JP2004321217A - ロボットの顎装置及びその制御方法 - Google Patents

ロボットの顎装置及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロボットの顎部分を、簡易な構造で構成しながらも、自然な形態で動作させる装置と、その制御方法を提供すること。
【解決手段】略U字形状の下顎部と、その下顎部の左右上端部を、それぞれ軸支して、下顎部を回動自在に支持する左右一対の下顎部回動支持ジョイントと、その左右下顎部回動支持ジョイントに対して下顎部を回動させる左右一対の下顎部回動駆動手段とを備え、下顎部回動駆動手段の駆動によって、下顎部を回動させることで、口部を開閉させ、また、左右下顎部回動支持ジョイントと、頭部骨格に固設された左右一対のベースとをそれぞれ連結する左右一対のリンク部と、その左右ベースに対してそれぞれ左右リンク部を回動させる左右一対のリンク部回動駆動手段とを備え、リンク部回動駆動手段の駆動によって、リンク部を回動させることで、下顎部を略前後左右方向にも移動させる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットの顎部分を、簡易な構成でありながらも、自然な形態で動作させる装置と、その制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロボットは工業製品の生産分野に始まり、建設、土木、農林、教育、医療、サービスと幅広い分野で用いられている。これらの分野で用いられているロボットは、例えば自動車生産における溶接ロボットや塗装ロボット等に代表されるように、人間が作業しにくい劣悪な環境での作業や、作業効率の向上、或いは人間の作業を補完するために用いられているので、明確な作業機能を有する作業ロボットといえる。
他方、玩具として、感情を表現し、人とのコミュニケーションをとることができ疑似ペットとしてのペット型ロボットがある。これは、作業機能は備えない代わりに、コミュニケーション機能を有するので、コミュニケーションロボットといえる。
【0003】
近年、ロボットの研究・開発が進み、実用化されつつある。例えば、宇宙環境や放射能管理施設等の人間が作業できないような環境での作業から、警備、医療、施設、家庭等と幅広い分野での利用が進んでいる。
コミュニケーションロボットは、例えば、医療施設ではロボットとコミュニケーションをとることで精神障害の改善や、公共施設では施設内の案内として用いられているものがある。
【0004】
人間の顎関節には、特徴的な動作がある。すなわち、下顎は、図1に示すような単なる回転運動をするのではなく、拡開時に前方やや下方へ平行移動する。また、物を噛むときや表情をつくるときなどは、左右に平行移動する。特に、発語の際には、下顎の先端が、図2に示すように、垂直から15°度程度傾いた直線状の運動をすることが知られている。
【0005】
下顎部を回動させて口部を開閉させるロボットとしては、例えば、
【特許文献1】特開2001−29364号「顎運動装置」
などが挙げられる。
しかし、このような従来技術による下顎は、図1のように、その上端部を軸とした単純な回転動作であった。そのため、現実の人間の顎動作と異なり、不自然な印象を与えていた。
また、従来技術による下顎部は、略前後左右方向には動かず、装置も大がかりであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、ロボットの顎部分を、簡易な構造で構成しながらも、自然な形態で動作させる装置と、その制御方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明のロボットの顎装置は、次の構成を備える。
すなわち、頭部骨格と、それに連結された下顎部とを少なくとも備えたロボットにおいて、略U字形状の下顎部と、その下顎部の左右上端部を、それぞれ軸支して、下顎部を回動自在に支持する左右一対の下顎部回動支持ジョイントと、その左右下顎部回動支持ジョイントに対して下顎部を回動させて、口部を開閉させる左右一対の下顎部回動駆動手段と、左右下顎部回動支持ジョイントと、頭部骨格に固設された左右一対のベースとをそれぞれ連結する左右一対のリンク部と、その左右ベースに対してそれぞれ左右リンク部を回動させて、下顎部を略前後左右方向にも移動させる左右一対のリンク部回動駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、下顎部回動支持ジョイントとベースとの間に弾性体を設けて、下顎部の位置安定に寄与させてもよい。
【0009】
下顎部を略前後方向に移動させるガイド部材を、前方下向きに約15°傾斜させて設けて、自然な発語形態に寄与させてもよい。
【0010】
下顎部回動駆動手段を、下顎部のアームに内装したモーターで構成して、省スペース化に寄与させてもよい。
【0011】
また、本発明のロボットの顎装置の制御方法は、頭部骨格と、それに連結された下顎部とを少なくとも備えたロボットにおいて、略U字形状の下顎部と、その下顎部の左右上端部を、それぞれ軸支して、下顎部を回動自在に支持する左右一対の下顎部回動支持ジョイントと、その左右下顎部回動支持ジョイントに対して下顎部を回動させる左右一対の下顎部回動駆動手段とを備え、下顎部回動駆動手段の駆動によって、下顎部を回動させることで、口部を開閉させ、また、左右下顎部回動支持ジョイントと、頭部骨格に固設された左右一対のベースとをそれぞれ連結する左右一対のリンク部と、その左右ベースに対してそれぞれ左右リンク部を回動させる左右一対のリンク部回動駆動手段とを備え、リンク部回動駆動手段の駆動によって、リンク部を回動させることで、下顎部を略前後左右方向にも移動させることを特徴とする。
【0012】
ここで、口部を開閉させる際には、下顎部回動駆動手段とリンク部回動駆動手段の駆動を連携させることで、口部の拡開に伴って、下顎部を前方下向きに移動させて、自然な発語形態に寄与させてもよい。
【0013】
左右のリンク部回動駆動手段の駆動を独立に制御して、下顎部の略左右方向の移動に寄与させてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に示した実施例に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜設計変更可能なものである。
図2は、図1に示した従来例との差異を明示する本発明顎装置の要部側面説明図である。図3(イ)(ロ)は、閉口時における本発明顎装置のリンク系を示す正面図及び平面図、図4(イ)(ロ)は、閉口時における本発明顎装置の要部を示す斜視図及び側面図である。
同様に、図5(イ)(ロ)は、開口時における本発明顎装置のリンク系を示す正面図及び平面図、図6(イ)(ロ)は、開口時における本発明顎装置の要部を示す斜視図及び側面図である。
【0015】
頭部の骨格(1)には、上顎部(10)と、左右一対のベース(11)(11)が固設されている。
上顎部(10)には、少なくとも略U字状の上歯茎部または上唇部が備わり、後述の下顎部(20)との対応によって、口部の開閉を表現する。
ベース(11)は、下顎部(20)を頭部骨格(1)に間接的に連結するものであり、下顎部(20)の上端部と略等しい高さに配置される。
【0016】
下顎部(20)は、大略U字形状であり、上顎部(10)の上歯茎部または上唇部に呼応する下歯茎部または下唇部から成る開閉部(21)と、その左右両端部から上方に連なる一対のアーム(22)(22)とを少なくとも備える。
【0017】
そのアーム(22)の上端部には、軸穴(23)が開口し、そこに挿通された下顎部回動軸(30)によってアーム(22)が軸支されている。
下顎部回動軸(30)は、アーム(22)上端部に隣接した下顎部回動支持ジョイント(31)に支持される。
これによって、下顎部(20)は、下顎部回動軸(30)を介して、下顎部回動支持ジョイント(31)に対して回動自在に支持されている。
【0018】
アーム(22)の中央には空隙が設けられ、そこに下顎部回動用モーター(40)が嵌装される。
下顎部回動用モーター(40)には傘歯車が軸装され、下顎部回動軸(30)に付装される歯車に、その駆動力が伝導される。
そのため、下顎部(20)を回動させて、口部の開閉を表現する下顎部回動駆動手段は、余剰空間を有効利用して設置された下顎部回動用モーター(40)によって司られている。
【0019】
下顎部回動支持ジョイント(31)と、ベース(11)との間には、リンク部(32)が配置され、両者を連結している。
図示のリンク部(32)には、2体の駆動片(33)(34)と、弾性体(35)が設けられている。
下顎部回動支持ジョイント(31)は、軸(36)を介して駆動片(33)と連結し、駆動片(33)は、軸(37)を介して駆動片(34)と連結し、駆動片(34)は、軸(38)を介してベース(11)と連結している。
そして、駆動片(33)と駆動片(34)との連結部位には、リンク部回動用モーター(41)が配備され、それが、リンク部回動駆動手段として、駆動片(33)(34)を略前後方向に移動させる。
なお、後述するように、この左右一対のリンク部回動用モーター(41)(41’)は、独立に駆動される。
【0020】
スプリング等から成る弾性体(35)は、下顎部回動支持ジョイント(31)と、ベース(11)との間に連結される。
この弾性体(35)によって、リンク部回動用モーター(41)による駆動片(33)(34)の移動に制御が加わるので、下顎部(20)の位置が安定化されている。すなわち、左右のリンク部回動用モーター(41)(41’)の制御によって、左右の駆動片(33)(34)(33’)(34’)の位置が決まれば、下顎部(20)の位置が一意に定まり、下顎部(20)は、上顎部(10)と干渉しない範囲で円滑に回動する。
なお、下顎部(20)に外力が加わった場合には、弾性体(35)によって、その位置が安全に変位される。
【0021】
下顎部回動用モーター(40)と左右リンク部回動用モーター(41)(41’)とは、駆動を連携させることが好ましい。
すなわち、下顎部回動用モーター(40)による下顎部(20)の回動と、左右リンク部回動用モーター(41)(41’)による下顎部(20)の略前後移動とを連動させる。すると、口部の拡開に伴って、下顎部(20)を前方下向きに移動させて、自然な発語形態を表現することが可能になる。
下顎部(20)を前方下向きに誘導するためには、図2に示したように、下顎部(20)の上端部等の移動を制御するガイド部材(2)を、前方下向きに約15°傾斜させて設けておく。
【0022】
図7(イ)(ロ)は、下顎部の左右方向移動時における本発明顎装置のリンク系を示す平面図、図8(イ)(ロ)は、下顎部の左右方向移動時における本発明顎装置の要部を示す斜視図及び側面図である。
前述の通り、左右のリンク部回動用モーター(41)(41’)は独立に駆動されるので、その駆動量に差を与えると、左駆動片(33)(34)と右駆動片(33’)(34’)の位置にずれが生じる。
図示の例では、下顎部(20)が右側方に移動している。
【0023】
このように、3体のモーター(40)(41)(41’)による3自由度のみで、下顎部(20)は、略前後左右方向にも動作して、自然な開閉形態を表現する。
更に、可動部である下顎部(20)のモーメントが小さいので、小さな駆動装置で小電力で動作させることができる。
また、下顎部(20)の内側が空隙なので、人工舌を組み入れたり、発声装置など付属機器の設置場所に利用することもできる。
【0024】
【発明の効果】
本発明のロボットの顎装置及びその制御方法は、上述の構成を備えることで、以下の効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の顎装置または請求項5に記載の制御方法によると、下顎部は、その上端部が下顎部回動支持ジョイントで軸支され、下顎部回動駆動手段で回動され、一方、下顎部回動支持ジョイントに連なるリンク部を介して、リンク部回動駆動手段によって略前号左右方向にも回動されるので、簡易な構成でありながらも、自然な形態で動作させることができる。
【0025】
請求項2に記載の顎装置によると、下顎部回動支持ジョイントとベースとの間に弾性体が備わるので、下顎部の位置の制御と安定が図られる。
【0026】
請求項3に記載の顎装置によると、前方下向きに傾斜させて設けられたガイド部材によって下顎部を誘導するので、自然な発語形態を表現することができる。
【0027】
請求項4に記載の顎装置によると、下顎部を回動駆動するモーターが、下顎部のアームに内装されるので、省スペースが図られる。
【0028】
請求項6に記載の制御方法によると、下顎部回動駆動手段とリンク部回動駆動手段の駆動が連携されるので、口部の拡開に伴って下顎部を前方下向きに移動させて、自然な発語形態を表現することができる。
【0029】
請求項7に記載の制御方法によると、左右のリンク部回動駆動手段が独立に制御されるので、下顎部を略左右方向に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による顎装置の要部側面説明図
【図2】本発明による顎装置の要部側面説明図
【図3】閉口時におけるリンク系を示す正面図及び平面図
【図4】閉口時における要部を示す斜視図及び側面図
【図5】開口時におけるリンク系を示す正面図及び平面図
【図6】開口時における要部を示す斜視図及び側面図
【図7】下顎部の左右方向移動時におけるリンク系を示す平面図
【図8】下顎部の左右方向移動時における要部を示す斜視図及び側面図
【符号の説明】
1 頭部骨格
2 ガイド部材
10 上顎部
11 ベース
20 下顎部
21 開閉部
22 アーム
23 軸穴
30 下顎部回動軸
31 下顎部回動支持ジョイント
32 リンク部
33、33’、34、34’ 駆動片
35 弾性体
36〜38 軸
40、41、41’ 下顎部回動用モーター

Claims (7)

  1. 頭部骨格と、それに連結された下顎部とを少なくとも備えたロボットにおいて、
    略U字形状の下顎部と、
    その下顎部の左右上端部を、それぞれ軸支して、下顎部を回動自在に支持する左右一対の下顎部回動支持ジョイントと、
    その左右下顎部回動支持ジョイントに対して下顎部を回動させて、口部を開閉させる左右一対の下顎部回動駆動手段と、
    左右下顎部回動支持ジョイントと、頭部骨格に固設された左右一対のベースとをそれぞれ連結する左右一対のリンク部と、
    その左右ベースに対してそれぞれ左右リンク部を回動させて、下顎部を略前後左右方向にも移動させる左右一対のリンク部回動駆動手段とを備えたことを特徴とするロボットの顎装置。
  2. 下顎部回動支持ジョイントとベースとの間に弾性体が設けられた請求項1に記載のロボットの顎装置。
  3. 下顎部を略前後方向に移動させるガイド部材が、前方下向きに約15°傾斜している請求項1または2に記載のロボットの顎装置。
  4. 下顎部回動駆動手段が、下顎部のアームに内装されたモーターである請求項1ないし3に記載のロボットの顎装置。
  5. 頭部骨格と、それに連結された下顎部とを少なくとも備えたロボットにおいて、
    略U字形状の下顎部と、
    その下顎部の左右上端部を、それぞれ軸支して、下顎部を回動自在に支持する左右一対の下顎部回動支持ジョイントと、
    その左右下顎部回動支持ジョイントに対して下顎部を回動させる左右一対の下顎部回動駆動手段とを備え、
    下顎部回動駆動手段の駆動によって、下顎部を回動させることで、口部を開閉させ、
    また、
    左右下顎部回動支持ジョイントと、頭部骨格に固設された左右一対のベースとをそれぞれ連結する左右一対のリンク部と、
    その左右ベースに対してそれぞれ左右リンク部を回動させる左右一対のリンク部回動駆動手段とを備え、
    リンク部回動駆動手段の駆動によって、リンク部を回動させることで、下顎部を略前後左右方向にも移動させることを特徴とするロボットの顎装置の制御方法。
  6. 口部を開閉させる際には、
    下顎部回動駆動手段とリンク部回動駆動手段の駆動を連携させることで、口部の拡開に伴って、下顎部を前方下向きに移動させる請求項5に記載のロボットの顎装置の制御方法。
  7. 左右のリンク部回動駆動手段の駆動が独立に制御される請求項5または6に記載のロボットの顎装置の制御方法。
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