JP2004321948A - 微粒子のパターニング方法 - Google Patents
微粒子のパターニング方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004321948A JP2004321948A JP2003120532A JP2003120532A JP2004321948A JP 2004321948 A JP2004321948 A JP 2004321948A JP 2003120532 A JP2003120532 A JP 2003120532A JP 2003120532 A JP2003120532 A JP 2003120532A JP 2004321948 A JP2004321948 A JP 2004321948A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fine particles
- patterning
- low
- polymer
- molecular liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】低分子液体中の微粒子を容易にパターニングする方法を提供すること。
【解決手段】粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子から選ばれる一種又は二種以上の微粒子を含む低分子液体から、選択的に該微粒子をパターニングする方法であって、結晶相又は凝集相を有する高分子体を該低分子液体に、該低分子液体の20質量%以下の割合で混合することにより、上記高分子体に網状連続相構造を形成せしめ、該網状構造に上記微粒子を付着させる微粒子のパターニング方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子から選ばれる一種又は二種以上の微粒子を含む低分子液体から、選択的に該微粒子をパターニングする方法であって、結晶相又は凝集相を有する高分子体を該低分子液体に、該低分子液体の20質量%以下の割合で混合することにより、上記高分子体に網状連続相構造を形成せしめ、該網状構造に上記微粒子を付着させる微粒子のパターニング方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子液体中の微粒子を容易にパターニングすることができる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、低分子液体の微粒子を回収し、固液分離する方法としては、シックナーや沈殿池による方法、凝集剤を用いる方法、フィルターによる濾過法等が用いられている。しかしながら、シックナーや沈殿池を用いる場合は、微粒子を沈降させるのに時間がかかり、凝集剤を用いる場合には、液層に凝集剤が残留するという問題があり、フィルターによる濾過法は、フィルターの目詰まりのために濾過速度が遅くなるという問題がある。また、これらのいずれの分離方法でも、微粒子の粒径がナノメートルオーダーである場合、低分子液体と微粒子とを分離することは不可能である。
そこで、微粒子をパターニングすることによって、低分子液体から微粒子を分離する方法が考えられ、パターニング方法としては、ブロック共重合体のミクロ分離構造を用いて微粒子をパターニングする方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このパターニング方法は、ポリマーが形成するナノメートルオーダーの構造を巧みに用いた方法であり、分子オーダーの近傍、すなわちナノメートルオーダーのパターニングには好適である。しかしながら、このパターニング方法によりマイクロメートル領域の微粒子のパターニングを行うことは難しい。このパターニング方法においても、十〜数百マイクロメートルの鎖長を持つ高分子体を使用すれば、十〜数百マイクロメートルオーダーの微粒子のパターニングが可能であると推定されるが、現状ではそのような報告はされていない。
【0003】
【非特許文献1】
堀内ら「金属ナノ粒子のマイクロ〜ナノパターニング」、第1回高分子ナノテクノロジー研究討論会、講演要旨集、2003年3月5日、p29−30
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、低分子液体中の微粒子を容易にパターニングする方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微粒子を含む低分子液体に、結晶相又は凝集相を含む高分子体を特定量混合して高分子体に網状連続相構造を形成せしめることにより、この網状連続相構造に微粒子が付着され、偏在することによって、2次元的あるいは3次元的に十〜数百マイクロメートルオーダーの幾何学的模様を有する微粒子のパターンが形成されるため、低分子液体から分離された微粒子が容易にパターニングされることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子から選ばれる一種又は二種以上の微粒子を含む低分子液体から、選択的に該微粒子をパターニングする方法であって、結晶相又は凝集相を有する高分子体を該低分子液体に、該低分子液体の20質量%以下の割合で混合することにより、上記高分子体に網状連続相構造を形成せしめ、該網状構造に上記微粒子を付着させることを特徴とする微粒子のパターニング方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のパターニング方法は、粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子の全てについて適用されるものであり、粒子径が100nm〜10μmのものについてその効果がより発揮され、粒子径が1〜10μmのものについてさらにその効果が発揮される。本発明のパターニング方法は、低分子液体中にこれらの微粒子が単独で存在する場合でも、二種以上存在する場合でも適用することができる。微粒子が単独で存在する場合とは、例えば無機微粒子が一種存在する場合などをいい、微粒子が二種以上存在する場合とは、例えば、無機微粒子が二種存在する場合、金属微粒子と無機微粒子と有機微粒子とが存在する場合などをいう。
金属微粒子としては全ての金属が挙げられ、無機微粒子としては、カーボンブラック、クレー,珪藻土,シリカ,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物(酸化スズ,酸化チタン,酸化亜鉛等),マイカ,グラファイト,水酸化アルミニウムなどが挙げられる。有機微粒子としては、粉末ポリマーなどが挙げられる。
【0007】
これらの微粒子を含む低分子液体は、重量平均分子量が3万未満、好ましくは1万以下、さらに好ましくは3000以下のものである。具体的には、水、アルコール;アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等の各種ゴム用或いは樹脂用軟化剤(鉱物油系としては、芳香族系,ナフテン系,パラフィン系などのプロセス油など、植物油系としては、ひまし油,綿実油,あまに油,なたね油,大豆油,パーム油,やし油,落花生油,木ろう,パインオイル,オリーブ油など);フタル酸エステル,フタル酸混基エステル,脂肪族二塩基酸エステル,グリコールエステル,脂肪酸エステル,リン酸エステル,ステアリン酸エステル等の各種エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤、その他プラスチック用可塑剤又はフタレート系,アジペード系,セバケート系,フォスフェート系,ポリエーテル系,ポリエステル系などのNBR用可塑剤;クラウンエーテル,含フッ素オリゴマー,ポリイソブチレン,キシレン樹脂,塩化ゴム,ポリエチレンワックス,石油樹脂,ロジンエステルゴム,ポリアルキレングリコールジアクリレート,液状ゴム(ポリブタジエン,スチレン−ブタジエンゴム,ブタジエン−アクリロニトリルゴム,ポリクロロプレンゴムなど)シリコーン系オリゴマー,ポリ−α−オレフィンなどの各種オリゴマー;パラフィン,ワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸,オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド,アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステル,脂肪酸多価アルコールエステル,脂肪酸ポリグリコールエステルなどのエステル系滑剤、脂肪族アルコール,多価アルコール,ポリグリコール,ポリグリセリンなどのアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤などの各種滑剤が挙げられる。
【0008】
本発明で用いる高分子体は、重量平均分子量が3万以上、好ましくは5万以上、さらに好ましくは10万以上のものであり、結晶相又は凝集相(硬質ブロック)を有するものであるが、アモルファス相などの軟質ブロックを併有するものが好ましい。高分子体の結晶相の融解温度又は凝集相の軟化温度は20℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上である。この温度が20℃未満であると、低分子液体中の微粒子が付着された高分子体が、室温で固化しなくなるというおそれがある。
本発明で用いる高分子体としては、例えば、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、ポリブタジエンと、ブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られるポリエチレンとエチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体、ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、或いはポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、ポリエチレンとポリスチレンとのブロック共重合体、エチレン−ブチレン共重合体の片末端又は両末端に結晶性エチレンが連結したブロック共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−エチレン/ブチレン−エチレンのトリブロック共重合体(EEBE)などが挙げれられる。このうち特にポリエチレンとエチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合構造のものが好ましい。
【0009】
上記低分子液体と高分子体とは、そのソルビリティパラメータの差〔(低分子液体のパラメータ)−(高分子体のパラメータ)〕が3.0(J/cm3 )1/2 以下であることが好ましく、0.2〜3.0(J/cm3 )1/2 がより好ましく、さらに好ましくは0.2〜2.6(J/cm3 )1/2 である。このソルビリティパラメータの差が0.2(J/cm3 )1/2 未満であると、網状高分子体から低分子液体が抽出されないおそれがある。また、このソルビリティパラメータの差が3.0(J/cm3 )1/2 を超えると、網状相分離構造が形成されないおそれがある。なお、このソルビリティパラメータは、代表的な基準低分子物質を用い、その物質との混合性、膨潤性を測定する方法等により求めることができる。
【0010】
高分子体の使用量は、低分子液体の20質量%以下であり、下限は5質量%程度である。高分子体の使用量は、低分子液体に高分子体を混合して一相溶液を調製する工程における作業のしやすさに応じて適宜調整される。
低分子液体中に含まれる微粒子を分離するには、まず、微粒子を含む低分子液体を加温する。加温の温度は低分子液体の種類により適宜調整する。低分子液体に所定量の高分子体を添加し、30〜120分間攪拌し、高分子体の溶液を得る。次いで、この溶液を室温まで冷却して固化し、冷却固化物を得る。この操作により、高分子体に網状連続相構造が形成され、この網状連続相構造に低分子液体中の微粒子が付着され、偏在することによって、2次元的あるいは3次元的に十〜数百マイクロメートルオーダーの幾何学的模様を有する微粒子のパターンが形成される。冷却速度は、通常1〜10℃/分であり、必要な網状構造のオーダーに応じて適宜調整する。得られた冷却固化物を圧搾して低分子液体を取り出すことにより、低分子液体から微粒子を分離することができる。
低分子液体中の微粒子が不純物である場合、上記工程により、不純物が除去された低分子液体を得ることができる。また、低分子液体中の微粒子が目的物である場合、微粒子を含む冷却固化物から、必要に応じて高分子体の焼却、再溶融、高分子体の溶解、分解等の方法により、微粒子を取り出せばよい。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1〜3
高分子体として下記のポリマーを用い、低分子液体として下記のオイルを用い、微粒子として下記のフィラーを用いた。
【0012】
ポリマーA:結晶性EPR(エチレン−プロピレンゴム),JSR社製,EP01,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2 ,結晶相の融解温度=45℃
ポリマーB:結晶性ブロックコポリマー〔エチレン−エチレン/ブチレン−エチレンのトリブロック共重合体(EEBE)〕,JSR社製,ダイナロン E6100P,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2 ,結晶相の融解温度=98℃
ポリマーC:結晶性シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン,JSR社製,RBポリマー,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2 ,結晶相の融解温度=70℃
ポリマーD:非結晶性EPR,JSR社製,921,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2
ポリマーE:非結晶性SBR(スチレン−ブタジエンゴム),JSR社製,1500,ソルビリティパラメータ=17.0(J/cm3 )1/2
オイルA:DIDA(ジイソデシルアジペート),ソルビリティパラメータ= 17.4(J/cm3 )1/2
オイルB:DOP(ジオクチルフタレート),ソルビリティパラメータ=18.0(J/cm3 )1/2
オイルC:DOA(ジオクチルアジペート),ソルビリティパラメータ=17.2(J/cm3 )1/2
フィラーA:非造粒カーボンブラック,平均粒子径=約5μm
フィラーB:非造粒酸化亜鉛,平均粒子径=約3μm
フィラーC:非造粒カーボンブラック,平均粒子径=約30nm
【0013】
オイル、フィラー及びポリマーを表1に示す組合せで使用した。使用割合は、オイル100質量部に対し、フィラー10質量部、ポリマー15質量部とした。まず、オイル中にフィラーを投入し、十分に攪拌した。次に、オイルを180℃に加温し、ポリマーを添加し、30分間攪拌することにより、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を室温において枠体に注型し、ポリマー溶液を室温まで冷却することにより、固化した。冷却速度は、3℃/分であった。得られた冷却固化物を圧搾してオイル抽出し、パーティクルカウンターを用いて、オイル中のフィラー量を測定し、フィラーの回収率を算出した。また、フィラーのパターン化の状態を、光学顕微鏡写真により評価した。結果を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
(注)
SP:ソルビリティパラメータ
*:網状構造は形成されているが、液状であるため圧縮操作ができない。
○:フィラーが良好にパターン化されている。
*1:フィラーがパターン化されているが、液状のためパターンが不安定である。
*2:フィラーがパターン化されているが、フィラーが液中に分散している。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、低分子液体中に含まれる100nm〜100μmの微粒子を容易にパターニングし、分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【図2】実施例2におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【図3】実施例3におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【図4】実施例4におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子液体中の微粒子を容易にパターニングすることができる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、低分子液体の微粒子を回収し、固液分離する方法としては、シックナーや沈殿池による方法、凝集剤を用いる方法、フィルターによる濾過法等が用いられている。しかしながら、シックナーや沈殿池を用いる場合は、微粒子を沈降させるのに時間がかかり、凝集剤を用いる場合には、液層に凝集剤が残留するという問題があり、フィルターによる濾過法は、フィルターの目詰まりのために濾過速度が遅くなるという問題がある。また、これらのいずれの分離方法でも、微粒子の粒径がナノメートルオーダーである場合、低分子液体と微粒子とを分離することは不可能である。
そこで、微粒子をパターニングすることによって、低分子液体から微粒子を分離する方法が考えられ、パターニング方法としては、ブロック共重合体のミクロ分離構造を用いて微粒子をパターニングする方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このパターニング方法は、ポリマーが形成するナノメートルオーダーの構造を巧みに用いた方法であり、分子オーダーの近傍、すなわちナノメートルオーダーのパターニングには好適である。しかしながら、このパターニング方法によりマイクロメートル領域の微粒子のパターニングを行うことは難しい。このパターニング方法においても、十〜数百マイクロメートルの鎖長を持つ高分子体を使用すれば、十〜数百マイクロメートルオーダーの微粒子のパターニングが可能であると推定されるが、現状ではそのような報告はされていない。
【0003】
【非特許文献1】
堀内ら「金属ナノ粒子のマイクロ〜ナノパターニング」、第1回高分子ナノテクノロジー研究討論会、講演要旨集、2003年3月5日、p29−30
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、低分子液体中の微粒子を容易にパターニングする方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微粒子を含む低分子液体に、結晶相又は凝集相を含む高分子体を特定量混合して高分子体に網状連続相構造を形成せしめることにより、この網状連続相構造に微粒子が付着され、偏在することによって、2次元的あるいは3次元的に十〜数百マイクロメートルオーダーの幾何学的模様を有する微粒子のパターンが形成されるため、低分子液体から分離された微粒子が容易にパターニングされることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子から選ばれる一種又は二種以上の微粒子を含む低分子液体から、選択的に該微粒子をパターニングする方法であって、結晶相又は凝集相を有する高分子体を該低分子液体に、該低分子液体の20質量%以下の割合で混合することにより、上記高分子体に網状連続相構造を形成せしめ、該網状構造に上記微粒子を付着させることを特徴とする微粒子のパターニング方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のパターニング方法は、粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子の全てについて適用されるものであり、粒子径が100nm〜10μmのものについてその効果がより発揮され、粒子径が1〜10μmのものについてさらにその効果が発揮される。本発明のパターニング方法は、低分子液体中にこれらの微粒子が単独で存在する場合でも、二種以上存在する場合でも適用することができる。微粒子が単独で存在する場合とは、例えば無機微粒子が一種存在する場合などをいい、微粒子が二種以上存在する場合とは、例えば、無機微粒子が二種存在する場合、金属微粒子と無機微粒子と有機微粒子とが存在する場合などをいう。
金属微粒子としては全ての金属が挙げられ、無機微粒子としては、カーボンブラック、クレー,珪藻土,シリカ,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物(酸化スズ,酸化チタン,酸化亜鉛等),マイカ,グラファイト,水酸化アルミニウムなどが挙げられる。有機微粒子としては、粉末ポリマーなどが挙げられる。
【0007】
これらの微粒子を含む低分子液体は、重量平均分子量が3万未満、好ましくは1万以下、さらに好ましくは3000以下のものである。具体的には、水、アルコール;アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等の各種ゴム用或いは樹脂用軟化剤(鉱物油系としては、芳香族系,ナフテン系,パラフィン系などのプロセス油など、植物油系としては、ひまし油,綿実油,あまに油,なたね油,大豆油,パーム油,やし油,落花生油,木ろう,パインオイル,オリーブ油など);フタル酸エステル,フタル酸混基エステル,脂肪族二塩基酸エステル,グリコールエステル,脂肪酸エステル,リン酸エステル,ステアリン酸エステル等の各種エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤、その他プラスチック用可塑剤又はフタレート系,アジペード系,セバケート系,フォスフェート系,ポリエーテル系,ポリエステル系などのNBR用可塑剤;クラウンエーテル,含フッ素オリゴマー,ポリイソブチレン,キシレン樹脂,塩化ゴム,ポリエチレンワックス,石油樹脂,ロジンエステルゴム,ポリアルキレングリコールジアクリレート,液状ゴム(ポリブタジエン,スチレン−ブタジエンゴム,ブタジエン−アクリロニトリルゴム,ポリクロロプレンゴムなど)シリコーン系オリゴマー,ポリ−α−オレフィンなどの各種オリゴマー;パラフィン,ワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸,オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド,アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステル,脂肪酸多価アルコールエステル,脂肪酸ポリグリコールエステルなどのエステル系滑剤、脂肪族アルコール,多価アルコール,ポリグリコール,ポリグリセリンなどのアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤などの各種滑剤が挙げられる。
【0008】
本発明で用いる高分子体は、重量平均分子量が3万以上、好ましくは5万以上、さらに好ましくは10万以上のものであり、結晶相又は凝集相(硬質ブロック)を有するものであるが、アモルファス相などの軟質ブロックを併有するものが好ましい。高分子体の結晶相の融解温度又は凝集相の軟化温度は20℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上である。この温度が20℃未満であると、低分子液体中の微粒子が付着された高分子体が、室温で固化しなくなるというおそれがある。
本発明で用いる高分子体としては、例えば、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、ポリブタジエンと、ブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られるポリエチレンとエチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体、ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、或いはポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、ポリエチレンとポリスチレンとのブロック共重合体、エチレン−ブチレン共重合体の片末端又は両末端に結晶性エチレンが連結したブロック共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−エチレン/ブチレン−エチレンのトリブロック共重合体(EEBE)などが挙げれられる。このうち特にポリエチレンとエチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合構造のものが好ましい。
【0009】
上記低分子液体と高分子体とは、そのソルビリティパラメータの差〔(低分子液体のパラメータ)−(高分子体のパラメータ)〕が3.0(J/cm3 )1/2 以下であることが好ましく、0.2〜3.0(J/cm3 )1/2 がより好ましく、さらに好ましくは0.2〜2.6(J/cm3 )1/2 である。このソルビリティパラメータの差が0.2(J/cm3 )1/2 未満であると、網状高分子体から低分子液体が抽出されないおそれがある。また、このソルビリティパラメータの差が3.0(J/cm3 )1/2 を超えると、網状相分離構造が形成されないおそれがある。なお、このソルビリティパラメータは、代表的な基準低分子物質を用い、その物質との混合性、膨潤性を測定する方法等により求めることができる。
【0010】
高分子体の使用量は、低分子液体の20質量%以下であり、下限は5質量%程度である。高分子体の使用量は、低分子液体に高分子体を混合して一相溶液を調製する工程における作業のしやすさに応じて適宜調整される。
低分子液体中に含まれる微粒子を分離するには、まず、微粒子を含む低分子液体を加温する。加温の温度は低分子液体の種類により適宜調整する。低分子液体に所定量の高分子体を添加し、30〜120分間攪拌し、高分子体の溶液を得る。次いで、この溶液を室温まで冷却して固化し、冷却固化物を得る。この操作により、高分子体に網状連続相構造が形成され、この網状連続相構造に低分子液体中の微粒子が付着され、偏在することによって、2次元的あるいは3次元的に十〜数百マイクロメートルオーダーの幾何学的模様を有する微粒子のパターンが形成される。冷却速度は、通常1〜10℃/分であり、必要な網状構造のオーダーに応じて適宜調整する。得られた冷却固化物を圧搾して低分子液体を取り出すことにより、低分子液体から微粒子を分離することができる。
低分子液体中の微粒子が不純物である場合、上記工程により、不純物が除去された低分子液体を得ることができる。また、低分子液体中の微粒子が目的物である場合、微粒子を含む冷却固化物から、必要に応じて高分子体の焼却、再溶融、高分子体の溶解、分解等の方法により、微粒子を取り出せばよい。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1〜3
高分子体として下記のポリマーを用い、低分子液体として下記のオイルを用い、微粒子として下記のフィラーを用いた。
【0012】
ポリマーA:結晶性EPR(エチレン−プロピレンゴム),JSR社製,EP01,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2 ,結晶相の融解温度=45℃
ポリマーB:結晶性ブロックコポリマー〔エチレン−エチレン/ブチレン−エチレンのトリブロック共重合体(EEBE)〕,JSR社製,ダイナロン E6100P,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2 ,結晶相の融解温度=98℃
ポリマーC:結晶性シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン,JSR社製,RBポリマー,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2 ,結晶相の融解温度=70℃
ポリマーD:非結晶性EPR,JSR社製,921,ソルビリティパラメータ=16.0(J/cm3 )1/2
ポリマーE:非結晶性SBR(スチレン−ブタジエンゴム),JSR社製,1500,ソルビリティパラメータ=17.0(J/cm3 )1/2
オイルA:DIDA(ジイソデシルアジペート),ソルビリティパラメータ= 17.4(J/cm3 )1/2
オイルB:DOP(ジオクチルフタレート),ソルビリティパラメータ=18.0(J/cm3 )1/2
オイルC:DOA(ジオクチルアジペート),ソルビリティパラメータ=17.2(J/cm3 )1/2
フィラーA:非造粒カーボンブラック,平均粒子径=約5μm
フィラーB:非造粒酸化亜鉛,平均粒子径=約3μm
フィラーC:非造粒カーボンブラック,平均粒子径=約30nm
【0013】
オイル、フィラー及びポリマーを表1に示す組合せで使用した。使用割合は、オイル100質量部に対し、フィラー10質量部、ポリマー15質量部とした。まず、オイル中にフィラーを投入し、十分に攪拌した。次に、オイルを180℃に加温し、ポリマーを添加し、30分間攪拌することにより、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を室温において枠体に注型し、ポリマー溶液を室温まで冷却することにより、固化した。冷却速度は、3℃/分であった。得られた冷却固化物を圧搾してオイル抽出し、パーティクルカウンターを用いて、オイル中のフィラー量を測定し、フィラーの回収率を算出した。また、フィラーのパターン化の状態を、光学顕微鏡写真により評価した。結果を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
(注)
SP:ソルビリティパラメータ
*:網状構造は形成されているが、液状であるため圧縮操作ができない。
○:フィラーが良好にパターン化されている。
*1:フィラーがパターン化されているが、液状のためパターンが不安定である。
*2:フィラーがパターン化されているが、フィラーが液中に分散している。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、低分子液体中に含まれる100nm〜100μmの微粒子を容易にパターニングし、分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【図2】実施例2におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【図3】実施例3におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
【図4】実施例4におけるフィラーのパターン化を示す100倍の光学顕微鏡写真である。
Claims (5)
- 粒子径が100nm〜100μmの金属微粒子、無機微粒子及び有機微粒子から選ばれる一種又は二種以上の微粒子を含む低分子液体から、選択的に該微粒子をパターニングする方法であって、結晶相又は凝集相を有する高分子体を該低分子液体に、該低分子液体の20質量%以下の割合で混合することにより、上記高分子体に網状連続相構造を形成せしめ、該網状構造に上記微粒子を付着させることを特徴とする微粒子のパターニング方法。
- 高分子体と低分子液体のソルビリティパラメータの差が3.0(J/cm3 )1/2 以下である請求項1に記載のパターニング方法。
- 高分子体の結晶相の融解温度又は凝集相における軟化温度が、20℃以上ものである請求項1又は2に記載のパターニング方法。
- 微粒子の粒子径が100nm〜10μmである請求項1〜3のいずれかに記載のパターニング方法。
- 微粒子の粒子径が1〜10μmである請求項4に記載のパターニング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003120532A JP2004321948A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 微粒子のパターニング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003120532A JP2004321948A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 微粒子のパターニング方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004321948A true JP2004321948A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33499409
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003120532A Pending JP2004321948A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 微粒子のパターニング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004321948A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010523793A (ja) * | 2007-04-09 | 2010-07-15 | ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア | 半結晶性アモルファスポリオレフィンブロックコポリマーからの柔軟で強靭なエラストマー組成物 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003120532A patent/JP2004321948A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010523793A (ja) * | 2007-04-09 | 2010-07-15 | ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア | 半結晶性アモルファスポリオレフィンブロックコポリマーからの柔軟で強靭なエラストマー組成物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008115040A (ja) | シリコン再生装置、シリコン再生方法 | |
JP5090191B2 (ja) | 遊離砥粒スラリー廃液からの分散媒の回収方法 | |
JP5722601B2 (ja) | シリコン切削廃液の処理方法 | |
Li et al. | Facile fabrication of three-dimensional superhydrophobic foam for effective separation of oil and water mixture | |
Chen et al. | Liquid-liquid hierarchical separation and metal recycling of waste printed circuit boards | |
JP6508307B2 (ja) | ポリテトラフルオロエチレンモールディングパウダーの製造方法およびポリテトラフルオロエチレン造粒物の製造方法 | |
JP2009196849A (ja) | シリコン回収方法、シリコン回収装置 | |
Liu et al. | Recovery of silicon powder from silicon wiresawing slurries by tuning the particle surface potential combined with centrifugation | |
JP2010222603A5 (ja) | ||
Shen et al. | Recovery of cutting fluids and silicon carbide from slurry waste | |
CN103008093B (zh) | 一种从超细碳化硅粉体中分离游离碳的方法 | |
JP2004321948A (ja) | 微粒子のパターニング方法 | |
JP2015000385A (ja) | ろ過助材を利用した水処理方法、及びその装置 | |
JP4197226B2 (ja) | 微粒子の分離方法 | |
KR20110041647A (ko) | 탄소나노튜브-금속 열전도성 복합 소재 | |
JP2009084069A (ja) | シリコン再生装置、シリコン再生方法 | |
JP2015147187A (ja) | ナノ材料の分離方法 | |
Joyce et al. | Polyphenol modification of graphene-stabilized emulsions to form electrically conductive polymer spheres | |
TW201509825A (zh) | 金剛石研磨粒之回收方法 | |
CN105621411B (zh) | 一种合成大孔碳材料的方法 | |
JP5613895B2 (ja) | 結晶ろ過の方法 | |
JP4743794B2 (ja) | ポリ塩化ビニル材料から鉛化合物を含む無機物を除去する方法 | |
Zhang et al. | Preparation and tribological properties of W0. 97Mo0. 03Se2 nanosheets | |
BR112019028091A2 (pt) | grânulos e tabletes estáveis em água | |
JP4586220B2 (ja) | シア脂からの不鹸化物分離法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060308 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20071207 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132 Effective date: 20071211 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20090224 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |