JP2004316659A - 内燃機関のアイドル回転速度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アイドル運転中に、補機としてのパワーステアリングポンプの負荷が印加したときには、パワーステアリングポンプの負荷に相当する基本値たる補正空気量に基づいて、点火時期及び燃料噴射量等の高応答F/F制御による補正が行われる。これと並行して、吸入負圧に相当する値QH0から演算される負圧補正係数Bに基づいて、当量比φ及び負圧補正を行う補正係数(1−φ×B)を算出し、補正係数(1−φ×B)と、基本値と変動値との大きい方を選択したパワーステアリングポンプの負荷に相当する空気量と、を乗算して補正空気量を算出し、補正空気量に基づいて、スロットル弁をバイパスするバイパス通路に介装された電子制御式の開閉弁及び/又はスロットル弁を制御して、低応答F/F制御が行われる。
【選択図】 図3
Description
入空気量の補正を行う吸入空気量補正手段Kと、を含んで内燃機関のアイドル回転速度制御装置を構成した。
かかる構成によれば、機関が要求する要求空気量は、算出された空気補正量に対して、現在の空燃比に応じた補正を行って算出される。従って、空燃比の変化による要求空気量の変化分が簡単に算出される。
かかる構成によれば、現在の空燃比における機関が要求する要求空気量を算出する際に、吸入負圧に応じた補正が行われるので、全体の空気量増加による吸入負圧の低下分を補正することができ、最終的に算出される要求空気量の精度が向上する。
かかる構成によれば、空気量の補正制御に加えて、機関への吸入空気遅れを考慮した空気遅れ補正が行われるので、アイドル回転速度制御をより厳密に行うことができ、(フィードバック)制御初期における過補正が防止される。
かかる構成によれば、機関への吸入空気遅れ分を補正するのに、通常空気量と補正された通常空気量との差に基づいて、機関の点火時期又は機関への燃料供給量が補正されるの
で、請求項5記載の発明と同様に、アイドル回転速度制御をより厳密に行うことができ、(フィードバック)制御初期における過補正が効果的に防止される。
かかる構成によれば、空燃比が極めて大きい超希薄燃焼が行われる成層燃焼時であっても、補機の負荷の印加によって機関への吸入空気量が不足することがなく、機関運転性が損なわれることがない。
かかる構成によれば、アイドル運転状態において補機の負荷が印加すると、理論空然比下における補機の負荷に相当する補正空気量と、現在の空燃比において機関が要求する要求空気量と、の偏差に基づいて、機関に吸入される吸入空気量が補正される。従って、機関の燃焼状態、特に、空燃比を変化させた成層燃焼が行われる場合にも、空燃比の変化によって増量した要求空気量と補正空気量との偏差、即ち、不足する空気量に応じた空気量の補正が行われるので、補機の負荷の印加によって空気量が不足し、機関の回転速度が低下することが防止される。
請求項2記載の発明によれば、空燃比の変化による要求空気量の変化分が簡単に算出されるので、制御を複雑にすることが防止できる。
請求項4記載の発明によれば、制御初期において、空気量が不足することが防止されるので、補機の負荷の印加直後における機関の運転性を向上することができる。
請求項7記載の発明によれば、空燃比が極めて大きい成層燃焼を行うことを前提とする筒内噴射式内燃機関であっても、機関運転性を向上することができる。
図2は、本発明に係るアイドル回転速度制御装置を、筒内噴射式内燃機関に適用した一実施形態を示している。
先ず、筒内噴射式内燃機関(以下「機関」という)10の構成について説明する。ピストン11の頂面(以下「ピストン頂面」という)11aとシリンダヘッド12下面との間には、所定容積を有する燃焼室13が形成される。燃焼室13の上部に位置するシリンダヘッド12の壁面、即ち、シリンダヘッド12の下部に形成されたシリンダヘッド燃焼室13aの壁面には、吸気弁14によって開閉される吸気ポート15、及び、排気弁16によって開閉される排気ポート17が、夫々並列して2つずつ形成される。
ピストン頂面11aには、燃料噴射弁18と点火プラグ19とを結ぶ線下の位置に、開口部が上面に形成されたキャビティ20が形成される。
マイクロコンピュータ内蔵のコントロールユニット30には、機関回転速度Ne を検出するクランク角センサ31、機関温度を代表する冷却水温度Tw を検出する水温センサ32、吸入空気流量Qを検出するエアフローメータ33、電制スロットル弁23のスロットル弁開度θを検出するポテンショメータ式のスロットル弁開度センサ34、排気中の酸素濃度を検出するO2センサ35、パワーステアリングが作動しているときにONとなるパワーステアリングスイッチ36、エアコンが作動しているときにONとなるエアコンスイッチ37、ラジエータファンが作動しているときにONとなるラジエータファンスイッチ38、オルタネータが作動しているときにONとなるロードスイッチ39、エアコンのコンプレッサが作動しているときにONとなるエアコンリレー40、ラジエータファンのモータが作動しているときにONとなるラジエータファンリレー41等の信号が入力される。そして、コントロールユニット30は、入力された各種信号に基づいて検出される運転状態に応じて、電制スロットル弁23のスロットル弁開度θを制御すると共に、点火時期を設定して、設定された点火時期に可燃混合気に火花点火する制御を行う。また、パワーステアリングポンプの作動に連係して作動する第2の開閉弁27にも、パワーステアリングスイッチ36からの信号が入力される。
ス通路25を開通させる電子制御式の開閉弁を設けるようにしてもよい。
(1) 当量比φ、即ち、空燃比λの逆数(φ=1/λ)の補正
理論空燃比での燃焼においては、パワーステアリングポンプの負荷に相当する空気量を、基本的にバイパス通路25に介装された第2の開閉弁27のみで補正を行う。しかし、空燃比λが大きく、換言すると、可燃混合気中の空気量の割合が多くなる成層燃焼時には、多量の空気量が必要となり、第2の開閉弁27のみでは、図4に示すように、必要空気量に対する割合が徐々に不足するようになる。従って、この不足分を補正することが必要になり、補正量(不足分)は、次式によって算出できる。なお、以下の説明においては、第2の開閉弁27を通過する空気量を「通過空気量」と称することとする。
また、通過空気量は、機関10の空燃比λに応じて変化するため、次式によって算出される当量比補正が必要となる。
通過空気量=理論空燃比における通過空気量Y×当量比φ
(2) 吸入負圧補正
空燃比λが大きくなるに従って、機関10が必要とする空気量が増加するため、全体の空気量が増加して吸気ダクト22内の吸入負圧が小さくなる。このため、第2の開閉弁27を作動させただけでは、吸気ダクト22内を流通する空気量が減少することとなる。従って、吸入負圧に応じた通過空気量の補正が必要となり、この補正は次式によって算出される。
なお、負圧補正係数Bは、スロットル弁開度θ、機関回転数Ne 及び排気量等から算出された吸入負圧に相当する値QH0に基づいて、マップを参照して算出された係数で、0≦B≦1の範囲の値をとる。但し、吸入負圧に相当する値QH0は、吸入負圧を直接するセンサを新たに設け、このセンサから検出された値を直接使用することもできるが、演算によって求めるようにすれば、センサの増設によるコストの上昇を防止する効果がある。
理論空燃比における通過空気量Yは、パワーステアリングポンプの負荷に応じて変化するが、この負荷を直接検出することができないため、必要空気量Xと同一値とすると、補正量は次式によって算出される。
補正量=必要空気量X−必要空気量X×当量比φ×負圧補正係数B
=必要空気量X×(1−当量比φ×負圧補正係数B)
(4) 必要空気量X
パワーステアリングポンプの負荷は、図5(a) に示すように、ステアリングの転蛇量に応じて増加するが、この負荷を直接検出することができない。このため、必要空気量Xは、図5(b) に示すように、基本値(固定値)と、パワーステアリングポンプの最大負荷に相当する初期値(固定値)から時間経過に応じて初期値を減少させた変動値と、の大きい方とする。なお、初期値の減少割合は、機関10に吸入される空気量をフィードバック制御するI分変化割合相当とする。
以上の説明をまとめると、パワーステアリングポンプが作動して負荷が印加したときは、パワーステアリングポンプの負荷に相当する基本値たる補正空気量に基づいて、点火時
期及び燃料噴射量等の高応答F/F制御による補正が行われる。
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様)では、パワーステアリングスイッチ36からの信号に基づいて、パワーステアリングポンプが作動しているか否かを判断し、作動しているときはステップ2へと進み(Yes)、作動していないときはステップ8へと進む(No)。なお、この処理が負荷印加判定手段に相当する。
ステップ3では、パワーステアリングポンプの最大負荷に相当する補正空気量初期値QPSUI(固定値)、及び、所定時間経過後に、補正空気量初期値QPSUIが0になるように設定される減少割合DQPSU(固定値)を、例えば、ROMを検索して算出する。そして、次式によって、パワーステアリングポンプが作動してから時間t経過後の補正空気量QPSUを算出する。
ステップ4では、ステップ2で算出した補正空気量QPSと、ステップ3で算出した補正空気量QPSUと、を比較して大きい方を、補正空気量QPSAとして設定する。
なお、ステップ2〜ステップ4の処理が補正空気量算出手段に相当する。
ステップ5では、スロットル弁開度センサ34からのスロットル弁開度θ、クランク角センサ31からの回転速度Ne 及び機関10の排気量等に基づいて、吸気ダクト22内の吸入負圧に相当する値(以下「吸入負圧」という)QH0を算出する。なお、吸入負圧QH0は、実験等により決定された計算式、或いは、マップを参照して算出される。なお、この処理が吸入負圧検出手段に相当する。
ステップ7では、補正空気量QPSAに対して第2の開閉弁27分の当量比補正、及び、負圧補正を行う。即ち、当量比φ及び負圧補正係数Bを使用して、次式により補正吸気量QPSAをさらに補正する。
なお、ステップ5〜ステップ7の処理が要求空気量算出手段に相当し、また、ステップ
7の一部の処理が空気量偏差算出手段に相当する。
ステップ8では、エアコン、ラジエータファン、オルタネータの負荷に相当する補正空気量の補正空気量総和QLDを算出する。補正空気量総和QLDの算出は、次の手順による。
(3) ロードスイッチ39からの信号に基づいて、オルタネータが作動しているか否かを判断し、オルタネータが作動していると判断されたときは、マップを参照してオルタネータの負荷に相当する補正空気量QLDALTを算出する。この補正空気量QLDALTは、所定の固定値に設定される。
QLD=QLDAC+QLDRFN+QLDALT
ステップ9では、パワーステアリングポンプによる補正空気量QPSAと、エアコン、ラジエータファン、オルタネータによる補正空気量総和QLDと、を次式によって加算し、低応答F/F制御のために使用される補正空気量QISCを算出する。
そして、補正空気量QISCに基づいて、例えば、コントロールユニット30が、バイパス通路25に介装された第1の開閉弁26及び/又は電制スロットル弁23の開度を制御して、アイドル運転中の運転性を向上させるようにする。なお、この処理が吸入空気量補正手段に相当する。
ステップ10では、パワーステアリングスイッチ36からの信号に基づいて、パワーステアリングポンプが作動しているか否かを判断し、作動しているときはステップ11へと進み(Yes)、作動していないときはステップ14へと進む(No)。
ステップ12では、補正空気量QPSに対して空気遅れによる補正を行い、機関10に吸入される実際の空気量(以下「実空気量」という)を推定する。即ち、図6に示すような経過時間に対する補正係数のマップを参照して、判断時における補正係数を算出し、次式によって空気遅れ補正後の実空気量を算出する。
ステップ13では、第2の開閉弁26を作動させるだけでは不足する空気量を算出する。即ち、次式に示すように、パワーステアリングポンプの負荷に相当する補正空気量QP
Sから、空気遅れ補正を行った実空気量を減算し、不足する空気量を算出する。
不足する空気量=QPS−実空気量
ステップ14では、エアコン、ラジエータファン、オルタネータの負荷に相当する補正空気量の内、空気遅れによって不足する実空気量不足分を、次の手順によって算出する。
(2) ラジエータファンスイッチ38からの信号に基づいて、ラジエータファンが作動しているか否かを判断し、ラジエータファンが作動していると判断されたときは、マップを参照してラジエータファンの負荷に相当する補正空気量QLDRFNを算出する。
(4) 以上の手順により算出された補正空気量QLDAC、QLDRFN、QLDALTを次式によって加算し、補正空気量総和QLDを算出する。
(5) 補正空気量総和QLDに対して空気遅れ補正を行い、実空気量QTRQQLDを算出する。この実空気量QTRQQLDの算出方法は、ステップ12における空気遅れ補正と同様であるので、その説明は省略する。
(6) エアコンリレー40からの信号に基づいて、コンプレッサが実際に作動しているか否かを判断し、コンプレッサが実際に作動していると判断されたときは、マップを参照してコンプレッサの負荷に相当する補正空気量QLDAC’を算出する。この補正空気量QLDAC’は、コンプレッサの作動開始直後に最大となり、所定の減少割合でもって所定時間内は減少し、所定時間経過後は所定値となるように設定される。
(8) 以上の手順により算出された補正空気量QLDAC’、QLDRFN’、QLDALTを次式によって加算し、補正空気量総和QTRQESTを算出する。
(9) 補正空気量総和QTRQESTから実空気量QTRQQLDを減算して、実空気量不足分を算出する。
実空気量不足分=QTRQEST−QTRQQLD
ステップ15では、ステップ13において算出されたパワーステアリングポンプの空気量不足分と、ステップ14において算出されたエアコン、ラジエータ、オルタネータの実空気量不足分と、を次式によって加算い、高応答F/F制御のために使用される補正空気量QADVFFを算出する。
そして、補正空気量QADVFFに基づいて、例えば、コントロールユニット30が、燃料噴射弁18及び/又は点火プラグ19を制御して、空気遅れの改善を図るようにする。
以上説明したアイドル回転速度の制御によれば、アイドル運転状態において、補機としてのパワーステアリングポンプの負荷が印加すると、先ず、理論空燃比での燃焼下におけるパワーステアリングポンプの負荷に相当する補正量空気量QPSAが算出される。補正空気量QPSAには、理論空燃比での燃焼において第2の開閉弁によって増量できる最大限の補正空気量QPSと、パワーステアリングポンプの最大負荷に相当する補正空気量初期値QPSUIから時間経過に応じて減少する減少分DQPSU×tを減算した補正空気量QPSUと、を比較して大きい方の値が設定される。従って、パワーステアリングポンプの負荷が変化しても、パワーステアリングポンプの最大負荷に相当する空気量でもってアイドル回転速度制御が開始されるので、制御初期において空気量が不足することが防止され、パワーステアリングポンプの負荷の印加直後における機関の運転性を向上することができる。
18 燃料噴射弁
19 点火プラグ
23 電制スロットル弁
25 バイパス通路
26 第1の開閉弁
27 第2の開閉弁
30 コントロールユニット
36 パワーステアリングスイッチ
37 エアコンスイッチ
38 ラジエータファンスイッチ
39 ロードスイッチ
40 エアコンリレー
41 ラジエータファンリレー
Claims (8)
- 機関への吸入空気量を調整する第1の吸入空気量調整手段と、補機の負荷の印加に直接連係して、機関への吸入空気量を直接調整する第2の吸入空気量調整手段と、アイドル運転状態における機関の回転速度を目標回転速度に近づけるように、前記第1の吸入空気量調整手段により吸入空気量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、空燃比を可変とする空燃比可変手段と、を含んで構成される内燃機関のアイドル回転速度制御手段において、
前記補機の負荷が印加しているか否かを判定する負荷印加判定手段と、理論空燃比下における補機の負荷に相当する補正空気量を算出する補正空気量算出手段と、現在の空燃比において機関が要求する要求空気量を算出する要求空気量算出手段と、前記負荷印加判定手段により補機の負荷が印加していると判定されたときに、算出された補正空気量と要求空気量との偏差を算出する空気量偏差算出手段と、算出された空気量偏差に応じて、前記第1の吸入空気量調整手段により機関への吸入空気量を調整して吸入空気量の補正を行う吸入空気量補正手段と、を含んで構成されたことを特徴とする内燃機関のアイドル回転速度制御装置。 - 前記要求空気量算出手段は、前記補正空気量算出手段により算出された空気補正量に対して、現在の空燃比に応じた補正を行い、要求空気量を算出する構成である請求項1記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
- 機関の吸気通路内の吸入負圧を検出する吸入負圧検出手段を備え、
前記要求空気量算出手段は、現在の空燃比に応じた補正を行った要求空気量に対して、検出された吸入負圧に応じた補正を行い、要求空気量を算出する構成である請求項2記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。 - 前記補機の負荷が、該補機の作動状態に応じて変化する場合には、
前記補正空気量算出手段は、理論空燃比下において前記第2の吸入空気量調整手段により通常補正している空気量と、所定の初期空気量から時間経過に応じて空気量を徐々に減少させる可変空気量と、を加算して補正空気量とすると共に、前記所定の初期空気量は、該初期空気量と最大空気量との加算値が、前記補機の最大負荷に相当する空気量に設定される構成である請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。 - 機関への吸入空気遅れ分を補正する空気遅れ補正手段を備える場合には、
前記空気遅れ補正手段は、前記通常空気量に対して空気遅れを考慮した補正を行い、該補正後の通常空気量に基づいて機関への吸入空気遅れ分を補正する構成である請求項4記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。 - 前記空気遅れ補正手段は、前記通常空気量と補正された通常空気量との差に基づいて、機関の点火時期又は機関への燃料供給量を補正することにより、機関への吸入空気遅れ分を補正する構成である請求項5記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
- 前記機関は、筒内に燃料を直接噴射して点火プラグによって火花点火を行う筒内噴射式内燃機関である請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
- 理論空燃比下における補機の負荷に相当する補正空気量と、現在の空燃比において機関が要求する要求空気量と、の偏差に基づいて、機関に吸入される空気量を補正することを特徴とする内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
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