JP4443283B2 - 射出成形品の製造パラメータの決定方法、射出成形品の製造方法、射出成形装置及びプログラム - Google Patents

射出成形品の製造パラメータの決定方法、射出成形品の製造方法、射出成形装置及びプログラム Download PDF

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本発明は、樹脂を射出成形する場合の射出成形品の製造パラメータの決定方法に関し、特に、射出成形品のウエルド発生を抑制又はコントロールすることができるような、射出成形品の製造パラメータの決定方法、射出成形品の製造方法、射出成形装置及びプログラムに関する。
射出成形においては、製品の寸法や形状に応じて複数のゲートを設けることが必要となるが、複数のゲートを用いた場合、各ゲートから流入した溶融樹脂の合流部においてウエルドが発生することとなる。このようなウエルド発生部では、溶融樹脂の合流の状態にもよるが、外観悪化や強度低下が懸念される。このため、可能な限りウエルドを外観上や強度上問題の無い位置に移すことが望まれている。
例えば、特許文献1には、第1のゲートから射出された樹脂が第2のゲートを通過するのとほぼ同時か又は通過した後、この第2のゲートから、軟化した樹脂材料を前記キャビティ内に射出することにより、ウエルドの発生を防止することが記載されている。また、特許文献2には、成形品の形状を微小要素に分割し、成形品の成形プロセスの流動シミュレーションを行ない、成形品に発生するウエルドラインの発生位置を予測する技術が開示されている。そして、予測されたウエルドラインを基に、さらにバルブゲートの開閉を調整し、これを望ましい修正位置に移動させることが記載されている。
特開平8−118420号公報(第2〜3頁) 特開2001−277308号公報(第7〜9頁)
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、ゲートからの射出の開始や、流入量の減少又は停止を行なうタイミングを判断するために、勘や経験を頼りに人手によって試行錯誤を繰り返す必要がある。また、特許文献2の方法では、ウエルドの全体位置を制御しているのではなく、ウエルド上の特定の一点から補正値を計算しているので、例えば、三方からの樹脂流れが合流する複雑な形状を持つウエルドを制御することは困難であった。
この発明は上記のような課題に鑑み、樹脂製品を射出成形する際に、ウエルド発生を抑制又はコントロールすることができるような射出成形品の製造パラメータの決定方法、射出成形品の製造方法、射出成形装置及びプログラムを提供することを目的とする。
この発明は、前記目的を達成するためになされたもので、キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型を用いて射出成形を行なう場合に、射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避して、前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを事前に求めることを特徴とする射出成形品の製造パラメータの決定方法である。
このように、樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを、射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて求めることにより、人手による試行錯誤を繰り返すことなく、迅速に正確に算出することができるので、射出成形品のウエルド発生を抑制又はコントロールすることができる。なお、射出成形とは、広く射出成形全般を指し、例えば、射出プレス成形、射出圧縮成形、発泡射出成形等も含まれる。
前記製造パラメータとしては、前記複数の樹脂流入路に配置された流入量調整弁の動作を制御するパラメータが好適である。金型への全樹脂流入量を調整する手段のような他の流量調整手段を、独立的にあるいは調整弁制御パラメータと併用することができる。成形に用いる樹脂材料としては、対象とする製品や製造条件に応じて種々のものが採用可能であるが、熱可塑性樹脂が好適である。その場合には、前記樹脂流入路は保温手段を有するホットランナーとすることで、流量調整を円滑に行なうことができる。流入量調整弁は、いわゆるバルブゲートとして構成してもよい。
流入量調整弁の動作の制御方法としては、流量を可変に制御するようにしてもよいが、実用的には、全開または全閉のどちらかに動作させるだけでも十分である。実用的な制約条件として、充填工程中の同時刻に全てのバルブゲートが全閉とならない条件(すなわち、「充填工程中の同時刻に全てのバルブゲートが全閉となっている条件」を含まない条件)の中で製造パラメータを最適化するのが好ましい。そして、最適化の作業を効率化するために、キャビティへの複数の樹脂流入路にそれぞれ流入量調整弁を配置した場合には、一つのバルブゲートをタイミング調整用ゲートに設定し、他のバルブゲートの動作を任意に設定したときに、同時刻に全てのバルブゲートが全閉とならないように(すなわち、同時刻に少なくとも1つのバルブゲートが開くように)前記タイミング調整用ゲートの動作を制約するようにしてもよい。
最適化手法の組み合わせにより求める際に、成形品の特定の領域におけるウエルドの発生状態を評価するようにしてもよい。これにより、製品の使用目的等により適応したウエルドの発生状態の制御を行なうことができる。例えば、ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避することができる。最適化手法の組み合わせにより求める際に、ウエルド評価値に加えて、評価関数として成形に必要な型締力を用いることのような、ウエルドの発生の制御に加えて、必要型締力の低減等の副次的な目的を採用してもよい。特定の領域は、離散した複数の領域であってもよい。また、異なる領域での発生の許容度に重みを付けることにより、それぞれに優先度を与えるようにしてもよく、これによってより細かい制御が可能となる。
この発明においては、樹脂成分に対し、本発明の目的を損なわない範囲内で、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、麻、ケナフ等の植物より得られる有機繊維、合成繊維などの繊維状補強材;ホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強材;ガラスビーズ、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイトなどの無機充填材;フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
この発明において好適に使用される樹脂として熱可塑性樹脂がある。ここで、熱可塑性樹脂とは、一般に熱可塑性樹脂と称されるもの全てを指し、例えば、無定形ポリマー、半結晶性ポリマー、結晶性ポリマー、液晶ポリマー等であってよい。また、熱可塑性樹脂は、一種類であってもよく、複数のポリマー成分のブレンドであってもよい。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール樹脂;ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック;セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体;液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマー;熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性塩化ビニルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
特に好適な樹脂材料として、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が挙げられる。ポリプロピレン系熱可塑性樹脂としては、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンと他のオレフィンとのブロック共重合体またはランダム共重合体、または、これらの混合物等が挙げられる。
この発明の他の態様は、キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型を用いて射出成形を行なう場合に、射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避して、前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを事前に求め、射出成形において、この求められた製造パラメータに基づいて前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に制御することを特徴とする射出成形品の製造方法である。
また、この発明の更に他の態様は、キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型に前記樹脂流入路を介して溶融樹脂材料を供給する成形機本体と、射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避することにより事前に求められた製造パラメータを記憶する記憶部と、この製造パラメータに基づいて前記成形機本体を制御し、前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に制御しつつ射出成形を行なわせる制御部とを有することを特徴とする射出成形装置である。上記の射出成形品の製造方法及び射出成形装置の態様では、上記の製造パラメータを用いて樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列に制御する場合もあれば、装置特性に応じて上記の製造パラメータを加工(補正)した上で、当該加工(補正)された製造パラメータを用いて樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に制御する場合もある。
また、この発明の更に他の態様は、キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型を用いて射出成形を行なう場合に、射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避して、前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを事前に求める工程をコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明によれば、樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを、人手による試行錯誤を繰り返すことなく、迅速かつ正確に算出することができる。従って、任意の形状の樹脂製品を射出成形する場合でも、ウエルド発生を抑制又はコントロールすることができる。また、評価関数を、領域ごとにそれぞれに重みを付けた和とすることにより、重要度の異なる複数の領域を取り扱うことができ、ウエルドの発生をより細かく制御することができる。また、副次的な評価関数として成形に必要な型締力を用いることにより、装置や作業コストの低減を図ることができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を詳しく説明する。この実施の形態では、図1に示すような一方向に長く延びた(縦横比=3/16)平板状の部材を、予め決められた樹脂材料を用いて射出成形法により製造する場合を例示する。図2に示すように、キャビティCVには、平板の1つの側端の中央と左右に3つのゲート(G1,G2,G3)を配置している。この発明においては、ゲートの数は2つ以上であればよく、樹脂製品の形状や寸法に応じて適宜に設定することができる。
この発明では、少なくとも1つのゲートをバルブによって開閉が可能なバルブゲートとして構成し、このバルブゲートの開度を調整することにより、ウエルドが任意の位置に来るような射出成形を行なう。この実施の形態では、3つのゲートのいずれもバルブゲートとして構成されているが、後述する最適化の結果として、いずれかを、充填工程中において常時、全開又は全閉とすることになる場合には、実機の金型にはバルブゲートは不要となる。各ゲートは、ランナーRを介してノズルNに連絡しており、ランナーRは中で樹脂が固化しないように所定の温度に制御された、いわゆるホットランナーになっている。
図3に、本発明の射出成形装置の構成例を示す。この図3に示すように、射出成形装置10は、図2のノズルNから溶融樹脂材料を供給する成形機本体11と、射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法との組合わせにより求められた製造パラメータを記憶する記憶部12と、この製造パラメータに基づいて成形機本体11を制御し、図2の複数のゲートGl〜G3からの溶融樹脂材料の流入量を時系列的に制御しつつ射出成形を行わせる制御部13とを有している。
この実施の形態では、射出成形過程を計算する数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせにより、ウエルドが任意の位置に来るような各バルブゲートの開閉のタイミングを求める。射出成形過程を計算する数値解析の手法としては、近年、有限要素法をベースとし、成形中において要素間に作用する関係に基づく計算式を用いて樹脂の挙動を解析するものが、実用化されてきている。この実施の形態では、Moldflow Plastics Insight 2.0 rev1(商品名:Moldflow Corporation製)を使用している。計算機支援による最適化手法も、同様に多くのものが開発されている。ここでは、ソフトウエアとして、iSIGHT 6.0 (商品名:Engineous Software Inc.製)を用い、非線形性の強い問題を扱うことになるため、解空間を大域的に探索でき、局所最適解(Local Optimum)に陥る危険が少なく、大域最適値(Global Optimum)を見つけやすいとされるSA(焼きなまし法)を用いた。以下に、解析の全般の流れを、図4のフロー図に沿って説明する。
(1)解析用モデルの作成
まず、ステップ2において、射出成形過程における樹脂の流れを解析するための解析用モデルを作成する。この実施の形態では、以下の長尺平板モデルを用いた。
寸法:幅1600mm、長さ300mm、厚さ3mm
要素数:2862、節点数:1558、サイド3点ゲート
ランナー径:6mmφ(ホットランナー)、ゲート:4mmφ×7.5mmL(バルブゲート)
(2)成形条件の設定
ステップ3において、射出成形を行なうための条件設定を行なう。まず、材料として選択した樹脂の物性値等のデータを入力する必要がある。ここでは、樹脂としてポリプロピレン系熱可塑性樹脂である住友ノーブレンNP156(商品名、住友化学工業株式会社製、短繊維GFPP、GF30wt%)を用いている。必要な物性値としては、例えば、熱伝導率、比熱、流動停止温度、粘度等がある。他の成形条件として、樹脂温度/ホットランナー温度/金型温度を、それぞれ230℃/230℃/50℃に設定し、射出速度は等速設定とし、射出時間が約8秒となるように設定した。
(3)計算機支援による最適化工程
ステップ4から後の工程は、計算機支援による最適化工程である。すなわち、ステップ4において、設計変数と呼ばれる求めるべきパラメータ(ここではバルブゲートの開閉のタイミング)の初期値を設定し、ステップ5において、樹脂の流入プロセスを計算し、ステップ6においてその結果をファイルを出力する。そして、ステップ7において、その結果ファイルに基づき、ウエルド発生に関する評価関数を算出し、ステップ8において、その算出値が最適解に収束しているかを評価する。そして、最適解に収束していない場合には、ステップ9において、最適化手法のアルゴリズムに基づいて設計変数を修正し、ステップ5からステップ8までの工程を繰り返す。ステップ8において評価関数が最適解に収束していると判断された時には、最適化工程を終了する。評価関数が最適解に収束していると判断されない時には、ステップ9以降の工程を繰り返す。
最適化手法のアルゴリズムとしては、この実施の形態では、焼きなまし法を採用している。金属の焼きなましにおいては、ゆっくり冷やすことで、高い状態にあった各分子エネルギーが一様に低い状態に落ち着く。焼きなまし法はこれをモデルとしており、最適解の探索を急速に進めるのでは無く、部分的には解の改悪を許すことで解の多様性を生み出し、大域探索を可能とする手法である。最適解への収束は、所定の回数の計算を行った後に判断するようにしている。
(4)開閉タイミングの設定における制約条件付与
この実施の形態ではバルブゲートは3つ有り、開閉タイミングはこれら全てを独立に操作することを前提としてもよい。しかしながら、これらのバルブゲートは実作業上の制約から完全に独立に操作できない場合がある。また、最適化作業をより絞った条件下で行なうことにより最適化作業を効率化することができる。
そこで、以下のような制約条件を設けた。
まず、この実施の形態では、各バルブゲートの開度自体を連続的にあるいは段階的に調整することはせず、実用性を考慮して開と閉の2位置のみを採るものとした。ホットランナー中では樹脂は固化しないから、各バルブゲートは射出成形の開始後でも閉状態で待機することができ、その後任意の時間に開動作を行なうことができる。また、一度開となって樹脂が通過したバルブゲートを閉とすることもできる。一方、一度開とした後に閉としたバルブゲートを開とすると、閉とする時間にもよるが、バルブゲートから先では樹脂の固化が進んでいる可能性があり、外観悪化等の成形不良が懸念される。従って、1つのバルブゲートの操作パターンとして、ア)常開、イ)常閉、ウ)閉→開、エ)開→閉、オ)閉→開→閉の5パターンが好ましく、これを制約条件1aとした。また、より簡略な制約条件としては、開→閉のパターンを用いないものが考えられる。すなわち、ア)常開、イ)常閉、ウ)閉→開の3パターンからなるものを制約条件1bとした。
また、実成形上、全ゲートが同時に閉となると、ランナーやバルブゲートに異常な圧力が作用すると考えられるし、解析上もソフトウエア上の問題によりエラーが発生しやすい。その対策として、成形中、最低一つのゲートが開となっていることを制約条件2aとした。また、より簡略な条件としては、常時特定の1つのゲートを開とすることが考えられる。これを制約条件2bとした。
(5)設計変数としての開閉タイミングの設定
制約条件1a,1bのいずれかと制約条件2a,2bのいずれかを組み合わせることにより、バルブゲートの動作に関して種々の制約条件が導かれる。ここでは、一番簡略な組み合わせである、1b、2bの組み合わせを採用した。つまり、3つのゲートのうち、常時開とするものをまず調整用ゲートとして選択し、次に、他の2つのゲートを任意制御ゲートとして、これらを開とするタイミングを独立な設定変数として、最適化を行う。この実施の形態では、ゲートG1を常時開とする場合と、ゲートG2を常時開とする場合の双方について行った。
(6)評価関数
評価関数としては、この実施の形態では、(ウエルド発生+成形に必要な型締力)を用いた。ウエルド発生だけを評価すると、多くの最適解が得られる場合があるので、型締力の低減を副次的な評価関数として採用した。型締力を低減させることは、装置の小型化や、エネルギー節約、金型の保護等につながり、コストの低減を図ることができるからである。以下、それぞれについて説明する。
(6−1)ウエルド発生に関する評価
a)ウエルドの判定
解析モデルの各節点毎に、フローフロント合流角を計算し、これに基づいて判定した。
b)特定領域内のウエルド検出
成形品によっては特定領域内でのウエルド発生を回避(他の領域にウエルドを移動)できれば良いケースもあることより、特定領域内のウエルドのみを検出するプログラムを作成した(図5参照)。このプログラムでは、図6に示すように、予め指定された領域S(製品と中心及び長手方向を同じくする長方形状の領域で、製品中央の幅400mm×長さ100mmの部分)内に存在するウエルド発生点のみカウントし、その個数をファイルに出力する。特定領域の設定は、例えば、多角形領域であれば座標値を用いた不等式等で範囲を指定することができるが、領域内の節点を記憶させる方法により任意の形状の領域を指定することができる。
(6−2)成形に必要な型締力
型締力は、解析モデルによってキャビティ内の樹脂圧を算出し、これに投影面積を掛けることによって求められる。
(6−3)最終的な評価関数
特定領域内でのウエルド発生数(節点数)をA [個]、成形に必要な型締力をB [ton]とした場合に、評価関数を、
評価関数 = A × δ+ B
によって与えた。δは重み付けの因子で、ウエルド発生を重視する場合はこれを大きくする。この実施の形態では、δ=1000とし、ウエルド発生を防止することを優先した。なお、ウエルドの評価は、前記のような発生節点数を用いるのが簡便であるが、解析モデルにおける節点の間隔が均一でない場合には、ウエルド長さに換算する方が好ましい。また、ウエルドの発生量に加えて、あるいはこれに替えて強度を評価することもでき、樹脂が合流する際の温度、圧力、あるいは合流角度等の条件を加味することによってより精度の高い結果が得られる。
(7)開閉タイミングの最適化計算例
図1に示すような製品を射出成形する際の開閉タイミングを、以下の初期条件と制約条件を設定して最適化した。以下において、t1, t2, t3はそれぞれゲートG1、ゲートG2、ゲートG3の開放のタイミングであり、射出開始を0としている。
(条件A)
ゲートG1を常開とし、ゲートG2,G3の開放タイミング変動の場合
制約条件:10.0s ≧ t2 ≧ 0s、10.0s ≧ t3 ≧ 0s
初期条件:t2 = 5.0s、t3 = 5.0s
(条件B)
ゲートG2を常開とし、ゲートG1,G3の開放タイミング変動の場合
制約条件:10.0s ≧ t1 ≧ 0s、10.0s ≧ t3 ≧ 0s
初期条件:t1 = 5.0s、t3 = 5.0s
結果を、表1及び表2に示す。
Figure 0004443283
Figure 0004443283
(8)検討結果
表1及び表2において、ア)〜カ)は従来の方法によるもので、ア)、エ)は一点ゲート、イ)、オ)は最初に開となったゲートから流入した樹脂が他のゲートに到達した時に他のゲートを開とする、いわゆるカスケード制御の場合、ウ)は常開の二点ゲート、カ)は常開の三点ゲートである。これらの表1のA及び表2のBに示すように、この実施の形態では、ゲート開放タイミングを操作するだけで、所望の領域におけるウエルド発生を抑制しつつ型締力を低レベルに維持することが可能となり、成形製品の使用目的に応じた実用的な成形方法を提供することができる。
なお、上の実施の形態では、ウエルド発生を抑制する領域を1個所のみとしたが、複数に分散した領域の場合でも評価関数をそれぞれの発生数の和として構築することにより同様に取り扱うことができる。また、領域ごとにそれぞれに重みを付けた和とすることにより、重要度の異なる複数の領域を取り扱うこともできる。このように領域ごとにウエルドの発生を制御することにより、ウエルドの発生位置をより細かく制御することができる。
例えば、図1に示す平板状の部材を、図7に示すように幅方向に16の領域に分割し、ウェルドをそのうちの領域5、11に誘導する場合を説明する。すなわち、各領域にウエルドを発生を防止したい、あるいは発生させたい程度に応じた重み付け係数Asを設定する。そして、各領域で検出されたウェルド発生数と重み付け係数の積の総和としてウエルド評価値を定義する。
ウェルド評価値=ΣAs*Ws
s:領域ナンバー(S=1〜16)、As:各領域の重み付け係数
Ws:各領域で発生したウェルド数(節点数)
重み付け係数は、例えば、ウェルドを発生させたい領域の係数を1、その領域から最も離れた領域の係数を2500とし、各領域に1〜2500の係数を表3のようにステップ状に与える。
Figure 0004443283
この場合、各重み付け係数Asには、型締力B[ton]に対する重み付けを既に含めて決めているので、評価関数は、
評価関数=ΣAs*Ws+ B
で与えられる。このように設定することにより、重み付け係数Asの大きい領域におけるウエルド発生数は大きく評価され、小さい領域におけるウエルド発生数は小さく評価されるので、ウエルドは重み付け係数Asの小さい領域に誘導される。このような重み付け係数Asの与えかたは、状況に応じて適宜に設定することができる。
なお、上記の領域毎に重み付け係数を設定して、その総和として評価値を定める考え方は、ウエルド発生量を節点の数ではなく、連続する節点を結ぶ長さで評価する場合も同様に適用できる。また、ウエルドの発生量に加えて、あるいはこれに替えて、樹脂が合流する際の温度、圧力、あるいは合流角度等の条件を加味することによって強度を評価する場合も、同様に適用できる。
また、この実施の形態では、副次的な評価関数として型締力を採用したが、個々の条件に応じて適宜のパラメータを採用することができる。また、この実施の形態では、評価関数を複数の要素評価関数の和として構築したが、状況に応じた適宜の演算式を用いることができる。
この発明の一実施の形態を説明するための成形用キャビティとゲートの位置を示す図である。 この発明の一実施の形態を説明するための成形用キャビティと樹脂流路を示す図である。 この発明の射出成形装置の構成例を示す図である。 この発明の一つの実施の形態を説明するフロー図である。 この発明の一つの実施の形態におけるウエルドの制御方法を説明する図である。 この発明の一つの実施の形態におけるウエルドの制御方法を説明する図である。 この発明の他の実施の形態におけるウエルドの制御方法を説明する図である。
符号の説明
10 射出成形装置
11 成形機本体
12 記憶部
13 制御部
CV キャビティ
G1, G2, G3 ゲート
R ランナー
N ノズル

Claims (6)

  1. キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型を用いて射出成形を行なう場合に、
    射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、
    ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避して、
    前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを事前に求めることを特徴とする射出成形品の製造パラメータの決定方法。
  2. 最適化手法の組み合わせにより求める際に、ウエルド評価値に加えて、評価関数として成形に必要な型締力を用いることを特徴とする請求項1記載の射出成形品の製造パラメータの決定方法。
  3. 前記製造パラメータは、前記複数の樹脂流入路に配置された流入量調整弁の動作を制御するパラメータであることを特徴とする請求項1記載の射出成形品の製造パラメータの決定方法。
  4. キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型を用いて射出成形を行なう場合に、
    射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、
    ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避して、
    前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを事前に求め、
    射出成形において、この求められた製造パラメータに基づいて前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に制御することを特徴とする射出成形品の製造方法。
  5. キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型に前記樹脂流入路を介して溶融樹脂材料を供給する成形機本体と、
    射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避することにより事前に求められた製造パラメータを記憶する記憶部と、
    この製造パラメータに基づいて前記成形機本体を制御し、前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に制御しつつ射出成形を行なわせる制御部とを有することを特徴とする射出成形装置。
  6. キャビティへの複数の樹脂流入路を有する金型を用いて射出成形を行なう場合に、
    射出成形過程を計算する数値解析手法と計算機支援による最適化手法を組み合わせ、
    ウエルドの発生を制御する対象区域を複数の領域に区分し、これらの領域におけるウエルド発生量に重み付けをして合算したものをウエルド評価値として用いることにより、ウエルド発生を特定の領域に誘導し又は特定領域から回避して、
    前記樹脂流入路からの樹脂材料の流入量を時系列的に設定する製造パラメータを事前に求める工程をコンピュータに実行させるプログラム。
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