JP2004314858A - 折畳み式乳母車 - Google Patents
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Abstract
【課題】品質管理、強度管理、組立作業およびメンテナンスが容易な折畳み連動機構を有する折畳み式乳母車を提供する。
【解決手段】折畳み式乳母車は、後脚5と、折り曲げ可能な後脚連結部材50とを備える。後脚連結部材50は、後脚5に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように後脚5に保持された回転部52bと、1対の回転部52b間を連結し回転部52bの回転に伴って屈曲する屈曲部51,52aとを含む。乳母車は、乳母車の折畳み動作に伴って後脚5の長さ方向に移動する移動部材31,70と、移動部材31,70の上下方向の運動を回転部52bの回転運動に変換するように移動部材31,70と回転部52bとを連結する運動変更手段とを含む。運動変換手段は、らせん状に延びるガイド溝71と、このガイド溝71内に位置しガイド溝71に沿ってらせん状に移動可能なガイドピンとの組合せを含む。
【選択図】 図5
【解決手段】折畳み式乳母車は、後脚5と、折り曲げ可能な後脚連結部材50とを備える。後脚連結部材50は、後脚5に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように後脚5に保持された回転部52bと、1対の回転部52b間を連結し回転部52bの回転に伴って屈曲する屈曲部51,52aとを含む。乳母車は、乳母車の折畳み動作に伴って後脚5の長さ方向に移動する移動部材31,70と、移動部材31,70の上下方向の運動を回転部52bの回転運動に変換するように移動部材31,70と回転部52bとを連結する運動変更手段とを含む。運動変換手段は、らせん状に延びるガイド溝71と、このガイド溝71内に位置しガイド溝71に沿ってらせん状に移動可能なガイドピンとの組合せを含む。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、幅方向寸法が縮小するように折畳まれる折畳み式乳母車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この発明にとって興味ある折畳み式乳母車の基本的構造については、本件出願人による特開平10−35507号公報に記載されている。図1〜図3は、この公報に開示された乳母車を示している。図示する折畳み式乳母車は、折畳み後の状態において、開いた状態に比べて、前後方向寸法、高さ方向寸法および幅方向寸法がともに減じられ、折畳み後の状態での持ち運びおよび保管に対して、便宜が図られている。
【0003】
図1〜図3を参照して、上記の乳母車の基本的構造を説明する。
【0004】
乳母車は、1対の手摺部材1と、胴ガード2と、1対の前脚3と、1対の後脚5と、1対の押棒8と、押棒連結部材11と、1対の側棒14と、前脚連結部材17と、後脚連結部材18と、側棒連結部材19とを備える。
【0005】
胴ガード2は、1対の手摺部材1の前方端部を連結するものであり、折り曲げ可能に構成されている。好ましくは、胴ガード2は、手摺部材1に対して着脱可能とされる。
【0006】
1対の前脚3の上方端は、枢支ピン4を介して手摺部材1に回動可能に連結される。1対の後脚5の上方端も、枢支ピン4を介して手摺部材1に回動可能に連結される。1対の後脚5の長さ方向の各中央部には1対の反転部材6の一方端が、枢支ピン7を介して回動可能に連結される。反転部材6の他方端には、押棒8の下方端が枢支ピン9を介して回動可能に連結される。また、手摺部材1の後方端は、枢支ピン10を介して押棒8に回動可能に連結される。
【0007】
1対の押棒8は、折り曲げ可能な押棒連結部材11によって、その上端間が連結される。押棒連結部材11の中央部には、ロック解除操作ボタン12が下方へ突出するように設けられている。このロック解除操作ボタン12を押圧操作することにより、押棒連結部材11が折り曲げ可能な状態にされるとともに、このボタン12の操作に対してワイヤ(図示せず)を介して連動するようにされたロックブロック13が、押棒8に沿って上方へ引き上げられる。ロックブロック13は、ばね(図示せず)により、押棒8に沿って常に下方へ移動するように付勢されており、図1に示すように反転部材6の上方端に係合したとき、押棒8と反転部材6とを互いに固定し、乳母車の開いた状態をロックする。他方、乳母車の閉じた状態では、ロックブロック13が反転部材6の長さ方向の中央部に係合し、押棒8と反転部材6とを互いに固定し、乳母車の閉じた状態をロックする。
【0008】
前脚3の長さ方向中央部には、枢支ピン15を介して側棒14の前方端が回動可能に連結される。また、側棒14の後方端は、枢支ピン9を介して反転部材6の端部に回動可能に連結される。側棒14の後方端と枢支ピン9との高さの差を吸収するため、側棒16の後方端には、エンドピース16(図2)が取付けられる。
【0009】
前脚連結部材20は、枢支ピン15よりも下方の位置で1対の前脚3間を連結している。後脚連結部材18は、枢支ピン7よりも下方の位置で1対の後脚5間を連結している。側棒連結部材19は、1対の側棒14の前方部間を連結している。
【0010】
図3に示すように、前脚連結部材17は、各前脚3上でスライド可能かつ前脚3の中心軸線まわりに回転可能な1対の前脚スリーブ20と、1対の前脚スリーブ20を互いに連結する折り曲げ可能な前脚連結リンク21とを備える。各前脚スリーブ20には、らせん状に延びるガイド溝22が形成される。また、各前脚3には、このガイド溝22内に受け入れられるガイドピン23が設けられる。
【0011】
各側棒14には、枢支ピン15よりもさらに前方に張り出す側棒張出部24が形成される。図3に示すように、各側棒張出部24と前脚スリーブ20とは、前脚剛性リンク25によって互いに連結される。この前脚剛性リンク25と前脚スリーブ20とは、前脚スリーブ20の回転を許容するように連結される。すなわち、前脚スリーブ20は、前脚剛性リンク25によって上方に引き上げられると、らせん状のガイド溝22とガイドピン23との働きによって前脚3の周りを回転する。
【0012】
後脚連結部材18は、各後脚5上でスライド可能かつ後脚5の中心軸線まわりに回転可能に取付けられる1対の後脚スリーブ26と、1対の後脚スリーブ26を互いに連結する折り曲げ可能な後脚連結リンク27とを備える。各後脚スリーブ26には、らせん状に延びるガイド溝28が形成される。また、各後脚5には、ガイド溝28内に受け入れられるガイドピン29が設けられる。
【0013】
各反転部材6には、枢支ピン7よりもさらに端部側へ張り出す反転部材張出部30が形成される。各反転部材張出部30と各後脚スリーブ26とは、それぞれ、後脚剛性リンク31によって互いに連結される。後脚剛性リンク31と後脚スリーブ26とは、前脚剛性リンク25と前脚スリーブ20の関係と同様に、後脚スリーブ26の回転を許容するように連結される。
【0014】
【特許文献1】
特開平10−35507号公報(図1、図2、図3、図4)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図1〜図3に示した折畳み式乳母車の場合、折畳み動作に伴って、前脚スリーブ20および後脚スリーブ26が、それぞれ前脚3および後脚5上を上方へスライド移動しながら前脚中心軸線および後脚中心軸線周りを回転する。
【0016】
上記のような動作をスムーズに行なわせるためには、前脚3および後脚5上に嵌められる前脚スリーブ20および後脚スリーブ26の寸法を厳しく管理しなければならない。前脚スリーブ20の内面と前脚3の外面との間、または後脚スリーブ26の内面と後脚5の外面との間にごみなどが詰まると、前脚スリーブ20および後脚スリーブ26の動きがぎこちなくなる。このような事態の発生を防止するには、頻繁に清掃作業をしてごみなどを取り除かねばならない。
【0017】
さらに、前脚スリーブ20および後脚スリーブ26をそれぞれ前脚3上および後脚5上に嵌め合わす必要があるので、組立作業が煩雑である。
【0018】
また、前脚3および後脚5を取り囲んでスライド移動しながら前脚中心軸線および後脚中心軸線周りを回転する前脚スリーブ20および後脚スリーブ26に対しては、そのような動作を支障なく実現できるような強度を持たせなければならない。
【0019】
この発明の目的は、品質管理、強度管理、組立て作業およびメンテナンスが容易な折畳み連動機構を有する折畳み式乳母車を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明は、車輪を有する左右1対の脚部材と、1対の脚部材間に渡される折り曲げ可能な脚間連結部材とを備え、折畳み動作の際、脚間連結部材が折り曲げられ、かつ1対の脚部材が互いに近づけられる折畳み式乳母車を前提とし、下記の点を特徴とする。
【0021】
すなわち、脚間連結部材は、1対の脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように脚部材に保持された1対の回転部と、1対の回転部間を連結し回転部の回転に伴って屈曲する屈曲部とを含む。乳母車は、乳母車の折畳み動作に伴って1対の脚部材の長さ方向に移動する1対の移動部材と、各移動部材の上下方向の運動を回転部の回転運動に変換するように各移動部材と各回転部とを連結する運動変換手段とを含む。
【0022】
上記構成の本発明によれば、脚間連結部材の回転部を脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るようにしているので、前脚の寸法とは関係なく回転部を製作できる。従って、回転部を含む折畳み連動機構の製作が容易になり、組立て作業も単純化できる。さらに、脚間連結部材の回転部が脚部材の外面上に嵌め合わされたものではないので、メンテナンスを容易に行なうことができる。加えて、折畳み連動機構を構成する各部の寸法管理、品質管理、強度管理等が容易になる。
【0023】
運動変換手段は、好ましくは、らせん状に延びるガイド溝と、このガイド溝内に位置しガイド溝に沿ってらせん状に移動可能なガイドピンとの組合せを含む。この場合、例えば、ガイド溝は移動部材に設けられ、ガイドピンは回転部に設けられる。
【0024】
一つの実施形態では、各脚部材は、その外面に固定して設けられ、かつ回転部を回転可能に保持する固定ホルダを含む。この固定ホルダは、回転部に設けられたガイドピンを通過させる水平横溝を含む。
【0025】
移動部材は、例えば、固定部材上を上下方向にスライドするスライドケースを含む。ガイド溝はスライドケースに設けられる。
【0026】
他の実施形態として、回転部が、脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを上下に移動しながら回転するものであってもよい。
【0027】
具体的な実施形態の一例として、折畳み式乳母車は、前後方向に延びる1対の手摺部材と、その上方端が各手摺部材に回動可能に連結され、その下方端に前輪を有する1対の前脚と、その上方端が各手摺部材に回動可能に連結され、その下方端に後輪を有する1対の後脚と、その一方端が第1の枢支点で各後脚に回動可能に連結される1対の反転部材と、その下方端が各反転部材の他方端に回動可能に連結され、かつ各手摺部材の後方端に回動可能に連結されている1対の縦棒と、その前方端が第2の枢支点で各前脚に回動可能に連結され、かつその後方端が各反転部材の他方端に回動可能に連結されている1対の側棒と、1対の前脚の第2の枢支点よりも下方の位置間に渡される前脚連結部材と、1対の後脚の第1の枢支点よりも下方の位置間に渡される後脚連結部材とを備え、折畳み状態では前脚連結部材および後脚連結部材が屈曲することによって幅方向寸法が減じられる。
【0028】
上記のような基本的な構成を備える乳母車において、次のことを特徴とする。
【0029】
すなわち、後脚連結部材は、1対の後脚に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように後脚に保持された1対の後方回転部と、1対の後方回転部間を連結し後方回転部の回転に伴って屈曲する後方屈曲部とを含む。
【0030】
前脚連結部材は、1対の前脚に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように前脚に保持された1対の前方回転部と、1対の前方回転部間を連結し前方回転部の回転に伴って屈曲する前方屈曲部とを含む。
【0031】
乳母車は、さらに、1対の後脚剛性リンクと、後脚運動変換手段と、1対の前脚剛性リンクと、前脚運動変換手段とを備える。
【0032】
後脚剛性リンクは、その上方端が各反転部材に回動可能に連結され、第1の枢支点を中心とする各反転部材の回動運動に伴って各後脚の長さ方向に移動可能である。後脚運動変換手段は、各後脚剛性リンクの上下方向の運動を後方回転部の回転運動に変換するように各後脚剛性リンクと各後方回転部とを連結する。
【0033】
前脚剛性リンクは、その上方端が各側棒に回動可能に連結され、第2の枢支点を中心とする各側棒の回転運動に伴って各前脚の長さ方向に移動可能である。前脚運動変換手段は、各前脚剛性リンクの上下方向の運動を前方回転部の回転運動に変換するように各前脚剛性リンクと各前方回転部とを連結する。
【0034】
【発明の実施の形態】
図4〜図11は、この発明の一実施形態の要部を示す図である。この発明の実施形態と図1〜図3に示した乳母車とは、折畳み動作に伴って1対の前脚間および1対の後脚間の幅方向寸法を縮小させる折畳み連動機構を除いて、基本的な車体構成は実質的に同じである。また、図4〜図11において、図1〜図3で使用したものと同じ参照番号は、同一または相当の要素を示す。
【0035】
さらに、図4〜図11に示す折畳み連動機構は、1対の後脚5間の幅方向寸法を縮小させるためのものであるが、1対の前脚間の幅方向寸法を縮小させるための折畳み連動機構も実質的に同じ構造を有する。
【0036】
まず、図4および図5を参照して、1対の後脚5用の折畳み連動機構の概略構成を説明する。図4は乳母車の開状態を示し、図5は乳母車の折畳み状態を示している。
【0037】
折畳み連動機構は、1対の後脚5の側面に固定される1対の固定ホルダ60(図5参照)と、各固定ホルダ60を上から覆って上下方向にスライドし得る1対のスライドケース70と、各スライドケース70に連結された1対の後脚剛性リンク31と、1対の後脚5間(正確には1対の固定ホルダ60間)を連結する後脚連結部材50とを備える。
【0038】
後脚5は、その下端に後輪を有し、その上方端が各手摺部材1(図1〜図3参照)に回動可能に連結される。後脚連結部材50は、乳母車の開状態においては図4に示すように幅方向に直線的に延びた形態であるが、乳母車の折畳み状態においては図5に示すように屈曲した形態となり、1対の後脚5の間隔を小さくする。
【0039】
各後脚剛性リンク31は、図1〜図3に示した乳母車と同様、その上方端が各反転部材6(図1〜図3参照)に回動可能に連結される。反転部材6は第1の枢支点7で後脚5に回動可能に連結されている。各後脚剛性リンク31は、第1の枢支点7を中心とする各反転部材6の回動運動に伴って各後脚5の長さ方向に移動可能である。
【0040】
図6は、固定ホルダ60を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は(b)のD−D線断面図である。
【0041】
固定ホルダ60は、中心に円形断面の中央受入穴63を有する筒状の形態をしており、後脚5に固定して取付けられる。図7は、固定ホルダ60が後脚5に固定されている状態を示している。図示するように、固定ホルダ60は、その上方部分に穴62を有し、その中央部分に水平方向に延びる水平横溝61を有する。また、その下端部分に、係止片66を有する。固定ホルダ60の外面形状に注目すると、円筒形外面の途中に、段差凹部65が形成されている。
【0042】
図7に示すように、固定ホルダ60は、穴62内を挿通する固定ピン64を介して後脚5に固定される。固定ホルダ60に当接する後脚5の壁には開口(図示せず)が設けられており、固定ホルダ60の係止片66はこの開口を通過して後脚5の壁の内面に当接する。
【0043】
図4および図5に示すように、後脚連結部材50は、中央プレート51と、1対の側部棒状部材52とを備える。図示するように、各側部棒状部材52は、水平方向に延びその内方端が連結軸53を介して回動可能に連結された水平部分52aと、水平部分52aの外方端から垂直上方に延びる垂直部分52bとを有する。
【0044】
図7に示すように、各側部棒状部材52の垂直部分52bは、下方から固定ホルダ60の中央受入穴63内に入れられる。また、垂直部分52bの上方端部分にはガイドピン54が固定して取付けられる。このガイドピン54は、固定ホルダ60の水平横溝61を通過している。こうして、側部棒状部材52の垂直部分52bは、ガイドピン54が水平横溝61内を移動できる範囲だけ、固定ホルダ60内に回転可能に保持される。
【0045】
図4および図5から明らかなように、後脚連結部材50のうち、1対の側部棒状部材52の垂直部分52bが、1対の後脚5に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように後脚に保持された1対の回転部を構成する。また、中央プレート51と1対の側部棒状部材52の水平部分52aが、1対の回転部間を連結し回転部の回転に伴って屈曲する屈曲部を構成する。
【0046】
図8はスライドケース70を示すものであり、(a)はその正面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図示するように、スライドケース70は、C字形状の横断面を有する筒状体であり、その壁にらせん状に延びるガイド溝71を有する。スライドケース70の上端部には、穴74を有する上部突出片73が設けられている。図4及び図5に示すように、剛性リンク31の下方端が上部突出片73の穴内に入れられる。
【0047】
前述したように、各スライドケース70は、後脚5の外面に固定して取付けられた固定ホルダ60上を上下方向にスライド可能に設けられている。図8(b)に示すように、スライドケース70の壁の両端には内方張出端部72が設けられている。この内方張出端部72は、図9に示すように、固定ホルダ60の段差凹部65に係合する。内方張出端部72と段差凹部65との係合により、スライドケース70が固定ホルダ60から離れるのを阻止し、さらに、スライドケース70が固定ホルダ60上で回転することなく上下にスライドすることを可能にする。
【0048】
図4および図5に示すように、後脚連結部材50の垂直部分52bに固定されたガイドピン54は、スライドケース70のガイド溝71を通過している。
【0049】
各後脚剛性リンク31および各スライドケース70は、乳母車の折畳み動作に伴って各後脚5の長さ方向に移動する移動部材を構成する。また、らせん状に延びるガイド溝71と、このガイド溝71内に位置しガイド溝71に沿ってらせん状に移動可能なガイドピン54との組合せは、各移動部材の上下方向の運動を回転部(側部棒状部材52の垂直部分52b)の回転運動に変換するように各移動部材と各回転部とを連結する運動変換手段を構成する。
【0050】
図4、図9および図10は、乳母車の開状態に対応する図である。この状態では、側部棒状部材52の垂直部分52bに固定されたガイドピン54は、固定ホルダ60の水平横溝61の右端(図10において)およびスライドケース70のガイド溝71の上端に位置している。
【0051】
乳母車の折畳み動作に伴って各後脚剛性リンク31が上方に移動すると、スライドケース70も追随して上方に移動する。このスライドケース70の上方への移動により、らせん状に延びるガイド溝71に案内されるガイドピン54は水平横溝61内を左方に移動する。ガイドピン54は側部棒状部材52の垂直部分52bに固定されているので、ガイドピン54の左方への移動により、垂直部分52bは固定ホルダ60内で回転し、それに伴って各側部棒状部材52と中央プレート51とが屈曲した関係となる。
【0052】
図5および図11は、乳母車の折畳み状態に対応する図である。この状態では、ガイドピン54は、固定ホルダ60の水平横溝61の左端(図11において)およびスライドケース70の下端に位置している。
【0053】
図5に示すように、後脚連結部材50が屈曲した状態となることにより、1対の後脚5間の間隔が小さくなる。
【0054】
図1〜図3に示した従来の乳母車の場合、1対の後脚5間を連結する後脚連結部材18は、乳母車の折畳み動作に伴って屈曲しながら上方に移動する。このように後脚連結部材18が上下方向にスライドする構造の場合、乳母車の幅方向全体に亘って後脚連結部材18のスライドを許容し得る空間を開けておかなければならないので、設計の融通性が阻害される。しかも、後脚スリーブ26が後脚5を取り囲んだ状態で回転しながら上下にスライドするものであるので、後脚スリーブ26の寸法管理および強度管理を厳しく行なう必要があった。
【0055】
それに対して、図4〜図11に示した本発明の実施形態では、乳母車の折畳み動作に伴って、スライドケース70は回転することなく上方に移動し、後脚連結部材50の垂直部分52bは上方に移動することなく回転するだけである。すなわち、後脚連結部材50は、乳母車の折畳み動作に伴って上下に移動するものではないので、設計の融通性を確保できる。また、後脚連結部材50の回転部(垂直部分52b)が後脚5に重ならない位置にある軸線の周りを回転するものであり、しかもスライドケース70が後脚5を取り囲むような形状ではないので、それらの部品の寸法管理、強度管理が容易になる。さらに、折畳み連動機構の組立作業も容易に行なえるようになる。
【0056】
図4〜図11に示した折畳み連動機構は、後脚連結部材50に関連するものであったが、前脚連結部材に対しても実質的に同じ構造を採用し得る。この場合、前脚剛性リンクの上方端は、図1〜図3に示した従来の乳母車と同様に、例えば各側棒の側棒張出部に回動可能に連結される。
【0057】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、この発明と同一の範囲内おいて、あるいはこの発明と均等の範囲内において種々の修正や変形を加えることが可能である。そのような変形例のいくつかを以下に例示的に列挙して説明する。
【0058】
(1)図4〜図11に示した折畳み連動機構を前脚連結部材および後脚連結部材の両者に関連して設けるようにしてもよい。変形例として、図4〜図11に示したような折畳み連動機構を前脚連結部材に対してのみ適用したり、後脚連結部材に対してのみ適用したりしてもよい。
【0059】
(2)図示した実施形態では、固定ホルダ60を脚部材(後脚)とは別の部材で設けていたが、変形例として、脚部材の側面に固定ホルダに相当する部分を一体に設けたものであってもよい。
【0060】
(3)図示した実施形態では、脚間連結部材(後脚連結部材)の回転部が上下に移動することなく定点で回転するものであったが、変形例として、脚部材とは重ならない位置にある軸線の周りを回転する回転部が上下に移動しながら回転するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の乳母車を示す側面図である。
【図2】図1の乳母車の背面図である。
【図3】図1の乳母車の折畳み途中の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の折畳み連動機構を示す斜視図である。
【図5】折畳み状態にある本発明の折畳み連動機構を示す斜視図である。
【図6】折畳み連動機構の一構成要素である固定ホルダを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は(b)のD−D線断面図である。
【図7】折畳み連動機構の一部である後脚と固定ホルダと後脚連結部材の回転部との結合状態を示す斜視図である。
【図8】折畳み連動機構の一構成要素であるスライドケースを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図9】折畳み連動機構の一部を上方から見た断面図である。
【図10】折畳み連動機構の一部を示す正面図である。
【図11】折畳み連動機構の一部を示す正面図であり、スライドケースが上方に移動している状態を示している。
【符号の説明】
5 後脚、31 後脚剛性リンク、50 後脚連結部材、51 中央プレート、52 側部棒状部材、52a 水平部分、52b 垂直部分、53 連結軸、54 ガイドピン、60 固定ホルダ、61 水平横溝、62 穴、63 中央受入穴、64 固定ピン、65 段差凹部、66 係止片、70 スライドケース、71 ガイド溝、72 内方張出部、73 上部突出片、74 穴。
【発明の属する技術分野】
この発明は、幅方向寸法が縮小するように折畳まれる折畳み式乳母車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この発明にとって興味ある折畳み式乳母車の基本的構造については、本件出願人による特開平10−35507号公報に記載されている。図1〜図3は、この公報に開示された乳母車を示している。図示する折畳み式乳母車は、折畳み後の状態において、開いた状態に比べて、前後方向寸法、高さ方向寸法および幅方向寸法がともに減じられ、折畳み後の状態での持ち運びおよび保管に対して、便宜が図られている。
【0003】
図1〜図3を参照して、上記の乳母車の基本的構造を説明する。
【0004】
乳母車は、1対の手摺部材1と、胴ガード2と、1対の前脚3と、1対の後脚5と、1対の押棒8と、押棒連結部材11と、1対の側棒14と、前脚連結部材17と、後脚連結部材18と、側棒連結部材19とを備える。
【0005】
胴ガード2は、1対の手摺部材1の前方端部を連結するものであり、折り曲げ可能に構成されている。好ましくは、胴ガード2は、手摺部材1に対して着脱可能とされる。
【0006】
1対の前脚3の上方端は、枢支ピン4を介して手摺部材1に回動可能に連結される。1対の後脚5の上方端も、枢支ピン4を介して手摺部材1に回動可能に連結される。1対の後脚5の長さ方向の各中央部には1対の反転部材6の一方端が、枢支ピン7を介して回動可能に連結される。反転部材6の他方端には、押棒8の下方端が枢支ピン9を介して回動可能に連結される。また、手摺部材1の後方端は、枢支ピン10を介して押棒8に回動可能に連結される。
【0007】
1対の押棒8は、折り曲げ可能な押棒連結部材11によって、その上端間が連結される。押棒連結部材11の中央部には、ロック解除操作ボタン12が下方へ突出するように設けられている。このロック解除操作ボタン12を押圧操作することにより、押棒連結部材11が折り曲げ可能な状態にされるとともに、このボタン12の操作に対してワイヤ(図示せず)を介して連動するようにされたロックブロック13が、押棒8に沿って上方へ引き上げられる。ロックブロック13は、ばね(図示せず)により、押棒8に沿って常に下方へ移動するように付勢されており、図1に示すように反転部材6の上方端に係合したとき、押棒8と反転部材6とを互いに固定し、乳母車の開いた状態をロックする。他方、乳母車の閉じた状態では、ロックブロック13が反転部材6の長さ方向の中央部に係合し、押棒8と反転部材6とを互いに固定し、乳母車の閉じた状態をロックする。
【0008】
前脚3の長さ方向中央部には、枢支ピン15を介して側棒14の前方端が回動可能に連結される。また、側棒14の後方端は、枢支ピン9を介して反転部材6の端部に回動可能に連結される。側棒14の後方端と枢支ピン9との高さの差を吸収するため、側棒16の後方端には、エンドピース16(図2)が取付けられる。
【0009】
前脚連結部材20は、枢支ピン15よりも下方の位置で1対の前脚3間を連結している。後脚連結部材18は、枢支ピン7よりも下方の位置で1対の後脚5間を連結している。側棒連結部材19は、1対の側棒14の前方部間を連結している。
【0010】
図3に示すように、前脚連結部材17は、各前脚3上でスライド可能かつ前脚3の中心軸線まわりに回転可能な1対の前脚スリーブ20と、1対の前脚スリーブ20を互いに連結する折り曲げ可能な前脚連結リンク21とを備える。各前脚スリーブ20には、らせん状に延びるガイド溝22が形成される。また、各前脚3には、このガイド溝22内に受け入れられるガイドピン23が設けられる。
【0011】
各側棒14には、枢支ピン15よりもさらに前方に張り出す側棒張出部24が形成される。図3に示すように、各側棒張出部24と前脚スリーブ20とは、前脚剛性リンク25によって互いに連結される。この前脚剛性リンク25と前脚スリーブ20とは、前脚スリーブ20の回転を許容するように連結される。すなわち、前脚スリーブ20は、前脚剛性リンク25によって上方に引き上げられると、らせん状のガイド溝22とガイドピン23との働きによって前脚3の周りを回転する。
【0012】
後脚連結部材18は、各後脚5上でスライド可能かつ後脚5の中心軸線まわりに回転可能に取付けられる1対の後脚スリーブ26と、1対の後脚スリーブ26を互いに連結する折り曲げ可能な後脚連結リンク27とを備える。各後脚スリーブ26には、らせん状に延びるガイド溝28が形成される。また、各後脚5には、ガイド溝28内に受け入れられるガイドピン29が設けられる。
【0013】
各反転部材6には、枢支ピン7よりもさらに端部側へ張り出す反転部材張出部30が形成される。各反転部材張出部30と各後脚スリーブ26とは、それぞれ、後脚剛性リンク31によって互いに連結される。後脚剛性リンク31と後脚スリーブ26とは、前脚剛性リンク25と前脚スリーブ20の関係と同様に、後脚スリーブ26の回転を許容するように連結される。
【0014】
【特許文献1】
特開平10−35507号公報(図1、図2、図3、図4)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図1〜図3に示した折畳み式乳母車の場合、折畳み動作に伴って、前脚スリーブ20および後脚スリーブ26が、それぞれ前脚3および後脚5上を上方へスライド移動しながら前脚中心軸線および後脚中心軸線周りを回転する。
【0016】
上記のような動作をスムーズに行なわせるためには、前脚3および後脚5上に嵌められる前脚スリーブ20および後脚スリーブ26の寸法を厳しく管理しなければならない。前脚スリーブ20の内面と前脚3の外面との間、または後脚スリーブ26の内面と後脚5の外面との間にごみなどが詰まると、前脚スリーブ20および後脚スリーブ26の動きがぎこちなくなる。このような事態の発生を防止するには、頻繁に清掃作業をしてごみなどを取り除かねばならない。
【0017】
さらに、前脚スリーブ20および後脚スリーブ26をそれぞれ前脚3上および後脚5上に嵌め合わす必要があるので、組立作業が煩雑である。
【0018】
また、前脚3および後脚5を取り囲んでスライド移動しながら前脚中心軸線および後脚中心軸線周りを回転する前脚スリーブ20および後脚スリーブ26に対しては、そのような動作を支障なく実現できるような強度を持たせなければならない。
【0019】
この発明の目的は、品質管理、強度管理、組立て作業およびメンテナンスが容易な折畳み連動機構を有する折畳み式乳母車を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明は、車輪を有する左右1対の脚部材と、1対の脚部材間に渡される折り曲げ可能な脚間連結部材とを備え、折畳み動作の際、脚間連結部材が折り曲げられ、かつ1対の脚部材が互いに近づけられる折畳み式乳母車を前提とし、下記の点を特徴とする。
【0021】
すなわち、脚間連結部材は、1対の脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように脚部材に保持された1対の回転部と、1対の回転部間を連結し回転部の回転に伴って屈曲する屈曲部とを含む。乳母車は、乳母車の折畳み動作に伴って1対の脚部材の長さ方向に移動する1対の移動部材と、各移動部材の上下方向の運動を回転部の回転運動に変換するように各移動部材と各回転部とを連結する運動変換手段とを含む。
【0022】
上記構成の本発明によれば、脚間連結部材の回転部を脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るようにしているので、前脚の寸法とは関係なく回転部を製作できる。従って、回転部を含む折畳み連動機構の製作が容易になり、組立て作業も単純化できる。さらに、脚間連結部材の回転部が脚部材の外面上に嵌め合わされたものではないので、メンテナンスを容易に行なうことができる。加えて、折畳み連動機構を構成する各部の寸法管理、品質管理、強度管理等が容易になる。
【0023】
運動変換手段は、好ましくは、らせん状に延びるガイド溝と、このガイド溝内に位置しガイド溝に沿ってらせん状に移動可能なガイドピンとの組合せを含む。この場合、例えば、ガイド溝は移動部材に設けられ、ガイドピンは回転部に設けられる。
【0024】
一つの実施形態では、各脚部材は、その外面に固定して設けられ、かつ回転部を回転可能に保持する固定ホルダを含む。この固定ホルダは、回転部に設けられたガイドピンを通過させる水平横溝を含む。
【0025】
移動部材は、例えば、固定部材上を上下方向にスライドするスライドケースを含む。ガイド溝はスライドケースに設けられる。
【0026】
他の実施形態として、回転部が、脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを上下に移動しながら回転するものであってもよい。
【0027】
具体的な実施形態の一例として、折畳み式乳母車は、前後方向に延びる1対の手摺部材と、その上方端が各手摺部材に回動可能に連結され、その下方端に前輪を有する1対の前脚と、その上方端が各手摺部材に回動可能に連結され、その下方端に後輪を有する1対の後脚と、その一方端が第1の枢支点で各後脚に回動可能に連結される1対の反転部材と、その下方端が各反転部材の他方端に回動可能に連結され、かつ各手摺部材の後方端に回動可能に連結されている1対の縦棒と、その前方端が第2の枢支点で各前脚に回動可能に連結され、かつその後方端が各反転部材の他方端に回動可能に連結されている1対の側棒と、1対の前脚の第2の枢支点よりも下方の位置間に渡される前脚連結部材と、1対の後脚の第1の枢支点よりも下方の位置間に渡される後脚連結部材とを備え、折畳み状態では前脚連結部材および後脚連結部材が屈曲することによって幅方向寸法が減じられる。
【0028】
上記のような基本的な構成を備える乳母車において、次のことを特徴とする。
【0029】
すなわち、後脚連結部材は、1対の後脚に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように後脚に保持された1対の後方回転部と、1対の後方回転部間を連結し後方回転部の回転に伴って屈曲する後方屈曲部とを含む。
【0030】
前脚連結部材は、1対の前脚に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように前脚に保持された1対の前方回転部と、1対の前方回転部間を連結し前方回転部の回転に伴って屈曲する前方屈曲部とを含む。
【0031】
乳母車は、さらに、1対の後脚剛性リンクと、後脚運動変換手段と、1対の前脚剛性リンクと、前脚運動変換手段とを備える。
【0032】
後脚剛性リンクは、その上方端が各反転部材に回動可能に連結され、第1の枢支点を中心とする各反転部材の回動運動に伴って各後脚の長さ方向に移動可能である。後脚運動変換手段は、各後脚剛性リンクの上下方向の運動を後方回転部の回転運動に変換するように各後脚剛性リンクと各後方回転部とを連結する。
【0033】
前脚剛性リンクは、その上方端が各側棒に回動可能に連結され、第2の枢支点を中心とする各側棒の回転運動に伴って各前脚の長さ方向に移動可能である。前脚運動変換手段は、各前脚剛性リンクの上下方向の運動を前方回転部の回転運動に変換するように各前脚剛性リンクと各前方回転部とを連結する。
【0034】
【発明の実施の形態】
図4〜図11は、この発明の一実施形態の要部を示す図である。この発明の実施形態と図1〜図3に示した乳母車とは、折畳み動作に伴って1対の前脚間および1対の後脚間の幅方向寸法を縮小させる折畳み連動機構を除いて、基本的な車体構成は実質的に同じである。また、図4〜図11において、図1〜図3で使用したものと同じ参照番号は、同一または相当の要素を示す。
【0035】
さらに、図4〜図11に示す折畳み連動機構は、1対の後脚5間の幅方向寸法を縮小させるためのものであるが、1対の前脚間の幅方向寸法を縮小させるための折畳み連動機構も実質的に同じ構造を有する。
【0036】
まず、図4および図5を参照して、1対の後脚5用の折畳み連動機構の概略構成を説明する。図4は乳母車の開状態を示し、図5は乳母車の折畳み状態を示している。
【0037】
折畳み連動機構は、1対の後脚5の側面に固定される1対の固定ホルダ60(図5参照)と、各固定ホルダ60を上から覆って上下方向にスライドし得る1対のスライドケース70と、各スライドケース70に連結された1対の後脚剛性リンク31と、1対の後脚5間(正確には1対の固定ホルダ60間)を連結する後脚連結部材50とを備える。
【0038】
後脚5は、その下端に後輪を有し、その上方端が各手摺部材1(図1〜図3参照)に回動可能に連結される。後脚連結部材50は、乳母車の開状態においては図4に示すように幅方向に直線的に延びた形態であるが、乳母車の折畳み状態においては図5に示すように屈曲した形態となり、1対の後脚5の間隔を小さくする。
【0039】
各後脚剛性リンク31は、図1〜図3に示した乳母車と同様、その上方端が各反転部材6(図1〜図3参照)に回動可能に連結される。反転部材6は第1の枢支点7で後脚5に回動可能に連結されている。各後脚剛性リンク31は、第1の枢支点7を中心とする各反転部材6の回動運動に伴って各後脚5の長さ方向に移動可能である。
【0040】
図6は、固定ホルダ60を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は(b)のD−D線断面図である。
【0041】
固定ホルダ60は、中心に円形断面の中央受入穴63を有する筒状の形態をしており、後脚5に固定して取付けられる。図7は、固定ホルダ60が後脚5に固定されている状態を示している。図示するように、固定ホルダ60は、その上方部分に穴62を有し、その中央部分に水平方向に延びる水平横溝61を有する。また、その下端部分に、係止片66を有する。固定ホルダ60の外面形状に注目すると、円筒形外面の途中に、段差凹部65が形成されている。
【0042】
図7に示すように、固定ホルダ60は、穴62内を挿通する固定ピン64を介して後脚5に固定される。固定ホルダ60に当接する後脚5の壁には開口(図示せず)が設けられており、固定ホルダ60の係止片66はこの開口を通過して後脚5の壁の内面に当接する。
【0043】
図4および図5に示すように、後脚連結部材50は、中央プレート51と、1対の側部棒状部材52とを備える。図示するように、各側部棒状部材52は、水平方向に延びその内方端が連結軸53を介して回動可能に連結された水平部分52aと、水平部分52aの外方端から垂直上方に延びる垂直部分52bとを有する。
【0044】
図7に示すように、各側部棒状部材52の垂直部分52bは、下方から固定ホルダ60の中央受入穴63内に入れられる。また、垂直部分52bの上方端部分にはガイドピン54が固定して取付けられる。このガイドピン54は、固定ホルダ60の水平横溝61を通過している。こうして、側部棒状部材52の垂直部分52bは、ガイドピン54が水平横溝61内を移動できる範囲だけ、固定ホルダ60内に回転可能に保持される。
【0045】
図4および図5から明らかなように、後脚連結部材50のうち、1対の側部棒状部材52の垂直部分52bが、1対の後脚5に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように後脚に保持された1対の回転部を構成する。また、中央プレート51と1対の側部棒状部材52の水平部分52aが、1対の回転部間を連結し回転部の回転に伴って屈曲する屈曲部を構成する。
【0046】
図8はスライドケース70を示すものであり、(a)はその正面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図示するように、スライドケース70は、C字形状の横断面を有する筒状体であり、その壁にらせん状に延びるガイド溝71を有する。スライドケース70の上端部には、穴74を有する上部突出片73が設けられている。図4及び図5に示すように、剛性リンク31の下方端が上部突出片73の穴内に入れられる。
【0047】
前述したように、各スライドケース70は、後脚5の外面に固定して取付けられた固定ホルダ60上を上下方向にスライド可能に設けられている。図8(b)に示すように、スライドケース70の壁の両端には内方張出端部72が設けられている。この内方張出端部72は、図9に示すように、固定ホルダ60の段差凹部65に係合する。内方張出端部72と段差凹部65との係合により、スライドケース70が固定ホルダ60から離れるのを阻止し、さらに、スライドケース70が固定ホルダ60上で回転することなく上下にスライドすることを可能にする。
【0048】
図4および図5に示すように、後脚連結部材50の垂直部分52bに固定されたガイドピン54は、スライドケース70のガイド溝71を通過している。
【0049】
各後脚剛性リンク31および各スライドケース70は、乳母車の折畳み動作に伴って各後脚5の長さ方向に移動する移動部材を構成する。また、らせん状に延びるガイド溝71と、このガイド溝71内に位置しガイド溝71に沿ってらせん状に移動可能なガイドピン54との組合せは、各移動部材の上下方向の運動を回転部(側部棒状部材52の垂直部分52b)の回転運動に変換するように各移動部材と各回転部とを連結する運動変換手段を構成する。
【0050】
図4、図9および図10は、乳母車の開状態に対応する図である。この状態では、側部棒状部材52の垂直部分52bに固定されたガイドピン54は、固定ホルダ60の水平横溝61の右端(図10において)およびスライドケース70のガイド溝71の上端に位置している。
【0051】
乳母車の折畳み動作に伴って各後脚剛性リンク31が上方に移動すると、スライドケース70も追随して上方に移動する。このスライドケース70の上方への移動により、らせん状に延びるガイド溝71に案内されるガイドピン54は水平横溝61内を左方に移動する。ガイドピン54は側部棒状部材52の垂直部分52bに固定されているので、ガイドピン54の左方への移動により、垂直部分52bは固定ホルダ60内で回転し、それに伴って各側部棒状部材52と中央プレート51とが屈曲した関係となる。
【0052】
図5および図11は、乳母車の折畳み状態に対応する図である。この状態では、ガイドピン54は、固定ホルダ60の水平横溝61の左端(図11において)およびスライドケース70の下端に位置している。
【0053】
図5に示すように、後脚連結部材50が屈曲した状態となることにより、1対の後脚5間の間隔が小さくなる。
【0054】
図1〜図3に示した従来の乳母車の場合、1対の後脚5間を連結する後脚連結部材18は、乳母車の折畳み動作に伴って屈曲しながら上方に移動する。このように後脚連結部材18が上下方向にスライドする構造の場合、乳母車の幅方向全体に亘って後脚連結部材18のスライドを許容し得る空間を開けておかなければならないので、設計の融通性が阻害される。しかも、後脚スリーブ26が後脚5を取り囲んだ状態で回転しながら上下にスライドするものであるので、後脚スリーブ26の寸法管理および強度管理を厳しく行なう必要があった。
【0055】
それに対して、図4〜図11に示した本発明の実施形態では、乳母車の折畳み動作に伴って、スライドケース70は回転することなく上方に移動し、後脚連結部材50の垂直部分52bは上方に移動することなく回転するだけである。すなわち、後脚連結部材50は、乳母車の折畳み動作に伴って上下に移動するものではないので、設計の融通性を確保できる。また、後脚連結部材50の回転部(垂直部分52b)が後脚5に重ならない位置にある軸線の周りを回転するものであり、しかもスライドケース70が後脚5を取り囲むような形状ではないので、それらの部品の寸法管理、強度管理が容易になる。さらに、折畳み連動機構の組立作業も容易に行なえるようになる。
【0056】
図4〜図11に示した折畳み連動機構は、後脚連結部材50に関連するものであったが、前脚連結部材に対しても実質的に同じ構造を採用し得る。この場合、前脚剛性リンクの上方端は、図1〜図3に示した従来の乳母車と同様に、例えば各側棒の側棒張出部に回動可能に連結される。
【0057】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、この発明と同一の範囲内おいて、あるいはこの発明と均等の範囲内において種々の修正や変形を加えることが可能である。そのような変形例のいくつかを以下に例示的に列挙して説明する。
【0058】
(1)図4〜図11に示した折畳み連動機構を前脚連結部材および後脚連結部材の両者に関連して設けるようにしてもよい。変形例として、図4〜図11に示したような折畳み連動機構を前脚連結部材に対してのみ適用したり、後脚連結部材に対してのみ適用したりしてもよい。
【0059】
(2)図示した実施形態では、固定ホルダ60を脚部材(後脚)とは別の部材で設けていたが、変形例として、脚部材の側面に固定ホルダに相当する部分を一体に設けたものであってもよい。
【0060】
(3)図示した実施形態では、脚間連結部材(後脚連結部材)の回転部が上下に移動することなく定点で回転するものであったが、変形例として、脚部材とは重ならない位置にある軸線の周りを回転する回転部が上下に移動しながら回転するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の乳母車を示す側面図である。
【図2】図1の乳母車の背面図である。
【図3】図1の乳母車の折畳み途中の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の折畳み連動機構を示す斜視図である。
【図5】折畳み状態にある本発明の折畳み連動機構を示す斜視図である。
【図6】折畳み連動機構の一構成要素である固定ホルダを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は(b)のD−D線断面図である。
【図7】折畳み連動機構の一部である後脚と固定ホルダと後脚連結部材の回転部との結合状態を示す斜視図である。
【図8】折畳み連動機構の一構成要素であるスライドケースを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図9】折畳み連動機構の一部を上方から見た断面図である。
【図10】折畳み連動機構の一部を示す正面図である。
【図11】折畳み連動機構の一部を示す正面図であり、スライドケースが上方に移動している状態を示している。
【符号の説明】
5 後脚、31 後脚剛性リンク、50 後脚連結部材、51 中央プレート、52 側部棒状部材、52a 水平部分、52b 垂直部分、53 連結軸、54 ガイドピン、60 固定ホルダ、61 水平横溝、62 穴、63 中央受入穴、64 固定ピン、65 段差凹部、66 係止片、70 スライドケース、71 ガイド溝、72 内方張出部、73 上部突出片、74 穴。
Claims (7)
- 車輪を有する左右1対の脚部材と、前記1対の脚部材間に渡される折り曲げ可能な脚間連結部材とを備え、折畳み動作の際、前記脚間連結部材が折り曲げられ、かつ前記1対の脚部材が互いに近づけられる折畳み式乳母車において、
前記脚間連結部材は、前記1対の脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように脚部材に保持された1対の回転部と、前記1対の回転部間を連結し回転部の回転に伴って屈曲する屈曲部とを含み、
当該乳母車は、乳母車の折畳み動作に伴って前記1対の脚部材の長さ方向に移動する1対の移動部材と、前記各移動部材の上下方向の運動を前記回転部の回転運動に変換するように前記各移動部材と前記各回転部とを連結する運動変換手段とを含むことを特徴とする、折畳み式乳母車。 - 前記運動変換手段は、らせん状に延びるガイド溝と、このガイド溝内に位置しガイド溝に沿ってらせん状に移動可能なガイドピンとの組合せを含む、請求項1に記載の折畳み式乳母車。
- 前記ガイド溝は前記移動部材に設けられ、前記ガイドピンは前記回転部に設けられる、請求項2に記載の折畳み式乳母車。
- 前記各脚部材は、その外面に固定して設けられ、かつ前記回転部を回転可能に保持する固定ホルダを含み、
前記固定ホルダは、前記回転部に設けられたガイドピンを通過させる水平横溝を含む、請求項3に記載の折畳み式乳母車。 - 前記移動部材は、前記固定部材上を上下方向にスライドするスライドケースを含み、
前記ガイド溝は前記スライドケースに設けられる、請求項4に記載の折畳み式乳母車。 - 前記回転部は、前記脚部材に重ならない位置にある軸線の周りを上下に移動しながら回転するものである、請求項1に記載の折畳み式乳母車。
- 前後方向に延びる1対の手摺部材と、
その上方端が前記各手摺部材に回動可能に連結され、その下方端に前輪を有する1対の前脚と、
その上方端が前記各手摺部材に回動可能に連結され、その下方端に後輪を有する1対の後脚と、
その一方端が第1の枢支点で前記各後脚に回動可能に連結される1対の反転部材と、
その下方端が前記各反転部材の他方端に回動可能に連結され、かつ前記各手摺部材の後方端に回動可能に連結されている1対の縦棒と、
その前方端が第2の枢支点で前記各前脚に回動可能に連結され、かつその後方端が前記各反転部材の他方端に回動可能に連結されている1対の側棒と、
前記1対の前脚の前記第2の枢支点よりも下方の位置間に渡される前脚連結部材と、
前記1対の後脚の前記第1の枢支点よりも下方の位置間に渡される後脚連結部材とを備え、折畳み状態では前記前脚連結部材および前記後脚連結部材が屈曲することによって幅方向寸法が減じられる折畳み式乳母車において、
前記後脚連結部材は、前記1対の後脚に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように前記後脚に保持された1対の後方回転部と、前記1対の後方回転部間を連結し後方回転部の回転に伴って屈曲する後方屈曲部とを含み、
前記前脚連結部材は、前記1対の前脚に重ならない位置にある軸線の周りを回転し得るように前記前脚に保持された1対の前方回転部と、前記1対の前方回転部間を連結し前方回転部の回転に伴って屈曲する前方屈曲部とを含み、
当該乳母車は、さらに、
その上方端が前記各反転部材に回動可能に連結され、前記第1の枢支点を中心とする前記各反転部材の回動運動に伴って前記各後脚の長さ方向に移動可能な1対の後脚剛性リンクと、
前記各後脚剛性リンクの上下方向の運動を前記後方回転部の回転運動に変換するように前記各後脚剛性リンクと前記各後方回転部とを連結する後脚運動変換手段と、
その上方端が前記各側棒に回動可能に連結され、前記第2の枢支点を中心とする前記各側棒の回転運動に伴って前記各前脚の長さ方向に移動可能な1対の前脚剛性リンクと、
前記各前脚剛性リンクの上下方向の運動を前記前方回転部の回転運動に変換するように前記各前脚剛性リンクと前記各前方回転部とを連結する前脚運動変換手段とを備えることを特徴とする、折畳み式乳母車。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008195265A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Combi Corp | ベビーカー |
CN102642486A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-22 | 好孩子儿童用品有限公司 | 儿童汽车座 |
-
2003
- 2003-04-18 JP JP2003113516A patent/JP2004314858A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008195265A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Combi Corp | ベビーカー |
CN102642486A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-22 | 好孩子儿童用品有限公司 | 儿童汽车座 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20071026 |