JP2004314020A - ウイルス分離用膜処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性汚泥処理装置10において、適切な活性汚泥濃度に保たれた硝化槽18内で、膜濾過器26によりウイルス除去された処理水は、オゾン処理槽66でオゾン処理されてから系外へ排出される。又、汚泥排出管38から抜き取られた活性汚泥は、熱処理器54で加熱コイル56で70°Cに加熱されて、アルカリ添加装置58からアルカリ物質が添加されることにより、前記活性汚泥内のウイルスが殺菌される。こうして、熱アルカリ処理された活性汚泥は、生物処理槽14へ返送又は系外へ排出される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウイルス分離用膜処理システムに係り、特に下水道、湖沼水、河川水、プール水等の水中に存在するウイルスを膜濾過することで水中からウイルスを除去するウイルス分離用膜処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
下水道、湖沼水、河川水、水槽等の水中には多数種のウイルスが存在することが分かってきたが、多数種のウイルスの中には人や家畜等に害を与えるものもあり、水中のウイルスを除去又は不活性化することが必要になってきている。
【0003】
水中に生息するウイルスを除去又は不活性化する従来の一般的な方法として、ウイルスが存在する水を塩素処理する方法、オゾン処理する方法、紫外線を照射する方法、加熱する方法等がある。
【0004】
これら以外にも、特許文献1には、膜口目の繊毛虫が存在する領域に繊毛虫を生息させるための直径50〜500μmの多孔性担体を備え、この領域にウイルスが存在する水を通過させることにより、ウイルスを繊毛虫に取り込ませて除去する方法が開示されている。更に、特許文献2には、材料表面にアミン化合物を固定化した有機材料を膜としたウイルスの選択的除去材料が開示されている。
【0005】
しかし、塩素処理は残留塩素の問題、オゾン処理や紫外線照射処理は処理コストの問題、加熱処理は耐熱ウイルスには適用できないと共に下水道等の大量の水の処理には不向きであるとの問題がある。また、特許文献1は膜口目の繊毛虫を必要とすると共に、繊毛虫へのウイルスの取り込みのバラツキにより完全なウイルスの除去は難しいという欠点がある。特許文献2は、血漿中や血液成分を含んだ蛋白溶液から選択的にウイルスを除去する医薬品業界等での使用を目的としたもので、下水道等の大量の水からウイルスを除去するには不向きである。
【0006】
下水道等の汚水からウイルスを除去する別の方法として、薬品の残留、処理コストの問題、耐熱ウイルスの問題等がない膜濾過法があるが、この膜濾過法の最大の欠点は、膜の公称孔径をウイルスの径よりも小さくしなくてはならず、透過流束が極端に悪くなるという問題である。
【0007】
そこで、本出願の出願人は特願2003−46831において、膜の透過流束を低下させることなく水中のウイルスを除去することができるウイルス除去方法及び装置を提案した。このウイルス除去方法及び装置は膜濾過器の膜の公称孔径に応じて生物処理槽内から引き抜いて生物処理槽に戻す汚泥量をコントロールし、これによってウイルスの径よりも公称孔径の大きな膜での膜濾過を可能にして膜の透過流束の低下を防止するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−137783号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平6−114250号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生物処理槽に戻す汚泥にはウイルスが存在しているので、汚泥を戻すことによって、再び生物処理槽内にウイルスが持ち込まれてしまうという問題がある。また、引き抜いた汚泥の一部を余剰汚泥として生物処理槽の系外に排出する場合にもウイルスの存在する汚泥をそのまま排出することは問題である。更に、膜濾過によってウイルスが除去された処理水が得られるが、膜の老朽化や破損等によって処理水にウイルスが混入してしまうことも考慮する必要がある。
【0011】
従って、出願人が提案したウイルス除去方法及び装置を、実用化するためには、生物処理槽に返送する活性汚泥中のウイルス対策、膜から処理水に漏洩した場合のウイルス対策を含めた総合的なウイルス分離用膜処理システムとしての具体的な構築が必要である。
【0012】
本発明はかかる問題に鑑みて成されたもので、膜の透過流束を低下させることなく水中のウイルスを除去することができ、しかも活性汚泥中のウイルス対策、膜から処理水に漏洩した場合のウイルス対策を含めた総合的なウイルス分離用膜処理システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、生物処理槽内の被処理水中に膜濾過器を浸漬させて、前記被処理水中に存在するウイルスを膜濾過により除去した処理水を得ると共に、前記膜濾過器の膜の公称孔径に応じて前記生物処理槽内から引き抜いて前記生物処理槽に戻す活性汚泥量をコントロールするウイルス分離用膜処理システムであって、前記生物処理槽から引き抜かれた活性汚泥を熱処理する熱処理手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、膜濾過器の膜の公称孔径に応じて生物処理槽内から引き抜いて前記生物処理槽に戻す活性汚泥量をコントロールすることにより、膜の透過流束を低下させることなく水中のウイルスを除去することができる。更に、生物処理槽から引き抜かれた活性汚泥を熱処理する熱処理手段を設け、活性汚泥中のウイルスを殺菌或いは不活性化するようにしたので、活性のあるウイルスが再び生物処理槽内に持ち込まれてしまうことがない。この場合、活性汚泥中のウイルスが少ない場合には、返送する活性汚泥の全量を加熱処理する必要はなく、一部のみを加熱処理するようにしてもよい。一部のみの加熱処理であっても、生物処理槽内に持ち込まれる活性なウイルス量を低減できる。
【0015】
ここで、膜濾過器の膜の公称孔径に応じて生物処理槽内から引き抜いて生物処理槽に戻す活性汚泥量をコントロールすることにより、膜の透過流束を低下させることなく水中のウイルスを除去することができる理由を説明する。即ち、被処理水中に存在するウイルスはSS成分、例えば活性汚泥に吸着され易く、活性汚泥に吸着されることにより、見かけ上の径が大きくなる。従って、ウイルスよりも大きな公称孔径の膜であってもウイルスを膜濾過でき、ウイルスよりも大きな膜の公称孔径と処理槽内のSS成分濃度との相互の関係を適切にコントロールすることで、膜の透過流束を低下させることなく水中のウイルスを完全に除去できる。
【0016】
本発明の請求項2は請求項1において、前記熱処理手段では、前記活性汚泥を70°C以上で熱処理することを特徴とする。これは、ウイルスの種類にもよるが、汚水中に存在するウイルスの耐熱性は、一般的な細菌等の微生物よりも低く、70°C以上という比較的低温の加熱で一般的に有害なウイルスを殺菌或いは不活性化することができることが知られている。従って、比較的低温で活性汚泥内のウイルス殺菌を行うことができるので、熱処理にかかるランニングコストも顕著に増加することがない。
【0017】
本発明の請求項3は請求項1又は2において、前記活性汚泥をアルカリ処理するアルカリ処理を設けたことを特徴とする。これは、ウイルスはアルカリ処理によっても殺菌或いは不活性化が可能だからである。特に、熱処理とアルカリ処理とを併用することで、活性汚泥に対して熱アルカリ処理が行われるので、ウイルスの殺菌や不活性化がより効果的に行われると共に、活性汚泥の自己分解を促進させる。従って、熱アルカリ処理された活性汚泥は生物処理槽へ返送しても自己分解されるので、返送汚泥により微生物が繁殖して余剰汚泥が増加するのを抑制できる。
【0018】
本発明の請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記処理水をオゾン処理するオゾン処理手段を設けたことを特徴とする。これにより、膜の老朽化や破損等によってウイルスが処理水に漏洩した場合であっても、処理水がオゾン殺菌されるので、ウイルスの存在する処理水が系外に排出されてしまうことがない。
更に、加熱処理した活性汚泥を生物処理槽に戻すようにした場合、加熱処理による汚泥の可溶化によって色素成分や生物処理では分解されない難分解性物質が生成され易くなる。そして、これらの色素成分や難分解性物質が膜濾過器の膜を透過して処理水を濁らすことがある。しかし、本発明では処理水をオゾン処理するようにしたので、単にウイルスのオゾン殺菌だけでなく、色素成分や難分解性物質の分解も合わせて行うことができるので、処理水の水質を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係わるウイルス分離用膜処理システムの好ましい形態について詳説する。
【0020】
図1は、本発明のウイルス分離用膜処理システムを、アンモニア性窒素を含有する廃水の窒素除去を行う活性汚泥処理装置10に組み込んだ一例である。
【0021】
図1に示すように、ウイルス分離用膜処理システムを組み込んだ活性汚泥処理装置10は、主として、生物処理槽14と、生物処理槽14から引き抜いて該生物処理槽14に戻す活性汚泥を加熱処理する熱処理手段11及びアルカリ処理するアルカリ処理手段13と、生物処理槽14による硝化・脱窒処理で得られた処理水をオゾン処理するオゾン処理手段15とで構成される。
【0022】
活性汚泥処理装置10において、廃水は原水配管12から生物処理槽14に流入する。生物処理槽14は脱窒槽16と硝化槽18とに区画され、硝化槽18の液は循環配管20を介して脱窒槽16に循環される。硝化槽18では、ブロア22に接続された曝気配管24からエアが曝気され、廃水と活性汚泥とが好気性条件で接触して、廃水中のアンモニア性窒素が硝酸性窒素に硝化処理される。一方、脱窒槽16では、硝化槽18での硝化処理により生成されて循環配管20により循環された硝酸性窒素が嫌気性条件下で活性汚泥と接触して窒素ガスに脱窒処理される。
【0023】
また、硝化槽18内の廃水中には、膜濾過器26が浸漬され、膜濾過器26は処理水配管28に接続されると共に、処理水配管28には方向切り替え可能な吸引ポンプ30が配設される。これにより、硝化槽18内の液が膜濾過器26の膜によって吸引濾過され、処理水と活性汚泥とに分離される。この膜濾過器26による膜濾過によって、廃水中に存在するウイルスも除去される。
【0024】
かかるウイルス除去を行う膜濾過器26の膜は、その公称孔径を廃水から除去したいウイルスの大きさよりも大きく設定すると共に、ウイルスの大きさよりも膜の公称孔径を大きくしてもウイルスが漏洩しないように、膜濾過器26に使用する膜の公称孔径に応じて生物処理槽14内から引き抜いて生物処理槽14に戻す活性汚泥量をコントロールする。
【0025】
具体的には、膜の公称孔径が0.01μm以下のときに硝化槽18内の活性汚泥濃度が0mg/Lを超えて、500mg/L未満である関係になるように、生物処理槽14に戻す活性汚泥量をコントロールする。また、膜の公称孔径が0.01μmを超えて0.1μm以下のときに硝化槽18内の活性汚泥濃度が500mg/L以上、3000mg/L未満である関係になるように生物処理槽14に戻す活性汚泥量をコントロールする。更には、膜の公称孔径が0.1μmを超えて0.8μm以下のときに硝化槽18内の活性汚泥濃度が3000mg/L以上となるように生物処理槽14に戻す活性汚泥量をコントロールする。
【0026】
この、膜の公称孔径と生物処理槽14に戻す活性汚泥量との関係は、表1に示す根拠によるものである。
【0027】
【表1】
表1は、膜濾過器26の膜の公称孔径と試験水の活性汚泥濃度(MLSS)によるウイルスの膜濾過効果との関係を示した実験結果であり、0.01μm未満の大きさのウイルスが存在する試験水の活性汚泥濃度を増加させていったときに、公称孔径が何μmの膜であれば、ウイルスを完全に除去でき且つ膜の透過流束を維持することができるかを調べたものである。
【0028】
その結果、表1から分かるように、MLSSが0mg/Lを超えて500mg/L未満の範囲では、ウイルスの大きさと公称孔径が略同等の0.01μm以下の膜を使用することにより、ウイルスを完全に除去でき且つ膜の透過流束を維持することができた。MLSSを大きくしていって、MLSSが500mg/L以上、3000mg/L未満の範囲では、公称孔径が0.01μm以上、0.1μm未満の範囲の膜を使用することにより、ウイルスを完全に除去でき且つ膜の透過流束を維持することができた。MLSSを更に大きくして3000mg/L以上にすると、公称孔径が0.1μm以上、0.8μm未満の範囲の膜を使用することにより、ウイルスを完全に除去でき且つ膜の透過流束を維持することができた。このように、試験水中のSS成分濃度を大きくすることで、ウイルスの大きさよりも大きな公称孔径の膜でウイルスを濾過できる理由は、試験水中に存在するウイルスはSS成分に吸着され、SS成分に吸着されることにより、見かけ上の径が大きくなるためであると考察される。
【0029】
従って、活性汚泥処理装置10では、表1の結果に基づいて適切な公称孔径の膜を備えた膜濾過器26を使用し、該公称孔径に対応して生物処理槽14内に戻す活性汚泥量をコントロールできるように構成される。
【0030】
即ち、硝化槽18の底部からは、汚泥ポンプ36を備えた汚泥排出管38が延設されて切換器40に接続されると共に、引き抜かれた汚泥の流れが切換器40によって余剰汚泥管42と汚泥返送管44とに切り換えられる。また、汚泥排出管38には、汚泥濃縮器46が設けられている。汚泥濃縮器46としては、例えば脱水器等が用いることができる。一方、硝化槽18内には、硝化槽18内の廃水の活性汚泥濃度を測定する、例えば濁度計等の活性汚泥濃度センサ32が設けられ、活性汚泥濃度センサ32で測定された測定結果はコントローラ34に入力される。そして、コントローラ34は、硝化槽18内の活性汚泥濃度センサ32の測定結果に基づいて、汚泥ポンプ36の運転や切換器40での余剰汚泥管42及び汚泥返送管44の切り換えをして生物処理槽14に戻す活性汚泥量を調整したり、活性汚泥を汚泥濃縮器46で脱水したりすることにより、硝化槽18内の活性汚泥濃度が上記した膜の公称孔径との関係を満足するように制御する。
【0031】
また、硝化槽18の上方には、添加物タンク48が設けられ、添加物タンク48には、活性炭、ゼオライト、多孔性担体、凝集材の添加物のうちの少なくとも1つが貯留される。添加物タンク48から硝化槽18に添加配管50が延設されると共に、添加配管50には添加物の添加量を調整する調整バルブ52が設けられる。これは、上記した添加物を添加物タンク48から硝化槽18内に添加することにより、硝化槽18内の活性汚泥濃度が薄い場合であっても、ウイルスを吸着した活性汚泥の吸着性を良くし、見かけ上の大きさを大きくすることができるためである。また、硝化槽18内の活性汚泥濃度が濃い場合には、活性汚泥の可溶化現象が生じ易く、ウイルスが再分散し易いが、上記の添加物を添加することで活性汚泥の可溶化現象を抑制することができるためである。
【0032】
また、活性汚泥の熱処理手段11及びアルカリ処理手段13は、汚泥排出管38に引き抜かれた活性汚泥を熱処理及びアルカリ処理できるように構成される。
即ち、汚泥排出管38上に設けられた熱処理器54では、内部の加熱コイル56によって70°Cになるように加熱・保温される。また、熱処理器54の上方には、アルカリ添加装置58が設けられ、コントローラ34が添加配管35の開閉弁60を開閉させることにより、熱処理器54内の活性汚泥にアルカリ液が添加される。更に、熱処理器54内部には、温度及びpHを管理する、例えば温度・pHセンサ62が備え付けられ、その測定結果に基づいて加熱コイル56の運転及び/又は開閉弁60の開閉をコントローラ34で制御することにより、熱処理器54内における活性汚泥の温度及びアルカリ濃度が調整される。また、余剰汚泥管42には汚泥炭化装置64が設けられ、そこで余剰汚泥が炭化されて系外へと排出される。
【0033】
一方、オゾン処理手段15は処理水配管28に接続される。即ち、処理水配管28に流出した処理水は、オゾン処理槽66に送られる。オゾン処理槽66内の処理水には、オゾン発生器68で発生したオゾンがオゾンポンプ72により送気されて、オゾン処理槽66の底部に設けられたオゾン曝気管70から曝気される。これにより、処理水がオゾン処理される。オゾン処理された処理水は、オゾン処理槽66上部に設けられた導出管76から導出ポンプ74によって系外へと排出される。また、このオゾン処理手段15は膜濾過器26の膜の逆洗にも使用される。即ち、膜濾過器26の膜洗浄が必要な場合には、一旦廃水処理を停止してから吸引ポンプ30の方向を切り替えることにより、オゾン処理槽66から膜濾過器26へオゾンが曝気された処理水であるオゾン水が逆流し、膜濾過器26の膜が逆洗される。
【0034】
次に上記の如く構成された、ウイルス分離用膜処理システムの作用を説明する。
【0035】
生物処理槽14内に流入した廃水中のアンモニア性窒素は、脱窒槽16及び硝化槽18によって硝化・脱窒処理されて除去されると共に、硝化・脱窒処理された処理水は、硝化槽18内の膜濾過器26により膜濾過される。この膜濾過により処理水から活性汚泥が分離されると共に、廃水中に存在するウイルスも除去される。この場合、上記したように、膜濾過器の膜の公称孔径に応じて生物処理槽14内から引き抜いて生物処理槽14に戻す活性汚泥量をコントロールする。これにより、膜の透過流束を低下させることなく廃水中のウイルスを除去することができる。
【0036】
しかし、膜濾過によって除去されたウイルスは汚泥に濃縮されているので、汚泥を生物処理槽14に戻すことによって、再び生物処理槽14内にウイルスが持ち込まれてしまうという問題がある。また、引き抜いた汚泥の一部を余剰汚泥として生物処理槽の系外に排出する場合にもウイルスの存在する汚泥をそのまま排出することは問題であり、衛生面から見て何らかの殺菌処理を行う必要がある。
廃水等の汚水中に存在するウイルスは、一般的な細菌等の微生物よりも耐熱性が低く、人及び家畜に害を与える一般的なウイルスにおいては70°C以上の加熱で殺菌或いは不活化できることが知られている。
【0037】
そこで、熱処理器54において、硝化槽18から引き抜かれた活性汚泥を70°Cという比較的低温で加熱することにより、活性汚泥内のウイルスは殺菌或いは不活化することができ、ウイルスの存在しない極めて衛生的な活性汚泥を生物処理槽14へ返送したり、余剰汚泥管42から系外への排出することができる。
又、ウイルス殺菌処理において比較的低温の加熱ですむので、加熱に使用されるイニシャルコストを最小限に抑えることができる。
【0038】
加えて、熱処理器54において、70°Cに加熱された活性汚泥にアルカリ添加装置58からアルカリ物質を添加することにより、活性汚泥が熱アルカリ処理されるので、ウイルスの殺菌或いは不活化をより効果的に行え、且つ活性汚泥の自己分解能をも促進させる。従って、生物処理槽14へ熱アルカリ処理された活性汚泥を返送しても自己分解を起こすので、返送による余剰汚泥の発生を抑制することができる。
【0039】
更に、汚泥炭化装置64において、硝化槽18から引き抜かれた余剰汚泥を炭化させることが好ましい。これにより、余剰汚泥内のウイルスを完全に殺菌・分解する上、水分がほとんど除去されて余剰汚泥が減容化するので、余剰汚泥の処分にかかるコストを大幅に削減することができる。
【0040】
一方、膜濾過器26で膜濾過された処理水は、膜濾過によりウイルスが除去されるが、連続して廃水処理を行うと膜の老朽化や破損等によってウイルスが処理水に漏洩する虞がある。また、硝化槽18内の活性汚泥濃度と膜濾過器26の公称孔径との関係が上述した条件から逸脱してしまった場合には、膜濾過において処理水にウイルスが混入する虞もある。更には、活性汚泥を加熱処理して生物処理槽14に戻すようにした場合、加熱処理及びアルカリ処理による汚泥の可溶化によって色素成分や生物処理では分解されない難分解性物質が生成され易くなり、これらの色素成分や難分解性物質が膜濾過器26の膜を透過して処理水を濁らすことがある。
【0041】
そこで、本発明では、オゾン処理槽66において、膜濾過器26から送水された処理水をオゾンで曝気することにより、処理水がオゾン殺菌されると共に、色素成分や難分解性物質の分解も行われるので、極めて衛生的で良好な水質の処理水を系外へと排出することができる。更には、オゾン処理槽66においてオゾンが曝気された処理水であるオゾン水を逆流させて、膜濾過器26の膜を逆洗できるので、膜の濾過能力の再生や膜に付着したウイルスの殺菌も本発明のシステム内で行うことができる。
【0042】
尚、本実施の形態において、各装置及び部材の形状、数量、大きさは特に限定するものではない。活性汚泥処理装置10における汚泥濃縮器46の配置は、特に限定するものではない。抜き取られた活性汚泥を濃縮しなくても、膜濾過及び熱処理に問題がなければ省略してもよい。また、活性汚泥内にウイルスの存在が認められない場合には、熱処理器54や汚泥炭化装置64の運転を止めるように制御することが好ましい。これにより、不必要な各種運転にかかるコストを抑えることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のウイルス分離用膜処理システムによれば、膜の透過流束を低下させることなく水中のウイルスを除去することができ、しかも活性汚泥中のウイルス対策、膜から処理水に漏洩した場合のウイルス対策を含めた総合的なウイルス分離用膜処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウイルス分離用膜処理システムを活性汚泥処理装置に組み込んだ実施の形態を説明する構成図
【符号の説明】
10…活性汚泥処理装置、11…熱処理手段、12…原水配管、13…アルカリ処理手段、14…生物処理槽、15…オゾン処理手段、16…脱窒槽、18…硝化槽、20…循環配管、22…ブロア、24…曝気配管、26…膜濾過器、28…処理水配管、30…吸引ポンプ、32…活性汚泥濃度センサ、34…コントローラ、35…添加配管、36…汚泥ポンプ、38…汚泥排出管、40…切換器、42…余剰汚泥管、44…汚泥返送管、46…汚泥濃縮器、48…添加物タンク、50…添加配管、52…調整バルブ、54…熱処理器、56…加熱コイル、58…アルカリ添加装置、60…開閉弁、62…温度・pHセンサ、64…汚泥炭化装置、66…オゾン処理槽、68…オゾン発生器、70…オゾン曝気管、72…オゾンポンプ、74…導出ポンプ、76…導出管
Claims (4)
- 生物処理槽内の被処理水中に膜濾過器を浸漬させて、前記被処理水中に存在するウイルスを膜濾過により除去した処理水を得ると共に、前記膜濾過器の膜の公称孔径に応じて前記生物処理槽内から引き抜いて前記生物処理槽に戻す活性汚泥量をコントロールするウイルス分離用膜処理システムであって、
前記生物処理槽から引き抜かれた活性汚泥を熱処理する熱処理手段を設けたことを特徴とするウイルス分離用膜処理システム。 - 前記熱処理手段では、前記活性汚泥を70°C以上で熱処理することを特徴とする請求項1のウイルス分離用膜処理システム。
- 前記活性汚泥をアルカリ処理するアルカリ処理手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2のウイルス分離用膜処理システム。
- 前記処理水をオゾン処理するオゾン処理手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1のウイルス分離用膜処理システム。
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