JP2004314624A - 樹脂製品の設計方法及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 任意の形状の樹脂製品を射出成形する場合でも、成形に必要な型締力と使用可能な射出成形機の能力とを考慮し、最適な樹脂製品設計を実現する。
【解決手段】 射出成形法によって成形する樹脂製品を設計するに際し、所定形状の樹脂製品について射出成形を行なう際に必要な型締力を計算機支援による最適化手法を用いて事前に求め、この結果に基づいて樹脂製品の設計を決定する。これにより、使用可能な射出成形機の能力による制約を考慮した上での最良の設計を得ることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、射出成形法によって成形して製造する樹脂製品の設計方法及び製造方法に関する。
射出成形機を用いて樹脂を成形する場合、成形に必要な型締力が装置の能力を超えないように、使用樹脂、成形温度、射出速度等が決定されなければならない。また、通常は装置への設定型締力は成形に必要な最低限の値ではなく、安全率を見込んだ値が用いられる。型締力は(キャビティ内の樹脂圧×投影面積)によって表され、例えば、特許文献1には、これを低減させようとする技術が記載されている。
すなわち、製品形状が長手方向に延びている場合、キャビティ内に溶融樹脂を射出するゲートを充填開始側から充填完了側に向けて複数配置するとともに、前記充填開始側のゲートの射出開始から所定の時間差にて、前記溶融樹脂が順次前記キャビティ内へ射出することにより、充填の最終段階において、先に注入した樹脂がほぼ冷却・固化した状態になり、これにより、最終ゲートから射出される溶融樹脂が埋めるべき実質的な投影面積を、キャビティの全投影面積よりかなり小さくする技術が記載されている。
しかしながら、このような長尺の形状では、注入の時間差を付けるタイミングの判断が容易であるが、この方法を一般的な形状の製品に応用するのは難しく、ゲートからの射出の開始や、流入量の減少又は停止を行なうタイミングを判断するために、勘や経験を頼りに人手によって試行錯誤を繰り返す必要があった。従って、この文献に記載された方法により、樹脂製品の成形に必要な型締力を考慮した上で樹脂製品の最適な設計を得ることは困難であった。
特開2002−355866号公報(第2頁)
この発明は上記のような課題に鑑み、任意の形状の樹脂製品を射出成形する場合でも、成形に必要な型締力と使用可能な射出成形機の能力とを考慮し、最適な樹脂製品設計を実現することができる樹脂製品の設計方法及び製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、前記目的を達成するためになされたもので、射出成形法によって成形する樹脂製品を設計するに際し、所定形状の樹脂製品について射出成形を行なう際に必要な型締力を計算機支援による最適化手法を用いて事前に求め、この結果に基づいて樹脂製品の設計を決定することを特徴とする樹脂製品の設計方法である。これにより、使用可能な射出成形機の能力による制約を考慮した上での最良の設計を得ることができる。射出成形とは、広く射出成形全般を指し、例えば、射出プレス成形、射出圧縮成形、発泡射出成形等も含まれる。
ここにおいて、所定形状の樹脂製品とは、製品に要請される形状・寸法に関する制約のもとで決まる予備的な設計の範囲において自由度を持つ樹脂製品を言うもので、例えば、用途から平面的な形状・寸法は決まるが、厚さや樹脂材料の選択については自由度が残されている場合に、その平面的な形状・寸法だけが特定された樹脂製品を言う。
この発明においては、樹脂成分に対し、本発明の目的を損なわない範囲内で、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、麻、ケナフ等の植物より得られる有機繊維、合成繊維などの繊維状補強材;ホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強材;ガラスビーズ、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイトなどの無機充填材;フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
この発明において好適に使用される樹脂として熱可塑性樹脂がある。ここで、熱可塑性樹脂とは、一般に熱可塑性樹脂と称されるもの全てを指し、例えば、無定形ポリマー、半結晶性ポリマー、結晶性ポリマー、液晶ポリマー等であってよい。また、熱可塑性樹脂は、一種類であってもよく、複数のポリマー成分のブレンドであってもよい。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール樹脂;ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック;セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体;液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマー;熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性塩化ビニルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
さらに好適な樹脂材料として、大型の自動車部品等に対して用いられる低流動性のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。樹脂の流動性は、例えば、JIS-K7210に規定された方法で測定されるメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)によって表される。この出願において低流動性樹脂として想定しているのは、上記の方法により、温度230℃、荷重2.16kgで測定された値が、0.5〜20、好ましくは1.0〜10の範囲にあるものである。汎用のポリプロピレン系熱可塑性樹脂において衝撃強度に優れる材料は、溶融時の流動性が低くなる傾向にあり、製品の耐衝撃性を向上させるには、可能な限り流動性の低い樹脂を選択するのが好ましい。MFRの値が0.5より小さいものに関しては、流動性があまりにも低く、射出成形法によって成形することは実用的でないと考えられる。また、MFRの値が20を超えるものについては、成形に必要な型締力が過大になってしまうという問題が起きにくい。
このような低流動性樹脂は、流動性の高い樹脂を成形するような条件で成形すると、必要な型締力が多大となって成形機の型締能力を超えてしまう。従って、射出成形機能力が決まっている場合には、製品の設計段階で材料として選択することができない。しかしながら、射出成形を行なう際に必要な型締力を計算機支援による最適化手法を用いて求めることにより、必要型締力を低下させることができ、樹脂材料として選択範囲を拡張することができる。その結果、同じ衝撃強度を得るための製品の厚さを低下させることができる。
最適化手法を用いて求める際の可変パラメータとして、例えば、樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を設定するプロセスパラメータを用いることができる。プロセスパラメータを計算機支援による最適化手法を用いて求めることにより、人手による試行錯誤を繰り返すことなく、迅速に正確なパラメータを算出することができる。
前記プロセスパラメータとしては、前記複数の樹脂流入路に配置された流入量調整弁の動作を制御するパラメータが好適である。金型への全樹脂流入量を調整する手段のような他の流量調整手段を、独立的にあるいは調整弁制御パラメータと併用して用いることができる。成形に用いる樹脂材料としては、対象とする製品や製造条件に応じて種々のものが採用可能であるが、熱可塑性樹脂が好適である。その場合には、前記樹脂流入路を保温手段を有するホットランナーとすることで、流量調整を円滑に行なうことができる。流入量調整弁は、いわゆるバルブゲートとして構成してもよい。
流入量調整弁の動作の制御方法としては、流量を可変に制御するようにしてもよいが、実用的には、全開または全閉のどちらかに動作させるだけでも十分である。実用的な制約条件として、充填工程中の同時刻に全てのバルブゲートが全閉とならない条件(すなわち、「充填工程中の同時刻に全てのバルブゲートが全閉となる条件」を含まない条件)の中でプロセスパラメータを最適化するのが好ましい。そして、最適化の作業を効率化するために、複数の樹脂流入路にそれぞれ流入量調整弁を配置した場合には、一つのバルブゲートをタイミング調整用ゲートに設定し、他のバルブゲート動作を任意に設定したときに、同時刻に全てのバルブゲートが全閉とならない(すなわち、同時刻に少なくとも1つのバルブゲートが開く)ように前記タイミング調整用ゲートの動作を制約するようにしてもよい。
最適化手法を用いて求める際の可変パラメータとして、樹脂製品に要請される形状・寸法に関する制約のもとで決まる予備的な設計の範囲(例えば、厚さ分布や材料)に関する製品設計パラメータを用いることができる。例えば、複数パターンの厚さ分布が設定された製品について、最適化手法を用いて各パターンごとにいくらまで型締力が低下するかを調べることにより、上記複数パターンの厚さ分布の中から特定のパターンの厚さ分布を選択することができる。そして、製品の厚さ分布も可変パラメータとして、型締力の制約のもと、どこまで厚さの値を小さくできるかを検討することができる。また、この発明の他の態様において、上記の樹脂製品の設計方法によって設計された樹脂製品を、最適化された条件下で射出成形を行って成形することができる。
請求項1ないし請求項13に記載の発明によれば、射出成形を行なう際に必要な型締力を計算機支援による最適化手法を用いて事前に求めることにより、必要な型締力についての最適化された値を事前に算出することができる。従って、任意の形状の樹脂製品を射出成形する場合でも、広い選択肢についての型締力を使用可能な射出成形機の能力と比較した上で、最適な樹脂製品設計を実現することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を詳しく説明する。この実施の形態では、図1に示すような一方向に長く延びた(縦横比=16/3)平板状の部材を、予め決められた樹脂材料を用いて射出成形法により製造する場合の設計方法を例示する。図2に示すように、キャビティCVには、平板の1つの側端の中央と左右に3つのゲートG1, G2, G3を配置している。この発明においては、ゲートの数は2つ以上であればよく、樹脂製品の形状や寸法に応じて適宜に設定することができる。
まず、平面的な形状及び寸法を等しくし、樹脂材料と板厚を変化させた予備的設計ア)〜ウ)を用意した。寸法は、幅1600mm、長さ300mm、厚さ3mm及び2.5mmである。メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)は、JIS-K7210に規定された方法により、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
Figure 2004314624
この実施の形態では、少なくとも1つのゲートをバルブによって開閉が可能なバルブゲートとして構成し、このバルブゲートの開度を調整することにより、型締力を最小とするような射出成形を行なう場合を説明する。図2に示す3つのゲートG1, G2, G3のうち、後述する最適化の結果として、いずれかを、充填工程中において常時、全開又は全閉とすることになる場合には、実機の金型でのバルブゲートは不要となる。各ゲートG1, G2, G3は、ランナーRを介してノズルN先端に連絡しており、ランナーRは中で樹脂が固化しないように所定の温度に制御された、いわゆるホットランナーになっている。
この実施の形態では、射出成形過程を計算する数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせにより、各バルブゲートの開閉のタイミングを変数として、予備的設計イ)、ウ)について必要型締力が最小となる場合を求める。また、予備的設計ア)、イ)について全ゲートを常時開とした場合の必要型締力を温度条件を変えて計算した。射出成形過程を計算する数値解析の手法としては、近年、有限要素法をベースとし、成形中において要素間に作用する関係に基づく計算式を用いて樹脂の挙動を解析するものが、実用化されてきている。この実施の形態では、Moldflow Plastics Insight 2.0 rev1(商品名:Moldflow Corporation製)を使用している。計算機支援による最適化手法も、同様に多くのものが開発されている。ここでは、ソフトウエアとして、iSIGHT 6.0 (商品名:Engineous Software Inc.製)を用い、非線形性の強い問題を扱うことになるため、解空間を大域的に探索でき、局所最適解(Local Optimum)に陥る危険が少なく、大域最適値(Global Optimum)を見つけやすいとされるSA(焼きなまし法)を用いた。以下に、解析の全般の流れを、図3のフロー図に沿って説明する。
(1)解析用モデルの作成
まず、ステップ2において、射出成形過程における樹脂の流れを解析するための解析用モデルを作成する。この実施の形態では、以下の長尺平板モデルとなる。
寸法:幅1600mm、長さ300mm、厚さ3mm及び2.5mm
要素数:2862、節点数:1558、サイド3点ゲート
ランナー径:6mmφ(ホットランナー)、ゲート:4mmφ×7.5mmL(バルブゲート)
(2)成形条件の設定
材料として選択した樹脂の物性値等のデータを入力する必要がある。樹脂は、住友ノーブレンAH561及びAZ564(商品名、住友化学工業株式会社製、AH561はMFR=3、AZ564はMFR=30)を用いている。必要な物性値としては、例えば、熱伝導率、比熱、流動停止温度、粘度等がある。他の成形条件として、樹脂温度/ホットランナー温度/金型温度を、それぞれ220℃/220℃/50℃に設定し、射出速度は等速設定とし、射出時間が約6秒となるように設定した。
(3)計算機支援による最適化工程
ステップ4において、可変パラメータと呼ばれる求めるべきパラメータ(ここではバルブゲートの開閉のタイミング)の初期値を設定し、ステップ5において、樹脂の流入プロセスを計算し、ステップ6においてその結果ファイルを出力する。そして、ステップ7において、その結果ファイルに基づき、評価関数としての型締力を算出し、ステップ8において、その算出値が最適解に収束しているかを評価する。そして、収束していない場合には、ステップ9において、最適化手法のアルゴリズムに基づいて可変パラメータを修正し、ステップ5からステップ8までの工程を繰り返す。ステップ8において評価関数が最適解に収束していると判断された時には、最適化工程を終了する。評価関数が最適解に収束していると判断されない時には、ステップ9以降の工程を繰り返す。
最適化手法のアルゴリズムとしては、この実施の形態では、焼きなまし法を採用している。金属の焼きなましにおいては、ゆっくり冷やすことで、高い状態にあった各分子エネルギーが一様に低い状態に落ち着く。焼きなまし法はこれをモデルとしており、最適解の探索を急速に進めるのでは無く、部分的には解の改悪を許すことで解の多様性を生み出し、大域探索を可能とする手法である。最適解への収束は、所定の回数の計算を行った後に判断するようにしている。
(4)開閉タイミングの設定における制約条件付与
この実施の形態ではバルブゲートは3つ有り、開閉タイミングはこれら全てを独立に操作することを前提としてもよい。しかしながら、これらのバルブゲートは実作業上の制約から完全に独立に操作できない場合があり、そのような不要解を予め排除するように、最適化作業をより絞った条件下で行なう方が効率的である。そこで、以下のような制約条件を設けた。
まず、この実施の形態では、各バルブゲートの開度自体を連続的にあるいは段階的に調整することはせず、実用性を考慮して開と閉の2位置のみを採るものとした。ここで、各バルブゲートが射出成形工程で採りうる動作パターンを考える。ホットランナー中では樹脂は固化しないから、各バルブゲートは射出成形の開始後でも閉状態で待機することができ、その後任意の時間に開動作を行なうことができる。また、一度開となって樹脂が通過したバルブゲートを閉とすることもできる。しかし、一度開としてから閉としたバルブゲートを開とすると、閉とする時間にもよるが、バルブゲートから先では樹脂の固化が進んでいる可能性があり、外観悪化等の成形不良が懸念される。従って、開→閉→開の操作パターンは採用しないこととした。従って、1つのバルブゲートの操作パターンとして考えられるのは、ア)常開、イ)常閉、ウ)閉→開、エ)開→閉、オ)閉→開→閉の5パターンである。これを第1の制約条件とした。
また、実成形上、全ゲートが同時に閉となると、ランナーやバルブゲートに異常な圧力が作用すると考えられるし、解析上もソフトウエア上の問題によりエラーが発生しやすい。その対策として、この実施の形態では、成形中、最低一つのゲートが開となっていることを第2の条件とした。
第1と第2の条件を組み合わせた結果として、バルブゲートの動作に関して以下の制約条件が導かれる。すなわち、3つのうち、2つのバルブゲートは第1の条件の5つのパターン内において任意に操作できるが、双方が閉となるタイミングにおいては3番目のバルブゲートは開でなければならない。ここで、任意に動作できるバルブゲートを任意制御ゲート、他のゲートの動作から拘束を受けるゲートを調整用ゲートと呼ぶ。1のバルブゲートを調整用ゲートに選択して、その条件下で可変パラメータを変化させれば、全ての可変パラメータが網羅されるが、調整用ゲートの選択を変更してもよい。
(5)開閉タイミングの設定におけるケース分け
例えば、バルブゲートA,B,Cの内で、バルブゲートA,Bを任意制御ゲートとし、バルブゲートCを調整用ゲートとして選択した場合の各バルブゲートのタイミングを変数として設定する場合の工程を具体的に説明すると、以下のようになる。
1)任意制御ゲートA、Bについての開閉タイミングを第1の条件下において任意に設定する。
2)設定されたゲートA、Bの開閉タイミングについて、射出開始から射出終了までの開時間帯を重ね合わせ、双方のゲートとも閉となるタイミングの有無を判定する。
3)ゲートA、Bが同時に閉となるタイミングがなければ調整用ゲートCの開閉タイミングは制約条件無しに任意に設定することができる(図4のケース1参照)。
4)ゲートA、B同時閉が存在すれば、その時間帯についてゲートCを開とする。
開時間帯が複数できる場合には、第1の条件に従うように(開→閉→開のパターンは採らない)、開時間帯にはさまれた閉時間帯を開時間帯に変更して連続させる。この場合、ゲートCの開閉タイミングは、上記の開放時間を前後に延長する方向で変動させるという設定のみが可能である(図5のケース2参照)。図6は、ケース2の極端な場合であり、成形の初期と終期にゲートA、B同時閉が存在するので、成形の初期と終期においてゲートCは開である必要が有る。一方、第1の条件より、開→閉→開のパターンは採用できないため、ゲートCが常時開となっている。
結論として、調整用ゲートとしてゲートCを選択した場合、ゲートA、Bについての開閉タイミングは第1の条件下において任意に設定できるが、ゲートCは、ケース1の場合のように自由設定できるか、又はケース2の場合のように所定範囲を開放とするように、若しくはケース3の場合のように全範囲を開放とするように、拘束される。この実施の形態では、ステップ4又はステップ9において、ゲート制御用プログラムがこのようなケース分けを判断した後、最適化支援ソフトがそれぞれの制約条件の範囲でバルブゲートの開閉タイミングを可変パラメータとして設定し、最適化を行なう。1つのゲートを調整用ゲートCとした場合に判定ができなかった場合でも、別のゲートを調整用ゲートに選択して同様の工程を行なうことで解析精度が向上する場合も有る。なお、調整用ゲートの選択は、等価なものに関しては重複して行なう必要が無い。例えば、図2に示すバルブゲートG1とバルブゲートG3が対称の位置にあって射出成形条件上差異が無い場合には、一方のみを調整用ゲートと選択すればよい。この実施の形態では、バルブゲートが3つの場合を例示したが、これが4つ以上の場合でも、同様である。
(6)可変パラメータとしての開閉タイミングの設定
上記のようなケース分けを前提として、可変パラメータとしての開閉タイミングを設定する方法をさらに具体的に説明する。ここでは、可変パラメータを以下のように設定しており、これを参照して説明する。
ゲートA〜ゲートCの開放タイミング(秒)・・ ta1、tb1、tc1
ゲートA〜ゲートCの開放継続時間 (秒)・・ dta、dtb、dtc
ゲートCの開タイミング変動係数 ・・ α
ゲートCの閉タイミング変動係数 ・・ β
なお、ta1、tb1、tc1は射出開始時を0としている。
まず、調整用ゲートとしてゲートCを選択した後、ゲート制御用プログラムを用い、独立変数として任意制御ゲートA,Bに関する開閉タイミングta1、tb1、開放継続時間dta、dtbを設定し、上述したケース分けを行なう。ケース1の場合は、ゲートCの開閉タイミングも独立に設定するから、 結局ta1、tb1、tc1、 及びdta、dtb、dtcの全てを独立変数として使用する。ケース2の場合は、図7に示すように、ta1、tb1、dta、dtbから、ゲートCの開閉タイミング限界値to、tc(制約条件を満足するための必要最低限の値)を算出する。そして、この開の範囲を前後に延ばす場合を考慮すると、ゲートCの開閉タイミングを tco、tccとした場合、
tco = to×α
tcc = tc + (te - tc)×β
として設定される。ここで、teは射出完了の時間である。α、βは、0≦α≦1、 0≦β≦1を満たす任意の値で、これらを変化させることによりゲートCの開閉タイミングを任意に変動させることができる。この実施の形態で上記可変パラメータについてステップ4で設定した初期条件、及びステップ9で用いた制約条件は、以下の通りである。
i)制約条件
0≦ta1≦6、 0≦tb1≦6、 0≦tc1≦6、 0≦dta≦6、 0≦dtb≦6、0≦dtc≦6、
0≦α≦1、 0≦β≦1
ここにおいて、計算では射出時間は約6秒弱(条件により変動)で完了するので、ta1〜tc1、dta〜dtcの上限を6(秒)とした。
ii)初期条件
ta1=tb1=tc1=0、dta=6、dtb=dtc=0、α=β=0.5
(7)評価関数
評価関数として、最大型締力を算出した。型締力は、解析ソフトによってキャビティ内の樹脂圧を算出し、これに投影面積を掛けることによって求められる。
(8)開閉タイミングの最適化計算例
上述した解析モデルと手法を用いて最適化した計算結果を、表2のイ)-2及びウ)に示す。なお、ア)、イ)-1は比較例である。このうちイ)-1では、AH561について、樹脂温度/ホットランナー温度/金型温度がそれぞれ220℃/220℃/50℃である温度条件下と、樹脂温度/ホットランナー温度/金型温度がそれぞれ240℃/240℃/50℃である温度条件下で、ゲート開閉制御をしない場合(常開)について計算をした。また、ア)では、表1のAZ564(高流動性樹脂、MFR=30)について樹脂温度/ホットランナー温度/金型温度がそれぞれ200℃/200℃/50℃である温度条件下と、樹脂温度/ホットランナー温度/金型温度がそれぞれ220℃/220℃/50℃の温度条件下で、ゲート開閉制御をしない場合(常開)について計算をした。その際のバルブゲートの開閉タイミングを示す。
Figure 2004314624
(9)材料の決定
表2によれば、予備的設計ア)の高流動性樹脂については、ゲート操作を行わない場合でも樹脂温度及びホットランナー温度を220℃とすれば1000トン以下の型締力で成形可能である。一方、イ)の低流動性樹脂については、樹脂温度及びホットランナー温度を240℃としても型締力1000トン以下では成形できない。しかしながら、バルブゲート操作を行なうことにより、イ)の低流動性樹脂についても型締力500トン以下で成形ができる。従って、樹脂材料としてAZ564よりAH561が好適であるような製品には、最終設計として予備的設計イ)を採用することができることが分かる。また、予備的設計ウ)の場合でもバルブゲート操作を行なうことにより型締力500トン以下で成形ができる。従って、低流動性樹脂AH561の強度等の条件によって薄肉化ができる場合には、最終設計として予備的設計ウ)を採用してもよい。
(10)寸法の調整
さらに、樹脂材料としてAH561が好適であるような場合について、型締力の制約の中で製品をどこまで薄肉化できるかを判断するために最適化を行った。最適化のプロセスは、図3において説明した場合と基本的に同様であるが、評価関数としては、「型締力が所定の制約条件を満たす範囲でできるだけ板厚を小さくすること」と設定した。ここでは、射出成形機の型締力が1000トンである場合に、安全率を見込んで型締力の制約条件を800トン以下とした。
結果を表3に示す。図8には、この場合のゲート開閉タイミングを示す。図8に示すように、ゲート1は射出開始から4.1秒後まで閉じており、4.1秒後から射出完了まで開放される。ゲート2は射出開始から2.6秒後まで閉じており、2.6秒後から3.9秒後まで開放され、3.9秒後から射出完了まで閉じている。ゲート3は射出開始から4.2秒後まで開放され、4.2秒後から射出完了まで閉じている。このようにゲート開放と閉操作を組合わせることにより、表3に示すように、上記の条件下において、低流動性樹脂を用いて板厚1.9mm程度のものまで成形することができることが分かった。このように、本発明によれば、より広い予備的設計の選択肢についての型締力を検討することによって、実際の成形機等の制約の中で、最適な製品設計を選択することができる。
Figure 2004314624
なお、上記の実施の形態においては、最適化手法に基づいて型締力を求めた後に、樹脂材料を選択し、その後に製品の厚さを決定しているが、樹脂材料が既定である場合には、可変パラメータとして製品の厚さを直接に指定し、最適化によりこれを直接に求めるようにしてもよい。さらに、この実施の形態では厚さが均一な平板状の製品に関する設計を行ったが、厚さが均一でない場合の厚さ分布を求めるようにしてもよい。
この発明の一実施の形態を説明するための成形用キャビティとゲートの位置を示す図である。 この発明の一実施の形態を説明するための成形用キャビティと樹脂流路を示す図である。 この発明の射出成形品のプロセスパラメータの決定方法の一実施の形態を説明するフロー図である。 この発明の射出成形品のプロセスパラメータの決定方法の一実施の形態におけるゲート操作のパターンの一例を示す図である。 この発明の射出成形品のプロセスパラメータの決定方法の一実施の形態におけるゲート操作のパターンの他の一例を示す図である。 この発明の射出成形品のプロセスパラメータの決定方法の一実施の形態におけるゲート操作のパターンの他の一例を示す図である。 この発明の射出成形品のプロセスパラメータの決定方法の一実施の形態におけるゲート操作のパターンの他の一例を示す図である。 この発明の射出成形品のプロセスパラメータの決定方法の一実施の形態におけるゲート操作のパターンの他の一例を示す図である。
符号の説明
CV キャビティ
G1, G2, G3 ゲート
R ランナー
N ノズル

Claims (13)

  1. 射出成形法によって成形する樹脂製品を設計するに際し、
    所定形状の樹脂製品について射出成形を行なう際に必要な型締力を計算機支援による最適化手法を用いて事前に求め、この結果に基づいて樹脂製品の設計を決定することを特徴とする樹脂製品の設計方法。
  2. 最適化手法を用いて求める際の可変パラメータとして、キャビティに連絡する複数の樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を設定するプロセスパラメータを用いることを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  3. 前記プロセスパラメータは、前記複数の樹脂流入路に配置された流入量調整弁の動作を制御するパラメータであることを特徴とする請求項2記載の樹脂製品の設計方法。
  4. 前記流入量調整弁がバルブゲートであることを特徴とする請求項3記載の樹脂製品の設計方法。
  5. 前記バルブゲートの動作の制御方法が全開または全閉のどちらかであることを特徴とする請求項4記載の樹脂製品の設計方法。
  6. 充填工程中の同時刻に全てのバルブゲートが全閉とならない条件の中でプロセスパラメータを最適化することを特徴とする請求項4記載の樹脂製品の設計方法。
  7. 成形に用いる樹脂材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  8. 成形に用いる樹脂材料がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  9. 成形に用いる樹脂材料が低流動性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  10. 最適化手法を用いて求めた型締力に基づいて、製品の材料を決定することを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  11. 最適化手法を用いて求めた型締力に基づいて、製品の厚さ分布を決定することを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  12. 製品の厚さ分布を型締力に関する制約条件のもとで最適化手法を用いて決定することを特徴とする請求項1記載の樹脂製品の設計方法。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載された樹脂製品の設計方法によって設計された樹脂製品を、最適化された条件下で射出成形を行って成形することを特徴とする樹脂製品の製造方法。
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