JP2004317376A - 波面測定方法、波面測定装置、結像光学系の調整方法、及び半導体露光装置の製造方法。 - Google Patents
波面測定方法、波面測定装置、結像光学系の調整方法、及び半導体露光装置の製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】装置を大型化することなく、クロストークの影響を抑え、正確な波面の測定を可能にする波面測定方法を提供する。
【解決手段】従来の方法では、(a)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5(光束の外周部が照射されるマイクロレンズ5から1つ分内側にあるマイクロレンズ5、図にAで示す)、及びその内側のマイクロレンズ5(図にB、C、Dで示す)によって集光されたスポットデータ全部を波面のフィッティング計算に使用していたのに対し、本実施の形態では、(b)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5のうち、その最外周にあるもの(図にAで示す)集光されたスポットデータを使用しないようにしている。
【選択図】 図4
【解決手段】従来の方法では、(a)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5(光束の外周部が照射されるマイクロレンズ5から1つ分内側にあるマイクロレンズ5、図にAで示す)、及びその内側のマイクロレンズ5(図にB、C、Dで示す)によって集光されたスポットデータ全部を波面のフィッティング計算に使用していたのに対し、本実施の形態では、(b)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5のうち、その最外周にあるもの(図にAで示す)集光されたスポットデータを使用しないようにしている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の波面測定方法、波面測定装置、この波面測定方法を使用した結像光学系の調整方法、及び半導体露光装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程中には、レチクルに形成されたパターンを半導体露光装置によりウエハ上に転写する工程が含まれる。このとき、露光転写可能な最小のパターン幅は、露光装置の開口数をNA、露光に使用する光の波長をλとすると、λ/NAで決定される。よって、微細なパターンを転写するために、投影系のNAは年々増大している。
【0003】
このような露光装置の投影光学系は、その製造時、波面測定器を使用してその波面(波面収差)を測定され、その収差が所定の範囲に収まるように調整されている。このような目的に使用される波面測定器として代表的なものに、Shack−Hartmann(シヤック−ハルトマン)方式の波面測定器がある。その概要を図1、及び図2に示す。図1に示すように、波面測定器1では、測定対象となる投影光学系2にテストレチクルRt上のピンホールPHからの球面波SWを入射させる。
投影光学系2から出た球面波SWは、投影光学系2の結像位置に設けられた波面測定器1の第1面3中のピンホールを介して、リレーレンズ4により平行光PBに変換される。
【0004】
この平行光PBは、多数のマイクロレンズ5が2次元的に配置されたマイクロレンズアレイ6に入射する。そして、マイクロレンズアレイ6により、平行光PBは、各マイクロレンズ5毎に、所定位置に配置された撮像素子(CCD)7上に2次像として結像する。
【0005】
ここで、図2(a)に示すように、投影光学系2に収差が存在しない場合には、マイクロレンズアレイ6に入射する平行光PBは、平行な波面WFpnを有する。このため、マイクロレンズアレイ6の各マイクロレンズ5による2次像Fnは、各マイクロレンズ5の光軸AXn上に結像される。
【0006】
一方、図2(b)に示すように、投影光学系2に収差が存在する場合には、マイクロレンズアレイ6に入射する平行光PBは、投影光学系2の収差に応じて歪んだ波面WFpaを有する。このため、平行光PBは、各マイクロレンズ5毎に、それぞれ異なる波面WFpaの傾きAXpを持つことになる。そして、各マイクロレンズ5による2次像Faは、各マイクロレンズ毎にその光軸AXnから前記波面WFpaの傾き量に応じて横ずれした位置に結像することになる。このように各マイクロレンズ5毎の光束の結像位置の横ずれ量から、波面WFpaの傾きAXpを求めることにより、投影光学系2の収差を測定することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような、シヤック−ハルトマン方式に代表されるような波面(収差)測定方法においては、マイクロレンズアレイにより形成された像を検出器を用いて測定し、像からスポット位置を検出し、スポット位置から波面を復元するという手順で、波面の検出を行うこととなる。
【0008】
波面の復元は、一般に、波面の形状をZernike級数などの基底関数系を用いて表現し、測定されたスポット位置に基づいて、波面を基底関数系でフィッティングすることにより行われる。
【0009】
波面を高精度で測定するには、マイクロレンズアレイを密に配置させ、測定点を多くすることが好ましい。しかし、マイクロレンズアレイ中のレンズレットを小さくすると、近隣のスポットとの距離が小さくなり、干渉効果によってスポットの位置がずれてしまう現象(クロストーク)が生じてしまい、測定値が波面の傾斜を正確に反映しなくなってしまう。レンズレットの大きさを変えずに、波面を拡大して測定を行えば、クロストークの影響は小さくなるが、装置が大型化する上に、受光面上での光密度が小さくなるため、ノイズ等の影響が相対的に大きくなり、測定誤差が出てしまう。
【0010】
特に、半導体露光装置の投影光学系の調整を行う場合においては、投影レンズを半導体露光装置に搭載した状態で測定できるシャック−ハルトマンタイプの測定装置を使うのが便利であるが、この場合には、装置を大型化することができず、シャック−ハルトマンタイプの測定装置では、一定以上に測定精度を上げるのは困難である。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置を大型化することなく、クロストークの影響を抑え、正確な波面の測定を可能にする波面測定方法、波面測定装置、この波面測定方法を使用した結像光学系の調整方法、及び半導体露光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、測定対象である光束を、アレイ状に配列された複数の集光素子上に照射し、当該光束の各部分を集光素子により結像させてスポットを形成してそのスポットの位置を検出し、検出したスポット位置から前記光束の波面を測定する方式の波面測定方法であって、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータを除いた、残りのデータに基づいて波面を求めることを特徴とする波面測定方法(請求項1)である。
【0013】
発明者は、レンズレットの間隔を小さくしていった場合のクロストークの影響について解析を行った。図3に、クロストークの影響によるスポット位置のずれの例を示す。図3は、等間隔に並んだレンズアレイに無収差の波面が入射した場合に形成される像強度分布の例を示す図であり、横軸はスポット形成面の位置、縦軸は光の強度を示す。この例は、波長193nm、レンズレットサイズ0.24mm×0.24mm(正方形)、焦点距離54mm、スポットの幾何光学的な半径10μmについてのものである。
【0014】
この例においては、スポットA,B,Cおよびそれらの左側に対応するレンズレットには無収差の波面(光束)が一様な強度で入射しているが、スポットCの右側に対応するレンズレットには波面(光束)が入射していない。
【0015】
図3を見ると分かるように、スポットA,Bについては、幾何光学的なスポット位置に記した目盛とスポットの位置がほとんど一致しているが、スポットCでは、スポット位置に記した目盛とスポットの位置がずれている。
【0016】
これは、光束の外周部以外の内側では、クロストークが均一に起こるので、結果としてクロストークがバランスして影響が無いのと同じような結果になるのに対して、光束の外周部付近では、外部側からのクロストークが無く、内部側からのクロストークのみの影響を受けるので、クロストークのアンバランスが生じているためと考えられる。
【0017】
ここではスポットCはスポットAおよびBの方向に移動しているが、移動の方向や距離は各々のレンズレットによる像の干渉効果に依存するものであり、レンズレットへの波面の掛かり具合の微小な変化によって大きく変動する。したがって、外周部付近でのクロストークによるスポット移動量を予見するのはほぼ不可能であり、これらが波面復元時の計算において誤差要因になることは避けられない。すなわち、一部のデータに含まれる誤差が大きいと、波面復元計算におけるフィッティグの結果が大きくその影響を受けて、精度が悪化する。
【0018】
そこで、本手段においては、測定対象である光束の外周部に相当するデータを除いた、残りのデータに基づいて波面を求めるようにしている。すなわち、クロストークのアンバランスに起因する誤差を含む光束の外周部に相当するデータを、波面復元時の計算において用いないようにする。このことにより、計算精度を向上させることができ、その結果、マイクロレンズアレイを密に配置させることにより装置を大きくすることなく測定点を多くとり、波面を高精度で測定することができる。
【0019】
なお、光束外周部に相当するデータとは、クロストークのアンバランスの影響が問題となるような、光束外周近傍のデータのことである。このことは、他の手段(請求項)において同じである。
【0020】
前記課題を解決するための第2の手段は、測定対象である光束を、アレイ状に配列された複数の集光素子上に照射し、当該光束の各部分を集光素子により結像させてスポットを形成してそのスポットの位置を検出し、検出したスポット位置から前記光束の波面を測定する方式の波面測定方法であって、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータの寄与率を下げたデータに基づいて波面を求めることを特徴とする波面測定方法(請求項2)である。
【0021】
前記第1の手段では、波面外周部の実際の波面情報も完全に失われてしまう。外周部に大きな、あるいは特徴的な収差があると考えられる場合には、外周部のデータを除去するのでなく、その寄与率を下げる程度にするほうが好ましいこともある。本手段は、このような場合に有効な手段である。寄与率を下げるには、たとえばフィッティグ計算を行う場合に、各データに対して重み付けを行い、測定対象である光束の外周部に相当するデータに対しては小さな重みを与える等の方法が考えられる。
【0022】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、少なくとも前記光束の外周部が照射される前記集光素子から1つ分内側にある前記集光素子で形成されるスポットのデータを、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータとして扱うことを特徴とするもの(請求項3)である。
【0023】
光束のうちで、外周部であるとみなす範囲は、当然クロストークの影響が大きい範囲である。光束が無い部分に隣接する集光素子のスポット、波面が欠けている部分に相当する集光素子に隣接する集光素子のスポットに関しては、クロストークのアンバランスの影響が及ぶことが多い。したがって、光束の外周部が照射される前記集光素子から1つ分内側にある集光素子で形成されるスポットのデータを、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータとして扱うことが好ましい。それより内側のスポットの扱いに関しては、光学系のパラメータや必要な精度に応じて判断すべきである。
【0024】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、波面の外周部として扱う領域が、前記光束の中心から、前記光束の半径の90%以内の範囲に及ばないことを特徴とするもの(請求項4)である。
【0025】
外周部の範囲を大きめにとることは、クロストークの影響を除去する上では問題はない。しかし、波面の大きな部分を除いてフィッティング計算を行った場合、残りの部分のフィッティング誤差を小さくするために、除いた部分に不自然な誤差を挿入してしまうことがある。したがって、外周部として扱う部分が光束の半径の10%程度以上になることは好ましくない。よって、本手段においては、光束の外周部として扱う領域が、光束の中心から、前記光束の半径の90%以内の範囲に及ばないようにしている。
【0026】
前記課題を解決するための第5の手段は、被測定光を平行光束とする光学系と、アレイ状に配列された複数の集光素子と、前記集光素子により前記平行光束が分割されて集光されることにより形成されたスポットの位置を計測するスポット位置計測手段と、前記スポット位置計測手段の出力に基づいて前記被測定光の波面を演算する波面演算手段とを有する波面測定装置であって、前記波面演算手段は、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれの波面測定方法を用いて、前記被測定光の波面を演算するものであることを特徴とする波面測定装置(請求項5)である。
【0027】
本手段においては、波面演算手段が、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれの波面測定方法を用いて、前記被測定光の波面を演算するので、それぞれ、前記第1の手段から第4の手段の説明で述べた作用効果を奏することができる。
【0028】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれかの波面測定方法を用いて波面を測定し、その結果に基づいて、光学要素の調整を行うことを特徴とする結像光学系の調整方法(請求項6)である。
【0029】
本手段においては、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれの波面測定方法を用いて、被測定光の波面を演算し、その結果に基づいて、光学要素の調整を行うようにしているので、それぞれ、前記第1の手段から第4の手段の説明で述べた作用効果を奏することができる。特に、測定装置を結像光学系の上に載せて調整を行えるので、半導体露光装置の結像光学系の調整に適している。
【0030】
前記課題を解決するための第7の手段は製造工程中に、前記第6の手段の結像光学系の調整方法を有することを特徴とする半導体露光装置の製造方法(請求項7)である。
【0031】
本手段においては、製造工程中に、前記第6の手段の結像光学系の調整方法を用いて調整を行うので、前記第6の手段の効果を奏することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。本実施の形態である波面測定方法は、測定器として図1に示すシヤック−ハルトマン方式の波面測定器を使用している。そして、従来技術の欄で説明したような方法で、各マイクロレンズ5毎の光束の結像位置の横ずれ量から、波面WFpaの傾きAXpを求め、これから、波面を測定する。すなわち、波面をZernike級数に従うものとし、その場合に、各マイクロレンズ5毎の光束の結像位置の横ずれ量がどのくらいになるかを理論計算によって求め、実際に求まった横ずれ量を基に、最小2乗法を用いることにより、Zernike級数の係数を算出すれば、波面の測定を行うことができる。
【0033】
この方法は従来の方法と同じであるが、従来の方法では、図4の(a)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5(光束の外周部が照射されるマイクロレンズ5から1つ分内側にあるマイクロレンズ5、図にAで示す)、及びその内側のマイクロレンズ5(図にB、C、Dで示す)によって集光されたスポット位置データ全部を計算に使用していたのに対し、本実施の形態では、図4の(b)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5のうち、その最外周にあるもの(図にAで示す)によって集光されたスポット位置データを使用しないようにしている。図4においては、太枠でかこわれている部分がシミュレーションに使用されるマイクロレンズである。
【0034】
さらには、図4の(c)に示すように、さらにその一つ内側にあるマイクロレンズ5(図にBで示す)によって集光されたスポット位置データも計算に使用しないようにしてもよい。しかしながら、あまり内側の位置データまで使用しないようにすると、クロストークのアンバランスの影響による誤差よりも、その位置データを使用しないでフィッティングを行うことによる誤差の方が大きくなるので、使用しないスポットの位置データは、対応するマイクロレンズの位置が、測定される光束の中心から、その光束の半径の90%以内の範囲に及ばないようにすることが好ましい。
【0035】
なお、言うまでもないことであるが、実際の測定においては、測定される光束中に含まれるマイクロレンズ5の数はもっと多いが、図4では、図を分かりやするために、測定される光束中に含まれるマイクロレンズ5の数を少なく表示している。
【0036】
以上の実施の形態においては、それぞれ、外周部にあたるとされたスポット位置データを使用しないようにしていたが、フィッティング計算を行うに当たって、これらの位置データの重み付けを小さくするようにしてもよい。即ち、例えば、これらの位置データの内側にある位置データには、1の重みを与え、これらの位置データには0.5の重みを与えてフィッティング計算を行うようにすれば、これらの位置データの情報を全く無視しないで、しかも、クロストークのアンバランスの影響を緩和することができる。
【0037】
本実施の形態の波面測定方法を実行することができる、図1に示すような波面測定装置は、半導体露光装置の投影光学系の調整に使用される。投影レンズは、組み立て調整の過程で、本発明の実施の形態にかかる波面測定器を用いて波面測定が行われ、波面が0.02λRMS以下になるまで調整される。
【0038】
図5は、半導体露光装置の概略構成図である。露光装置は、少なくともウエハステージ18と、光を供給するための光源部11と、投影レンズ15とを含む。ここで、ウエハステージ18は感光剤を塗布したウエハwを表面18a上に置くことができる。また、ステージ制御系17はウエハステージ18の位置を制御する。
【0039】
投影レンズ15は上述のように本発明の実施の形態である波面測定器を用いて調整された高精度投影レンズである。また投影レンズ15の物体面P1及び像面P2に、それぞれレチクルr、ウエハwが配置される。さらに投影レンズ15はスキャンタイプの露光装置に応用されるアライメント光学系を有する。さらに照明光学系12は、レチクルrとウエハwとの間の相対位置を調節するためのアライメント光学系13を含む。
【0040】
レチクルrは、当該レチクルに形成されたパターンのイメージをウエハw上に投影するためのものであり、ウエハステージ18の表面18aに対して平行移動が可能であるレチクルステージ16上に配置される。そしてレチクル交換系14は、レチクルステージ16上にセットされたレチクルrを交換し運搬する。またレチクル交換系16はウエハステージ18の表面18aに対し、レチクルステージ15を平行移動させるためのステージドライバー(不図示)を含む。また、主制御部19は位置合わせから露光までの一連の処理に関する制御を行う。
【0041】
本実施の形態にかかる波面測定器は、露光装置に搭載された投影レンズ15の波面を測定することにも適用することができる。その場合、波面測定器をウエハステージ18の端部に取り付け、測定時はちょうど投影レンズ15の下方に配置されるように、ウエハステージ18を移動させる。
【0042】
【実施例】
図1に示すようなシヤック−ハルトマン方式の波面測定器を使用して、本発明の方式による波面測定方法と、従来方式による波面測定方法による測定誤差をシミュレーションにより求めた。
【0043】
実際の測定時には、理想的な波面によってできるスポット位置に対してクロストークの影響に加え、光学的および検出素子、スポット位置検出アルゴリズムなどに起因する誤差が生じる。ここでは、光学系のパラメータとしては図3のデータを採取するときに使用したものと同じものを使用した。
【0044】
すなわち、波長193nm、レンズレットサイズ0.24mm×0.24mm(正方形)、焦点距離54mm、スポットの幾何光学的な半径10μmである。測定する波面(光束)の直径は、レンズレット44個分、すなわち、10.56mmとした。
【0045】
入射する波面はZernike級数に従うものとし、fringe Zernike係数は
z7=0.05
z9=0.05
z25=0.05
で与えられるものとした(他の係数は0とした)。収差(単位はmλ)は、全部で33mλとした。様々な原因による位置検出誤差のrms値を0.5μmとし、瞳外周部に関しては隣接するレンズレットが波面に含まれる割合が50%以下であるようなレンズレットによるスポットに1.2μmのクロストークを与えた。すなわち、隣接するレンズレットが波面に含まれる割合が50%以下であるようなレンズレットによるスポットは、内側レンズレットのクロストークの影響が大きく、外側のレンズレットのクロストークの影響が小さいので、1.2μmだけ内側にシフトするものと考えた。
【0046】
このようにして得られた検出スポット位置の分布をZernike級数(ここではz2〜z36を使用)を微分したものでfittingすることにより、波面の復元ができるが、この際、
基準1. 全体が波面に含まれる(光束で照射される)レンズレットによるスポットを全て使用する。
基準2. 波面の半径95%以内に全体が含まれるレンズレットによるスポットを使用する。
基準3. 波面の半径90%以内に全体が含まれるレンズレットによるスポットを使用する。
基準4. 全体が波面に含まれるレンズレットによるスポットを全て使用するが、波面の半径90%以内に全体が含まれるレンズレット以外のレンズレットによるスポットの寄与率は1/2とする。
という4種類の基準でフィッティング計算を行った。
【0047】
レンズレットの辺の長さをaとすると、測定する波面の直径は、前述のようにレンズレット44個分であるので、半径の5%は1.1aである。スポット位置はレンズレットの端から0.5a〜0.7a程度内側であるので、基準2の場合は波面の端から1.6a〜1.8a程度以上内側にあるスポットを使用することに相当する。同様、基準2の場合は波面の端から3.2a〜3.6a程度以上内側にあるスポットを使用することに相当する。フィッティング計算時に使用するスポットの数は、それぞれの場合について、1440、 1288、1158となる。
【0048】
このようにしてフィッティングの結果得られた波面形状と、入力した波面形状の差をとり、そのrms値を検出誤差とした。ただし、レンズ全体のシフトにより調整可能なz2〜z4については、各フィッティング結果にもかかわらず、その係数値を0として、差の計算から除外している。
【0049】
それぞれの基準での結果および、参考としてクロストークの影響がない場合のデータを通常の方法(基準1)でフィッティングした結果の測定誤差を調べた。ここでは、元波面と検出した波面の差を取り、レンズ全体のシフトにより調整可能なz2〜z4を除いたz5〜z36により決定される関数のシミュレーション値と基準値の差のrms値を検出誤差として示している。
【0050】
その結果を表1に示す。表1には、クロストークが全くないものとして、基準1でシミュレーションを行った結果の誤差をCT無として参考のために示している。この結果をみると、全体を使用した基準1の結果よりも、外周部のデータの一部を省略した基準2の結果のほうが誤差が小さくなっている。クロストーク無しの場合の誤差と比較すると、クロストークの影響のかなりの部分が排除できていることが分かり、外周部のデータを除く方法が有効であることがわかる。なお、基準3の場合は波面外周部の情報の欠落によって検出性能が大幅に悪化していて、除去する範囲の選択が重要であることを示唆している。
【0051】
一方、基準4では、外周部分の情報を完全に欠落させるのではなく、適切に寄与率を下げてシミュレーションに使用しているが、基準1よりも誤差は小さくなっている。誤差の大きな外周部の情報を捨てることによる不具合は、寄与率を下げて使用することにより、ある程度避けられることがこのデータにより示されている。
(表1)
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置を大型化することなく、クロストークの影響を抑え、正確な波面の測定を可能にする波面測定方法、及び波面測定装置、並びにこの波面測定方法を使用した結像光学系の調整方法、及び結像光学系の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Shack−Hartmann(シヤック−ハルトマン)方式の波面測定器の概略構成を示す図である。
【図2】Shack−Hartmann(シヤック−ハルトマン)方式の波面測定器による波面測定方法の原理を示す図である。
【図3】等間隔に並んだレンズアレイに無収差の波面が入射した場合に形成される像強度分布の例を示す図である。
【図4】波面のフィッティング計算に使用するマイクロレンズを示す図である。
【図5】半導体露光装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…波面測定器、2…投影光学系、3…第1面、4…リレーレンズ、5…マイクロレンズ、6…マイクロレンズアレイ、7…撮像素子(CCD)、11…光源部、12…照明光学系、13…アライメント光学系、14…レチクル交換系、15…投影レンズ、16…レチクルステージ、17…ステージ制御系、18…ウエハステージ、18a…ウエハステージの表面、19…主制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の波面測定方法、波面測定装置、この波面測定方法を使用した結像光学系の調整方法、及び半導体露光装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程中には、レチクルに形成されたパターンを半導体露光装置によりウエハ上に転写する工程が含まれる。このとき、露光転写可能な最小のパターン幅は、露光装置の開口数をNA、露光に使用する光の波長をλとすると、λ/NAで決定される。よって、微細なパターンを転写するために、投影系のNAは年々増大している。
【0003】
このような露光装置の投影光学系は、その製造時、波面測定器を使用してその波面(波面収差)を測定され、その収差が所定の範囲に収まるように調整されている。このような目的に使用される波面測定器として代表的なものに、Shack−Hartmann(シヤック−ハルトマン)方式の波面測定器がある。その概要を図1、及び図2に示す。図1に示すように、波面測定器1では、測定対象となる投影光学系2にテストレチクルRt上のピンホールPHからの球面波SWを入射させる。
投影光学系2から出た球面波SWは、投影光学系2の結像位置に設けられた波面測定器1の第1面3中のピンホールを介して、リレーレンズ4により平行光PBに変換される。
【0004】
この平行光PBは、多数のマイクロレンズ5が2次元的に配置されたマイクロレンズアレイ6に入射する。そして、マイクロレンズアレイ6により、平行光PBは、各マイクロレンズ5毎に、所定位置に配置された撮像素子(CCD)7上に2次像として結像する。
【0005】
ここで、図2(a)に示すように、投影光学系2に収差が存在しない場合には、マイクロレンズアレイ6に入射する平行光PBは、平行な波面WFpnを有する。このため、マイクロレンズアレイ6の各マイクロレンズ5による2次像Fnは、各マイクロレンズ5の光軸AXn上に結像される。
【0006】
一方、図2(b)に示すように、投影光学系2に収差が存在する場合には、マイクロレンズアレイ6に入射する平行光PBは、投影光学系2の収差に応じて歪んだ波面WFpaを有する。このため、平行光PBは、各マイクロレンズ5毎に、それぞれ異なる波面WFpaの傾きAXpを持つことになる。そして、各マイクロレンズ5による2次像Faは、各マイクロレンズ毎にその光軸AXnから前記波面WFpaの傾き量に応じて横ずれした位置に結像することになる。このように各マイクロレンズ5毎の光束の結像位置の横ずれ量から、波面WFpaの傾きAXpを求めることにより、投影光学系2の収差を測定することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような、シヤック−ハルトマン方式に代表されるような波面(収差)測定方法においては、マイクロレンズアレイにより形成された像を検出器を用いて測定し、像からスポット位置を検出し、スポット位置から波面を復元するという手順で、波面の検出を行うこととなる。
【0008】
波面の復元は、一般に、波面の形状をZernike級数などの基底関数系を用いて表現し、測定されたスポット位置に基づいて、波面を基底関数系でフィッティングすることにより行われる。
【0009】
波面を高精度で測定するには、マイクロレンズアレイを密に配置させ、測定点を多くすることが好ましい。しかし、マイクロレンズアレイ中のレンズレットを小さくすると、近隣のスポットとの距離が小さくなり、干渉効果によってスポットの位置がずれてしまう現象(クロストーク)が生じてしまい、測定値が波面の傾斜を正確に反映しなくなってしまう。レンズレットの大きさを変えずに、波面を拡大して測定を行えば、クロストークの影響は小さくなるが、装置が大型化する上に、受光面上での光密度が小さくなるため、ノイズ等の影響が相対的に大きくなり、測定誤差が出てしまう。
【0010】
特に、半導体露光装置の投影光学系の調整を行う場合においては、投影レンズを半導体露光装置に搭載した状態で測定できるシャック−ハルトマンタイプの測定装置を使うのが便利であるが、この場合には、装置を大型化することができず、シャック−ハルトマンタイプの測定装置では、一定以上に測定精度を上げるのは困難である。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置を大型化することなく、クロストークの影響を抑え、正確な波面の測定を可能にする波面測定方法、波面測定装置、この波面測定方法を使用した結像光学系の調整方法、及び半導体露光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、測定対象である光束を、アレイ状に配列された複数の集光素子上に照射し、当該光束の各部分を集光素子により結像させてスポットを形成してそのスポットの位置を検出し、検出したスポット位置から前記光束の波面を測定する方式の波面測定方法であって、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータを除いた、残りのデータに基づいて波面を求めることを特徴とする波面測定方法(請求項1)である。
【0013】
発明者は、レンズレットの間隔を小さくしていった場合のクロストークの影響について解析を行った。図3に、クロストークの影響によるスポット位置のずれの例を示す。図3は、等間隔に並んだレンズアレイに無収差の波面が入射した場合に形成される像強度分布の例を示す図であり、横軸はスポット形成面の位置、縦軸は光の強度を示す。この例は、波長193nm、レンズレットサイズ0.24mm×0.24mm(正方形)、焦点距離54mm、スポットの幾何光学的な半径10μmについてのものである。
【0014】
この例においては、スポットA,B,Cおよびそれらの左側に対応するレンズレットには無収差の波面(光束)が一様な強度で入射しているが、スポットCの右側に対応するレンズレットには波面(光束)が入射していない。
【0015】
図3を見ると分かるように、スポットA,Bについては、幾何光学的なスポット位置に記した目盛とスポットの位置がほとんど一致しているが、スポットCでは、スポット位置に記した目盛とスポットの位置がずれている。
【0016】
これは、光束の外周部以外の内側では、クロストークが均一に起こるので、結果としてクロストークがバランスして影響が無いのと同じような結果になるのに対して、光束の外周部付近では、外部側からのクロストークが無く、内部側からのクロストークのみの影響を受けるので、クロストークのアンバランスが生じているためと考えられる。
【0017】
ここではスポットCはスポットAおよびBの方向に移動しているが、移動の方向や距離は各々のレンズレットによる像の干渉効果に依存するものであり、レンズレットへの波面の掛かり具合の微小な変化によって大きく変動する。したがって、外周部付近でのクロストークによるスポット移動量を予見するのはほぼ不可能であり、これらが波面復元時の計算において誤差要因になることは避けられない。すなわち、一部のデータに含まれる誤差が大きいと、波面復元計算におけるフィッティグの結果が大きくその影響を受けて、精度が悪化する。
【0018】
そこで、本手段においては、測定対象である光束の外周部に相当するデータを除いた、残りのデータに基づいて波面を求めるようにしている。すなわち、クロストークのアンバランスに起因する誤差を含む光束の外周部に相当するデータを、波面復元時の計算において用いないようにする。このことにより、計算精度を向上させることができ、その結果、マイクロレンズアレイを密に配置させることにより装置を大きくすることなく測定点を多くとり、波面を高精度で測定することができる。
【0019】
なお、光束外周部に相当するデータとは、クロストークのアンバランスの影響が問題となるような、光束外周近傍のデータのことである。このことは、他の手段(請求項)において同じである。
【0020】
前記課題を解決するための第2の手段は、測定対象である光束を、アレイ状に配列された複数の集光素子上に照射し、当該光束の各部分を集光素子により結像させてスポットを形成してそのスポットの位置を検出し、検出したスポット位置から前記光束の波面を測定する方式の波面測定方法であって、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータの寄与率を下げたデータに基づいて波面を求めることを特徴とする波面測定方法(請求項2)である。
【0021】
前記第1の手段では、波面外周部の実際の波面情報も完全に失われてしまう。外周部に大きな、あるいは特徴的な収差があると考えられる場合には、外周部のデータを除去するのでなく、その寄与率を下げる程度にするほうが好ましいこともある。本手段は、このような場合に有効な手段である。寄与率を下げるには、たとえばフィッティグ計算を行う場合に、各データに対して重み付けを行い、測定対象である光束の外周部に相当するデータに対しては小さな重みを与える等の方法が考えられる。
【0022】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、少なくとも前記光束の外周部が照射される前記集光素子から1つ分内側にある前記集光素子で形成されるスポットのデータを、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータとして扱うことを特徴とするもの(請求項3)である。
【0023】
光束のうちで、外周部であるとみなす範囲は、当然クロストークの影響が大きい範囲である。光束が無い部分に隣接する集光素子のスポット、波面が欠けている部分に相当する集光素子に隣接する集光素子のスポットに関しては、クロストークのアンバランスの影響が及ぶことが多い。したがって、光束の外周部が照射される前記集光素子から1つ分内側にある集光素子で形成されるスポットのデータを、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータとして扱うことが好ましい。それより内側のスポットの扱いに関しては、光学系のパラメータや必要な精度に応じて判断すべきである。
【0024】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、波面の外周部として扱う領域が、前記光束の中心から、前記光束の半径の90%以内の範囲に及ばないことを特徴とするもの(請求項4)である。
【0025】
外周部の範囲を大きめにとることは、クロストークの影響を除去する上では問題はない。しかし、波面の大きな部分を除いてフィッティング計算を行った場合、残りの部分のフィッティング誤差を小さくするために、除いた部分に不自然な誤差を挿入してしまうことがある。したがって、外周部として扱う部分が光束の半径の10%程度以上になることは好ましくない。よって、本手段においては、光束の外周部として扱う領域が、光束の中心から、前記光束の半径の90%以内の範囲に及ばないようにしている。
【0026】
前記課題を解決するための第5の手段は、被測定光を平行光束とする光学系と、アレイ状に配列された複数の集光素子と、前記集光素子により前記平行光束が分割されて集光されることにより形成されたスポットの位置を計測するスポット位置計測手段と、前記スポット位置計測手段の出力に基づいて前記被測定光の波面を演算する波面演算手段とを有する波面測定装置であって、前記波面演算手段は、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれの波面測定方法を用いて、前記被測定光の波面を演算するものであることを特徴とする波面測定装置(請求項5)である。
【0027】
本手段においては、波面演算手段が、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれの波面測定方法を用いて、前記被測定光の波面を演算するので、それぞれ、前記第1の手段から第4の手段の説明で述べた作用効果を奏することができる。
【0028】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれかの波面測定方法を用いて波面を測定し、その結果に基づいて、光学要素の調整を行うことを特徴とする結像光学系の調整方法(請求項6)である。
【0029】
本手段においては、前記第1の手段から第4の手段のうちいずれの波面測定方法を用いて、被測定光の波面を演算し、その結果に基づいて、光学要素の調整を行うようにしているので、それぞれ、前記第1の手段から第4の手段の説明で述べた作用効果を奏することができる。特に、測定装置を結像光学系の上に載せて調整を行えるので、半導体露光装置の結像光学系の調整に適している。
【0030】
前記課題を解決するための第7の手段は製造工程中に、前記第6の手段の結像光学系の調整方法を有することを特徴とする半導体露光装置の製造方法(請求項7)である。
【0031】
本手段においては、製造工程中に、前記第6の手段の結像光学系の調整方法を用いて調整を行うので、前記第6の手段の効果を奏することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。本実施の形態である波面測定方法は、測定器として図1に示すシヤック−ハルトマン方式の波面測定器を使用している。そして、従来技術の欄で説明したような方法で、各マイクロレンズ5毎の光束の結像位置の横ずれ量から、波面WFpaの傾きAXpを求め、これから、波面を測定する。すなわち、波面をZernike級数に従うものとし、その場合に、各マイクロレンズ5毎の光束の結像位置の横ずれ量がどのくらいになるかを理論計算によって求め、実際に求まった横ずれ量を基に、最小2乗法を用いることにより、Zernike級数の係数を算出すれば、波面の測定を行うことができる。
【0033】
この方法は従来の方法と同じであるが、従来の方法では、図4の(a)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5(光束の外周部が照射されるマイクロレンズ5から1つ分内側にあるマイクロレンズ5、図にAで示す)、及びその内側のマイクロレンズ5(図にB、C、Dで示す)によって集光されたスポット位置データ全部を計算に使用していたのに対し、本実施の形態では、図4の(b)に示すように、光束PBによって完全に覆われているマイクロレンズ5のうち、その最外周にあるもの(図にAで示す)によって集光されたスポット位置データを使用しないようにしている。図4においては、太枠でかこわれている部分がシミュレーションに使用されるマイクロレンズである。
【0034】
さらには、図4の(c)に示すように、さらにその一つ内側にあるマイクロレンズ5(図にBで示す)によって集光されたスポット位置データも計算に使用しないようにしてもよい。しかしながら、あまり内側の位置データまで使用しないようにすると、クロストークのアンバランスの影響による誤差よりも、その位置データを使用しないでフィッティングを行うことによる誤差の方が大きくなるので、使用しないスポットの位置データは、対応するマイクロレンズの位置が、測定される光束の中心から、その光束の半径の90%以内の範囲に及ばないようにすることが好ましい。
【0035】
なお、言うまでもないことであるが、実際の測定においては、測定される光束中に含まれるマイクロレンズ5の数はもっと多いが、図4では、図を分かりやするために、測定される光束中に含まれるマイクロレンズ5の数を少なく表示している。
【0036】
以上の実施の形態においては、それぞれ、外周部にあたるとされたスポット位置データを使用しないようにしていたが、フィッティング計算を行うに当たって、これらの位置データの重み付けを小さくするようにしてもよい。即ち、例えば、これらの位置データの内側にある位置データには、1の重みを与え、これらの位置データには0.5の重みを与えてフィッティング計算を行うようにすれば、これらの位置データの情報を全く無視しないで、しかも、クロストークのアンバランスの影響を緩和することができる。
【0037】
本実施の形態の波面測定方法を実行することができる、図1に示すような波面測定装置は、半導体露光装置の投影光学系の調整に使用される。投影レンズは、組み立て調整の過程で、本発明の実施の形態にかかる波面測定器を用いて波面測定が行われ、波面が0.02λRMS以下になるまで調整される。
【0038】
図5は、半導体露光装置の概略構成図である。露光装置は、少なくともウエハステージ18と、光を供給するための光源部11と、投影レンズ15とを含む。ここで、ウエハステージ18は感光剤を塗布したウエハwを表面18a上に置くことができる。また、ステージ制御系17はウエハステージ18の位置を制御する。
【0039】
投影レンズ15は上述のように本発明の実施の形態である波面測定器を用いて調整された高精度投影レンズである。また投影レンズ15の物体面P1及び像面P2に、それぞれレチクルr、ウエハwが配置される。さらに投影レンズ15はスキャンタイプの露光装置に応用されるアライメント光学系を有する。さらに照明光学系12は、レチクルrとウエハwとの間の相対位置を調節するためのアライメント光学系13を含む。
【0040】
レチクルrは、当該レチクルに形成されたパターンのイメージをウエハw上に投影するためのものであり、ウエハステージ18の表面18aに対して平行移動が可能であるレチクルステージ16上に配置される。そしてレチクル交換系14は、レチクルステージ16上にセットされたレチクルrを交換し運搬する。またレチクル交換系16はウエハステージ18の表面18aに対し、レチクルステージ15を平行移動させるためのステージドライバー(不図示)を含む。また、主制御部19は位置合わせから露光までの一連の処理に関する制御を行う。
【0041】
本実施の形態にかかる波面測定器は、露光装置に搭載された投影レンズ15の波面を測定することにも適用することができる。その場合、波面測定器をウエハステージ18の端部に取り付け、測定時はちょうど投影レンズ15の下方に配置されるように、ウエハステージ18を移動させる。
【0042】
【実施例】
図1に示すようなシヤック−ハルトマン方式の波面測定器を使用して、本発明の方式による波面測定方法と、従来方式による波面測定方法による測定誤差をシミュレーションにより求めた。
【0043】
実際の測定時には、理想的な波面によってできるスポット位置に対してクロストークの影響に加え、光学的および検出素子、スポット位置検出アルゴリズムなどに起因する誤差が生じる。ここでは、光学系のパラメータとしては図3のデータを採取するときに使用したものと同じものを使用した。
【0044】
すなわち、波長193nm、レンズレットサイズ0.24mm×0.24mm(正方形)、焦点距離54mm、スポットの幾何光学的な半径10μmである。測定する波面(光束)の直径は、レンズレット44個分、すなわち、10.56mmとした。
【0045】
入射する波面はZernike級数に従うものとし、fringe Zernike係数は
z7=0.05
z9=0.05
z25=0.05
で与えられるものとした(他の係数は0とした)。収差(単位はmλ)は、全部で33mλとした。様々な原因による位置検出誤差のrms値を0.5μmとし、瞳外周部に関しては隣接するレンズレットが波面に含まれる割合が50%以下であるようなレンズレットによるスポットに1.2μmのクロストークを与えた。すなわち、隣接するレンズレットが波面に含まれる割合が50%以下であるようなレンズレットによるスポットは、内側レンズレットのクロストークの影響が大きく、外側のレンズレットのクロストークの影響が小さいので、1.2μmだけ内側にシフトするものと考えた。
【0046】
このようにして得られた検出スポット位置の分布をZernike級数(ここではz2〜z36を使用)を微分したものでfittingすることにより、波面の復元ができるが、この際、
基準1. 全体が波面に含まれる(光束で照射される)レンズレットによるスポットを全て使用する。
基準2. 波面の半径95%以内に全体が含まれるレンズレットによるスポットを使用する。
基準3. 波面の半径90%以内に全体が含まれるレンズレットによるスポットを使用する。
基準4. 全体が波面に含まれるレンズレットによるスポットを全て使用するが、波面の半径90%以内に全体が含まれるレンズレット以外のレンズレットによるスポットの寄与率は1/2とする。
という4種類の基準でフィッティング計算を行った。
【0047】
レンズレットの辺の長さをaとすると、測定する波面の直径は、前述のようにレンズレット44個分であるので、半径の5%は1.1aである。スポット位置はレンズレットの端から0.5a〜0.7a程度内側であるので、基準2の場合は波面の端から1.6a〜1.8a程度以上内側にあるスポットを使用することに相当する。同様、基準2の場合は波面の端から3.2a〜3.6a程度以上内側にあるスポットを使用することに相当する。フィッティング計算時に使用するスポットの数は、それぞれの場合について、1440、 1288、1158となる。
【0048】
このようにしてフィッティングの結果得られた波面形状と、入力した波面形状の差をとり、そのrms値を検出誤差とした。ただし、レンズ全体のシフトにより調整可能なz2〜z4については、各フィッティング結果にもかかわらず、その係数値を0として、差の計算から除外している。
【0049】
それぞれの基準での結果および、参考としてクロストークの影響がない場合のデータを通常の方法(基準1)でフィッティングした結果の測定誤差を調べた。ここでは、元波面と検出した波面の差を取り、レンズ全体のシフトにより調整可能なz2〜z4を除いたz5〜z36により決定される関数のシミュレーション値と基準値の差のrms値を検出誤差として示している。
【0050】
その結果を表1に示す。表1には、クロストークが全くないものとして、基準1でシミュレーションを行った結果の誤差をCT無として参考のために示している。この結果をみると、全体を使用した基準1の結果よりも、外周部のデータの一部を省略した基準2の結果のほうが誤差が小さくなっている。クロストーク無しの場合の誤差と比較すると、クロストークの影響のかなりの部分が排除できていることが分かり、外周部のデータを除く方法が有効であることがわかる。なお、基準3の場合は波面外周部の情報の欠落によって検出性能が大幅に悪化していて、除去する範囲の選択が重要であることを示唆している。
【0051】
一方、基準4では、外周部分の情報を完全に欠落させるのではなく、適切に寄与率を下げてシミュレーションに使用しているが、基準1よりも誤差は小さくなっている。誤差の大きな外周部の情報を捨てることによる不具合は、寄与率を下げて使用することにより、ある程度避けられることがこのデータにより示されている。
(表1)
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置を大型化することなく、クロストークの影響を抑え、正確な波面の測定を可能にする波面測定方法、及び波面測定装置、並びにこの波面測定方法を使用した結像光学系の調整方法、及び結像光学系の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Shack−Hartmann(シヤック−ハルトマン)方式の波面測定器の概略構成を示す図である。
【図2】Shack−Hartmann(シヤック−ハルトマン)方式の波面測定器による波面測定方法の原理を示す図である。
【図3】等間隔に並んだレンズアレイに無収差の波面が入射した場合に形成される像強度分布の例を示す図である。
【図4】波面のフィッティング計算に使用するマイクロレンズを示す図である。
【図5】半導体露光装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…波面測定器、2…投影光学系、3…第1面、4…リレーレンズ、5…マイクロレンズ、6…マイクロレンズアレイ、7…撮像素子(CCD)、11…光源部、12…照明光学系、13…アライメント光学系、14…レチクル交換系、15…投影レンズ、16…レチクルステージ、17…ステージ制御系、18…ウエハステージ、18a…ウエハステージの表面、19…主制御部
Claims (7)
- 測定対象である光束を、アレイ状に配列された複数の集光素子上に照射し、当該光束の各部分を集光素子により結像させてスポットを形成してそのスポットの位置を検出し、検出したスポット位置から前記光束の波面を測定する方式の波面測定方法であって、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータを除いた、残りのデータに基づいて波面を求めることを特徴とする波面測定方法。
- 測定対象である光束を、アレイ状に配列された複数の集光素子上に照射し、当該光束の各部分を集光素子により結像させてスポットを形成してそのスポットの位置を検出し、検出したスポット位置から前記光束の波面を測定する方式の波面測定方法であって、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータの寄与率を下げたデータに基づいて波面を求めることを特徴とする波面測定方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の波面測定方法であって、少なくとも前記光束の外周部が照射される前記集光素子から1つ分内側にある前記集光素子で形成されるスポットのデータを、前記測定対象である光束の外周部に相当するデータとして扱うことを特徴とする波面測定方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の波面測定方法であって、波面の外周部として扱う領域が、前記光束の中心から、前記光束の半径の90%以内の範囲に及ばないことを特徴とする波面測定方法。
- 被測定光を平行光束とする光学系と、アレイ状に配列された複数の集光素子と、前記集光素子により前記平行光束が分割されて集光されることにより形成されたスポットの位置を計測するスポット位置計測手段と、前記スポット位置計測手段の出力に基づいて前記被測定光の波面を演算する波面演算手段とを有する波面測定装置であって、前記波面演算手段は、請求項1から請求項4のうちいずれか1項の波面測定方法を用いて、前記被測定光の波面を演算するものであることを特徴とする波面測定装置。
- 請求項1から請求項4のうちいずれか1項の波面測定方法を用いて波面を測定し、その結果に基づいて、光学要素の調整を行うことを特徴とする結像光学系の調整方法。
- 製造工程中に、請求項6に記載の結像光学系の調整方法を有することを特徴とする半導体露光装置の製造方法。
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