JP2004316661A - ラックアンドピニオン装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で確実にロックを防止でき、かつ信頼性が高く確実に駆動力を伝達し得るラックアンドピニオン装置を実現する。
【解決手段】ラック及び当該ラックに歯合するピニオンからなるラックアンドピニオン装置において、ラック最端部のラック歯を弾性支持する最端歯支持手段を当該ラックに設けた。最端歯支持手段はラックの底面側から歯先側へ延びる当該ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなり、最端歯支持手段及び最端部のラック歯をラックの一部として一体に形成した。そして、ラックが最大限に移動した状態において、ラック最端部のラック歯のみがピニオンに歯合するようにしたことにより、ラックの押込方向には容易に歯飛びを起こし、ラックの引出方向には確実に駆動力を伝達することができる。
【選択図】 図14
【解決手段】ラック及び当該ラックに歯合するピニオンからなるラックアンドピニオン装置において、ラック最端部のラック歯を弾性支持する最端歯支持手段を当該ラックに設けた。最端歯支持手段はラックの底面側から歯先側へ延びる当該ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなり、最端歯支持手段及び最端部のラック歯をラックの一部として一体に形成した。そして、ラックが最大限に移動した状態において、ラック最端部のラック歯のみがピニオンに歯合するようにしたことにより、ラックの押込方向には容易に歯飛びを起こし、ラックの引出方向には確実に駆動力を伝達することができる。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はラックアンドピニオン装置に関し、例えば光ディスクを再生する光ディスク再生機の光ピックアップの送り装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、CD(Compact Disk)等の光ディスクを再生するための光ディスク再生機においては、光ディスクから記録信号を読み取るための光ピックアップを、ラックアンドピニオン装置を用いた送り機構部によって、当該光ディスクの半径方向に往復移動させるようになされている。
【0003】
すなわち図16は光ピックアップの送り機構部100を示し、図示しないシャーシに対して駆動モータ101及び軸102が固定されているとともに、中間ギヤ103が保持軸103Xを介して回転自在に取り付けられている。
【0004】
駆動モータ101の回転軸にはウォーム104が取り付けられている。また中間ギヤ103は、ウォーム104に歯合するウォームホイール103Aと、ラック105に歯合するピニオン103Bとが一体に形成されており、ラック105とピニオン103Bとでラックアンドピニオン部106を構成している。
【0005】
一方、ラック105は光ピックアップ107に固定されている。この光ピックアップ107の一端には、軸102を挿通するための軸挿通孔107Aが設けられており、ラック105及び光ピックアップ107は一体になって軸102に沿って移動し得るようになされている。また、軸102の両端近傍には移動規制片108A及び108Bがそれぞれ設けられており、移動する光ピックアップ107の両側面をそれぞれ移動規制片108A及び108Bに当接させることにより当該光ピックアップ107の移動範囲を規制して、ラック105及びピニオン103Bの噛み合いが外れることを防止している。
【0006】
そして送り機構部100は、駆動モータ101の回転運動をウォーム104〜ウォームホイール103A間、及びウォームホイール103A〜ピニオン103B間の2つの減速段で減速し、さらに当該減速された回転運動をラックアンドピニオン部106で直線運動に変換することにより、光ピックアップ107を光ディスク109の半径方向に適切な速度で往復駆動させるようになされている。
【0007】
ここで図17に示すように、光ピックアップ107が移動規制片108Aに当接した光ピックアップの移動限界位置において、さらに当該光ピックアップ107を矢印xで示す移動規制片の方向(以下、この方向を押込方向と呼ぶ)に無理に駆動し続けた場合、ラック105及びピニオン103Bの歯先同士が突き当たって食い込み合う、いわゆるロック状態が発生することがある。
【0008】
かかるロック状態が発生すると、ラック105及びピニオン103Bの歯先が破損して正常な噛み合いが不能になるばかりか、最悪の場合光ピックアップ107を移動させ得なくなるという問題がある。そこで、このようなラックアンドピニオン装置のロックを防止するいくつかの方法が考えられてきた。
【0009】
例えば図18に示すように、ラック110の端部の歯110Aの歯先をピニオン111の歯先が当接するように切り欠いた、切り欠き歯式ロック防止機構が提案されているが、ラック110を反対方向に引き出す(以下、この方向を引出方向と呼ぶ)時、当該ラック110とピニオン111とが噛み合わない場合があるという問題がある。
【0010】
また、弾性部材を介してラックを弾性支持することにより歯飛びを起こしやすくしてロックを防止する方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、ラックが弾性支持されているために光ピックアップの移動精度が低下するという問題がある。
【0011】
また、ラックの一部を片持ち梁構造にすることにより剛性を低下させて複数の歯を弾性支持し、歯飛びを起こしやすくしてロックを防止する方法が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、引き出し時におけるラックの剛性と押し込み時におけるラックの弾性を両立することが難しく、確実に歯飛び時を起こさせるためにラックの剛性を低下させると、光ピックアップの移動精度が低下してしまうという問題がある。また、確実な引出を行うために片持ち梁構造の剛性を高めると、歯飛び時にバチバチという大きな騒音が発生するという問題がある。
【0012】
さらに、モータとウォームの間、ウォームホイールとピニオンの間、あるいはラックと光ピックアップの間にクラッチを設け、ロックが発生した場合に当該クラッチが解放することによりロックを解消する方法が提案されているが、いずれの方法でも部品点数が増加し、構造が複雑になるという問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特開平5−250821号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2002−327822公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述した種々のロック防止方法においては、ラック引き出し時の動作不良、光ピックアップの移動精度の低下、歯飛び時の騒音や部品点数の増加等、依然として様々な問題を有していた。
【0016】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で確実にロックを防止でき、かつ信頼性が高く確実に駆動力を伝達し得るラックアンドピニオン装置を提案しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、ラック及び当該ラックに歯合するピニオンからなり、ピニオンを回転することによりラックを直線運動させるラックアンドピニオン装置において、ラック最端部のラック歯を弾性支持する最端歯支持手段を当該ラックに設けた。
【0018】
そして、最端歯支持手段はラックの底面側から歯先側へ延びる当該ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなり、最端歯支持手段及び最端部のラック歯をラックの一部として一体に形成するようにした。
【0019】
さらに、ラックが最大限に移動した状態において、ラック最端部のラック歯のみがピニオンに歯合するようにした。
【0020】
これにより、ラックの押込方向には容易に歯飛びを起こし、ラックの引出方向には確実に駆動力を伝達することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0022】
(1)光ピックアップ駆動装置の全体構成
図1において、1は全体として本発明における光ディスク再生機の光ピックアップ駆動装置を示し、例えば電気亜鉛めっき鋼板でなるシャーシ2、当該シャーシ2の部品取付面2Aの反対側に設けられたターンテーブル(図示せず)上で光ディスクを回転させるためのモータ3、シャーシ2の部品取付面2Aに対して取付固定された軸4及び当該軸4と平行に配設されたガイドレール5に沿って移動自在に取り付けられた光ピックアップ6、当該光ピックアップ6を光ディスクの半径方向(矢印a又はb方向)へ移動させるための駆動力をラックアンドピニオン部7により伝達する送り機構8によって構成されている。
【0023】
この光ピックアップ駆動装置1においては、軸4及びガイドレール5が互いに平行状態を保った状態で取付固定されていると共に、送り機構8の駆動モータ31に取り付けられたウォーム32を介して当該駆動モータ319の駆動力がラックアンドピニオン部7により光ピックアップ6に伝達されるので、当該光ピックアップ6を光ディスクの半径方向(矢印a又はb方向)へ正確に移動制御し得るようになされている。
【0024】
そして光ピックアップ駆動装置1においては、光ピックアップ6が移動する部品取付面2Aの対応箇所に所定形状の穴9が設けられており、当該穴9を介して光ピックアップ6からのレーザ光をターンテーブル上で回転する光ディスクの記録面に照射し得るようになされている。
【0025】
このとき光ピックアップ駆動装置1においては、軸4が部品取付面2Aの上に直接載置された状態で強固に取付固定されていることにより、光ピックアップ6と光ディスクの記録面との高さ方向の距離を一定に保持することができ、かくして一定の記録/再生性能を有するようになされている。
【0026】
(2)軸固定構造
図2に示すように光ピックアップ駆動装置1においては、光ピックアップ6と光ディスクの記録面との高さ方向の距離を一定に保持するため、所定の平面精度を有するシャーシ2の部品取付面2Aに対して軸4を直接載置した状態で取付固定するようになされている。
【0027】
シャーシ2は、軸4の一端4A及び他端4Bを取付固定する部品取付面2Aが所定の平面精度を有している。またシャーシ2は、プレス加工した後部品取付面2Aに対して直角方向に折り曲げられて形成された一組の一端側側壁部11及び他端側側壁部12、プレス加工した後に折り曲げられて形成された一端側軸がた押えばね13及び他端側軸がた押えばね14、軸4の一端4A側で部品取付面2Aに対して僅かに突出した凸部でなる軸スラスト規制部15が当該シャーシ2と一体に構成されている。
【0028】
一組の一端側側壁部11及び他端側側壁部12は、軸4を挟んで互いに相反する側に配置されており、当該軸4の一端4Aにおける断面横方向の周側面が一端側側壁部11と隙間無く当接し、かつ軸4の他端4Bにおける断面横方向の周側面が他端側側壁部12と隙間無く当接することにより、光ディスクの半径方向に対して軸4が平行状態を保つようになされている。
【0029】
なお一組の一端側側壁部11及び他端側側壁部12は、一端側側壁部11と他端側側壁部12との間の距離を光ピックアップ6の移動範囲に対応して設定されており、当該光ピックアップ6が軸4に沿って移動する際、一端側側壁部11及び他端側側壁部12がストッパとしての役割を担ってラックアンドピニオン部7の係合状態を維持し得るようになされている。
【0030】
一端側軸がた押えばね13は、シャーシ2と一体形成された板状でなり、部品取付面2Aから所定高さだけ浮き上がった状態で設けられている。
【0031】
図3に示すように、軸4はシャーシ2の部品取付面2Aに断面下方向の周側面が点接触して支持されると共に、一端側側壁部11の側壁に断面横方向の周側面が点接触して支持される。
【0032】
このとき一端側軸がた押えばね13は、軸4が当該一端側軸がた押えばね13と部品取付面2Aとの間に位置されたときに、軸4の直径に応じて当該一端側軸がた押えばね13が弾性域内で僅かに押し上げられ、その反力によって当該軸4の周側面を矢印で示す斜め方向から押し付けて付勢し得るようになされている。
【0033】
これにより軸4は、一端4Aの断面下方向の周側面が部品取付面2Aに隙間なく当接し、かつ一端4Aにおける断面横方向の周側面が一端側側壁部11と隙間無く当接した状態で、一端側軸がた押えばね13によって常時付勢されることにより、一端4Aがシャーシ2の部品取付面2Aにがたつきなく完全密着した状態で強固に取付固定されるようになされている。
【0034】
ここでシャーシ2には、軸4を挟んで一端側側壁部11と対向する位置に当該シャーシ2をプレス加工した後に折り曲げられて形成された立壁部16が設けられている。
【0035】
立壁部16は、軸4との間に僅かな間隙dが形成されており、当該軸4を取り付け固定する際、一端側側壁部11及び当該立壁部16との間を容易に挿通させ得るようになされている。
【0036】
また立壁部16は、衝撃等による荷重で一端側軸がた押えばね13が軸4によって強く押された場合でも当該立壁部16で軸4を受け止めることができるので、当該一端側軸がた押えばね13が塑性変形してしまうことを確実に防止し得るようになされている。
【0037】
すなわち立壁部16は、軸4に加えられた衝撃等による荷重を一端側軸がた押えばね13に対してあくまで弾性域内でのみ負荷させるようにしており、これにより荷重が取り除かれたときには一端側軸がた押えばね13の弾性力によって軸4を再度押し付けることができるようになされている。
【0038】
このようにシャーシ2は、軸固定構造に関して衝撃等による荷重が与えられ易いモバイル環境下における故障対策が十分に施されている。
【0039】
一方、軸4の他端4Bにおいては、図4に示すように、軸4はシャーシ2の部品取付面2Aに断面下方向の周側面が点接触して支持されると共に、一端側側壁部11の側壁に断面横方向の周側面が点接触して支持される。
【0040】
そして軸4の他端4Bにおいては、他端側軸がた押えばね14の当接面14Aによって当該他端4Bにおける面取部分4Cが右斜め上方向から押し付けられることにより、シャーシ2の部品取付面2Aに他端4Bががたつきなく強固に取付固定されるようになされている。
【0041】
なお図5に示すように軸4の他端4Bは、部品取付面2A、他端川側壁部12及び他端側軸がた押えばね14によって取付固定されるべき位置にはめ込まれるとき、軸4の他端4Bで他端側軸がた押えばね14を押す力Faによって当該他端側軸がた押えばね14が軸4の長手方向へ押し広げられ、当該力Faの反力Fb(弾性力)により他端4Bの面取部4Cが軸スラスト規制部15側へ押し付けられるようになされている。
【0042】
同時に軸4の他端4Bは、他端側軸がた押えばね14の力Fcによって部品取付面2Aに押し付けられることにもなる。
【0043】
これにより軸4は、部品取付面2A、他端側側壁部12及び他端側軸がた押えばね14の3点で当該部品取付面2Aに対して完全密着した状態で強固に取付固定される。
【0044】
ここで他端側軸がた押えばね14は、その弾性力によって軸4を部品取付面2Aの取付固定されるべき位置にはめ込まれるときには、その弾性力によって撓み易いので着脱容易であり、一度取付固定された後は他端側軸がた押えばね14の剛性で力Fcの反対方向へ撓み難いので軸4が外れ難い構造となっている。
【0045】
この結果光ピックアップ駆動装置1は、部品取付面2Aと軸4との取り付け誤差を無くした状態で強固に取付固定することができるので、当該部品取付面2Aの平面精度をそのまま軸4を介して光ピックアップ6と光ディスクの記録面との高さ方向の距離に反映させ得るようになされている。
【0046】
実際上、光ピックアップ駆動装置1における、軸4をシャーシ2に取り付け固定する時の取付工程について図6〜図8を用いて説明する。図6に示すように光ピックアップ駆動装置1は、軸4の一端4Aが一端側側壁部11及び立壁部16の間を通って一端側軸がた押えばね13の下を通過されて軸スラスト規制部15に突き当てられる。
【0047】
この場合、光ピックアップ駆動装置1は軸4の一端4Aと一端側側壁部11とが当接するものの軸4の他端4Bと他端側側壁部12とはまだ当接しておらず、他端側軸がた押えばね14の上方に軸4の他端4Bが位置した状態にある。
【0048】
ここで他端側側壁部12は、図4に示したように側壁部分12Aの上方に所定角度の面取部分12Bが形成されており、これにより軸4が面取部分12Bに当接された状態で押し込まれたとき当該面取部分12Bによって軸4の断面横方向における周側面と当該他端側側壁部12の側壁部分12Aとが点接触する位置まで容易に押し込み得る構造となっている。
【0049】
図7に示すように光ピックアップ駆動装置1は、軸4の他端4Bが他端側側壁部12の面取り部12Bに当接させた状態で、かつ他端側軸がた押えばね14の先端部分に他端14Bを押し当てた状態で押し込まれると、当該他端側軸がた押えばね14の先端部分が軸4の長手方向に力Faが加えられて撓む。
【0050】
図8に示すように光ピックアップ駆動装置1は、軸4の他端4Bにおける周側面が部品取付面2A及び他端側側壁部12と当接する位置にはめ込まれると、他端側軸がた押えばね14の先端部分が力Faの反力Fb(弾性力)によって他端側軸がた押えばね14の先端部分における当接面14Aで軸4の他端4Bにおける面取部4Cを押し付けると共に、力Fc(図5)によって面取部4Cを部品取付面2Aに押し付ける。
【0051】
これにより光ピックアップ駆動装置1は、軸4を部品取付面2Aの上に直接載置して完全に密着した状態で強固に固定することができる。
【0052】
なお光ピックアップ駆動装置1は、例えばメンテナンス等のためにシャーシ2から軸4を取り外す場合には、他端側軸がた押えばね14に対して軸4の長手方向へ力Faを加えて押し広げるだけで、容易に軸4をシャーシ2から取り外すことができるようになされている。
【0053】
(3)送り機構部の構成
実際上、図1に示した送り機構部8においてラックアンドピニオン部7は、図9にも併せて示すように、ラック34(図1)とピニオン33A及びウォームホイール33Bからなる中間ギヤ33とを有しており、駆動モータ31がウォーム32を介して中間ギヤ33を回転駆動することにより、当該中間ギヤ33のピニオン33Aと歯合しているラック34を矢印a又は矢印bへ送り、これにより当該ラック34に固定されている光ピックアップ6を光ディスクの半径方向へ移動させ得るようになされている。
【0054】
この送り機構部8は、1枚の金属製の板材がプレス加工されることにより形成されたブラケット35を有している。このブラケット35は、略扇形状でなる水平板部35Aと、当該水平板部35Aの所定部分35Gから垂直方向下方へ屈曲された後シャーシ2の断面2Bと所定間隔を保ちつつ当該断面2Bに沿って延長するように形成された帯状の板ばね部35Bと、当該板ばね部35Bの先端部分からシャーシ2の断面2Bへ向って屈曲されることより当該断面2Bと当接するように形成されたシャーシ当接部35Cとを有している。
【0055】
この水平板部35Aの上面において、その上端部分に垂設されているモータ固定板部35Dに対しては、2つの固定ねじ31Aによって、ウォーム32を回転駆動するための駆動モータ31が固定されている。
【0056】
また、このモータ固定板部35Dの左側に垂設されている中間ギヤ保持軸35Eは、かかるウォーム32が歯合するウォームホイール33B及びピニオン33Aからなる中間ギヤ33の回転中心孔33Cに挿通されており、これにより当該中間ギヤ33を回転自在に保持するようになされている。
【0057】
また水平板部35Aの中央部分に形成されているシャーシ押圧部35Fは、図10にも合わせて示すように、先端部分の突起35F1によってシャーシ2の部品取付面2Aを押圧し、これにより水平板部35Aの周縁部に形成されている3つの突出部35A1を、シャーシ2の部品取付面2A上に形成された浮上り規制部2Cに当接させている。かくして水平板部35Aは、シャーシ2の部品取付面2Aとほぼ平行な状態、且つ当該部品取付面2Aから浮き上がった状態を常に維持し得るようになされている。
【0058】
そして水平板部35Aの右端部分に形成されている回転軸挿通孔35A2に対しては、シャーシ2の部品取付面2A上に垂設されているブラケット回転軸2Dが挿通されており、これにより水平板部35Aは、当該ブラケット回転軸2Dの軸回り方向(矢印c又は矢印dの方向)へ回動し得るようになされている。
【0059】
ここで送り機構部8においては、例えば図11に示すように、光ピックアップ6と連結しているラック34が、中間ギヤ33のピニオン33Aと歯合し且つ当該ピニオン33Aを圧接するようにして、シャーシ2の所定位置に対して取付けられると、これに伴ってブラケット35においては、シャーシ当接部35Cがシャーシ2の断面2Bに当接した状態で、中間ギヤ33を保持している水平板部35Aが矢印cの方向へ僅かに回動するので、シャーシ当接部35Cと水平板部35Aとの間に介在する板ばね部35Bが緩やかに撓む。
【0060】
この結果、板ばね部35Bにラック34側方向(矢印eで示す方向)への弾性力が生じ、この弾性力によって水平板部35Aをラック34側方向へ付勢することができるので、当該水平板部35Aによって保持されている中間ギヤ33のピニオン33Aをラック34に対して押し付けることができる。
【0061】
これにより、中間ギヤ33のピニオン33Aとラック34とを適切に歯合させることができ、この結果、当該ピニオン33Aとラック34との間におけるバックラッシュを除去し得るようになされている。
【0062】
(4)ラックアンドピニオン部の構成
かかる構成に加えてラック34においては、図12に示すように側端部34Aが歯底側に向けて斜めに形成されている。さらにラック34は、ラックの最端歯34Bと次の第2歯34Cとの間を側端部34Aとほぼ平行に切り欠いた切欠部34Dが設けられていることにより、当該ラック34の内方(すなわちラックの押込方向)に向かって傾斜した、底面側から歯先側へ延びる片持ち梁状の支持部34Eを形成し、当該支持部34Eによって最端歯34Bを支持するように構成されている。尚、この支持部34Eの傾斜角θは、ピニオン33Aの圧力角にほぼ等しい値が選定されている。
【0063】
ここで、ラック34はPOM(Polyoxymethylene)等の工業用プラスチックで成形されているため、支持部34Eは弾性を有しており、これにより最端歯34Bは、片持ち梁でなる最端歯支持手段としての支持部34Eを介して、ラック34に対して弾性支持される。
【0064】
これに加えて光ピックアップ駆動装置1においては、図13に示すように、光ピックアップ6の側面部6Aが他端側側壁部12に接触した移動限界位置において、ラック34の最端歯34Bのみがピニオン33Aのピニオン歯に噛み合うように、光ピックアップ6、他端側側壁部12、中間ギヤ33及びラック34の位置関係が定められている。
【0065】
このため図14(A)に示すように、光ピックアップ6の移動限界位置においてピニオン33Aを矢印f方向に回転させ、当該光ピックアップ6を矢印gに示す押し込み方向へ無理に駆動した場合、図14(B)に示すように、ピニオン33Aのピニオン歯33Cがラック34の最端歯34Bを押圧力F1で押圧する。
【0066】
ここで、上述したように支持部34Eはピニオン33Aの圧力角とほぼ等しい角度で傾斜していることから、押圧力F1は、片持ち梁である支持部34Eの先端に対して、当該支持部34Eの長手方向とほぼ直角に作用する。このような方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は低いため、図14(C)に示すように支持部34Eは最端歯34Bとともに変形して倒れ込み、これにより最端歯34Bはピニオン33Aの歯先から逃れる。
【0067】
かくしてラックアンドピニオン部7は、押込方向には容易に歯飛びを起こし、これによりラック34及びピニオン33A間のロックを防止し得るようになされている。
【0068】
これに対して光ピックアップ駆動装置1は、図14(A)に示す光ピックアップ6の移動限界位置において、ピニオン33Aを矢印j方向に回転させ、当該光ピックアップ6を矢印kに示す引出方向に駆動した場合、図15(A)に示すように、ピニオン33Aのピニオン歯33Dがラック34の最端歯34Bを押圧力F2で押圧する。
【0069】
図15(B)に示すようにこの押圧力F2は、支持部34Eを長手方向に押圧する平行押圧力F3と、長手方向に対して直角に押圧する直角押圧力F4とに分力することができる。押圧力F2は支持部34Eの長手方向に対して小さい角度で作用していることから、直角押圧力F4は平行押圧力F3に比べて極めて小さな値になる。
【0070】
このようにピニオン歯33Dの押圧力F2は、そのほとんどが支持部34Eを長手方向に押圧する力として作用する。このような方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は高いため、当該支持部34Eはほとんど変形しない。このため、最端歯34Bはピニオン33Aの歯先から逃れることなく押圧力F2をラック34に伝達し、これによりラック34は引出方向kに移動する。
【0071】
そして図15(C)に示すように、ラック34の移動によって当該ラック34の第2歯34Cとピニオン33Aのピニオン歯33Eとが噛み合い、これ以降は従来のラックアンドピニオンと同様に駆動力が伝達される。
【0072】
かくしてラックアンドピニオン部7は、引出方向には歯飛びを起こすことなく確実に駆動力を伝達し得るようになされている。
【0073】
(5)動作及び効果
以上の構成において、光ピックアップ駆動装置1のラックアンドピニオン部7は、ラック34の押込方向に向かって傾斜した片持ち梁状の支持部34Eを当該ラック34の側端部34Aに形成し、当該支持部34Eによって最端歯34Bを弾性支持するようにした。さらに、光ピックアップ6が移動限界位置にあってラック34が最大限に移動した状態において、最端歯34Bのみがピニオン33Aに噛み合うようにした。
【0074】
この状態において、ピニオン33Aをラックの押込方向に回転すると、当該ピニオン33Aのピニオン歯33Cは、ラック34の最端歯34Bを支持部34Eの長手方向に対してほぼ直角に押圧する。
【0075】
この方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は低いため、支持部34Eは最端歯34Bとともに倒れ込む。これによりラックアンドピニオン部7は、押込方向に対しては容易に歯飛びを起こす。
【0076】
これに対してピニオン33Aをラックの引出方向に回転すると、当該ピニオン33Aのピニオン歯33Dは、ラック34の最端歯34Bを、支持部34Eの長手方向に対して小さい角度で押圧する。この方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は高いため、支持部34Eはほとんど変形することなくピニオン歯33Dの押圧力をラック34に伝達する。これによりラックアンドピニオン部7は、引出方向に対しては歯飛びを起こすことなく確実に駆動力を伝達する。
【0077】
以上の構成によれば、押込方向に傾斜した片持ち梁でなる支持部34Eによってラック34の最端歯34Bを弾性支持し、ラック34が最大限に移動した状態において当該最端歯34Bのみがピニオン33Aに噛み合うようにしたことにより、当該支持部34Eの剛性を、ラック34の押込方向には剛性が高く、引出方向には剛性が低いようにすることができる。これによりラックアンドピニオン部7は、押込方向に対しては容易に歯飛びを起こしてロックを防止するとともに歯飛び時の騒音を低減することができ、引出方向に対しては歯飛びを起こすことなく確実に駆動力を伝達することができる。
【0078】
また、ラック34の最端歯34Bのみを支持部34Eで弾性支持するようにしたことにより、当該最端歯34B以降のラック歯は剛性支持されるため、光ピックアップの移動精度を保ちつつ確実にロックを防止することができる。
【0079】
さらに、最端歯34B及び支持部34Eをラック34に一体で形成したことにより、部品点数を増加させることなく、簡易な構成で確実にロックを防止することができる。
【0080】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、支持部34Eの傾斜角θをピニオン33Aの圧力角とほぼ等しい値に選定したが、本発明はこれに限らず、要は支持部34Eがラック34の押込方向に傾斜していればよい。しかし、支持部34Eの傾斜角θが小さすぎると引出方向に対しても歯飛びを起こしてしまい、逆に傾斜角θが大きすぎると(例えば45°以上)押込方向に対して歯飛びを起こしにくくなるため、押込方向に対する歯飛びの起こし易さと引出方向に対する駆動力伝達の確実さとを勘案して支持部34Eの傾斜角θを定めればよい。
【0081】
また上述の実施の形態においては、ラック34の一端側にのみ本願発明の支持部34Eを設けるようにしたが、本発明はこれに限らず、ラック34の両端に支持部34Eを設けるようにしてもよい。
【0082】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を光ピックアップ装置1のラックアンドピニオン装置に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の種々の機器で用いられるラックアンドピニオン装置に適用することができる。
【0083】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなる最端歯支持手段で最端部のラック歯を支持し、ラックが最大限に移動した状態においてラック最端部のラック歯のみがピニオンに歯合するようにしたことにより、ラックの押込方向には容易に歯飛びを起こして確実にロックを防止し、ラックの引出方向には確実に駆動力を伝達し得るラックアンドピニオン装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップ駆動装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】軸固定構造の説明に供する略線的斜視図である。
【図3】軸の一端における固定の説明に供する略線的拡大図である。
【図4】軸の他端における固定の説明に供する略線的拡大図である。
【図5】軸の他端に作用する力の説明に供する略線図である。
【図6】軸の取り付け手順(1)を示す略線図である。
【図7】軸の取り付け手順(2)を示す略線図である。
【図8】軸の取り付け手順(3)を示す略線図である。
【図9】ブラケットの構造を示す略線図である。
【図10】ブラケットの側面構造を示す略線図である。
【図11】板ばね部が撓む様子を示す略線図である。
【図12】本発明によるラックの構造を示す略線図である。
【図13】移動限界位置におけるラックとピニオンの噛み合わせ状態を示す略線図である。
【図14】押込時における先端歯とピニオンの噛み合わせ状態を示す略線図である。
【図15】引出時における先端歯とピニオンの噛み合わせ状態を示す略線図である。
【図16】光ピックアップの送り機構部の構成を示す略線図である。
【図17】光ピックアップの移動限界位置を示す略線図である。
【図18】切り欠き歯式ロック防止機構を示す略線図である。
【符号の説明】
1……光ピックアップ駆動装置、2……シャーシ、4……軸、5……ガイドレール、6……光ピックアップ、7……ラックアンドピニオン部、8……送り機構部、31……駆動モータ、32……ウォーム、33……中間ギヤ、34……ラック、100……送り機構部、101……駆動モータ、102……軸、103……中間ギヤ、104……ウォーム、105……ラック、106……ラックアンドピニオン部、107……光ピックアップ、108A、108B……移動規制片、109……光ディスク。
【発明の属する技術分野】
本発明はラックアンドピニオン装置に関し、例えば光ディスクを再生する光ディスク再生機の光ピックアップの送り装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、CD(Compact Disk)等の光ディスクを再生するための光ディスク再生機においては、光ディスクから記録信号を読み取るための光ピックアップを、ラックアンドピニオン装置を用いた送り機構部によって、当該光ディスクの半径方向に往復移動させるようになされている。
【0003】
すなわち図16は光ピックアップの送り機構部100を示し、図示しないシャーシに対して駆動モータ101及び軸102が固定されているとともに、中間ギヤ103が保持軸103Xを介して回転自在に取り付けられている。
【0004】
駆動モータ101の回転軸にはウォーム104が取り付けられている。また中間ギヤ103は、ウォーム104に歯合するウォームホイール103Aと、ラック105に歯合するピニオン103Bとが一体に形成されており、ラック105とピニオン103Bとでラックアンドピニオン部106を構成している。
【0005】
一方、ラック105は光ピックアップ107に固定されている。この光ピックアップ107の一端には、軸102を挿通するための軸挿通孔107Aが設けられており、ラック105及び光ピックアップ107は一体になって軸102に沿って移動し得るようになされている。また、軸102の両端近傍には移動規制片108A及び108Bがそれぞれ設けられており、移動する光ピックアップ107の両側面をそれぞれ移動規制片108A及び108Bに当接させることにより当該光ピックアップ107の移動範囲を規制して、ラック105及びピニオン103Bの噛み合いが外れることを防止している。
【0006】
そして送り機構部100は、駆動モータ101の回転運動をウォーム104〜ウォームホイール103A間、及びウォームホイール103A〜ピニオン103B間の2つの減速段で減速し、さらに当該減速された回転運動をラックアンドピニオン部106で直線運動に変換することにより、光ピックアップ107を光ディスク109の半径方向に適切な速度で往復駆動させるようになされている。
【0007】
ここで図17に示すように、光ピックアップ107が移動規制片108Aに当接した光ピックアップの移動限界位置において、さらに当該光ピックアップ107を矢印xで示す移動規制片の方向(以下、この方向を押込方向と呼ぶ)に無理に駆動し続けた場合、ラック105及びピニオン103Bの歯先同士が突き当たって食い込み合う、いわゆるロック状態が発生することがある。
【0008】
かかるロック状態が発生すると、ラック105及びピニオン103Bの歯先が破損して正常な噛み合いが不能になるばかりか、最悪の場合光ピックアップ107を移動させ得なくなるという問題がある。そこで、このようなラックアンドピニオン装置のロックを防止するいくつかの方法が考えられてきた。
【0009】
例えば図18に示すように、ラック110の端部の歯110Aの歯先をピニオン111の歯先が当接するように切り欠いた、切り欠き歯式ロック防止機構が提案されているが、ラック110を反対方向に引き出す(以下、この方向を引出方向と呼ぶ)時、当該ラック110とピニオン111とが噛み合わない場合があるという問題がある。
【0010】
また、弾性部材を介してラックを弾性支持することにより歯飛びを起こしやすくしてロックを防止する方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、ラックが弾性支持されているために光ピックアップの移動精度が低下するという問題がある。
【0011】
また、ラックの一部を片持ち梁構造にすることにより剛性を低下させて複数の歯を弾性支持し、歯飛びを起こしやすくしてロックを防止する方法が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、引き出し時におけるラックの剛性と押し込み時におけるラックの弾性を両立することが難しく、確実に歯飛び時を起こさせるためにラックの剛性を低下させると、光ピックアップの移動精度が低下してしまうという問題がある。また、確実な引出を行うために片持ち梁構造の剛性を高めると、歯飛び時にバチバチという大きな騒音が発生するという問題がある。
【0012】
さらに、モータとウォームの間、ウォームホイールとピニオンの間、あるいはラックと光ピックアップの間にクラッチを設け、ロックが発生した場合に当該クラッチが解放することによりロックを解消する方法が提案されているが、いずれの方法でも部品点数が増加し、構造が複雑になるという問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特開平5−250821号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2002−327822公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述した種々のロック防止方法においては、ラック引き出し時の動作不良、光ピックアップの移動精度の低下、歯飛び時の騒音や部品点数の増加等、依然として様々な問題を有していた。
【0016】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で確実にロックを防止でき、かつ信頼性が高く確実に駆動力を伝達し得るラックアンドピニオン装置を提案しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、ラック及び当該ラックに歯合するピニオンからなり、ピニオンを回転することによりラックを直線運動させるラックアンドピニオン装置において、ラック最端部のラック歯を弾性支持する最端歯支持手段を当該ラックに設けた。
【0018】
そして、最端歯支持手段はラックの底面側から歯先側へ延びる当該ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなり、最端歯支持手段及び最端部のラック歯をラックの一部として一体に形成するようにした。
【0019】
さらに、ラックが最大限に移動した状態において、ラック最端部のラック歯のみがピニオンに歯合するようにした。
【0020】
これにより、ラックの押込方向には容易に歯飛びを起こし、ラックの引出方向には確実に駆動力を伝達することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0022】
(1)光ピックアップ駆動装置の全体構成
図1において、1は全体として本発明における光ディスク再生機の光ピックアップ駆動装置を示し、例えば電気亜鉛めっき鋼板でなるシャーシ2、当該シャーシ2の部品取付面2Aの反対側に設けられたターンテーブル(図示せず)上で光ディスクを回転させるためのモータ3、シャーシ2の部品取付面2Aに対して取付固定された軸4及び当該軸4と平行に配設されたガイドレール5に沿って移動自在に取り付けられた光ピックアップ6、当該光ピックアップ6を光ディスクの半径方向(矢印a又はb方向)へ移動させるための駆動力をラックアンドピニオン部7により伝達する送り機構8によって構成されている。
【0023】
この光ピックアップ駆動装置1においては、軸4及びガイドレール5が互いに平行状態を保った状態で取付固定されていると共に、送り機構8の駆動モータ31に取り付けられたウォーム32を介して当該駆動モータ319の駆動力がラックアンドピニオン部7により光ピックアップ6に伝達されるので、当該光ピックアップ6を光ディスクの半径方向(矢印a又はb方向)へ正確に移動制御し得るようになされている。
【0024】
そして光ピックアップ駆動装置1においては、光ピックアップ6が移動する部品取付面2Aの対応箇所に所定形状の穴9が設けられており、当該穴9を介して光ピックアップ6からのレーザ光をターンテーブル上で回転する光ディスクの記録面に照射し得るようになされている。
【0025】
このとき光ピックアップ駆動装置1においては、軸4が部品取付面2Aの上に直接載置された状態で強固に取付固定されていることにより、光ピックアップ6と光ディスクの記録面との高さ方向の距離を一定に保持することができ、かくして一定の記録/再生性能を有するようになされている。
【0026】
(2)軸固定構造
図2に示すように光ピックアップ駆動装置1においては、光ピックアップ6と光ディスクの記録面との高さ方向の距離を一定に保持するため、所定の平面精度を有するシャーシ2の部品取付面2Aに対して軸4を直接載置した状態で取付固定するようになされている。
【0027】
シャーシ2は、軸4の一端4A及び他端4Bを取付固定する部品取付面2Aが所定の平面精度を有している。またシャーシ2は、プレス加工した後部品取付面2Aに対して直角方向に折り曲げられて形成された一組の一端側側壁部11及び他端側側壁部12、プレス加工した後に折り曲げられて形成された一端側軸がた押えばね13及び他端側軸がた押えばね14、軸4の一端4A側で部品取付面2Aに対して僅かに突出した凸部でなる軸スラスト規制部15が当該シャーシ2と一体に構成されている。
【0028】
一組の一端側側壁部11及び他端側側壁部12は、軸4を挟んで互いに相反する側に配置されており、当該軸4の一端4Aにおける断面横方向の周側面が一端側側壁部11と隙間無く当接し、かつ軸4の他端4Bにおける断面横方向の周側面が他端側側壁部12と隙間無く当接することにより、光ディスクの半径方向に対して軸4が平行状態を保つようになされている。
【0029】
なお一組の一端側側壁部11及び他端側側壁部12は、一端側側壁部11と他端側側壁部12との間の距離を光ピックアップ6の移動範囲に対応して設定されており、当該光ピックアップ6が軸4に沿って移動する際、一端側側壁部11及び他端側側壁部12がストッパとしての役割を担ってラックアンドピニオン部7の係合状態を維持し得るようになされている。
【0030】
一端側軸がた押えばね13は、シャーシ2と一体形成された板状でなり、部品取付面2Aから所定高さだけ浮き上がった状態で設けられている。
【0031】
図3に示すように、軸4はシャーシ2の部品取付面2Aに断面下方向の周側面が点接触して支持されると共に、一端側側壁部11の側壁に断面横方向の周側面が点接触して支持される。
【0032】
このとき一端側軸がた押えばね13は、軸4が当該一端側軸がた押えばね13と部品取付面2Aとの間に位置されたときに、軸4の直径に応じて当該一端側軸がた押えばね13が弾性域内で僅かに押し上げられ、その反力によって当該軸4の周側面を矢印で示す斜め方向から押し付けて付勢し得るようになされている。
【0033】
これにより軸4は、一端4Aの断面下方向の周側面が部品取付面2Aに隙間なく当接し、かつ一端4Aにおける断面横方向の周側面が一端側側壁部11と隙間無く当接した状態で、一端側軸がた押えばね13によって常時付勢されることにより、一端4Aがシャーシ2の部品取付面2Aにがたつきなく完全密着した状態で強固に取付固定されるようになされている。
【0034】
ここでシャーシ2には、軸4を挟んで一端側側壁部11と対向する位置に当該シャーシ2をプレス加工した後に折り曲げられて形成された立壁部16が設けられている。
【0035】
立壁部16は、軸4との間に僅かな間隙dが形成されており、当該軸4を取り付け固定する際、一端側側壁部11及び当該立壁部16との間を容易に挿通させ得るようになされている。
【0036】
また立壁部16は、衝撃等による荷重で一端側軸がた押えばね13が軸4によって強く押された場合でも当該立壁部16で軸4を受け止めることができるので、当該一端側軸がた押えばね13が塑性変形してしまうことを確実に防止し得るようになされている。
【0037】
すなわち立壁部16は、軸4に加えられた衝撃等による荷重を一端側軸がた押えばね13に対してあくまで弾性域内でのみ負荷させるようにしており、これにより荷重が取り除かれたときには一端側軸がた押えばね13の弾性力によって軸4を再度押し付けることができるようになされている。
【0038】
このようにシャーシ2は、軸固定構造に関して衝撃等による荷重が与えられ易いモバイル環境下における故障対策が十分に施されている。
【0039】
一方、軸4の他端4Bにおいては、図4に示すように、軸4はシャーシ2の部品取付面2Aに断面下方向の周側面が点接触して支持されると共に、一端側側壁部11の側壁に断面横方向の周側面が点接触して支持される。
【0040】
そして軸4の他端4Bにおいては、他端側軸がた押えばね14の当接面14Aによって当該他端4Bにおける面取部分4Cが右斜め上方向から押し付けられることにより、シャーシ2の部品取付面2Aに他端4Bががたつきなく強固に取付固定されるようになされている。
【0041】
なお図5に示すように軸4の他端4Bは、部品取付面2A、他端川側壁部12及び他端側軸がた押えばね14によって取付固定されるべき位置にはめ込まれるとき、軸4の他端4Bで他端側軸がた押えばね14を押す力Faによって当該他端側軸がた押えばね14が軸4の長手方向へ押し広げられ、当該力Faの反力Fb(弾性力)により他端4Bの面取部4Cが軸スラスト規制部15側へ押し付けられるようになされている。
【0042】
同時に軸4の他端4Bは、他端側軸がた押えばね14の力Fcによって部品取付面2Aに押し付けられることにもなる。
【0043】
これにより軸4は、部品取付面2A、他端側側壁部12及び他端側軸がた押えばね14の3点で当該部品取付面2Aに対して完全密着した状態で強固に取付固定される。
【0044】
ここで他端側軸がた押えばね14は、その弾性力によって軸4を部品取付面2Aの取付固定されるべき位置にはめ込まれるときには、その弾性力によって撓み易いので着脱容易であり、一度取付固定された後は他端側軸がた押えばね14の剛性で力Fcの反対方向へ撓み難いので軸4が外れ難い構造となっている。
【0045】
この結果光ピックアップ駆動装置1は、部品取付面2Aと軸4との取り付け誤差を無くした状態で強固に取付固定することができるので、当該部品取付面2Aの平面精度をそのまま軸4を介して光ピックアップ6と光ディスクの記録面との高さ方向の距離に反映させ得るようになされている。
【0046】
実際上、光ピックアップ駆動装置1における、軸4をシャーシ2に取り付け固定する時の取付工程について図6〜図8を用いて説明する。図6に示すように光ピックアップ駆動装置1は、軸4の一端4Aが一端側側壁部11及び立壁部16の間を通って一端側軸がた押えばね13の下を通過されて軸スラスト規制部15に突き当てられる。
【0047】
この場合、光ピックアップ駆動装置1は軸4の一端4Aと一端側側壁部11とが当接するものの軸4の他端4Bと他端側側壁部12とはまだ当接しておらず、他端側軸がた押えばね14の上方に軸4の他端4Bが位置した状態にある。
【0048】
ここで他端側側壁部12は、図4に示したように側壁部分12Aの上方に所定角度の面取部分12Bが形成されており、これにより軸4が面取部分12Bに当接された状態で押し込まれたとき当該面取部分12Bによって軸4の断面横方向における周側面と当該他端側側壁部12の側壁部分12Aとが点接触する位置まで容易に押し込み得る構造となっている。
【0049】
図7に示すように光ピックアップ駆動装置1は、軸4の他端4Bが他端側側壁部12の面取り部12Bに当接させた状態で、かつ他端側軸がた押えばね14の先端部分に他端14Bを押し当てた状態で押し込まれると、当該他端側軸がた押えばね14の先端部分が軸4の長手方向に力Faが加えられて撓む。
【0050】
図8に示すように光ピックアップ駆動装置1は、軸4の他端4Bにおける周側面が部品取付面2A及び他端側側壁部12と当接する位置にはめ込まれると、他端側軸がた押えばね14の先端部分が力Faの反力Fb(弾性力)によって他端側軸がた押えばね14の先端部分における当接面14Aで軸4の他端4Bにおける面取部4Cを押し付けると共に、力Fc(図5)によって面取部4Cを部品取付面2Aに押し付ける。
【0051】
これにより光ピックアップ駆動装置1は、軸4を部品取付面2Aの上に直接載置して完全に密着した状態で強固に固定することができる。
【0052】
なお光ピックアップ駆動装置1は、例えばメンテナンス等のためにシャーシ2から軸4を取り外す場合には、他端側軸がた押えばね14に対して軸4の長手方向へ力Faを加えて押し広げるだけで、容易に軸4をシャーシ2から取り外すことができるようになされている。
【0053】
(3)送り機構部の構成
実際上、図1に示した送り機構部8においてラックアンドピニオン部7は、図9にも併せて示すように、ラック34(図1)とピニオン33A及びウォームホイール33Bからなる中間ギヤ33とを有しており、駆動モータ31がウォーム32を介して中間ギヤ33を回転駆動することにより、当該中間ギヤ33のピニオン33Aと歯合しているラック34を矢印a又は矢印bへ送り、これにより当該ラック34に固定されている光ピックアップ6を光ディスクの半径方向へ移動させ得るようになされている。
【0054】
この送り機構部8は、1枚の金属製の板材がプレス加工されることにより形成されたブラケット35を有している。このブラケット35は、略扇形状でなる水平板部35Aと、当該水平板部35Aの所定部分35Gから垂直方向下方へ屈曲された後シャーシ2の断面2Bと所定間隔を保ちつつ当該断面2Bに沿って延長するように形成された帯状の板ばね部35Bと、当該板ばね部35Bの先端部分からシャーシ2の断面2Bへ向って屈曲されることより当該断面2Bと当接するように形成されたシャーシ当接部35Cとを有している。
【0055】
この水平板部35Aの上面において、その上端部分に垂設されているモータ固定板部35Dに対しては、2つの固定ねじ31Aによって、ウォーム32を回転駆動するための駆動モータ31が固定されている。
【0056】
また、このモータ固定板部35Dの左側に垂設されている中間ギヤ保持軸35Eは、かかるウォーム32が歯合するウォームホイール33B及びピニオン33Aからなる中間ギヤ33の回転中心孔33Cに挿通されており、これにより当該中間ギヤ33を回転自在に保持するようになされている。
【0057】
また水平板部35Aの中央部分に形成されているシャーシ押圧部35Fは、図10にも合わせて示すように、先端部分の突起35F1によってシャーシ2の部品取付面2Aを押圧し、これにより水平板部35Aの周縁部に形成されている3つの突出部35A1を、シャーシ2の部品取付面2A上に形成された浮上り規制部2Cに当接させている。かくして水平板部35Aは、シャーシ2の部品取付面2Aとほぼ平行な状態、且つ当該部品取付面2Aから浮き上がった状態を常に維持し得るようになされている。
【0058】
そして水平板部35Aの右端部分に形成されている回転軸挿通孔35A2に対しては、シャーシ2の部品取付面2A上に垂設されているブラケット回転軸2Dが挿通されており、これにより水平板部35Aは、当該ブラケット回転軸2Dの軸回り方向(矢印c又は矢印dの方向)へ回動し得るようになされている。
【0059】
ここで送り機構部8においては、例えば図11に示すように、光ピックアップ6と連結しているラック34が、中間ギヤ33のピニオン33Aと歯合し且つ当該ピニオン33Aを圧接するようにして、シャーシ2の所定位置に対して取付けられると、これに伴ってブラケット35においては、シャーシ当接部35Cがシャーシ2の断面2Bに当接した状態で、中間ギヤ33を保持している水平板部35Aが矢印cの方向へ僅かに回動するので、シャーシ当接部35Cと水平板部35Aとの間に介在する板ばね部35Bが緩やかに撓む。
【0060】
この結果、板ばね部35Bにラック34側方向(矢印eで示す方向)への弾性力が生じ、この弾性力によって水平板部35Aをラック34側方向へ付勢することができるので、当該水平板部35Aによって保持されている中間ギヤ33のピニオン33Aをラック34に対して押し付けることができる。
【0061】
これにより、中間ギヤ33のピニオン33Aとラック34とを適切に歯合させることができ、この結果、当該ピニオン33Aとラック34との間におけるバックラッシュを除去し得るようになされている。
【0062】
(4)ラックアンドピニオン部の構成
かかる構成に加えてラック34においては、図12に示すように側端部34Aが歯底側に向けて斜めに形成されている。さらにラック34は、ラックの最端歯34Bと次の第2歯34Cとの間を側端部34Aとほぼ平行に切り欠いた切欠部34Dが設けられていることにより、当該ラック34の内方(すなわちラックの押込方向)に向かって傾斜した、底面側から歯先側へ延びる片持ち梁状の支持部34Eを形成し、当該支持部34Eによって最端歯34Bを支持するように構成されている。尚、この支持部34Eの傾斜角θは、ピニオン33Aの圧力角にほぼ等しい値が選定されている。
【0063】
ここで、ラック34はPOM(Polyoxymethylene)等の工業用プラスチックで成形されているため、支持部34Eは弾性を有しており、これにより最端歯34Bは、片持ち梁でなる最端歯支持手段としての支持部34Eを介して、ラック34に対して弾性支持される。
【0064】
これに加えて光ピックアップ駆動装置1においては、図13に示すように、光ピックアップ6の側面部6Aが他端側側壁部12に接触した移動限界位置において、ラック34の最端歯34Bのみがピニオン33Aのピニオン歯に噛み合うように、光ピックアップ6、他端側側壁部12、中間ギヤ33及びラック34の位置関係が定められている。
【0065】
このため図14(A)に示すように、光ピックアップ6の移動限界位置においてピニオン33Aを矢印f方向に回転させ、当該光ピックアップ6を矢印gに示す押し込み方向へ無理に駆動した場合、図14(B)に示すように、ピニオン33Aのピニオン歯33Cがラック34の最端歯34Bを押圧力F1で押圧する。
【0066】
ここで、上述したように支持部34Eはピニオン33Aの圧力角とほぼ等しい角度で傾斜していることから、押圧力F1は、片持ち梁である支持部34Eの先端に対して、当該支持部34Eの長手方向とほぼ直角に作用する。このような方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は低いため、図14(C)に示すように支持部34Eは最端歯34Bとともに変形して倒れ込み、これにより最端歯34Bはピニオン33Aの歯先から逃れる。
【0067】
かくしてラックアンドピニオン部7は、押込方向には容易に歯飛びを起こし、これによりラック34及びピニオン33A間のロックを防止し得るようになされている。
【0068】
これに対して光ピックアップ駆動装置1は、図14(A)に示す光ピックアップ6の移動限界位置において、ピニオン33Aを矢印j方向に回転させ、当該光ピックアップ6を矢印kに示す引出方向に駆動した場合、図15(A)に示すように、ピニオン33Aのピニオン歯33Dがラック34の最端歯34Bを押圧力F2で押圧する。
【0069】
図15(B)に示すようにこの押圧力F2は、支持部34Eを長手方向に押圧する平行押圧力F3と、長手方向に対して直角に押圧する直角押圧力F4とに分力することができる。押圧力F2は支持部34Eの長手方向に対して小さい角度で作用していることから、直角押圧力F4は平行押圧力F3に比べて極めて小さな値になる。
【0070】
このようにピニオン歯33Dの押圧力F2は、そのほとんどが支持部34Eを長手方向に押圧する力として作用する。このような方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は高いため、当該支持部34Eはほとんど変形しない。このため、最端歯34Bはピニオン33Aの歯先から逃れることなく押圧力F2をラック34に伝達し、これによりラック34は引出方向kに移動する。
【0071】
そして図15(C)に示すように、ラック34の移動によって当該ラック34の第2歯34Cとピニオン33Aのピニオン歯33Eとが噛み合い、これ以降は従来のラックアンドピニオンと同様に駆動力が伝達される。
【0072】
かくしてラックアンドピニオン部7は、引出方向には歯飛びを起こすことなく確実に駆動力を伝達し得るようになされている。
【0073】
(5)動作及び効果
以上の構成において、光ピックアップ駆動装置1のラックアンドピニオン部7は、ラック34の押込方向に向かって傾斜した片持ち梁状の支持部34Eを当該ラック34の側端部34Aに形成し、当該支持部34Eによって最端歯34Bを弾性支持するようにした。さらに、光ピックアップ6が移動限界位置にあってラック34が最大限に移動した状態において、最端歯34Bのみがピニオン33Aに噛み合うようにした。
【0074】
この状態において、ピニオン33Aをラックの押込方向に回転すると、当該ピニオン33Aのピニオン歯33Cは、ラック34の最端歯34Bを支持部34Eの長手方向に対してほぼ直角に押圧する。
【0075】
この方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は低いため、支持部34Eは最端歯34Bとともに倒れ込む。これによりラックアンドピニオン部7は、押込方向に対しては容易に歯飛びを起こす。
【0076】
これに対してピニオン33Aをラックの引出方向に回転すると、当該ピニオン33Aのピニオン歯33Dは、ラック34の最端歯34Bを、支持部34Eの長手方向に対して小さい角度で押圧する。この方向の押圧力に対する支持部34Eの剛性は高いため、支持部34Eはほとんど変形することなくピニオン歯33Dの押圧力をラック34に伝達する。これによりラックアンドピニオン部7は、引出方向に対しては歯飛びを起こすことなく確実に駆動力を伝達する。
【0077】
以上の構成によれば、押込方向に傾斜した片持ち梁でなる支持部34Eによってラック34の最端歯34Bを弾性支持し、ラック34が最大限に移動した状態において当該最端歯34Bのみがピニオン33Aに噛み合うようにしたことにより、当該支持部34Eの剛性を、ラック34の押込方向には剛性が高く、引出方向には剛性が低いようにすることができる。これによりラックアンドピニオン部7は、押込方向に対しては容易に歯飛びを起こしてロックを防止するとともに歯飛び時の騒音を低減することができ、引出方向に対しては歯飛びを起こすことなく確実に駆動力を伝達することができる。
【0078】
また、ラック34の最端歯34Bのみを支持部34Eで弾性支持するようにしたことにより、当該最端歯34B以降のラック歯は剛性支持されるため、光ピックアップの移動精度を保ちつつ確実にロックを防止することができる。
【0079】
さらに、最端歯34B及び支持部34Eをラック34に一体で形成したことにより、部品点数を増加させることなく、簡易な構成で確実にロックを防止することができる。
【0080】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、支持部34Eの傾斜角θをピニオン33Aの圧力角とほぼ等しい値に選定したが、本発明はこれに限らず、要は支持部34Eがラック34の押込方向に傾斜していればよい。しかし、支持部34Eの傾斜角θが小さすぎると引出方向に対しても歯飛びを起こしてしまい、逆に傾斜角θが大きすぎると(例えば45°以上)押込方向に対して歯飛びを起こしにくくなるため、押込方向に対する歯飛びの起こし易さと引出方向に対する駆動力伝達の確実さとを勘案して支持部34Eの傾斜角θを定めればよい。
【0081】
また上述の実施の形態においては、ラック34の一端側にのみ本願発明の支持部34Eを設けるようにしたが、本発明はこれに限らず、ラック34の両端に支持部34Eを設けるようにしてもよい。
【0082】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を光ピックアップ装置1のラックアンドピニオン装置に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の種々の機器で用いられるラックアンドピニオン装置に適用することができる。
【0083】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなる最端歯支持手段で最端部のラック歯を支持し、ラックが最大限に移動した状態においてラック最端部のラック歯のみがピニオンに歯合するようにしたことにより、ラックの押込方向には容易に歯飛びを起こして確実にロックを防止し、ラックの引出方向には確実に駆動力を伝達し得るラックアンドピニオン装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップ駆動装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】軸固定構造の説明に供する略線的斜視図である。
【図3】軸の一端における固定の説明に供する略線的拡大図である。
【図4】軸の他端における固定の説明に供する略線的拡大図である。
【図5】軸の他端に作用する力の説明に供する略線図である。
【図6】軸の取り付け手順(1)を示す略線図である。
【図7】軸の取り付け手順(2)を示す略線図である。
【図8】軸の取り付け手順(3)を示す略線図である。
【図9】ブラケットの構造を示す略線図である。
【図10】ブラケットの側面構造を示す略線図である。
【図11】板ばね部が撓む様子を示す略線図である。
【図12】本発明によるラックの構造を示す略線図である。
【図13】移動限界位置におけるラックとピニオンの噛み合わせ状態を示す略線図である。
【図14】押込時における先端歯とピニオンの噛み合わせ状態を示す略線図である。
【図15】引出時における先端歯とピニオンの噛み合わせ状態を示す略線図である。
【図16】光ピックアップの送り機構部の構成を示す略線図である。
【図17】光ピックアップの移動限界位置を示す略線図である。
【図18】切り欠き歯式ロック防止機構を示す略線図である。
【符号の説明】
1……光ピックアップ駆動装置、2……シャーシ、4……軸、5……ガイドレール、6……光ピックアップ、7……ラックアンドピニオン部、8……送り機構部、31……駆動モータ、32……ウォーム、33……中間ギヤ、34……ラック、100……送り機構部、101……駆動モータ、102……軸、103……中間ギヤ、104……ウォーム、105……ラック、106……ラックアンドピニオン部、107……光ピックアップ、108A、108B……移動規制片、109……光ディスク。
Claims (7)
- ラック及び当該ラックに歯合するピニオンからなり、当該ピニオンを回転することにより当該ラックを直線運動させるラックアンドピニオン装置において、
上記ラックは、当該ラックの最端部のラック歯を弾性支持する最端歯支持手段を具える
ことを特徴とするラックアンドピニオン装置。 - 上記最端歯支持手段は、上記ラックの底面側から歯先側へ延びる、当該ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなる
ことを特徴とする請求項1に記載のラックアンドピニオン装置。 - 上記最端歯支持手段及び上記最端部のラック歯は、上記ラックの一部として一体に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のラックアンドピニオン装置。 - 上記ラックが最大限に移動した状態において、上記最端部のラック歯のみが上記ピニオンに歯合するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載のラックアンドピニオン装置。 - 所定のピニオンに歯合し、当該ピニオンの回転に応じて直線運動するラックにおいて、
当該ラックの最端部のラック歯を弾性支持する最端歯支持手段を具える
ことを特徴とするラック。 - 上記最端歯支持手段は、上記ラックの底面側から歯先側へ延びる、当該ラックの内方に向けて傾斜した片持ち梁でなる
ことを特徴とする請求項5に記載のラック。 - 上記最端歯支持手段及び上記最端部のラック歯は、上記ラックの一部として一体に形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のラック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003107007A JP2004316661A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | ラックアンドピニオン装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003107007A JP2004316661A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | ラックアンドピニオン装置 |
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ID=33469004
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101056875B1 (ko) | 2007-10-12 | 2011-08-12 | 박윤식 | 정렬수단을 갖는 랙과 피니온 조립체 |
CN103016692A (zh) * | 2012-12-12 | 2013-04-03 | 中国核电工程有限公司 | 接力驱动燃料转运装置防撞齿机构 |
CN107588163A (zh) * | 2017-09-12 | 2018-01-16 | 联想(北京)有限公司 | 一种电子设备及其调节机构 |
-
2003
- 2003-04-10 JP JP2003107007A patent/JP2004316661A/ja active Pending
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