蒸散する成分であり成形性に影響を及ぼす。すなわち、揮発分を発生する構成材料が多く含まれていると、成形完了までに時間がかかりすぎるので注意を要する。
【0026】
「実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例6」
実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例6についても、未硬化のフェノール樹脂(100重量部)に対し、積層板砕粉、離型剤、着色剤、トルマリン、および、励起剤の配合量を変えたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を調合し、それぞれから各成形品を得た。
これら実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例6で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表1および表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1、表2中で、成形性の欄のうち、×印は目的とする形(ここでは円板形状)に成形できなかったことを示す。△印はどうにか目的とする形に成形できたことを示す。○印は目的とする成形品が得られたことを示している。総合判定は、成形材料の成形性と、成形品のマイナスイオン発生量の双方を加味して判定した。かかる総合判定の欄のうち、×印は成形品が製品としての使用が不可であることを示す。△印は用途によっては製品としての使用が可能であることを示す。○印は成形性およびマイナスイオン発生能ともに優れていることを示している。これらの表示内容は後述する表3〜表10においても同じである。
【0030】
上記の表1、表2中で、各構成材料を本発明所定の配合割合の範囲内で調合した成形材料(実施例1〜実施例8)はいずれも成形性がよく、表面に膨れなどの発生がなく総合的に優れた品質の成形品を得ることができた。加えて、各成形品からは多量のマイナスイオン(300個/cc以上)の発生が確認された。それに対し、構成材料のいずれかまたは全てを本発明所定の配合割合の範囲外で調合した成形材料(比較例1〜比較例6)は、成形性が劣り成形品自体が使いものにならなかったり、マイナスイオン発生量(100個/cc以下)が少なすぎる。
【0031】
「比較例7〜比較例13」
木質系充填剤として積層板砕粉の替わりに木粉(80メッシュ篩通過粒径)を用い、更に無機系充填剤である炭酸カルシウムを加えたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料(比較例7〜比較例13)を調合し、それぞれから各成形品を得た。炭酸カルシウムの配合割合は未硬化のフェノール樹脂100重量部に対し31〜17重量部とした。これら比較例7〜比較例13で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表3から判るように、炭酸カルシウム以外の構成材料が本発明所定の配合割合範囲に入っている例(比較例8〜比較例11)は良好な成形性を示している。しかしながら、これらの成形材料から得られた成形品であっても、マイナスイオン発生量が低く、実用的であるとは言い難い。
【0034】
「実施例9〜実施例11、比較例14〜比較例17」
次に、熱硬化性樹脂として「ユリヤ樹脂」を用いた例を実施例9〜実施例11、比較例14〜比較例17に示す。熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂の替わりにユリヤ樹脂の粉体(100メッシュ篩通過分)を用い、木質系充填剤として積層板砕粉の替わりにパルプ粉末(120メッシュ篩通過分)を用い、ヘキサメチレンテトラミンの替わりにフタル酸無水物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を調合し、それぞれから各成形品を得た。これら実施例9〜実施例11、比較例14〜比較例17で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
表4のように、ユリア樹脂およびパルプ粉末を用い、かつ、他の構成材料を本発明所定の配合比率範囲内で配合した場合は、成形材料(実施例9〜実施例11)の成形性が良く、成形品から多量のマイナスイオンの発生が観察された。
【0037】
「実施例12〜実施例14、比較例18〜比較例21」
次に、熱硬化性樹脂として「メラミン樹脂」を用いた例を実施例12〜実施例14、比較例18〜比較例21に示す。熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂の替わりにメラミン樹脂の粉体(100メッシュ篩通過分)を用い、木質系充填剤として積層板砕粉の替わりにパルプ粉末(120メッシュ篩通過分)を用い、ヘキサメチレンテトラミンの替わりにフタル酸無水物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を調合し、それぞれから各成形品を得た。これら実施例12〜実施例14、比較例18〜比較例21で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】
表5のように、メラミン樹脂およびパルプ粉末を用い、かつ、他の構成材料を本発明所定の配合比率範囲内で配合した成形材料(実施例12〜実施例14)も成形性が良く、成形品から多量のマイナスイオンの発生が見られた。
【0040】
「比較例22、比較例23」
表4の実施例10または実施例11のようにユリア樹脂およびパルプ粉末を用いた例、表5の実施例13または実施例14のようにメラミン樹脂およびパルプ粉末を用いた例に対し、それぞれ、炭酸カルシウムを添加した成形材料(比較例22、比較例23)を調合し、それぞれから各成形品を得た。これら比較例22、比較例23で調整した成形材料の配合比率と、成形性試験結果、および評価を、下記の表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】
表6から判るように、炭酸カルシウムを添加した比較例22、比較例23の成形品は、実施例10、実施例11、実施例13、実施例14の成形品と比べ、マイナスイオン発生量が極端に低下している。これらの比較例からも、無機質系充填剤の添加が成形品からのマイナスイオン発生を阻害していることが判る。
【0043】
これまで述べた実施例のうち、総合判定が○であったもの(実施例2,3,6,7,9,10,11,12,13,14)に関連して、各実施例の配合割合から、トルマリンと励起剤の配合量を増減させた成形材料を調製した。かかる成形材料および成形品の評価を、下記の表7〜表10に示す。この場合も、トルマリンと励起剤の重量比率は20:8としてある。
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】
【表10】
【0048】
これらの表7〜表10で示した通り、トルマリンおよび励起剤の配合量を一定以下にすると、得られた成形品からのマイナスイオン発生量が減少して実用的でなくなった。一方、トルマリンおよび励起剤の配合量を一定以上にしたところ、成形性がいくぶん低下し(△印)、高価なトルマリンの増量に起因して製造コストが高騰した。
【0049】
これまでに述べた種々の実施形態では、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂といった熱硬化性樹脂を配合して好結果を得ている。これに対し、前記の熱硬化性樹脂に替えて熱可塑性樹脂を配合した成形材料を調整した。
例えば、上記の実施例10において、ユリア樹脂に替えてポリプロピレンペレットを配合するとともに硬化剤を省略し、残りの構成材料の配合割合は実施例10と同様にして成形材料を得た。この成形材料から直圧成形により成形品を得たが、成形品から生じるマイナスイオンの量は逆にバックグラウンド値よりも減少(90個/cc減)するという結果となった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る成形材料によれば、未硬化の熱硬化性樹脂、木質系充填材、トルマリン、および、励起剤がそれぞれ所定割合で配合されているので、成形性がよいことは言うまでもなく、多量のマイナスイオンを発生する実用的な成形品を得ることができた。換言すれば、人体に悪影響を及ぼすと言われているプラスイオンを減少させる効果もある。そのうえ、この成形品は電力を消費してマイナスイオンを発生させるものでないため、ほぼメンテナンスフリーの態様で利用することができる。
【0051】
また、木質系充填材として、積層板砕粉中に含まれているシートパルプ砕粉を利用する場合は、廃棄処分に付される積層板を有効にリサイクル活用できるうえ、積層板に含まれる熱硬化性樹脂も同時に再利用することができる。
Claims (3)
- 未硬化の熱硬化性樹脂100重量部、木質系充填材70〜120重量部、トルマリン17〜73重量部、および、励起剤6〜30重量部を含んで成ることを特徴とする成形材料。
- 木質系充填材が、熱硬化性樹脂およびシートパルプを含んで成る積層板を粉砕して得た積層板砕粉中のシートパルプ砕粉である請求項1に記載の成形材料。
- 未硬化の熱硬化性樹脂100重量部、木質系充填材70〜120重量部、トルマリン17〜73重量部、および、励起剤6〜30重量部を含んで成る成形材料から成形された成形品。
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