JP2004321213A - 揮発性薬剤含有体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性のエラストマー成形体、特にスチレン系熱可塑性エラストマーを主体とする成形体5と、液状の揮発性薬剤6を共存状態で容器、特に販売用包装容器1内に収納して密封し、揮発性薬剤を熱可塑性のエラストマー成形体に吸収させて揮発性薬剤含有体を製造する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、芳香や消臭効果、あるいは防虫ないし殺虫効果などの機能を有する揮発性の薬剤を基剤に含有させ、それら薬剤の除放性を利用して、上記効果を発揮させる、いわゆる芳香剤、消臭剤、防虫剤などとして用いられる揮発性薬剤含有体及びその製造方法に関するもので、それら各種の薬剤の製造技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
香料、防虫、殺虫、揮発性薬剤を基剤に含浸させ、それら薬剤の除放性を利用した芳香剤、消臭剤、防虫剤として使用することは、以前より広く行なわれているもので、たとえば、特公昭59−27784号公報(特許文献1)においては、スチレン−ブタジエン共重合体などの熱可塑性のエラストマーからなる粒径3mm程度の粒状体を、必要に応じて希釈剤を加えた、3〜5倍量の揮発性薬剤に含浸吸着させて芳香剤、防虫剤、殺虫剤とすることが開示されている。
【0003】
また、特公昭60−2064号公報(特許文献2)においては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の粒径10mm以下、好ましくは粒径2〜6mmのペレットと香料を、ペレットが実質上融着しない温度条件下において接触、具体的にはロータリーエバポレーターなどによる混合接触により、含浸させてペレット状の除放性香料組成物とすることが開示されている。
【0004】
さらに、特公平5−63184号公報(特許文献3)では、液状脂肪族炭化水素を、スチレン系熱可塑性のエラストマーでゲル化してなる透明ゲル状物に、香料を溶解又は接触させて含浸させ、透明ゲル状香料揮散体とすることが開示されている。
【0005】
さらにまた、特開2002−265724号公報(特許文献4)では、スチレン系熱可塑性のエラストマー組成物、特にビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックを少なくとも1個、および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックを少なくとも1個、を含有するブロック共重合体を主体とするスチレン系熱可塑性のエラストマー組成物から成形されたシートを香料溶液に浸漬するか、シートに香料を塗布し4時間乃至14日間放置して、香料をシートに含浸させ、粘着性芳香材とすることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特公昭59−27784号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献2】
特公昭60−2064号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献3】
特公平5−63184号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献4】
特開2002−265724号公報(特許請求の範囲、実施例)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、樹脂、特に熱可塑性のエラストマーを基剤とし、これに香料などの揮発性薬剤を含浸させて、芳香剤などの揮発性薬剤含有体を調製するには、通常、揮発性薬剤溶液に浸漬し、又は塗布して数時間から数日に亙って放置し、あるいは撹拌混合接触させるという方法が採用されている。
【0008】
その際、含浸効率を上げるために、前記したように、液状脂肪族炭化水素にスチレン系熱可塑性のエラストマーを溶解して得られるゲル状物を用いるという方法も採用されている。
【0009】
しかしながら、熱可塑性のエラストマーなどの基剤に、揮発性薬剤を含浸させて揮発性薬剤含有体を調製するに際し、数時間から数日に亙って放置するという方法は、製造における工程管理の観点からも、製造効率の面からも好ましいことでなく、製造工程や包装工程などにおいて、揮発性薬剤の揮散による損失や、異物の混入のおそれがある。
【0010】
また、スチレン系熱可塑性のエラストマーの脂肪族炭化水素ゲル状溶液を用いる方法は、含浸効率は向上するが、ゲル状物に流動性があるため、製品の性格から種々の形態、意匠が求められる揮発性薬剤含有体を調製する方法としては満足できるものではない。
【0011】
この発明はかかる現状に鑑み、鋭意検討の結果、香料などの揮発性薬剤と熱可塑性のエラストマー成形体は、両者を密封容器内に共存させるだけで、香料などの揮発性薬剤は、熱可塑性のエラストマー成形体に吸着されることを見出し、芳香剤などの揮発性薬剤含有体を調製する際に、揮発性薬剤含有体を基剤に浸透させる工程を格別に設ける必要も無く、上記問題点の全てが解決されることを見出し、香料などの揮発性薬剤を基剤に浸透させる際の製造工程を簡素化し、工程管理を容易にすると共に製造効率を上げ、さらには、製品への異物の混入を防ぎ、揮発性薬剤の損失を低減することを目的とし、それらの問題の無い優れた揮発性薬剤含有体の製造方法、及びこの製造方法で得られた揮発性薬剤含有体を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
熱可塑性のエラストマー成形体と液状の揮発性薬剤とを、共存状態で容器内に収納して密封し、前記揮発性薬剤をエラストマー成形体に吸収させること
を特徴とする揮発性薬剤含有体の製造方法である。
【0013】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記容器は、
揮発性薬剤含有体製品の販売用包装容器であること
を特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記熱可塑性のエラストマー成形体は、
スチレン系の熱可塑性エラストマーを主体とする成形体であること
を特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記熱可塑性のエラストマー成形体は、
粘着性を有すること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記容器は、
その収納部が、収納せんとする前記エラストマー成形体と同一の形状を有すること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記容器は、
複数のエラストマー成形体を、個別に収納する複数の収納部を有すること
を特徴とするものである。
【0018】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれかに記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記エラストマー成形体は、
板状であること
を特徴とするものである。
【0019】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項7に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記板状のエラストマー成形体は、
厚みが1〜10mmの厚さの板状体であること
を特徴とするものである。
【0020】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項7又は8に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法において、
前記板状のエラストマー成形体は、
その表面又は裏面のいずれかの全面又はほぼ全面を、前記容器内に充填された液状の揮発性薬剤に接触させること
を特徴とするものである。
【0021】
さらに、この発明の請求項10に記載の発明は、
熱可塑性のエラストマー成形体からなものであって、
密封された容器内に共存した液状の揮発性薬剤を吸収し、成形体内に保持していること
を特徴とする揮発性薬剤含有体である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の揮発性薬剤含有体の製造方法と、この方法によって得られる揮発性薬剤含有体について詳細に説明する。
【0023】
この発明において、エラストマー成形体とは、熱可塑性エラストマーを主たる成分とし、軟化剤、滑剤、着色剤などが添加された樹脂組成物を、押出成形、射出成形、真空成形、カレンダー成形などの成形方法で成形して得られるものである。
【0024】
熱可塑性エラストマーは、製品としての揮発性薬剤含有体が使用されるとき、室内や自動車の窓ガラスや鏡面、浴場のタイル面、あるいは冷蔵庫内壁面などの平滑面に貼付して場所を取らずに使用できるように、粘着性を有しているものが好ましい。
【0025】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックと、イソプレン、ブタジエンなどの共役ジエン化合物の重合体ブロックを含有するブロック共重合体、または、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物のランダム共重合体などのスチレン系熱可塑性エラストマーが用いられ、好ましくは共役ジエン化合物の共役ジエン部分の35%以上が水素添加されたブロック共重合体であるものが用いられ、さらには、ブロック共重合体またはランダム共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有率が5〜75重量%であり、数平均分子量が30000から500000の範囲のものが好ましく用いられる。
【0026】
このような熱可塑性エラストマー組成物としては、市販されているものも使用可能であって、例えば、クラレプラスチックス株式会社の「セプトンコンパウンド」が挙げられる。
【0027】
また、成形形状には特段の限定はないが、ガラス面などの平滑面に貼着して使用する場合には、被着面との接触面積を大きくするよう、少なくとも一面は平らな面を有していることが好ましく、さらには、使用時に場所を取らず、成形体自体の重みによる落下を防止するため、厚みは1〜10mm、より好ましくは1〜5mm程度の板状であることが好ましい。
【0028】
この扁平な成形体は、前記の成形方法で直接成形するか、シート状に形成されたものを所定の形状に打ち抜いて、成形してもよい。
【0029】
この発明に用いられる液状の揮発性薬剤としては、当該揮発性薬剤が使用される雰囲気温度下で揮発・揮散する液状物質であれば特に制限はなく、芳香、消臭、防虫、殺虫などの効果・機能を有するものが用いられる。
【0030】
これらの揮発性薬剤は、イソパラフィン、ノルマルパラフィン等のパラフィン系溶媒など適当な溶媒に溶解して用いることも可能で、特に液状物質が表面に残らず、熱可塑性のエラストマー成形体内部へ確実に浸透し、結果としてこれら薬剤の持続性を良くする、パラフィン系などの極性の低い溶媒に溶解して用いるのが好ましい。
【0031】
揮発性薬剤の具体例としては、芳香剤や消臭剤などを目的とするものには、ベンズアルデヒド、α−ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、リナロール、リモネン、メントール、酢酸リナリル、アミルシンナミックアルデヒド、アンスラニン酸メチル、イソオイゲノール、カプロン酸アリル、酢酸イソブチル、酢酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、シトラール、デシルアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、酢酸イソアミル等を成分とする香料や、芳香消臭効果のある植物精油、例えば、ビターアーモンド油、ヒノキ油、ナツメグ油、ゼラニウム油、ラベンダー油、ライム油、ペパーミント油、ベチパー油、スウィートオレンジ油、タイム油などが挙げられる。
【0032】
また、防虫剤や殺虫剤などの目的には、α−ピネン、オイゲノール、ツヨン、チモール、ヒノキチオール、シンナミックアルデヒド等や、防虫効果または殺虫効果のある植物精油、例えば、ナツメグ油、チョウジ油、セージ油、タイム油、ラベンダー油、バジル油、ヒノキ油等が挙げられる。
【0033】
さらに合成薬剤である、ピレスロイド化合物、カーバメート化合物、有機リン系化合物、DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)等の種種の薬剤が挙げられる。
【0034】
前記のピレスロイド化合物としては、アレスリン(dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルdl−シス/トランス−クリサンテマ−ト)、ピナミンフォルテ(dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルd−シス/トランス−クリサンテマ−ト)、エキスリン(d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルd−トランス−クリサンテマ−ト)、レスメトリン((5−ベンジル−3−フリル)メチルd−シス/トランス−クリサンテマ−ト)、エトック((+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル(+)−シス/トランス−クリサンテマ−ト)、フタルスリン((1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル−dl−シス/トランス−クリサンテマ−ト)、ネオピナミンフォルテ(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル−d−シス/トランス−クリサンテマ−ト)、フエノトリン(3−フエノキシペンジル−d−シス/トランス−クリサンテマ−ト、ペルメトリン(3−フエノキシペンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボオキシラ−ト)、エンペントリン(1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニルdl−シス/トランス−クリサンテマ−トなどが挙げられる。
【0035】
これらの揮発性薬剤を、エラストマー成形体に吸収させて揮発性薬剤含有体を製造する際における、揮発性薬剤とエラストマー成形体の使用割合は、使用する揮発性薬剤とエラストマー成形体のそれぞれの種類や形態、発生する香りなどを考慮して決められるが、通常、エラストマー成形体100質量部に対し揮発性薬剤(使用した溶剤を含む)10〜50質量部で、好ましくは20〜40質量部である。
【0036】
前記の揮発性薬剤が10質量部より少ないと発生する香りが少なくなり、50質量部を超えるようになると、揮発性薬剤のすべてがエラストマー成形体に吸収されず、液状で残存することがあるので避けるのが好ましい。
【0037】
かかる揮発性薬剤含有体を収納する容器としては、エラストマー成形体と揮発性薬剤を収納して密封した際に、揮発性薬剤が揮散することを防止できる、通気性の低い素材で形成されたものであれば、その形状について制限はなく、種々の形態のもの、特にそのまま市販が可能な、商品としての揮発性薬剤含有体の販売用包装容器そのものが好ましい。
【0038】
例えば、芳香剤などの揮発性薬剤含有体を円盤状とし、商品として見栄え良く収納するには、通気性の低いプラスチック素材からなる1枚の硬質で透明なシートに、円盤状の芳香剤を収納できる直径と深さを有する円形の凹部の複数を設け、揮発性薬剤として芳香成分と、エラストマー成形体を各凹部内に収納したのち、その表面の全面を透明な通気性の低いフィルムで被覆するという、図1に示されるような容器とすることができる。
【0039】
なお、図1において、1は円盤状の芳香剤などの揮発性薬剤含有体を6個収納できる円柱状の収納部2を2列に並列して設けたもので、揮発性薬剤含有体を収納した後は、円柱状の収納部2の開口端縁部3と容器1の端縁部4を利用して、フィルムなどを用い、ヒートシールなどの手段で密封することが可能なものである。
【0040】
容器としては、上記のように、エラストマー成形体を収納する部分を適宜の方法で設けた硬質プラスチック体をフィルムにより密封したもののほか、同素材の硬質プラスチック素材で蓋体を設けたものを用いてもよい。
【0041】
容器に用いられる材質としては、通常容器の素材として用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)などを用いることができるが、ガスバリアー性と強度の観点から、PETが好ましく用いられ、さらに、密封作業を簡易に行うため、PEやPPをラミネートし、ヒートシール性を持たせたPETを用いることが好ましく、また、フィルムの場合には、透明蒸着PETやアルミ蒸着PETを貼り合わせて、強度とガスバリアー性を向上させたものを用いてもよい。
【0042】
熱可塑性エラストマーの成形体と液状の揮発性薬剤とを、容器に収納する方法については格別な制限はなく、容器に揮発性薬剤を収納した後、エラストマー成形体を収納するか、容器にエラストマー成形体を収納した後、揮発性薬剤を、例えば散布するようにして収納する方法がある。
【0043】
なお、その際、エラストマー成形体を板状のものとし、揮発性薬剤が板状のエラストマー成形体の表面又は裏面のいずれかの全面、又はほぼ全面に接触する状態、すなわち、図2の断面図に示されるようにするのが、揮発性薬剤の吸収の面から好ましい。
【0044】
なお、図2において、円盤状のエラストマー成形体5は、その一面が、容器1に形成された円柱状の収納部2の底部に収納された揮発性薬剤6に接触し、その状態で、フィルム7で密封されるもので、フィルム7と容器1との接着は、上記したように円柱状の収納部2の開口端縁部3と容器1の端縁部4を用いて行なわれる。
【0045】
【作用】
前記のように、密封容器内に、熱可塑性のエラストマー成形体と液状の揮発性薬剤を共存させるという単純な操作で、揮発性薬剤はエラストマー成形体に確実に吸収され、揮発性薬剤含有体が調製される。
【0046】
【実施例】
以下、具体的な実施例により、この発明をより詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
まず、熱可塑性エラストマーとしてスチレン系エラストマー(クラレプラスチックス株式会社製;セプトンコンパウンドJS20N)を用い、射出成型機で直径32mm、厚さ3mmの円盤状で粘着性を有する成形体(重量2.1g)を調製した。
別途、ポリエチレンがラミネートされた厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレートシートを用い、図1に示される形状で、直径34mm、深さ7.5mmの円柱状の収納部2を6個有する容器1(縦100mm×横155mm)を真空成形により調製した。
容器1の収納部2の各々に、イソパラフィンを溶媒とするグレープフルーツ香料0.6gを入れ、さらに円盤状のエラストマー成形体を収納した後、直ちに、通気性の低いアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリプロピレン系イージーピールフィルムとの積層フィルムを用い、円柱状の収納部2の開口端縁部3と容器1の端縁部4を利用してヒートシールし密封した。
【0048】
容器の密封後11日経過した後(その間、容器は水平状態で保管)に、積層フィルムを剥がし、エラストマー成形体を取り出したところ、共存していた香料の全てを吸収し(重量2.7g)、芳香性を発揮する成形体、すなわち芳香剤となっており、また粘着性を有し、室内の窓ガラスに貼りつけたところ強固に貼着した。
したがって、容器内部に香料と共に収納したエラストマー成形体は、容器入りの円盤状の芳香剤として、このままで、商品としても販売可能なものである。また、当然のことであるが、円盤状の芳香剤入りの容器を、説明書と共に、さらに化粧箱やブリスター容器などに収納されて販売することもできるものである。
【0049】
<実施例2>
実施例1における、グレープフルーツ香料の代わりに、ターピネオール(防虫成分)、ヒノキオイル(消臭成分)を用いた以外は同様に操作したところ、得られたものが防虫剤、消臭剤であること以外は全く同様の結果が得られた。
【0050】
また、防虫剤は、ポリプロピレン製の衣類収納箱への貼着が可能で、消臭剤は冷蔵庫内の壁面に貼着が可能で、貼着後10日経過するも貼着状態に異常は認められなかった。
【0051】
<実施例3>
熱可塑性エラストマーとして、スチレン系エラストマー(クラレプラスチックス株式会社製;セプトンコンパウンドJS20N)を用い、図3に示すように、射出成型機で直径65mm、厚さ3mmの雪の結晶状で、一方の面に窪んだ溝9を設けた粘着性を有する成形体8(重量5g)を調製した。
別途、ポリエチレンがラミネートされた厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレートシートを用い、図示しないが、直径68mm、深さ7.5mmの円柱状の収納部を1個有する容器(縦90mm×横90mm)を真空成形により調製した。
容器の収納部に、溝9が上にくるように図3に示す成形体8を載置し、この成形体8の溝9に、イソパラフィンを溶媒とするグレープフルーツ香料1.5g滴下したのち、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリプロピレン系イージーピールフィルムとの積層フィルムを用い、容器の端縁部を利用してヒートシールし密封した。
【0052】
【発明の効果】
この発明によれば、芳香剤、消臭剤、防虫剤などとして用いられる揮発性薬剤含有体の調製に際し、香料などの揮発性薬剤と熱可塑性のエラストマー成形体の両者を密封容器内に共存させるという簡単な操作の採用により、香料などの揮発性薬剤を基剤に浸透させる工程を省略でき、工程の簡素化が図れ、工程管理を容易にすると共に製造効率を上げることができ、さらには、浸透工程の省略は、製品への異物の混入を防ぎ、揮発性薬剤の損失を低減するという効果が併せて奏される。
【0053】
また、揮発性薬剤と熱可塑性のエラストマー成形体とを、共存させる容器を製品容器とすれば、共存工程が製品包装工程となり、そのまま出荷が可能で、短期間での製造を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例で用いた容器の斜視図である。
【図2】図1の容器を用いて揮発性薬剤含有体を調製する方法の一例を示す説明図である。
【図3】この発明に係る揮発性薬剤含有体の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 容器
2 収納部
3 収納部開口端縁部
4 容器端縁部
5 エラストマー成形体
6 揮発性薬剤
7 密封用フィルム
Claims (10)
- 熱可塑性のエラストマー成形体と液状の揮発性薬剤とを、共存状態で容器内に収納して密封し、前記揮発性薬剤をエラストマー成形体に吸収させること
を特徴とする揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記容器は、
揮発性薬剤含有体製品の販売用包装容器であること
を特徴とする請求項1に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記熱可塑性のエラストマー成形体は、
スチレン系熱可塑性のエラストマーを主体とする成形体であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記熱可塑性のエラストマー成形体は、
粘着性を有すること
を特徴とする請求項3に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記容器は、
その収納部が、収納せんとする前記エラストマー成形体と同一の形状を有すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記容器は、
複数のエラストマー成形体を、個別に収納する複数の収納部を有すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記エラストマー成形体は、
板状であること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記板状のエラストマー成形体は、
厚さが1〜10mmの板状体であること
を特徴とする請求項7に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 前記板状のエラストマー成形体は、
その表面又は裏面のいずれかの全面又はほぼ全面を、前記容器内に充填された液状の揮発性薬剤に接触させること
を特徴とする請求項7又は8に記載の揮発性薬剤含有体の製造方法。 - 熱可塑性のエラストマー成形体からなるものであって、
密封された容器内に共存した液状の揮発性薬剤を吸収し、エラストマー成形体内に保持していることを特徴とする揮発性薬剤含有体。
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