JP2004312377A - 相補型mos出力回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】有効にリンギングを抑制して高速化された信号を出力するMOS出力回路を得る。
【解決手段】入力信号Vinの波形の上昇または降下のタイミングを示す信号B1を生成する遅延回路1及びゲート2と、ゲート2から出力された信号B1に応じて直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1に流れる駆動電流を瞬時遮断するPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】入力信号Vinの波形の上昇または降下のタイミングを示す信号B1を生成する遅延回路1及びゲート2と、ゲート2から出力された信号B1に応じて直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1に流れる駆動電流を瞬時遮断するPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、出力信号のスルーレートをコントロールすることにより出力波形に生じるリンギングを抑制する相補型MOS出力回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
MOS出力回路は、電源電圧と接地との間において駆動能力の大きなPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを直列接続し、このPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとの接続点を出力ノードとして出力信号Voutを出力し、この出力ノードには寄生容量が生じて負荷容量CLが接続されたようになる。
【0003】
このMOS出力回路を備えた半導体装置から論理値“L”を出力するときは、PチャネルMOSトランジスタをOFF状態とし、NチャネルMOSトランジスタをON状態として、負荷容量CLに蓄積されている電荷をNチャネルMOSトランジスタを介して接地へ放電させる。また、論理値“H”を前述の半導体装置から出力させるときは、PチャネルMOSトランジスタをON状態とし、NチャネルMOSトランジスタをOFF状態として、PチャネルMOSトランジスタを介して負荷容量CLへ電源電圧を供給して充電させている。
【0004】
従来のMOSトランジスタ出力回路には、互いのドレイン同士を接続して出力端子を設けた第1のPチャネルMOSトランジスタと第1のNチャネルMOSトランジスタと、それぞれのドレインを前述の出力端子に接続した第2のPチャネルMOSトランジスタ及び第2のNチャネルMOSトランジスタとを設け、即ち直列接続させたPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを2段並列に設け、入力した信号の立ち上り及び立ち下りには第1のPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタと、第2のPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタとを用いて信号を出力し、入力信号の立ち上り及び立ち下り以外のときには第1のPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタを用いて信号を出力するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。このように構成して入力信号の急峻な変化に対応させて信号の出力を行い、出力信号に生じるリンギングを抑制している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−174606号公報(第5頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のMOS出力回路は以上のように構成されていたので、高速のデータ処理を行う場合や大きな負荷容量をドライブするときには相当な出力回路の駆動電力が必要になり、実際の回路では供給される電源容量に制限が生じることから、データ処理の高速化に伴い、おのずとリンギング抑制に限界が生じるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高速化されたデータを出力するとき有効にリンギングを抑制する相補型MOS出力回路を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る相補型MOS出力回路は、入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、波形変化検出手段から出力されたパルス信号に応じて出力バッファに流れる駆動電流を遮断するトランジスタとを備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。直列接続されたMOSトランジスタQi1,Qi2は、入力信号Vinのレベルを当該相補型MOS出力回路で処理可能なレベルへ変換すると共に、論理値ローレベル(以下、“L”と記載する)と論理値ハイレベル(以下、“H”と記載する)とを反転させた信号A1を出力する。遅延回路(波形変化検出手段)1は、信号A1を入力し所定時間遅延させてゲート(波形変化検出手段)2のポートX12へ出力する。ゲート2は、例えば排他論理和ゲート即ちEXORゲートから成り、ポートX11へ信号A1を入力し、またポートX12へ前述のように遅延回路1から出力された信号を入力して、論理演算結果の信号B1を出力する。遅延調整回路(遅延調整手段)3は、信号A1を入力し、直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1(出力バッファ)の各ゲートへ遅延時間を調整した信号A1を出力する。
【0010】
PチャネルMOSトランジスタQp2は、ソースに電源電圧が供給され、ドレインが前述のPチャネルMOSトランジスタQp1のソースへ接続され、ゲートへ論理演算結果の信号B1が入力される。前述のようにPチャネルMOSトランジスタQp1はNチャネルMOSトランジスタQn1と直列接続され、互いのドレインが接続された出力ノードから出力信号Voutを出力する。
【0011】
また、PチャネルMOSトランジスタQp1は、ソースがNチャネルMOSトランジスタQn2へ接続される。NチャネルMOSトランジスタQn2は、ソースが接地され、ゲートへインバータ4を介して信号B1の反転信号が入力される。また、PチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1の接続部分から当該MOS出力回路の外部へ出力される経路、即ち出力信号Voutの出力伝送経路には寄生容量として負荷容量CLが生じる。
【0012】
次に、動作について説明する。
初めに相補型MOS出力回路の動作を説明する。図2は、相補型MOS出力回路の出力波形を示す説明図である。デジタルデータの高速処理の要求に応じて論理回路の一層の高速動作が要求され、MOS出力回路の高速化を図ったとき、大きな負荷容量CLが生じた場合には、この負荷容量CLと配線等のインダクタンス成分が共振し、図2に示したように入力信号Vinに対して出力信号VOUTの波形にはリンギングが生じる。
【0013】
ここでリンギングの発生原因について説明する。図3は、MOS出力回路の等価回路を示す説明図である。図3示した等価回路は論理値“L”レベルを出力している状態、即ち最終段の直列接続されたNチャネルMOSトランジスタがON状態の場合を表している。NチャネルMOSトランジスタは電流源とON抵抗Ronの並列接続で等価表現され、NチャネルMOSトランジスタの出力端子I2にはインダクタンス11を介して負荷容量12が接続される。インダクタンス11は、例えばケーブルなどを用いた配線、プリント基板上の配線パターン、集積回路のボンディングワイヤ等に生じるものである。
【0014】
図3からわかるように、このMOS出力回路の等価回路はCR共振回路を構成する。CR共振回路の共振周波数f0は次の(1)式で表される。
共振周波数f0=1/(2π√(LC))・・・(1)
共振周波数f0のA値は2πf0=ω0と仮定して次の(2)式のように表される。
A=jω0L/Ron ・・・(2)
【0015】
MOS出力回路を高速化するため最終段を構成するMOSトランジスタの電流駆動能力を大きくすると、このMOSトランジスタのON抵抗Ronが小さくなる。すると(2)式からわかるように、A値が大きくなってMOS出力回路の出力は、論理値“H”〜“L”の信号変化によって共振され、出力信号が振動する。即ち、出力波形にリンギングが生じる。リンギングは信号伝達においてノイズとなり、論理回路の誤動作を引き起こす原因になると共に、他の電子機器へ不要輻射と呼ばれる妨害電波を発する。
【0016】
このような共振によるリンギング発生を抑制するため、実施の形態1による相補型MOS出力回路は、次のような動作を行う。最終段の出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1から出力される出力信号Voutの波形にオーバーシュート又はアンダーシュートが生じる直前に、PチャネルMOSトランジスタQp1に直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp2と、NチャネルMOSトランジスタQn1に直列接続されたNチャネルMOSトランジスタQn2とをOFF/ONさせて駆動電流を瞬間的に遮断する。こうして出力信号Voutの波形が急上昇または急下降することを抑え、出力信号Voutに生じるリンギングを抑制する。
【0017】
図4及び図5は、実施の形態1による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。図5は、図4に示した入力信号Vinの立ち上り部分と、これに関連する他の波形とを時間スケールを拡大して示したものである。ここでは図5に示した入力信号Vinのレベルが“L”→“H”へ変化する場合の動作を例示して説明する。前述のように直列接続されたMOSトランジスタQi1,Qi2によって入力信号Vinが反転される。ゲート2は、信号A1をポートX11へ入力し、またポートX12へ遅延回路1によって遅延された信号A1を入力する。ゲート2は、遅延回路1によって遅延された時間だけレベル“H”となるパルス信号を生成し信号B1として出力する。この信号B1は、直列接続された複数のMOSトランジスタによって構成された最終段の出力バッファへ入力される。
【0018】
詳しくは、出力バッファを構成する直列接続された複数のMOSトランジスタのうち、両端に備えられたMOSトランジスタ、即ち電源電圧がソースへ供給されるPチャネルMOSトランジスタQp2と、ソースが接地されたNチャネルMOSトランジスタQn2とのゲートに信号B1が入力される。PチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2は信号B1によってOFF/ON状態の切り替え制御が行われ、出力バッファに流れる、即ちPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1に流れる駆動電流が遅延回路1によって制御・調整されたタイミングで瞬時遮断される。この遮断タイミングは図4に示した信号B1のパルス波形で表される。
【0019】
図5に示したように、入力信号Vinが立ち上り始めるとゲート2のポートX11へ入力される信号A1も立ち上り始める。またゲート2のポートX12へ入力される遅延回路1から出力された信号も信号A1の立ち上りから所定の遅延時間を経て立ち上り始める。ここで、ポートX11及びポートX12へ入力される信号が、ゲート2を成すEXOR回路の閾値電圧に達するまでの時間をt1とする。また、遅延回路1による遅延時間をt2とする。EXOR回路のゲート2は、図5に示したように入力信号Vinが立ち上る場合には、ポートX11が論理値“L”、ポートX12が論理値“H”となっているときに有意を示す信号B1を出力する。即ち信号B1は、遅延時間t2のパルス幅を有する信号として出力される。
【0020】
パルス幅t2の信号B1は、最終段の出力バッファに備えられたPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2のゲートへ入力される。これらのMOSトランジスタは信号B1に基づいてOFF/ON状態の切り替えを行い、同じ出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1から図5に示したように立ち上る出力信号Voutが出力される。信号B1の有意を示すパルス信号が出力されているとき、PチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2がOFF状態となり、出力ノードに印加されていた出力信号Voutが寄生容量の負荷容量CLに充電される。その間は出力信号Voutの立ち上り波形が緩慢になり、信号B1のパルス出力が消滅すると再び上昇する。出力信号Voutが論理値“H”へ達したとき、負荷容量CLは充電された状態なので共振の発生が抑えられ、リンギングが抑制されて出力信号Voutは緩やかに論理値“H”レベルへ達して一定状態となる。
【0021】
出力信号Voutの立ち上りタイミングは、即ち遅延調整回路3によってPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1のゲートへ入力される信号のタイミングは、遅延時間を調整して信号B1のパルスタイミングと同期が図られる。このタイミングの同期は、例えば出力信号Voutが論理値“L”レベルから論理値“H”レベルへ立ち上るとき、その中間レベルとなる時点と、信号B1のパルス幅の中心に該当する時点が同時となるように調整する。遅延調整回路3による信号A1の遅延時間は、図5に示した時間t3で表される。図5において、遅延されていない信号A1は、ポートX11へ入力される信号に該当する。信号A1を入力した遅延調整回路3は、この信号A1の立ち上りから時間t3だけ遅延させた信号を出力し、この信号に基づいて最終段の各MOSトランジスタから出力された出力信号Voutが、図5に示したようにポートX11へ入力された信号の立ち上りから時間t3だけ遅延されて立ち上る。
【0022】
このようにすると、図5に示したように負荷容量CL、即ち寄生容量へ先に充電してから出力信号Voutを完全にレベル“H”へ立ち上げることになり、出力信号Voutの波形はオーバーシュートが抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0023】
入力信号Vinが“H”→“L”に変化する場合も同様で、ゲート2はポートX11が論理値“H”、ポートX12が論理値“L”となっているときに有意を示す信号B1を出力し、信号B1が有意の間は最終段の出力バッファに流れる駆動電流が瞬間的に遮断され、出力信号Voutの波形の急下降、即ちアンダーシュートが抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0024】
また、前述の説明では、出力信号Voutの立ち上りまたは立ち下りの中間時点で出力バッファのPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2をOFFさせる動作を説明したが、変化する出力信号Voutが、PチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1によって構成される出力バッファのスレッショルド電圧を超えてから、出力バッファのPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2をOFFさせることで、これまで説明した動作のように出力信号Voutのレベル変化の遅延を防ぐことができる。
【0025】
以上のように、実施の形態1によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1の両側端にPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2とをそれぞれ直列に接続し、出力信号Voutの波形が上昇するとき、または下降するときにPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2を瞬間的にOFF状態として出力バッファに流れる駆動電流を瞬時遮断することにより、寄生容量に充電してから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0026】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。図1に示したものと同様あるいは相当する部分に同じ符号を付し、その構成の説明を省略する。PチャネルMOSトランジスタQp3は、ソースに電源電圧が供給され、ドレインにNチャネルMOSトランジスタQn3のドレインが接続され、ゲートにはPチャネルMOSトランジスタQp1のゲートと同様に遅延調整回路3から出力された信号が入力される。NチャネルMOSトランジスタQn3は、ソースが接地され、前述のようにドレインがPチャネルMOSトランジスタQp3のドレインと接続される。またNチャネルMOSトランジスタQn3のドレインは、PチャネルMOSトランジスタQp1とNチャネルMOSトランジスタQn1との接続部分、即ち出力信号Voutの出力ノードへ接続される。またNチャネルMOSトランジスタQn3のゲートは、NチャネルMOSトランジスタQn1のゲートに接続され、遅延調整回路3から出力された信号が入力される。
【0027】
次に、動作について説明する。
ここでは、図1に示した相補型MOS出力回路と同様な動作の説明を省略し、実施の形態2による相補型MOS出力回路の特徴となる動作について説明する。出力バッファに供給される電流を瞬間的に遮断している間は、出力信号Voutの出力ノードがハイインピーダンス状態になる。このような状態を避けるため実施の形態2による相補型MOS出力回路には、出力バッファの出力ノードにPチャネルMOSトランジスタQp3とNチャネルMOSトランジスタQn3とを直列接続して構成したインバータ回路を追加した。
【0028】
このインバータ回路のPチャネルMOSトランジスタQp3及びNチャネルMOSトランジスタQn3は、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1に対してトランジスタサイズが小さいものを使用する。このPチャネルMOSトランジスタQp3及びNチャネルMOSトランジスタQn3は、出力バッファに備えられたPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2がOFF状態となっている間、補助的にON状態となるように、例えば図6に示したように遅延調整回路3の出力信号をゲートへ入力して出力信号Voutの出力ノードをクランプする。なお、その他の動作は、実施の形態1で図4を用いて説明したように動作する。
【0029】
以上のように、実施の形態2によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1の両側端にPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2とをそれぞれ直列に接続し、出力信号Voutの波形が上昇するとき、または下降するときにPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2を適宜OFF状態として出力バッファに流れる駆動電流を瞬時遮断することにより、寄生容量に充電してから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0030】
また、出力信号Voutの出力ノードにPチャネルMOSトランジスタQp3及びNチャネルMOSトランジスタQn3から成るインバータ回路を備え、PチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2がOFF状態となって出力バッファに流れる駆動電流が遮断されたとき、出力信号Voutの出力ノードをクランプするようにしたので、出力バッファの駆動電流が遮断されている間、出力信号Voutの出力ノードがハイインピーダンスになることを防ぐことができるという効果がある。
【0031】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。図1または図6に示したものと同様あるいは相当する部分に同じ符号を付し、その構成の説明を省略する。PチャネルMOSトランジスタQp30は、ソースに電源電圧が供給され、ドレインがNチャネルMOSトランジスタQn30のドレインに接続される。NチャネルMOSトランジスタQn30は、ソースが接地され、前述のようにドレインがPチャネルMOSトランジスタQp30のドレインへ接続される。即ち、PチャネルMOSトランジスタQp30とNチャネルMOSトランジスタQn30は直列接続され、最終段の出力バッファを構成する。これらPチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30のゲートには遅延調整回路3から出力された信号が入力される。
【0032】
PチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30のそれぞれのドレインが接続された出力信号Voutの出力ノードには、NチャネルMOSトランジスタ(接続トランジスタ)Qn31のドレインが接続される。このNチャネルMOSトランジスタQn31のソースには容量(容量素子)Cc3が接続され、ゲートにはEXOR回路のゲート2から出力された信号B1が入力される。容量Cc3の他端は接地される。
【0033】
次に、動作について説明する。
ここでは、図1または図6に示した相補型MOS出力回路と同様な動作の詳細な説明を省略し、実施の形態3による相補型MOS出力回路の特徴となる動作について説明する。図7に示した相補型MOS出力回路は、最終段の出力バッファの出力ノードから、即ち直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp30とNチャネルMOSトランジスタQn30のドレイン接続部分から出力される出力信号Voutの波形がオーバーシュートまたはアンダーシュートを起こす直前に、ソースに容量Cc3が接続されたNチャネルMOSトランジスタQn31を瞬間的にON状態として、瞬時出力ノードに容量を付加し、出力信号Voutの波形の急上昇または急下降を抑え、リンギングの発生を抑制する。
【0034】
例えば、入力信号Vinが“L”→“H”に変化する場合の動作を説明する。入力信号Vinを反転させた信号A1をゲート2のポートX11へ入力し、遅延回路1によって遅延させた信号A1をポートX12に入力する。ゲート2から出力される信号B1は遅延回路1によって遅延された時間だけ論理値“H”を示すパルス信号として出力される。この信号B1をNチャネルMOSトランジスタQn31のゲートへ入力する。NチャネルMOSトランジスタQn31は、信号B1のパルス幅の時間だけON状態となって出力ノードから容量Cc3へ充電を行う。その結果出力信号Voutの波形の急上昇が容量の付加によって抑えられ、この間に実施の形態1で説明したように寄生容量の負荷容量CLへ充電が行われ、この充電が終了してさらに出力信号Voutの波形が上昇し、論理値”H“へ達したときには負荷容量CLが充電された状態なので共振が抑えられ、リンギングが抑制される。
【0035】
入力信号Vinが“H”→“L”に変化する場合も同様で、入力信号Vinのレベル変化が発生したとき、瞬間的に出力ノードに容量を付加させ、出力信号Voutの波形の急下降を抑え、リンギングの発生を抑制する。また、変化する出力信号Voutが出力バッファのスレッショルド電圧を超えてから、NチャネルMOSトランジスタQn31がON状態となるように動作させると、出力信号Voutのレベル変化の遅延を防ぐことができる。なお、各部分の波形変化は図4に示したものと同様になる。
【0036】
以上のように、実施の形態3によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30の出力ノードに容量Cc3が接続されたNチャネルMOSトランジスタQn31を備え、出力信号Voutの波形が上昇するとき、または下降するときにNチャネルMOSトランジスタQn31を適宜ON状態として容量Cc3へ充電させてから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0037】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。図1,図6または図7に示したものと同様あるいは相当する部分に同じ符号を付し、その構成の説明を省略する。EXNOR回路から成るゲート(波形変化検出手段)20は、ポートX41へ信号A1を入力し、ポートX42へ遅延回路1によって遅延させた信号A1を入力し、論理演算結果の信号B4を出力する。インバータ21は入力した信号B4を反転させて信号C4を出力する。インバータ22とインバータ(遅延調整手段)23は直列接続され、インバータ22へ遅延調整回路3から出力された信号が入力され、インバータ23から信号D4が出力される。
【0038】
出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp30とNチャネルMOSトランジスタQn30との接続部分、即ち出力ノードにはNチャネルMOSトランジスタ(第一接続トランジスタ)Qn40及びPチャネルMOSトランジスタ(第二接続トランジスタ)Qp40の各ドレインが接続される。PチャネルMOSトランジスタQp40のソースには、他端にインバータ21から出力された信号C4が入力される容量(第二容量素子)Cc5が接続され、ゲートにはインバータ23から出力された信号D4が入力される。NチャネルMOSトランジスタQn40のソースには、他端にゲート20から出力された信号B4を入力する容量(第一容量素子)Cc4が接続され、NチャネルMOSトランジスタQn40のゲートにはインバータ23から出力された信号D4が入力される。
【0039】
次に、動作について説明する。
ここでは図1,図6または図7に示した相補型MOS出力回路と同様な動作の詳細な説明を省略し、実施の形態4による相補型MOS出力回路の特徴となる動作について説明する。図8に示した相補型MOS出力回路は、最終段の出力バッファの出力ノードに瞬間的に容量を負荷として接続させ、この容量を介して出力信号Voutが変化しようとする電位に対して“H”レベルと“L”レベルが逆となる電位を出力ノードへ印加し、出力信号Voutの波形の急上昇または急下降を抑え、リンギングの発生を抑制するものである。
【0040】
図9及び図10は、実施の形態4による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。図10は、図9に示した入力信号Vinの立ち上り部分と、これに関連する他の波形とを時間スケールを拡大して示したものである。ここでは図10に示した入力信号Vinが“L”→“H”に変化する場合の動作を例示して説明する。入力信号Vinは、直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQi1とNチャネルMOSトランジスタQi2のゲートへ入力され、信号レベルを反転させた信号A1が生成される。EXNOR回路から成るゲート20は、ポートX41へ信号A1を入力し、また遅延回路1によって遅延された信号A1の遅延信号をポートX42へ入力する。またゲート20は、遅延回路1によって信号A1が遅延された時間だけ論理値“L”のパルス幅を有するパルス信号を生成し、信号B4として出力する。
【0041】
信号B4は、容量Cc4へ印加され、信号D4によってNチャネルMOSトランジスタQn40がON状態となっているとき容量Cc4から論理値“L”と対応する“L”レベルの電位が出力ノードへ印加される。図10に示した例では、論理値“H”の信号D4がNチャネルMOSトランジスタQn40のゲートへ入力されている間に信号B4が有意を示す論理値“L”のパルス信号が容量Cc4へ印加される。すると容量Cc4は、図10に示した“L”レベルの電位へ達する信号E4のパルス信号を、NチャネルMOSトランジスタQn40を介して出力ノードへ印加する。図10に例示した信号E4は、信号B4と同じパルス幅を有するもので、容量Cc4の大きさ、即ち容量の大きさを調整することにより、このパルス幅や出力ノードへ印加する電位を設定することができる。
【0042】
信号E4のパルス信号が出力ノードへ印加されたとき、出力信号Voutは、“L”レベルから“H”レベルへ変化する途中で、容量Cc4から“L”レベルの電位、即ち変化する電位に対して逆電位となるパルス信号が印加され、このパルス信号が印加されている間の信号波形の立ち上りが緩やかになる。この緩やかな電位変化の間に出力ノードから寄生容量の負荷容量CLへ充電が行われる。信号B4のパルス信号が消滅し、出力ノードへ容量Cc4から逆電位が印加されなくなると、出力信号Voutは速やかに波形が立ち上って論理値“H”へ達する。このように出力信号Voutが論理値“H”に達したとき負荷容量CLは充電された状態なので共振が抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0043】
なお、信号D4は、例えば遅延調整回路3から出力された信号を直列接続されたインバータ22,23へ入力して、信号B1のパルス信号が消滅した後で変化するように生成させる。図10に示した一例では信号B1のパルス信号が消滅した後、信号D4は論理値“H”から論理値“L”へ変化し、次に信号B1が有意となったときに備えてPチャネルMOSトランジスタQp40をOFF状態としてからNチャネルMOSトランジスタQn40をON状態にする。
【0044】
入力信号Vinが“H”→“L”に変化する場合も同様で、入力信号Vinの反転信号A1をゲート20のポートX41へ入力し、信号A1を遅延させてポートX42へ入力する。入力信号Vinが論理値“H”から論理値“L”へ変化するとき、即ち入力信号Vinの波形が下降するときには信号D4が“L”レベルとなっており、PチャネルMOSトランジスタQp40がON状態となる。この状態でゲート20から遅延回路1によって遅延された時間だけ論理値“L”レベルのパルス信号となる信号B4が出力され、この信号B4をインバータ21で反転させた信号C4が容量Cc5へ入力される。
【0045】
なお、図10に示した時間t11は、図5に示した時間t1に相当するもの、図10の時間t12は図5の時間t2に相当するもの、また図10の時間t13は図5の時間t3に相当するものである。時間t11は、ゲート20のポートX41及びポートX42へ入力された信号A1及び遅延された信号A1がゲート20を成すEXNOR回路の閾値電圧となるまでの時間である。時間t12は、遅延回路1によって信号A1が遅延された時間、即ちゲート20のポートX41へ論理値“L”の信号が入力されると共にポートX42へ論理値“H”の信号が入力されている時間である。この時間t12は、図示されたように信号B1,C1また信号E4のパルス幅をも表すものである。また時間t13は、入力信号Vinが立ち上り始めてから、即ち信号A1が下降を始めてから出力信号Voutが立ち上り始めるまでの遅延時間を表すもので、実施の形態1で説明した時間t3と同様に図8に示した遅延調整回路3によって調整される時間である。
【0046】
この信号B4をインバータ21へ入力して反転された“H”レベルの信号C4を容量Cc5へ印加し、ON状態のPチャネルMOSトランジスタQp40を介して“H”レベルの電位を容量Cc5から出力ノードへ印加させる。出力バッファの出力ノードには、出力信号Voutの波形が変化するときに容量Cc5を介して出力信号Voutが変化しようとしている電位と逆の電位が印加されることから、出力信号Voutの波形が変化する逆方向へ引っ張られ、出力信号Voutの波形の急下降が抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0047】
また、変化する出力信号Voutが、出力バッファのスレッショルド電圧を超えてから容量Cc4または容量Cc5から逆電位が出力ノードへ印加されるように動作させると、出力信号Voutのレベル変化の遅延を防ぐことができる。
【0048】
以上のように、実施の形態4によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30の出力ノードに、“L”レベルの電位のパルス信号を印加する容量Cc4と、“H”レベルの電位のパルス信号を印加する容量Cc5とを、それぞれMOSトランジスタのOFF/ON動作によって接続し、
出力信号Voutの波形が上昇するとき容量Cc4から出力ノードへ逆電位を印加させ、また出力信号Voutが下降するとき容量Cc5から逆電位を印加させ、負荷容量CLへ充電させてから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、波形変化検出手段から出力されたパルス信号に応じて出力バッファに流れる駆動電流を遮断するトランジスタとを備えたので、出力信号のオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図2】MOS出力回路の出力波形を示す説明図である。
【図3】MOS出力回路の等価回路を示す説明図である。
【図4】実施の形態1による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【図5】実施の形態1による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態3による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図8】この発明の実施の形態4による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態4による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【図10】実施の形態4による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【符号の説明】
1 遅延回路(波形変化検出手段)、2 ゲート(波形変化検出手段)、3 遅延調整回路(遅延調整手段)、4 インバータ、11 インダクタンス、12負荷容量、20 ゲート(波形変化検出手段)、21〜23 インバータ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、出力信号のスルーレートをコントロールすることにより出力波形に生じるリンギングを抑制する相補型MOS出力回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
MOS出力回路は、電源電圧と接地との間において駆動能力の大きなPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを直列接続し、このPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとの接続点を出力ノードとして出力信号Voutを出力し、この出力ノードには寄生容量が生じて負荷容量CLが接続されたようになる。
【0003】
このMOS出力回路を備えた半導体装置から論理値“L”を出力するときは、PチャネルMOSトランジスタをOFF状態とし、NチャネルMOSトランジスタをON状態として、負荷容量CLに蓄積されている電荷をNチャネルMOSトランジスタを介して接地へ放電させる。また、論理値“H”を前述の半導体装置から出力させるときは、PチャネルMOSトランジスタをON状態とし、NチャネルMOSトランジスタをOFF状態として、PチャネルMOSトランジスタを介して負荷容量CLへ電源電圧を供給して充電させている。
【0004】
従来のMOSトランジスタ出力回路には、互いのドレイン同士を接続して出力端子を設けた第1のPチャネルMOSトランジスタと第1のNチャネルMOSトランジスタと、それぞれのドレインを前述の出力端子に接続した第2のPチャネルMOSトランジスタ及び第2のNチャネルMOSトランジスタとを設け、即ち直列接続させたPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを2段並列に設け、入力した信号の立ち上り及び立ち下りには第1のPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタと、第2のPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタとを用いて信号を出力し、入力信号の立ち上り及び立ち下り以外のときには第1のPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタを用いて信号を出力するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。このように構成して入力信号の急峻な変化に対応させて信号の出力を行い、出力信号に生じるリンギングを抑制している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−174606号公報(第5頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のMOS出力回路は以上のように構成されていたので、高速のデータ処理を行う場合や大きな負荷容量をドライブするときには相当な出力回路の駆動電力が必要になり、実際の回路では供給される電源容量に制限が生じることから、データ処理の高速化に伴い、おのずとリンギング抑制に限界が生じるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高速化されたデータを出力するとき有効にリンギングを抑制する相補型MOS出力回路を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る相補型MOS出力回路は、入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、波形変化検出手段から出力されたパルス信号に応じて出力バッファに流れる駆動電流を遮断するトランジスタとを備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。直列接続されたMOSトランジスタQi1,Qi2は、入力信号Vinのレベルを当該相補型MOS出力回路で処理可能なレベルへ変換すると共に、論理値ローレベル(以下、“L”と記載する)と論理値ハイレベル(以下、“H”と記載する)とを反転させた信号A1を出力する。遅延回路(波形変化検出手段)1は、信号A1を入力し所定時間遅延させてゲート(波形変化検出手段)2のポートX12へ出力する。ゲート2は、例えば排他論理和ゲート即ちEXORゲートから成り、ポートX11へ信号A1を入力し、またポートX12へ前述のように遅延回路1から出力された信号を入力して、論理演算結果の信号B1を出力する。遅延調整回路(遅延調整手段)3は、信号A1を入力し、直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1(出力バッファ)の各ゲートへ遅延時間を調整した信号A1を出力する。
【0010】
PチャネルMOSトランジスタQp2は、ソースに電源電圧が供給され、ドレインが前述のPチャネルMOSトランジスタQp1のソースへ接続され、ゲートへ論理演算結果の信号B1が入力される。前述のようにPチャネルMOSトランジスタQp1はNチャネルMOSトランジスタQn1と直列接続され、互いのドレインが接続された出力ノードから出力信号Voutを出力する。
【0011】
また、PチャネルMOSトランジスタQp1は、ソースがNチャネルMOSトランジスタQn2へ接続される。NチャネルMOSトランジスタQn2は、ソースが接地され、ゲートへインバータ4を介して信号B1の反転信号が入力される。また、PチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1の接続部分から当該MOS出力回路の外部へ出力される経路、即ち出力信号Voutの出力伝送経路には寄生容量として負荷容量CLが生じる。
【0012】
次に、動作について説明する。
初めに相補型MOS出力回路の動作を説明する。図2は、相補型MOS出力回路の出力波形を示す説明図である。デジタルデータの高速処理の要求に応じて論理回路の一層の高速動作が要求され、MOS出力回路の高速化を図ったとき、大きな負荷容量CLが生じた場合には、この負荷容量CLと配線等のインダクタンス成分が共振し、図2に示したように入力信号Vinに対して出力信号VOUTの波形にはリンギングが生じる。
【0013】
ここでリンギングの発生原因について説明する。図3は、MOS出力回路の等価回路を示す説明図である。図3示した等価回路は論理値“L”レベルを出力している状態、即ち最終段の直列接続されたNチャネルMOSトランジスタがON状態の場合を表している。NチャネルMOSトランジスタは電流源とON抵抗Ronの並列接続で等価表現され、NチャネルMOSトランジスタの出力端子I2にはインダクタンス11を介して負荷容量12が接続される。インダクタンス11は、例えばケーブルなどを用いた配線、プリント基板上の配線パターン、集積回路のボンディングワイヤ等に生じるものである。
【0014】
図3からわかるように、このMOS出力回路の等価回路はCR共振回路を構成する。CR共振回路の共振周波数f0は次の(1)式で表される。
共振周波数f0=1/(2π√(LC))・・・(1)
共振周波数f0のA値は2πf0=ω0と仮定して次の(2)式のように表される。
A=jω0L/Ron ・・・(2)
【0015】
MOS出力回路を高速化するため最終段を構成するMOSトランジスタの電流駆動能力を大きくすると、このMOSトランジスタのON抵抗Ronが小さくなる。すると(2)式からわかるように、A値が大きくなってMOS出力回路の出力は、論理値“H”〜“L”の信号変化によって共振され、出力信号が振動する。即ち、出力波形にリンギングが生じる。リンギングは信号伝達においてノイズとなり、論理回路の誤動作を引き起こす原因になると共に、他の電子機器へ不要輻射と呼ばれる妨害電波を発する。
【0016】
このような共振によるリンギング発生を抑制するため、実施の形態1による相補型MOS出力回路は、次のような動作を行う。最終段の出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1から出力される出力信号Voutの波形にオーバーシュート又はアンダーシュートが生じる直前に、PチャネルMOSトランジスタQp1に直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp2と、NチャネルMOSトランジスタQn1に直列接続されたNチャネルMOSトランジスタQn2とをOFF/ONさせて駆動電流を瞬間的に遮断する。こうして出力信号Voutの波形が急上昇または急下降することを抑え、出力信号Voutに生じるリンギングを抑制する。
【0017】
図4及び図5は、実施の形態1による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。図5は、図4に示した入力信号Vinの立ち上り部分と、これに関連する他の波形とを時間スケールを拡大して示したものである。ここでは図5に示した入力信号Vinのレベルが“L”→“H”へ変化する場合の動作を例示して説明する。前述のように直列接続されたMOSトランジスタQi1,Qi2によって入力信号Vinが反転される。ゲート2は、信号A1をポートX11へ入力し、またポートX12へ遅延回路1によって遅延された信号A1を入力する。ゲート2は、遅延回路1によって遅延された時間だけレベル“H”となるパルス信号を生成し信号B1として出力する。この信号B1は、直列接続された複数のMOSトランジスタによって構成された最終段の出力バッファへ入力される。
【0018】
詳しくは、出力バッファを構成する直列接続された複数のMOSトランジスタのうち、両端に備えられたMOSトランジスタ、即ち電源電圧がソースへ供給されるPチャネルMOSトランジスタQp2と、ソースが接地されたNチャネルMOSトランジスタQn2とのゲートに信号B1が入力される。PチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2は信号B1によってOFF/ON状態の切り替え制御が行われ、出力バッファに流れる、即ちPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1に流れる駆動電流が遅延回路1によって制御・調整されたタイミングで瞬時遮断される。この遮断タイミングは図4に示した信号B1のパルス波形で表される。
【0019】
図5に示したように、入力信号Vinが立ち上り始めるとゲート2のポートX11へ入力される信号A1も立ち上り始める。またゲート2のポートX12へ入力される遅延回路1から出力された信号も信号A1の立ち上りから所定の遅延時間を経て立ち上り始める。ここで、ポートX11及びポートX12へ入力される信号が、ゲート2を成すEXOR回路の閾値電圧に達するまでの時間をt1とする。また、遅延回路1による遅延時間をt2とする。EXOR回路のゲート2は、図5に示したように入力信号Vinが立ち上る場合には、ポートX11が論理値“L”、ポートX12が論理値“H”となっているときに有意を示す信号B1を出力する。即ち信号B1は、遅延時間t2のパルス幅を有する信号として出力される。
【0020】
パルス幅t2の信号B1は、最終段の出力バッファに備えられたPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2のゲートへ入力される。これらのMOSトランジスタは信号B1に基づいてOFF/ON状態の切り替えを行い、同じ出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1から図5に示したように立ち上る出力信号Voutが出力される。信号B1の有意を示すパルス信号が出力されているとき、PチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2がOFF状態となり、出力ノードに印加されていた出力信号Voutが寄生容量の負荷容量CLに充電される。その間は出力信号Voutの立ち上り波形が緩慢になり、信号B1のパルス出力が消滅すると再び上昇する。出力信号Voutが論理値“H”へ達したとき、負荷容量CLは充電された状態なので共振の発生が抑えられ、リンギングが抑制されて出力信号Voutは緩やかに論理値“H”レベルへ達して一定状態となる。
【0021】
出力信号Voutの立ち上りタイミングは、即ち遅延調整回路3によってPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1のゲートへ入力される信号のタイミングは、遅延時間を調整して信号B1のパルスタイミングと同期が図られる。このタイミングの同期は、例えば出力信号Voutが論理値“L”レベルから論理値“H”レベルへ立ち上るとき、その中間レベルとなる時点と、信号B1のパルス幅の中心に該当する時点が同時となるように調整する。遅延調整回路3による信号A1の遅延時間は、図5に示した時間t3で表される。図5において、遅延されていない信号A1は、ポートX11へ入力される信号に該当する。信号A1を入力した遅延調整回路3は、この信号A1の立ち上りから時間t3だけ遅延させた信号を出力し、この信号に基づいて最終段の各MOSトランジスタから出力された出力信号Voutが、図5に示したようにポートX11へ入力された信号の立ち上りから時間t3だけ遅延されて立ち上る。
【0022】
このようにすると、図5に示したように負荷容量CL、即ち寄生容量へ先に充電してから出力信号Voutを完全にレベル“H”へ立ち上げることになり、出力信号Voutの波形はオーバーシュートが抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0023】
入力信号Vinが“H”→“L”に変化する場合も同様で、ゲート2はポートX11が論理値“H”、ポートX12が論理値“L”となっているときに有意を示す信号B1を出力し、信号B1が有意の間は最終段の出力バッファに流れる駆動電流が瞬間的に遮断され、出力信号Voutの波形の急下降、即ちアンダーシュートが抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0024】
また、前述の説明では、出力信号Voutの立ち上りまたは立ち下りの中間時点で出力バッファのPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2をOFFさせる動作を説明したが、変化する出力信号Voutが、PチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1によって構成される出力バッファのスレッショルド電圧を超えてから、出力バッファのPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2をOFFさせることで、これまで説明した動作のように出力信号Voutのレベル変化の遅延を防ぐことができる。
【0025】
以上のように、実施の形態1によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1の両側端にPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2とをそれぞれ直列に接続し、出力信号Voutの波形が上昇するとき、または下降するときにPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2を瞬間的にOFF状態として出力バッファに流れる駆動電流を瞬時遮断することにより、寄生容量に充電してから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0026】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。図1に示したものと同様あるいは相当する部分に同じ符号を付し、その構成の説明を省略する。PチャネルMOSトランジスタQp3は、ソースに電源電圧が供給され、ドレインにNチャネルMOSトランジスタQn3のドレインが接続され、ゲートにはPチャネルMOSトランジスタQp1のゲートと同様に遅延調整回路3から出力された信号が入力される。NチャネルMOSトランジスタQn3は、ソースが接地され、前述のようにドレインがPチャネルMOSトランジスタQp3のドレインと接続される。またNチャネルMOSトランジスタQn3のドレインは、PチャネルMOSトランジスタQp1とNチャネルMOSトランジスタQn1との接続部分、即ち出力信号Voutの出力ノードへ接続される。またNチャネルMOSトランジスタQn3のゲートは、NチャネルMOSトランジスタQn1のゲートに接続され、遅延調整回路3から出力された信号が入力される。
【0027】
次に、動作について説明する。
ここでは、図1に示した相補型MOS出力回路と同様な動作の説明を省略し、実施の形態2による相補型MOS出力回路の特徴となる動作について説明する。出力バッファに供給される電流を瞬間的に遮断している間は、出力信号Voutの出力ノードがハイインピーダンス状態になる。このような状態を避けるため実施の形態2による相補型MOS出力回路には、出力バッファの出力ノードにPチャネルMOSトランジスタQp3とNチャネルMOSトランジスタQn3とを直列接続して構成したインバータ回路を追加した。
【0028】
このインバータ回路のPチャネルMOSトランジスタQp3及びNチャネルMOSトランジスタQn3は、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1に対してトランジスタサイズが小さいものを使用する。このPチャネルMOSトランジスタQp3及びNチャネルMOSトランジスタQn3は、出力バッファに備えられたPチャネルMOSトランジスタQp2及びNチャネルMOSトランジスタQn2がOFF状態となっている間、補助的にON状態となるように、例えば図6に示したように遅延調整回路3の出力信号をゲートへ入力して出力信号Voutの出力ノードをクランプする。なお、その他の動作は、実施の形態1で図4を用いて説明したように動作する。
【0029】
以上のように、実施の形態2によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp1及びNチャネルMOSトランジスタQn1の両側端にPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2とをそれぞれ直列に接続し、出力信号Voutの波形が上昇するとき、または下降するときにPチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2を適宜OFF状態として出力バッファに流れる駆動電流を瞬時遮断することにより、寄生容量に充電してから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0030】
また、出力信号Voutの出力ノードにPチャネルMOSトランジスタQp3及びNチャネルMOSトランジスタQn3から成るインバータ回路を備え、PチャネルMOSトランジスタQp2とNチャネルMOSトランジスタQn2がOFF状態となって出力バッファに流れる駆動電流が遮断されたとき、出力信号Voutの出力ノードをクランプするようにしたので、出力バッファの駆動電流が遮断されている間、出力信号Voutの出力ノードがハイインピーダンスになることを防ぐことができるという効果がある。
【0031】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。図1または図6に示したものと同様あるいは相当する部分に同じ符号を付し、その構成の説明を省略する。PチャネルMOSトランジスタQp30は、ソースに電源電圧が供給され、ドレインがNチャネルMOSトランジスタQn30のドレインに接続される。NチャネルMOSトランジスタQn30は、ソースが接地され、前述のようにドレインがPチャネルMOSトランジスタQp30のドレインへ接続される。即ち、PチャネルMOSトランジスタQp30とNチャネルMOSトランジスタQn30は直列接続され、最終段の出力バッファを構成する。これらPチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30のゲートには遅延調整回路3から出力された信号が入力される。
【0032】
PチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30のそれぞれのドレインが接続された出力信号Voutの出力ノードには、NチャネルMOSトランジスタ(接続トランジスタ)Qn31のドレインが接続される。このNチャネルMOSトランジスタQn31のソースには容量(容量素子)Cc3が接続され、ゲートにはEXOR回路のゲート2から出力された信号B1が入力される。容量Cc3の他端は接地される。
【0033】
次に、動作について説明する。
ここでは、図1または図6に示した相補型MOS出力回路と同様な動作の詳細な説明を省略し、実施の形態3による相補型MOS出力回路の特徴となる動作について説明する。図7に示した相補型MOS出力回路は、最終段の出力バッファの出力ノードから、即ち直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQp30とNチャネルMOSトランジスタQn30のドレイン接続部分から出力される出力信号Voutの波形がオーバーシュートまたはアンダーシュートを起こす直前に、ソースに容量Cc3が接続されたNチャネルMOSトランジスタQn31を瞬間的にON状態として、瞬時出力ノードに容量を付加し、出力信号Voutの波形の急上昇または急下降を抑え、リンギングの発生を抑制する。
【0034】
例えば、入力信号Vinが“L”→“H”に変化する場合の動作を説明する。入力信号Vinを反転させた信号A1をゲート2のポートX11へ入力し、遅延回路1によって遅延させた信号A1をポートX12に入力する。ゲート2から出力される信号B1は遅延回路1によって遅延された時間だけ論理値“H”を示すパルス信号として出力される。この信号B1をNチャネルMOSトランジスタQn31のゲートへ入力する。NチャネルMOSトランジスタQn31は、信号B1のパルス幅の時間だけON状態となって出力ノードから容量Cc3へ充電を行う。その結果出力信号Voutの波形の急上昇が容量の付加によって抑えられ、この間に実施の形態1で説明したように寄生容量の負荷容量CLへ充電が行われ、この充電が終了してさらに出力信号Voutの波形が上昇し、論理値”H“へ達したときには負荷容量CLが充電された状態なので共振が抑えられ、リンギングが抑制される。
【0035】
入力信号Vinが“H”→“L”に変化する場合も同様で、入力信号Vinのレベル変化が発生したとき、瞬間的に出力ノードに容量を付加させ、出力信号Voutの波形の急下降を抑え、リンギングの発生を抑制する。また、変化する出力信号Voutが出力バッファのスレッショルド電圧を超えてから、NチャネルMOSトランジスタQn31がON状態となるように動作させると、出力信号Voutのレベル変化の遅延を防ぐことができる。なお、各部分の波形変化は図4に示したものと同様になる。
【0036】
以上のように、実施の形態3によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30の出力ノードに容量Cc3が接続されたNチャネルMOSトランジスタQn31を備え、出力信号Voutの波形が上昇するとき、または下降するときにNチャネルMOSトランジスタQn31を適宜ON状態として容量Cc3へ充電させてから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0037】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。図1,図6または図7に示したものと同様あるいは相当する部分に同じ符号を付し、その構成の説明を省略する。EXNOR回路から成るゲート(波形変化検出手段)20は、ポートX41へ信号A1を入力し、ポートX42へ遅延回路1によって遅延させた信号A1を入力し、論理演算結果の信号B4を出力する。インバータ21は入力した信号B4を反転させて信号C4を出力する。インバータ22とインバータ(遅延調整手段)23は直列接続され、インバータ22へ遅延調整回路3から出力された信号が入力され、インバータ23から信号D4が出力される。
【0038】
出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp30とNチャネルMOSトランジスタQn30との接続部分、即ち出力ノードにはNチャネルMOSトランジスタ(第一接続トランジスタ)Qn40及びPチャネルMOSトランジスタ(第二接続トランジスタ)Qp40の各ドレインが接続される。PチャネルMOSトランジスタQp40のソースには、他端にインバータ21から出力された信号C4が入力される容量(第二容量素子)Cc5が接続され、ゲートにはインバータ23から出力された信号D4が入力される。NチャネルMOSトランジスタQn40のソースには、他端にゲート20から出力された信号B4を入力する容量(第一容量素子)Cc4が接続され、NチャネルMOSトランジスタQn40のゲートにはインバータ23から出力された信号D4が入力される。
【0039】
次に、動作について説明する。
ここでは図1,図6または図7に示した相補型MOS出力回路と同様な動作の詳細な説明を省略し、実施の形態4による相補型MOS出力回路の特徴となる動作について説明する。図8に示した相補型MOS出力回路は、最終段の出力バッファの出力ノードに瞬間的に容量を負荷として接続させ、この容量を介して出力信号Voutが変化しようとする電位に対して“H”レベルと“L”レベルが逆となる電位を出力ノードへ印加し、出力信号Voutの波形の急上昇または急下降を抑え、リンギングの発生を抑制するものである。
【0040】
図9及び図10は、実施の形態4による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。図10は、図9に示した入力信号Vinの立ち上り部分と、これに関連する他の波形とを時間スケールを拡大して示したものである。ここでは図10に示した入力信号Vinが“L”→“H”に変化する場合の動作を例示して説明する。入力信号Vinは、直列接続されたPチャネルMOSトランジスタQi1とNチャネルMOSトランジスタQi2のゲートへ入力され、信号レベルを反転させた信号A1が生成される。EXNOR回路から成るゲート20は、ポートX41へ信号A1を入力し、また遅延回路1によって遅延された信号A1の遅延信号をポートX42へ入力する。またゲート20は、遅延回路1によって信号A1が遅延された時間だけ論理値“L”のパルス幅を有するパルス信号を生成し、信号B4として出力する。
【0041】
信号B4は、容量Cc4へ印加され、信号D4によってNチャネルMOSトランジスタQn40がON状態となっているとき容量Cc4から論理値“L”と対応する“L”レベルの電位が出力ノードへ印加される。図10に示した例では、論理値“H”の信号D4がNチャネルMOSトランジスタQn40のゲートへ入力されている間に信号B4が有意を示す論理値“L”のパルス信号が容量Cc4へ印加される。すると容量Cc4は、図10に示した“L”レベルの電位へ達する信号E4のパルス信号を、NチャネルMOSトランジスタQn40を介して出力ノードへ印加する。図10に例示した信号E4は、信号B4と同じパルス幅を有するもので、容量Cc4の大きさ、即ち容量の大きさを調整することにより、このパルス幅や出力ノードへ印加する電位を設定することができる。
【0042】
信号E4のパルス信号が出力ノードへ印加されたとき、出力信号Voutは、“L”レベルから“H”レベルへ変化する途中で、容量Cc4から“L”レベルの電位、即ち変化する電位に対して逆電位となるパルス信号が印加され、このパルス信号が印加されている間の信号波形の立ち上りが緩やかになる。この緩やかな電位変化の間に出力ノードから寄生容量の負荷容量CLへ充電が行われる。信号B4のパルス信号が消滅し、出力ノードへ容量Cc4から逆電位が印加されなくなると、出力信号Voutは速やかに波形が立ち上って論理値“H”へ達する。このように出力信号Voutが論理値“H”に達したとき負荷容量CLは充電された状態なので共振が抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0043】
なお、信号D4は、例えば遅延調整回路3から出力された信号を直列接続されたインバータ22,23へ入力して、信号B1のパルス信号が消滅した後で変化するように生成させる。図10に示した一例では信号B1のパルス信号が消滅した後、信号D4は論理値“H”から論理値“L”へ変化し、次に信号B1が有意となったときに備えてPチャネルMOSトランジスタQp40をOFF状態としてからNチャネルMOSトランジスタQn40をON状態にする。
【0044】
入力信号Vinが“H”→“L”に変化する場合も同様で、入力信号Vinの反転信号A1をゲート20のポートX41へ入力し、信号A1を遅延させてポートX42へ入力する。入力信号Vinが論理値“H”から論理値“L”へ変化するとき、即ち入力信号Vinの波形が下降するときには信号D4が“L”レベルとなっており、PチャネルMOSトランジスタQp40がON状態となる。この状態でゲート20から遅延回路1によって遅延された時間だけ論理値“L”レベルのパルス信号となる信号B4が出力され、この信号B4をインバータ21で反転させた信号C4が容量Cc5へ入力される。
【0045】
なお、図10に示した時間t11は、図5に示した時間t1に相当するもの、図10の時間t12は図5の時間t2に相当するもの、また図10の時間t13は図5の時間t3に相当するものである。時間t11は、ゲート20のポートX41及びポートX42へ入力された信号A1及び遅延された信号A1がゲート20を成すEXNOR回路の閾値電圧となるまでの時間である。時間t12は、遅延回路1によって信号A1が遅延された時間、即ちゲート20のポートX41へ論理値“L”の信号が入力されると共にポートX42へ論理値“H”の信号が入力されている時間である。この時間t12は、図示されたように信号B1,C1また信号E4のパルス幅をも表すものである。また時間t13は、入力信号Vinが立ち上り始めてから、即ち信号A1が下降を始めてから出力信号Voutが立ち上り始めるまでの遅延時間を表すもので、実施の形態1で説明した時間t3と同様に図8に示した遅延調整回路3によって調整される時間である。
【0046】
この信号B4をインバータ21へ入力して反転された“H”レベルの信号C4を容量Cc5へ印加し、ON状態のPチャネルMOSトランジスタQp40を介して“H”レベルの電位を容量Cc5から出力ノードへ印加させる。出力バッファの出力ノードには、出力信号Voutの波形が変化するときに容量Cc5を介して出力信号Voutが変化しようとしている電位と逆の電位が印加されることから、出力信号Voutの波形が変化する逆方向へ引っ張られ、出力信号Voutの波形の急下降が抑えられ、リンギングの発生が抑制される。
【0047】
また、変化する出力信号Voutが、出力バッファのスレッショルド電圧を超えてから容量Cc4または容量Cc5から逆電位が出力ノードへ印加されるように動作させると、出力信号Voutのレベル変化の遅延を防ぐことができる。
【0048】
以上のように、実施の形態4によれば、出力バッファを構成するPチャネルMOSトランジスタQp30及びNチャネルMOSトランジスタQn30の出力ノードに、“L”レベルの電位のパルス信号を印加する容量Cc4と、“H”レベルの電位のパルス信号を印加する容量Cc5とを、それぞれMOSトランジスタのOFF/ON動作によって接続し、
出力信号Voutの波形が上昇するとき容量Cc4から出力ノードへ逆電位を印加させ、また出力信号Voutが下降するとき容量Cc5から逆電位を印加させ、負荷容量CLへ充電させてから出力信号Voutをさらに出力するようにしたので、出力信号Voutのオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、波形変化検出手段から出力されたパルス信号に応じて出力バッファに流れる駆動電流を遮断するトランジスタとを備えたので、出力信号のオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図2】MOS出力回路の出力波形を示す説明図である。
【図3】MOS出力回路の等価回路を示す説明図である。
【図4】実施の形態1による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【図5】実施の形態1による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態3による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図8】この発明の実施の形態4による相補型MOS出力回路の構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態4による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【図10】実施の形態4による相補型MOS出力回路の信号波形を示す説明図である。
【符号の説明】
1 遅延回路(波形変化検出手段)、2 ゲート(波形変化検出手段)、3 遅延調整回路(遅延調整手段)、4 インバータ、11 インダクタンス、12負荷容量、20 ゲート(波形変化検出手段)、21〜23 インバータ。
Claims (7)
- 直列接続したMOSトランジスタから成る出力バッファを備えた相補型MOS出力回路において、
入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、
前記波形変化検出手段から出力されたパルス信号に応じて前記出力バッファに流れる駆動電流を遮断するトランジスタとを備えたことを特徴とする相補型MOS出力回路。 - 出力バッファを構成するMOSトランジスタより小さいサイズのMOSトランジスタを直列接続して前記出力バッファの出力ノードへ接続し、前記出力バッファの駆動電流が遮断されている間前記直列接続されたMOSトランジスタが前記出力バッファの出力ノードをクランプすることを特徴とする請求項1記載の相補型MOS出力回路。
- 直列接続したMOSトランジスタから成る出力バッファを備えた相補型MOS出力回路において、
入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、
前記波形変化検出手段から出力されるパルス信号に応じてON/OFF状態を切り替える接続トランジスタと、
一端が前記接続トランジスタを介して前記出力バッファの出力ノードへ接続されると共に他端が接地された容量素子とを備え、
前記波形変化検出手段から出力されたパルス信号を前記接続トランジスタへ入力し前記容量素子を前記出力ノードへ接続させることを特徴とする相補型MOS出力回路。 - 波形変化検出手段から出力されたパルス信号と入力信号の上昇または降下途中の波形が同期するように前記入力信号を遅延させる遅延調整手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項3記載の相補型MOS出力回路。
- 直列接続したMOSトランジスタから成る出力バッファを備えた相補型MOS出力回路において、
入力信号の波形の上昇または降下を検出し当該波形の上昇または降下のタイミングを示すパルス信号を生成する波形変化検出手段と、
前記入力信号に基づいてON/OFF状態を切り替える接続トランジスタと、
前記波形変化検出手段から出力されたパルス信号を入力し前記接続トランジスタを介して前記出力バッファの出力ノードへ接続される容量素子とを備え、
前記容量素子は、前記パルス信号に応じて前記出力バッファの出力ノードへ電位を印加することを特徴とする相補型MOS出力回路。 - 波形変化検出手段から出力されたパルス信号と入力信号の上昇または降下途中の波形が同期するように前記入力信号を遅延させる遅延調整手段を備え、
接続トランジスタは、前記遅延調整手段によって遅延された入力信号に基づいてON/OFF状態を切り替えることを特徴とする請求項5記載の相補型MOS出力回路。 - 波形変化検出手段から出力されたパルス信号を反転させるインバータを備え、
容量素子は、前記波形変化検出手段から出力されたパルス信号を入力しハイレベルの電位を出力ノードへ印加する第一容量素子と前記インバータによって反転されたパルス信号を入力しローレベルの電位を前記出力ノードへ印加する第二容量素子とから成り、
接続トランジスタは、前記第一容量素子を前記出力ノードへ接続する第一接続トランジスタと前記第二容量素子を前記出力ノードへ接続する第二接続トランジスタとから成り、
前記第一接続トランジスタと前記第二接続トランジスタのON/OFF状態を入力信号に基づいて交互に切り替え前記第一容量素子と前記第二容量素子とから前記出力ノードへ出力信号の逆電位を印加することを特徴とする請求項6記載の相補型MOS出力回路。
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JP2003103188A JP2004312377A (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 相補型mos出力回路 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011188013A (ja) * | 2010-03-04 | 2011-09-22 | Toshiba Corp | 出力バッファ |
CN118018000A (zh) * | 2024-04-08 | 2024-05-10 | 瓴科微(上海)集成电路有限责任公司 | 一种防过冲的电平转换电路 |
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2003
- 2003-04-07 JP JP2003103188A patent/JP2004312377A/ja active Pending
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