JP2004316091A - 縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造 - Google Patents

縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造 Download PDF

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Abstract

【課題】主として高齢者や要介護者などが室内の歩行時に補助又は介護用設備として使用する、縦型手摺りに続いて同縦型手摺りと壁面との間を繋ぐ横型手摺りの設置構造を提供する。
【解決手段】室内に設置された縦型手摺りに続く介護用の横型手摺りを壁との間に設置する構造において、縦型手摺りの所望高さ位置にブランチブラケットが取り付けられ、同ブラケットのパイプソケットに横型手摺りの一端部が支持され、前記横型手摺りの他端部は、壁面へ固定された壁取付ブラケットのパイプソケットに支持されている。前記ブランチブラケット及び壁取付ブラケットのパイプソケットはそれぞれ横型手摺りを支持する角度を可変であり、且つ横型手摺りの前記支持角度を固定可能に構成される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として高齢者や要介護者などが室内の歩行時に補助又は介護用設備として使用する、縦型手摺りに続いて同縦型手摺りと壁面との間を繋ぐ横型手摺りの設置構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
高齢者や要介護者などが室内の歩行時に補助又は介護用設備として使用する手摺りは、通例建物の壁面に沿って水平に設置したもの(いわゆる壁際の横型手摺り)が一般的である。したがって、利用者は壁伝いに歩行するほかなく、目的とする場所への移動距離が長い欠点がある。とりわけ大空間の部屋などの場合には、わざわざ横型手摺りを設置してある壁面まで移動して、そこにある横型手摺りに掴まって立ち上がり目的の位置、方向へ歩行するほかないので、大変不便である。よって部屋の中央部位に縦型手摺りを設置し、この縦型手摺りと一連に続いて壁との間を繋ぐ横型手摺りの設置が強く求められている。
【0003】
下記の特許文献1には、先ず縦型手摺りの設置構造が開示されている。即ち、縦型手摺りの上下の端部に天井側アタッチメントおよび床側アタッチメントを取り付け、天井側アタッチメントは部屋の天井面へ、床側アタッチメントは床面へそれぞれ、圧縮用コイルスプリングによる弾性支持機構、及びボルトナット機構による突張力調整機構を用いて突っ張り状態に取り付ける。更に念の為に、天井側アタッチメント及び床側アタッチメントと天井面、床面との間にはゴム板や両面接着テープの如き滑り止め部材を介在させる。或いは釘やビス、ボルトなどの固定部材を用いて直接的に固定する。更には天井側アタッチメントを少なくとも3本の支持体を用いて部屋の側壁へ固定する、等々の構成であることが認められる。
【0004】
同じ特許文献1の図8、図9には、上記縦型手摺りに続いて、壁面との間、又は縦型手摺り相互間を繋ぐ横型手摺りの設置構造も開示されている。図8の場合は、縦型手摺りの所定高さ位置にT型ジョイントを取り付け、横型手摺りの一端部をT型ジョイントで支持させることが開示されている。図7によれば、T型ジョイントは周知の形状、構造であることが認められる。むしろ、横型手摺りの他端を壁へ固定する手段である継手ないしアタッチメントの構成、作用についての具体的な記載の無いことが惜しまれる。図9は、2本の縦型手摺りへ前記T型ジョイントを取り付け、横型手摺りの両端を前記T型ジョイントと結合した構成であることが認められる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−314220号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の図8に開示された技術は、横型手摺りの端部を壁面へ固定する手段としての継手ないしアタッチメントの構成、作用が具体的に開示されていないので、いわゆる当業者が実施可能な技術と認めることはできない。とりわけ、横型手摺りには利用者の体重に近い負荷が上下方向の鉛直荷重及び軸線方向への軸荷重として、利用者の人数分に比例する大きさで作用すると考えられるので、そうした大荷重に絶対耐える安全性が確認されなければならない。
【0007】
横型手摺りについては、T型ジョイントと、壁面へ固定する継手ないしアタッチメントとの間に長短の過不足無く取り付ける必要がある。使用上、横型手摺りが不意に軸方向へズリ動いたり、極端な場合には抜け落ちる心配、危険があってはならないからである。その一手段として、特許文献1の縦型手摺りに開示された圧縮用コイルスプリングによる弾性支持機構、或いはボルトナット機構による突張力調整機構などを用い、横型手摺りを丁度良い長さで強固に設置する作業を行い、又は手摺りの取り替え修理や解体の自由度を確保することが考えられる。ところが、横型手摺りの場合は、利用者によって横型手摺りを軸線方向へ押し引きする荷重が大きく負荷されるので、この荷重によって微動だにしても手摺りとしての適性を欠くことになる。よって、スプリングによる弾性支持機構を採用して長さの過不足を調整する設置構造は採用し難い。
【0008】
更に、縦型手摺りに続く横型手摺りは、縦型手摺りの位置から壁面に対して垂直(直角)に配置されるとは限らない。むしろ実用上は、利用者の歩行の便利に応えるべく壁面に対し非垂直な様々な配置に結合される場合が多い。しかし、上記特許文献1の図8に開示された技術内容は、このような問題点には何も答えていない。
【0009】
本発明の目的は、建物の室内又は室外に設置された縦型手摺りと壁との間に、利用者が真に必要とする方向と配置で自由自在に設置できる横型手摺りの設置構造を提供することである。
本発明の次の目的は、ブランチブラケットと、壁取付ブラケットの2種を使用して軽便且つ迅速に、しかも高い信頼性と安全性のもとに縦型手摺りに続く形で壁との間に横型手摺りを設置する構造を提供することである。
本発明の更なる目的は、横型手摺りの設置作業はもとより、手摺りの交換修理や解体作業まで自由、自在にでき、使い勝手に優れる、縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための手段として、請求項1に記載した発明に係る縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造は、
室内に設置された縦型手摺りに続く介護用の横型手摺りを壁との間に設置する構造において、
縦型手摺りの所望高さ位置にブランチブラケットが取り付けられ、同ブラケットのパイプソケットに横型手摺りの一端部が支持されていること、
前記横型手摺りの他端部は、壁面へ固定された壁取付ブラケットのパイプソケットに支持されていること、
前記ブランチブラケット及び壁取付ブラケットのパイプソケットはそれぞれ横型手摺りを支持する角度を可変であり、且つ横型手摺りの前記支持角度を固定可能に構成されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0011】
請求項2に記載した発明に係る縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造は、
室内に設置された縦型手摺りに続く介護用の横型手摺りを壁との間に設置する構造において、
縦型手摺りの所望高さ位置にブランチブラケットが取り付けられ、同ブラケットのパイプソケットに横型手摺りの一端部が支持されていること、
前記横型手摺りの他端部は、壁面へ固定された壁取付ブラケットのパイプソケットに支持されていること、
壁取付ブラケットは、壁面に向かって固定ネジを通す複数の通孔が設けられ、前面側へ突き出された垂直な板状の支持部を有し、前記支持部の上辺は下方へ約1/4下る円弧状に形成され、更にその下部に下方へ下る傾斜状に後記ロックピンをロックするロック下辺を形成された壁固定部材と、
先端面部に前記板状の支持部へ垂直下向きに嵌め込まれる下向きにコ字形状の嵌合板を備え、横型手摺りの一端部が嵌め込まれ結合されるパイプソケットとで構成されており、
前記嵌合板の両側壁部には、先方に向かって下る傾斜状の長孔が前記支持部のロック下辺とほぼ平行状に形成され、同長孔には水平方向に通したロックピンが同長孔の長手方向へ移動自在に設置されており、
前記壁固定部材はその通孔へ通し壁面へねじ込んだ固定ネジにより壁面へ固定され、横型手摺りの一端を差し込み結合した前記パイプソケットの嵌合板が前記壁固定部材の支持部へ垂直下向きに嵌め込まれ、そのロックピンを支持部のロック下辺へ位置させて横型手摺りの支持が行われていること、をそれぞれ特徴とする。
【0012】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造において、
ブランチブラケットは、縦型手摺りを通す縦向きのパイプソケットから水平方向に支持部が突き出され、前記支持部の上面部に半球状の球状凹部を形成された主部材と、
前記支持部の球状凹部に下半部を支持される球形部と一体的に構成されたパイプソケットと、
下面部に前記球形部の上半部を支持する半球状の球状凹部が形成され、前記支持部に向かって結合ボルトを通す通孔が設けられ、更に前記球形凹部に向かって止めネジをねじ込むネジ孔が設けられており、前記支持部の上面部へ重ね合わされる蓋部材とで構成され、
支持部及び蓋部材の球状凹部内にパイプソケットの球形部が挟み込まれ、蓋部材の前記通孔へ通した結合ボルトにより支持部と蓋部材とが結合され、各々の球状凹部内にパイプソケットの球形部がパイプソケットの角度を可変に支持されており、蓋部材のネジ孔へねじ込んだ止めネジにより前記パイプソケットが横型手摺りの設置角度に固定され、同パイプソケットに横型手摺りの一端が差し込まれ結合されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明は、請求項1又は2に記載した縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造において、
ブランチブラケットは、縦型手摺りを両外側から挟む半環状のパイプソケット、及び前記半環状のパイプソケットの基端部から水平方向に突き出された半割状の支持部、並びに前記支持部の分割面に半球状の球状凹部を備えた一対の半割部材の組み合わせから成り、前記一対をなす半環状のパイプソケットの先端部には相互に噛み合わせる構造の連結部を有し、前記半割状支持部の一方に他方の支持部に向かって結合ボルトを通す通孔が設けられている主部材と、
前記一対の支持部の球状凹部に支持される球形部と一体的に構成されたパイプソケットとで構成され、
前記半環状をなす一対のパイプソケットで縦型手摺りを両外側から挟み、各々の先端部の前記連結部を噛み合わせて結合し、一対の半割状支持部の球状凹部内にパイプソケットの球形部が挟み込まれ、前記一方の支持部の通孔に通した結合ボルトにより他方の支持部との結合及び縦型手摺りとの位置決め固定が行われ、同時に前記パイプソケットが横型手摺りの設置角度に固定されており、同パイプソケットに横型手摺りの一端が差し込まれ結合されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0014】
請求項5に記載した発明は、請求項1に記載した縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造において、
壁取付ブラケットは、壁面に向かって固定ネジを通す複数の通孔が設けられており、前面側へ突き出された支持部を有し、前記支持部の上面部に半球状の球状凹部を形成された壁固定部材と、
前記球状凹部に下半部を支持される球形部と一体的に構成されたパイプソケットと、
下面部に前記球形部の上半部を支持する半球状の球状凹部が形成され、前記支持部に向かって結合ボルトを通す通孔が設けられ、前記支持部の上面部へ重ね合わされる蓋部材とで構成され、
壁固定部材の前記通孔へ通し壁面へねじ込んだ固定ネジにより壁固定部材が壁面へ固定されており、支持部及び蓋部材の球状凹部内にパイプソケットの球形部が挟み込まれ、前記蓋部材の通孔へ通した結合ボルトにより蓋部材が支持部と結合され、各々の球状凹部内にパイプソケットの球形部がパイプソケットの角度を可変に支持されており、同パイプソケットに横型手摺りの一端が差し込まれ結合されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0015】
【発明の実施形態及び実施例】
次に、請求項1及び3〜5に記載した発明に係る縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造の実施形態を、図面に基づいて説明する。
先ず図1は、縦型手摺り1と、それに続く横型手摺り2の設置構造の一例を全体図として示している。
前記縦型手摺り1の中間の横型手摺りに所望される高さ位置に設けたブランチブラケット9に横型手摺り2の一端が結合され、同横型手摺り2の他端が壁取付ブラケット8と結合して建物の壁面3へ固定されている。
縦型手摺り1及び横型手摺り2はそれぞれ、建物の壁3及び床4で区画された室内(又は室外でも可)の所望位置に、介護用を目的とした配置で設置されている。したがって、大空間の部屋であっても、縦型手摺り1を設置する位置を適正に設定することにより、高齢者や要介護者は、身近な縦型手摺り1に掴まって立ち上がり、横型手摺り2に沿って伝い歩くことにより、最短距離の移動を効率的に行える。
【0016】
図1の縦型手摺り1は、その下端部を床取付ブラケット5で建物の床面4へ固定されている。同縦型手摺り1の上端部には、複数のパイプソケットを備えたポールサポートブラケット6が取り付けられ、同ポールサポートブラケット6の前記パイプソケットに一端を固定したサポートパイプ7が、図1の場合には略直角な2方向へ略水平に配置され、各サポートパイプ7の他端を壁取付ブラケット8により建物の壁面3へ固定することにより、縦型手摺り1の上端がしっかりと充分強固に固定されている。
因みに本実施形態の場合、縦型手摺り1には外径が約42mmの合成樹脂接着被覆鋼管が使用され、横型手摺り2及びサポートパイプ7には外径が約32mmの合成樹脂接着被覆鋼管が使用されている。縦型手摺り1の床上高さは、室内を移動する人々の頭上に位置するサポートパイプ7が障害物とならない高さに自由に設定される。
【0017】
なお、図1に示す縦型手摺り1は、その上端が部屋の天井まで届く高さではなく、室内を移動する人の頭上に障害とならない高さのサポートパイプ7で支持した構成であるが、この限りではない。上記特許文献1に開示された実施例のように、建物の床と天井の間に突っ張って固定した縦型手摺りであっても良いし、その他の構造で設置された縦型手摺りであっても良い。上記の床取付ブラケット5の構成についても、縦型手摺り1を床へ固定できる構造、機能で有れば、その如何を問わない。
【0018】
次に、上記ブランチブラケット9の構成、作用等について説明する。
図2と図3に示したブランチブラケット9は、上記縦型手摺り1を通す内径で縦向きのパイプソケット10から水平方向に支持部11が突き出されており、前記支持部11の上面部に半球形状の球状凹部12を形成された主部材9Aと、前記支持部11の球状凹部12に下半部を支持される球形部13と一体的に構成されたパイプソケット14と、下面部に前記球形部13の上半部を支持する半球形状の球状凹部15が形成され、前記支持部11に向かって結合ボルト16を通す通孔17が設けられ、更に、前記球形凹部15の球心に向かって止めネジ19をねじ込むネジ孔18が設けられ前記支持部11の上面部へ重ね合わされる蓋部材20とで構成されている。
【0019】
上記縦型手摺り1を通す縦向きのパイプソケット10には、貫通させた縦型手摺り1へ位置決め固定する止めネジ21のネジ孔22が設けられている。横型手摺り2を結合するパイプソケット14にも、前記横型手摺り2と結合する止めネジ23をねじ込むネジ孔24が設けられている。支持部11の上面部には、上記結合ボルト16をねじ込むネジ孔25が設けられている。但し、ネジを切らない単なる通孔(ボルト孔)として設け、下方からナットをねじ込む構成で実施することもできる。支持部11の前記ネジ孔25の左右両側の位置には、その上に被せて結合する蓋部材20の位置決め用として、ダボ突起26が2個設けられている。一方、図示することは省略したが、蓋部材20の下面の対応位置には、前記のダボ突起26が密接に嵌り込むダボ穴が同数、同一の配置に設けられている。
【0020】
上記構成のブランチブラケット9は、先行して立てられる縦型手摺り1に予め主部材9Aのパイプソケット10を通し、支持部11を横型手摺り2の設置方向と高さ位置に定め、止めネジ21をネジ孔22へ強くねじ込んで位置決め固定する。次に、前記支持部11の球状凹部12内にパイプソケット14の球形部13を入れ、その上方から蓋部材20を球状凹部15で前記球形部13を挟むように被せ、ダボ突起26へダボ穴を嵌め合わせ重ね合わせる。そして、蓋部材20の前記通孔17へ通した結合ボルト16を支持部11のネジ孔25へねじ込み強く締め付けることにより、支持部11と蓋部材20を強固に結合して一体化する。
【0021】
その結果、両部材の球状凹部12と15内にパイプソケット14の球形部13が挟み込まれ確実に支持される。球形部13の外径を球状凹部12と15の内径よりも少し小さく設計しておくことにより、球形部13は球状凹部12と15にいわばボールジョイントの如く回転自在に支持され、パイプソケット14の角度は例えば振り角を90°として360°全方向に角度を可変に支持される。
但し、設置した横型手摺り2は、その使用上微動だにすることも許されない。そこで、上記蓋部材20のネジ孔18へ止めネジ19をねじ込み強く締め込むことにより、パイプソケット14は横型手摺り2の設置角度、方向に強固に固定される。前記のパイプソケット14に横型手摺り2の一端が差し込まれ、止めネジ23をネジ孔24へねじ込み強く締め込むことによって結合して、図3のようにブランチブラケット9の組み立てが完成される。もっとも、予めパイプソケット14に横型手摺り2の一端を差し込み止めネジ23により結合した上で、当該パイプソケット14の球形部13を球状凹部12と15の中に挟みこませ支持させる手順で実施することもできる(以上、請求項3記載の発明)。
【0022】
次に、上記壁取付ブラケット8の構成及び作用について説明する。
図4と図5に示した壁取付ブラケット8は、建物の壁面3に向かって固定ネジ44を通す複数の通孔41、41が左右2箇所に設けられ、前面側へ突き出された支持部42を有し、前記支持部42の上面部に半球形状の球状凹部43を形成された壁固定部材40と、前記球状凹部43に下半部を支持される球形部46を端面部に一体的に有する構成とされたパイプソケット45と、下面側に前記球形部46の上半部を支持する半球形状の球状凹部47が形成され、前記支持部42に向かって結合ボルト49を通す通孔48が設けられ、前記支持部42の上面部へ重ね合わされる蓋部材50とで構成されている。
【0023】
上記の壁固定部材40は、その左右2箇所の通孔41へ通して壁面3へねじ込んだ木ねじの如き固定ネジ44により壁面3へ強固に固定される。この壁固定部材40の支持部42の上面部には、上記蓋部材50の通孔48へ通した結合ボルト49をねじ込むネジ孔51が設けられている。但し、ネジを切らないで単なる通孔(ボルト孔)として設け、下方からナットをねじ込む構成で実施することもできる。前記支持部42の上面部には、前記ネジ孔51の左右両側の位置に、蓋部材50を位置決めするダボ突起52、52が設けられている。これに対し、蓋部材50の下面の対応する位置には、図示を省略したが、前記のダボ突起52が密接に嵌るダボ穴が設けられている。
【0024】
蓋部材50は、上記のダボ突起52へダボ穴を嵌め合わせる要領で支持部42の上面に重ね合わされる。このとき両部材42と50の球状凹部43と47の中へパイプソケット45の球形部46が挟み込まれる。そして、前記結合ボルト49を通孔48へ通し、支持部42のネジ孔51へねじ込み強固に締め付けることにより、蓋部材50は支持部42と結合され、同時に前記パイプソケット45の球形部46もきっちり支持される。この場合に、球形部46の外径を球状凹部43、47の内径よりも少し小さく設計しておくことにより、球形部46は球状凹部43、47によっていわばボールジョイントの如く回転自在に支持され、パイプソケット45の角度は、例えば振り角を90°として360°全方向に角度を可変に支持される。
【0025】
上記のパイプソケット45へ横型手摺り2の端部が差し込まれ、同パイプソケット45の筒壁に加工されたネジ孔53へ止めネジ54をねじ込むことにより、横型手摺り2は壁取付ブラケット8のパイプソケット45と結合され、建物の壁3へ強固に固定して支持される。もっとも、横型手摺り2は、予めパイプソケット45へ先行して差し込み、止めネジ54によって一体的に結合した後に、このパイプソケット45の球形部46を、支持部42及び蓋部材50の球状凹部43と47の中へ挟み込んで組み立てを進める手順で実施することもできる(以上、請求項5記載の発明)。
【0026】
ところで上記した図2、図3のブランチブラケット9は、パイプソケット10が完全な筒体であるため、既に設置されている縦型手摺り1へ後付けの形で横型手摺り2を設置するには不都合である。この問題点を解決したブランチブラケット9’の実施形態を図6と図7に示した。以下、これを説明する。このブランチブラケット9’は請求項4に記載した発明に係るものである。
【0027】
このブランチブラケット9’は、縦型手摺り1を両外側から挟む半環状のパイプソケット10aと、前記半環状のパイプソケット10aの基端部から水平方向に突き出された半割状の支持部11a、並びに前記支持部11aの分割面に形成された半球状の球状凹部60を備えた一対の半割部材61Aと61Bの組み合わせから成る主部材と、前記一対の支持部11a、11aの球状凹部60に挟み込まれ支持される球形部13と一体的に構成されたパイプソケット14とで構成されている。
前記一対をなす半環状のパイプソケット10a、10aの先端部には相互に噛み合わせる構造の連結部62a、62bを有し、前記半割状支持部11aの一方に、他方の支持部11aに向かって結合ボルト63を通す通孔64が設けられている。
【0028】
このブランチブラケット9’の場合は、前記半環状をなす一対のパイプソケット10a、10aで縦型手摺り1の所望高さ位置の両外側から挟み付ける。そして、各半環状パイプソケット10aの先端部に形成された、略同形の台形状をなす切り欠きと突起で構成した連結部62aと62bを相互に噛み合わせて結合する。このとき、一対の半割状支持部11a、11aの球状凹部内60、60内にパイプソケット14の球形部13を挟み込ませる。しかる上で前記一方の支持部11aの通孔64へ通した結合ボルト63を、他方の半割状支持部11aの分割面に設けてあるネジ孔67へねじ込み強く締結すると、一対をなす半割状支持部11a、11aの結合が行われ、前記締結力により縦型手摺り1に対する取り付け位置が強固に固定される。と同時に、前記パイプソケット14の球形部13も、前記の締結力により各球状凹部内60、60内で強固に締め付けられ、予め設定した横型手摺りの設置角度に強固に固定される(以上、請求項4に記載した発明)。
【0029】
前記パイプソケット14に横型手摺りの一端が差し込まれ結合されている。但し、予めパイプソケット14に横型手摺りの一端を差し込み結合しておいて、その球形部13を一対の半割状支持部11a、11aの球状凹部60、60内に挟み込み支持させる手順で実施することもできる。
なお、一対をなす半割状支持部11aの分割面には、上記通孔64及びネジ孔67の両隣位置に、両者の合体位置を確定するためのダボ突起とダボ穴68が設けられている。このダボ突起とダボ穴68を嵌め合わせて一対をなす半割状支持部11a、11aが一定の位置関係にきっちりと合体される。
【0030】
壁取付ブラケットについても、上記図4、図5の実施例に限らず、請求項5に記載した発明に係るものを使用して実施することもできる。
具体的には図8〜図10に実施形態を示した。この壁取付ブラケット8’は、本出願人の先の特許出願2002−281399号明細書と図面(図7と図8)に提案したものに等しい。
この壁取付ブラケット8’は、壁面3に向かって固定ネジ70を通す複数の通孔71が設けられ、前面側へ突き出された垂直な板状の支持部72を有する壁固定部材73と、先端面部に前記板状の支持部72へ垂直下向きに嵌め込まれる下向きにコ字形状(図8の断面形状を参照)の嵌合板75を備えたパイプソケット74とで構成されている。横型手摺り2の一端部がパイプソケット74に嵌め込まれ止めネジ76で結合される。
【0031】
前記支持部72のロック上辺72aは下方へ約1/4下る円弧状に形成されている。更にその下部には、壁固定部材73に向かって下方へ下る傾斜状に後記ロックピンをロックするロック下辺72bが形成されている。
前記嵌合板75の両側壁部には、先方に向かって下る傾斜状の長孔77が前記支持部72のロック下辺72bとほぼ平行状に形成され、同長孔77には、水平方向に通したロックピン78が同長孔77の長手方向へ移動自在に設置されている。
【0032】
この壁取付ブラケット8’の場合、前記壁固定部材73は、その通孔71へ通し壁面3へねじ込んだ固定ネジ70により壁面3へ強固に固定される。一方、予め横型手摺り2の一端を差し込み止めネジ76で結合したパイプソケット74の嵌合板75が前記壁固定部材73の支持部72へ垂直下向きに嵌め込まれる。このとき、ロックピン78を少しパイプソケット74の方へ引き寄せて支持部72のロック上辺72aを迂回させてやると、同ロックピン78は最終的にはその重量効果で長孔77内を前方へ移動して、支持部72のロック下辺72bの下へ潜り込んで止まり、嵌合板75を、ひいては横型手摺り2を位置決め固定する。但し、必要に応じて、ロックピン78を手指でパイプソケット74の方へ引き寄せて横型手摺り2を持ち上げると、簡単に外すことができる。この時は、ブランチブラケット9又は9’の止めネジか結合ボルトを予め緩めて、パイプソケットを回転自在にしておく。
【0033】
上記の構成であるから、本発明に係る縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造は、縦型手摺り1の存在を前提として、その縦型手摺り1へ取り付けたブランチブラケット9又は9’と、壁取付ブラケット8又は8’の2種を使用することにより、建物の室内又は室外の任意所望の位置、方向に、縦型手摺り1に続く横型手摺り2を設置して、高齢者や要介護者の歩行時の補助又は介護用として好適に使用出来る。
【0034】
【発明の効果】
請求項1〜5に記載した発明に係る縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造によれば、高齢者や要介護者が部屋の所望位置に立てられた縦型手摺り1に掴まり立ち上がった後は、一連の横型手摺り2に掴まり、これに支えられながら壁の位置まで歩行し、更には壁沿いに設置された横型手摺りに掴まって目的の場所へ移動することが可能となり、高齢者や要介護者の歩行時の補助又は介護用として至便に使用出来る。
【0035】
横型手摺り2は、縦型手摺り1へ取り付けたブランチブラケット9又は9’と、壁取付ブラケット8又は8’の2種を使用することにより、安価に、極めて安定な状態に設置できる。また、横型手摺り2の交換修理や解体撤去の作業まで自由自在に出来て使い勝手に優れているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造を示す全体図である。
【図2】ブランチブラケットの実施例を分解して示す斜視図である。
【図3】前記ブランチブラケットの組み立て、使用の状態を示す斜視図である。
【図4】壁取付ブラケットの実施例を分解して示す斜視図である。
【図5】前記壁取付ブラケットの組み立て、使用の状態を示す斜視図である。
【図6】ブランチブラケットの異なる実施例を分解して示す斜視図である。
【図7】前記ブランチブラケットの組み立て、使用の状態を示す斜視図である。
【図8】壁取付ブラケットの異なる実施例を示す斜視図である。
【図9】前記壁取付ブラケットの組み立て、使用の状態を示す斜視図である。
【図10】前記壁取付ブラケットの使用状態を示す一部破断した正面図である。
【符号の説明】
1 縦型手摺り
2 横型手摺り
9 ブランチブラケット
14 パイプソケット
8 壁取付ブラケット
8’ 壁取付ブラケット
70 固定ネジ
71 通孔
72 支持部
72a ロック上辺
72b ロック下辺
78 ロックピン
73 壁固定部材
75 嵌合板
74 パイプソケット
77 長孔
10 パイプソケット
11 支持部
12 球状凹部
9A 主部材
13 球形部
15 球状凹部
16 結合ボルト
17 通孔
20 蓋部材
19 止めネジ
18 ネジ孔
9’ ブランチブラケット
10a 半環状のパイプソケット
11a 半割状の支持部
60 球状凹部
61A 半割部材
61B 半割部材
62a 連結部
62b 連結部
64 通孔
44 固定ネジ
41 通孔
42 支持部
43 球状凹部
40 壁固定部材
46 球形部
47 球状凹部
49 結合ボルト
48 通孔
50 蓋部材

Claims (5)

  1. 室内に設置された縦型手摺りに続く介護用の横型手摺りを壁との間に設置する構造において、
    縦型手摺りの所望高さ位置にブランチブラケットが取り付けられ、同ブラケットのパイプソケットに横型手摺りの一端部が支持されていること、
    前記横型手摺りの他端部は、壁面へ固定された壁取付ブラケットのパイプソケットに支持されていること、
    前記ブランチブラケット及び壁取付ブラケットのパイプソケットはそれぞれ横型手摺りを支持する角度を可変であり、且つ横型手摺りの前記支持角度を固定可能に構成されていること、
    をそれぞれ特徴とする、縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造。
  2. 室内に設置された縦型手摺りに続く介護用の横型手摺りを壁との間に設置する構造において、
    縦型手摺りの所望高さ位置にブランチブラケットが取り付けられ、同ブラケットのパイプソケットに横型手摺りの一端部が支持されていること、
    前記横型手摺りの他端部は、壁面へ固定された壁取付ブラケットのパイプソケットに支持されていること、
    壁取付ブラケットは、壁面に向かって固定ネジを通す複数の通孔が設けられ、前面側へ突き出された垂直な板状の支持部を有し、前記支持部の上辺は下方へ約1/4下る円弧状に形成され、更にその下部に下方へ下る傾斜状に後記ロックピンをロックするロック下辺を形成された壁固定部材と、
    先端面部に前記板状の支持部へ垂直下向きに嵌め込まれる下向きにコ字形状の嵌合板を備え、横型手摺りの一端部が嵌め込まれ結合されるパイプソケットとで構成されており、
    前記嵌合板の両側壁部には、先方に向かって下る傾斜状の長孔が前記支持部のロック下辺とほぼ平行状に形成され、同長孔には水平方向に通したロックピンが同長孔の長手方向へ移動自在に設置されており、
    前記壁固定部材はその通孔へ通し壁面へねじ込んだ固定ネジにより壁面へ固定され、横型手摺りの一端を差し込み結合した前記パイプソケットの嵌合板が前記壁固定部材の支持部へ垂直下向きに嵌め込まれ、そのロックピンを支持部のロック下辺へ位置させて横型手摺りの支持が行われていること、
    をそれぞれ特徴とする、縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造。
  3. ブランチブラケットは、縦型手摺りを通す縦向きのパイプソケットから水平方向に支持部が突き出され、前記支持部の上面部に半球状の球状凹部を形成された主部材と、
    前記支持部の球状凹部に下半部を支持される球形部と一体的に構成されたパイプソケットと、
    下面部に前記球形部の上半部を支持する半球状の球状凹部が形成され、前記支持部に向かって結合ボルトを通す通孔が設けられ、更に前記球形凹部に向かって止めネジをねじ込むネジ孔が設けられており、前記支持部の上面部へ重ね合わされる蓋部材とで構成され、
    支持部及び蓋部材の球状凹部内にパイプソケットの球形部が挟み込まれ、蓋部材の前記通孔へ通した結合ボルトにより支持部と蓋部材とが結合され、各々の球状凹部内にパイプソケットの球形部がパイプソケットの角度を可変に支持されており、蓋部材のネジ孔へねじ込んだ止めネジにより前記パイプソケットが横型手摺りの設置角度に固定され、同パイプソケットに横型手摺りの一端が差し込まれ結合されていること、
    をそれぞれ特徴とする、請求項1又は2に記載した縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造。
  4. ブランチブラケットは、縦型手摺りを両外側から挟む半環状のパイプソケット、及び前記半環状のパイプソケットの基端部から水平方向に突き出された半割状の支持部、並びに前記支持部の分割面に半球状の球状凹部を備えた一対の半割部材の組み合わせから成り、前記一対をなす半環状のパイプソケットの先端部には相互に噛み合わせる構造の連結部を有し、前記半割状支持部の一方に他方の支持部に向かって結合ボルトを通す通孔が設けられている主部材と、
    前記一対の支持部の球状凹部に支持される球形部と一体的に構成されたパイプソケットとで構成され、
    前記半環状をなす一対のパイプソケットで縦型手摺りを両外側から挟み、各々の先端部の前記連結部を噛み合わせて結合し、一対の半割状支持部の球状凹部内にパイプソケットの球形部が挟み込まれ、前記一方の支持部の通孔に通した結合ボルトにより他方の支持部との結合及び縦型手摺りとの位置決め固定が行われ、同時に前記パイプソケットが横型手摺りの設置角度に固定されており、同パイプソケットに横型手摺りの一端が差し込まれ結合されていること、
    をそれぞれ特徴とする、請求項1又は2に記載した縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造。
  5. 壁取付ブラケットは、壁面に向かって固定ネジを通す複数の通孔が設けられており、前面側へ突き出された支持部を有し、前記支持部の上面部に半球状の球状凹部を形成された壁固定部材と、
    前記球状凹部に下半部を支持される球形部と一体的に構成されたパイプソケットと、
    下面部に前記球形部の上半部を支持する半球状の球状凹部が形成され、前記支持部に向かって結合ボルトを通す通孔が設けられ、前記支持部の上面部へ重ね合わされる蓋部材とで構成され、
    壁固定部材の前記通孔へ通し壁面へねじ込んだ固定ネジにより壁固定部材が壁面へ固定されており、支持部及び蓋部材の球状凹部内にパイプソケットの球形部が挟み込まれ、前記蓋部材の通孔へ通した結合ボルトにより蓋部材が支持部と結合され、各々の球状凹部内にパイプソケットの球形部がパイプソケットの角度を可変に支持されており、同パイプソケットに横型手摺りの一端が差し込まれ結合されていること、
    をそれぞれ特徴とする、請求項1に記載した縦型手摺りに続く横型手摺りの設置構造。
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