JP2004314562A - セラミック蒸着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】包装材料に用いるセラミック蒸着フイルムにおいて、プラスティックフィルムと蒸着層との密着性を向上することにある。
【解決手段】プラスティックフィルムの少なくとも片面に窒素及び酸素混合気体を成分に持つ低温プラズマによる化学反応処理を行い、次いでセラミック蒸着層を設けたセラミック蒸着フィルムであり、前記セラミック蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタンを成分に持ち、前記セラミック蒸着層の上に水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたセラミック蒸着フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】プラスティックフィルムの少なくとも片面に窒素及び酸素混合気体を成分に持つ低温プラズマによる化学反応処理を行い、次いでセラミック蒸着層を設けたセラミック蒸着フィルムであり、前記セラミック蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタンを成分に持ち、前記セラミック蒸着層の上に水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたセラミック蒸着フィルム。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック蒸着フィルムに関するものであり、また包装材料に関するものである。さらに詳しくは、内容物の劣化の原因となる酸素や水蒸気を遮断するセラミック蒸着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
包装材料には種々の機能が要求される。その中でも、内容物保護性は最も重要な機能である。内容物の劣化及び変質は主に酸素、水分、光、熱などの影響により促進される。とりわけ、酸素及び水分の影響が大きい。それらを遮断することが、内容物保護性を考える上で重要であり、すなわち、ガスバリアフィルムの存在が要求される。また、今日のように嗜好性が多様化したり、添加剤が規制されるなどの状況下では外部からの遮断のみならず、不活性ガス充填包装や、風味、香気の退化防止など、内部からの透過も遮断する必要がある。しかしながら、一般的にプラスティックフィルムはガスバリア性に乏しく、単独で用いる場合には一部用途を除いては要求を満たすものがない。そこで、他のガスバリア性に優れた層を積層することによって、ガスバリアフィルムを作成する方法が採られていることが多い。すでに考案されているもの、例えば特許文献1参照で、ナイロンフィルムにセラミック蒸着層を設けたものがあるが、基材とセラミック蒸着層との密着強度が不充分である。
【0003】
【特許文献1】
特公昭53−12953号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記背景を受け、本発明の課題は、包装材料に用いるセラミック蒸着フィルムにおいて、基材のプラスティックフィルムと蒸着層との密着性向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するべく、鋭意研究した結果、本発明の請求項1に係る発明は、プラスティックフィルムの少なくとも片面に窒素及び酸素混合気体を成分に持つ低温プラズマによる化学反応処理を行い、次いでセラミック蒸着層を設けたことを特徴とするセラミック蒸着フィルムである。
【0006】
また、好ましい態様として、本発明の請求項2に係る発明は、前記プラスティックフィルムがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合体を成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つことを特徴とする請求項1に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0007】
また、好ましい態様として、本発明の請求項3に係る発明は、前記ポリアミド類がナイロン−6、 ナイロン−6,6、ナイロン−12であることを特徴とする請求項1または2に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0008】
また、好ましい態様として、本発明の請求項4に係る発明は、前記セラミック蒸着層が酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタンを成分に持つことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0009】
更に好ましい態様として、本発明の請求項5に係る発明は、前記セラミック蒸着層の上に水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0010】
また、好ましい態様として、本発明の請求項6に係る発明は、前記水酸基含有高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー(ビニルアルコール−co−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0011】
また、好ましい態様として、本発明の請求項7に係る発明は、前記金属アルコキシドが、シランアルコキシド、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のセラミック蒸着フイルムの一実施例を説明する側断面図である。本発明のセラミック蒸着フイルム(10)は、プラスティックフィルム(1)の片側面に低温プラズマによる化学反応処理面(2)、その上にセラミック蒸着層(3)と、複合被膜層(4)と積層するフイルムである。
【0014】
前記プラスティックフィルム(1)とは、公知の高分子化合物のフィルムを指す。高分子化合物においては、ポリオレフィン化合物、ポリエステル化合物、ポリアミド化合物、ポリウレタン類、ポリイミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、グリプタル樹脂、多糖類、タンパク質(ポリペプチド)などの例が挙げられる。
【0015】
特に好適な例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つプラスティックフィルムなどが挙げられる。その中でもポリアミド類、特にナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12を用いたものが顕著な物性改善を呈した。ただし、これらプラスティックフィルムは、用途、コスト、加工適性などに応じ、適宜選定されるべきである。
【0016】
また、前記低温プラズマによる化学反応処理面(2)を処理する低温プラズマとは、一般的な直流グロー放電、ホロカソード式直流放電、リアクティブイオンエッチング、高周波放電、マイクロ波放電などによる公知の方式が採用され、また、これらの例に限定されるものではない。加工速度、エネルギーレベルなどで示される処理条件は、基材種類、用途、放電装置特性などに応じ、適宜設定するべきである。プラズマの気体種はに窒素−酸素混合気体がよろしい。ポンプ性能や取り付け位置などによって、導入分と実効分とでは流量および混合比が異なるので、流量、混合比に関しては、用途、基材、装置特性に応じて適宜設定するべきである。また、これらに加えて他の気体種を混入することは、本発明の範囲を超えるものではない。気体の流量は、扱い易さ、経済性を考慮して適宜設定する。
【0017】
前記セラミック蒸着層(3)を形成するセラミックの種類は、扱い易さ、経済性を考慮して、酸化珪素系、酸化アルミニウム系、酸化チタン系、酸化マグネシウム系等が好適である。また、ここで「系」と断るのは、これらが必ずしも完全に酸化されたものでなくてもよく、また、添加成分を混合させてもよいためである。酸化度の程度や混合物添加は、用途、価格、装置特性等を考慮して適宜条件設定をしてよろしい。蒸着方法は真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などが挙げられるが、これに限定をするものでない。
【0018】
前記複合被膜層(4)とは、ガスバリア性の向上、セラミック蒸着層(3)の保護などを目的として設けるものであり、水酸基含有高分子や金属アルコキシドの組成より層形成する。本発明でいう水酸基含有高分子とは、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー(ビニルアルコール−co−エチレン)、セルロース、デンプンを指す。とりわけポリビニルアルコールが本用途での取り扱い性、ガスバリア性向上に優れるが、限定するものではない。
【0019】
本発明の金属アルコキシドには種々あるが、取り扱い性、コストなどを考えれば珪素のアルコキシドがよろしい。また、被膜の柔軟性向上、密着性改善などの要求があれば、テトラアルコキシドに限ることなく、いわゆるシランカップリング剤を適宜選定添加することがよろしい。
【0020】
【実施例】
実施例について説明する。ここに示す実施例は本発明を限定するものではない。
【0021】
〈実施例1〉
厚さ15ミクロンの一般的な二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ社:商品名、エンブレムON)を基材とし、表1に示す条件にて高周波(RF)放電方式の低温プラズマ処理を行った。その後、層厚10nmの酸化アルミニウム系のセラミック蒸着層を設けた。得られたセラミック蒸着フィルムの蒸着面を市販のポリウレタン系接着剤を用い、ドライラミネート法により厚さ60μのポリエチレンフィルム(東セロ社:商品名、TUX、FC−S)のコロナ処理面と接合した。条件は表1に示す実施例1とした。
【0022】
〈実施例2〉
実施例1で用いたセラミック蒸着フィルム上に、テトラエトキシシラン加水分解物とポリビニルアルコール系水溶性樹脂の混合物を主成分とする複合被膜層をグラビアコーティング法により設けた。次いで、実施例1と同様にポリエチレンフィルムと接合した。条件は表1に示す実施例2とした。
【0023】
〈実施例3〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例3とした。
【0024】
〈実施例4〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例4とした。
【0025】
〈実施例5〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例5とした。
【0026】
〈実施例6〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例6とした。
【0027】
〈比較例1〉
プラズマ処理を行わないこと以外は実施例1に同じ。条件は表1に示す比較例1とした。
【0028】
〈比較例2〉
プラズマ処理を行わないこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例2とした。
【0029】
〈比較例3〉
処理用のガスを導入したがパワーをかけず、すなわちプラズマは発生していない。それ以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例3とした。
【0030】
〈比較例4〉
プラズマ処理を行ったが、窒素の単独系である。それ以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例4とした。
【0031】
〈比較例5〉
プラズマ処理を行ったが、酸素の単独系である。それ以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例5とした。実施例及び比較例の条件は、下記の表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
次に、実施例の6種類及び比較例の5種類のラミネートフィルム資料の品質特性の評価をした。上記ラミネートフィルムの酸素透過度の測定をした。酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/40A)を用いて、30℃・70RH%雰囲気下で測定した。
【0034】
まず、上記ラミネートフィルムでパウチを作成し、前記パウチの一部は、水道水を充填した上で95℃−30分のボイル処理を行った。
【0035】
前記ボイル処理の前及び後のラミネートフィルムのラミネート強度を測定した。剥離試験機(オリエンテック社:テンシロン万能試験機 RTC−1250)を用いて、測定した。JIS Z 1707準拠。
【0036】
前記ラミネートフィルムの剥離面を観察した。蛍光X線分析装置(RIGAKU社:X−RAY SPECTROMETER 3270)により、蒸着層中のアルミニウム原子が剥離面のどちら側に存在するか観察した。
【0037】
上記ラミネートフィルムの引裂強度を測定した。引裂試験機(オリエンテック社:テンシロン万能試験機RTC−1250)を用いて、測定した。試験はJIS K 7128−1(トラウザー引裂法)準拠した。
【0038】
実施例の6種類及び比較例の5種類のラミネートフィルム資料の品質特性の評価の結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
これより、本発明のように窒素−酸素混合気体のプラズマの処理を行った実施例1〜実施例6のフィルムでは、ボイル後でのラミネート強度が大幅に向上し、すなわち、プラスチックフイルムの基材とセラミック蒸着層との密着強度が上昇したことがわかる。また、同様の結果が引き裂き強度の低下から示唆される。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、プラスチックフイルムの基材とセラミック蒸着層間の密着性が向上し、ラミネート強度、易引き裂き性に優れ、またボイル耐性を備えたセラミック蒸着フィルムを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック蒸着フイルムの一実施例を説明する側断面図である。
【符号の説明】
1…プラスチックスフイルム
2…低温プラズマによる化学反応処理面
3…セラミック蒸着層
4…複合被膜層
10…本発明のセラミック蒸着フイルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック蒸着フィルムに関するものであり、また包装材料に関するものである。さらに詳しくは、内容物の劣化の原因となる酸素や水蒸気を遮断するセラミック蒸着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
包装材料には種々の機能が要求される。その中でも、内容物保護性は最も重要な機能である。内容物の劣化及び変質は主に酸素、水分、光、熱などの影響により促進される。とりわけ、酸素及び水分の影響が大きい。それらを遮断することが、内容物保護性を考える上で重要であり、すなわち、ガスバリアフィルムの存在が要求される。また、今日のように嗜好性が多様化したり、添加剤が規制されるなどの状況下では外部からの遮断のみならず、不活性ガス充填包装や、風味、香気の退化防止など、内部からの透過も遮断する必要がある。しかしながら、一般的にプラスティックフィルムはガスバリア性に乏しく、単独で用いる場合には一部用途を除いては要求を満たすものがない。そこで、他のガスバリア性に優れた層を積層することによって、ガスバリアフィルムを作成する方法が採られていることが多い。すでに考案されているもの、例えば特許文献1参照で、ナイロンフィルムにセラミック蒸着層を設けたものがあるが、基材とセラミック蒸着層との密着強度が不充分である。
【0003】
【特許文献1】
特公昭53−12953号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記背景を受け、本発明の課題は、包装材料に用いるセラミック蒸着フィルムにおいて、基材のプラスティックフィルムと蒸着層との密着性向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するべく、鋭意研究した結果、本発明の請求項1に係る発明は、プラスティックフィルムの少なくとも片面に窒素及び酸素混合気体を成分に持つ低温プラズマによる化学反応処理を行い、次いでセラミック蒸着層を設けたことを特徴とするセラミック蒸着フィルムである。
【0006】
また、好ましい態様として、本発明の請求項2に係る発明は、前記プラスティックフィルムがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合体を成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つことを特徴とする請求項1に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0007】
また、好ましい態様として、本発明の請求項3に係る発明は、前記ポリアミド類がナイロン−6、 ナイロン−6,6、ナイロン−12であることを特徴とする請求項1または2に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0008】
また、好ましい態様として、本発明の請求項4に係る発明は、前記セラミック蒸着層が酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタンを成分に持つことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0009】
更に好ましい態様として、本発明の請求項5に係る発明は、前記セラミック蒸着層の上に水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0010】
また、好ましい態様として、本発明の請求項6に係る発明は、前記水酸基含有高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー(ビニルアルコール−co−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0011】
また、好ましい態様として、本発明の請求項7に係る発明は、前記金属アルコキシドが、シランアルコキシド、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のセラミック蒸着フイルムの一実施例を説明する側断面図である。本発明のセラミック蒸着フイルム(10)は、プラスティックフィルム(1)の片側面に低温プラズマによる化学反応処理面(2)、その上にセラミック蒸着層(3)と、複合被膜層(4)と積層するフイルムである。
【0014】
前記プラスティックフィルム(1)とは、公知の高分子化合物のフィルムを指す。高分子化合物においては、ポリオレフィン化合物、ポリエステル化合物、ポリアミド化合物、ポリウレタン類、ポリイミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、グリプタル樹脂、多糖類、タンパク質(ポリペプチド)などの例が挙げられる。
【0015】
特に好適な例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つプラスティックフィルムなどが挙げられる。その中でもポリアミド類、特にナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12を用いたものが顕著な物性改善を呈した。ただし、これらプラスティックフィルムは、用途、コスト、加工適性などに応じ、適宜選定されるべきである。
【0016】
また、前記低温プラズマによる化学反応処理面(2)を処理する低温プラズマとは、一般的な直流グロー放電、ホロカソード式直流放電、リアクティブイオンエッチング、高周波放電、マイクロ波放電などによる公知の方式が採用され、また、これらの例に限定されるものではない。加工速度、エネルギーレベルなどで示される処理条件は、基材種類、用途、放電装置特性などに応じ、適宜設定するべきである。プラズマの気体種はに窒素−酸素混合気体がよろしい。ポンプ性能や取り付け位置などによって、導入分と実効分とでは流量および混合比が異なるので、流量、混合比に関しては、用途、基材、装置特性に応じて適宜設定するべきである。また、これらに加えて他の気体種を混入することは、本発明の範囲を超えるものではない。気体の流量は、扱い易さ、経済性を考慮して適宜設定する。
【0017】
前記セラミック蒸着層(3)を形成するセラミックの種類は、扱い易さ、経済性を考慮して、酸化珪素系、酸化アルミニウム系、酸化チタン系、酸化マグネシウム系等が好適である。また、ここで「系」と断るのは、これらが必ずしも完全に酸化されたものでなくてもよく、また、添加成分を混合させてもよいためである。酸化度の程度や混合物添加は、用途、価格、装置特性等を考慮して適宜条件設定をしてよろしい。蒸着方法は真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などが挙げられるが、これに限定をするものでない。
【0018】
前記複合被膜層(4)とは、ガスバリア性の向上、セラミック蒸着層(3)の保護などを目的として設けるものであり、水酸基含有高分子や金属アルコキシドの組成より層形成する。本発明でいう水酸基含有高分子とは、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー(ビニルアルコール−co−エチレン)、セルロース、デンプンを指す。とりわけポリビニルアルコールが本用途での取り扱い性、ガスバリア性向上に優れるが、限定するものではない。
【0019】
本発明の金属アルコキシドには種々あるが、取り扱い性、コストなどを考えれば珪素のアルコキシドがよろしい。また、被膜の柔軟性向上、密着性改善などの要求があれば、テトラアルコキシドに限ることなく、いわゆるシランカップリング剤を適宜選定添加することがよろしい。
【0020】
【実施例】
実施例について説明する。ここに示す実施例は本発明を限定するものではない。
【0021】
〈実施例1〉
厚さ15ミクロンの一般的な二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ社:商品名、エンブレムON)を基材とし、表1に示す条件にて高周波(RF)放電方式の低温プラズマ処理を行った。その後、層厚10nmの酸化アルミニウム系のセラミック蒸着層を設けた。得られたセラミック蒸着フィルムの蒸着面を市販のポリウレタン系接着剤を用い、ドライラミネート法により厚さ60μのポリエチレンフィルム(東セロ社:商品名、TUX、FC−S)のコロナ処理面と接合した。条件は表1に示す実施例1とした。
【0022】
〈実施例2〉
実施例1で用いたセラミック蒸着フィルム上に、テトラエトキシシラン加水分解物とポリビニルアルコール系水溶性樹脂の混合物を主成分とする複合被膜層をグラビアコーティング法により設けた。次いで、実施例1と同様にポリエチレンフィルムと接合した。条件は表1に示す実施例2とした。
【0023】
〈実施例3〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例3とした。
【0024】
〈実施例4〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例4とした。
【0025】
〈実施例5〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例5とした。
【0026】
〈実施例6〉
プラズマ処理条件を変化させたこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す実施例6とした。
【0027】
〈比較例1〉
プラズマ処理を行わないこと以外は実施例1に同じ。条件は表1に示す比較例1とした。
【0028】
〈比較例2〉
プラズマ処理を行わないこと以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例2とした。
【0029】
〈比較例3〉
処理用のガスを導入したがパワーをかけず、すなわちプラズマは発生していない。それ以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例3とした。
【0030】
〈比較例4〉
プラズマ処理を行ったが、窒素の単独系である。それ以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例4とした。
【0031】
〈比較例5〉
プラズマ処理を行ったが、酸素の単独系である。それ以外は実施例2に同じ。条件は表1に示す比較例5とした。実施例及び比較例の条件は、下記の表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
次に、実施例の6種類及び比較例の5種類のラミネートフィルム資料の品質特性の評価をした。上記ラミネートフィルムの酸素透過度の測定をした。酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/40A)を用いて、30℃・70RH%雰囲気下で測定した。
【0034】
まず、上記ラミネートフィルムでパウチを作成し、前記パウチの一部は、水道水を充填した上で95℃−30分のボイル処理を行った。
【0035】
前記ボイル処理の前及び後のラミネートフィルムのラミネート強度を測定した。剥離試験機(オリエンテック社:テンシロン万能試験機 RTC−1250)を用いて、測定した。JIS Z 1707準拠。
【0036】
前記ラミネートフィルムの剥離面を観察した。蛍光X線分析装置(RIGAKU社:X−RAY SPECTROMETER 3270)により、蒸着層中のアルミニウム原子が剥離面のどちら側に存在するか観察した。
【0037】
上記ラミネートフィルムの引裂強度を測定した。引裂試験機(オリエンテック社:テンシロン万能試験機RTC−1250)を用いて、測定した。試験はJIS K 7128−1(トラウザー引裂法)準拠した。
【0038】
実施例の6種類及び比較例の5種類のラミネートフィルム資料の品質特性の評価の結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
これより、本発明のように窒素−酸素混合気体のプラズマの処理を行った実施例1〜実施例6のフィルムでは、ボイル後でのラミネート強度が大幅に向上し、すなわち、プラスチックフイルムの基材とセラミック蒸着層との密着強度が上昇したことがわかる。また、同様の結果が引き裂き強度の低下から示唆される。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、プラスチックフイルムの基材とセラミック蒸着層間の密着性が向上し、ラミネート強度、易引き裂き性に優れ、またボイル耐性を備えたセラミック蒸着フィルムを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック蒸着フイルムの一実施例を説明する側断面図である。
【符号の説明】
1…プラスチックスフイルム
2…低温プラズマによる化学反応処理面
3…セラミック蒸着層
4…複合被膜層
10…本発明のセラミック蒸着フイルム
Claims (7)
- プラスティックフィルムの少なくとも片面に窒素及び酸素の混合気体を成分に持つ低温プラズマによる化学反応処理を行い、次いでセラミック蒸着層を設けたことを特徴とするセラミック蒸着フィルム。
- 前記プラスティックフィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合体を成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つことを特徴とする請求項1に記載するセラミック蒸着フィルム。
- 前記ポリアミド類が、ナイロン−6、 ナイロン−6,6、ナイロン−12であることを特徴とする請求項1または2に記載するセラミック蒸着フィルム。
- 前記セラミック蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタンを成分に持つことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルム。
- 前記セラミック蒸着層の上に水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルム。
- 前記水酸基含有高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー(ビニルアルコール−co−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルム。
- 前記金属アルコキシドが、シランアルコキシド、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載するセラミック蒸着フィルム。
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