JP2004319925A - 磁気センサ - Google Patents

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文雄 白崎
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Abstract

【課題】耐熱性が高く、小さい外部磁界で動作可能な磁気センサを提供する。
【解決手段】GMR素子は、外部磁界に反応して磁化方向が変化する少なくとも一つの耐熱軟磁性層と、予め定められた磁化方向を有する耐熱磁性層を含む少なくとも一つのバイアス層とを有し、耐熱軟磁性層とバイアス層との間に、耐熱軟磁性層とバイアス層とを磁気的に分離する少なくとも一つの非磁性層が配置されている。耐熱軟磁性層は、(NiFe1−x1−y{但し、0.70≦x≦0.90、0.90≦y<1.00}の組成で、バイアス層を構成する耐熱磁性層は、(CoFe1−a1−b{但し、0.70≦a≦1.00、0.90≦b≦1.00}の組成とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触で物理的変量を測定するために使用される、耐熱性が良好で、小さな外部磁界で使用可能な巨大磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
工業計測の分野では、非接触で位置や回転角あるいはトルク等の物理的変量を検出するために、ホール素子のような低コストの感磁素子が使用されているが、特に高感度の検出を行う場合には、被測定部材との相対速度が再生出力に依存しない異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)を有する磁気センサが使用されている。しかしこの磁気センサは、磁気抵抗変化率が3%程度と低く出力信号が小さいので、磁気抵抗変化率が大でかつ回路上では単に2端子の抵抗として取り扱えるという利点を有する巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を備えた磁気センサが注目され、その実用化が検討されている。
【0003】
上記GMR素子としては、非磁性層を介して隣り合う磁性層の磁化方向が互いに逆向きになっている結合型GMR人工格子膜が知られている。しかし、この結合型GMR人工格子膜は大出力を得ることはできるが、最大抵抗変化のおこる動作磁界強度が大きいので、大型の動作磁界発生手段を必要とし、磁気センサの用途が制限されるという難点がある。そこで近年、低い磁界で動作するGMR膜として、非磁性層を介して保磁力の異なる2つの磁性層を積層した構造の非結合型人工格子膜が提案されている。例えば特許文献1には、非磁性層(Cu、Au、Cr等)を介して保磁力の小さい磁性層(例えばNiFe、NiFeCo等で形成されたメジャーリング層)と保磁力の大なる磁性層(例えばCo、Fe、CoFe等で形成されたバイアス層)を交互に積層するとともに、メジャーリング層をバイアス層よりも短くした積層構造が記載されている。また特許文献2には、磁壁の存在により発生するノイズを低減するために、磁性層と非磁性層とを交互に積層したMR膜{例えばCo0.9Fe0.1/Cu/パーマロイ/Cu}n}の少なくとも端部に、縦バイアス磁界を印加する、磁性層と非磁性層とを交互に積層した磁化安定膜{例えば(Co/Cu)n}を積層した磁気抵抗効果素子が記載されている。この他、特許文献3には、磁気センサの製造工程でGMR膜が加熱された時の磁気抵抗変化率の低下を防止するために、[(NiCo1− Fe1−y1−z{但し、0.60≦X≦1.00、0.70≦Y≦1.00、0.90≦Z<1.00}の組成を有する磁性薄膜層と非磁性膜層を交互に基板上に積層して結合型GMR人工格子膜を形成することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5668473号明細書(第5〜6欄、図1)
【特許文献2】
特許第3237885号公報(第2〜3頁、図3)
【特許文献3】
特開2002−277281号公報(第2〜3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
磁気センサの製造過程では、GMR素子の両端部に配線膜を接続し、そこに端子を例えばはんだ付により接続する時にGMR素子が加熱されるので、加熱された時の磁気抵抗変化率の低下を抑制することが必要であり、特に従来のSn−Pbはんだよりも共晶点が数十℃も高い鉛フリーはんだを使用する場合は、高い耐熱性を備えていることが重要である。また磁気センサの用途によっては、200℃以上の高温で使用されるので、耐熱性の高いGMR素子を備えた磁気センサが望まれている。しかるに特許文献1及び特許文献2に記載された非結合型GMR素子は、従来の結合型GMR人工格子膜よりも小さな磁界で動作するが耐熱性に関する記載はない。特許文献3に記載された磁気センサは、高い耐熱性を有するが、60Oe以上の動作磁界を必要とするという難点がある。
【0006】
従って本発明の目的は、耐熱性が良好でかつ小さい外部磁界で使用可能な非結合型巨大磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の磁気センサは、外部磁界に反応して磁化方向が変化する少なくとも一つの耐熱軟磁性層と、予め定められた磁化方向を有する耐熱磁性層を含む少なくとも一つのバイアス層と、前記耐熱軟磁性層と前記バイアス層との間に、前記耐熱軟磁性層と前記バイアス層とを磁気的に分離する少なくとも一つの非磁性層が配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の磁気センサにおいては、前記バイアス層を前記耐熱軟磁性層より保磁力の大なる少なくとも一つの耐熱磁性層で形成することができる。
【0009】
本発明の磁気センサにおいては、一対の前記耐熱軟磁性層の間に前記バイアス層が設けられ、このバイアス層を、前記非磁性層よりも薄い第2の非磁性層を介して複数の耐熱磁性層が反強磁性結合された積層体とすることができる。
【0010】
本発明の磁気センサにおいては、耐熱軟磁性層は、Ni−Fe−B系軟磁性材料で形成され、具体的には(NiFe1−x1−y{但し、0.70≦x≦0.90、0.90≦y<1.00}の一般式で表される組成(原子比)を有することが好ましい。
【0011】
本発明の磁気センサにおいては、前記耐熱磁性層は、耐熱軟磁性層よりも保磁力の大なる、Co−B系又はCo−Fe−B系磁性材料で形成され、具体的には(CoFe1−a1−b{但し、0.70≦a≦1.00、0.90≦b≦1.00}の一般式で表される組成(原子比)を有することが好ましい。
【0012】
本発明の磁気センサにおいては、前記耐熱軟磁性層及び前記耐熱磁性層の厚さは5〜100Åの範囲にあり、かつ前記非磁性層の厚さは10〜100Åの範囲にあることが好ましい。
【0013】
本発明による磁気抵抗効果素子は、例えばNi−Fe−B系軟磁性材料で形成された耐熱軟磁性層と例えばCo−Fe−B系磁性材料で形成された多層の耐熱磁性層を含む反強磁性結合層からなるバイアス層とを有するので、耐熱性が大でしかも動作磁界が小さくかつ磁気抵抗変化率が大きい磁気センサが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を添付図面により説明する。
図1は本発明の磁気センサを構成するGMR素子の積層構造の一例を示す概略断面図、図2は本発明の磁気センサを構成するGMR素子の積層構造の他の例を示す概略断面図、図3は本発明の磁気センサを構成するGMR素子の積層構造の他の例を示す概略断面図、図4は本発明の実施の形態に係わる磁気センサを示すブロック図、図5は本発明の他の実施の形態に係わる磁気センサを示すブロック図、図6は本発明のGMR素子及び従来のGMR素子に熱処理を施した時の熱処理温度と抵抗変化率との関係を示す図である。
【0015】
図1に示すGMR素子5は、外部磁場の印加により面内の磁化方向が反転する耐熱軟磁性層6と、バイアス層7と、これらの間に形成された非磁性層8からなるユニットが複数個積層された構造を有し、各非磁性層の厚さは全て同一である。この積層体は例えばガラスやセラミックス等の非磁性体からなる基板(不図示)上に形成されている。図1において矢印は磁化方向を示す。この非結合型GMR素子5においては、バイアス層7の磁化方向と、非磁性層8を介してバイアス層7に隣接する耐熱軟磁性層6の磁化方向が保磁力差により、互いに逆向きになっているの時、伝導電子がスピンに依存した散乱を受け、磁気抵抗は大きくなる。またバイアス層7の保磁力と耐熱軟磁性層6の保磁力との差によりGMR効果を得るために、耐熱軟磁性層6は、外部磁界に沿って磁化方向が整列しかつ耐熱性を有する軟磁性材料、例えばNiまたはFe等の元素の1種以上とBを含む金属、それらの合金または化合物で形成される。バイアス層7は、耐熱性を有し耐熱軟磁性層6よりも高い保磁力を有することが必要なので、例えばCoまたはFe等の元素の1種以上とBを含む金属、それらの合金または化合物で形成される。非磁性層8は、例えばCu、Au、Ag、Pt等の金属元素で形成されるが、価格の点でCuが好適である。
【0016】
上記耐熱軟磁性層6は、GMR素子に耐熱性を付与し、GMR素子の製造過程でGMR素子が加熱された時の磁気抵抗変化率の低下を抑制するために、Ni−Fe−B系軟磁性材料で形成される。この耐熱軟磁性層6は、具体的には(NiFe1−x1−y{但し、0.70≦x≦0.90、0.90≦y<1.00}の組成を有することが好ましい。Ni−Fe−B系合金は0.70≦x≦0.90の組成領域で良好な軟磁気特性を示し、保磁力をより小さくすることができるため、保磁力差によりGMR効果を発現させる非結合型GMR膜には有利である。また磁歪もゼロに近くなるため、例えばGMRセンサ素子を形成後、応力による磁気抵抗変化率の減少を抑制することができる。Bの添加により、耐熱性を向上することができるが、yが0.9未満であると、Bが多くなり、磁気抵抗変化率が小さくなり、出力が低下するから不都合である。
【0017】
上記バイアス層7は、耐熱軟磁性層6よりも高い保磁力をもつと共に、GMR素子に耐熱性を付与し、GMR素子の製造過程でGMR素子が加熱された時の磁気抵抗変化率の低下を抑制するために、Co−B系又はCo−Fe−B系材料で形成された耐熱磁性層である。この耐熱磁性層は、具体的には(CoFe1−a1−b{但し、0.70≦a≦1.00、0.90≦b≦1.00}の組成を有することが好ましい。Bの添加により、耐熱性を向上することができるが、bが0.90を越えると、Bが多くなり、磁気抵抗変化率が小さくなり、出力が低下するから不都合である。
【0018】
上記GMR素子5を構成する各層の厚さは次の範囲に設定される。耐熱軟磁性層6及びバイアス層7の厚さは、いずれも5〜100Åの範囲にあることが好ましい。これらの磁性層が薄いと、膜の連続性が劣化し、強磁性を示さなくなり、厚いと、抵抗変化率が減少することはないが、増大することもなく、製作上無駄が多くなる。非磁性層8の厚さは、10〜100Åの範囲にあることが好ましい。非磁性層が薄いと、膜厚が不均一となりまた磁性層間の磁気的相互作用が大きくなるため耐熱軟磁性層とバイアス層の磁化方向が相違なる状態が生じにくくなり、厚いと素子の抵抗が非磁性層により決まってしまい、スピン依存散乱効果による抵抗変化分が相対的に小さくなってしまう。
【0019】
上記GMR素子は、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法あるいは蒸着法等の公知の手法で形成されるが、スパッタ法を採用する場合には、例えば次の工程により作製される。すなわちガラス基板上に下地膜をスパッタで成膜した後、その上に耐熱軟磁性膜、非磁性膜、耐熱磁性膜(バイアス層)、非磁性膜の順に成膜し、これを1ユニットとした積層膜を複数回繰り返しスパッタ成膜し、[耐熱軟磁性膜/非磁性膜/耐熱磁性膜/非磁性膜]nの人工格子膜を作製する。さらに最上層に上部保護膜を成膜することにより形成される。上記人工格子膜の積層回数nは、多い程磁気抵抗変化率は大きくなるが、多すぎると製造工数が増加しまた素子全体の抵抗が低下するので、5〜20回の範囲が適当である。GMR素子の抵抗は、200〜300Ωの範囲にあることが好ましい。
【0020】
本発明の磁気センサは、図1に示す積層構造に限らず、図2又は図3に示す積層構造であってもよい。
図2に示すGMR素子10は、外部磁場の印加により面内の磁化方向が反転する耐熱性軟磁性層11−1、11−2と、第1非磁性層13aを介してこれらの間に形成された、耐熱性磁性層12−1〜12−nと第2非磁性層13bが交互に積層されたバイアス層14を有し、バイアス層14が反強磁性結合層を構成するために第2非磁性層13bは第1非磁性層13aよりも薄く形成されている。耐熱軟磁性層及び耐熱磁性層の材質は各々、図1のGMR素子を構成する耐熱軟磁性層及びバイアス層の材質と同様でよく、また非磁性層の材質も図1のGMR素子を構成する非磁性層の材質と同様でよい。耐熱軟磁性層及び耐熱磁性層の厚さは、5〜100Åの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10〜50Åの範囲にあるとよい。さらに耐熱磁性層の厚さを耐熱軟磁性層よりも薄くすることにより、耐熱性を向上させることができる。第1非磁性層及び第2非磁性層の厚さは10〜100Åの範囲にあることが好ましく、さらに第2非磁性層の厚さは第1非磁性層よりも薄いことが好ましい。
【0021】
図3に示すGMR素子15は、外部磁場の印加により面内の磁化方向が反転する耐熱軟磁性層11と、バイアス層14が、第1非磁性層13aを介して交互に複数回積層されている。バイアス層14は第2非磁性層13bを介して隣接する耐熱磁性層12−1〜12−nが反強磁性結合するように構成されている。耐熱軟磁性層及び耐熱磁性層の材質は各々、図1のGMR素子を構成する耐熱軟磁性層及びバイアス層の材質と同様でよく、また第1及び第2非磁性層の材質も図1のGMR素子を構成する非磁性層の材質と同様でよい。耐熱軟磁性層及び耐熱磁性層の膜厚は各々、図2のGMR素子を構成する耐熱軟磁性層及び耐熱磁性層の膜厚と同様でよく、また第1及び第2非磁性層の膜厚も図2のGMR素子を構成する第1及び第2非磁性層の膜厚と同様でよい。
【0022】
図1乃至図3に示す積層構造を有するGMR素子を用いて例えば図4及び図5に示す磁気センサが作製される。図4に示す磁気センサは、ハーフブリッジ形の2個のGMR素子10−1、10−2と2個の抵抗4−1、4−2からなる検出部2を有し、検出部2は各素子の両端部に配線膜(不図示)を接続し、配線膜の終端にハンダ付けにより端子21〜24を接続することより作製される。端子22は直流電源(不図示)に接続され、端子23は接地されると共に、端子21と端子24は出力回路3に接続される。図4に示す磁気センサ1は、ブリッジ接続される4個のGMR素子10−1、10−2、10−3、10−4からなる検出部2を有し、検出部2は上記と同様に各素子の両端部に配線膜を接続し、配線膜の終端にハンダ付けにより端子を接続することより作製される。この磁気センサも、端子22は直流電源(不図示)に接続され、端子23は接地されると共に、端子21と端子24は出力回路3に接続されることにより、例えば回転角を検出することができる。上記の磁気センサの製造過程では、GMR素子を保持する基板の温度が上昇する。例えばSn−Ag系の鉛フリーハンダ(共晶点:221℃)を使用して、配線膜の終端に端子を接続する場合には、GMR素子は230℃以上にも加熱されるが、本発明においては、軟磁性層がNi−Fe−B系材料で形成されかつバイアス層(磁性層)がCo−B系又はCo−Fe−B系材料で形成されているので、GMR素子が加熱された時の磁気抵抗変化率の低下を抑制することができる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
ガラス基板上に30Åの厚さを有するTa膜(下地層)を成膜し、その上に厚さ25ÅのNi−Fe−B膜(耐熱軟磁性層)、厚さ40ÅのCu膜(非磁性層)、厚さ15ÅのCo―B膜(バイアス層)の順序で成膜し、[Ni−Fe−B(25Å)/Co−B(25Å)/Cu(40Å)/Co−B(15Å)/Cu(40Å)]の積層膜を1ユニットとして10ユニット作製し、最上層に上部保護膜として厚さ30ÅのTa膜を成膜することにより、図1に示す積層構造を有するGMR素子を作製した。Ni−Fe−B膜は、[Ni0.81Fe0.1850.005]の組成とし、Co−B膜は、[Co0.9950.005]の組成とした。このGMR素子は、多元型DCマグネトロンスパッタ装置により、2×10−5Paの真空中で、基板を回転させながら上記各層を成膜することにより得られた。
【0024】
(実施例2)
ガラス基板上に30Åの厚さを有するTa膜(下地層)を成膜した後、厚さ23ÅのNi−Fe−B膜(耐熱軟磁性層)を成膜し、次いで40Åの厚さを有するCu膜(非磁性層)を成膜し、この上に反強磁性結合を有するバイアス層を積層し、バイアス層上にさらに厚さ40ÅのCu膜、厚さ25ÅのNi−Fe−B膜(耐熱軟磁性層)を成膜し、最上層に30Åの厚さのTa膜を成膜することにより、図3に示す積層構造を有するGMR素子を作製した。バイアス層の構成は、[Co−B(15Å)/Cu(23Å)/Co−B(15Å)]とした。Ni−Fe−B膜とCo−B膜の組成と成膜方法は実施例1に準じた。
【0025】
(比較例1)
ガラス基板上に30Åの厚さを有するTa膜をスパッタで成膜し、この下地膜上に厚さ16ÅのNi0.79Fe0.155Co0.050.005の組成を有する耐熱軟磁性層と、厚さ23ÅのCu膜(非磁性層)とを交互にスパッタ成膜し、一対の磁性層と非磁性層を1ユニットし、このユニットを14回積層し、さらに厚さ16ÅのNi0.79Fe0.155Co0.050.005の組成を有する耐熱性磁性層をスパッタ成膜し、最上層にキャップ膜として厚さ30ÅのTa膜をスパッタ成膜することにより、反強磁性結合型GMR素子を作製した。
【0026】
(比較例2)
ガラス基板上に30Åの厚さを有するTa膜をスパッタで成膜し、この下地膜上に厚さ25ÅのNi0.845Fe0.155の組成を有する耐熱軟磁性層、厚さ40ÅのCu膜(非磁性層)と、厚さ15ÅのCo膜(バイアス層)の順序で成膜し、[Ni−Fe(25Å)/Cu(40Å)/Co(15Å)/Cu(40Å)]の積層膜を1ユニットとして10ユニット作製し、最上層にキャップ膜として厚さ30ÅのTa膜をスパッタ成膜することにより、GMR素子を作製した。
【0027】
実施例1、実施例2及び比較例1のGMR素子に配線膜を接続後鉛フリーハンダ(Sn−Ag系)で端子を接続して、図3に示す磁気センサを作製した。上記各GMR素子から試料を切り出し、室温で4端子法により最大で20kA/mの外部磁界を印加することにより抵抗を測定し、その抵抗から、磁気抵抗変化率を算出した。各GMR素子の磁気抵抗変化率、飽和磁界(Hs)及び感度[(dR/R)/Hs]を表1に示す。
【0028】
Figure 2004319925
【0029】
表1から実施例1及び実施例2のGMR素子は、比較例1のGMR素子よりも飽和磁界Hsが小さく、低い磁界で動作することがわかる。これに対して、比較例1のGMR素子は、最大抵抗変化率は高いが、飽和磁界Hsが大きく、高い磁界でしか動作しないことがわかる。特に実施例1のGMR素子は、印加磁界ゼロ付近で最も高い感度を示すことがわかる。
【0030】
次に実施例1及び比較例2のGMR素子について、200〜300℃の温度で1時間、真空中、無磁場で熱処理を施し、熱による磁気抵抗変化率の劣化を調査した。磁気抵抗変化率(dR/R)と熱処理温度との関係を図6に示す。
【0031】
図6から成膜された状態(室温)では、実施例1のGMR素子の磁気抵抗変化率は比較例2のGMR素子よりも低いが、250℃以上の熱処理温度では、比較例2のGMR素子よりも高く、300℃の熱処理温度でも5%以上の高い磁気抵抗変化率を示すことがわかる。特に磁性層にBを含まない比較例2のGMR素子によれば熱処理温度が高くなるに従って磁気抵抗変化率が低下する度合いは大きくなることがわかる。
【0032】
【発明の効果】
以上に記述の如く、本発明によれば、少なくとも耐熱性を有する軟磁性層を含む非結合型GMR素子を使用するので、耐熱性が向上し、小さい外部磁界で動作可能な磁気センサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気センサを構成するGMR素子の積層構造の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の磁気センサを構成するGMR素子の積層構造の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の磁気センサを構成するGMR素子の積層構造の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる磁気センサを示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係わる磁気センサを示すブロック図。
【図6】本発明のGMR素子及び従来のGMR素子に熱処理を施した時の熱処理温度と磁気抵抗変化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気センサ、2 検出部、3 駆動電源、
5,10,10−1,10−2,10−3,10−4,15 GMR素子、
6,11,11−1,11−2 耐熱軟磁性層、7,14 バイアス層、
8,13a 第1非磁性層、13b 第2非磁性層、
12,12−1,12−2……12−n 耐熱磁性層、
21,22,23,24 端子。

Claims (6)

  1. 外部磁界に反応して磁化方向が変化する少なくとも一つの耐熱軟磁性層と、予め定められた磁化方向を有する耐熱磁性層を含む少なくとも一つのバイアス層とを有し、前記耐熱軟磁性層と前記バイアス層との間に、前記耐熱軟磁性層と前記バイアス層とを磁気的に分離する少なくとも一つの非磁性層が配置されていることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記バイアス層は前記耐熱軟磁性層より保磁力の大なる少なくとも一つのの耐熱磁性層からなることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  3. 一対の前記耐熱軟磁性層の間に前記バイアス層が設けられ、このバイアス層は、前記非磁性層よりも薄い第2の非磁性層を介して複数の耐熱磁性層が反強磁性結合された積層体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  4. 前記耐熱軟磁性層は、(NiFe1−x1−y{但し、0.70≦x≦0.90、0.90≦y<1.00}の一般式で表される組成を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気センサ。
  5. 前記耐熱磁性層は、(CoFe1−a1−b{但し、0.70≦a≦1.00、0.90≦b≦1.00}の一般式で表される組成を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気センサ。
  6. 前記耐熱軟磁性層および前記耐熱磁性層の厚さは5〜100Åの範囲にあり、かつ前記非磁性層の厚さは10〜100Åの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気センサ。
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JP2006295000A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Sony Corp 記憶素子及びメモリ
CN110556224A (zh) * 2018-05-30 2019-12-10 丰田自动车株式会社 软磁材料及其制造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006295000A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Sony Corp 記憶素子及びメモリ
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