JP2004317133A - 座標測定方法 - Google Patents
座標測定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004317133A JP2004317133A JP2003107237A JP2003107237A JP2004317133A JP 2004317133 A JP2004317133 A JP 2004317133A JP 2003107237 A JP2003107237 A JP 2003107237A JP 2003107237 A JP2003107237 A JP 2003107237A JP 2004317133 A JP2004317133 A JP 2004317133A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- measurement
- ball
- positions
- coordinates
- ball groove
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
Abstract
【課題】等速ジョイントのインナレースまたはアウタレースのボール溝などの複雑な形状を有する部品の測定精度を向上する。
【解決手段】等速ジョイントのインナレース10のボール溝14に、プローブ18の当接ボール22を当接させる。インナレース10とプローブ18を相対移動させて、ボール溝の底である接触線16を当接ボール22でなぞることにより、ボール溝の形状データを取得する。精度管理用の複数の測定指定位置Pを、仮の球心Oを基準に決定する。前記形状データより個々の測定指定位置Pごとにその周囲の複数点の測定データを取得し、これからボール溝の形状を算出し、この形状に基づき球心を算出する。この球心を基準として、精度管理用の測定指定位置を再度求め、取得済みの形状データから、再度求めた指定位置のデータを求める。これに基づきボール溝のピッチ半径を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】等速ジョイントのインナレース10のボール溝14に、プローブ18の当接ボール22を当接させる。インナレース10とプローブ18を相対移動させて、ボール溝の底である接触線16を当接ボール22でなぞることにより、ボール溝の形状データを取得する。精度管理用の複数の測定指定位置Pを、仮の球心Oを基準に決定する。前記形状データより個々の測定指定位置Pごとにその周囲の複数点の測定データを取得し、これからボール溝の形状を算出し、この形状に基づき球心を算出する。この球心を基準として、精度管理用の測定指定位置を再度求め、取得済みの形状データから、再度求めた指定位置のデータを求める。これに基づきボール溝のピッチ半径を算出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製作されたワークの寸法またはその精度を測定する測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
等速ジョイントのインナレースおよびアウタレースに設けられるボール溝は、所定の軸周りに軸対称に3個またはそれ以上配置されており、個々のボール溝の底は、前記の軸を含む平面内であって、各ボール溝に共通の球面(以下、溝外接球面と記す)上に位置している。これらのボール溝の加工精度を検査する場合、個々のボール溝が形成する円弧が所定の半径となっているか、すなわち前記の溝外接球面の半径となっているかが検査項目のひとつとなる。実際には、当該等速ジョイントの転動体であるボールと同径の球状先端を有するプローブをボール溝に当接させ、その球状先端の中心の座標を求め、この中心と溝外接球面の中心との距離を、管理の項目のひとつとしている。この距離を、以下、ピッチ半径と記す。
【0003】
ピッチ半径の測定は、従来、以下のように行われていた。まず、溝外接球面の中心(以下、溝外接球心と記す)を、部品の外形形状から仮に定め、この溝外接球心から軸方向に所定距離離れた平面内で前記プローブの先端を当接させ、プローブの先端の球の中心の座標を計測する。さらに、溝外接球心からの距離を変えた別の平面内でプローブ先端をボール溝に当接して、このときのプローブ先端の球の中心の座標を計測して、3個以上の計測点の座標を得る。これらの計測点を含む球面、およびこの球面の中心を算出する。この球面の中心を、改めて溝外接球心とし、これを基準として再度上記の測定を行う。これを数度繰り返して、球面中心を求め、この球面中心より所定距離離れた平面内でのボール溝底の座標からピッチ半径を求めている。
【0004】
なお、下記特許文献1に、等速ジョイントのインナレースのピッチ半径の測定に関する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実開平2−81410号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように等速ジョイントのインナレース、アウタレースのボール溝の精度を測る場合において、測定との基準となるべき溝配置球面の中心の位置が測定の当初において不明であるため、溝配置球面の半径の測定精度も十分に高いものとなっていない。測定精度を高めるために、前述のように繰り返して測定を行っているが、この場合は、測定に多くの時間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、等速ジョイントのインナレースやアウタレースの寸法精度を、高い精度で測定する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、等速ジョイントのインナレースまたはアウタレースのボール溝のピッチ半径を測定する方法を提供する。この測定方法は、インナレースまたはアウタレースの寸法基準となる基準点を仮定し、この仮の基準点に基づき前記ピッチ半径を測定するための、少なくとも3点の測定指定位置を推定するステップと、前記推定した測定指定位置のそれぞれの周囲の複数の位置の座標を計測するステップと、前記取得された複数の位置の座標から、それぞれの前記測定指定位置ごとに、その付近のボール溝形状に対応する形状データを求めるステップと、前記求められた形状データに基づき、前記測定指定位置の座標を求めるステップと、前記少なくとも3点の測定指定位置の座標から前記基準点の座標を修正し、この修正された基準点に基づき少なくとも3点の前記測定指定位置を再設定するステップと、前記再設定された測定指定位置のそれぞれの周囲の複数位置の座標を再取得するステップと、前記再取得された複数位置の座標から、それぞれの前記再設定された測定指定点付近のボール溝の形状に対応した形状データを再度求めるステップと、前記再度求められた形状データより、前記測定指定位置の座標を算出し、これに基づきピッチ半径を算出するステップと、を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。この実施の形態は、等速ジョイントのインナレースのボール溝のピッチ半径の測定に関するものであるが、他の物品に適用することも可能である。例えば、等速ジョイントのアウタレースに同様に設けられたボール溝に対しても適用することができる。
【0010】
図1は、等速ジョイントのインナレースのボール溝のピッチ半径測定に関する説明図である。等速ジョイントのインナレース10は、軸線12を対称軸とする3個のボール溝14を有している。これらのボール溝14は、軸線12を含む平面内に配置され、その底であるボール溝接触線16は、軸線12上の所定点Oを中心とした円弧を描く部分を有している。3つのボール溝のそれぞれの接触線16の円弧が規定する中心点は、共通である。言い換えれば、ボール溝接触線16は、点Oを中心とする球面上に位置し、また個々のボール溝接触線16は軸線12を含む平面内に位置する。以降、このボール溝接触線16が形成する球面を溝配置球面、この球面の中心Oを球心、およびこの球の半径をピッチ半径と記す。
【0011】
図1には、さらにボール溝の精度を測定するプローブ18が示されている。プローブ18は、プローブアーム20とその先端に固定され、当該等速ジョイントのボールと同径の当接ボール22を含む。プローブ18は、その当接ボール22をボール溝の底であるボール溝接触線16に当接させた状態で、これをなぞるようにして、図中実線の位置から一点鎖線で示される位置へと移動可能となっている。
【0012】
インナレース10のボール溝の寸法精度を管理するために、ボール溝接触線16の所定の測定指定位置Pにおけるピッチ半径が管理値として用いられている。具体的には、図に示す、球心Oを基準とし、そこから軸線12方向に所定距離離れた平面として測定指定位置Pを規定し、その平面内に当接ボール22の中心を位置させつつ、ボール溝14に当接させるようプローブ18を制御して、当接した時点の中心の座標を前記の代表値としている。実際には、測定位置Pが数カ所定められており、それぞれの測定位置における、それぞれの管理値やこれらの管理値から得られる代表値(例えば平均値)などにより寸法精度の管理がなされる。
【0013】
本実施形態においては、一つの管理値を取得する測定指定位置Pの位置周囲においても複数の箇所でボール溝接触線16を測定する。図2に示すように測定位置Pの周囲である範囲zにおいて、ボール溝接触線16に接触させたプローブ18の当接ボール22の中心の座標を取得する。この取得されたデータに基づき、最小二乗法などを用いて、近似円弧Sを求める。本実施形態においては、インナレースのボール溝の形状は円弧に製作されるので、近似曲線を円弧としたが、測定対象の形状が本来異なるものであれば、これに応じて近似曲線を変更することができる。この近似円弧Sと測定指定位置Pを示す平面の交点Qである管理値を求める。これを複数の測定指定位置Pにおいて、それぞれ実行し、複数の管理値Qを取得する。
【0014】
図3には、複数の測定指定位置を示しており、球心Oから軸線12に方向に離れたA〜Eの測定指定位置において測定を行う。これらの測定指定位置A〜Eのそれぞれが前述の測定指定位置Pに対応する。しかし、実際の球心Oは不明であって、前記A〜Eの位置も不明である。そこで、本実施形態においては、インナレース10のボール溝を除く部分の外形から、球心Oを仮に定め、これを仮の基準として、測定点A〜Eの位置を定めて、ボール溝14の形状を求め、この形状から、球心の位置を算出して、これを新たに球心Oとしている。
【0015】
例えば、図4に示すように、仮の球心O’を基準として、測定指定位置A’〜E’を推定し、これらの位置における管理値を算出し、これらからボール溝形状を近似する円弧S’を決定する。この円弧S’の中心O”をボール溝の球心として、再度測定指定位置A”〜E”を決定し、これらの位置を算出し、この算出された値、またはこの値から代表値を求めて、これを寸法精度の管理値とする。
【0016】
図5は、インナレースボール溝のピッチ半径の測定装置30の概略構成が示されている。測定対象部品となるインナレース10を固定する固定台32を備え、この固定台32は、油圧シリンダ34により図中上下方向に移動される。プローブ18のプローブアーム20は、アームベース36に固定される。さらに、アームベース36は、平行リンク38,40を介して、ベース42に結合されている。平行リンク38,40の機能によって、アームベース36はベース42に対し、平行に図中左右方向に移動可能となっている。左右の移動量が小さい場合には上下方向の移動量については無視できる。このアームベース36の移動量を検出するために、センサ44が備えられている。また、アームベース36には、当接ボール22をインナレースのボール溝14に当接させる状態を維持するような付勢力が付与されている。インナレース10を固定台32に取り付けた状態で油圧シリンダ34をストロークさせると、ボール溝14の形状に合わせてプローブ18が左右に移動する。この移動量をセンサ44にて検出し、ボール溝14の形状が測定される。
【0017】
以下、インナレース10のボール溝のピッチ半径の精度測定の手順を具体的に説明する。インナレース10を、測定装置30の固定台32に固定し、当接ボール22をインナレース10の上部付近のボール溝14に当接させる。油圧シリンダ34を、図5中の上方にストロークさせる。このとき、当接ボール22は、ボール溝の底である接触線16をなぞり、底の形状に合わせて左右方向に移動する。この移動量をセンサ44により測定し、測定値を記憶する。この測定は、当接ボール22がボール溝14内のほぼ全長を移動する間、所定の間隔で、または所定の位置で、多数取り込まれる。
【0018】
この測定され、記憶された測定値から、精度管理用に定められた複数の測定指定位置A’〜E’、それぞれの周囲の所定の範囲の測定値データを抽出する。この測定指定位置A’〜E’は、設計上の寸法から求めた仮の球心O’を基準とする仮の位置である。前記の抽出されたデータから、各測定指定位置A’〜E’ごとに、前述の通り、近似円弧の算出、近似円弧と平面の交点の算出を行い、各測定指定位置における管理値を取得する。この管理値から近似された円弧およびその中心を求め、球心O”を求める。
【0019】
この球心O”を基準として再度、精度管理用の測定指定位置A”〜E”を求める。そして、すでにプローブ18をボール溝14に沿って移動させることにより得た測定データのデータベースから、前記再度定められた測定指定位置A”〜E”のそれぞれの位置の周囲のデータを取得する。
【0020】
そして、前回と同様にして、各測定指定位置A”〜E”における管理値を算出し、これらよりピッチ半径を算出する。
【0021】
以上の実施形態では、2回目に求めた球心O”を基準として管理値、やピッチ半径の算出を行ったが、さらに多くの回数繰り返した後の球心を基準とすることも可能である。この場合であっても、最初にプローブ18をボール溝14になぞって得た測定データを保存し、これを繰り返し使用することで測定時間をいたずらに長くすることを防止することができる。また、繰り返しの回数は、あらかじめ設定してもよく、また前回の結果と比較して、その差が所定の値より小さくなるなど、収束の様子から定めることもできる。
【0022】
以上のように、本実施形態においては、指定された位置のデータのみではなく、この位置近辺領域のデータを取り込み、これらのデータにより、指定位置付近の物品の形状を算出する。そして、この形状に基づき製品の寸法、作製時の精度を測定する。多数のデータを採用することで、ひとつひとつのデータの誤差が大きい場合であっても、誤差を低減することができる。
【0023】
また、仮の基準に基づき測定された形状に基づき、再度基準を設定し、この際設定された基準に基づく測定点データを取得して、寸法、精度を再度算出することにより、より測定の精度を高めることができる。再度測定点データを取得する場合には、実際に測定を行うか、仮の基準に基づく測定を行ったときのデータを保持しておき、これを利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の測定対象のワークであるインナレースと測定用のプローブを示す図である。
【図2】測定データからの必要な精度データの取得に関する説明図である。
【図3】ボール溝形状の測定に関する説明図である。
【図4】ボール溝形状の測定データと、基準点を定める方法に関する説明図である。
【図5】測定装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
10 インナレース、12 軸線、14 ボール溝、16 接触線、18 プローブ、20 プローブアーム、22 当接ボール。
【発明の属する技術分野】
本発明は、製作されたワークの寸法またはその精度を測定する測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
等速ジョイントのインナレースおよびアウタレースに設けられるボール溝は、所定の軸周りに軸対称に3個またはそれ以上配置されており、個々のボール溝の底は、前記の軸を含む平面内であって、各ボール溝に共通の球面(以下、溝外接球面と記す)上に位置している。これらのボール溝の加工精度を検査する場合、個々のボール溝が形成する円弧が所定の半径となっているか、すなわち前記の溝外接球面の半径となっているかが検査項目のひとつとなる。実際には、当該等速ジョイントの転動体であるボールと同径の球状先端を有するプローブをボール溝に当接させ、その球状先端の中心の座標を求め、この中心と溝外接球面の中心との距離を、管理の項目のひとつとしている。この距離を、以下、ピッチ半径と記す。
【0003】
ピッチ半径の測定は、従来、以下のように行われていた。まず、溝外接球面の中心(以下、溝外接球心と記す)を、部品の外形形状から仮に定め、この溝外接球心から軸方向に所定距離離れた平面内で前記プローブの先端を当接させ、プローブの先端の球の中心の座標を計測する。さらに、溝外接球心からの距離を変えた別の平面内でプローブ先端をボール溝に当接して、このときのプローブ先端の球の中心の座標を計測して、3個以上の計測点の座標を得る。これらの計測点を含む球面、およびこの球面の中心を算出する。この球面の中心を、改めて溝外接球心とし、これを基準として再度上記の測定を行う。これを数度繰り返して、球面中心を求め、この球面中心より所定距離離れた平面内でのボール溝底の座標からピッチ半径を求めている。
【0004】
なお、下記特許文献1に、等速ジョイントのインナレースのピッチ半径の測定に関する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実開平2−81410号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように等速ジョイントのインナレース、アウタレースのボール溝の精度を測る場合において、測定との基準となるべき溝配置球面の中心の位置が測定の当初において不明であるため、溝配置球面の半径の測定精度も十分に高いものとなっていない。測定精度を高めるために、前述のように繰り返して測定を行っているが、この場合は、測定に多くの時間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、等速ジョイントのインナレースやアウタレースの寸法精度を、高い精度で測定する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、等速ジョイントのインナレースまたはアウタレースのボール溝のピッチ半径を測定する方法を提供する。この測定方法は、インナレースまたはアウタレースの寸法基準となる基準点を仮定し、この仮の基準点に基づき前記ピッチ半径を測定するための、少なくとも3点の測定指定位置を推定するステップと、前記推定した測定指定位置のそれぞれの周囲の複数の位置の座標を計測するステップと、前記取得された複数の位置の座標から、それぞれの前記測定指定位置ごとに、その付近のボール溝形状に対応する形状データを求めるステップと、前記求められた形状データに基づき、前記測定指定位置の座標を求めるステップと、前記少なくとも3点の測定指定位置の座標から前記基準点の座標を修正し、この修正された基準点に基づき少なくとも3点の前記測定指定位置を再設定するステップと、前記再設定された測定指定位置のそれぞれの周囲の複数位置の座標を再取得するステップと、前記再取得された複数位置の座標から、それぞれの前記再設定された測定指定点付近のボール溝の形状に対応した形状データを再度求めるステップと、前記再度求められた形状データより、前記測定指定位置の座標を算出し、これに基づきピッチ半径を算出するステップと、を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。この実施の形態は、等速ジョイントのインナレースのボール溝のピッチ半径の測定に関するものであるが、他の物品に適用することも可能である。例えば、等速ジョイントのアウタレースに同様に設けられたボール溝に対しても適用することができる。
【0010】
図1は、等速ジョイントのインナレースのボール溝のピッチ半径測定に関する説明図である。等速ジョイントのインナレース10は、軸線12を対称軸とする3個のボール溝14を有している。これらのボール溝14は、軸線12を含む平面内に配置され、その底であるボール溝接触線16は、軸線12上の所定点Oを中心とした円弧を描く部分を有している。3つのボール溝のそれぞれの接触線16の円弧が規定する中心点は、共通である。言い換えれば、ボール溝接触線16は、点Oを中心とする球面上に位置し、また個々のボール溝接触線16は軸線12を含む平面内に位置する。以降、このボール溝接触線16が形成する球面を溝配置球面、この球面の中心Oを球心、およびこの球の半径をピッチ半径と記す。
【0011】
図1には、さらにボール溝の精度を測定するプローブ18が示されている。プローブ18は、プローブアーム20とその先端に固定され、当該等速ジョイントのボールと同径の当接ボール22を含む。プローブ18は、その当接ボール22をボール溝の底であるボール溝接触線16に当接させた状態で、これをなぞるようにして、図中実線の位置から一点鎖線で示される位置へと移動可能となっている。
【0012】
インナレース10のボール溝の寸法精度を管理するために、ボール溝接触線16の所定の測定指定位置Pにおけるピッチ半径が管理値として用いられている。具体的には、図に示す、球心Oを基準とし、そこから軸線12方向に所定距離離れた平面として測定指定位置Pを規定し、その平面内に当接ボール22の中心を位置させつつ、ボール溝14に当接させるようプローブ18を制御して、当接した時点の中心の座標を前記の代表値としている。実際には、測定位置Pが数カ所定められており、それぞれの測定位置における、それぞれの管理値やこれらの管理値から得られる代表値(例えば平均値)などにより寸法精度の管理がなされる。
【0013】
本実施形態においては、一つの管理値を取得する測定指定位置Pの位置周囲においても複数の箇所でボール溝接触線16を測定する。図2に示すように測定位置Pの周囲である範囲zにおいて、ボール溝接触線16に接触させたプローブ18の当接ボール22の中心の座標を取得する。この取得されたデータに基づき、最小二乗法などを用いて、近似円弧Sを求める。本実施形態においては、インナレースのボール溝の形状は円弧に製作されるので、近似曲線を円弧としたが、測定対象の形状が本来異なるものであれば、これに応じて近似曲線を変更することができる。この近似円弧Sと測定指定位置Pを示す平面の交点Qである管理値を求める。これを複数の測定指定位置Pにおいて、それぞれ実行し、複数の管理値Qを取得する。
【0014】
図3には、複数の測定指定位置を示しており、球心Oから軸線12に方向に離れたA〜Eの測定指定位置において測定を行う。これらの測定指定位置A〜Eのそれぞれが前述の測定指定位置Pに対応する。しかし、実際の球心Oは不明であって、前記A〜Eの位置も不明である。そこで、本実施形態においては、インナレース10のボール溝を除く部分の外形から、球心Oを仮に定め、これを仮の基準として、測定点A〜Eの位置を定めて、ボール溝14の形状を求め、この形状から、球心の位置を算出して、これを新たに球心Oとしている。
【0015】
例えば、図4に示すように、仮の球心O’を基準として、測定指定位置A’〜E’を推定し、これらの位置における管理値を算出し、これらからボール溝形状を近似する円弧S’を決定する。この円弧S’の中心O”をボール溝の球心として、再度測定指定位置A”〜E”を決定し、これらの位置を算出し、この算出された値、またはこの値から代表値を求めて、これを寸法精度の管理値とする。
【0016】
図5は、インナレースボール溝のピッチ半径の測定装置30の概略構成が示されている。測定対象部品となるインナレース10を固定する固定台32を備え、この固定台32は、油圧シリンダ34により図中上下方向に移動される。プローブ18のプローブアーム20は、アームベース36に固定される。さらに、アームベース36は、平行リンク38,40を介して、ベース42に結合されている。平行リンク38,40の機能によって、アームベース36はベース42に対し、平行に図中左右方向に移動可能となっている。左右の移動量が小さい場合には上下方向の移動量については無視できる。このアームベース36の移動量を検出するために、センサ44が備えられている。また、アームベース36には、当接ボール22をインナレースのボール溝14に当接させる状態を維持するような付勢力が付与されている。インナレース10を固定台32に取り付けた状態で油圧シリンダ34をストロークさせると、ボール溝14の形状に合わせてプローブ18が左右に移動する。この移動量をセンサ44にて検出し、ボール溝14の形状が測定される。
【0017】
以下、インナレース10のボール溝のピッチ半径の精度測定の手順を具体的に説明する。インナレース10を、測定装置30の固定台32に固定し、当接ボール22をインナレース10の上部付近のボール溝14に当接させる。油圧シリンダ34を、図5中の上方にストロークさせる。このとき、当接ボール22は、ボール溝の底である接触線16をなぞり、底の形状に合わせて左右方向に移動する。この移動量をセンサ44により測定し、測定値を記憶する。この測定は、当接ボール22がボール溝14内のほぼ全長を移動する間、所定の間隔で、または所定の位置で、多数取り込まれる。
【0018】
この測定され、記憶された測定値から、精度管理用に定められた複数の測定指定位置A’〜E’、それぞれの周囲の所定の範囲の測定値データを抽出する。この測定指定位置A’〜E’は、設計上の寸法から求めた仮の球心O’を基準とする仮の位置である。前記の抽出されたデータから、各測定指定位置A’〜E’ごとに、前述の通り、近似円弧の算出、近似円弧と平面の交点の算出を行い、各測定指定位置における管理値を取得する。この管理値から近似された円弧およびその中心を求め、球心O”を求める。
【0019】
この球心O”を基準として再度、精度管理用の測定指定位置A”〜E”を求める。そして、すでにプローブ18をボール溝14に沿って移動させることにより得た測定データのデータベースから、前記再度定められた測定指定位置A”〜E”のそれぞれの位置の周囲のデータを取得する。
【0020】
そして、前回と同様にして、各測定指定位置A”〜E”における管理値を算出し、これらよりピッチ半径を算出する。
【0021】
以上の実施形態では、2回目に求めた球心O”を基準として管理値、やピッチ半径の算出を行ったが、さらに多くの回数繰り返した後の球心を基準とすることも可能である。この場合であっても、最初にプローブ18をボール溝14になぞって得た測定データを保存し、これを繰り返し使用することで測定時間をいたずらに長くすることを防止することができる。また、繰り返しの回数は、あらかじめ設定してもよく、また前回の結果と比較して、その差が所定の値より小さくなるなど、収束の様子から定めることもできる。
【0022】
以上のように、本実施形態においては、指定された位置のデータのみではなく、この位置近辺領域のデータを取り込み、これらのデータにより、指定位置付近の物品の形状を算出する。そして、この形状に基づき製品の寸法、作製時の精度を測定する。多数のデータを採用することで、ひとつひとつのデータの誤差が大きい場合であっても、誤差を低減することができる。
【0023】
また、仮の基準に基づき測定された形状に基づき、再度基準を設定し、この際設定された基準に基づく測定点データを取得して、寸法、精度を再度算出することにより、より測定の精度を高めることができる。再度測定点データを取得する場合には、実際に測定を行うか、仮の基準に基づく測定を行ったときのデータを保持しておき、これを利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の測定対象のワークであるインナレースと測定用のプローブを示す図である。
【図2】測定データからの必要な精度データの取得に関する説明図である。
【図3】ボール溝形状の測定に関する説明図である。
【図4】ボール溝形状の測定データと、基準点を定める方法に関する説明図である。
【図5】測定装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
10 インナレース、12 軸線、14 ボール溝、16 接触線、18 プローブ、20 プローブアーム、22 当接ボール。
Claims (1)
- 等速ジョイントのインナレースまたはアウタレースのボール溝のピッチ半径を測定する方法であって、
インナレースまたはアウタレースの寸法基準となる基準点を仮定し、この仮の基準点に基づき前記ピッチ半径を測定するための、少なくとも3点の測定指定位置を推定するステップと、
前記推定した測定指定位置のそれぞれの周囲の複数の位置の座標を計測するステップと、
前記取得された複数の位置の座標から、それぞれの前記測定指定位置ごとに、その付近のボール溝形状に対応する形状データを求めるステップと、
前記求められた形状データに基づき、前記測定指定位置の座標を求めるステップと、
前記少なくとも3点の測定指定位置の座標から前記基準点の座標を修正し、この修正された基準点に基づき少なくとも3点の前記測定指定位置を再設定するステップと、
前記再設定された測定指定位置のそれぞれの周囲の複数位置の座標を再取得するステップと、
前記再取得された複数位置の座標から、それぞれの前記再設定された測定指定点付近のボール溝の形状に対応した形状データを再度求めるステップと、
前記再度求められた形状データより、前記測定指定位置の座標を算出し、これに基づきピッチ半径を算出するステップと、
を有する、測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003107237A JP2004317133A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 座標測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003107237A JP2004317133A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 座標測定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004317133A true JP2004317133A (ja) | 2004-11-11 |
Family
ID=33469121
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003107237A Pending JP2004317133A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 座標測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004317133A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100398990C (zh) * | 2006-09-08 | 2008-07-02 | 中国科学院上海光学精密机械研究所 | 旋转型球径测量仪及其测量方法 |
CN111272123A (zh) * | 2020-03-31 | 2020-06-12 | 中国航发动力股份有限公司 | 一种坐标测量机测针用球圆度及直径检测装置及检测方法 |
CN115618650A (zh) * | 2022-11-15 | 2023-01-17 | 中国电子科技集团公司第十研究所 | 一种修正球面相控阵天线的虚拟球心位置坐标的方法 |
-
2003
- 2003-04-11 JP JP2003107237A patent/JP2004317133A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100398990C (zh) * | 2006-09-08 | 2008-07-02 | 中国科学院上海光学精密机械研究所 | 旋转型球径测量仪及其测量方法 |
CN111272123A (zh) * | 2020-03-31 | 2020-06-12 | 中国航发动力股份有限公司 | 一种坐标测量机测针用球圆度及直径检测装置及检测方法 |
CN115618650A (zh) * | 2022-11-15 | 2023-01-17 | 中国电子科技集团公司第十研究所 | 一种修正球面相控阵天线的虚拟球心位置坐标的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6254456B2 (ja) | 三次元測定機及び三次元測定機による補正行列算出方法 | |
JP5823306B2 (ja) | 表面性状測定機の校正方法 | |
Sładek et al. | The hybrid contact–optical coordinate measuring system | |
RU2466858C1 (ru) | Способ контроля точности контурных перемещений промышленных роботов | |
CN110211174B (zh) | 曲面测量装置标定的方法、设备和存储介质 | |
WO2015107751A1 (ja) | 表面形状測定装置およびそれを備えた工作機械ならびに表面形状測定方法 | |
JP7353757B2 (ja) | アーチファクトを測定するための方法 | |
JP5600045B2 (ja) | 三次元測定機の校正方法 | |
JP3551667B2 (ja) | はんだバンプの高さ測定方法 | |
US20030069708A1 (en) | Method for calibrating probe and computer-readable medium | |
JP5183884B2 (ja) | 補正方法、及び測定装置 | |
JP5272248B2 (ja) | 表面性状測定装置、表面性状測定方法、及びプログラム | |
JP5371532B2 (ja) | 三次元測定機 | |
JP2004317133A (ja) | 座標測定方法 | |
CN106695796B (zh) | 基于ransac的便携式激光扫描测量臂手眼标定方法 | |
JP4510520B2 (ja) | 形状測定方法および形状測定装置 | |
JP2013015464A (ja) | 三次元測定機 | |
JP2016024067A (ja) | 計測方法および計測装置 | |
JP2011027440A5 (ja) | ||
JP6197261B2 (ja) | 測定機の校正方法及びその装置 | |
US11092422B2 (en) | Measuring apparatus and measuring method | |
JPH06341826A (ja) | ねじ穴中心測定方法 | |
JP2016090478A (ja) | 測定値補正方法、測定値補正プログラム及び測定装置 | |
JP2016095243A (ja) | 計測装置、計測方法、および物品の製造方法 | |
TWI467129B (zh) | 鑄嘴平坦度之檢測方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050610 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070209 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20070220 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070619 |