JP4168915B2 - 射出成形条件設定方法 - Google Patents

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Description

本発明は複数のゲートを持つ成形型を用い各々のゲートに成形材料を注入して成形品を形成するための射出成形条件設定方法および射出成形方法に関する。
射出成形の方法としては従来より種々の方法が知られているが、このうち、複数のゲートを持つ成形型を用い、各々のゲートから成形型内に可塑化した成形材料を注入して成形品を形成する場合、得られた成形品のうち、異なるゲート同士から成形型内部に注入された成形材料同士が合流する合流面と離間した位置に変形が生じる場合があった。
この変形は、図11に示されるような、所謂ウェルドラインと呼ばれる合流面100近傍に生じる線状のむら101とは異なり、図12に示されるように合流面100から離れた部位に隆起が生じる変形102である。この隆起変形は一般に内部ウェルドや2次ウェルドと呼ばれている。以下、本明細書においてはこの変形を2次ウェルドと呼ぶ。この2次ウェルド101は、ウェルドライン101のように合流面100付近に生じるとは限らず、合流面100に比較的近い位置に生じる場合もあれば合流面100から大きく離間した位置に生じる場合もある。
成形品にウェルドラインが生じることは従来よりよく知られており、ウェルドラインの発生を防止する為の射出成形方法は従来より種々開発されている(例えば、特許文献1)。
しかし、2次ウェルドについては生じる理由等が十分に解明されていないのが現状であり、この2次ウェルドの発生位置を予測したり制御したりする方法もまた充分に研究されていなかった。上述したようなウェルドラインは合流面付近に生じるため、その発生位置を制御して成形品の意匠性を損なわない位置に発生させることは容易である。しかし、2次ウェルドの発生位置は種々の位置となるため、この位置によっては成形品の外観が著しく悪くなる。したがって、意匠性に優れた成形品を得るためには2次ウェルドの発生を抑制し、制御し易いウェルドラインのみを発生させる必要がある。
従来は、2次ウェルドのない成形品を得るためには、成形条件を種々に変更して実際に射出成形をおこない、試作された成形品の形状によって2次ウェルドの有無を確認し、2次ウェルドがないか又は2次ウェルドの発生が小さい成形品が得られる成形条件で射出成形をおこなっていた。
しかし、2次ウェルドが生じる理由が十分に解明されていないため、2次ウェルドの発生が抑制された成形品を得るための成形条件を設定することが容易ではなく、成形条件を設定するための試行錯誤に要する工数が多大であるとともに実際に成形品を試作するのに必要な材料コストや装置の運転コストが多大となる問題があった。このため、2次ウェルドの発生が抑制された成形品を容易かつ低コストで得るための射出成形条件の設定方法や射出成形方法の開発が求められていた。
特開平7−156299号公報
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、2次ウェルドの発生が抑制された成形品を容易且つ低コストで製造するための射出成形条件の設定方法を提供することを目的とする。
本発明の射出成形条件設定方法は、複数のゲートを持つ成形型を用い各々のゲートに成形材料を注入して成形品を形成する射出成形方法において、
演算手段に成形条件および成形材料の物性データを入力して異なる上記ゲート同士から上記成形型内部に注入された上記成形材料同士が合流する合流面を予想するとともに、合流面に対して対称となる位置において上記成形材料同士が合流した時点から上記成形型内部に上記成形材料が充填されるまでの間の各々の上記成形材料の内圧予想する内圧予想ステップと、
内圧予想ステップで得られた各々の内圧が略等圧であるか否かを判断する判断ステップと、
判断ステップで各々の内圧が略等圧でないと判断された場合に上記成形材料の注入速度を調整し、得られた注入速度を基に内圧予想ステップ及び判断ステップを繰り返す調整ステップと、を備え、
内圧予想ステップと判断ステップと調整ステップとによって、判断ステップで各々の内圧が略等圧であると判断される成形条件を設定することを特徴とする。
上述したように、複数のゲートを持つ成形型を用い、各々のゲートに成形材料を注入して成形品を形成する(以下、多点ゲート成形と呼ぶ)場合、得られた成形品には2次ウェルドが形成される場合がある。
本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、合流面に対して対称となる位置(以下、対称位置と略する)における各々の成形材料の内圧差によってこの2次ウェルドが生じることを見いだした。内圧差によって2次ウェルドが生じる理由は明らかではないが、以下の機構によるものと考えられる。
先ず、図1に示すように、異なる2つのゲートから注入される成形材料1および成形材料2が合流面3で合流すると、各々の成形材料5は図1中実線矢印で示すように他方の成形材料5を押圧する。このとき、各々の成形材料5の対称位置における内圧が略等圧であれば、各々の成形材料5同士の合流面3は図2に示すように平面となる。
一方、各々の成形材料5は図1中破線矢印に示すように成形型6の中央部から成形型6の型面7方向に噴出するように流れ、所謂ファウンテンフローが生じる。成形材料5の分子配向や繊維配向はこの流れに沿った方向となるため、図2中破線矢印で示すように合流面3付近の成形材料5の配向とそれ以外の部分の成形材料5の配向とは異なる方向となる。
成形材料5として樹脂等を用いる場合、成形型6に注入された直後の成形材料5は加熱され溶融した状態であるため膨張しているが、この成形材料5は、冷却され固化するに伴って収縮する。このとき、この収縮は成形材料5が配向する方向には生じ難いため、成形材料5の配向する方向とそれ以外の方向とでは収縮の大きさに差が生じる。したがって得られた成形品8は、図3に示すように、成形材料が異なる方向に配向している部分である合流面3付近が突起したものとなる。この合流面3付近の隆起した部分が、ウェルドライン10と呼ばれる線状のむらとなる。
ここで、成形型の形状や各々の成形材料が注入される際の注入速度等によって対称位置における各々の成形材料の内圧に差が生じる場合がある。例えば、図4に示すように、対称位置における一方の成形材料2の内圧が他方の成形材料1の内圧よりも高い場合には、内圧が高い方の成形材料2が内圧が低い方の成形材料1を強く押圧し、合流面3は内圧が低い成形材料1方向にずれ込む。この合流面3のずれ込みの大きさによって、合流面3の位置や形状も種々のものとなるため、図4中破線矢印で示すように、成形材料5は種々の位置で種々の方向に配向することとなる。このため得られた成形品8は、図5に示すように、合流面3として表出する部分11と隆起する部分12とが離間した位置となる。そして、合流面3のずれ込みが大きくなると、図6に示すように、合流面3として表出する部分11と隆起する部分12とが大きく離間することとなる。この隆起する部分12が2次ウェルドとなる。
これらのことから、2次ウェルドの発生を抑制するためには、合流面のずれ込みを抑制する必要があり、合流面付近における各々の成形材料の内圧を略等圧とすることで、この合流面のずれ込みを抑制することができる、と考えられる。
なお、成形材料の成形型内における内圧は、ゲート位置から合流面に向けて低くなるように勾配しているため、各々の成形材料の内圧は合流面に対して等距離となる位置、すなわち、合流面に対して対称となる位置で検出する必要がある。
さらに、成形材料の内圧は成形材料が合流する前は非常に低く、成形材料が合流した時点から上昇する。そして、成形型内部に成形材料が充填された後に、所謂保圧の段階、すなわち、冷却され成形材料が固化し収縮するのに応じて少量ずつ成形型内への成形材料の注入をおこなう段階に移行すると、対称位置における成形材料の内圧差は大きくなる。しかしこのとき、成形型内に注入される成形材料の量は僅かであるとともに、既に成形型内に充填されている成形材料は固化が進行していることから、保圧の段階において発生する変形は無視できる程度に小さい。このため、本発明の射出成形条件設定方法を用いた射出成形方法(以下、本発明の射出成形方法と呼ぶ)では、成形材料同士が合流した時点から成形型内部に成形材料が充填されるまでの間の各々の成形材料の内圧を略等圧にする。
このように、本発明の射出成形方法においては、合流面に対して対称となる位置において、成形材料同士が合流した時点から成形型内部に成形材料が充填されるまでの間の各々の成形材料の内圧を略等圧にすることで、2次ウェルドの発生を効果的に抑制することが可能となる。そして、このように各々の成形材料の内圧を略等圧にすることで2次ウェルドの発生が抑制された成形品を得ることができるため、成形条件を多大な試行錯誤等を必要とせず設定することができる。したがって、2次ウェルドが抑制された成形品を容易かつ低コストで得ることが可能となる。
本発明射出成形方法は、多点ゲート成形に関する射出成形方法である。したがって本発明の射出成形方法に用いる成形型は複数個のゲートを持つものであればよい。また、成形型に成形材料を注入するための射出成形機は、成形型の複数のゲートに対応する複数のノズルを持つものであっても良いし、成形型の複数のゲートに各々異なる射出成形機を取りつけるものであっても良い。何れの場合にも、射出成形機は合流面に対して対称となる位置における成形材料の内圧が略等圧となるように成形条件を制御できるものとする。
各々の成形材料の内圧を略等圧にするためには、成形材料の注入速度を適宜調整すればよい。すなわち、成形材料の注入速度を大きくすると成形材料の内圧は大きくなり、成形材料の注入速度を小さくすると成形材料の内圧は小さくなる。なお、成形材料の注入速度を大きくするためには、各々のゲートにおける成形材料の時間あたりの注入量や注入圧力等を調整すればよい。すなわち、成形材料の単位時間あたりの注入量を多くすることや成形材料の注入圧力を大きくすることで成形材料の注入速度は大きくなり、成形材料の単位時間あたりの注入量を小さくすることや成形材料の注入圧力を小さくすることで成形材料の注入速度は小さくなる。
各々の成形材料の内圧が略等圧であるか否かは、成形型内における各々の成形材料の内圧を検出することで判断することができる。内圧の検出方法としては、内圧を実際に測定する方法と、内圧を予測する方法とがある。
内圧を実際に測定する方法としては、成型型内に複数の圧力センサ等を設けてこれらのセンサにより実際に測定する方法がある。この場合、成形型内に複数のセンサを設け、このセンサで圧力を測定しつつ実際に射出成形をおこない、得られた成形品に生じた合流面に対して対称位置に配置されたセンサにより測定された圧力同士を比較する。また、圧力センサ以外にも、例えば速度センサ等を用いることもできる。この場合には、測定された速度を圧力に換算することで、センサにより得られた実測値を基にした成形材料の内圧値を得ることができる。
内圧を予想する方法としては、既知の演算手段をもちいて各々の成形材料の内圧を予想する方法がある。この場合、演算手段に成形品の形状や種々の成形条件を入力して予め合流面を予想し、さらに、この合流面に対して対称となる位置における成形材料の内圧を予想する。演算手段としてはTIMON(東レ株式会社製)等の既知の射出成形用CAEプログラムを用いることが好ましい。
何れの場合にも、成形材料の内圧は合流面に近い位置で検出するほど小さい値となり、合流面から離れた位置で検出するほど大きい値となる。したがって、各々の成形材料の内圧差は、合流面に近い位置で検出するほど小さくなり、合流面から離れた位置で検出するほど大きくなる。
このため、検出された各々の成形材料の内圧が略等圧であるか否かの判断は、各々の成形材料の内圧を検出した各々の位置と合流面との距離によって異なる。しかし、合流面からの距離が5〜15mmとなる位置における各々の成形材料の内圧差が2MPa以下であれば、成形品には2次ウェルドが生じないかあるいは非常に小さなものが生じるのみとなる。このため、合流面からの距離が5〜15mmとなる位置における各々の成形材料の内圧差が2MPa以下である場合を、各々の成形材料が略等圧である、と判断することができる。
なお、合流面からの距離が5〜15mmとなる位置における各々の成形材料の内圧差が1MPa以下であれば、合流面付近に生じる成形品の変形はより低減される。したがって、合流面からの距離が5〜15mmとなる位置における各々の成形材料の内圧差が1MPa以下である場合を、各々の成形材料が略等圧である、と判断することが望ましい。
また、合流面の発生位置によっては、成形材料の内圧を測定した各々の位置と合流面との距離が完全に対称とならない場合もある。しかし、この場合も、成形材料の内圧を検出した各々の位置と合流面との距離が5〜15mmの範囲内であり、さらに各々の成形材料の内圧差が2MPa以下であれば合流面付近に生じる成形品の変形は低減される。したがって、合流面との距離が5〜15mmの範囲内となる各々の位置を合流面に対して対称な位置とすることができる。
また、本発明において、各々の成形材料の内圧差は成形材料同士が合流した時点から成形型内部に成形材料が充填されるまでの間の内圧差を指すため、内圧差はこの期間内の任意の時点で検出されたものとなる。この内圧を検出する任意の時点は、一時点であってもよいし、複数の時点であってもよいが、複数の時点で内圧を検出することで、内圧が略等圧であるか否かの判断はより確実となる。任意の複数の時点で内圧を検出する場合、検出の回数が多く検出の間隔が短い程内圧が略等圧であるか否かの判断はより確実となるが、一方、検出工程が非常に煩雑となる。検出工程をあまり煩雑とせず、内圧が略等圧であるか否かの判断をより確実にするためには、検出を0.1〜0.3秒毎に一回の割合でおこなうことが望ましい。
上述したような方法で得られた各々の成形材料の内圧が略等圧でないと判断された場合には、各々の成形材料の注入速度を適宜調整することで、内圧を略等圧にする。すなわち、検出された内圧が大きい方の成形材料の注入速度を小さくするか、内圧が小さい方の成形材料の注入速度を大きくするか、の少なくとも一方をおこなうことで、成形材料の内圧が略等圧となるように設定する。このとき、上述と同様に各々の成形材料の内圧を検出することで、内圧が略等圧であるか否かの判断を再度おこなう。そして、各々の成形材料の内圧が略等圧となるまで、内圧の検出及び等圧であるか否かの判断と、注入速度の調整とを繰り返すことで、合流面に対して対称となる位置において各々の成形材料の内圧が略等圧となる成形条件を得ることができる、そしてこれらの方法で得られた成形条件を基に射出成形をおこなうことで、合流面付近の変形が少ない成形品を得ることが可能となる。
上述したように、従来は成形品に2次ウェルドが生じることと、合流面に対して対称となる位置における成形材料の内圧差との関係が把握されていなかった。このため、2次ウェルドの発生が抑制された成形品を得るには多大な試行錯誤により成形条件を決定する必要があった。しかし、本発明の射出成形方法によると、合流面に対して対称となる位置における各々の成形材料の内圧を略等圧とすることで、2次ウェルドが低減された成形品を容易に得ることが可能となった。また、従来と比較して2次ウェルドが低減された成形品を得るために必要な試行錯誤は著しく低減するため、2次ウェルドが低減された射出成形品を低コストで製造することが可能となった。なお、演算手段を用いて内圧の検出をおこなう場合には、内圧を検出する際に実際に射出成形をおこなう必要がないため、射出成形条件をより容易かつ低コストで設定することができ、射出成形をより容易且つ低コストでおこなうことが可能となる。
以下、本発明の射出成形方法を図面を基に説明する。
本実施例の射出成形方法は、各々の成形材料の内圧差を演算手段を用いて検出する例であり、本発明の射出成形条件設定方法を用いた射出成形方法である。
本実施例の射出成形方法に用いた成形材料は、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン60重量部に平板状タルク20重量部およびブタジエンゴム20重量部が添加されたものである。また、成形型15としては、図7に示すように、第1ゲート16、第2ゲート17、第3ゲート18、第4ゲート19、第5ゲート20及び第6ゲート21の6つのゲートを持つものを用いた。
また、本実施例の射出成形方法に用いる射出成形機は、熱可塑性樹脂を加熱し溶融させる可塑化手段と、可塑化手段によって加熱溶融した熱可塑性樹脂を含む成形材料(以下、単に成形材料と呼ぶ)を各ゲートに供給する第1の射出手段〜第6の射出手段の6つの射出手段を備えている。6つの射出手段は同一の可塑化手段に連結され、各々の射出手段は第1ゲート16から第6ゲート21にそれぞれ連結される。各々の射出手段は同じ構造を持つものであり、成形材料を収容するシリンダと、可塑化手段とシリンダ内部とを連結する連結口と、シリンダ内部とゲートとを連結するノズルと、シリンダ内に進退自在に配置されているプランジャーとを備えている。すなわち、本実施例で用いた射出成形機は、各々の射出手段の射出プランジャーを後退させた状態で、可塑化手段からシリンダ内に成形材料を供給し、そののちにプランジャーを前進させることで、成形材料を各々のノズルを通して各々のゲートに射出し、成形型内に注入するものである。
尚、各々の射出手段は射出量および射出圧力が独立に設定できるため、第1ゲート16〜第6ゲート21から成形型への成形材料の注入速度は各々の射出手段の射出量や射出圧力を変更することで独立に設定できるようになっている。
演算手段としては、射出成形用のCAEプログラムであるTIMON(東レ株式会社製)を用いた。本実施例の射出成形方法は以下のステップに従いおこなった。本実施例の射出成形方法を表すフローチャートを図8に示す。
(内圧予想ステップS1)
先ず、所望する成形品の形状に応じて各ゲートから注入する成形材料の注入量と成形材料の注入速度を設定した。このとき、各ゲート毎の成形材料の注入量はウェルドラインが所望する位置にあらわれるように設定し、各ゲート毎の注入速度は各ゲート毎の成形材料の注入時間が同じ時間となるように、成形材料の注入量に応じて設定した。
次に、演算手段に成形条件及び成形材料の物性データを入力した。成形条件としては、所望する成形品の形状、ゲートの形状、成形材料の温度、成形型の温度、成形材料の注入速度、成形材料の注入量、保圧の時間、保圧の圧力、射出終了後の冷却時間、射出成形機の特性を入力した。また、成形材料の物性データとしては、Tailモデルによる熱可塑性樹脂のPVT曲線や、cross−WLFモデルによる粘度−温度曲線や、Maxwellモデルによる粘弾性や、熱伝導率等を入力した。
次に、演算手段により、各々のゲートから注入された成形材料同士が合流する合流面を予想した。ここで、本実施例で用いた演算手段は、成形品を肉厚方向の中心線を通る平面で表すものであるため、得られた合流面は、図9に示すように、成形品の肉厚方向の中心線を通る平面と合流面とが交わる線22として表された。以下、図9に示される合流面22を例に挙げて説明する。
図9に示される合流面22は、第2ゲート17から注入された成形材料と第6ゲート21から注入された成形材料とが合流する面である。この合流面22に対して対称となる2点、すなわち、合流面との距離が5〜10mmの範囲に位置する2点を選択した。この2点のうち第2ゲート側17の点を第2ゲート側検出点23と呼び、第6ゲート側21の点を第6ゲート側検出点25と呼ぶ。
次に、演算手段により、第2ゲート17から注入された成形材料と第6ゲート21から注入された成形材料とが合流した時点から、成形型内に成形材料が充填されるまでの間の第2ゲート側検出点23及び第6ゲート側検出点25における内圧を0.3秒おきに予想した。内圧の予想値は、質量保存側および運動量保存則をベースとしたHele−Shaw流れの式により求めた。予想された各々の内圧を図10に示す。なお、図10中Aは成形材料が合流した時点を指し、Bは成形型内に成形材料が充填された時点を指す。
(判断ステップS2)
内圧予想ステップで予想された第2ゲート側検出点23における内圧26と第6ゲート側検出点25における内圧27とを比較し、これらの内圧が略等圧であるか否かを判断した。図10に示されるグラフのうち、同じ時点において予想された内圧同士を比較し、全ての時点において内圧差が1MPa以下である場合を内圧が略等圧であると判断し、何れか一点でも内圧差が1MPaを超える場合を略等圧でないと判断した。
(調整ステップS3)
判断ステップで、内圧が略等圧でないと判断された場合、上述した内圧予想ステップで演算手段に入力した成形材料の注入速度を変更した。上記した図10では、第2ゲート側検出点における充填終了直前の内圧が第6ゲート側検出点における同時点の内圧よりも高くなり、内圧差が2MPaを超えている。したがってこの場合では、第2の射出手段の射出圧力を低くして、ゲート2より注入される成形材料の注入速度を小さく設定することで、成形材料の注入速度を調整した。得られた注入速度を再度演算手段に入力し、内圧予想ステップ及び判断ステップを繰り返した。判断ステップで略等圧でないと判断した場合には、判断ステップで略等圧であると判断するまで、成形材料の注入速度の調整と、内圧予想ステップ及び判断ステップを繰り返した。この内圧予想ステップ〜調整ステップによって内圧が略等圧となる成形条件が設定され演算手段に入力された。
(射出成形ステップS4)
判断ステップで各々の内圧が略等圧であると判断された場合には、内圧予想ステップで演算手段に入力された成形条件を基に実際に射出成形をおこなう。上述した内圧予想ステップ、判断ステップ及び調整ステップで、成形条件は各々の内圧が略等圧になる条件に設定されているため、得られた成形品は2次ウェルドの発生が抑制されたものとなる。
なお、ここでは図9に示す合流面を例に挙げて説明したが、全ての合流面に関して上述と同様の過程をおこなうことで、得られた成形品は全ての2次ウェルドが抑制されたものとなる。
成形型内における成形材料の流動の様子を表す模式断面図である。 成形材料の内圧が略等圧である場合に成形型内に形成された合流面を表す模式断面図である。 成形材料の内圧が略等圧である場合に得られた成形品を表す模式断面図である。 成形材料の内圧が略等圧でない場合に成形型内に形成された合流面を表す模式断面図である。 成形材料の内圧が略等圧でない場合に得られた成形品を表す模式断面図である。 成形材料の内圧が略等圧でない場合に得られた成形品を表す模式断面図である。 実施例の射出成形方法で用いた成形型を表す模式図である。 実施例の射出成形方法を表すフローチャートである。 実施例の射出成形方法における合流面の一例を表す模式図である。 実施例の内圧予想ステップで予想された各々の成形材料の内圧を表すグラフである。 ウェルドラインが形成された成形品を表す模式斜視断面図である。 2次ウェルドが形成された成形品を表す模式斜視断面図である。
符号の説明
3:合流面 5:成形材料 10:ウェルドライン 12:2次ウェルド

Claims (1)

  1. 複数のゲートを持つ成形型を用い各々の該ゲートに成形材料を注入して成形品を形成する射出成形方法において、
    演算手段に成形条件および成形材料の物性データを入力して異なる前記ゲート同士から前記成形型内部に注入された前記成形材料同士が合流する合流面を予想するとともに、該合流面に対して対称となる位置において前記成形材料同士が合流した時点から前記成形型内部に前記成形材料が充填されるまでの間の各々の前記成形材料の内圧を予想する内圧予想ステップと、
    該内圧予想ステップで得られた各々の該内圧が略等圧であるか否かを判断する判断ステップと、
    該判断ステップで各々の該内圧が略等圧でないと判断された場合に前記成形材料の注入速度を調整し、得られた注入速度を基に該内圧予想ステップ及び該判断ステップを繰り返す調整ステップと、を備え、
    該内圧予想ステップと該判断ステップと該調整ステップとによって、該判断ステップで各々の該内圧が略等圧であると判断される該成形条件を設定することを特徴とする射出成形条件設定方法。
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