JP2004318993A - ヘッド位置決め制御装置およびディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘッド信号による位置誤差のみで粗動アクチュエータと微動アクチュエータを協調制御する場合、高帯域制御がヘッド信号のサンプリングで制限されるとともに、ヘッド位置決めの整定時間が長くなるという課題を有していた。
【解決手段】この構成によるヘッド位置決め制御装置により、逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの移動距離を推定するとともに、微動アクチュエータによる変位とあわせて推定したヘッド位置と、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】この構成によるヘッド位置決め制御装置により、逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの移動距離を推定するとともに、微動アクチュエータによる変位とあわせて推定したヘッド位置と、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置や光ディスク装置など、情報が記録再生または再生されるディスク状記録媒体を用いたディスク装置とそのヘッド位置決め制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルネットワークの進展に伴って、目標位置へ高速にヘッドの位置決めをおこない、大容量の映像情報、音声情報、文字情報などを高速で記録再生できる高記録密度のディスク装置が、市場から強く要請されている。特に、磁気ディスク装置においては、PCにみならTVなどディジタル家電、携帯電話などモバイル機器に使用する要望が増えており、磁気ディスク装置のさらなる小型化が必要である。このように、ディスク装置の小型化、高記録密度化に伴なって高精度にヘッドを位置決めする要求がより厳しくなっている。
【0003】
特に、ディスク装置の小型化に伴なって軸受部の摩擦が、アクチュエータによる駆動制御に影響し、ヘッドの位置決めに対してこの影響が無視できなくなっている。位置決め機構への摩擦の影響は、位置決め精度の低下を引き起こし、ディスク装置の小型化、高記録密度化に伴なって重要な課題となっている。
【0004】
ディスク装置のアクチュエータによる位置決め機構には、直動型と呼ばれるリニアアクチュエータと、揺動型と呼ばれるロータリアクチュエータとがあるが、いずれも転がり軸受部で案内されている。このような軸受部は、アクチュエータの駆動によるヘッド支持機構の移動に対して、この移動に反する力である摩擦力を常に有している。例えば、アクチュエータは、ヘッド支持機構を停止させている状態から駆動を開始するとき、軸受部とヘッド支持機構との間の静止摩擦に基づく摩擦力を越える駆動力が必要である。また、ヘッド支持機構の移動が開始された後は、軸受部とヘッド支持機構との間には、動摩擦に基づく摩擦力が作用する。一般的に、ヘッド支持機構のような可動部を移動させるためには、静止摩擦は動摩擦と比較して、より大きな駆動力を必要とする。このため、このような軸受部を用いた移動操作をおこなう機構においては、静止摩擦と動摩擦との差異により、円滑な移動操作が困難となり、位置決めサーボ制御が正確におこなわれない可能性がある。
【0005】
さらに、ディスク装置の小型化に伴ない軸受部も小型となり、ヘッド支持機構の移動に対するこれら摩擦力の影響はより大きくなる。また、ヘッド支持機構も小型軽量となるため、例えば、ヘッドと接続されて電気信号を伝送するフレキシブルプリント回路(以下FPCと呼ぶ)の反力も、摩擦力と同様にヘッド支持機構の移動に対して大きく影響してくる。このように、ディスク装置の小型化に伴ない軸受部の摩擦力や、FPCの反力、スピンドル振動によるアクチュエータ振動が、ディスク装置の小型化、高記録密度化に対しての阻害要因となっている。
【0006】
また、モバイル機器への応用では外部からの振動に対しても、ヘッドを高精度に位置決めすることが必要となる。
【0007】
そこで、磁気ヘッドの高速高精度な位置決めを行うためには高帯域制御が必要となり、今後の磁気ディスク装置は、粗動アクチュエータと高帯域の微動アクチュエータとの2つの駆動手段を有する状態に構成されるのが一般的になると予想される。
【0008】
ボイスコイルモータ(VCM)などの粗動アクチュエータは、シャーシに取り付けられた軸を中心にしてヘッド支持機構を回動させることにより、ヘッド支持機構、スライダおよび磁気ヘッドを移動させることができ、現在の磁気ディスク装置に広く使用されている。粗動アクチュエータは、主としてシーク/セトリングや複数のトラックジャンプなど大移動のために使用される。
【0009】
微動アクチュエータは、磁気ヘッドまたはスライダを駆動する。微動アクチュエータは、主としてトラック追従や1トラックジャンプなどの高速で微小な位置決めを行うために使用される。微動アクチュエータはマイクロアクチュエータ(MA)とも呼称されている。
【0010】
位置決め制御のためのヘッド位置信号は、再生ヘッドにより磁気ディスク上に記録されたサーボ情報(ヘッドの現在位置情報)を読み取る。このサーボ情報に基づいて、粗動アクチュエータおよび微動アクチュエータを制御することにより、スライダに搭載された磁気ヘッドを磁気ディスク上の任意の位置にアクセスさせ、位置決めすることができる。
【0011】
従来の粗動アクチュエータに比べて微動アクチュエータは高帯域に制御駆動できるとともに、軸受け摩擦の影響を抑えてヘッドの位置決めが可能となる。
【0012】
粗動アクチュエータと微動アクチュエータとを有する機構部を、一般にピギーバックアクチュエータ、あるいは2ステージアクチュエータ、あるいはデュアルステージアクチュエータと呼ぶ。
【0013】
このような2ステージアクチュエータによるヘッド位置決め制御を行う場合の課題の1つにヘッド位置信号の高サンプリング化がある。ディスク上の離散的なヘッド位置信号によりディジタル制御を行う磁気ディスク装置では、高帯域制御のためには制御帯域の10倍以上のヘッド位置信号を検出することが必要となる。
【0014】
しかしながら、小型、モバイル用途では消費電力の点からもディスク回転数を上げることも制限され、ディスク上の離散的な位置情報の数を増やすことは記録できるデータ容量を下げることになるため、2ステージアクチュエータによる高帯域制御には、位置信号の高サンプリング手法が必要である。
【0015】
2ステージアクチュエータと高サンプリングによって高速高精度位置決めを行うように構成された制御方式が提案されている。2ステージアクチュエータを用いた制御方式の従来例として以下に示す。
【0016】
図10は、従来の2ステージアクチュエータのサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献1参照)。
【0017】
微動アクチュエータと粗動アクチュエータ(VCM)の相対位置を高サンプリング検出して、高速高精度にヘッド位置決めすることを目的としている。
【0018】
図10において、微動アクチュエータとVCMはヘッド信号より検出したヘッド位置誤差(目標位置とヘッドの現在位置位置との誤差)と容量センサで検出したVCMと微動アクチュエータの相対変位をフィードバックしてヘッド位置決めを行い、協調制御を実現している。
【0019】
図11は、従来の磁気ディスク装置のサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献2参照)。
【0020】
図11において、シーク時はマルチレート制御、フォローイング時はシングルレート制御と制御方式を切り替えて、マルチレート制御系のみでの欠点を解消し、高速高精度位置決めを実現している。
【0021】
シーク時は速度推定オブザーバとサンプル点間推定モデルとによりサンプル点間のヘッド速度を推定してフィードバック制御を実現している。
【0022】
判定部11は、制御過程での所定の条件に従って、マルチレート制御系とシングルレート制御系とをセレクタ10で切り替えている。所定の条件には、シーク時にマルチレートを使用し、位置制御時にシングルレートを使用する条件が含まれている。
【0023】
図12は、従来の2ステージアクチュエータのサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献3参照)。
【0024】
図12のヘッド位置決め制御系において、現サンプル及び過去の位置誤差信号、制御指令などを用いて、次サンプルのヘッドの位置および速度を推定し、次のサンプルにおける制御指令値を算出し、現サンプルにおける制御指令値から次サンプルにおける制御指令値まで、制御系のサンプリングタイムよりも小さい時間で補間して出力することにより、ヘッドアクチュエータに流れる電流の周波数成分が変化して機械共振励起を防止して高帯域制御を実現する。
【0025】
すなわち、サンプル点間のヘッド位置を推定して高帯域のフィードバック制御を実現している。
【0026】
これにより、周波数整形フィルタを使用することなく機械共振励起を防止でき、シーク中の騒音も抑えることが可能となる。
【0027】
図13は、従来の2ステージアクチュエータのサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献参照)。
【0028】
図13において、フィードバック制御装置は、目標値11と制御対象17から出力される出力値18との誤差信号をサンプリング周波数でサンプリングし各々のサンプリング毎に制御指令値を生成するフィードバック制御器13と、所定時間帯分割則に従って1サンプリング周期を複数の時間帯の組み合わせに分割し、所定のゲイン付与則に従って複数の時間帯の各々の時間帯ごとにゲインを付与するマルチゲイン手段と、複数の時間帯の各々の時間帯ごとに、制御指令値とマルチゲイン手段で付与されるゲインとの積を一定値として時間帯に渡ってホールドし制御波形を生成するマルチホールド手段15と、マルチホールド手段で生成した制御波形を制御対象に加える駆動手段16とを備えている。
【0029】
すなわち、駆動手段において制御量を、位置検出サンプリング点間において変化させて出力してヘッド位置決め制御を実現している。一般にこのような方式をマルチホールダと呼ぶ。
【0030】
駆動周波数があがるため、位相余裕とゲイン余裕を大きくフィードバック制御系に持たせることができるとともに、アクチュエータの機械共振を励起しないように高帯域制御を実現している。
【0031】
【特許文献1】
特開平11−219752号公報(特許第3180752号)
【特許文献2】
特開平14−143413号公報
【特許文献3】
特開2001−176218号公報
【特許文献4】
特開2001−282347号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1で示した構成では、連続信号として容量センサを用いてサンプリングレートをあげるとともに粗動と微動の2つのアクチュエータを協調制御している。しかしながら、センサ信号は2つのアクチュエータの相対位置検出信号であり、ヘッド位置信号検出には従来と同じ課題が残る。
【0033】
また、容量センサの追加が必要であり、小型モバイル用途の磁気ディスク装置のヘッド位置決め制御装置には大型化してしまうという課題を有していた。
【0034】
また、従来例2で示した構成では、規範モデルへの制御量入力のみでヘッド位置信号サンプリング間の状態量を推定しているが、モデル誤差が残るため、シーク制御のようなアクセス制御であれば影響は小さいがフォローイング制御のように精度をつきつめる場合にその影響で高精度できないことが予想される。
【0035】
また、従来例3と従来例4で示した構成では、駆動手段のマルチホールドである。ホルダーによる位相遅れを小さくすることについては有効であるが、制御帯域を2倍にするようには位相を進ませることはできず、十分に制御帯域を上げることには課題を有していた。
【0036】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、機構構造的な手段を用いずに、粗動アクチュエータの逆起電圧信号を用いたオブザーバとヘッド位置信号を用いたオブザーバにより、粗動アクチュエータによるヘッドの移動距離を推定するとともに、離散的なヘッド位置信号のサンプリング間においても、ヘッド位置を推定して、位置決め機構が静止摩擦に基づく摩擦力の影響を受けず、高帯域に2つのアクチュエータによる高精度な位置決め制御方式を可能とするヘッド位置決め制御装置を提供することである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のヘッド位置決め制御装置は、情報記録ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘッドを2ステージアクチュエータ方式で位置決め制御する粗動アクチュエータおよび微動アクチュエータと、ヘッド信号よりヘッド位置を検出するヘッド位置検出手段と、前記粗動アクチュエータと微動アクチュエータを制御する位置決め制御手段とを備え、前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成され、前記位置決め制御手段は少なくとも前記粗動アクチュエータを駆動する粗動駆動手段とこの粗動駆動手段を制御する粗動制御手段からなる粗動制御系および前記圧電素子で構成される微動アクチュエータを駆動する微動駆動手段とこの微動駆動手段を制御する微動制御手段からなる微動制御系とを備え、前記ヘッド位置検出手段は、ヘッド位置が検出される時刻では前記ヘッド位置をもとに位置誤差を計算して、検出されない時刻では前時刻でのヘッド位置と、粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量と微動アクチュエータへの入力信号より推定した微動アクチュエータによるヘッド移動量をもとに位置誤差を計算するとともに、ヘッド位置が検出される時刻ではヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定し、検出されない時刻では前時刻での粗動アクチュエータによるヘッド位置に粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量を加算してヘッド位置を計算し、前記位置決め制御手段は、逆起電圧信号よりヘッド移動速度とヘッド移動量を推定する粗動変位推定手段を有し、微動アクチュエータへの制御量より微動アクチュエータによるヘッド位置を推定する微動変位推定手段を有し、微動制御部は、前記ヘッド位置検出手段による前記ヘッド位置をもとに前記微動アクチュエータを制御する制御量を演算し、粗動制御部は、ヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定する粗動推定手段を有し、粗動アクチュエータによるヘッド位置をもとに前記粗動アクチュエータを制御する制御量を演算する構成である。
【0038】
この構成によるヘッド位置決め制御装置により、ヘッド位置信号による推定位置と逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの位置、移動量を推定するとともに2つのアクチュエータによるヘッド位置、ヘッド移動量を推定し、推定した粗動アクチュエータによる移動量で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差と推定したヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、2つのアクチュエータ動作の相互干渉を小さくして、高サンプリング検出かつ高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディスク装置の実施の形態について、磁気ディスク装置を例にとり、図面を参照して説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態1のヘッド位置決め制御装置およびそのヘッド位置決め制御装置が搭載されている磁気ディスク装置について、図1〜図7を用いて説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態1のヘッド位置決め装置を含む磁気ディスク装置の概略構成図である。
【0042】
図1において、符号の1は記録ヘッドと再生ヘッドとからなる複合型磁気ヘッド(以下、磁気ヘッドと称する。)、3はヘッドスライダ、4はヘッド支持機構、5は位置決め機構、51はボイスコイルモータ(VCM)で構成された粗動アクチュエータ、52は圧電素子(ピエゾ素子、PZT素子)を含むマイクロアクチュエータ(MA)で構成された微動アクチュエータ、6は位置決め制御部、60は現在のヘッド位置を検出する位置検出部、62は微動制御部、63は粗動制御部、64は微動駆動部、65は粗動駆動部、66はMAへの入力電圧よりMAの変位を推定するMA変位推定器、67は本発明の特徴としてのVCM51の逆起電圧よりVCM51の移動速度を推定してVCM51の推定移動速度よりVCMによるヘッドの移動距離を推定する粗動移動量推定手段である。
【0043】
ここで、磁気ヘッド1は、磁気抵抗効果を応用したGMRヘッドである再生ヘッドと誘導型のインダクティブ磁気ヘッドである記録ヘッドとから構成され、ヘッドスライダ3に搭載されている。
【0044】
また、ヘッド支持機構4は、ヘッドスライダ3を支持することを介して磁気ヘッド1を磁気ディスクに対向して支持している。粗動アクチュエータ51が回転軸を中心としてヘッド支持機構4を駆動することにより、磁気ヘッド1を微動アクチュエータ52とともに移動させる。また、微動アクチュエータ52は、ヘッド支持機構4とヘッドスライダ3の間に配置され、ヘッドスライダ3を駆動して、磁気ヘッド2を磁気ディスク1の任意の位置に位置決めする。
【0045】
図5は、マイクロアクチュエータ(MA)からなる微動アクチュエータ52の構成図である。詳細な構成については、特許の特許公開公報2002−134807に記載されている。
【0046】
ここで微動アクチュエータ52は圧電素子アクチュエータである。2つの薄膜圧電素子はプッシュプルで駆動され、圧電素子のひずみ量が、拡大機構によって磁気ヘッドの変位量に変換される構成である。
【0047】
微動アクチュエータ(圧電素子アクチュエータ)52は、一対のアクチュエータ片からなり、それぞれのアクチュエータ片は、上側電極521と圧電素子522と下側電極523とで構成されている。
【0048】
図2は、図1に示す磁気ディスク装置の微動制御部の詳細ブロック図、図3は粗動制御部の詳細ブロック図、図4は粗動制御部における推定器のブロック図である。
【0049】
磁気ディスク装置におけるヘッド位置決め制御装置を含むサーボ系の動作シーケンスを説明する。
【0050】
磁気ヘッド1は、粗動アクチュエータ51と微動アクチュエータ52とからなる2ステージアクチュエータによって磁気ディスク上を移動する。磁気ヘッド1は、磁気ディスクに書き込まれた位置情報としてのサーボパターンを検出し、検出信号を位置検出部60に送る。位置検出部60は、磁気ヘッド1による検出信号より磁気ヘッド1のトラック位置とトラック間位置を検出して、磁気ヘッド1の現在位置を表すヘッド位置検出信号Pheadをマルチサンプリングのための加算器66Aに出力する。
【0051】
次に2つのアクチュエータの制御系について説明する。
【0052】
微動アクチュエータ52の制御系は、位置検出部60と、減算器62Sと、微動制御部62と、微動駆動部64と、加算器66A、67Aと、粗動制御部63の推定値、および粗動変位検出部67の推定値で構成されている。
【0053】
加算器66において、ヘッド位置信号Pは、ヘッド位置情報のヘッド再生信号をもとに位置検出部60から出力されるヘッド位置検出信号Pheadと、微動変位推定器66により出力されるXmaと粗動変位推定器67と粗動推定器により出力されるXvcmとで構成されるヘッド推定位置Xeより演算される。
【0054】
ヘッド位置情報が検出されるサンプリング時間においては、減算器62Sにおいて
Pe=R−P
で位置誤差信号Peが演算され、ヘッド位置情報がサンプリングされないサンプリング時間においては、
Pe=R−(P+Xe)
で位置誤差信号Peが演算される。
【0055】
ここでXeはヘッド位置情報が検出されてからのサンプリング時間内にヘッドが移動した変位を表している。
【0056】
すなわち、
Xe=Xvcm+Xma
である。また、Xmaは微動変位推定器66でMAへの入力電圧(制御量)より推定した微動変位量であり、Xe_vcmはサンプリング時間内にVCMによる推定ヘッド移動量である。2つの信号は加算器66Aで加算されている。
【0057】
さらにXvcmは、粗動推定部である状態推定器の出力Xe_vcmとVCMの逆起電圧より推定したVCMによるヘッド移動量Xvcm_estよりヘッド位置情報が検出されるサンプリング時間においては、加算器67Aにおいて
Xvcm=Xe_vcm
でXvcmが演算され、ヘッド位置情報がサンプリングされないサンプリング時間においては、
Xvcm=Xe_vcm+Xvcm_est
で演算される。
【0058】
減算器62Sにおいて目標位置信号Rとヘッド位置信号Pとの差分が取られ、位置誤差信号Peが微動制御部62に与えられる。
【0059】
また、位置誤差信号Peは積分器62Iにより位置誤差積分信号Peiを出力し、積分ゲインKiと比例ゲインKpを乗じて制御量Cmaを演算している。
【0060】
なお、微動制御部62は、入力した位置誤差信号Peに対して積分器を加え、比例微分器(位相進み補償器)と積分器の各係数を乗じて制御信号Cmaを生成するように構成してもよい。
【0061】
そして制御信号が入力された微動駆動部64は、駆動信号Umaを生成して微動アクチュエータ52に出力し、微動アクチュエータ52を制御駆動する。
【0062】
一方、粗動アクチュエータ51の制御系は、減算器63Sと、粗動制御部63と、粗動駆動部65と、粗動アクチュエータ51の逆起電圧より移動速度を推定し、粗動アクチュエータの推定移動速度より移動量を推定する粗動変位推定器67と、加算器67A、67F、減算器63S、で構成されている。
【0063】
粗動変位推定器67ではVCMである粗動アクチュエータ51の逆起電圧信号Vbemfが入力され、粗動アクチュエータ51の移動速度と力の外乱を推定する。
【0064】
この移動速度を積分することによって粗動アクチュエータによるヘッド移動量である推定VCM移動量Xvcm_estを演算する。
【0065】
微動制御で上述したようにXvcmは、状態推定器の出力Xe_vcmとVCMの逆起電圧より推定したVCMによるヘッド移動量Xvcm_estより、ヘッド位置情報が検出されるサンプリング時間においては、加算器67Aにおいて
Xvcm=Xe_vcm
でXvcmが演算され、ヘッド位置情報がサンプリングされないサンプリング時間においては、
Xvcm=Xe_vcm+Xvcm_est
が演算される。
【0066】
Xvcmは減算器63Sに入力され、減算器63Sにおいて目標位置信号Rとの差分が取られ、粗動アクチュエータの速度誤差である推定位置誤差信号Pe_vcmが粗動制御部63に与えられる。
【0067】
さらに、推定した力外乱である推定負荷Fは制御量Uvcmに加算される。
【0068】
また、粗動アクチュエータであるVCMの状態推定器634は、ヘッド位置検出部60から入力したヘッド位置信号Pheadと微動アクチュエータの推定変位Xma’に基づいて、粗動アクチュエータによる磁気ヘッドの移動速度(および磁気ヘッドに加わる外乱(力外乱、位置外乱)量を)推定し、推定ヘッド移動速度信号(および推定外乱量信号)を生成して、粗動制御部63にフィードバック的に与える。
【0069】
なお、磁気ヘッドの移動速度および磁気ヘッドに加わる外乱(力外乱、位置外乱)量については、ヘッド位置信号Pheadと粗動駆動部65の制御量と微動制御部64の制御量による2入力1出力の推定器で推定するように構成してもよい。
【0070】
図2の微動制御部63におけるVCMの状態推定器634へは2つの信号が入力される。1つは粗動制御部63からの制御量信号Cvcmであり、もう1つがVCMの状態推定器643の推定誤差を低減するための補償信号Peeである。
【0071】
VCMの状態推定器634は、粗動アクチュエータ51による推定移動位置Xe_vcm、推定ヘッド移動速度信号を演算し、推定ヘッド移動速度信号Ve_vcm(と推定外乱量信号F)を粗動制御部63へ出力するとともに、推定移動位置信号Xe_vcmを加算器634Aへ出力する。
【0072】
減算器634SSでの動作はヘッド位置Pより微動アクチュエータ52による推定ヘッド位置信号X_maを減算して、微動アクチュエータ52と粗動アクチュエータ51による総合推定ヘッド位置信号Xeを演算し、減算器634Sへ出力している。
【0073】
減算器634Sでの動作も前述の通りである。すなわち、位置検出部60からのヘッド位置信号Pheadから推定ヘッド位置信号Xeを減算した推定位置誤差信号Peeを生成する。この推定位置誤差信号PeeにVCM状態推定部ゲイン634gを乗算したものが補償信号Pee″である。
【0074】
粗動制御部63において、推定位置誤差信号Pe_vcm、推定位置誤差信号Pe_vcmの積分値、推定ヘッド移動速度信号Ve_vcm、それぞれに位置誤差フィードバックゲイン632、速度フィードバックゲイン633、積分フィードバックゲイン631が乗算された後、加算器63Aで加算されて推定位置誤差信号Pe_vcmを小さくするような制御信号Cvcmが演算される。
【0075】
なお、粗動制御部63は、入力した推定位置誤差信号Pe_vcm対して、比例微分器(位相進み補償器)と積分器の各係数を乗じて制御量信号を生成するように構成してもよい。
【0076】
また、位置誤差ではなく位置をフィードバックする方法や、推定速度ではなくヘッド位置の差分より演算した速度をフィードバックしても同様の効果が得られる。
【0077】
制御量信号を入力した粗動駆動部65は、駆動信号Uvcmを生成して粗動アクチュエータ51に出力し、粗動アクチュエータ51を制御駆動する。
【0078】
以上が、各アクチュエータ制御系の動作シーケンスである。
【0079】
図6は逆起電圧検出手段66の構成図である。VCM51のコイル511と直列に検出抵抗512を設け、その両端に制御信号に比例した制御駆動電流が流れるように粗動駆動部であるドライバLSI63がその両端に電圧を加える。差動検出部514と517より、VCMによるヘッドの移動速度に比例した逆起電圧信号Vbemfを検出し、その信号に速度変換ゲインKbを乗じてVCMによるヘッドの移動速度Vvcmを出力する。
【0080】
以上、説明したサーボ系により、ディスク上に記録されヘッドにより再生される位置検出部で検出されるヘッド位置がない時刻においてもヘッド位置情報を推定して、微動アクチュエータ52はヘッドの位置信号をもとに磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標トラックに位置決めするように制御駆動されるとともに、粗動アクチュエータ51はヘッドの位置信号とは独立に磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標トラック付近に位置決め(静止)するように制御駆動される。
【0081】
次に、図7に本実施の形態における実施例1のシミュレーション結果を示す。
【0082】
シミュレーション条件は、次の通りである。
【0083】
回転数:3000r/min
トラック密度:70000track/inch
トラックピッチ:0.36μm
サンプリング周波数:15kHz
サーボ帯域:1.5kHz
図7(1)と(3)は従来より実施されている2ステージアクチュエータの制御の場合の周波数特性とステップ応答特性、(2)と(4)は本実施例の条件で粗動アクチュエータのサーボループにVCM逆起電圧をもとにした粗動アクチュエータの移動量を推定してサンプリング周波数を2倍にした場合の周波数特性とステップ応答特性のシミュレーション結果である。
【0084】
図よりサンプリング周波数をあげたこと、粗動アクチュエータ51と微動アクチュエータ52を独立に制御したことにより、ステップ応答時間の短縮、周波数特性の整形がなされ、高速かつ高精度の位置決め制御が実現できる。
【0085】
以上より、本実施の形態では、2ステージアクチュエータの協調制御によるヘッド位置決め制御おいて、微動アクチュエータはヘッド位置信号にもとづくヘッド位置誤差信号をフィードバック制御するとともに、粗動アクチュエータは粗動制御量と粗動アクチュエータの逆起電圧信号を入力とする推定器に積分器を負荷して粗動によるヘッド移動距離を推定して、その推定値をもとにした粗動による位置誤差信号をフィードバック制御して協調制御を行うことを特徴としている。
【0086】
以上、本実施の形態では、ヘッド位置信号による推定位置と逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの位置、移動量を推定するとともに2つのアクチュエータによるヘッド位置、ヘッド移動量を推定し、推定した粗動アクチュエータによる移動量で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差と推定したヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、2つのアクチュエータ動作の相互干渉を小さくして、高サンプリング検出かつ高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【0087】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態であるヘッド位置決め制御装置の構成図である。また、図9は粗動制御部のブロック図である。
【0088】
ヘッド位置決め制御装置の機構的な構成については、第1の実施の形態と同様のため、ここでは、ヘッド位置決め制御装置の機構的な説明は省略する。また、第1の実施の形態と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
【0089】
図8において、ヘッド位置検出部によるヘッド位置と微動変位推定器の差として粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定する第2の粗動変位推定器69を有し、VCMの逆起電圧を検出して粗動アクチュエータ51によるヘッドの移動量を推定する第1の粗動変位推定器68を有していて、あらかじめ設定しているしきい値以上の場合、第2の推定器の出力をもとに位置決め制御を行い、しきい値以上の場合、減算器63Sと、粗動制御部63と、粗動駆動部65と、粗動アクチュエータ51の逆起電圧より移動速度を推定し、粗動アクチュエータの推定移動速度より移動量を推定する粗動変位推定器67と、加算器67A、67F、減算器63S、で構成されている。
【0090】
以上のような構成をとることにより、微動アクチュエータの変位を動作中心付近になるように粗動アクチュエータ51を制御駆動する。
【0091】
すなわち、本実施の形態では、粗動アクチュエータによって磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標トラックの近傍において静止させ、2つのアクチュエータの動作が干渉しないように、微動アクチュエータ52は独立で磁気ヘッドを目標トラックに追従させることを特徴としている。
【0092】
以上、本実施の形態では、ヘッド位置信号による推定位置と逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの位置、移動量を推定するとともに2つのアクチュエータによるヘッド位置、ヘッド移動量を推定し、推定した粗動アクチュエータによる移動量で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差と推定したヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、2つのアクチュエータ動作の相互干渉を小さくして、高サンプリング検出かつ高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【0093】
(第3の実施の形態)
図9は本発明の第3の実施の形態であるヘッド位置決め制御装置の構成図である。
【0094】
ヘッド位置決め制御装置の機構的な構成については、第1の実施の形態と同様のため、ここでは、ヘッド位置決め制御装置の機構的な説明は省略する。また、第1の実施の形態と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
【0095】
図9において、図1と異なる点は微動制御部は一定値の制御量Umaを出力して、粗動アクチュエータのみでアクセス制御を行っている点と、粗動制御部は、ヘッド位置検出手段によりヘッド位置信号が検出される時刻ではヘッド位置信号より計算されるヘッド移動速度Vheadをもとに速度誤差VEを計算して、検出されない時刻では粗動変位推定器により出力されるその時刻間の粗動アクチュエータにより移動した速度を、前時刻でヘッド位置をもとに粗動制御部内で推定した粗動アクチュエータによる推定ヘッド速度に加算した信号をもとに速度誤差VEを計算して制御量Uvcmを生成するという点である。
【0096】
加算器67Aでは、位置検出部においてヘッド位置が検出されない時刻においても粗動制御部63における推定器634でヘッド位置より推定される粗動アクチュエータによるヘッド移動速度に、粗動アクチュエータであるVCMの逆起電圧Vbemfより推定されるその時刻における移動速度変化を加算して、粗動アクチュエータによるヘッド移動速度である推定VCM速度Vvcmを生成している。
【0097】
また、加算器66Aでは、ヘッド位置が検出される場合はヘッド位置より生成されるヘッド速度Vheadをヘッド移動速度Vとし、検出されない場合は、ヘッド速度Vheadに推定VCM速度Vvcmのその時刻における変化分を加算してヘッド移動速度Vを生成している。
【0098】
なお、加算器67Aにおいて、ヘッド速度を推定値ではなく実際に検出した値Vheadを使用してもよい。
【0099】
また、66Aと67Aを1つの加算器としてもヘッド位置より生成されるヘッド速度に、粗動変位推定器の推定ヘッド速度を加算すること構成であればよい。
【0100】
以上より、粗動アクチュエータは、生成された速度誤差をもとに速度制御され目的トラック近傍まで目標速度でアクセス制御移動される。
【0101】
以上、本実施の形態では、逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの移動速度を推定し、推定した移動速度とヘッド位置より計算されるヘッド速度で速度誤差を生成して粗動制御系を構成することにより、2ステージアクチュエータの高サンプリング制御で高速なアクセス動作が実現できるという優れた効果を有するヘッド位置決め制御装置を提供することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ヘッド位置をもとに粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定するとともに、逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの移動距離を推定し、推定した移動距離で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、ヘッド位置情報が検出されない時刻においても、推定したヘッド位置と粗動アクチュエータによるヘッド移動量をもとに2つのアクチュエータの相互干渉を小さくして高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となり、高速高精度なヘッド位置決め制御を実現することができる。
【0103】
その結果、振動や静止摩擦によるヘッド位置決め動作への影響を受けずに、2ステージアクチュエータを相互の干渉を小さくして安定な動作で位置決めサーボ制御ができるという優れた効果を有するヘッド位置決め制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のヘッド位置決め制御装置の構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態の微動制御部の構成図
【図3】本発明の第1の実施の形態の粗動制御部の構成図
【図4】本発明の第1の実施の形態の粗動推定器の構成図
【図5】本発明の第1の実施の形態の微動アクチュエータの構成図
【図6】本発明の第1の実施の形態の逆起電圧検出手段の構成図
【図7】本発明の第1の実施の形態のシミュレーション結果の図
【図8】本発明の第2の実施の形態のヘッド位置決め制御装置の構成を示す構成図
【図9】本発明の第3の実施の形態のヘッド位置決め制御装置の構成を示す構成図
【図10】従来のディスク装置のヘッド位置決め制御装置の構成図
【図11】従来のディスク装置のヘッド位置決め制御装置の構成図
【符号の説明】
1 ヘッド
3 ヘッドスライダ
4 ヘッド支持機構
5 位置決め機構部
51 微動アクチュエータ
52 粗動アクチュエータ
6 位置決め制御部
60 位置検出部
62 微動制御部
63 粗動制御部
64 微動駆動部
65 粗動駆動部
66 微動変位推定器
67 粗動変位推定器
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置や光ディスク装置など、情報が記録再生または再生されるディスク状記録媒体を用いたディスク装置とそのヘッド位置決め制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルネットワークの進展に伴って、目標位置へ高速にヘッドの位置決めをおこない、大容量の映像情報、音声情報、文字情報などを高速で記録再生できる高記録密度のディスク装置が、市場から強く要請されている。特に、磁気ディスク装置においては、PCにみならTVなどディジタル家電、携帯電話などモバイル機器に使用する要望が増えており、磁気ディスク装置のさらなる小型化が必要である。このように、ディスク装置の小型化、高記録密度化に伴なって高精度にヘッドを位置決めする要求がより厳しくなっている。
【0003】
特に、ディスク装置の小型化に伴なって軸受部の摩擦が、アクチュエータによる駆動制御に影響し、ヘッドの位置決めに対してこの影響が無視できなくなっている。位置決め機構への摩擦の影響は、位置決め精度の低下を引き起こし、ディスク装置の小型化、高記録密度化に伴なって重要な課題となっている。
【0004】
ディスク装置のアクチュエータによる位置決め機構には、直動型と呼ばれるリニアアクチュエータと、揺動型と呼ばれるロータリアクチュエータとがあるが、いずれも転がり軸受部で案内されている。このような軸受部は、アクチュエータの駆動によるヘッド支持機構の移動に対して、この移動に反する力である摩擦力を常に有している。例えば、アクチュエータは、ヘッド支持機構を停止させている状態から駆動を開始するとき、軸受部とヘッド支持機構との間の静止摩擦に基づく摩擦力を越える駆動力が必要である。また、ヘッド支持機構の移動が開始された後は、軸受部とヘッド支持機構との間には、動摩擦に基づく摩擦力が作用する。一般的に、ヘッド支持機構のような可動部を移動させるためには、静止摩擦は動摩擦と比較して、より大きな駆動力を必要とする。このため、このような軸受部を用いた移動操作をおこなう機構においては、静止摩擦と動摩擦との差異により、円滑な移動操作が困難となり、位置決めサーボ制御が正確におこなわれない可能性がある。
【0005】
さらに、ディスク装置の小型化に伴ない軸受部も小型となり、ヘッド支持機構の移動に対するこれら摩擦力の影響はより大きくなる。また、ヘッド支持機構も小型軽量となるため、例えば、ヘッドと接続されて電気信号を伝送するフレキシブルプリント回路(以下FPCと呼ぶ)の反力も、摩擦力と同様にヘッド支持機構の移動に対して大きく影響してくる。このように、ディスク装置の小型化に伴ない軸受部の摩擦力や、FPCの反力、スピンドル振動によるアクチュエータ振動が、ディスク装置の小型化、高記録密度化に対しての阻害要因となっている。
【0006】
また、モバイル機器への応用では外部からの振動に対しても、ヘッドを高精度に位置決めすることが必要となる。
【0007】
そこで、磁気ヘッドの高速高精度な位置決めを行うためには高帯域制御が必要となり、今後の磁気ディスク装置は、粗動アクチュエータと高帯域の微動アクチュエータとの2つの駆動手段を有する状態に構成されるのが一般的になると予想される。
【0008】
ボイスコイルモータ(VCM)などの粗動アクチュエータは、シャーシに取り付けられた軸を中心にしてヘッド支持機構を回動させることにより、ヘッド支持機構、スライダおよび磁気ヘッドを移動させることができ、現在の磁気ディスク装置に広く使用されている。粗動アクチュエータは、主としてシーク/セトリングや複数のトラックジャンプなど大移動のために使用される。
【0009】
微動アクチュエータは、磁気ヘッドまたはスライダを駆動する。微動アクチュエータは、主としてトラック追従や1トラックジャンプなどの高速で微小な位置決めを行うために使用される。微動アクチュエータはマイクロアクチュエータ(MA)とも呼称されている。
【0010】
位置決め制御のためのヘッド位置信号は、再生ヘッドにより磁気ディスク上に記録されたサーボ情報(ヘッドの現在位置情報)を読み取る。このサーボ情報に基づいて、粗動アクチュエータおよび微動アクチュエータを制御することにより、スライダに搭載された磁気ヘッドを磁気ディスク上の任意の位置にアクセスさせ、位置決めすることができる。
【0011】
従来の粗動アクチュエータに比べて微動アクチュエータは高帯域に制御駆動できるとともに、軸受け摩擦の影響を抑えてヘッドの位置決めが可能となる。
【0012】
粗動アクチュエータと微動アクチュエータとを有する機構部を、一般にピギーバックアクチュエータ、あるいは2ステージアクチュエータ、あるいはデュアルステージアクチュエータと呼ぶ。
【0013】
このような2ステージアクチュエータによるヘッド位置決め制御を行う場合の課題の1つにヘッド位置信号の高サンプリング化がある。ディスク上の離散的なヘッド位置信号によりディジタル制御を行う磁気ディスク装置では、高帯域制御のためには制御帯域の10倍以上のヘッド位置信号を検出することが必要となる。
【0014】
しかしながら、小型、モバイル用途では消費電力の点からもディスク回転数を上げることも制限され、ディスク上の離散的な位置情報の数を増やすことは記録できるデータ容量を下げることになるため、2ステージアクチュエータによる高帯域制御には、位置信号の高サンプリング手法が必要である。
【0015】
2ステージアクチュエータと高サンプリングによって高速高精度位置決めを行うように構成された制御方式が提案されている。2ステージアクチュエータを用いた制御方式の従来例として以下に示す。
【0016】
図10は、従来の2ステージアクチュエータのサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献1参照)。
【0017】
微動アクチュエータと粗動アクチュエータ(VCM)の相対位置を高サンプリング検出して、高速高精度にヘッド位置決めすることを目的としている。
【0018】
図10において、微動アクチュエータとVCMはヘッド信号より検出したヘッド位置誤差(目標位置とヘッドの現在位置位置との誤差)と容量センサで検出したVCMと微動アクチュエータの相対変位をフィードバックしてヘッド位置決めを行い、協調制御を実現している。
【0019】
図11は、従来の磁気ディスク装置のサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献2参照)。
【0020】
図11において、シーク時はマルチレート制御、フォローイング時はシングルレート制御と制御方式を切り替えて、マルチレート制御系のみでの欠点を解消し、高速高精度位置決めを実現している。
【0021】
シーク時は速度推定オブザーバとサンプル点間推定モデルとによりサンプル点間のヘッド速度を推定してフィードバック制御を実現している。
【0022】
判定部11は、制御過程での所定の条件に従って、マルチレート制御系とシングルレート制御系とをセレクタ10で切り替えている。所定の条件には、シーク時にマルチレートを使用し、位置制御時にシングルレートを使用する条件が含まれている。
【0023】
図12は、従来の2ステージアクチュエータのサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献3参照)。
【0024】
図12のヘッド位置決め制御系において、現サンプル及び過去の位置誤差信号、制御指令などを用いて、次サンプルのヘッドの位置および速度を推定し、次のサンプルにおける制御指令値を算出し、現サンプルにおける制御指令値から次サンプルにおける制御指令値まで、制御系のサンプリングタイムよりも小さい時間で補間して出力することにより、ヘッドアクチュエータに流れる電流の周波数成分が変化して機械共振励起を防止して高帯域制御を実現する。
【0025】
すなわち、サンプル点間のヘッド位置を推定して高帯域のフィードバック制御を実現している。
【0026】
これにより、周波数整形フィルタを使用することなく機械共振励起を防止でき、シーク中の騒音も抑えることが可能となる。
【0027】
図13は、従来の2ステージアクチュエータのサーボ制御系のブロック図である。(例えば特許文献参照)。
【0028】
図13において、フィードバック制御装置は、目標値11と制御対象17から出力される出力値18との誤差信号をサンプリング周波数でサンプリングし各々のサンプリング毎に制御指令値を生成するフィードバック制御器13と、所定時間帯分割則に従って1サンプリング周期を複数の時間帯の組み合わせに分割し、所定のゲイン付与則に従って複数の時間帯の各々の時間帯ごとにゲインを付与するマルチゲイン手段と、複数の時間帯の各々の時間帯ごとに、制御指令値とマルチゲイン手段で付与されるゲインとの積を一定値として時間帯に渡ってホールドし制御波形を生成するマルチホールド手段15と、マルチホールド手段で生成した制御波形を制御対象に加える駆動手段16とを備えている。
【0029】
すなわち、駆動手段において制御量を、位置検出サンプリング点間において変化させて出力してヘッド位置決め制御を実現している。一般にこのような方式をマルチホールダと呼ぶ。
【0030】
駆動周波数があがるため、位相余裕とゲイン余裕を大きくフィードバック制御系に持たせることができるとともに、アクチュエータの機械共振を励起しないように高帯域制御を実現している。
【0031】
【特許文献1】
特開平11−219752号公報(特許第3180752号)
【特許文献2】
特開平14−143413号公報
【特許文献3】
特開2001−176218号公報
【特許文献4】
特開2001−282347号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1で示した構成では、連続信号として容量センサを用いてサンプリングレートをあげるとともに粗動と微動の2つのアクチュエータを協調制御している。しかしながら、センサ信号は2つのアクチュエータの相対位置検出信号であり、ヘッド位置信号検出には従来と同じ課題が残る。
【0033】
また、容量センサの追加が必要であり、小型モバイル用途の磁気ディスク装置のヘッド位置決め制御装置には大型化してしまうという課題を有していた。
【0034】
また、従来例2で示した構成では、規範モデルへの制御量入力のみでヘッド位置信号サンプリング間の状態量を推定しているが、モデル誤差が残るため、シーク制御のようなアクセス制御であれば影響は小さいがフォローイング制御のように精度をつきつめる場合にその影響で高精度できないことが予想される。
【0035】
また、従来例3と従来例4で示した構成では、駆動手段のマルチホールドである。ホルダーによる位相遅れを小さくすることについては有効であるが、制御帯域を2倍にするようには位相を進ませることはできず、十分に制御帯域を上げることには課題を有していた。
【0036】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、機構構造的な手段を用いずに、粗動アクチュエータの逆起電圧信号を用いたオブザーバとヘッド位置信号を用いたオブザーバにより、粗動アクチュエータによるヘッドの移動距離を推定するとともに、離散的なヘッド位置信号のサンプリング間においても、ヘッド位置を推定して、位置決め機構が静止摩擦に基づく摩擦力の影響を受けず、高帯域に2つのアクチュエータによる高精度な位置決め制御方式を可能とするヘッド位置決め制御装置を提供することである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のヘッド位置決め制御装置は、情報記録ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘッドを2ステージアクチュエータ方式で位置決め制御する粗動アクチュエータおよび微動アクチュエータと、ヘッド信号よりヘッド位置を検出するヘッド位置検出手段と、前記粗動アクチュエータと微動アクチュエータを制御する位置決め制御手段とを備え、前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成され、前記位置決め制御手段は少なくとも前記粗動アクチュエータを駆動する粗動駆動手段とこの粗動駆動手段を制御する粗動制御手段からなる粗動制御系および前記圧電素子で構成される微動アクチュエータを駆動する微動駆動手段とこの微動駆動手段を制御する微動制御手段からなる微動制御系とを備え、前記ヘッド位置検出手段は、ヘッド位置が検出される時刻では前記ヘッド位置をもとに位置誤差を計算して、検出されない時刻では前時刻でのヘッド位置と、粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量と微動アクチュエータへの入力信号より推定した微動アクチュエータによるヘッド移動量をもとに位置誤差を計算するとともに、ヘッド位置が検出される時刻ではヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定し、検出されない時刻では前時刻での粗動アクチュエータによるヘッド位置に粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量を加算してヘッド位置を計算し、前記位置決め制御手段は、逆起電圧信号よりヘッド移動速度とヘッド移動量を推定する粗動変位推定手段を有し、微動アクチュエータへの制御量より微動アクチュエータによるヘッド位置を推定する微動変位推定手段を有し、微動制御部は、前記ヘッド位置検出手段による前記ヘッド位置をもとに前記微動アクチュエータを制御する制御量を演算し、粗動制御部は、ヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定する粗動推定手段を有し、粗動アクチュエータによるヘッド位置をもとに前記粗動アクチュエータを制御する制御量を演算する構成である。
【0038】
この構成によるヘッド位置決め制御装置により、ヘッド位置信号による推定位置と逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの位置、移動量を推定するとともに2つのアクチュエータによるヘッド位置、ヘッド移動量を推定し、推定した粗動アクチュエータによる移動量で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差と推定したヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、2つのアクチュエータ動作の相互干渉を小さくして、高サンプリング検出かつ高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディスク装置の実施の形態について、磁気ディスク装置を例にとり、図面を参照して説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態1のヘッド位置決め制御装置およびそのヘッド位置決め制御装置が搭載されている磁気ディスク装置について、図1〜図7を用いて説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態1のヘッド位置決め装置を含む磁気ディスク装置の概略構成図である。
【0042】
図1において、符号の1は記録ヘッドと再生ヘッドとからなる複合型磁気ヘッド(以下、磁気ヘッドと称する。)、3はヘッドスライダ、4はヘッド支持機構、5は位置決め機構、51はボイスコイルモータ(VCM)で構成された粗動アクチュエータ、52は圧電素子(ピエゾ素子、PZT素子)を含むマイクロアクチュエータ(MA)で構成された微動アクチュエータ、6は位置決め制御部、60は現在のヘッド位置を検出する位置検出部、62は微動制御部、63は粗動制御部、64は微動駆動部、65は粗動駆動部、66はMAへの入力電圧よりMAの変位を推定するMA変位推定器、67は本発明の特徴としてのVCM51の逆起電圧よりVCM51の移動速度を推定してVCM51の推定移動速度よりVCMによるヘッドの移動距離を推定する粗動移動量推定手段である。
【0043】
ここで、磁気ヘッド1は、磁気抵抗効果を応用したGMRヘッドである再生ヘッドと誘導型のインダクティブ磁気ヘッドである記録ヘッドとから構成され、ヘッドスライダ3に搭載されている。
【0044】
また、ヘッド支持機構4は、ヘッドスライダ3を支持することを介して磁気ヘッド1を磁気ディスクに対向して支持している。粗動アクチュエータ51が回転軸を中心としてヘッド支持機構4を駆動することにより、磁気ヘッド1を微動アクチュエータ52とともに移動させる。また、微動アクチュエータ52は、ヘッド支持機構4とヘッドスライダ3の間に配置され、ヘッドスライダ3を駆動して、磁気ヘッド2を磁気ディスク1の任意の位置に位置決めする。
【0045】
図5は、マイクロアクチュエータ(MA)からなる微動アクチュエータ52の構成図である。詳細な構成については、特許の特許公開公報2002−134807に記載されている。
【0046】
ここで微動アクチュエータ52は圧電素子アクチュエータである。2つの薄膜圧電素子はプッシュプルで駆動され、圧電素子のひずみ量が、拡大機構によって磁気ヘッドの変位量に変換される構成である。
【0047】
微動アクチュエータ(圧電素子アクチュエータ)52は、一対のアクチュエータ片からなり、それぞれのアクチュエータ片は、上側電極521と圧電素子522と下側電極523とで構成されている。
【0048】
図2は、図1に示す磁気ディスク装置の微動制御部の詳細ブロック図、図3は粗動制御部の詳細ブロック図、図4は粗動制御部における推定器のブロック図である。
【0049】
磁気ディスク装置におけるヘッド位置決め制御装置を含むサーボ系の動作シーケンスを説明する。
【0050】
磁気ヘッド1は、粗動アクチュエータ51と微動アクチュエータ52とからなる2ステージアクチュエータによって磁気ディスク上を移動する。磁気ヘッド1は、磁気ディスクに書き込まれた位置情報としてのサーボパターンを検出し、検出信号を位置検出部60に送る。位置検出部60は、磁気ヘッド1による検出信号より磁気ヘッド1のトラック位置とトラック間位置を検出して、磁気ヘッド1の現在位置を表すヘッド位置検出信号Pheadをマルチサンプリングのための加算器66Aに出力する。
【0051】
次に2つのアクチュエータの制御系について説明する。
【0052】
微動アクチュエータ52の制御系は、位置検出部60と、減算器62Sと、微動制御部62と、微動駆動部64と、加算器66A、67Aと、粗動制御部63の推定値、および粗動変位検出部67の推定値で構成されている。
【0053】
加算器66において、ヘッド位置信号Pは、ヘッド位置情報のヘッド再生信号をもとに位置検出部60から出力されるヘッド位置検出信号Pheadと、微動変位推定器66により出力されるXmaと粗動変位推定器67と粗動推定器により出力されるXvcmとで構成されるヘッド推定位置Xeより演算される。
【0054】
ヘッド位置情報が検出されるサンプリング時間においては、減算器62Sにおいて
Pe=R−P
で位置誤差信号Peが演算され、ヘッド位置情報がサンプリングされないサンプリング時間においては、
Pe=R−(P+Xe)
で位置誤差信号Peが演算される。
【0055】
ここでXeはヘッド位置情報が検出されてからのサンプリング時間内にヘッドが移動した変位を表している。
【0056】
すなわち、
Xe=Xvcm+Xma
である。また、Xmaは微動変位推定器66でMAへの入力電圧(制御量)より推定した微動変位量であり、Xe_vcmはサンプリング時間内にVCMによる推定ヘッド移動量である。2つの信号は加算器66Aで加算されている。
【0057】
さらにXvcmは、粗動推定部である状態推定器の出力Xe_vcmとVCMの逆起電圧より推定したVCMによるヘッド移動量Xvcm_estよりヘッド位置情報が検出されるサンプリング時間においては、加算器67Aにおいて
Xvcm=Xe_vcm
でXvcmが演算され、ヘッド位置情報がサンプリングされないサンプリング時間においては、
Xvcm=Xe_vcm+Xvcm_est
で演算される。
【0058】
減算器62Sにおいて目標位置信号Rとヘッド位置信号Pとの差分が取られ、位置誤差信号Peが微動制御部62に与えられる。
【0059】
また、位置誤差信号Peは積分器62Iにより位置誤差積分信号Peiを出力し、積分ゲインKiと比例ゲインKpを乗じて制御量Cmaを演算している。
【0060】
なお、微動制御部62は、入力した位置誤差信号Peに対して積分器を加え、比例微分器(位相進み補償器)と積分器の各係数を乗じて制御信号Cmaを生成するように構成してもよい。
【0061】
そして制御信号が入力された微動駆動部64は、駆動信号Umaを生成して微動アクチュエータ52に出力し、微動アクチュエータ52を制御駆動する。
【0062】
一方、粗動アクチュエータ51の制御系は、減算器63Sと、粗動制御部63と、粗動駆動部65と、粗動アクチュエータ51の逆起電圧より移動速度を推定し、粗動アクチュエータの推定移動速度より移動量を推定する粗動変位推定器67と、加算器67A、67F、減算器63S、で構成されている。
【0063】
粗動変位推定器67ではVCMである粗動アクチュエータ51の逆起電圧信号Vbemfが入力され、粗動アクチュエータ51の移動速度と力の外乱を推定する。
【0064】
この移動速度を積分することによって粗動アクチュエータによるヘッド移動量である推定VCM移動量Xvcm_estを演算する。
【0065】
微動制御で上述したようにXvcmは、状態推定器の出力Xe_vcmとVCMの逆起電圧より推定したVCMによるヘッド移動量Xvcm_estより、ヘッド位置情報が検出されるサンプリング時間においては、加算器67Aにおいて
Xvcm=Xe_vcm
でXvcmが演算され、ヘッド位置情報がサンプリングされないサンプリング時間においては、
Xvcm=Xe_vcm+Xvcm_est
が演算される。
【0066】
Xvcmは減算器63Sに入力され、減算器63Sにおいて目標位置信号Rとの差分が取られ、粗動アクチュエータの速度誤差である推定位置誤差信号Pe_vcmが粗動制御部63に与えられる。
【0067】
さらに、推定した力外乱である推定負荷Fは制御量Uvcmに加算される。
【0068】
また、粗動アクチュエータであるVCMの状態推定器634は、ヘッド位置検出部60から入力したヘッド位置信号Pheadと微動アクチュエータの推定変位Xma’に基づいて、粗動アクチュエータによる磁気ヘッドの移動速度(および磁気ヘッドに加わる外乱(力外乱、位置外乱)量を)推定し、推定ヘッド移動速度信号(および推定外乱量信号)を生成して、粗動制御部63にフィードバック的に与える。
【0069】
なお、磁気ヘッドの移動速度および磁気ヘッドに加わる外乱(力外乱、位置外乱)量については、ヘッド位置信号Pheadと粗動駆動部65の制御量と微動制御部64の制御量による2入力1出力の推定器で推定するように構成してもよい。
【0070】
図2の微動制御部63におけるVCMの状態推定器634へは2つの信号が入力される。1つは粗動制御部63からの制御量信号Cvcmであり、もう1つがVCMの状態推定器643の推定誤差を低減するための補償信号Peeである。
【0071】
VCMの状態推定器634は、粗動アクチュエータ51による推定移動位置Xe_vcm、推定ヘッド移動速度信号を演算し、推定ヘッド移動速度信号Ve_vcm(と推定外乱量信号F)を粗動制御部63へ出力するとともに、推定移動位置信号Xe_vcmを加算器634Aへ出力する。
【0072】
減算器634SSでの動作はヘッド位置Pより微動アクチュエータ52による推定ヘッド位置信号X_maを減算して、微動アクチュエータ52と粗動アクチュエータ51による総合推定ヘッド位置信号Xeを演算し、減算器634Sへ出力している。
【0073】
減算器634Sでの動作も前述の通りである。すなわち、位置検出部60からのヘッド位置信号Pheadから推定ヘッド位置信号Xeを減算した推定位置誤差信号Peeを生成する。この推定位置誤差信号PeeにVCM状態推定部ゲイン634gを乗算したものが補償信号Pee″である。
【0074】
粗動制御部63において、推定位置誤差信号Pe_vcm、推定位置誤差信号Pe_vcmの積分値、推定ヘッド移動速度信号Ve_vcm、それぞれに位置誤差フィードバックゲイン632、速度フィードバックゲイン633、積分フィードバックゲイン631が乗算された後、加算器63Aで加算されて推定位置誤差信号Pe_vcmを小さくするような制御信号Cvcmが演算される。
【0075】
なお、粗動制御部63は、入力した推定位置誤差信号Pe_vcm対して、比例微分器(位相進み補償器)と積分器の各係数を乗じて制御量信号を生成するように構成してもよい。
【0076】
また、位置誤差ではなく位置をフィードバックする方法や、推定速度ではなくヘッド位置の差分より演算した速度をフィードバックしても同様の効果が得られる。
【0077】
制御量信号を入力した粗動駆動部65は、駆動信号Uvcmを生成して粗動アクチュエータ51に出力し、粗動アクチュエータ51を制御駆動する。
【0078】
以上が、各アクチュエータ制御系の動作シーケンスである。
【0079】
図6は逆起電圧検出手段66の構成図である。VCM51のコイル511と直列に検出抵抗512を設け、その両端に制御信号に比例した制御駆動電流が流れるように粗動駆動部であるドライバLSI63がその両端に電圧を加える。差動検出部514と517より、VCMによるヘッドの移動速度に比例した逆起電圧信号Vbemfを検出し、その信号に速度変換ゲインKbを乗じてVCMによるヘッドの移動速度Vvcmを出力する。
【0080】
以上、説明したサーボ系により、ディスク上に記録されヘッドにより再生される位置検出部で検出されるヘッド位置がない時刻においてもヘッド位置情報を推定して、微動アクチュエータ52はヘッドの位置信号をもとに磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標トラックに位置決めするように制御駆動されるとともに、粗動アクチュエータ51はヘッドの位置信号とは独立に磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標トラック付近に位置決め(静止)するように制御駆動される。
【0081】
次に、図7に本実施の形態における実施例1のシミュレーション結果を示す。
【0082】
シミュレーション条件は、次の通りである。
【0083】
回転数:3000r/min
トラック密度:70000track/inch
トラックピッチ:0.36μm
サンプリング周波数:15kHz
サーボ帯域:1.5kHz
図7(1)と(3)は従来より実施されている2ステージアクチュエータの制御の場合の周波数特性とステップ応答特性、(2)と(4)は本実施例の条件で粗動アクチュエータのサーボループにVCM逆起電圧をもとにした粗動アクチュエータの移動量を推定してサンプリング周波数を2倍にした場合の周波数特性とステップ応答特性のシミュレーション結果である。
【0084】
図よりサンプリング周波数をあげたこと、粗動アクチュエータ51と微動アクチュエータ52を独立に制御したことにより、ステップ応答時間の短縮、周波数特性の整形がなされ、高速かつ高精度の位置決め制御が実現できる。
【0085】
以上より、本実施の形態では、2ステージアクチュエータの協調制御によるヘッド位置決め制御おいて、微動アクチュエータはヘッド位置信号にもとづくヘッド位置誤差信号をフィードバック制御するとともに、粗動アクチュエータは粗動制御量と粗動アクチュエータの逆起電圧信号を入力とする推定器に積分器を負荷して粗動によるヘッド移動距離を推定して、その推定値をもとにした粗動による位置誤差信号をフィードバック制御して協調制御を行うことを特徴としている。
【0086】
以上、本実施の形態では、ヘッド位置信号による推定位置と逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの位置、移動量を推定するとともに2つのアクチュエータによるヘッド位置、ヘッド移動量を推定し、推定した粗動アクチュエータによる移動量で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差と推定したヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、2つのアクチュエータ動作の相互干渉を小さくして、高サンプリング検出かつ高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【0087】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態であるヘッド位置決め制御装置の構成図である。また、図9は粗動制御部のブロック図である。
【0088】
ヘッド位置決め制御装置の機構的な構成については、第1の実施の形態と同様のため、ここでは、ヘッド位置決め制御装置の機構的な説明は省略する。また、第1の実施の形態と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
【0089】
図8において、ヘッド位置検出部によるヘッド位置と微動変位推定器の差として粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定する第2の粗動変位推定器69を有し、VCMの逆起電圧を検出して粗動アクチュエータ51によるヘッドの移動量を推定する第1の粗動変位推定器68を有していて、あらかじめ設定しているしきい値以上の場合、第2の推定器の出力をもとに位置決め制御を行い、しきい値以上の場合、減算器63Sと、粗動制御部63と、粗動駆動部65と、粗動アクチュエータ51の逆起電圧より移動速度を推定し、粗動アクチュエータの推定移動速度より移動量を推定する粗動変位推定器67と、加算器67A、67F、減算器63S、で構成されている。
【0090】
以上のような構成をとることにより、微動アクチュエータの変位を動作中心付近になるように粗動アクチュエータ51を制御駆動する。
【0091】
すなわち、本実施の形態では、粗動アクチュエータによって磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標トラックの近傍において静止させ、2つのアクチュエータの動作が干渉しないように、微動アクチュエータ52は独立で磁気ヘッドを目標トラックに追従させることを特徴としている。
【0092】
以上、本実施の形態では、ヘッド位置信号による推定位置と逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの位置、移動量を推定するとともに2つのアクチュエータによるヘッド位置、ヘッド移動量を推定し、推定した粗動アクチュエータによる移動量で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差と推定したヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、2つのアクチュエータ動作の相互干渉を小さくして、高サンプリング検出かつ高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となる。
【0093】
(第3の実施の形態)
図9は本発明の第3の実施の形態であるヘッド位置決め制御装置の構成図である。
【0094】
ヘッド位置決め制御装置の機構的な構成については、第1の実施の形態と同様のため、ここでは、ヘッド位置決め制御装置の機構的な説明は省略する。また、第1の実施の形態と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
【0095】
図9において、図1と異なる点は微動制御部は一定値の制御量Umaを出力して、粗動アクチュエータのみでアクセス制御を行っている点と、粗動制御部は、ヘッド位置検出手段によりヘッド位置信号が検出される時刻ではヘッド位置信号より計算されるヘッド移動速度Vheadをもとに速度誤差VEを計算して、検出されない時刻では粗動変位推定器により出力されるその時刻間の粗動アクチュエータにより移動した速度を、前時刻でヘッド位置をもとに粗動制御部内で推定した粗動アクチュエータによる推定ヘッド速度に加算した信号をもとに速度誤差VEを計算して制御量Uvcmを生成するという点である。
【0096】
加算器67Aでは、位置検出部においてヘッド位置が検出されない時刻においても粗動制御部63における推定器634でヘッド位置より推定される粗動アクチュエータによるヘッド移動速度に、粗動アクチュエータであるVCMの逆起電圧Vbemfより推定されるその時刻における移動速度変化を加算して、粗動アクチュエータによるヘッド移動速度である推定VCM速度Vvcmを生成している。
【0097】
また、加算器66Aでは、ヘッド位置が検出される場合はヘッド位置より生成されるヘッド速度Vheadをヘッド移動速度Vとし、検出されない場合は、ヘッド速度Vheadに推定VCM速度Vvcmのその時刻における変化分を加算してヘッド移動速度Vを生成している。
【0098】
なお、加算器67Aにおいて、ヘッド速度を推定値ではなく実際に検出した値Vheadを使用してもよい。
【0099】
また、66Aと67Aを1つの加算器としてもヘッド位置より生成されるヘッド速度に、粗動変位推定器の推定ヘッド速度を加算すること構成であればよい。
【0100】
以上より、粗動アクチュエータは、生成された速度誤差をもとに速度制御され目的トラック近傍まで目標速度でアクセス制御移動される。
【0101】
以上、本実施の形態では、逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの移動速度を推定し、推定した移動速度とヘッド位置より計算されるヘッド速度で速度誤差を生成して粗動制御系を構成することにより、2ステージアクチュエータの高サンプリング制御で高速なアクセス動作が実現できるという優れた効果を有するヘッド位置決め制御装置を提供することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ヘッド位置をもとに粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定するとともに、逆起電圧信号による推定速度をもとに粗動アクチュエータによるヘッドの移動距離を推定し、推定した移動距離で粗動制御系を構成するとともに、ヘッド位置信号によるヘッド位置誤差をもとに微動制御系を構成することにより、ヘッド位置情報が検出されない時刻においても、推定したヘッド位置と粗動アクチュエータによるヘッド移動量をもとに2つのアクチュエータの相互干渉を小さくして高帯域に協調制御が可能となるため、摩擦やFPC反力、振動による位置誤差を抑制しながらヘッドをトラックに追従させることが可能となり、高速高精度なヘッド位置決め制御を実現することができる。
【0103】
その結果、振動や静止摩擦によるヘッド位置決め動作への影響を受けずに、2ステージアクチュエータを相互の干渉を小さくして安定な動作で位置決めサーボ制御ができるという優れた効果を有するヘッド位置決め制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のヘッド位置決め制御装置の構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態の微動制御部の構成図
【図3】本発明の第1の実施の形態の粗動制御部の構成図
【図4】本発明の第1の実施の形態の粗動推定器の構成図
【図5】本発明の第1の実施の形態の微動アクチュエータの構成図
【図6】本発明の第1の実施の形態の逆起電圧検出手段の構成図
【図7】本発明の第1の実施の形態のシミュレーション結果の図
【図8】本発明の第2の実施の形態のヘッド位置決め制御装置の構成を示す構成図
【図9】本発明の第3の実施の形態のヘッド位置決め制御装置の構成を示す構成図
【図10】従来のディスク装置のヘッド位置決め制御装置の構成図
【図11】従来のディスク装置のヘッド位置決め制御装置の構成図
【符号の説明】
1 ヘッド
3 ヘッドスライダ
4 ヘッド支持機構
5 位置決め機構部
51 微動アクチュエータ
52 粗動アクチュエータ
6 位置決め制御部
60 位置検出部
62 微動制御部
63 粗動制御部
64 微動駆動部
65 粗動駆動部
66 微動変位推定器
67 粗動変位推定器
Claims (11)
- 情報記録ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘッドを2ステージアクチュエータ方式で位置決め制御する粗動アクチュエータおよび微動アクチュエータと、ヘッド信号よりヘッド位置を検出するヘッド位置検出手段と、前記粗動アクチュエータと微動アクチュエータを制御する位置決め制御手段とを備え、
前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成され、前記位置決め制御手段は少なくとも前記粗動アクチュエータを駆動する粗動駆動手段とこの粗動駆動手段を制御する粗動制御手段からなる粗動制御系および前記圧電素子で構成される微動アクチュエータを駆動する微動駆動手段とこの微動駆動手段を制御する微動制御手段からなる微動制御系とを備えて構成されているヘッド位置決め装置であって、
前記ヘッド位置検出手段は、ヘッドよりヘッド位置が検出される時刻では前記ヘッド位置をもとに位置誤差を計算して、検出されない時刻では前時刻でのヘッド位置と、粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量と微動アクチュエータへの入力信号より推定した微動アクチュエータによるヘッド移動量をもとに位置誤差を計算するとともに、
ヘッド位置が検出される時刻ではヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定し、検出されない時刻では前時刻での粗動アクチュエータによるヘッド位置に粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量を加算して粗動アクチュエータによるヘッド位置を計算し、
前記位置決め制御手段は、逆起電圧信号よりヘッド移動速度とヘッド移動量を推定する粗動変位推定手段を有し、
微動アクチュエータへの制御量より微動アクチュエータによるヘッド位置を推定する微動変位推定手段を有し、
微動制御部は、前記ヘッド位置検出手段による前記ヘッド位置をもとに前記微動アクチュエータを制御する制御量を演算し、
粗動制御部は、ヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定する粗動推定手段を有し、粗動アクチュエータによるヘッド位置をもとに前記粗動アクチュエータを制御する制御量を演算することを特徴とするヘッド位置決め制御装置。 - ヘッド位置誤差信号は、ヘッド位置信号が検出されない時刻では、その時刻間の粗動アクチュエータによる推定ヘッド移動量と微動アクチュエータによる推定ヘッド移動量とを加算した推定ヘッド位置にヘッド位置信号が検出される前時刻でのヘッド位置を加算した信号をもとに生成することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 粗動アクチュエータによるヘッド位置信号は、ヘッド位置検出手段によりヘッド位置信号が検出される時刻では粗動推定手段により出力される推定ヘッド位置を信号とし、検出されない時刻では粗動変位推定手段により出力されるその時刻間の粗動アクチュエータにより移動した推定ヘッド移動量を前時刻での粗動アクチュエータによる推定ヘッド位置に加算した信号をもとに生成することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 微動アクチュエータによるヘッド位置信号は、ヘッド位置検出手段によりヘッド位置信号が検出される時刻では微動制御部における微動推定手段により出力される推定ヘッド位置を信号とし、検出されない時刻では微動変位推定手段により出力されるその時刻間の微動アクチュエータにより移動した推定ヘッド位置に前時刻での微動アクチュエータによるヘッド移動量を加算した信号をもとに生成することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 粗動制御部における粗動推定手段は、ヘッド位置信号と微動アクチュエータへの制御信号と粗動アクチュエータへの制御信号より、粗動アクチュエータによるヘッド位置と速度を推定する、もしくは、ヘッド位置信号と微動変位推定手段による微動アクチュエータによる推定ヘッド位置と粗動アクチュエータへの制御信号より、粗動アクチュエータによるヘッド位置と速度を推定することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 粗動制御部は、ヘッド位置信号と微動変位推定手段による微動アクチュエータによる推定ヘッド位置より、粗動アクチュエータによるヘッド位置を推定する第2の粗動推定手段を有し、前記第1の推定手段と第2の推定手段を位置誤差信号の大きさに応じて切り替える粗動制御切り換え手段を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 微動制御部における推定手段は、ヘッド位置信号と微動アクチュエータへの制御信号と粗動アクチュエータへの制御信号より、微動アクチュエータによるヘッド位置と速度を推定することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 位置決め制御手段は」、ヘッド位置誤差がしきい値以上の場合、微動制御部は一定値を出力し、
ヘッド位置検出手段は、ヘッド位置が検出される時刻では前記ヘッド位置をもとに位置誤差を計算して、検出されない時刻では前時刻でのヘッド位置と、粗動アクチュエータの逆起電圧信号より推定した粗動アクチュエータによるヘッド移動量を加算してヘッド位置および位置誤差を計算するとともにヘッド移動速度と速度誤差を計算し、
位置決め制御手段は、逆起電圧信号よりヘッド移動速度とヘッド移動量を推定する粗動変位推定手段を有し、
粗動制御部は、ヘッド位置より粗動アクチュエータによるヘッド位置とヘッド移動速度を推定する粗動推定手段を有し、前記ヘッド移動速度をもとに速度制御量を計算し、
前記粗動アクチュエータによるヘッド移動速度信号は、ヘッド位置検出手段によりヘッド位置信号が検出される時刻では粗動推定手段により出力される推定ヘッド速度を信号とし、検出されない時刻では粗動変位推定手段により出力されるその時刻間の粗動アクチュエータにより移動した推定ヘッド移動速度の前時刻との変化分を加算した信号もとに生成することを特徴とする請求項1に記載のヘッド位置決め制御装置。 - 粗動制御部は、ヘッド位置信号が検出される時刻のみ、粗動アクチュエータへの制御信号を生成することを特徴とする請求項1あるいは請求項6あるいは請求項8に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 微動アクチュエータは薄膜の圧電素子で構成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項6あるいは請求項8に記載のヘッド位置決め制御装置。
- 前記微動制御部と粗動制御部からなる位置決め制御装置を搭載したことを特徴とするディスク装置。
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JP2008142786A (ja) * | 2006-12-06 | 2008-06-26 | Nidec Sankyo Corp | ロボットシスシステム及びロボット制御装置 |
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- 2003-04-16 JP JP2003111124A patent/JP2004318993A/ja active Pending
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