JP2004315606A - ポリアミド樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品光沢や漆黒度に優れ成形品光沢や漆黒度に優れ、且つ、屋外、特に降雨に曝される使用条件下でも、漆黒度の退色が少なく、ガラス繊維の浮きがない成形品を得ることができるポリアミド樹脂成形体およびそれからなる成形体を提供することである。
【解決手段】ポリアミド、ガラス繊維、ワラストナイト、タルク、カオリン、マイカから選ばれる少なくとも一種の無機充填材およびアグリゲート径が50〜120nm、一次粒子径が20nm以下のカーボンブラックを特定の量比で配合してなるポリアミド樹脂成形体とする。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形品光沢や漆黒度に優れ、且つ、屋外、特に降雨に曝される使用条件下でも、黒色の退色が少なく、ガラス繊維の浮きがない成形品を得ることができるポリアミド樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、機械的および熱的性質並びに耐油性に優れているため、自動車や電気・電子製品等の部品に広く用いられている。また、ポリアミドにガラス繊維を配合した強化ポリアミド樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性等が大きく向上することにより、従来金属製であった部品を、軽量化および工程の合理化等の観点から強化ポリアミド樹脂製とすることも可能となり、近年積極的に検討が進められている。
【0003】
特に、ガラス繊維単独、又はガラス繊維と他のワラストナイトとを併用し、高濃度に配合した強化ポリアミド材料は、得られる成形品が高い剛性を有するばかりでなく、その組合せにより、成形品の表面平滑性を高めたり、振動特性に優れた材料が得られるために、幅広い用途に利用されている。
また、耐候性を高めるためにカーボンブラック等を更に配合した例が報告されている。
ワラストナイトとしてガラス繊維のみを利用した技術では、ポリアミド、ガラス繊維、カーボンブラック及びニグロシンからなる良外観・高耐候性を有する成形品を得ることができる組成物が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
しかしながら、同号公報においては、耐候性に関し、強度の保持率についてのみ開示されているに過ぎず黒退色性やガラス繊維の浮きだし等について全く開示されていない。本発明者らの追試によると、耐候暴露後の試験片表面には無数のガラス繊維の浮き出しが認められ、黒退色性やガラス繊維の浮き出しの点において、全く不充分なものであった。
【0005】
また、ガラス繊維と他の無機充填剤とを併用した技術では半芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミド混合ポリアミドにガラス繊維及び/又は雲母、カーボンブラック、銅化合物及びハロゲン化アルカリを配合した組成物により、耐候性、機械的物性に優れた成形品が得られることが開示されている。(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)
しかしながら、この場合においても、耐候性暴露後の黒退色現象が不十分であり、特許文献3による提案では高温金型での成形に於いてのみしか優れた外観を有する成形品が得られないことからその使用用途が大きく制限されるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−370148号公報
【特許文献2】
特開2000−273299号公報
【特許文献3】
特開平6−32981号公報
【特許文献4】
特開2002−284990号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、成形品光沢や漆黒度に優れ、且つ、屋外、特に降雨に曝される使用条件下でも、黒色の退色が少なく、ガラス繊維の浮きがない成形品を得ることができるポリアミド樹脂成形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ガラス繊維、特定の無機フィラーとを併用し、ポリアミド樹脂、特に芳香環含有ポリマー単位を特定量有するポリアミド樹脂に、特定のカーボンブラックを特定量配合させた成形体が、前記本発明の課題を達成し得ることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1.下記(A)〜(D)からなるポリアミド樹脂成形体であって、(A)を30〜70重量部、(B)と(C)とを合わせて30〜70重量部、且つ(B)に対する(C)の重量比が0.2〜3の範囲にあり、更に(D)を(A)、(B)及び(C)の総量100重量部に対して0.05〜10重量部含むことを特徴とするポリアミド樹脂成形体。
【0009】
(A)(a1)半芳香族ポリアミドおよび/または(a2)脂肪族ポリアミドからなるポリアミドであって、ポリアミド中の芳香環含有ポリマー単位濃度が3〜90モル%の範囲であるポリアミド
(B)ガラス繊維
(C)ワラストナイト、タルク、カオリン、マイカから選ばれる少なくとも1種の無機充填材
(D)アグリゲート径が50〜120nm、一次粒子径が20nm以下のカーボンブラック
【0010】
2.さらに、銅化合物(E)を銅化合物中の銅を基準として(A)に対して5000ppm以下含むことを特徴とする上記1に記載のポリアミド樹脂成形体。
3.半芳香族ポリアミド(a1)が、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンアジパミド単位60〜95重量%、カプロラクタムから得られるカプラミド単位0〜10重量%、及びイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンイソフタラミド単位5〜40重量%から構成される半芳香族ポリアミドであることを特徴とする上記1または2に記載のポリアミド樹脂成形体。
4.さらに、アジン系染料(F)を(A)100重量部に対して、0.01〜2重量部含むことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形体。
【0011】
5.該ポリアミド樹脂成形体が、自動車部品であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形体。
6.該ポリアミド樹脂成形体が、アウターハンドル、アウタードアハンドル、ホイールキャップ、ルーフレール、ドアミラーベース、ルームミラーアーム、サンルーフデフレクター、ラジエーターファン、ラジエーターグリル、ベアリングリテーナー、コンソールボックス、サンバイザーアーム、スポイラー、スライドドアレールカバーから選ばれる一種以上の成形体であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形体。
以上1〜6に記載のポリアミド樹脂成形体に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の(a1)半芳香族ポリアミドについてさらに詳しく以下に説明する。
半芳香族ポリアミドとしては、結晶性半芳香族ポリアミド、又は結晶性半芳香族ポリアミドと非晶性半芳香族ポリアミドとの混合物のいずれの場合も本発明に用いることができる。
具体的な結晶性半芳香族ポリアミドの例としては、例えばテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位(以下6T成分と記す)、テレフタル酸とノナメチレンジアミンとから得られるノナメチレンテレフタラミド単位、イソフタル酸およびヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンイソフタラミド単位(以下6I成分と記す)、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるメタキシリレンアジパミド単位(以下MXD6成分と記す)から選ばれた少なくとも1つを含む半芳香族ポリアミドなどが挙げられる。
【0013】
また、前記6T成分、6I成分およびMXD6成分から選ばれた少なくとも1つと、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンアジパミド単位(以下66成分と記す)、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸から得られるポリヘキサメチレンセバカミド単位、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸から得られるポリヘキサメチレンドデカミド単位、カプロラクタムの開環重合で得られるポリカプロアミド単位(以下6成分と記す)、アミノウンデカン酸から得られるポリウンデカナミド単位、ラウリンラクタムの開環重合で得られるポリラウリナアミド単位との半芳香族共重合体等であり、これらの共重合体は、例えば、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミンおよびカプロラクタムとの共重合体のように3元以上の共重合体としてもよい。また、各単位の単独重合体および/または共重合体とのブレンド物でもかまわない。
【0014】
また、非晶性半芳香族ポリアミドの例としては、テレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド、ビス(4−アミノ−メチルヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸、カプロラクタムから得られるポリアミド、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−メチル−5−エチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸、カプロラクタムから得られる非晶性ポリアミド、等が挙げられる。
【0015】
本発明において特に好ましい半芳香族ポリアミド(a1)は、66成分が60〜95重量%、6成分が0〜10重量%および6I成分が5〜40重量%の範囲であるポリアミド66/6/6I共重合体である。
優れた成形外観を有し、耐候性に優れた成形品を得ることを考慮すると、6I成分は5重量%以上が好ましく、金型内で十分冷却時間を取らなければ、優れた表面外観を有する成形品を得るのが困難であったり、また成形品が金型から離型しにくくなり、生産性が悪くなることを考慮すると6I成分は40重量%以下が好ましい。また、吸水による機械的特性の低下や、熱時の剛性の低下する割合が大きくなることを考慮すると、6成分は10重量%以下であることが好ましい。
【0016】
次に脂肪族ポリアミド(a2)について説明する。これらの例としてはポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66/6共重合体、またはこれらのブレンド物等が挙げられる。
好ましくはポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド66/6共重合体、またはこれらのブレンド物等であり、これらのポリアミドを用いることにより、ガラス繊維及び無機フィラーの配合量が多い場合においても、外観の良好な成形品を得ることができる。
【0017】
本発明のポリアミド(A)は、(a1)半芳香族ポリアミドおよび/または(a2)脂肪族ポリアミドからなるポリアミドであって、ポリアミド(A)中の芳香環含有ポリマー単位濃度としては3〜90モル%の範囲であり、(a2)脂肪族ポリアミドと併用する際には、(a1)半芳香族ポリアミドの芳香環含有ポリマー単位濃度が90モル%を越え、99モル%以下の範囲のものも使用できる。本発明で用いる芳香環含有ポリマー単位とは、酸アミド(−CONH−)と芳香環を各々1つずつ含む繰り返し単位を意味し、具体的には、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンイソフタラミド単位、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるメタキシリレンアジパミド単位等を示すことができる。
【0018】
芳香環含有ポリマー単位は、機械的物性を考慮すると3モル%以上であることが好ましい。
芳香環含有ポリマー単位濃度の測定方法としては、例えば核磁気共鳴装置(NMRと略記することもある。)を用いて、重硫酸や重水素化トリフロロ酢酸等を溶媒として、試料であるポリアミドを溶解し測定する方法を用いてよい。
本発明においてはポリアミド樹脂成形体の濃度を2重量%となるよう溶媒として重水素化トリフロロ酢酸を用いてポリアミド成分を溶解後、Brucker社製AC−300Pを用いてH−NMRを測定した。化学シフト値を決定するに際して、テトラメチルシランを基準物質として決定した。
【0019】
ポリアミド(A)が、(a1)と(a2)とからなるとき、(a2)の含有量は、機械的物性の低下や、屋外暴露した場合の退色が大きくなることを考慮すると50重量%以下であることが好ましい。
本発明におけるポリアミドの製造は、例えばアジピン酸、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの塩から溶融重合法、固相重合法、塊状重合法、溶液重合法、またはこれらを組み合わせた方法等によって、重縮合を行う方法を利用してよい。
また、例えば、アジピン酸クロライド、イソフタル酸クロライドとヘキサメチレンジアミンから溶液重合、界面重合等の方法によってもよい。これらの中で、溶融重合もしくは溶融重合と固相重合の組み合わせによる方法が、本発明においては経済上の観点からもより好ましく用いられる。
【0020】
本発明に用いるポリアミドの分子量は、硫酸溶液粘度ηr(ポリマー1gに対して95.5%硫酸100mlを使用し、オスワルト型粘度計を用いて25℃で測定する。)で1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.0、更に好ましくは、2.0〜2.8である。樹脂成形体が脆くなり、更に、成形時にシリンダーのノズル先端からのドローリングが激しくなり成形できなくなる恐れがあることを考慮すると、ηrは1.5以上が好ましい。また樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎて成形時に金型のデザインによっては、部分的に無機充填剤の浮き上がりが見られるようになり表面光沢性が低下し易くなることを考慮すると、ηrは3.5以下が好ましい。
【0021】
本発明に用いるポリアミド(A)の好ましい末端基量は、ポリアミド1kg当たりアミノ基が10〜80ミリ当量、カルボキシル基が60〜150ミリ当量であり、さらに好ましくは、アミノ基が20〜60ミリ当量、カルボキシル基が70〜120ミリ当量である。
本発明の(B)成分であるガラス繊維は、通常熱可塑性樹脂に使用されているものを使うことができ、繊維径や長さに特に制限はなく、例えば平均繊維径が5〜30μmのチョップドストランド、ロービング、ミルドファイバーのいずれでも良い。チョップドストランドを用いる場合には、その長さが0.1から6mmの範囲で適宜選択すればよい。
【0022】
本発明で用いられるガラス繊維においては、その平均繊維径が6〜15μmの範囲にあるガラス繊維が、特に好ましく用いられる。平均繊維径がこの範囲にあるガラス繊維を用いた成形体は、機械的特性に優れ、加工装置の摩耗を低減できるため、好ましく利用できる。
またこれらのガラス繊維は、その表面に通常公知の集束剤やシラン系カップリング剤を付着させたものを用いることも好ましく利用できる。例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどを利用できる。
【0023】
本発明の(C)成分は、ワラストナイト、タルク、カオリン、マイカから選ばれる少なくとも1種の無機充填材である。
ワラストナイトは、化学名がメタケイ酸カルシウムであり、白色針状結晶の鉱物である。通常、SiOを40〜60重量%、CaOを40〜55重量%含有し、その他にFe、Al、MgO、NaO、KO等の成分を含有するものである。
【0024】
ワラストナイトは、吸油量20〜50cc/100g、嵩比重が0.1〜1.0、繊維長が0.1〜1000μm、繊維径が0.1〜50μmのものを用いることができる。
ワラストナイトの平均粒子径は、50μm以下が好ましく、さらに好ましくは5〜30μmである。成形品にした際に表面上あるいはその近傍に埋設している粒子が目視で確認できる場合も起こりうるので、平均粒子径は50μm以下であることが好ましい。
【0025】
ここでいう、平均粒子径とは、攪拌し、場合によっては更に超音波照射した純水中に透過率が85%になるように分散させたワラストナイトをレーザ回折/散乱式粒度分布装置などを用いて導出する方法において粒度分布累積の50%に相当する粒子径を示す。また、目視で確認できてしまうことを考慮すると、粒子の最大径は100μm以下であることが好ましい。
尚、これらのワラストナイトは、天然に存在するものを粉砕、場合によっては分級したものでも、合成品でも使用できる。また、ハンター白色度が60以上で、ポリアミドへの耐候性を悪化させない意味で高純水へ10%スラリーとした際のスラリーのpH値が6〜8のものを好ましく用いることができる。
【0026】
タルクは、4SiO・3MgO・HOの化学式で表され、含水ケイ酸マグネシウムと呼ばれる。通常はタルク鉱石をさまざまな手法で粉砕し、0.1〜20μm程度の粒子径のものがプラスチック用充填材として使用される。好ましいタルクの径は0.5〜5μmである。
カオリンは、化学組成がAlSi(OH)で、2八面体型1:1層状の積み重なり方が異なるカオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイトがあるがいずれも使用することができる。通常、ポリアミドに配合するカオリンは脱水した構造の焼成カオリンが成形体の揮発成分を減少させることや、成形体加工時の安定性向上の観点から好ましい。粒子径は、通常0.1〜3μm程度のものが好適に用いられる。また、白色度の高いものほど成形体の色調への影響が少なく好ましい。
【0027】
マイカは、産地や合成法により結晶構造や化学組成が異なるが特に限定されない。本発明に使用されるマイカの主成分はSiOであり、結晶構造は、SiO四面体が六角網目の板状に連なり、この板が2枚で一組となっているものである。また、その板間に八面体位をとるイオン(例えばAl3+、Mg2+)結合をしている。これをタブレットといい、これが層をなして積み重なっており、タブレット間にアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオン(例えばK、Li、Na)がイオン結合している。マイカには白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母などがあり、いずれを使用してもかまわないが、より白色に近い白雲母、人造雲母が好適に用いられる。マイカはタブレット間のイオン結合が弱いことからこれを利用して薄片状に粉砕される。この厚みの幅に対するの比率が高いほど成形体の剛性を向上できるため、好ましく使用できる。通常粒子径としては、1〜30μm程度のマイカが外観と剛性のバランスに優れるため好ましく用いることができる。
【0028】
さらに、本発明の(C)成分である無機充填材は、ポリアミドとの接着性を向上させる目的で従来公知の表面処理剤を用いてもかまわない。表面処理剤の種類としてはアミノ基やエポキシ基を含有するシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等を例示できる。このような表面処理剤は、予めワラストナイト表面に処理することもできるし、ポリアミドと無機充填材を混合する際に添加してもかまわない。
【0029】
本発明で、ガラス繊維(B)と無機充填材(C)とを合わせて30〜70重量部、且つ(B)に対する(C)の比を0.2〜3にすることが重要である。
強度剛性が不足し、金属代替可能な材料として使用することが困難となることもあることからガラス繊維(B)と無機充填材(C)との合計は30重量部以上であることが好ましい。又、成形に際して樹脂の流動性の悪化や、成形品の表面光沢性の低下や、さらには屋外に暴露された場合にガラス繊維の浮きが著しくなることなどを考慮すると70重量部以下であることが好ましい。
【0030】
また、ガラス繊維(B)に対する無機充填材(C)の重量比は、屋外に暴露された場合のガラス繊維の浮きを抑制する効果を考慮すると0.2以上であることが好ましく、金属代替可能な材料としての強度及び剛性の不足を考慮すると3以下であることが好ましい。
本発明の(D)成分であるカーボンブラックは、オイルファーネス法、ガスファーネス法、チャネル法又はサーマル法のいずれの製法で製造されたものも使用でき、特に限定されるものではない。
【0031】
本発明では、アグリゲート径を電子顕微鏡で測定されるカーボンブラック凝集粒子の長径と短径を400個以上の凝集体から測定し、円相当径に換算したものと定義し、このアグリゲート径が50〜120nmの範囲のカーボンブラックを使用したときのみ、しぼ平板と光沢平板の耐候暴露後の耐変色性(耐黒退色性)が優れるという極めて得意的な挙動を示すことを見いだしたものである。
耐候後のしぼ平板の漆黒度の退色が著しくなる傾向にあることを考慮すると、アグリゲート径は50nm以上であることが好ましく、同様に耐候後のしぼ平板の漆黒度の退色が著しくなる傾向にあることを考慮すると120nm以下であることが好ましい。この原因は明確ではないがカーボンブラックのアグリゲート径に対する吸光度のピークがこの範囲に存在することによるものと考えられる。
さらに好ましいカーボンブラックのアグリゲート径は、60〜80nmの範囲である。
【0032】
また、本発明のカーボンブラックは、一次粒子径が20nm以下のものを用いることができ、さらに好ましい一次粒子径は10〜20nmである。漆黒度の低下を考慮すると一次粒子径は20nm以下であることが好ましい。ここでいうカーボンブラックの一次粒子径は透過型もしくは走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたカーボンブラックの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。また、カーボンブラックは、日本工業規格K6221に定められた950℃で7分間加熱した際の減量(揮発分)が0.5〜5%、吸油量(ジブチルフタレートを用いた測定値)が50〜150cc/100g、窒素吸着比表面積が120〜150m/gの範囲であるものを好ましく使用できる。
【0033】
本発明におけるカーボンブラックの添加量は、ポリアミド(A)、ガラス繊維(B)およびワラストナイト(C)の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜7重量部である。耐候性試験後のガラス繊維浮き上がり(ポリマーの劣化により樹脂内部に包埋されていたガラス繊維が表面に露出し、乱反射する現象)や、黒退色の改良効果を考慮すると添加量が上記0.05重量部以上であることが好ましく、また、成形品の機械的強度、剛性等を考慮すると添加量は10重量部以下であることが好ましい。
【0034】
本発明の(E)成分である銅化合物は、高温で使用される場合、耐熱エージング性などの寿命を伸ばす作用がある。具体的な銅化合物としては、例えば、塩化銅、臭化銅、フッ化銅、ヨウ化銅、チオシアン酸銅、硝酸銅、酢酸銅、ナフテン銅、カプリン酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、アセチルアセトン銅、酸化銅(I)、及び酸化銅(II)等が挙げられ、本発明で特に好ましいのは、ヨウ化銅等のハロゲン化銅、及び酢酸銅である。
【0035】
上記銅化合物の添加量は、ポリアミド(A)に対して、銅化合物中の銅を基準として5000ppm以下、特に好ましくは50〜2000ppmである。尚、銅化合物はポリアミド(A)を構成する(a1)芳香族ポリアミドおよび(a2)脂肪族ポリアミドの両方に添加されていても、どちらか片方のみに添加されていてもかまわない。
添加量は、重合反応器、押出機、成形機等の金属に対する腐食、成形品内にインサートされた金属の腐食等を考慮すると5000ppm以下であることが好ましい。
【0036】
また、本発明において銅化合物(E)は、ヨウ素化合物と併用して用いることがより好ましい。ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化アンモニウムなどを例示でき、ヨウ素単体でも良い。より好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ素化合物の好ましい配合量は、樹脂中にヨウ素元素と銅元素のグラム原子比率([ヨウ素]/[銅])が5〜30、より好ましくは10〜25である。十分な耐候性改善効果を考慮すると5以上が好ましく、重合反応器、押出機、成形機等の金属に対する腐食、成形品内にインサートされた金属の腐食等を考慮すると30以下であることが好ましい。
本発明の(F)成分であるアジン系染料は、必ずしも必須成分ではないが黒着色剤としてカーボンブラックと併用して用いることにより成形品の光沢性をさらに向上することができる。
【0037】
アジン系染料とは、例えばアニリンとニトロベンゼンと塩酸とを主原料とし、酸化第2鉄等を触媒として得られるトリフェナジンオサジン、フェナジンアジン等のアジン系化合物の混合物であって、プラスチック、皮革等の黒着色剤として良く知られている。かかるアジン系染料としては、Nigrosine Base EXBP、Nubian Complex Black G−02、Nubian Black PA−0800、Nubian Black PA−0801、Nubian Black PA−0850、Nubian BlackPA−2800、Nubian Black PA−2801、NubianBlack PA−9800、Nubian Black PA−9801、Nubian Black PA−9811,Nubian Black PA−9802、Nubian Black PA−9803、Nubian Black EP−3、NigrosineBase EE、NigrosineBase EX、Special Black EB、NigrosineBase SA、NigrosineBase SAP、およびNigrosineBase NB、Orient Spirit BlackSB(いずれもオリエント化学社製)、Spirit Black No.850(住友化学社製)、Nigrosine Base LK(BASF社製)、NYB27620B(山陽化工社製)等の商品名で市販されているものを使用することができる。
【0038】
上記したアジン系染料の配合量は、ポリアミド(A)100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。アジン系染料の添加量は、成形品の光沢性や漆黒度の低下、さらには耐候試験後の黒の退色を考慮すると2重量部以下であることが好ましい。また、このようなアジン系染料は酸性を呈する場合が多いが、本発明に用いられるアジン系染料のpHが5以上のものがポリマーの分解を促進しない点で好ましい。
【0039】
本発明のポリアミド樹脂成形体は、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて用いられる各種の添加剤を混合し、混練して製造すればよい。
その際、配合、混合、及び混練方法やそれらの順序には特に制限はなく、通常用いられる混合機、例えばヘンシェルミキサー、タンブラー、リボンブレンダー等で混合すればよい。混練機としては、通常、単軸又は2軸の押出機が用いられる。本発明による成形品は、押出機により、通常まず上記本発明の樹脂組成物からなるペレットを製造し、このペレットを圧縮成形、射出成形、押出成形等により任意の形状に成形して所望の樹脂製品とすることによって得られる。
【0040】
本発明は射出成形条件を特に限定するものではないが、成形温度が250℃〜310℃、金型温度が40℃〜120℃で成形することが好ましい。
また、本発明の成形体は、それを得るための混合順序に特に制限はなく、例えば、(A)、(B)、(C)、(D)及び/または(E)を一括して混練する方法、(A)と(B)および/または(E)とを溶融混練後、(C)及び(D)を混練する方法等が挙げられ、また、全部を溶融混練せずに、いわゆるペレットブレンドとしては、(A)の一部、(B)及び/または(E)とを混練したものと、(A)の残りと(C)及び(D)とを混練したものを、ペレットブレンドして加工に供する方法等を例示できる。また、予め、ポリアミド(a2)にカーボンブラック(D)を高濃度で含むマスターペレットを製造しておき、これと(A)、(B)、(C)および/または(E)からなる組成物とを再混練又はペレットブレンドして用いても差し支えない。
【0041】
本発明のポリアミド樹脂成形体には、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲に於いて通常のポリアミド樹脂に添加される酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、銅フタロシアニン誘導体等の着色用染料等を添加することもできるし、他の熱可塑性樹脂をブレンドしても良い。
本発明による成形体からなる成形品は、例えば、アウタードアハンドル、ホイールキャップ、ルーフレール、ドアミラーベース、ルームミラーアーム、サンルーフデフレクター、ラジエーターファン、ラジエーターグリル、ベアリングリテーナー、コンソールボックス、サンバイザーアーム、スポイラー、スライドドアレールカバー等の自動車部品用成形品である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。尚、評価方法は下記の通りである。
[ポリアミド中の芳香環含有ポリマー単位濃度の決定]
芳香環含有ポリマー単位濃度は、ポリアミド樹脂成形体の濃度を2重量%となるように、溶媒として重水素化トリフロロ酢酸を用いてポリアミド成分を溶解後、Brucker社製AC−300Pを用いてH−NMRを測定し、プロトンピーク積分値より芳香環含有ポリマー単位濃度を算出した。測定の諸条件を以下に記す。
測定温度 30℃
パルス幅 4.4μsec
パルス繰返し時間 3.0sec
積算回数 128回
化学シフト値を決定するに際して、テトラメチルシランを基準物質として用い決定した。
【0043】
[表面光沢性]
東芝機械(株)社製IS150E射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度120℃で、充填時間が約1.5秒になるように射出圧力、及び速度を適宜調整し、100×90×3mmの射出成形板を得た。この平板を用い、光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定した。
[漆黒度]
前記射出成形板について、日本電色社製色差計ND−300Aを用いて漆黒度(L値)を測定した。
[色差(ΔE)]
後記耐候性試験前後でのしぼ平板の中央部を、日本電色社製色差計ND−300Aを用いてL、a、b値を測定し、色差(ΔE)を算出した。
【0044】
[機械的物性]
東芝機械(株)製IS−50EP射出成形機を用いて、スクリュー回転数200rpm、樹脂温度290℃の成形条件にて、厚さ3mmのASTMタイプ1を成形し、この成形片を物性測定用試料とし、それぞれASTM D638及びD790に従って引張破断強さ、及び曲げ弾性率を測定した。
[耐候性 ΔE、光沢性変化率およびガラス繊維浮き]
日精樹脂(株)社製FN3000射出成形機を用いて、しぼ平板(60mm×90mm×3mm)および光沢平板(60mm×90mm×3mm)金型を利用して射出成形板を得た。
【0045】
この射出成形板をスガ試験機(株)製WEL−SUN−DCH型サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機にてブラックパネル温度83℃、60分照射中12分間水噴霧のサイクルという条件にて500時間暴露した。
耐候試験後の評価方法としては、暴露前後の成形板色調を測定し、日本電色社製色差計ND−300Aを用いて色差を求めた。色差(ΔE)が小さい程耐候性が良好であると判断できる。
【0046】
また、しぼ平板の光沢性変化率は、暴露前後の光沢板成形品を光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定し、暴露前のグロス値を100%とした際の暴露後のグロス値を示す。
しぼ平板のガラス繊維浮きに関しては暴露後のしぼ平板を50倍ルーペで観察して評価し、ガラス繊維が確認できないものを○、ガラス繊維が視野の20%未満の範囲で確認できるものを△、及びガラス繊維が視野の20%以上で確認できるものを×として評価する。
【0047】
本発明の実施例に用いた原料を以下に示す。
Figure 2004315606
【0048】
Figure 2004315606
【0049】
Figure 2004315606
【0050】
[重合例1]
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩2.00kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.50kg、アジピン酸0.10kg、ヨウ化銅29g、ヨウ化カリウム480g及び純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。充分窒素置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は18kg/cm−Gになるが、18kg/cm−G以上の圧力にならないよう水を反応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間後内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートクレーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取り出し粉砕した。得られた粉砕ポリマーを、10Lのエバポレーターに入れ窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。固相重合によって得られたポリアミドには、ヘキサメチレンイソフタラミド単位を18.8モル%含有し、末端カルボキシル基濃度がポリマー1kg当たり102.1ミリ当量であり、末端アミノ基濃度はポリマー1kg当たり44.1ミリ当量であった。このポリアミドには銅元素を96ppm含み、また、銅含有成分とヨウ素含有成分とのモル比は19であった。
【0051】
[重合例2]
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩1.90kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.40kg、ε−カプロラクタム0.2kg、アジピン酸0.10kg、ヨウ化銅29g、ヨウ化カリウム480g及び純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。充分窒素置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は18kg/cm−Gになるが、18kg/cm−G以上の圧力にならないよう水を反応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間後内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートクレーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取り出し粉砕した。得られた粉砕ポリマーを、10Lのエバポレーターに入れ窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。固相重合によって得られたポリアミドには、ヘキサメチレンイソフタラミド単位を14.0モル%含有していた。このポリアミドには銅元素を96ppm含み、また、銅含有成分とヨウ素含有成分とのモル比は19であった。
【0052】
[重合例3]
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩1.75kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.75kg、アジピン酸0.10kg及び純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。充分窒素置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は18kg/cm−Gになるが、18kg/cm−G以上の圧力にならないよう水を反応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間後内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートクレーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取り出し粉砕した。得られた粉砕ポリマーを、10Lのエバポレーターに入れ窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。固相重合によって得られたポリアミドには、ヘキサメチレンイソフタラミド単位を27.3モル%含有し、末端カルボキシル基濃度がポリマー1kg当たり102.6ミリ当量であり、末端アミノ基濃度はポリマー1kg当たり44.3ミリ当量であった。
【0053】
【実施例1】
ポリアミドとしてA1を40重量部及びカーボンブラックD1を1.5重量部混合して、東芝機械(株)製TEM35φ2軸押出機(設定温度290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給し、更にサイドフィード口を2カ所設け、上流側のサイドフィード口よりワラストナイトとしてC1を25重量部供給し、下流側のサイドフィード口よりガラス繊維としてB1を35重量部供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド樹脂組成物を得た。
得られた組成物を前記の方法にて評価した。その組成及び評価結果を表1に示す。
耐候試験後の成形品は黒色の色差変化も小さく、ガラス繊維の浮きだしも認められない。
【0054】
【実施例2】
ポリアミドをA2に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0055】
【実施例3】
無機充填材をC2に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0056】
【実施例4】
無機充填材をC3に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0057】
【実施例5】
無機充填材をC4に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0058】
【実施例6】
ポリアミドとしてA4を50重量部、カーボンブラックD1を2.5重量部およびヨウ化銅をポリアミド全体に対して銅濃度換算で150ppm、とヨウ化カリウムを全ヨウ素に対する銅原子のモル比が20になるように混合して、東芝機械(株)製TEM35φ2軸押出機(設定温度290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給し、更にサイドフィード口を2カ所設け、上流側のサイドフィード口よりワラストナイトとしてC1を25重量部供給し、下流側のサイドフィード口よりガラス繊維としてB1を25重量部供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド樹脂組成物を得た。
得られた組成物を前記の方法にて評価した。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0059】
【比較例1】
ポリアミドとしてA5を40重量部、カーボンブラックD1を1.5重量部およびヨウ化銅をポリアミド全体に対して銅濃度換算で100ppm、とヨウ化カリウムを全ヨウ素に対する銅原子のモル比が20になるように混合して、東芝機械(株)製TEM35φ2軸押出機(設定温度290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給し、更にサイドフィード口を2カ所設け、上流側のサイドフィード口よりワラストナイトとしてC1を25重量部供給し、下流側のサイドフィード口よりガラス繊維としてB1を25重量部供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド樹脂組成物を得た。
得られた組成物を前記の方法にて評価した。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0060】
【実施例7】
ポリアミドA1の配合量を65重量部、ガラス繊維B1の配合量を10重量部およびワラストナイトC1の配合量を25重量部とした以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0061】
【実施例8】
ガラス繊維B1の配合量を45重量部、ワラストナイトC1の配合量を15重量部とした以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0062】
【比較例2】
ガラス繊維B1の配合量を60重量部および無機充填材を添加しない以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
【0063】
【比較例3】
ポリアミドA1の配合量を60重量部にし、ガラス繊維を添加しないで、ワラストナイトC1の配合量を40重量部にした以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表1に示す。
表1に示すように無機充填材を添加せず、ガラス繊維のみでは、耐候性試験後のガラス繊維の浮きが多くなり、無機充填材のみでは引張り強度や曲げ弾性率に対する改善効果が少ない。
【0064】
【実施例9】
ポリアミドとしてA1を40重量部、カーボンブラックD1を2.5重量部およびアジン系染料F1を0.3重量部混合して、東芝機械(株)製TEM35φ2軸押出機(設定温度290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給し、更にサイドフィード口を2カ所設け、上流側のサイドフィード口よりワラストナイトとしてC1を25重量部供給し、下流側のサイドフィード口よりガラス繊維としてB1を35重量部供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド樹脂組成物を得た。
得られた組成物を前記の方法にて評価した。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0065】
【実施例10】
カーボンブラックD1の配合量を0.5重量部にした以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0066】
【実施例11】
カーボンブラックD1の配合量を7.5重量部にした以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0067】
【比較例4】
カーボンブラックとしてD2を添加した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0068】
【比較例5】
カーボンブラックとしてD3を添加した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
以上のようにアグリゲート径が小さいカーボンブラックを用いると耐候試験後の漆黒度退色が大きい。
【0069】
【比較例6】
カーボンブラックD1の配合量を15重量部にした以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
以上のようにカーボンブラックの配合量が本発明の範囲を超えると引張り強度や曲げ弾性率が低下するうえ、成形品光沢が悪化する。
【0070】
【実施例12】
ポリアミドとしてA3を用い、ヨウ化銅をポリアミド全体に対して銅濃度換算で900ppm、とヨウ化カリウムを全ヨウ素に対する銅原子のモル比が20になるように混合して押出機に供給した以外は、実施例1と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0071】
【実施例13】
ヨウ化銅をポリアミド全体に対して銅濃度換算で5ppmと、ヨウ化カリウムを銅原子に対する全ヨウ素のモル比が20になるように混合して押出機に供給した以外は、実施例10と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0072】
【実施例14】
ヨウ化銅とヨウ化カリウムを使用しない以外は、実施例10と同様に実施し、ポリアミド樹脂組成物を得た。その組成及び評価結果を表2に示す。
【0073】
【表1】
Figure 2004315606
【0074】
【表2】
Figure 2004315606
【0075】
【発明の効果】
本発明のポリアミド樹脂成形体は、成形体とした場合、従来のものに比較して優れた機械的物性、成形品外観、及び耐候性を有しており、特に従来金属製品であったアウタードアハンドル、ホイールキャップ、ルーフレール、ドアミラーベース、ルームミラーアーム、サンルーフデフレクター、ラジエーターファン、ベアリングリテーナー等の自動車部品等において、降雨を含む条件でも高い漆黒度の耐退色性や耐光沢変化性を有し、ガラス繊維の浮き上がりがないことから幅広い分野に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 下記(A)〜(D)からなるポリアミド樹脂成形体であって、(A)を30〜70重量部、(B)と(C)とを合わせて30〜70重量部、且つ(B)に対する(C)の重量比が0.2〜3の範囲にあり、更に(D)を(A)、(B)及び(C)の総量100重量部に対して0.05〜10重量部含むことを特徴とするポリアミド樹脂成形体。
    (A)(a1)半芳香族ポリアミドおよび/または(a2)脂肪族ポリアミドからなるポリアミドであって、ポリアミド中の芳香環含有ポリマー単位濃度が3〜90モル%の範囲であるポリアミド
    (B)ガラス繊維
    (C)ワラストナイト、タルク、カオリン、マイカから選ばれる少なくとも1種の無機充填材
    (D)アグリゲート径が50〜120nm、一次粒子径が20nm以下のカーボンブラック
  2. さらに、銅化合物(E)を銅化合物中の銅を基準として(A)に対して5000ppm以下含むことを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂成形体。
  3. 半芳香族ポリアミド(a1)が、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンアジパミド単位60〜95重量%、カプロラクタムから得られるカプラミド単位0〜10重量%、及びイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンイソフタラミド単位5〜40重量%から構成される半芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂成形体。
  4. さらに、アジン系染料(F)を(A)100重量部に対して、0.01〜2重量部含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形体。
  5. 該ポリアミド樹脂成形体が、自動車部品であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形体。
  6. 該ポリアミド樹脂成形体が、アウターハンドル、アウタードアハンドル、ホイールキャップ、ルーフレール、ドアミラーベース、ルームミラーアーム、サンルーフデフレクター、ラジエーターファン、ラジエーターグリル、ベアリングリテーナー、コンソールボックス、サンバイザーアーム、スポイラー、スライドドアレールカバーから選ばれる一種以上の成形体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形体。
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