JP2004314151A - ハイドロフォーム加工用金型及びハイドロフォーム加工方法 - Google Patents

ハイドロフォーム加工用金型及びハイドロフォーム加工方法 Download PDF

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【課題】より拡管部長さが長く、高拡管率の成形品が得られるハイドロフォーム加工用金型及び加工方法を提供すること。
【解決手段】金属管を分割した金型に装着し、型締めした後で、前記金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷するハイドロフォーム加工に用いられる一対の金型であって、前記一対の金型は、それぞれ管軸と直角方向に移動自在で金属管の拡管部を形成するカウンターパンチ(1)と、管軸方向に移動自在な可動金型(2)と、前記可動金型(2)及び前記カウンターパンチ(1)を保持する固定金型(3)からなり、前記可動金型(2)は前記カウンターパンチ(1)と摺動自在な溝(4)を管軸方向に有するハイドロフォーム加工用金型。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の排気系部品やサスペンション系部品等の製造に用いられるもので、金属管を分割した金型に入れ、当該金型を型締めした後、金属管内に内圧と管軸方向の押し力を負荷することにより所定形状に成形するハイドロフォーム加工方法及びハイドロフォーム加工用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ハイドロフォーム技術は、部品数削減によるコスト削減や軽量化等の手段の一つとして自動車分野で注目を浴びており、欧米では数年前から既に実車に採用され、国内でも1999年から実車への適用も開始した。それ以降、ハイドロフォーム加工の適用部品は年々増加し、その市場規模は大幅に拡大してきた。ハイドロフォーム加工では成形する金属管に内圧を加えると同時に管端部からの軸押しを加えることにより材料を流入させ大きな変形を可能とすることができるが、この時、管軸方向に移動自在な可動金型によって金属管の管端部のみでなく可動型と接触する部分全体を拘束して押し込むと同時に拡管部をカウンターパンチでサポートすることで、より効率的に材料を流入させつつ座屈を防ぎ、低い内圧でより大きな変形をさせることができる。特許文献1に前記の可動型とカウンターパンチを使ったハイドロフォーム加工方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−153917号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来からハイドロフォーム成形において、大拡管率を実現する為に図1及び図2に示すような管軸に直角方向に移動自在で金属管5の拡管部を形成するカウンターパンチ1と、管軸方向に移動自在な可動金型2と、固定金型3からなるハイドロフォーム加工用金型が提案されているが、このような金型では可動金型2を軸方向に自在に移動可能にする為に、カウンターパンチ1は可動金型2の移動範囲外となる拡管部の中央にしか設けられない。その為、拡管部の両端で素管にカウンターを当てながら拡管させることができず、これが図3に示すような拡管部中央での座屈発生の原因となり成形可能な拡管部長さおよび拡管率の限界を低くしている。
本発明は、より拡管部長さが長く、高拡管率の成形品が得られるハイドロフォーム加工用金型及び加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは下記の通りである。
(1) 金属管を分割した金型に装着し、型締めした後で、前記金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷するハイドロフォーム加工に用いられる一対の金型であって、前記一対の金型は、それぞれ管軸と直角方向に移動自在で金属管の拡管部を形成するカウンターパンチと、管軸方向に移動自在な可動金型と、前記可動金型及び前記カウンターパンチを保持する固定金型からなり、前記可動金型は前記カウンターパンチと摺動自在な溝を管軸方向に有することを特徴とするハイドロフォーム加工用金型。
(2) 前記(1)記載の金型を用いて金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、金属管がカウンターパンチに接触した後、前記カウンターパンチを後退させながらさらに金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、拡管部の長さを成形前の金属管外径の5倍以上とすることを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
(3) 前記(1)記載の金型を用いて金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、金属管がカウンターパンチに接触した後、前記カウンターパンチを後退させながらさらに金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、拡管部の最大周長を成形前の金属管の周長に対して1.4倍以上とすることを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
(4) 前記(2)又は(3)記載の方法により拡管した金属管を中間製品とし、その中間製品を最終製品形状の金型に装着し、内圧と管軸方向押し込み力を負荷することを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の金型は、図4及び図5に示すように、可動金型2がカウンターパンチ1と摺動自在な溝4を管軸方向に有しており、可動金型1の動きを妨げることなく拡管部端まで続く長尺のカウンターパンチ1を使用することができる。これにより、本来材料が流入しやすく拡管が進み安い拡管部の両端での拡管を押さえながら成形を行う事が出来、拡管部中央と拡管部両端で拡管を均一に進める事ができる。その為、図6に示すごとく従来から問題であった拡管部中央での座屈の発生を著しく抑制することができ、従来よりも拡管部長さの長い製品を作る事ができると同時に、より低い内圧で減肉を抑えて拡管を進め大拡管率の製品を製造できる。
【0007】
なお、図4の他に図7及び図8のような上下に非対称な上側可動金型2a、下側可動金型2b、その周囲の上側固定金型3a、下側固定金型3b、及び管軸方向と直角方向(紙面に対して前後方向)に移動自在なカウンターパンチ1からなる上下金型を使用しても同様の効果を得ることができる。
また、上記の各種例において使用する金属管5としては、鋼管、ステンレス管、アルミニウム管、チタン管等を使用できる。
【0008】
【実施例】
本発明の実施例として図4において、各部の寸法をa=600mm、b=240mm、c=60.5mm、d=1700mm、e=20mm、f=600mm、g=365mm、h=400mm、i=75mm、j=280mmとした金型を作成し、外径=60.5mm、板厚=3.2mm、素管長=(1000mm+左右の軸押し量の合計)のSTKM11Aの鋼管を使用し、図9において拡管部長さaと拡管部の長方形断面の幅方向寸法bを変化させた部品を成形した。溝形状は可動金型2の先端から310mmの位置まで、平面状の溝を設けた。ここで左右の可動金型は同形状、また上下の金型も同形状とした。なお、成形時の軸押しは左右同じ量とした。
【0009】
また比較例として、図1において各部寸法をa=60mm、b=240mm、c=60.5mm、d=1700mm、e=20mm、f=600mm、g=365mm、h=400mm、i=75mmとした金型を作成し、同様の部品を成形して本発明と比較した。ここで左右の可動金型は同形状、また上下の金型も同形状とした。なお成形時の軸押しは左右同じ量とした。いずれの金型の場合も成形時の管端のシールは、O−リングを装着したノズルを用いて行った。
【0010】
表1は本発明の金型で成形した場合のハイドロフォーム成形性を、及び表2は従来の金型で成形した場合のハイドロフォーム成形性の結果を示しており、これらの表から本発明は従来技術と比べて拡管部長さaが長く、高い拡管率の成形品をつくることが可能であることがわかる。表中の○は座屈や破裂が無く成形できた場合を示し、×は、座屈や破裂が生じうまく成形できなかった場合を示す。なお、表中の軸押し量は片側の値をあらわしている。
【0011】
【表1】
Figure 2004314151
【0012】
【表2】
Figure 2004314151
【0013】
【発明の効果】
以上説明した本発明に係る加工用金型及び加工方法よって、より拡管部長さが長く、高拡管率の部品のハイドロフォーム成形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のカウンターパンチ付き可動金型の例、図は下型で上下金型は同形状、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図。
【図2】従来のカウンターパンチ付き可動金型の加工開始前の図、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図、(d)は可動金型の外観図。
【図3】従来のカウンターパンチ付き可動金型の加工終了後の図、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図。
【図4】本発明のハイドロフォーム用加工金型の例、図は下型で上下金型は同形状、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図、(d)は可動金型の外観図。
【図5】本発明のハイドロフォーム用加工金型の加工開始前の図、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図。
【図6】本発明のハイドロフォーム用加工金型の加工終了後の図、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図。
【図7】本発明の他の金型例を示す縦断面図、(a)はB−B断面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図。加工前の状態を示した図。なお金属管は除いた図。
【図8】本発明の他の金型例を示す縦断面図、(a)はB−B断面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図。加工終了時の状態を示した図。なお、ハイドロフォーム成形品は除いた図となっている。
【図9】実施例で作成したハイドロフォーム成形品、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図。
【符号の説明】
1・・・カウンターパンチ
2・・・可動金型
2a・・上側可動金型
2b・・下側可動金型
3・・・固定金型
3a・・上側固定金型
3b・・下側固定金型
4・・・カウンターパンチと可動金型を摺動自在にする為の溝
5・・・金属管
6・・・ハイドロフォーム成形品

Claims (4)

  1. 金属管を分割した金型に装着し、型締めした後で、前記金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷するハイドロフォーム加工に用いられる一対の金型であって、前記一対の金型は、それぞれ管軸と直角方向に移動自在で金属管の拡管部を形成するカウンターパンチ(1)と、管軸方向に移動自在な可動金型(2)と、前記可動金型(2)及び前記カウンターパンチ(1)を保持する固定金型(3)からなり、前記可動金型(2)は前記カウンターパンチ(1)と摺動自在な溝(4)を管軸方向に有することを特徴とするハイドロフォーム加工用金型。
  2. 請求項1記載の金型を用いて金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、金属管がカウンターパンチに接触した後、前記カウンターパンチを後退させながらさらに金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、拡管部の長さを成形前の金属管外径の5倍以上とすることを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
  3. 請求項1記載の金型を用いて金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、金属管がカウンターパンチに接触した後、前記カウンターパンチを後退させながらさらに金属管に内圧と管軸方向押し込み力を負荷し、拡管部の最大周長を成形前の金属管の周長に対して1.4倍以上とすることを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
  4. 請求項2又は3記載の方法により拡管した金属管を中間製品とし、その中間製品を最終製品形状の金型に装着し、内圧と管軸方向押し込み力を負荷することを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
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