JP2004317286A - プレス成形品の残留応力計測装置及びそのオフラインティーチング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼板製のプレス成形品の表面の部位により相対的に変化する残留応力の面状の分布を計測する残留応力計測装置を提供する。
【解決手段】高周波信号が供給される励磁コイルと検出コイルとが磁心に巻回され、この磁心がプレス成形品に当接した状態で、検出コイルに誘起される誘起電圧を検知信号とする残留応力センサ20と、アーム先端部に取付られた残留応力センサ20がプレス成形品であるドアパネル5に所定ピッチの走査位置ごとに面直に当接するように、ドアパネル5に対して残留応力センサ20の三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行うロボット10と、各走査位置での検知信号レベルを判断してドアパネル5に対する残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段25と、ドアパネル5の外形に分布データを重ねて残留応力の分布状態を視認可能にするグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段26とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】高周波信号が供給される励磁コイルと検出コイルとが磁心に巻回され、この磁心がプレス成形品に当接した状態で、検出コイルに誘起される誘起電圧を検知信号とする残留応力センサ20と、アーム先端部に取付られた残留応力センサ20がプレス成形品であるドアパネル5に所定ピッチの走査位置ごとに面直に当接するように、ドアパネル5に対して残留応力センサ20の三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行うロボット10と、各走査位置での検知信号レベルを判断してドアパネル5に対する残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段25と、ドアパネル5の外形に分布データを重ねて残留応力の分布状態を視認可能にするグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段26とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板製プレス成形品に対する残留応力の面状の分布を計測するプレス成形品の残留応力計測装置及びそのオフラインティーチング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有限要素法の解析に依ることなく、直接残留応力分布を定量的に計測する方法として、プレス成形する鋼板に対してマトリックス状に多数の円模様を印刷しておき、プレス成形後の個々の円の変形量の縦横比を算出することにより残留応力の分布状態を確認することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法は、分布データを作成するのに時間がかかり、また実際の残留応力値との対応関係が大まかに把握されるだけである。一方、文献1により、磁芯に巻回された励磁コイルと、鋼板製のプレス成形品を透磁する磁束の誘導による電圧信号を出力する検出コイルとを備え、残留応力が増加すると透磁率の変化で電圧信号が増大する原理により、励磁高周波信号の周波数を可変して、深さに応じた残留応力分布を測定する装置が開示されている。即ち、所定の高周波信号の印加により鋼材に生じる渦電流に起因する電圧を検出コイルに誘起させることより、残留応力の増大に対応して検知信号レベルが大きくなる残留応力センサ自体は周知となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−203503号公報
【0005】
本発明は、このような残留応力センサの存在を前提に、鋼板製のプレス成形品の表面の部位により相対的に変化する残留応力の面状の分布を計測する残留応力計測装置及びそのロボットに対するオフラインティーチング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、鋼板製プレス成形品の残留応力の分布を計測するプレス成形品の残留応力計測装置であって、高周波信号が供給される励磁コイルと検出コイルとが磁心に巻回され、この磁心がプレス成形品に当接した状態で、検出コイルに誘起される誘起電圧を検知信号とする残留応力センサと、アーム先端部に取付られた残留応力センサがプレス成形品に所定ピッチの走査位置ごとに面直に当接するように、プレス成形品に対して残留応力センサの三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行うロボットと、各走査位置での残留応力センサの検知信号レベルを判断してプレス成形品に対する残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段と、プレス成形品の外形に分布データを重ねて残留応力の分布状態を視認可能にするグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
プレス成形品に磁心が当接した状態で、その鋼板内に透磁し得る磁束を発生させる周波数の高周波信号が励磁コイルに供給されることにより、残留応力の増大に伴って透磁性が大きくなってレベルの大きくなる誘起電圧が検出コイルに誘起される。したがって、ロボットの計測走査により、その各走査位置の検知信号レベルに対応したプレス成形品の残留応力の分布データが作成される。この分布データが、プレス成形品のグラフィック表示された外形に、色分け、等高線等でグラフィック表示されて重ねられて、画面ディスプレイもしくはプリントアウトされることにより、残留応力の相対的な大きさの分布画像が視認可能になる。
【0008】
このようなプレス成形品の残留応力計測装置において、そのロボットに計測走査を行わせるようにティーチングするための残留応力計測装置のオフラインティーチング方法としては、請求項2により、金型もしくはプレス成型品に対して面直に焦点距離に対応してオフセットするように、光学式形状センサの三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行わせる非接触式三次元形状計測器のティーチングデータを基に、少なくとも焦点距離を残留応力センサの寸法に対応して補正してティーチングデータを作成するか、或は請求項3により、プレス成形品用金型の表面仕上げを行う切削工具の加工走査位置を規定するNC加工データを基に、計測用の走査位置に対応する加工走査位置について、金型もしくはプレス成型品の形状を規定するCADデータから面直方向を解析してティーチングデータを作成する。即ち、前者のオフラインティーチング方法では制御データの三次元位置データの補正、後者では制御データの姿勢データの補足を基本的に行うことにより、ティーチングデータが作成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4を基に本発明の実施の形態による残留応力計測装置を説明する。この残留応力計測装置は、図1に示すように、基部11に立設された関節アーム12の先端部のユニバーサルジョイント式の関節13に、残留応力センサ20を弾性体20aを介して取付け、その三次元位置及び姿勢を制御するロボット10に、後述の回路装置及びパソコン29を付属させて構成されている。残留応力センサ20は、図2に示すように、励磁コイル21及び検出コイル22が巻回された磁心をケース20bに収納して形成されている。ロボット10の制御部19には、自動車の鋼板製の例えばドアパネル5をプレス成形品として、その表面に対して残留応力センサ20を面直に当接させるように、その三次元の走査位置及び姿勢を設定する計測走査用プログラムがオフラインティーチングされている。
【0010】
このティーチングデータは次のように作成される。先ず、図3Aに示すように、ドアパネル5をプレス成形する金型1の表面形状を三次元NC加工機で仕上げ加工する場合、そのNCデータは、切削工具2が左右方向の線状移動を僅かなピッチを置いて図の奥行方向へシフトしつつ繰返し、かつ昇降位置も設定されて加工走査を行うように、金型1又はドアパネル5の形状を規定するCADデータを基に作成される。即ち、逐次出力される切削加工用NCデータは、金型1の形状に対応して所定の範囲で切削工具2を直線状に移動させ、その終端で交差方向へ僅かにシフトさせつつ直線状の移動を繰返すように設定されている。
【0011】
このような切削加工用NCデータを利用して、残留応力センサ20を計測走査させるオフラインティーチングデータは、計測ピッチごとのNCデータのポイントデータにつき、CADデータを基に所属の表面形状の法線ベクトルを算出し、次いで解析したこの面直方向データと共に、このポイントデータの座標値に対する残留応力センサ20の縦長寸法に対応した補正により、ロボットアームの三次元位置データを規定して作成される。即ち、図3Aに示すように、黒点でピッチを示す切削工具2のポイントデータは平坦面では互いの間隔が大きく、かつ曲面領域では曲率が小さい程間隔が小さくなっているが、図3Bに示すように、残留応力センサ20の大きさを勘案した計測ピッチ、つまり各走査位置に対応してポイントデータを高密度の曲面領域では省略し、平坦領域では補完して所定の略均一なピッチでドアパネル5の全域にわたり残留応力センサ20の三次元位置及び姿勢を制御するオフラインティーチングデータを作成する。
【0012】
残留応力センサ20には、回路装置として、励磁コイル21に高周波信号を供給する発振回路23と、検出コイル22から出力された高周波の誘起電圧である検知信号を直流電圧信号として検波し、さらにA/D変換により残留応力に相当するレベルのディジタルの検知信号を出力する検出回路24とが付属している。発振回路23の周波数は、ドアパネル5の略一定厚みの鋼板内に磁束が侵入し得るように、材質、板厚等に応じて設定される。
【0013】
パソコン29は、検出回路24から入力する検知信号を所定のプログラムで処理することにより、各走査位置での検知信号レベルを例えば5段階のいずれに属するかを判断して作成された残留応力レベルデータをメモリの走査位置に対応するアドレスに逐次格納して残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段25、プレス成形品の外形に分布データを重ねたグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段26等を構成する。
【0014】
即ち、分布データ作成手段25は、オフラインティーチングデータで規定されるロボット10の走査位置に対応するアドレスに格納された残留応力レベルデータを基に、プレス成形品であるドアパネル5の表面全域の各部位に対する残留応力の面状の分布データを作成する。グラフィックデータ作成手段26は、外形がグラフィック表示された例えばドアパネル5に残留応力レベルの分布を色分けでグラフィック表示して重ねた画像により、残留応力の分布状態を視認可能にする。さらに、パソコン29には、分布画像を画面表示する表示装置27及びプリントアウトするプリンタ28が付属する。
【0015】
このように構成された残留応力計測装置の動作は次の通りである。ロボット10により、残留応力センサ20はドアパネル5の表面を面直に接触するように、三次元の走査位置及び姿勢を制御されつつ切削工具2の加工走査ラインに沿って計測走査が行われる。その際、所定のピッチづつ残留応力センサ20がシフトするごとに検出コイル22に誘起された誘起電圧が、検出回路24から残留応力に対応する検知信号として出力され、分布データ作成手段25によりランク付けされたレベルデータが所属のアドレスに逐次格納されて残留応力の応力分布データが作成される。これにより、グラフィックデータ作成手段26で作成されたグラフィックデータにより、図4に示すように、ドアパネル5の外形の三次元表示画像に、その表面にわたり残留応力の大きさに応じて5段階に区分した領域を色分けして重ねた応力分布画像が、表示装置27に画面表示されると共に、プリンタ28にもプリントアウト可能となる。
【0016】
同図Aでは、順に残留応力が大きくなる色分け領域を●□△×○の記号で図示してある。この図示の状態は、表面中央部が最も残留応力が小さく、周辺に向けて大きくなる標準的な状態を示す。周面部及びフランジ部は概略的に示しているが、同図Bに部分的に詳細に示す。反対側の領域は応力分布画像を図示の状態から回転させて確認する。このような状態に対して、×○等で指示される残留応力の相対的に大きな領域が偏ったり、或は局部的に集中する等により、プレス成型されるドアパネル5の形状を勘案して想定される分布状態から計測した応力分布画像がずれている場合、その確認内容を前工程へフィードバックする。例えば、金型1を製作するCADデータの修正用にフィードバックすることにより、金型1の高精度の修正加工が容易に可能となり、金型試作の回数が低減される。
【0017】
尚、グラフィックデータ作成手段26は、前述の色分けに代えて、各レベルの領域を前述の記号自体で表示したり、或はラインで等高線状に画像表示することも考えられる。さらに、このような応力分布データは、プレス過程での拘束点等を入力条件として有限要素法により応力分布を解析する際に、その解析結果を評価するための評価データとしてフィードバックすることもできる。
【0018】
オフラインティーチングデータは、図3Cに示すように、プレス成型品に対して面直に焦点距離に対応してオフセットするように、光学式形状センサ7の三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行わせる非接触式三次元形状計測器のティーチングデータから作成することもできる。この場合、離間距離を残留応力センサ20の縦長寸法に応じて補正するだけの流用も場合により可能であるが、必要により走査ピッチも補正する。また、ドアパネル5用の金型に対する非接触式の三次元形状計測器のロボットのティーチングデータを基に、同様に残留応力センサ20の寸法に応じた補正或はピッチを補正して作成することもできる。さらに、他のティーチングデータを利用することなく、金型の表面形状又はプレス成型品の形状を規定するCADデータから想定した各走査位置について面直方向を解析すると共に、その方向の三次元位置を規定して作成することもできる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、残留応力センサで自動検知した成形品の表面にわたる残留応力の相対的な大きさを指示する分布をその外形に重ねて画像表示することにより、残留応力分布が形状との関係で高精度に解析され、したがって金型試作の回数が低減され、その仕上げ加工に要する工数が節減される。また、残留応力分布の解析も容易になると共に、解析結果の確認も容易になる。さらに、解析結果をCAEへ反映させることにより、次期設計時のCAEのレベルアップを図るデータが、高精度、かつ容易に得られることにもなる。請求項2又は請求項3の発明によれば、残留応力計測装置のロボットのオフラインティーチングが、他の関連したティーチングデータを利用して容易に作成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による残留応力計測装置の構成を説明する図である。
【図2】同残留応力計測装置の残留応力センサの内部の正面図である。
【図3】同残留応力計測装置のオフラインティーチング方法を説明する図である。
【図4】同残留応力計測装置で作成された応力分布画像を説明する斜視図である。
【符号の説明】
5 ドアパネル
10 ロボット
20 残留応力センサ
21 励磁コイル
22 検出コイル
23 発振回路
24 検出回路
25 分布データ作成手段
26 グラフィックデータ作成手段
27 表示装置
28 プリンタ
29 パソコン
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板製プレス成形品に対する残留応力の面状の分布を計測するプレス成形品の残留応力計測装置及びそのオフラインティーチング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有限要素法の解析に依ることなく、直接残留応力分布を定量的に計測する方法として、プレス成形する鋼板に対してマトリックス状に多数の円模様を印刷しておき、プレス成形後の個々の円の変形量の縦横比を算出することにより残留応力の分布状態を確認することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法は、分布データを作成するのに時間がかかり、また実際の残留応力値との対応関係が大まかに把握されるだけである。一方、文献1により、磁芯に巻回された励磁コイルと、鋼板製のプレス成形品を透磁する磁束の誘導による電圧信号を出力する検出コイルとを備え、残留応力が増加すると透磁率の変化で電圧信号が増大する原理により、励磁高周波信号の周波数を可変して、深さに応じた残留応力分布を測定する装置が開示されている。即ち、所定の高周波信号の印加により鋼材に生じる渦電流に起因する電圧を検出コイルに誘起させることより、残留応力の増大に対応して検知信号レベルが大きくなる残留応力センサ自体は周知となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−203503号公報
【0005】
本発明は、このような残留応力センサの存在を前提に、鋼板製のプレス成形品の表面の部位により相対的に変化する残留応力の面状の分布を計測する残留応力計測装置及びそのロボットに対するオフラインティーチング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、鋼板製プレス成形品の残留応力の分布を計測するプレス成形品の残留応力計測装置であって、高周波信号が供給される励磁コイルと検出コイルとが磁心に巻回され、この磁心がプレス成形品に当接した状態で、検出コイルに誘起される誘起電圧を検知信号とする残留応力センサと、アーム先端部に取付られた残留応力センサがプレス成形品に所定ピッチの走査位置ごとに面直に当接するように、プレス成形品に対して残留応力センサの三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行うロボットと、各走査位置での残留応力センサの検知信号レベルを判断してプレス成形品に対する残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段と、プレス成形品の外形に分布データを重ねて残留応力の分布状態を視認可能にするグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
プレス成形品に磁心が当接した状態で、その鋼板内に透磁し得る磁束を発生させる周波数の高周波信号が励磁コイルに供給されることにより、残留応力の増大に伴って透磁性が大きくなってレベルの大きくなる誘起電圧が検出コイルに誘起される。したがって、ロボットの計測走査により、その各走査位置の検知信号レベルに対応したプレス成形品の残留応力の分布データが作成される。この分布データが、プレス成形品のグラフィック表示された外形に、色分け、等高線等でグラフィック表示されて重ねられて、画面ディスプレイもしくはプリントアウトされることにより、残留応力の相対的な大きさの分布画像が視認可能になる。
【0008】
このようなプレス成形品の残留応力計測装置において、そのロボットに計測走査を行わせるようにティーチングするための残留応力計測装置のオフラインティーチング方法としては、請求項2により、金型もしくはプレス成型品に対して面直に焦点距離に対応してオフセットするように、光学式形状センサの三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行わせる非接触式三次元形状計測器のティーチングデータを基に、少なくとも焦点距離を残留応力センサの寸法に対応して補正してティーチングデータを作成するか、或は請求項3により、プレス成形品用金型の表面仕上げを行う切削工具の加工走査位置を規定するNC加工データを基に、計測用の走査位置に対応する加工走査位置について、金型もしくはプレス成型品の形状を規定するCADデータから面直方向を解析してティーチングデータを作成する。即ち、前者のオフラインティーチング方法では制御データの三次元位置データの補正、後者では制御データの姿勢データの補足を基本的に行うことにより、ティーチングデータが作成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4を基に本発明の実施の形態による残留応力計測装置を説明する。この残留応力計測装置は、図1に示すように、基部11に立設された関節アーム12の先端部のユニバーサルジョイント式の関節13に、残留応力センサ20を弾性体20aを介して取付け、その三次元位置及び姿勢を制御するロボット10に、後述の回路装置及びパソコン29を付属させて構成されている。残留応力センサ20は、図2に示すように、励磁コイル21及び検出コイル22が巻回された磁心をケース20bに収納して形成されている。ロボット10の制御部19には、自動車の鋼板製の例えばドアパネル5をプレス成形品として、その表面に対して残留応力センサ20を面直に当接させるように、その三次元の走査位置及び姿勢を設定する計測走査用プログラムがオフラインティーチングされている。
【0010】
このティーチングデータは次のように作成される。先ず、図3Aに示すように、ドアパネル5をプレス成形する金型1の表面形状を三次元NC加工機で仕上げ加工する場合、そのNCデータは、切削工具2が左右方向の線状移動を僅かなピッチを置いて図の奥行方向へシフトしつつ繰返し、かつ昇降位置も設定されて加工走査を行うように、金型1又はドアパネル5の形状を規定するCADデータを基に作成される。即ち、逐次出力される切削加工用NCデータは、金型1の形状に対応して所定の範囲で切削工具2を直線状に移動させ、その終端で交差方向へ僅かにシフトさせつつ直線状の移動を繰返すように設定されている。
【0011】
このような切削加工用NCデータを利用して、残留応力センサ20を計測走査させるオフラインティーチングデータは、計測ピッチごとのNCデータのポイントデータにつき、CADデータを基に所属の表面形状の法線ベクトルを算出し、次いで解析したこの面直方向データと共に、このポイントデータの座標値に対する残留応力センサ20の縦長寸法に対応した補正により、ロボットアームの三次元位置データを規定して作成される。即ち、図3Aに示すように、黒点でピッチを示す切削工具2のポイントデータは平坦面では互いの間隔が大きく、かつ曲面領域では曲率が小さい程間隔が小さくなっているが、図3Bに示すように、残留応力センサ20の大きさを勘案した計測ピッチ、つまり各走査位置に対応してポイントデータを高密度の曲面領域では省略し、平坦領域では補完して所定の略均一なピッチでドアパネル5の全域にわたり残留応力センサ20の三次元位置及び姿勢を制御するオフラインティーチングデータを作成する。
【0012】
残留応力センサ20には、回路装置として、励磁コイル21に高周波信号を供給する発振回路23と、検出コイル22から出力された高周波の誘起電圧である検知信号を直流電圧信号として検波し、さらにA/D変換により残留応力に相当するレベルのディジタルの検知信号を出力する検出回路24とが付属している。発振回路23の周波数は、ドアパネル5の略一定厚みの鋼板内に磁束が侵入し得るように、材質、板厚等に応じて設定される。
【0013】
パソコン29は、検出回路24から入力する検知信号を所定のプログラムで処理することにより、各走査位置での検知信号レベルを例えば5段階のいずれに属するかを判断して作成された残留応力レベルデータをメモリの走査位置に対応するアドレスに逐次格納して残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段25、プレス成形品の外形に分布データを重ねたグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段26等を構成する。
【0014】
即ち、分布データ作成手段25は、オフラインティーチングデータで規定されるロボット10の走査位置に対応するアドレスに格納された残留応力レベルデータを基に、プレス成形品であるドアパネル5の表面全域の各部位に対する残留応力の面状の分布データを作成する。グラフィックデータ作成手段26は、外形がグラフィック表示された例えばドアパネル5に残留応力レベルの分布を色分けでグラフィック表示して重ねた画像により、残留応力の分布状態を視認可能にする。さらに、パソコン29には、分布画像を画面表示する表示装置27及びプリントアウトするプリンタ28が付属する。
【0015】
このように構成された残留応力計測装置の動作は次の通りである。ロボット10により、残留応力センサ20はドアパネル5の表面を面直に接触するように、三次元の走査位置及び姿勢を制御されつつ切削工具2の加工走査ラインに沿って計測走査が行われる。その際、所定のピッチづつ残留応力センサ20がシフトするごとに検出コイル22に誘起された誘起電圧が、検出回路24から残留応力に対応する検知信号として出力され、分布データ作成手段25によりランク付けされたレベルデータが所属のアドレスに逐次格納されて残留応力の応力分布データが作成される。これにより、グラフィックデータ作成手段26で作成されたグラフィックデータにより、図4に示すように、ドアパネル5の外形の三次元表示画像に、その表面にわたり残留応力の大きさに応じて5段階に区分した領域を色分けして重ねた応力分布画像が、表示装置27に画面表示されると共に、プリンタ28にもプリントアウト可能となる。
【0016】
同図Aでは、順に残留応力が大きくなる色分け領域を●□△×○の記号で図示してある。この図示の状態は、表面中央部が最も残留応力が小さく、周辺に向けて大きくなる標準的な状態を示す。周面部及びフランジ部は概略的に示しているが、同図Bに部分的に詳細に示す。反対側の領域は応力分布画像を図示の状態から回転させて確認する。このような状態に対して、×○等で指示される残留応力の相対的に大きな領域が偏ったり、或は局部的に集中する等により、プレス成型されるドアパネル5の形状を勘案して想定される分布状態から計測した応力分布画像がずれている場合、その確認内容を前工程へフィードバックする。例えば、金型1を製作するCADデータの修正用にフィードバックすることにより、金型1の高精度の修正加工が容易に可能となり、金型試作の回数が低減される。
【0017】
尚、グラフィックデータ作成手段26は、前述の色分けに代えて、各レベルの領域を前述の記号自体で表示したり、或はラインで等高線状に画像表示することも考えられる。さらに、このような応力分布データは、プレス過程での拘束点等を入力条件として有限要素法により応力分布を解析する際に、その解析結果を評価するための評価データとしてフィードバックすることもできる。
【0018】
オフラインティーチングデータは、図3Cに示すように、プレス成型品に対して面直に焦点距離に対応してオフセットするように、光学式形状センサ7の三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行わせる非接触式三次元形状計測器のティーチングデータから作成することもできる。この場合、離間距離を残留応力センサ20の縦長寸法に応じて補正するだけの流用も場合により可能であるが、必要により走査ピッチも補正する。また、ドアパネル5用の金型に対する非接触式の三次元形状計測器のロボットのティーチングデータを基に、同様に残留応力センサ20の寸法に応じた補正或はピッチを補正して作成することもできる。さらに、他のティーチングデータを利用することなく、金型の表面形状又はプレス成型品の形状を規定するCADデータから想定した各走査位置について面直方向を解析すると共に、その方向の三次元位置を規定して作成することもできる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、残留応力センサで自動検知した成形品の表面にわたる残留応力の相対的な大きさを指示する分布をその外形に重ねて画像表示することにより、残留応力分布が形状との関係で高精度に解析され、したがって金型試作の回数が低減され、その仕上げ加工に要する工数が節減される。また、残留応力分布の解析も容易になると共に、解析結果の確認も容易になる。さらに、解析結果をCAEへ反映させることにより、次期設計時のCAEのレベルアップを図るデータが、高精度、かつ容易に得られることにもなる。請求項2又は請求項3の発明によれば、残留応力計測装置のロボットのオフラインティーチングが、他の関連したティーチングデータを利用して容易に作成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による残留応力計測装置の構成を説明する図である。
【図2】同残留応力計測装置の残留応力センサの内部の正面図である。
【図3】同残留応力計測装置のオフラインティーチング方法を説明する図である。
【図4】同残留応力計測装置で作成された応力分布画像を説明する斜視図である。
【符号の説明】
5 ドアパネル
10 ロボット
20 残留応力センサ
21 励磁コイル
22 検出コイル
23 発振回路
24 検出回路
25 分布データ作成手段
26 グラフィックデータ作成手段
27 表示装置
28 プリンタ
29 パソコン
Claims (3)
- 鋼板製のプレス成形品の残留応力の分布を計測するプレス成形品の残留応力計測装置であって、
高周波信号が供給される励磁コイルと検出コイルとが磁心に巻回され、この磁心が前記プレス成形品に当接した状態で、前記検出コイルに誘起される誘起電圧を検知信号とする残留応力センサと、アーム先端部に取付られた前記残留応力センサが前記プレス成形品に所定ピッチの走査位置ごとに面直に当接するように、前記プレス成形品に対して前記残留応力センサの三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行うロボットと、各前記走査位置での前記残留応力センサの検知信号レベルを判断して前記プレス成形品に対する残留応力の分布データを作成する分布データ作成手段と、前記プレス成形品の外形に分布データを重ねて残留応力の分布状態を視認可能にするグラフィックデータを作成するグラフィックデータ作成手段とを備えたことを特徴とするプレス成形品の残留応力計測装置。 - 請求項1によるプレス成形品の残留応力計測装置において、そのロボットに計測走査を行わせるようにティーチングするための前記残留応力計測装置のオフラインティーチング方法であって、
金型もしくはプレス成型品に対して面直に焦点距離に対応してオフセットするように、光学式形状センサの三次元位置及び姿勢を制御しつつ計測走査を行わせる非接触式三次元形状計測器のティーチングデータを基に、少なくとも前記焦点距離を残留応力センサの寸法に対応して補正してティーチングデータを作成することを特徴とする残留応力計測装置のオフラインティーチング方法。 - 請求項1によるプレス成形品の残留応力計測装置において、そのロボットに計測走査を行わせるようにティーチングするための前記残留応力計測装置のオフラインティーチング方法であって、
プレス成形品用金型の表面仕上げを行う切削工具の加工走査位置を規定するNC加工データを基に、計測用の走査位置に対応する前記加工走査位置について、金型もしくはプレス成型品の形状を規定するCADデータから面直方向を解析してティーチングデータを作成することを特徴とする残留応力計測装置のオフラインティーチング方法。
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