JP2004321917A - 分解方法 - Google Patents

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明仁 保坂
Kinya Kato
欽也 加藤
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Abstract

【課題】気体状ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物等の分解対象物質と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法において、分解対象物質の分解効率の向上と塩素ガス使用の安全性が確保された分解方法を提供することにある。
【解決手段】気体状ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物等の分解対象物質と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法において、分解対象物質を含有する気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程において低濃度の分解対象物質と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解し、残存する塩素を再利用可能とすることを特徴とする分解対象物質の分解方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体状有機塩素化合物等の分解対象物質を分解する分解方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年までの産業技術の発展に伴い、優れた洗浄力を有し不燃性の有機塩素化合物(例えば塩素化エチレン、塩素化メタン等)が膨大に使用されてきた。近年これら有機塩素化合物の発ガン性等の毒性が指摘され、その廃棄処理は深刻な問題となっている。さらに、使用済みのこれら有機塩素化合物が大気、水域、土壌、地下水などの自然環境を汚染するなどの環境問題が発生し、問題の解決のため多大な努力が払われている。
【0003】
これら有機塩素化合物などの汚染物質を廃棄処理する方法として、焼却処理する方法が一般的に行われているが、これら有機塩素化合物の焼却処理では、燃焼状態によっては極めて毒性の強いダイオキシン類を発生する可能性があることから複雑な燃焼管理を必要とされている。
【0004】
また、焼却以外の分解方法として、有機塩素化合物を酸化剤や触媒を用いて分解する方法が種々提案されている。例えばオゾンで分解する方法(特開平3−38297)あるいは過酸化水素の存在下で紫外線を照射する方法等が知られている(特許文献1)。
【0005】
上記以外にも装置の構成の容易さから、酸化剤を用いずに気相で紫外線を照射する光分解法が既に試みられている。例えば、有機ハロゲン化合物を含む排ガスを紫外線照射処理して酸性の分解ガスとしたのち、アルカリで洗浄して無害化する方法等が提案されている(特許文献2)。
【0006】
さらに、簡便で効率良く分解できる方法として、気体状ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法が提案されている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−218293号公報
【特許文献2】
特開昭62−191025号公報
【特許文献3】
特開2001−137697号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この、気体状ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法において、さらなる分解効率の向上のためには混合ガス中の有機塩素化合物はできるだけ高濃度が適しており、さらに用いる塩素ガスの濃度は安全性の観点からできるだけ低濃度のガスを用いることが望ましい。
【0009】
しかし、上記の気体状ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法においては、効率よく分解できる濃度に有機塩素化合物の濃度を調整することと同時にできるだけ低濃度の塩素ガスを用いるなどのさらなる安全性の確保が望まれる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
よって本発明は、
分解対象物質を含有する被処理気体に対して光を照射することによって前記分解対象物質を分解する分解方法であって、前記分解対象物質を含有する被処理気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程と前記濃縮工程を経た混合気体に光を照射し濃縮後の気体から前記分解対象物質を分解する工程を有する分解方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、
(1)分解対象物質を含有する被処理気体に対して光を照射することによって前記分解対象物質を分解する分解方法であって、前記分解対象物質を含有する被処理気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程と前記濃縮工程を経た混合気体に光を照射し濃縮後の気体から前記分解対象物質を分解する工程を有する分解方法である。
【0012】
また本発明は、
(2)分解対象物質を含有する被処理気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程は、吸着剤に前記分解対象物質と塩素を含む気体を吸着させる工程と、前記吸着剤から前記分解対象物質と塩素を含む気体を脱離させる工程とを有し、前記吸着させる工程と前記脱離させる工程とを繰り返し行うことを特徴とする(1)に記載の分解方法も好ましい。
【0013】
また本発明は、
(3)前記吸着剤とは、活性炭、活性炭繊維、シリカゲル、ゼオライト、鉄やアルミナなどの微粉末を焼成した多孔質金属、活性白土、の少なくともいずれか1つからなる吸着剤あるいは、前記活性炭、前記活性炭繊維、前記シリカゲル、前記ゼオライト、鉄やアルミナなどの前記微粉末を焼成した前記多孔質金属、前記活性白土、の少なくとも2種を混合あるいは層状にした吸着剤であることを特徴とする(2)に記載の分解方法も好ましい。
【0014】
また本発明は、
(4)前記脱離させる工程とは、温風下または減圧下で前記吸着剤から前記分解対象物質と塩素を含む気体を脱離させることを特徴とする(1)に記載の分解方法も好ましい。
【0015】
また本発明は、
(5)前記分解対象物質が、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン(塩化ビニリデン)、trans−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンの少なくとも一つである(1)に記載の分解方法も好ましい。
【0016】
本発明は、有機塩素化合物と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法において、有機塩素化合物を含有する気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解することにより上記課題を解決している。
【0017】
即ち、上記目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかる分解対象物質の分解方法は、分解対象物質を含有する被処理気体に対して光を照射することによって前記分解対象物質の分解方法であって、前記分解対象物質を含有する被処理気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程と前記濃縮後の気体に光を照射し濃縮後の気体を分解する工程を有することを特徴とする分解対象物質の分解方法に関するものである。
【0018】
さらに、前記分解対象物質を含有する被処理気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程として吸着剤に前記分解対象物質と塩素を含む気体を吸着させる工程と、前記吸着剤から前記分解対象物質と塩素を含む気体を脱着する工程を有し、前記吸着させる工程と前記脱着する工程を繰り返し行うことを特徴とする分解方法であって、前記吸着剤が、活性炭、活性炭繊維、シリカゲル、ゼオライト、鉄やアルミナなどの微粉末を焼成した多孔質金属や、活性白土を単独又は複数を混合あるいは層状にして用い、前記脱着する工程が、温風または減圧による分解対象物質の分解方法に関するものである。
【0019】
また、前記分解対象物質が、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン(塩化ビニリデン)、trans−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンの少なくとも一つである分解対象物質の分解方法に関するものである。
【0020】
以下にさらに詳述する。
【0021】
本発明の一実施態様に係わる有機塩素化合物の分解方法は、分解対象物質である有機塩素化合物を含有する気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程において濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解する方法である。この一実施態様の基本構成について図1に基づき以下に説明する。
【0022】
図1においては、5は濃縮工程であり、分解対象物質である有機塩素化合物を含有する汚染原ガス1と塩素4が導入され、有機塩素化合物及び塩素が濃縮された2の濃縮後の気体となる。2の濃縮後の気体は、6の光を照射する工程に導入され光照射により有機塩素化合物が分解し3の処理ガスとして系外に排出される。
【0023】
処理対象となるのは、塩素の存在下で光照射により分解しうる物質である。
【0024】
処理対象物として例を挙げると、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン(塩化ビニリデン)、trans−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの物質である。
【0025】
また、分解対象物を含む気体及び塩素を含む気体は、反応を阻害しないなら他のいかなる気体を含むものでよいが、酸素を含んでいることが望ましく通常媒体として空気を使用することができる。
【0026】
ここで塩素供給手段12としては、塩素ガスボンベなどの容器内に塩素を充填した塩素供給手段を用いることができる。ただし、本発明においては、1の汚染原ガスと塩素供給手段12から供給される塩素4を濃縮工程5により濃縮することを特徴としていることから塩素供給手段12から供給される塩素濃度は低くてもよいことから安全性の高い装置とすることができる。この低濃度の塩素ガスの発生手段としては、塩素を含む水と空気を接触させて塩素ガスを発生させる手段を用いても良い。
【0027】
塩素を含む水として、例えば例えば塩化ナトリウムや塩化カリウム等の電解質を水に溶解し、この電解質溶液を一対の電極を有する水槽内で電気分解を行うことによってその陽極近傍付近で得ることができる。
【0028】
また、上記した電解質の電気分解によらずに、水に種々の試薬を溶解して調製することにより塩素を含む水を得ることが可能である。
【0029】
例えば水槽に次亜塩素酸塩の水溶液を供給する手段と水槽に無機酸及び有機酸の少なくとも一方を含む水溶液を供給する手段により塩素水を生成する手段を用いて得ることができる。
【0030】
このような合成による塩素水を含む水は、例えば 塩酸0.001mol/L〜0.1mol/Lで次亜塩素酸ナトリウム0.0001mol/L〜0.01mol/Lとすることにより得ることができる。
【0031】
また、塩酸と次亜塩素酸ナトリウムにより水素イオン濃度(pH値)1〜4で溶存塩素濃度が2mg/Lから2000mg/Lなる塩素を含む水を調製することもできる。
【0032】
分解対象物質と塩素を濃縮した、濃縮後の気体2の塩素濃度は、分解対象物質の種類や分解対象物質の濃度にもよるが、塩素濃度として20ppmV〜3000ppmV以下となるように調製することが好ましく、特には5の光反応槽に導入される混合気体中の塩素ガスの濃度は、50ppmV〜200ppmVとした場合に、塩素を効率よく利用し分解対象ガスの分解効率は特に顕著なものとなる。
【0033】
一般的に濃縮工程5として用いられる濃縮装置としては、吸着工程を行う吸着領域と再生工程を行う脱着領域を吸着剤が交互に通過するローター型の濃縮装置や、吸着工程を行う吸着領域と再生工程を行う脱着領域を2塔交互に切り替えるスイング型等の濃縮装置が使用できる。
【0034】
図1における濃縮工程5は吸着体7と脱着を行うための手段(空気加熱装置等)9から構成される。この脱着を行うための手段(空気加熱装置等)としては、空気加熱装置や真空による方法が挙げられる。
【0035】
加熱による脱着の方式を例に説明すると、脱着される1の汚染原ガスと4の塩素は、7の吸着体に吸着され8の浄化気体として大気中に排出される。この吸着体7は一定速度で回転し脱着部に移動し9の脱着を行うための手段(空気加熱装置等)から100℃前後の加熱空気を吸着体に接触させることにより吸着した1の汚染原ガスと4の塩素が2の濃縮後の気体として10の光反応槽に送り込まれる。
【0036】
このときの汚染原ガス1と脱着を行うための手段(空気加熱装置等)9から供給される加熱空気の比が汚染原ガス1と塩素4の濃縮倍率となる。例えば汚染原ガス1の流量が20m3/分で脱着を行うための手段(空気加熱装置等)9から供給される加熱空気の流量が1m3/分の場合には20倍の濃縮が行われたこととなる。
【0037】
本発明にかかるシステムにおいて使用できる吸着体7を構成する吸着剤ははいかなるものでも良いが、一般に表面が多孔質の固体形状を有するものである。例えば有機化合物の吸着に一般的に用いられる木材などを炭化賦活処理して用いられる活性炭、活性炭繊維の他にシリカゲル、ゼオライト、鉄やアルミナなどの微粉末を焼成した多孔質金属や、活性白土などが挙げられる。
【0038】
特に本発明においては分解対象物質である有機塩素化合物と、塩素を吸着する必要があることから。有機塩素化合物と塩素両方の物質に対して吸脱着の効率が高いものを用いるか。それぞれの対象物質に適した吸着剤として2種類以上の複数の吸着剤を混合するか層状にして用いる必要がある。
【0039】
濃縮後の気体2は、光反応槽10にて11の光照射手段により光を照射することにより有機塩素化合物が速やかに分解される。
【0040】
ここで、10の光反応槽における分解反応のメカニズムは、有機塩素化合物の例としてトリクロロエチレンを例に以下の反応式で示される。
【0041】
【外1】
Figure 2004321917
【0042】
上記の式で示されるように、トリクロロエチレンの分解例では、アセチルジクロライド「HCl2C−C(O)Cl」と塩素ラジカル「Cl・」が光反応槽により生じ、この反応は塩素ラジカルの存在により連鎖反応的に反応が進む。
【0043】
本発明に用いることのできる光照射手段としては、波長300〜500nmの光が好ましく、350〜450nmの光を用いることがより好ましい。光照射強度としては、例えば波長360nm付近にピークを持つ光源では数百μW/cm2の強度で実用上十分の分解が進む。
【0044】
そしてこの様な光の光源としては太陽光等の自然光またはブラックライト、カラー蛍光ランプ等を用いることができる。
【0045】
さらに、この様な300nm以上の波長を光源として用いる場合には、上記の300nm未満の波長を光源とする場合と異なり、光源の保護筒として通常のパイレックス(登録商標)ガラス等を用いることができ、人体に影響を与えないように安全装置を設けること必要もないことから装置のコストを比較的安くすることができる。
【0046】
光反応槽10にて、有機塩素化合物と塩素の存在下にて光照射により分解した処理ガス3は13の分解生成物除去手段に導入され、分解生成物が除去される。
【0047】
分解生成物除去手段13は、トラップ槽やガススクラバー等が使用できる。トラップ槽やガススクラバーにおいて10の光反応槽からのガスと接触させる水等の水溶液を酸性にすることにより、光反応槽10からの塩素の二分の一は塩素イオンとして酸性水溶液中にて吸収され、残りの二分の一は塩素のまま次の工程へ送られる。
【0048】
上記(5)の式で示されるように、トリクロロエチレンの分解例では、アセチルジクロライド「HCl2C−C(O)Cl」と塩素ラジカル「Cl・」が光反応槽10により生じる。
【0049】
このアセチルジクロライド「HCl2C−C(O)Cl」は酸性水溶液にされることにより次の反応式(6)によりジクロロ酢酸として吸収液中に捕捉される。
(6)HClC−C(O)Cl+HO→HCl+HClC−COOH
【0050】
また、生成した塩素ラジカルは酸性水溶液の吸収液中にて以下の反応式により塩素イオンとHClOを生成し、HClOは酸性中にて再び塩素ガスを発生し13の分解生成物除去手段より排出される。
(7)2Cl・+HO→HCl+HClO
(8)HClO+H→1/2Cl+H
【0051】
分解生成物除去手段13より排出された塩素は、塩素除去手段14にて除去され、最終的に清浄な排気ガス15として系外に排出される。
【0052】
塩素除去手段14は、分解生成物除去手段13と同様な構造のトラップ槽やガススクラバー等が使用できる。塩素除去手段14におけるトラップ槽やガススクラバーにおいては分解生成物除去手段13から送りこまれる塩素ガスを含んだ空気と接触させる水等の水溶液をアルカリ性にすることにより塩素を除去できる。
【0053】
また、塩素除去手段14において塩素捕集に用いるアルカリ性の水溶液として水酸化ナトリウム溶液、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム溶液等も使用でき、その濃度は捕捉する塩素量に合わせて設定すればよいが、pHで8以上12以下が望ましい。
【0054】
図2は、有機塩素化合物の分解方法であって処理後の排ガスを再循環する有機塩素化合物の分解方法の概略図である。本実施態様に係わる有機塩素化合物の分解方法を図2に基づいて説明する。
【0055】
図2は、塩素除去手段14からの処理ガスを循環ガス33として再び汚染原ガス1に合流し処理することを特徴としており、汚染原ガス1と供給手段12からの塩素4を濃縮工程5により濃縮し、濃縮後の気体2に光を照射する工程6によって光分解した、処理ガス3を分解生成物除去手段13により分解生成物を除去した後、残存する塩素を塩素除去手段14により除去する方式は図1と同様である。このように塩素除去手段14からの処理ガスを循環ガス33として再び汚染原ガス1に合流し処理する場合においては、6の光を照射する工程において分解対象物質が微量残存した場合においても、循環ガス33として循環されることから、分解率の向上と分解対象物質の外部排出を極力減らすことが可能となる。
【0056】
図3は、有機塩素化合物の分解方法であって、図2と同様に処理ガスを循環ガスとして再び汚染原ガス1に合流し処理する方式にあって、図2の塩素除去手段14を必要としない方法である。この方法は、分解生成物除去手段13にて分解生成物を除去した後に、塩素が残存した状態で再び汚染原ガス1と合流し濃縮工程5にて濃縮する方法であって、分解反応後に残存する塩素を有効に再利用することを特徴とする方法である。この、塩素を有効に再利用することにより、塩素供給手段12からの塩素4を最小にすることが可能となり、安全性の向上及びコスト削減となる方式である。
【0057】
図4は有機塩素化合物の分解方法であって、図3と同様に処理ガスを循環ガスとして再び汚染原ガス1に合流し処理する方式にあって、処理ガスの一部を再び汚染原ガス1に合流し循環利用し、残りの処理ガスを塩素除去後に排気する方法である。この方法は、濃縮後の特に分解対象物質の濃度が数千ppmと高濃度の場合には、分解生成物除去手段13にて分解生成物を除去した後の塩素濃度が高濃度となることから、光分解反応に必要な塩素量だけ22の流路1を経由し循環ガス33として再利用し、反応に余剰な塩素分を23の流路2を経由し塩素除去手段14にて塩素を除去した後に排気ガス15として排出することを特徴とする方法である。この方法は、分解対象物質が高濃度であり反応に余剰な塩素を発生する場合においても安全性と塩素を有効に再利用することが可能となり、さらに安全性の向上及びコスト削減となる方式である。
【0058】
図5は、本発明における有機塩素化合物の分解方法を土壌処理に適用した場合の土壌処理方法の概略図である。本実施態様に係わる土壌処理における有機塩素化合物の分解方法を図5に基づいて説明する。
【0059】
まず、汚染土壌16に汚染物質抽出井戸17を形成し、土壌中のトリクロロエチレン等の汚染物質を含有した空気を25の原ガス吸入ポンプを用いて吸引する。原ガス吸入ポンプ25により吸引された汚染物質を含有する空気は18の気液分離ユニットにて水等の液体成分が取り除かれ、19のフィルターによりゴミを取り除いた後に、所定の流量にて濃縮工程5に導入される。
【0060】
濃縮工程5に導入された汚染物質を含有する空気は、反応後に残存する塩素及び未分解の汚染物質を含有する循環ガス33と、後段の光を照射する工程にて汚染物質の分解に必要な量の塩素を塩素供給手段12により供給混合した後、濃縮工程5内の吸着体7に吸着され、吸着後の空気は浄化気体8として大気に放出される。
【0061】
濃縮工程5内の吸着体7は環状に配置されており、この環状に配置された吸着体7を所定の速度で回転することで、吸着領域と脱着領域を吸着体7が交互に通過する。即ち汚染物質と未反応の汚染物質及び後段の光分解に必要な塩素を吸着した吸着体が吸着領域から脱離領域に移行することで汚染物質と塩素の濃縮が連続的に行われる。この時、吸着体7に送り込まれる汚染物質と塩素を含むガスの吸着時の流量は、0.1m/分〜100m/分であることが好ましい。
【0062】
汚染物質と塩素を吸着した吸着体7は、例えばヒータ等の脱着を行うための手段(空気加熱装置等)9による加熱気体を通過させることにより、吸着体7から汚染物質及び後段の分解反応に必要な塩素がガス状態で気相中に放出されることにより、吸着体7を再生すると同時に濃縮した汚染物質と後段の分解反応に必要な塩素が混合した気体を得ることができる。脱着を行う領域へ送り込む加熱気体の風量及び吸着体2の回転速度等を所定の値にすることで、脱着後の気体に含まれる汚染物質の濃度を汚染原ガスの濃度より高くすると同時に分解反応により生成した塩素を有効に再度反応に使用することができ、塩素供給手段12からは、必要最小限の塩素の供給とすることができる。
【0063】
吸着体7を、脱着する加熱気体の量は、汚染物質の濃縮倍率が2倍から100倍となるような流量、例えばガスの流量が0.1m/分で、汚染物質の濃度を2倍にしたい場合には、吸着体7を、脱着する加熱気体の量を2分の1の0.05m/minとし、吸着体7の回転速度は、例えば汚染物質の濃縮倍率を20倍から30倍とした場合には、10rpm(回転数/時)から20rpmとする。
【0064】
吸着体7を再生すると同時に得た、濃縮した汚染物質と後段の分解反応に必要な塩素が混合した濃縮後の気体2は、光を照射する工程6に送り込まれる。濃縮後の気体2は光を照射する工程6内の光反応槽10にて光照射手段11によって光を照射することにより濃縮気体中の汚染物質が順次分解される。塩素と汚染物質が混合した状態での光照射に伴い汚染物質が分解し、塩素ラジカル(Cl・)と分解生成物が生成する。この光照射による分解生成物は、例えば汚染物質がトリクロロエチレンの場合にはジクロロ酢酸が生成し、汚染物質がテトラクロロエチレンの場合にはトリクロロ酢酸が生成する。前記光照射に伴い汚染物質が分解し発生した塩素ラジカル(Cl・)が残存する汚染物質をさらに攻撃することで、次から次へと連鎖反応が起こり、光反応槽10に初期導入する塩素量が少なくとも多くの分解対象物質が分解されていく。
【0065】
また、光を照射する工程6は、複数の光反応槽10を直列に連結した構成としてもよく、複数の光反応槽10を直列に連結させ、各光反応槽10にて塩素と汚染物質の混合下で光照射による分解反応工程を繰り返し行うことにより、汚染物質を含む気体が移動するに従い分解反応により塩素濃度は次第に増加する。光反応槽10中の塩素濃度が高いほど汚染物質の分解が促進されるために効率よく分解することができる。
【0066】
さらに、複数の光反応槽10を直列に構成する場合には、一方の光反応槽の出口と他方の光反応槽の入口とは、屈曲した流路で連通させる。一方の光反応槽から他方の光反応槽に汚染物質を含有する気体が勢いよく流れることで、分解反応により生成した塩素と汚染物質が十分に混合されず未反応のまま、一方の光反応槽の出口から排出されてしまう場合がある。このとき一方の光反応槽の出口と他方の光反応槽の入口とを連通する流路を屈曲させることで、一方の分解部において気体の乱流が起こり、分解対象物質と塩素の攪拌混合が促進され効率よい汚染物質の分解が可能となる。
【0067】
光反応槽10内における塩素の存在下での汚染物質の光分解反応では、光照射手段6は波長300nm〜500nmの光で実用上十分の分解が進む。そしてこのような波長を有する光照射手段としては、自然光(例えば太陽光等)または人工光(水銀ランプ、ブラックライト、カラー蛍光ランプ等)を用いることができる。
【0068】
光反応槽10内において、汚染物質の分解により、例えばトリクロロエチレンを分解したときには前記反応式(4)により、分解生成物としてジクロロ酢酸クロライドと塩素が生成する。光反応槽10内において反応により生成した分解生成物は、13の分解生成物除去手段に導入される。図4において、分解生成物除去手段13は酸性水溶液を吸収液循環ポンプ24により循環し、充填物21上部にてシャワー状に光を照射する工程6からの分解生成物と気液接触を行う。酸性水溶液との気液接触によりジクロロアセチルクロライドは酸性水溶液中に吸収されジクロロ酢酸となる、塩素は酸性水溶液には吸収されずに循環ガス33として、汚染原ガス1と混合後に濃縮工程5に送り込まれることにより塩素が有効に再利用される。
【0069】
分解生成物除去手段13にてジクロロ酢酸が吸収された循環水は循環の過程で分解生成物分解手段20によりさらに分解が進み、塩素ガス、塩素イオン、二酸化炭素等の物質まで分解される。この分解生成物除去手段としては一般に、電気分解槽等の装置が用いられる。
【0070】
以上述べたように、本発明を土壌浄化に適用することにより効率よく適用することが可能となる。
【0071】
図6は、本発明の実施形態の一つである汚染地下水浄化装置の概略図である。本実施例の汚染地下水浄化装置を用いる処理方法を図6に基づいて説明する。
【0072】
まず、汚染地下水を有する汚染土壌16に汚染地下水吸引井戸27を形成し、トリクロロエチレン等の汚染物質を含有した汚染地下水29をポンプにて揚水する。揚水した汚染地下水は、地下水曝気槽32に貯留される。
【0073】
地下水揚水槽32では、地下水曝気ブロワー28を用いて散気管31より空気を汚染地下水に散気することにより、汚染物質を含有した空気を汚染原ガス1として気液分離ユニット18に送気し、汚染原ガス中に含まれる水分を分離する。また、汚染地下水は地下水曝気槽32にて一定時間滞留し散気されることにより浄化され、浄化地下水30として排出される。
【0074】
また、気液分離ユニット18にて、汚染原ガス中に含まれる水分を気液分離ユニット18にて分離した、分解対象物質を含む空気は、所定の流量にて濃縮工程5に導入される。
【0075】
濃縮工程5に導入された汚染物質を含有する空気は、反応後に残存する塩素及び未分解の汚染物質を含有する循環ガス33と、後段の光を照射する工程にて汚染物質の分解に必要な量の塩素を塩素供給手段12により供給混合した後、濃縮工程5内の吸着体7に吸着され、吸着後の空気は浄化気体8として大気に放出される。
【0076】
また、濃縮工程5以降の汚染物質の分解に関しては、図4の有機塩素化合物の分解方法を土壌処理に適用した場合の土壌処理方法の概略図で説明した同様な方法により分解対象物質が分解される。
【0077】
以上本発明の実施形態数例にて説明したように、有機塩素化合物と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法において、有機塩素化合物を含有する気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解することにより、用いる塩素濃度を低く抑えることにより安全性の確保ができると同時に、塩素ボンベ等で直接塩素を供給する方法以外の低濃度塩素の発生装置を塩素供給源としても利用することが可能となる。
【0078】
さらに、分解反応後の残存塩素を再度、濃縮工程に循環利用が可能となり塩素使用量の削減が可能となり、装置の簡便化およびランニングコストの削減が可能となる。
【0079】
また、本発明を有機塩素化合物に汚染された土壌処理における分解対象物質の吸引ガス及び有機塩素化合物に汚染された地下水処理における分解対象物質の曝気ガスに適用することにより効率的な土壌処理及び地下水処理が実現可能となる。
【0080】
【実施例】
本発明の効果を以下に具体的に構築した実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0081】
<実施例1>
図1に示す、汚染物質の分解方法において、塩素供給手段14として容積500mlのガラス瓶に、原水100mlに対して12%次亜塩素酸ナトリウム溶液を0.125ml及び35%塩酸を0.63ml加えたものを用意しエアーポンプにより10ml/分にて通気し塩素を発生させ、模擬的にトリクロロエチレン濃度100ppm流量100ml/分に調製した汚染原ガス1と混合した、この時の混合後の塩素ガス濃度は11ppmであった。
【0082】
この塩素混合後の汚染原ガスを、吸着体7として活性炭を用い吸着した。この吸着後の浄化気体8のトリクロロエチレン濃度を測定したところ、1ppm未満であり。塩素ガス濃度は0.5ppm未満であった。
【0083】
この吸着体7として用いた活性炭を流量10ml/分で温度120℃の温風を用いて吸着物質を脱着した。この脱着後のガス濃度を測定したところ、トリクロロエチレン濃度980ppm塩素ガス濃度95ppmの濃縮後の気体2が得られた。
【0084】
また、容積100mlのガラス製カラムを光反応槽10として用い、この光反応槽に対して光照射手段11としてブラックライト蛍光ランプ((株)東芝製FL20S・BLB;20W)により光反応槽10の外部より光を照射し、この光反応槽10に前記濃縮後の気体2を通気した。
【0085】
分解生成物除去手段として、容積200mlのガラス製ガス洗浄ビンに100mlの純水に塩酸を添加しpHを約3と調製した酸性溶液を入れたものを用い。塩素除去手段14として、容積200mlのガラス製ガス洗浄ビンに100mlの純水に水酸化ナトリウムを添加しpHを約10と調製したアルカリ性溶液を入れたものを用い、光反応槽10として用いたガラス製カラム出口からの処理ガス3を、順次通気した。
【0086】
連続60分通気後の塩素除去手段14として用いたガラス製ガス洗浄ビン出口からの排気ガス15のトリクロロエチレン濃度を測定したところ、1ppm未満であり。塩素ガス濃度は0.5ppm未満であった。
【0087】
また、分解生成物除去手段13として用いたからガラス製ガス洗浄ビン内の酸性水溶液中の分解生成物としてジクロロ酢酸濃度を測定したところ、30mg/lであった。
【0088】
さらに、分解生成物除去手段13及び塩素除去手段14として用いたガラス製洗浄ビン内の酸性水溶液及びアルカリ性水溶液中のトリクロロエチレン濃度を測定したところ共に0.003mg/l未満であった。
【0089】
以上の結果より、低濃度の塩素ガス及び分解対象物質であるトリクロロエチレンを濃縮工程5にて分解に適切な濃度まで濃縮した後に、光を照射する工程にて光を照射することにより分解対象物質であるトリクロロエチレンを完全に分解できることが示された。
【0090】
<実施例2>
図3に示す、汚染物質の分解方法において、塩素供給手段14として容積500mlのガラス瓶に、原水100mlに対して12%次亜塩素酸ナトリウム溶液を0.125ml及び35%塩酸を0.63ml加えたものを用意しエアーポンプにより10ml/分にて通気し塩素を発生させ、模擬的にトリクロロエチレン濃度100ppm流量100ml/分に調製した汚染原ガス1と混合した、この時の混合後の塩素ガス濃度は11ppmであった。
【0091】
この塩素混合後の汚染原ガスを、吸着体7として活性炭を用い吸着した。この吸着後の浄化気体8のトリクロロエチレン濃度を測定したところ、1ppm未満であり。塩素ガス濃度は0.5ppm未満であった。
【0092】
この吸着体7として用いた活性炭を流量10ml/分で温度120℃の温風を用いて吸着物質を脱着した。この脱着後のガス濃度を測定したところ、トリクロロエチレン濃度980ppm塩素ガス濃度95ppmの濃縮後の気体2が得られた。
【0093】
また、容積100mlのガラス製カラムを光反応槽10として用い、この光反応槽に対して光照射手段11としてブラックライト蛍光ランプ((株)東芝製FL20S・BLB;20W)により光反応槽10の外部より光を照射し、この光反応槽10に前記濃縮後の気体2を通気した。
【0094】
分解生成物除去手段13として、容積200mlのガラス製ガス洗浄ビンに100mlの純水に塩酸を添加しpHを約3と調製した酸性溶液を入れたものを用い。光反応槽10として用いたガラス製カラム出口からの処理ガス3を通気した。
【0095】
連続60分通気後の分解生成物除去手段13として用いたガラス製ガス洗浄ビン出口からの循環ガス33のトリクロロエチレン濃度を測定したところ、1ppm未満であり、塩素ガス濃度は46ppmであった。
【0096】
この残存塩素を含む循環ガス33を汚染原ガス1と混合した、この時塩素供給手段14のエアーポンプの流量を5ml/分と循環ガスを混合前の約半分としトリクロロエチレン濃度100ppm流量100ml/分に調製した汚染原ガス1と混合した。この時の混合後の塩素ガス濃度は13ppmであった。この状態でさらに60分間分解反応を継続し、この間の濃縮工程5入り口での塩素ガス濃度を測定したところ7.5〜14ppmであり、濃縮後の気体2の塩素ガス濃度を測定したところ、65〜120ppmと分解に必要な塩素ガス量が継続することを確認した。
【0097】
また、循環ガス33中のトリクロロエチレン濃度は、継続的に1ppm未満であり。分解生成物除去手段13として用いたガラス製洗浄ビン内の酸性水溶液中のトリクロロエチレン濃度を測定したところ0.003mg/l未満であった。
【0098】
以上の結果より、低濃度の塩素ガス及び分解対象物質であるトリクロロエチレンを濃縮工程5にて分解に適切な濃度まで濃縮した後に、光を照射する工程にて光を照射することにより分解対象物質であるトリクロロエチレンを完全に分解でき、さらに反応後に残存する塩素ガス濃度を再度、循環ガスとして再利用でき塩素供給手段12からの塩素供給量を半減することが示された。
【0099】
<実施例3>
図5に示した、有機塩素化合物の分解方法を土壌処理に適用した場合の土壌処理方法において汚染土壌中の汚染物質を抽出・分解した例である。
【0100】
まず、汚染土壌16に汚染物質抽出井戸17を形成し、土壌中のトリクロロエチレン等の汚染物質を含有した空気を25の原ガス吸入ポンプを用いて吸引した。原ガス吸入ポンプ25により吸引された汚染物質を含有する空気は18の気液分離ユニットにて水等の液体成分が取り除かれ、19のフィルターによりゴミを取り除いた後、汚染原ガス1として汚染物質の濃度がテトラクロロエチレン83ppm、トリクロロエチレン23ppmで、20m3/分の流量に対し、塩素供給手段12として用いた塩素ガスボンベから塩素ガスを100ml/分濃縮工程5に導入した。
【0101】
濃縮工程5に送り込まれたガスは、濃縮工程5内の吸着体7に接触させることで、汚染物質及び塩素ガスは吸着体7に吸着された結果、ガスが浄化され浄化気体8として排出した。この浄化気体8の汚染物質濃度及び塩素濃度を測定したところ、テトラクロロエチレン1ppm未満、トリクロロエチレン1ppm未満、塩素濃度を0.5ppm未満と共に定量限界未満であった。
【0102】
吸着体7は環状に設置されており、この環状に配置された吸着体7が所定の速度で回転することで、吸着領域と脱着領域を吸着体7が交互に通過する。すなわち、汚染物質と塩素ガスが吸着した吸着体が吸着領域から脱着領域に移行することで処理は連続的に行われる。
【0103】
汚染物質と塩素が吸着した吸着体7は脱着領域において、脱着を行うための手段(空気加熱装置等)として設けられた電気ヒータにより加熱された約130℃の空気を1m3/分の流量にて通過させることにより、吸着体7から汚染物質と塩素が脱着し、ガス状態で気相中に放出させることで、吸着体7を再生すると同時に汚染物質と分解反応に必要な塩素を濃縮する。
【0104】
本実施例においては、吸着時と脱着時の空気流量比20:1により、汚染物質及び塩素は約20倍に濃縮される。この濃縮後の気体2の汚染物質及び塩素濃度を測定したところ、テトラクロロエチレン880ppm、トリクロロエチレン200ppm、塩素濃度を78ppmであった。
【0105】
上記濃縮装置としては市販の溶媒ガス吸着濃縮装置、商品名:アドマット(大氣社製)を用いた。ここで用いる吸着体は繊維状活性炭をフェルト状に加工したマットを円筒状に巻きつけたマットをゆっくり回転することで、汚染物質及び塩素の吸着・脱着を連続的に行う。
【0106】
さらに、濃縮後の気体2は光を照射する工程6に送りこまれ、光反応槽10内に設置された光照射手段11からの光照射を受け分解対象物質は光分解された。本実施例における光反応槽10は、直径600mm、長さ1000mmの塩化ビニル樹脂製の円柱形状をしており、有効容積1m3の光反応槽を4槽直列に連結して用いた。
【0107】
また、光反応槽10内の光照射手段11は、各反応槽の内部にブラックライト蛍光ランプ(東芝;FL40S BLB)を6本(光を照射する工程6全体では24本)設置し光照射を行った。
【0108】
光反応槽内にて塩素の存在下にて分解対象物質は、テトラクロロエチレンがトリクロロアセチルクロライドに、トリクロロエチレンはジクロロアセチルクロライドに分解され、反応後に残存する塩素ガスと共に、処理ガス3として分解生成物除去手段13に送り込まれる。
【0109】
分解生成物除去手段13は、通常水溶性ガスの吸収に用いられるスクラバーを使用しガス吸収のため循環する吸収液は、塩酸にて約pH3に調製した酸性吸収液を用いた。処理ガス3中のトリクロロアセチルクロライド及びジクロロアセチルクロライドは酸性液中にてトリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸として吸収された。
【0110】
この吸収液中には分解生成物であるトリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸を選択的に吸収することができた。さらに、吸収液の循環過程に分解生成物分解手段20を設けることにより分解生成物を分解できる。本実施例においては、分解生成物分解手段20として電気分解槽を設け連続的に分解生成物を分解した。
【0111】
また、処理ガス3中に残存する塩素は酸性吸収液中では吸収されずに循環ガス33として原ガスに再度合流し再利用した。この循環ガス中の汚染物質濃度及び塩素濃度を測定したところ、テトラクロロエチレン1ppm未満、トリクロロエチレン1ppm未満であり、分解対象物質の分解反応が完全に行われたことを確認した。
【0112】
この循環ガス33中の本実施例においては、分解生成物分解手段20として用いたスクラバーの吸収液をpH3の酸性として残存する塩素のほぼ全量を循環再利用したが、スクラバーの吸収液中の水素イオン濃度をpH3〜8の任意の濃度で制御することにより残存する塩素の全部又は一部を吸収液中に吸収することができ、循環再利用する塩素ガス量を制御することもできる。
【0113】
さらに、本実施例においては循環ガス中の塩素を原ガスに再度合流し再利用した後に塩素供給手段からの塩素の供給を運転開始時の約半分の50ml/分として運転を継続したが、その後も安定的に分解反応が継続した。
【0114】
その結果、土壌を汚染している分解対象物質であるテトラクロロエチレン及びトリクロロエチレンを含んだ土壌吸引ガスを塩素ガスと共に濃縮装置により濃縮した後に光照射を行うことにより効率的に分解が可能となり、塩素ガス使用にかかわらず安全運転を確保することができた。さらに、分解反応後に残存する塩素を再利用することにより薬品使用量の削減や塩素ガスの漏出をも防止することができた。
【0115】
<実施例4>
図5に示した、有機塩素化合物の分解方法を土壌処理に適用した場合の土壌処理方法において汚染土壌中の汚染物質を抽出・分解した実施例3と同様な構成において、光反応槽10内の光照射手段11は、各反応槽の内部にブラックライト蛍光ランプに代えて殺菌蛍光ランプ(東芝;GL30)を設置し、12の塩素供給手段からの塩素の供給を行わずに光照射を行ない。その他の条件を実施例3とほぼ同様な実験を行ったところ良好な結果を得た。
【0116】
これら各実施例のごときシステムでは、処理気体の導入、濃縮、分解反応槽への搬入、分解処理等の一連の過程が連続的に行われる。即ち単位時間内に本装置に連続的に導入される分解対象物質を前記単位時間内に連続的に分解処理する効率的な処理システムが完成した。
【0117】
【発明の効果】
本発明の方法は、気体状ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物と塩素ガスを含む気体との混合ガスに光を照射し分解する方法において有機塩素化合物を含有する気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解することにより、有機塩素化合物の高濃度化により分解効率の向上と使用する塩素濃度を低く抑えることにより安全性が確保される。さらに、反応後の塩素を再度再利用することも可能となり塩素使用量のさらなる節約や中和薬品等の使用量削減の効果がみられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】分解対象物質と塩素ガスを含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解する方法の構成を示す図である。
【図2】分解対象物質と塩素ガスを含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解する方法であって分解処理後のガスを循環する構成を示す図である。
【図3】分解対象物質と塩素ガスを含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解する方法であって分解処理後のガスを循環し塩素ガスを再利用する構成を示す図である。
【図4】分解対象物質と塩素ガスを含む気体とを濃縮する工程において低濃度の有機塩素化合物と塩素を所望の濃度に濃縮した後、この濃縮後の混合気体に光を照射し有機塩素化合物を分解する方法であって分解処理後のガスの一部を循環し塩素ガスを再利用する構成を示す図である。
【図5】本発明における有機塩素化合物の分解方法を土壌処理に適用した場合の土壌処理方法の概略図である。
【図6】本発明の実施形態の一つである汚染地下水浄化装置の概略図である。
【符号の説明】
1 汚染原ガス
2 濃縮後の気体
3 処理ガス
4 塩素
5 濃縮工程
6 光を照射する工程
7 吸着体
8 浄化気体
9 脱着を行うための手段(空気加熱装置等)
10 光反応槽
11 光照射手段
12 塩素供給手段
13 分解生成物除去手段
14 塩素除去手段
15 排気ガス
16 汚染土壌
18 気液分離ユニット
20 分解生成物分解手段
21 充填物
22 流路1
23 流路2
24 吸収液循環ポンプ
26 脱着用空気送風ファン
27 汚染地下水吸引井戸
28 地下水曝気ブロワー
29 汚染地下水
30 浄化地下水
31 散気管
32 地下水曝気槽
33 循環ガス

Claims (1)

  1. 分解対象物質を含有する被処理気体に対して光を照射することによって前記分解対象物質を分解する分解方法であって、前記分解対象物質を含有する被処理気体と塩素を含む気体とを濃縮する工程と前記濃縮工程を経た混合気体に光を照射し濃縮後の気体から前記分解対象物質を分解する工程を有する分解方法。
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