JP2004314273A - ブラスト用投射材及びブラスト処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】研削性を維持しつつ、被加工物の表面に研削傷を生じ難く、洗浄工程で研削屑或いは投射材残留物を除去することが容易で、投射剤の供給ラインにおいて付着や閉塞(目詰まり)を生じ難く、安定した供給を維持して、作業性を向上させることが可能なブラスト用投射材、特に、金属及び/又は非金属類からなる微細な管類の微細バリ取りに好適で、該管類の微細穴内の研削屑或いは投射材残留物の除去が容易なブラスト用投射材を提供する。
【解決手段】ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とするブラスト用投射材である。
【選択図】 なし
【解決手段】ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とするブラスト用投射材である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラスト用投射材及びそれを用いたブラスト処理方法に関し、特に、金属および非金属類の微細バリ取り、形状加工または表面処理に使用されるブラスト用投射材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、金属および非金属類の微細バリ取り、形状加工または表面処理に使用されるブラスト用投射材として、▲1▼金属粒(亜鉛、鉛など)、▲2▼樹脂粒(ナイロン、ポリエチレンなど)、▲3▼天然物粒(クルミ殻、桃の種など)、▲4▼セラミックス粒(ガラス、シリカ、アルミナなど)が使用されている。
【0003】
しかしながら、注射針などの微小穴の微細バリの除去に上記の投射材を使用した場合、研削後の洗浄工程において微小穴に研削屑或いは投射材が残留し易いため、バリ取り工程で製品の歩止まりが大きく低下してしまうという問題があった。特に、注射針の場合、医療用器具として使用されるため、厳重な検査管理が要求され、研削屑或いは投射材の残留は許容されない。また、一般的な問題として、金属粒をブラスト用投射材として使用した場合、対象とする被加工物の材質によっては、処理表面に研削傷が生じてしまうという問題があった。
【0004】
一方、配管内部をクリーニング或いは研磨する方法として、特定粒径の重曹をブラスト用投射材として使用する方法が、提案されている(特許文献1参照)。ここで、投射材として水溶性の重曹を使用した場合、バリ取り後の洗浄工程で微小穴内の残留物を除去することが可能になる。
【0005】
しかしながら、投射材として重曹を使用した場合、溶解洗浄に時間を要すると共に、該重曹は、形態が板状ないし棒状であるため流動性が悪く、投射材の供給ラインにおいて付着や閉塞などを生じ易く、作業効率に問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−239487号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、研削性を維持しつつ、被加工物の表面に研削傷を生じ難く、洗浄工程で研削屑或いは投射材残留物を除去することが容易で、投射剤の供給ラインにおいて付着や閉塞(目詰まり)を生じ難く、安定した供給を維持して、作業性を向上させることが可能なブラスト用投射材、特に、金属及び/又は非金属類からなる微細な管類の微細バリ取りに好適で、該管類の微細穴内の研削屑或いは投射材残留物の除去が容易なブラスト用投射材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるブラスト用投射材を用いたブラスト処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ミョウバン及び/又は乾燥ミョウバンをブラスト用投射材として使用することにより、ブラスト加工の対象物の表面に傷が発生するのを防止でき、洗浄工程での研削屑或いは投射材残留物の除去が容易で、更には、投射材の供給ラインにおける目詰まりを防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のブラスト用投射材は、ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする。ミョウバン及び乾燥ミョウバンは、正八面体の結晶形態を有し流動性が良いと共に、適度な硬度(モース硬度:2.5)を有し、またバリ取り後の洗浄工程で水に溶解させることができ、研削屑と共に容易に除去できるので、洗浄工程後の検査を簡素化することができる。それ故、本発明に係わるミョウバンは、ブラスト用投射材として好適で、特に注射針のような微小穴のバリ取りなどに好適である。
【0010】
また、本発明のブラスト用投射材の好適例においては、上記ミョウバンおよび乾燥ミョウバンは、投射材の供給ラインにおける付着や閉塞などによる作業効率の低下の問題を解決するために、粒径が10〜500ミクロン(μm)の範囲内であることを特徴とし、更には、流動性の指標となる安息角が30°〜40°の範囲内であることを特徴とする。
【0011】
一方、本発明のブラスト処理方法は、上記ブラスト用投射材を被加工物に衝突させることを特徴とする。ここで、被加工物としては、穴径が0.1〜20mmの金属及び/又は非金属類からなる管類、特に注射針が好ましく、該管類のバリ取り、特に微細バリ取りに、本発明のブラスト処理方法は好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のブラスト用投射材は、ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうち少なくとも一種を含有してなることを特徴とする。ここで、ミョウバンとしては、アルミニウムミョウバン、鉄ミョウバン及びクロムミョウバンなどを挙げることができるが、これらの中でもアルミニウムミョウバンが好ましい。また、アルミニウムミョウバンの中でも、硫酸アルミニウムカリウム[AlK(SO4)2・12H2O]、硫酸アルミニウムアンモニウム、[AlNH4(SO4)2・12H2O]が特に好ましい。一方、乾燥ミョウバンとしては、上記ミョウバンの乾燥物が挙げられ、乾燥アルミニウムミョウバンが好ましく、乾燥硫酸アルミニウムカリウム、乾燥硫酸アルミニウムアンモニウムが特に好適である。ここで、ミョウバンの乾燥物としては、無水物(焼ミョウバン)および結晶水の一部を放出した形態のものが使用できる。
【0013】
被加工物の材質あるいはバリの状態にもよるが、一般に、ブラスト用投射材には、被加工物に必要以上のダメージを与えない程度の適度な硬度を有することが要求される。例えば、ステンレス製の微細穴の処理には、モース硬度が1〜4の範囲、好ましくは2〜3の範囲の投射材が望ましい。この点、本発明で使用されるミョウバン及び乾燥ミョウバンは、モース硬度が2.5であるため、微細穴の処理に好適に使用することが出来る。
【0014】
また、注射針の様な微細な穴を有する被加工物を処理するためには、投射材の粒径が該微細穴の径よりも小さいことが必要であるが、ミョウバン及び乾燥ミョウバンは、晶折条件等により、粒径が10〜1000ミクロン程度の正八面体の結晶粒として容易に得ることが出来るため、この点においても好都合である。但し、投射材の粒径が10ミクロン未満では、投射エネルギーが不足して、十分なブラスト効果が得られず、500ミクロンを超えると大きな搬送エネルギーを要すると共に吐出ムラが生じるため、投射材の粒径は10〜500ミクロンが好ましい。
【0015】
前述のように、従来、市販の水溶性投射材として用いられている重曹は、板状ないし棒状の形態であるため、投射材の供給ラインで付着や目詰まりして吐出ムラを生じ易く、その結果、被加工物に部分的にバリが残るなど処理状況が不均一であるという問題があった。これに対し、本発明で使用されるミョウバン及び乾燥ミョウバンは、正八面体の結晶粒で、流動性の指標である安息角(JIS H1902に準拠して測定)が30°〜40°の範囲内にあって、流動性が良く、投射時に投射材の供給ラインに付着や目詰まりせず、一定量を、安定に供給することが出来るため、吐出ムラを生じることがない。また、ミョウバン及び乾燥ミョウバンは、重曹よりも水への溶解性に優れるため、洗浄により残存しにくい。
【0016】
尚、ミョウバンは水溶性の無機化合物でバリ取り後の洗浄工程で水に溶解して、研削屑と共に容易に除去できるので微細穴内に残留物として残らない。そのため、本発明のブラスト用投射材を用いることにより、洗浄工程後の検査を簡素化することができる。それ故、本発明に係わるミョウバンは、ブラスト用投射材として、特に注射針のような微小穴のバリ取りなどに好適である。また、被加工物の材質、形状、バリの状態、あるいは使用条件などによって、硬度の異なる既存の投射材を併用することなどにより、目的に応じた幅広い条件での使用が可能になる。ここで、既存の投射材としては、亜鉛、鉛などの金属の粒;ナイロン、ポリエチレンなどの樹脂の粒;クルミ殻、桃の種などの天然物の粒;ガラス、シリカ、アルミナなどのセラミックスの粒;ドライアイス粒等が挙げられる。
【0017】
また、本発明のブラスト処理方法は、上記ブラスト用投射材を被加工物に衝突させることを特徴とする。本発明のブラスト処理方法は、ブラスト用投射材として、上述のミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含む投射材を用いる以外、特に制限はなく、公知のブラスト処理用装置を使用することができる。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒(平均粒子径:50ミクロン、安息角:32°)5kgを投射材容器に入れ、ノズル先端より噴射圧5kg/cm2で約1分間噴射させ、20cm角の鉄板上に塗装した油性ペイントの剥離試験を実施した。結果を表1に示す。
【0020】
(比較例1)
硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒の代わりにガラスビーズ(東芝バロティーニ株式会社製GB301S、平均粒子径:45ミクロン、安息角:36°)を使用した他は、実施例1と同様にして剥離試験を実施した。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例2)
硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒の代わりに重曹(旭硝子株式会社製エコブラスト、平均粒子径:100ミクロン、安息角:45°)を使用した他は、実施例1と同様にして剥離試験を実施した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかな様に、硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒を使用した場合、投射材の供給管内での流動性が良好であると共に、投射により塗装のみがきれいに剥離されており、下地金属の表面状態も良好であった。一方、ガラスビーズを使用した場合、ほぼ良好な流動性が得られ、投射による塗装の剥離も良好であったが、下地金属の表面に白色の細かい打点状の痕跡が見られ、若干の外傷が残った。また、重曹を使用した場合、供給管内での流動性が悪く、噴射時に吐出ムラが生じたため、塗装の剥離も不十分であった。
【0024】
(実施例2)
硫酸アルミニウムカリウム結晶粒(平均粒子径:70ミクロン、安息角:38°)5kgを投射材容器に入れ、ステンレス製注射針(穴径0.2mm、先端穴内バリの高さ約80ミクロン)の束(1千本)に、0.8mm径のノズル先端より噴射圧4kg/cm2で15秒間噴射させバリ取りを実施した。続いて、バリ取り後の注射針の束を30℃の水を張った超音波洗浄機で5分間洗浄した後、80℃の乾燥器に15分間入れて乾燥した。結果を表2に示す。
【0025】
(比較例3)
硫酸アルミニウムカリウム結晶粒の代わりにガラスビーズ(東芝バロティーニ株式会社製GB301S、平均粒子径:45ミクロン、安息角:36°)を使用した他は、実施例2と同様にして試験を実施した。結果を表2に示す。
【0026】
(比較例4)
硫酸アルミニウムカリウム結晶粒の代わりに重曹(旭硝子株式会社製エコブラスト、平均粒子径:100ミクロン、安息角:45°)を使用した他は、実施例2と同様にして試験を実施した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2から明らかな様に、硫酸アルミニウムカリウム結晶粒を使用した場合、良好な流動性が得られると共に、注射針内のバリは完全に除去され、針穴周囲のエッジ処理も良好であった。また、注射針内に残留物は見られなかった。一方、ガラスビーズを使用した場合、ほぼ良好な流動性が得られ、バリ取りおよび針穴周囲のエッジ処理状況も良好であったが、注射針内にガラスビーズが残留している針が全体の約14%を占めることが確認された。また、重曹を使用した場合、流動性が悪く、噴射時に吐出ムラを生じる結果、バリ取りおよび針穴周囲のエッジ処理状況はあまり良くなく、部分的にバリが残り、また、エッジ処理の状況が不均一であった。更に、注射針内に未溶解の重曹粒子が残存している針が全体の約6%を占めることが確認された。
【0029】
【発明の効果】
本発明のブラスト用投射材は、良好な研削性を維持しつつ、投射時に被加工物表面に出来る傷の発生率を減少させることができると共に、洗浄工程における残留物の除去が容易で、更には、投射時に投射材の供給ラインにおいて目詰まりしにくく、作業性を大幅に向上させることができる。また、本発明のブラスト処理方法は、かかるブラスト用投射材を使用するため、金属及び/又は非金属類よりなる管類のバリ取りに好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラスト用投射材及びそれを用いたブラスト処理方法に関し、特に、金属および非金属類の微細バリ取り、形状加工または表面処理に使用されるブラスト用投射材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、金属および非金属類の微細バリ取り、形状加工または表面処理に使用されるブラスト用投射材として、▲1▼金属粒(亜鉛、鉛など)、▲2▼樹脂粒(ナイロン、ポリエチレンなど)、▲3▼天然物粒(クルミ殻、桃の種など)、▲4▼セラミックス粒(ガラス、シリカ、アルミナなど)が使用されている。
【0003】
しかしながら、注射針などの微小穴の微細バリの除去に上記の投射材を使用した場合、研削後の洗浄工程において微小穴に研削屑或いは投射材が残留し易いため、バリ取り工程で製品の歩止まりが大きく低下してしまうという問題があった。特に、注射針の場合、医療用器具として使用されるため、厳重な検査管理が要求され、研削屑或いは投射材の残留は許容されない。また、一般的な問題として、金属粒をブラスト用投射材として使用した場合、対象とする被加工物の材質によっては、処理表面に研削傷が生じてしまうという問題があった。
【0004】
一方、配管内部をクリーニング或いは研磨する方法として、特定粒径の重曹をブラスト用投射材として使用する方法が、提案されている(特許文献1参照)。ここで、投射材として水溶性の重曹を使用した場合、バリ取り後の洗浄工程で微小穴内の残留物を除去することが可能になる。
【0005】
しかしながら、投射材として重曹を使用した場合、溶解洗浄に時間を要すると共に、該重曹は、形態が板状ないし棒状であるため流動性が悪く、投射材の供給ラインにおいて付着や閉塞などを生じ易く、作業効率に問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−239487号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、研削性を維持しつつ、被加工物の表面に研削傷を生じ難く、洗浄工程で研削屑或いは投射材残留物を除去することが容易で、投射剤の供給ラインにおいて付着や閉塞(目詰まり)を生じ難く、安定した供給を維持して、作業性を向上させることが可能なブラスト用投射材、特に、金属及び/又は非金属類からなる微細な管類の微細バリ取りに好適で、該管類の微細穴内の研削屑或いは投射材残留物の除去が容易なブラスト用投射材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるブラスト用投射材を用いたブラスト処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ミョウバン及び/又は乾燥ミョウバンをブラスト用投射材として使用することにより、ブラスト加工の対象物の表面に傷が発生するのを防止でき、洗浄工程での研削屑或いは投射材残留物の除去が容易で、更には、投射材の供給ラインにおける目詰まりを防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のブラスト用投射材は、ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする。ミョウバン及び乾燥ミョウバンは、正八面体の結晶形態を有し流動性が良いと共に、適度な硬度(モース硬度:2.5)を有し、またバリ取り後の洗浄工程で水に溶解させることができ、研削屑と共に容易に除去できるので、洗浄工程後の検査を簡素化することができる。それ故、本発明に係わるミョウバンは、ブラスト用投射材として好適で、特に注射針のような微小穴のバリ取りなどに好適である。
【0010】
また、本発明のブラスト用投射材の好適例においては、上記ミョウバンおよび乾燥ミョウバンは、投射材の供給ラインにおける付着や閉塞などによる作業効率の低下の問題を解決するために、粒径が10〜500ミクロン(μm)の範囲内であることを特徴とし、更には、流動性の指標となる安息角が30°〜40°の範囲内であることを特徴とする。
【0011】
一方、本発明のブラスト処理方法は、上記ブラスト用投射材を被加工物に衝突させることを特徴とする。ここで、被加工物としては、穴径が0.1〜20mmの金属及び/又は非金属類からなる管類、特に注射針が好ましく、該管類のバリ取り、特に微細バリ取りに、本発明のブラスト処理方法は好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のブラスト用投射材は、ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうち少なくとも一種を含有してなることを特徴とする。ここで、ミョウバンとしては、アルミニウムミョウバン、鉄ミョウバン及びクロムミョウバンなどを挙げることができるが、これらの中でもアルミニウムミョウバンが好ましい。また、アルミニウムミョウバンの中でも、硫酸アルミニウムカリウム[AlK(SO4)2・12H2O]、硫酸アルミニウムアンモニウム、[AlNH4(SO4)2・12H2O]が特に好ましい。一方、乾燥ミョウバンとしては、上記ミョウバンの乾燥物が挙げられ、乾燥アルミニウムミョウバンが好ましく、乾燥硫酸アルミニウムカリウム、乾燥硫酸アルミニウムアンモニウムが特に好適である。ここで、ミョウバンの乾燥物としては、無水物(焼ミョウバン)および結晶水の一部を放出した形態のものが使用できる。
【0013】
被加工物の材質あるいはバリの状態にもよるが、一般に、ブラスト用投射材には、被加工物に必要以上のダメージを与えない程度の適度な硬度を有することが要求される。例えば、ステンレス製の微細穴の処理には、モース硬度が1〜4の範囲、好ましくは2〜3の範囲の投射材が望ましい。この点、本発明で使用されるミョウバン及び乾燥ミョウバンは、モース硬度が2.5であるため、微細穴の処理に好適に使用することが出来る。
【0014】
また、注射針の様な微細な穴を有する被加工物を処理するためには、投射材の粒径が該微細穴の径よりも小さいことが必要であるが、ミョウバン及び乾燥ミョウバンは、晶折条件等により、粒径が10〜1000ミクロン程度の正八面体の結晶粒として容易に得ることが出来るため、この点においても好都合である。但し、投射材の粒径が10ミクロン未満では、投射エネルギーが不足して、十分なブラスト効果が得られず、500ミクロンを超えると大きな搬送エネルギーを要すると共に吐出ムラが生じるため、投射材の粒径は10〜500ミクロンが好ましい。
【0015】
前述のように、従来、市販の水溶性投射材として用いられている重曹は、板状ないし棒状の形態であるため、投射材の供給ラインで付着や目詰まりして吐出ムラを生じ易く、その結果、被加工物に部分的にバリが残るなど処理状況が不均一であるという問題があった。これに対し、本発明で使用されるミョウバン及び乾燥ミョウバンは、正八面体の結晶粒で、流動性の指標である安息角(JIS H1902に準拠して測定)が30°〜40°の範囲内にあって、流動性が良く、投射時に投射材の供給ラインに付着や目詰まりせず、一定量を、安定に供給することが出来るため、吐出ムラを生じることがない。また、ミョウバン及び乾燥ミョウバンは、重曹よりも水への溶解性に優れるため、洗浄により残存しにくい。
【0016】
尚、ミョウバンは水溶性の無機化合物でバリ取り後の洗浄工程で水に溶解して、研削屑と共に容易に除去できるので微細穴内に残留物として残らない。そのため、本発明のブラスト用投射材を用いることにより、洗浄工程後の検査を簡素化することができる。それ故、本発明に係わるミョウバンは、ブラスト用投射材として、特に注射針のような微小穴のバリ取りなどに好適である。また、被加工物の材質、形状、バリの状態、あるいは使用条件などによって、硬度の異なる既存の投射材を併用することなどにより、目的に応じた幅広い条件での使用が可能になる。ここで、既存の投射材としては、亜鉛、鉛などの金属の粒;ナイロン、ポリエチレンなどの樹脂の粒;クルミ殻、桃の種などの天然物の粒;ガラス、シリカ、アルミナなどのセラミックスの粒;ドライアイス粒等が挙げられる。
【0017】
また、本発明のブラスト処理方法は、上記ブラスト用投射材を被加工物に衝突させることを特徴とする。本発明のブラスト処理方法は、ブラスト用投射材として、上述のミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含む投射材を用いる以外、特に制限はなく、公知のブラスト処理用装置を使用することができる。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒(平均粒子径:50ミクロン、安息角:32°)5kgを投射材容器に入れ、ノズル先端より噴射圧5kg/cm2で約1分間噴射させ、20cm角の鉄板上に塗装した油性ペイントの剥離試験を実施した。結果を表1に示す。
【0020】
(比較例1)
硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒の代わりにガラスビーズ(東芝バロティーニ株式会社製GB301S、平均粒子径:45ミクロン、安息角:36°)を使用した他は、実施例1と同様にして剥離試験を実施した。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例2)
硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒の代わりに重曹(旭硝子株式会社製エコブラスト、平均粒子径:100ミクロン、安息角:45°)を使用した他は、実施例1と同様にして剥離試験を実施した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかな様に、硫酸アルミニウムアンモニウム結晶粒を使用した場合、投射材の供給管内での流動性が良好であると共に、投射により塗装のみがきれいに剥離されており、下地金属の表面状態も良好であった。一方、ガラスビーズを使用した場合、ほぼ良好な流動性が得られ、投射による塗装の剥離も良好であったが、下地金属の表面に白色の細かい打点状の痕跡が見られ、若干の外傷が残った。また、重曹を使用した場合、供給管内での流動性が悪く、噴射時に吐出ムラが生じたため、塗装の剥離も不十分であった。
【0024】
(実施例2)
硫酸アルミニウムカリウム結晶粒(平均粒子径:70ミクロン、安息角:38°)5kgを投射材容器に入れ、ステンレス製注射針(穴径0.2mm、先端穴内バリの高さ約80ミクロン)の束(1千本)に、0.8mm径のノズル先端より噴射圧4kg/cm2で15秒間噴射させバリ取りを実施した。続いて、バリ取り後の注射針の束を30℃の水を張った超音波洗浄機で5分間洗浄した後、80℃の乾燥器に15分間入れて乾燥した。結果を表2に示す。
【0025】
(比較例3)
硫酸アルミニウムカリウム結晶粒の代わりにガラスビーズ(東芝バロティーニ株式会社製GB301S、平均粒子径:45ミクロン、安息角:36°)を使用した他は、実施例2と同様にして試験を実施した。結果を表2に示す。
【0026】
(比較例4)
硫酸アルミニウムカリウム結晶粒の代わりに重曹(旭硝子株式会社製エコブラスト、平均粒子径:100ミクロン、安息角:45°)を使用した他は、実施例2と同様にして試験を実施した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2から明らかな様に、硫酸アルミニウムカリウム結晶粒を使用した場合、良好な流動性が得られると共に、注射針内のバリは完全に除去され、針穴周囲のエッジ処理も良好であった。また、注射針内に残留物は見られなかった。一方、ガラスビーズを使用した場合、ほぼ良好な流動性が得られ、バリ取りおよび針穴周囲のエッジ処理状況も良好であったが、注射針内にガラスビーズが残留している針が全体の約14%を占めることが確認された。また、重曹を使用した場合、流動性が悪く、噴射時に吐出ムラを生じる結果、バリ取りおよび針穴周囲のエッジ処理状況はあまり良くなく、部分的にバリが残り、また、エッジ処理の状況が不均一であった。更に、注射針内に未溶解の重曹粒子が残存している針が全体の約6%を占めることが確認された。
【0029】
【発明の効果】
本発明のブラスト用投射材は、良好な研削性を維持しつつ、投射時に被加工物表面に出来る傷の発生率を減少させることができると共に、洗浄工程における残留物の除去が容易で、更には、投射時に投射材の供給ラインにおいて目詰まりしにくく、作業性を大幅に向上させることができる。また、本発明のブラスト処理方法は、かかるブラスト用投射材を使用するため、金属及び/又は非金属類よりなる管類のバリ取りに好適である。
Claims (7)
- ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とするブラスト用投射材。
- 前記ミョウバンおよび乾燥ミョウバンの粒径が10〜500ミクロンの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のブラスト用投射材。
- 前記ミョウバンおよび乾燥ミョウバンの安息角が30°〜40°の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラスト用投射材。
- 前記ミョウバンおよび乾燥ミョウバンのうちの少なくとも一種と、金属粒、樹脂粒、天然物粒、セラミックス粒、ドライアイス粒のうちの少なくとも一種とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブラスト用投射材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のブラスト用投射材を被加工物に衝突させることを特徴とするブラスト処理方法。
- 前記被加工物が金属及び/又は非金属類からなる管類で、その穴径が0.1〜20mmの範囲であり、前記衝突により該管類の微細バリ取りを行うことを特徴とする請求項5に記載のブラスト処理方法。
- 前記管類が注射針であることを特徴とする請求項6に記載のブラスト処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003114734A JP2004314273A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | ブラスト用投射材及びブラスト処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2003114734A JP2004314273A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | ブラスト用投射材及びブラスト処理方法 |
Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008546451A (ja) * | 2005-07-13 | 2008-12-25 | ステリス インク | 管腔の洗浄方法 |
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- 2003-04-18 JP JP2003114734A patent/JP2004314273A/ja active Pending
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JP2008546451A (ja) * | 2005-07-13 | 2008-12-25 | ステリス インク | 管腔の洗浄方法 |
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